JP3665823B2 - 飛行時間型質量分析装置及び飛行時間型質量分析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛行時間型質量分析装置(TOFMS;Time of Flight Mass Spectrometer)に関し、特に、イオン検出器の飽和を回避することのできるTOFMSに関する。
【0002】
【従来の技術】
垂直加速型飛行時間型質量分析装置(OA−TOFMS;Orthogonal Acceleration Time of Flight Mass Spectrometer)は、連続的にイオンを生成するイオン源からのイオンビームをイオン溜に導入し、該イオンビームの導入方向と交差する方向にパルス的にイオン溜中のイオンを加速し、イオンを加速した直後から加速されたイオンパルスが最終イオン検出器で検出されるまでの飛行時間を計測して質量分析を行なう装置である。
【0003】
図1は、リフレクター型のOA−TOFMSの構成を模式的に表わしたものである。図中1は、連続的に正イオンを生成する電子衝撃(EI)、化学イオン化(CI)、高速原子衝撃(FAB)、エレクトロスプレイ(ESI)、大気圧化学イオン源(APIC)、誘導結合プラズマ(ICP)などの外部イオン源である。
【0004】
外部イオン源1から正の加速電位V1で出射されたイオンビームは、正の電位VFが印加された収束レンズ2でZ方向に収束されて、y0の有効長を持ったイオン溜3に導入される。イオン溜3には、Push-outプレート4が備え付けられている。また、イオン溜3のPush-outプレート4に対向する位置には、接地電位のイオン引き出しグリッド5及び負の電位の出口グリッド6が設けられていて、イオンビームの導入方向(Y方向)に対して交差する方向(Z方向)に、イオンを押し出すための電界が形成されるようになっている。
【0005】
Push-outプレート4に正電圧2VSから成るPush-outパルス7を印加すると、Push-outプレート4、イオン引き出しグリッド5、及び出口グリッド6の間、すなわち2段加速部と呼ばれる領域8に瞬時に電界勾配が形成される。その結果、イオン溜3のイオンは一斉にZ方向に加速されてイオンパルスとして排出され、対向する位置に設けられたミラー部9で反射された後、マイクロ・チャンネル・プレート(MCP)などで構成された最終イオン検出器10に向けて飛行する。
【0006】
尚、厳密に言えば、イオンはイオン溜3に導入されたときのY方向の速度を持っているため、Push-outプレート4、イオン引き出しグリッド5、及び、出口グリッド6の間、すなわち2段加速部8に発生した電界によってZ方向の力を受けても、飛行方向はZ方向からわずかにY方向にずれたものとなる。
【0007】
上記加速を受ける際、イオンにはPush-outプレート4と出口グリッド6の間の電位差に対応する一定のエネルギーが等しく与えられるため、加速が終了した時には、質量の小さなイオンほど速度が大きく、質量の大きなイオンほど速度が小さい。このような速度差が生まれる結果、分光部電源11によって負の電位V2に設定されたリフレクターTOF分光部12をイオンが飛行する間に、イオンの質量分散が行なわれて、質量に応じた複数のイオンパルスに展開され、軽いイオンから順番に最終イオン検出器10に到達し、マススペクトルが測定される。
【0008】
このような構成において、最終イオン検出器に使用されるMCPは、直径10〜25μm、長さ0.24〜1.0mmの非常に細い導電性の硝子キャピラリーが数百万本束ねられたものであり、その1本1本が2次電子増倍管として機能する。MCPでの2次電子の走行距離は1.0mm以下と短いために、パルス入力の荷電粒子パルスに対しては1ナノ秒(ns)の高速応答が可能である。それに対して、2次電子の走行距離が数cm程度の光電子増倍管(フォト・マルチ・プライヤー)や2次電子増倍管(SEM管)を用いると、5ns前後の応答時間を必要とする。
【0009】
TOFMSの質量分解能Rは、一般に(1)式で与えられる。
【0010】
R = M/ΔM = tTOF/2・Δt・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、Mはダルトン、ΔMは質量差、tTOFはイオンM+の飛行時間、Δtはイオンパルス時間幅である。イオンパルス幅Δtは、計測する場所に依存し、最終イオン検出器での幅が狭ければ狭いほど、質量分解能Rを高くすることができる。従って、入射イオンパルスの時間幅と、最終イオン検出器内における2次電子変換増幅後の出力信号幅は、同一であることが理想である。しかし、実際には、最終イオン検出器自身での時間の広がりは必ず生じ、(1)式の分母のΔtに加算され、分母が大きくなる。
【0011】
通常、高分解能TOFMSでは、最終イオン検出器の入射時点では、Δtは5ns前後である。フォトマルチプライヤーやSEM管を用いたときの時間の広がりは前述の通り5ns前後なので、高分解能TOFMSの質量分解能Rには重大な影響を及ぼす。例えば、最終イオン検出器に入射した時のΔt=5nsが、最終イオン検出器からの出力時にはΔt≒5+5=10nsに広がり、TOFMSの質量分解能Rが1/2に低下する。このため、特に高分解能TOFMS用最終イオン検出器には、1ns以下の応答の要求を持つMCPが多用される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような構成において、MCPを使用した場合の問題点は、その入出力リニアリティーの範囲が原理上制限されることである。MCPのリニアリティーはMCPが固有に持つストリップ電流値で決まり、SEM管の5桁に比べて、MCPの入出力リニアリティーは3桁と狭い。このストリップ電流はMCPでの発生2次電子の電荷を中和する機能も果たし、MCPの飽和はMCPの平均出力電流がストリップ電流の5〜6%で始まることが知られている。
