JP3668190B2 - パーティクルカウント方法及びパーティクルカウンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアロゾル中のパーティクルの粒径分布を計測・評価するものであって、特に100nm以下のパーティクルを迅速・簡便に計測・評価できるため、半導体集積回路や液晶表示装置の製造における気相プロセス装置やクリーンルームの、その場パーティクル計測に最適なものであり、これら対象素子・装置の製造歩留の向上に寄与するものである。
【0002】
【従来の技術】
第1の従来例として、現在主流になっているレーザー散乱法によるパーティクル径計測装置について述べる。これは、エアロゾル中のパーティクル粒径を計測するに際し、レーザー光をエアロゾルに照射し、パーティクルの粒径分布によって、レーザーの回折光の空間分布強度が変化することを利用して行う粒径計測法である。以下、図5を用いて述べる構成と動作は、現在当該業界で広く一般に利用されているものであるが、文献としては例えば、「粒子径計測技術」粉体工学会編、日刊工業新聞社(1994年)、145項から148項に記載されている。
【0003】
光源には出力数ミリワット(mW)のヘリウムネオン(He−Ne)あるいは半導体のプローブレーザー501を用いる。その光束は、ビームエキスパンダ502によって直径数mmの平行な光束に拡げられ、計測部に導入されたエアロゾル中のパーティクル群503に照射される。このビームエキスパンダ502は平行度の高い照射光束を得るためにスペーシャルフィルタを内蔵している。エアロゾル中のパーティクル群によって散乱されたレーザー光は、受光レンズ504により屈折され、その焦点面505上のディテクタ506に入射する。受光レンズ504には、fθレンズが用いられており、散乱されたレーザー光束はそれぞれの散乱角毎に、焦点面上の同一円周上に集光される。ディテクタは焦点面上のレーザー光束の前方散乱(非散乱)光照射点を中心とした、同心円上に半導体光電変換素子が配列されたものである。この構成により、エアロゾルパーティクルにより散乱されたレーザー光強度の散乱角依存性を測定することができる。ここで、レーザー光散乱強度の散乱角依存性は、パーティクル群の粒径分布に依存することを利用して、信号処理器507によりパーティクル群の粒径分布を算出するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の従来例では、プローブ光として可視光レーザーを用いているため、計測可能な粒径は100nm程度が下限となる。何故なら、プローブ光波長に対して対象パーティクルが小さくなると、特に波長の10分の1以下になると、散乱現象の粒径依存性が観測しにくいレイリー散乱となるので、散乱光強度分布から粒径分布を算出することはできないからである。Nd:YAGレーザーの第4高調波を用いれば、比較的小型の装置系で紫外コヒーレント光(波長266nm)を得ることができるが、これでも計測可能粒径は40nm程度となる。
【0005】
さらに、短波長の紫外コヒーレント光を得るためには、エキシマレーザーを用いることになるが、光源装置系が巨大化するとともに、光学系も透過型レンズの使用に制限が付くこととなる。仮に実現するとすれば、Ar2 エキシマによる波長126nmの紫外コヒーレント光があるが、これを用いても計測可能粒径は20nm程度である。一方、半導体集積回路製造技術の最先端実用デザインルールは現状で130nm、2008年には70nmに達しようとしている。しかも一般に、充分な歩留まり管理を実施するには、デザインルール(最小線幅)に対して5分の1の粒径管理が必要とされている。
【0006】
よって、これまで述べてきたレーザー散乱法を用いた場合、将来にわたって歩留維持・向上を目的とした半導体集積回路製造システム内のパーティクル管理を実施することは不可能である。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであって、大気圧から減圧雰囲気を経て低真空までの動作圧力範囲で、エアロゾル中の50nm以下2nm以上のパーティクルをカウントし、粒径分布を算出することができる、パーティクルカウンタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のパーティクルカウンタは、計測に光散乱を用いず、エアロゾルに内在するパーティクルに対し荷電を行った後、前記エアロゾルを層流状の非荷電性シースガス流に混合させた後、静電界を印加することで、各々の内在パーティクルに、粒径に依存した軌道をとらせ、特定の軌道を描くパーティクル数をカウントする手段をとっている。ここで、非荷電性シースガス流としてボンベガスを用いることなく、対象プロセス装置が設置されるクリーンゾーンの大気を採取し有効活用している。
【0009】
また、荷電パーティクルの検出に際し、分級管への印加静電界強度を低周波変調し、これに同調する荷電パーティクルの検出電気信号を狭帯域増幅する手段をとっている。
【0010】
加えて、取り込みエアロゾルが荷電過程を経た後、このエアロゾルの流路に電圧印加の可能な導体板を配置し、これに電圧印加を行うことで、エアロゾル中の浮遊イオンを静電的に吸着除去することで、荷電パーティクルの検出精度を高める手段をとっている。
【0011】
これらの手段により、気相プロセス装置内のプロセスエアロゾル中にあるパーティクルの粒径分布を得るに際し、特に50nm以下のパーティクルを迅速・簡便に計測・評価できるパーティクルカウンタを構成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、気相中で物理的あるいは化学的な反応を行うプロセス装置に接続され、前記プロセス装置内のプロセスガスをエアロゾルとして取り込み、内在するパーティクルに対し荷電を行った後、前記エアロゾルを層流状の非荷電性シースガス流に混合させた後、静電界を印加することで、各々の内在パーティクルに、粒径に依存した軌道をとらせ、特定の軌道のパーティクルを抽出し、その数量を計測することで、前記プロセス装置内の浮遊パーティクルの粒径分布を算出するパーティクルカウント方法であって、荷電パーティクルの検出に際し、分級領域への印加静電界強度を低周波変調し、これに同調する前記荷電パーティクルの検出電気信号を狭帯域増幅することで、前記エアロゾルの流路に気相拡散現象により散逸する散逸浮遊イオンの影響を除去するようにしたものであり、希薄なパーティクル濃度においても有効に計測することができる。
【0015】
さらに、取り込みエアロゾルが荷電過程を経た後、前記エアロゾルの流路に電圧印加の可能な導体板を配置し、これに電圧印加を行うことで、エアロゾル中に含まれる浮遊イオンを静電的に吸着除去することで、前記エアロゾルに内在する荷電パーティクルの検出精度を高めることを可能としている。
【0016】
加えて、エアロゾルに内在するパーティクルに対し荷電を行った後、静電界を印加することで、各々のパーティクルに粒径に依存した軌道をとらせ、特定の粒径を中心としその近傍の粒径をもつ粒子数を計測する、即ちバンドパスフィルタとしての機能を発揮することが可能である。
【0017】
(実施の形態)
次に、本発明における実施形態について詳細な説明をする。図1は、本実施の形態におけるパーティクルカウンタの全体構成を示すブロック図である。本実施の形態のパーティクルカウンタは、超微細なデザインルール(130nm以下)に則った、半導体集積回路製造プロセスシステムのうち、特に減圧・真空を含む気相中で実施される化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)または物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)、あるいはドライエッチングにおけるプロセスチャンバ101に気相的に接続されるものである。この実施の形態において、プロセスチャンバ101は気相中で物理的あるいは化学的な反応を行うプロセス装置であり、エアロゾル供給源としての機能を有している。
【0018】
このパーティクルカウンタは、プロセスチャンバ101に接続されたエアロゾル取り込みバルブ102と、エアロゾル取り込みバルブ102から導入されたエアロゾルとこれに内在するパーティクル群とを荷電する荷電装置103と、荷電装置103で荷電された荷電パーティクルの計測に障害となる浮遊イオンを吸着除去する浮遊イオン吸着除去系104と、浮遊イオンを吸着除去せしめられた荷電パーティクル群に対して分級処理を行なうパーティクル分級系105と、パーティクルカウンタの最後段に設置され、パーティクルカウンタ全体を差動排気する排気系106とを備えている。
【0019】
また、このパーティクルカウンタは、上述のようにプロセスチャンバ101に気相的に接続される系列接続構成とは並列にシースガス搬送ライン109を有している。シースガス搬送ライン109は、プロセスチャンバ101とは別に設けられたシースガス採取口108に接続されており、このシースガス採取口108からシースガスとしてクリーンエアが導入される。そして、シースガスはシースガス搬送ライン109を経由してパーティクル分級系105に導入されるものである。
【0020】
かかる構成により、パーティクルカウンタ全体としては、減圧ないし真空排気の機能を有している。すなわち、パーティクルカウンタの動作中は、最後段に設置される排気系106により差動排気されることにより、最前段のプロセスチャンバ101から最後段の排気系106まで、計測対象のエアロゾルの一貫した流れが形成される。
【0021】
エアロゾル取り込みバルブ102を介してパーティクルカウンタに導入された、プロセス雰囲気エアロゾルは、先ず、同じくエアロゾル取り込みバルブ102の流量調整機能により質量流量を調整される。これは、パーティクル分級系105において、粒径分解能を向上させるには大きな質量流量が必要であるが、質量流量が大きくなり過ぎると、分級に必要は静電界強度が実用範囲を超えて高くなるためである。
【0022】
次に、導入されたエアロゾルと内在するパーティクル群は荷電装置103にて荷電される。本実施の形態では、この荷電過程に広範なエアロゾルガス圧で動作可能なAr2 エキシマ光源を荷電装置103に内在させ、そこからの真空紫外光照射を用いている。動作ガス圧によっては(動作ガス圧が高い側から順に)、放射性同位体、直流コロナ放電、イオンビーム、電子ビームなどを、適宜用いてもよい。特に、10-3Pa以下の高真空状態では、単極荷電が可能なイオンもしくは電子ビームを用いるのが効果的である。
【0023】
荷電過程を経たエアロゾルは、浮遊イオン吸着除去系104に導入され、ここで対象とする荷電パーティクルの計測に障害となる浮遊イオンが吸着除去される。浮遊イオンとは言うまでもなく、計測対象のパーティクル(粒径範囲2−50nm)よりも遥かに小さく、よって粘性気体中での電気移動度も格段に小さいものである。そして、これは減圧プロセス装置チャンバ101内でのプラズマプロセスと、荷電装置103内での荷電過程により生成するものである。
【0024】
図2は、本実施の形態におけるパーティクルカウンタの浮遊イオン吸着除去系104を構成する浮遊イオン吸着除去チャンバの断面構成図である。この浮遊イオン吸着除去チャンバ201は、空洞円筒形の構造を有するチャンバ本体201aと、荷電装置103で荷電された荷電パーティクルが導入されるエアロゾル導入口202と、浮遊イオンの吸着除去処理された荷電パーティクル群が送出されるエアロゾル取り出し口203と、チャンバ本体201aの内部中空に配置され浮遊イオンを吸着除去する浮遊イオン吸着筒204と、浮遊イオン吸着筒204をチャンバ本体201aの内部中空に配置すべく当該浮遊イオン吸着筒204を懸下支持する吸着筒支持柱205と、吸着筒支持柱205に接続されこの吸着筒支持柱205を介して浮遊イオン吸着筒204に静電位を印加する電位印加装置206とを備えている。チャンバ本体201aと浮遊イオン吸着筒204とは同一の中心軸を持つように配置されている。
【0025】
かかる構成を有する浮遊イオン吸着除去チャンバ201について、その動作を説明する。浮遊イオン吸着除去チャンバ201は荷電装置103から供給されたエアロゾル流がその内部を回転中心軸に沿って通過する構成を有している。エアロゾル導入口202により流入したエアロゾルは、これも空洞円筒状でチャンバ本体201aと同一の回転中心軸を持つ浮遊イオン吸着筒204の内部を通過し、エアロゾル取り出し口203から流出する。ここで、浮遊イオン吸着筒204は良導電性金属(無酸素銅あるいはSUS304)で構成され、チャンバ本体201a自体の器壁とは絶縁された吸着筒支持柱205で保持されている。吸着筒支持柱205は浮遊イオン吸着筒204と同様良導電性金属良導電性金属で構成されており、電位印加装置206に接続されることにより浮遊イオン吸着筒204に静電的に負電位が印加される。浮遊イオン吸着筒204の負電位の大きさは、エアロゾルの流速(浮遊イオン吸着除去チャンバ201内滞留時間)およびガス圧力(内在イオン、パーティクルの電気移動度を決める)を鑑みて、浮遊イオンは当初の流速方向から静電的に偏向させられイオン吸着筒204に吸着除去されるが、荷電パーティクル(2−50nm)はここに吸着されずに通過できるように設定する。
【0026】
浮遊イオン吸着除去チャンバ201において浮遊イオン除去過程を経たエアロゾルは、図1におけるパーティクル分級系105に導入され、ここで内在する荷電パーティクル群は粒径に依存する電気移動度の値に応じて分級される。その分級動作原理を、図4を用いてやや詳しく説明する。
【0027】
図4は、本実施の形態におけるパーティクルカウンタのパーティクル分級系105を構成する分級管301(図3を参照)の断面構成図である。この分級管301は、浮遊イオン吸着除去チャンバ201において浮遊イオン除去処理されたエアロゾルが導入されるキャリアガス導入ライン401と、シースガス搬送ライン109に接続されたシースガス導入ライン402と、荷電されたパーティクルが含まれた分級済のエアロゾルが取り出される分級済エアロゾル取出口403と、シースガス導入ライン402から流入したシースガスが排気系106により排出されるシースガス取出口404とを備えている。
【0028】
また、分級管301は、キャリアガス導入ライン401に導入された計測対象のエアロゾルが分級領域(図4中Lで示す)へ向けて導入されるエアロゾル噴出スリット405と、分級領域Lで分級されたエアロゾルを分級領域Lから分級済エアロゾル取出口403へと取り込むエアロゾル取込スリット406と、シースガス導入ライン402から導入されたシースガスをフィルタリングして層流にするフィルターメッシュ407と、分級領域Lを形成するための内側の殻体となる内殻円筒408と、内殻円筒408の外側を覆うように配置され、内殻円筒408とともに分級領域Lを形成するための外側の殻体となる外殻円筒409とを備えている。
【0029】
さらに、分級管301は、内殻円筒408の外壁に貼りつけられた正極高電圧電極410と、外殻円筒409の内壁に貼りつけられ上記正極高電圧電極410との間で電圧を印加されることにより静電界を生成する接地電極411とを備えている。内殻円筒408と外殻円筒409とは同一の中心軸を持つように配置されている。
【0030】
かかる構成を有する分級管301について、その動作を説明する。本実施の形態においては、先ず、シースガス導入ライン402より、シースガスとしてクリーンエアが、2. 5 l/minの流量で導入される。このクリーンエアは、減圧プロセス装置チャンバが設置されるクリーンゾーン(クラス1以下)から、図1に示されたパーティクルカウンタ全体構成図におけるシースガス採取口108から採取、シースガス搬送ライン109を経由して導入されるものである。このシースガスは、フィルターメッシュ407を介して、内殻円筒408と外殻円筒409との間に形成された空間(ここが狭義の意味での分級領域Lになる)に流入することで、分級領域Lでは効果的に層流となることができる。ここで、内殻円筒408と外殻円筒409はシースガス流に対して、回転中心軸が平行に、しかも同軸状に配置されている。流入するシースガスにほぼ等しい流量が、シースガス取出口404から排気系106により排出される。排気系106は、ドライメカニカルポンプあるいはこれに高圧動作のターボ分子ポンプを前段設置した構成をとっている。一方、計測対象のエアロゾルは、キャリアガス導入ライン401から、エアロゾル噴出スリット405を通って、0. 5 l/minの流量で分級領域Lに導入される。
【0031】
分級領域Lでは、内殻円筒408の外壁に貼りつけられた正極高電圧電極410と、外殻円筒409の内壁に貼りつけられた接地電極411により、共通中心軸に放射状の静電界を印加されている。エアロゾル噴出スリット405から分級領域Lに導入された荷電されていない内在パーティクル(荷電装置103の荷電効率は1未満の値である)は、層流状のシースガスの流れに乗って、エアロゾル噴出スリット405からシースガス取出口404の方向(図4の中では左から右)に搬送され、シースガス取出口404から排出される。荷電装置103にて荷電された内在パーティクルは分級領域Lに形成された静電界により偏向する。特に負に荷電された内在パーティクルは、内殻円筒408の側に引き寄せられ、一部はエアロゾル取込スリット406を経て、分級済エアロゾル取出口403から取り出すことができる。
【0032】
分級領域Lでの荷電微粒子の軌跡は、原理的には、荷電微粒子のシースガス中での移動度(粒径)、シースガスによる横方向搬送速度、静電界強度分布、幾何学形状(分級長L、内殻円筒径R1 、外殻円筒径R2 )などにより決定される。これらのパラメータを適切に設定することにより、特定の粒径のパーティクルを分級済エアロゾル取出口403から抽出することができる。すなわち分級を行うことが可能となる。通常は、横方向搬送速度と幾何学形状の設定により、分級後粒径の中心値を決定しておき、最後に静電界強度(ソフト的なパラメータとして)を調整することで、ある範囲では任意の分級後粒径を選ぶことができる。静電界強度を走査しながら、分級済荷電パーティクルの数(空間数密度)を微小電流計で計測すれば、計測対象エアロゾルに内在するパーティクルの粒径分布を算出・評価することが可能となる。
【0033】
次に、パーティクル分級系105における信号検出部の構成ならびに信号検出動作について、図3を用いて説明する。本発明のパーティクルカウンタ実施の形態における、信号検出は、分級済みエアロゾル流に内在する荷電パーティクル数すなわち空間数密度を、微小電流計で計測することを基本としている。ここで問題となるのは、計測対象の荷電パーティクル数密度より、浮遊イオンの数密度が無視できない場合である。本実施の形態でもすでに述べたとおり、浮遊イオン吸着除去チャンバ201を用いて、これを除去するがこれでも不充分な場合が多々ある。つまり、静電的な吸着あるいは偏向により、浮遊イオンを除去ならびに特定粒径の荷電パーティクルとの選別を行ったとしても、パーティクルカウンタのエアロゾル流路全体に気相拡散現象により散逸する浮遊イオンの影響(微小電流計への流入)が問題になるということである。
【0034】
そこで本実施の形態では、分級管301での分級動作に印加される静電界強度Eに、低周波数(数〜数十Hz)の変調をかけることで、検出用微小電流計に到達する荷電パーティクルをこの変調周波数で遮断する。この変調周波数成分のみを狭帯域増幅することで、定常的に微小電流計に流入する浮遊(拡散)イオンの影響を除去するものである。
【0035】
図3はそのための、パーティクルカウンタ分級系105の信号検出部の構成を表すブロック図である。この信号検出部は、分級済みエアロゾル取り出し口403の下流に設置された検出器302と、分級管301の分級動作用静電界を生成する電圧関数発生器303と、検出器302により計測された分級済み荷電パーティクルの数を表す電流信号を電流−電圧変換するプリアンプ304と、プリアンプ304により電流−電圧変換された信号を上記変調周波数で狭帯域増幅するロックインアンプ305とを備えて成る。
【0036】
かかる構成を有する信号検出部において、分級管301の分級動作用静電界は、電圧関数発生器303により矩形波入力される。これは、周波数:数Hz、デューティー比:1/ 2、最大印加電圧:対象とするすべてのパーティクル粒径(50nm以下)がすべてエアロゾル取り込みスリット406の上流側で内殻円筒408壁まで偏向・吸着する電圧値、最小印加電圧:対象とする特定のパーティクル粒径がエアロゾル噴出スリット406に到達する電圧値、とするものである。分級済み荷電パーティクルの数は、分級済みエアロゾル取り出し口403の下流に設置された微小電流計を主体とする検出器302により電流信号として計測される。この電流信号はプリアンプ304により、電流−電圧変換された後、ロックインアンプ305で、上記変調周波数で狭帯域増幅される。この際の参照周波数信号は、電圧関数発生器303より分級動作用静電界発生波形と同一のもを入力するものとする。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パーティクルカウンタに光散乱を用いず、エアロゾルに内在するパーティクルに対し荷電を行った後、前記エアロゾルを層流状の非荷電性シースガス流に混合させた後、静電界を印加することで、各々の荷電パーティクルに、粒径に依存した軌道をとらせ、特定の軌道を描くパーティクル数をカウントする手段をとっている。また、荷電パーティクルの検出に際し、分級管への印加静電界強度を低周波変調し、これに同調する荷電パーティクルの検出電気信号を狭帯域増幅することで、希薄なパーティクル濃度においても有効に計測する手段をとっている。加えて、取り込みエアロゾルが荷電過程を経た後、このエアロゾルの流路に電圧印加の可能な導体板を配置し、これに電圧印加を行うことで、エアロゾル中に含まれる浮遊イオンを静電的に吸着除去し、荷電パーティクルの検出精度を高める手段をとっている。
【0038】
これらの手段により、気相プロセス装置内のプロセスエアロゾルに内在する、特に50nm以下のパーティクルを迅速・簡便にその場計測した上、粒径分布を算出することが可能なパーティクルカウンタを構成することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるパーティクルカウンタの全体構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態におけるパーティクルカウンタの構成要素である、浮遊イオン吸着除去チャンバの断面構成図。
【図3】本発明の実施の形態におけるパーティクルカウンタの構成要素である、パーティクル分級系の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施の形態におけるパーティクルカウンタの構成要素であるパーティクル分級系のうち、分級管の断面構成図。
【図5】従来の実施例におけるパーティクルカウンタの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 01 減圧プロセス装置チャンバ
102 エアロゾル取り込みバルブ
103 荷電装置
104 浮遊イオン吸着除去系
105 パーティクル分級系
106 排気系
107 排気口
108 シースガス採取口
109 シースガス搬送ライン
201 浮遊イオン吸着除去チャンバ
201a 浮遊イオン吸着除去チャンバ本体
202 エアロゾル導入口
203 エアロゾル取り出し口
204 浮遊イオン吸着筒
205 吸着筒支持柱
206 電位印加装置
301 分級管
302 検出器
303 電圧関数発生器
304 プリアンプ
305 ロックインアンプ
401 キャリアガス導入ライン
402 シースガス導入ライン
403 分級済エアロゾル取出口
404 シースガス取出口
405 エアロゾル噴出スリット
406 エアロゾル取込スリット
407 フィルターメッシュ
408 内殻円筒
409 外殻円筒
410 正極高電圧電極
411 接地電極
501 プローブレーザー
502 ビームエキスパンダ
503 パーティクル群
504 受光レンズ(fθレンズ)
505 焦点面
506 ディテクタ
507 信号処理器

Claims (4)

  1. 気相中で物理的あるいは化学的な反応を行うプロセス装置に接続され、前記プロセス装置内のプロセスガスをエアロゾルとして取り込み、内在するパーティクルに対し荷電を行った後、前記エアロゾルを層流状の非荷電性シースガス流に混合させた後、静電界を印加することで、各々の内在パーティクルに、粒径に依存した軌道をとらせ、特定の軌道のパーティクルを抽出し、その数量を計測することで、前記プロセス装置内に浮遊するパーティクルの粒径分布を算出するパーティクルカウント方法であって、
    荷電パーティクルの検出に際し、分級領域への印加静電界強度を低周波変調し、これに同調する前記荷電パーティクルの検出電気信号を狭帯域増幅することで、前記エアロゾルの流路に気相拡散現象により散逸する散逸浮遊イオンの影響を除去することを特徴とするパーティクルカウント方法。
  2. エアロゾルに内在するパーティクルに対し荷電を行った後、静電界を印加することで、各々のパーティクルに粒径に依存した軌道をとらせ、特定の粒径を中心としその近傍の粒径をもつ粒子数を計測する、即ちバンドパスフィルタとして動作することを特徴とする請求項1記載のパーティクルカウント方法。
  3. 特定粒径の粒子空間数密度をバンドパスフィルタ動作を活用して計測し、これを3種以上の特定粒径を基準に計測することで、全粒径範囲における粒径分布を予測する機能を有することを特徴とする請求項1記載のパーティクルカウント方法。
  4. 測定対象に設けられたエアロゾル供給源に接続されたエアロゾル導入手段と、エアロゾル導入手段から導入されたエアロゾルとこれに内在するパーティクル群とを荷電する荷電手段と、荷電手段で荷電された荷電パーティクルの計測に障害となる浮遊イオンを吸着除去する浮遊イオン吸着除去手段と、浮遊イオンを吸着除去せしめられた荷電パーティクル群に対して分級処理を行なうパーティクル分級手段と、シースガスを層流状にして前記パーティクル分級手段に供給するシースガス搬送ラインとを備え、前記パーティクル分級手段は、前記エアロゾルを、層流状の非荷電性シースガス流に混合させた後、静電界を印加することにより、エアロゾルに内在する各々のパーティクルに、粒径に依存した軌道をとらせて分級するパーティクルカウンタであって、
    前記パーティクル分級手段は、荷電パーティクルの検出に際し、分級領域への印加静電界強度を低周波変調し、これに同調する前記荷電パーティクルの検出電気信号を狭帯域増幅することで、前記エアロゾルの流路に気相拡散現象により散逸する散逸浮遊イオンの影響を除去する増幅手段を有することを特徴とするパーティクルカウンタ。
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