【0013】
当然ながら、MCPゲインを高く設定している場合、MCPの2次電子飽和は生じやすい。この飽和がいったん生じると、このストリップ電流による中和に要する時間はマイクロ秒(μs)オーダーとなり、2次電子の発生量が増大すればするほど長くかかる。この中和に要する期間においては、MCP自身は不感時間(Dead time)状態になり、この期間に入射したイオンのピーク(強度)の出力はゼロとなって、マススペクトル上からこれらのイオンのスペクトルの欠落が生じるという問題を生じる。更に、度重なるMCPの飽和はMCP自身の劣化を早め、寿命を短くする。
【0014】
ここで、一例として、1μsの不感時間が生じると、どれくらいの質量範囲のイオンのスペクトルが欠落するかを考えてみる。質量Mダルトンの1価のイオンがVボルトで加速され、自由空間の長さLcmを飛行する場合の飛行時間(tTOF)は、近似的に下記の(2)式で与えられる。
【0015】
tTOF ≒ 0.72・L√(M/V)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで、Lは飛行距離(cm)、Mはイオンの質量(Dalton)、Vはイオンの加速電圧(ボルト)である。
【0016】
例えば、1価のイオンをV=3000ボルトで加速し、飛行距離をL=100cmとすると、M=99と100ダルトンのイオンの飛行時間はtTOF≒13.08μsと13.14μsで、1ダルトンの飛行時間差は約60nsである。この質領域では、1μsが約16.7ダルトンの質量範囲に相当する。また、同様に、M=299と300ダルトンのイオンの飛行時間はtTOF≒22.73μsと22.77μsで、1ダルトンの時間差は約40nsである。この質領域では、1μsが約25ダルトンの質量範囲に相当する。従って、MCPの飽和によるマイクロ秒オーダーの不感時間は、かなり広い質量範囲のピークの欠落をマススペクトル上に生じるという問題があった。
【0017】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、大強度のイオンパルスがMCPに入射して、MCPが飽和し、その不感時間に伴うマススペクトルの欠落とMCP自身の短寿命化とを引き起こしかねない測定条件に遭遇しても、それらの不都合を回避することのできるTOFMSを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかるTOFMSは、イオンパルスが出射されるイオン源部と、該イオン源部を出射したイオンパルスが飛行する飛行時間型分光部と、所定距離を飛行し飛行速度に応じて複数のイオンパルスに展開されてイオンが入射する最終イオン検出器と、各展開イオンパルスについてイオン源部から出射されてから最終イオン検出器に到達するまでの時間を計測する飛行時間計測部と、前記飛行時間型分光部に設けられ、展開されたイオンパルスが最終イオン検出器に到達する前に、該イオンパルスの電流値を検出する中間イオン検出器と、該中間イオン検出器へ到達した展開イオンパルスのイオン源出射後の経過時間を測定する測定手段と、測定された展開イオンパルス出射後の経過時間に基づいて、各展開イオンパルスが最終イオン検出器に到達する時間を求める予測手段と、中間イオン検出器により検出された各展開イオンパルスの電流値と各展開イオンパルスの最終イオン検出器への予測到達時間とに基づいて、最終イオン検出器のゲインを各展開イオンパルスの到達に合わせて制御し、各展開イオンパルスによる最終イオン検出器の飽和を回避する飽和回避手段とを備えたことを特徴としている。
【0019】
また、前記中間イオン検出器は、飛行時間型分光部におけるイオンの空間収束点に設けられていることを特徴としている。
【0020】
また、前記飽和回避手段は、イオンパルスの電流値に応じて、最終イオン検出器のゲインを複数段階で制御することを特徴としている。
【0021】
また、最終イオン検出器で検出された各イオンパルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報と対応づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴としている。
【0022】
また、前記最終イオン検出器の前段で、かつ、前記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えたことを特徴としている。
【0023】
また、前記イオン源部は、連続的にイオンを出射する外部イオン源と、該外部イオン源から出射されたイオンビームが導入されるイオン溜と、パルス電圧の印加によって、該イオン溜からイオンビームの導入方向と交差する方向にイオンビームをパルス的に加速するイオン加速部とから成る垂直加速型のイオン源部であることを特徴としている。
【0024】
また、前記外部イオン源は、電子衝撃イオン源(EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原子衝撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン源(ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、または誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれかであることを特徴としている。
【0025】
また、前記最終イオン検出器は、マイクロ・チャンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・スフェア・プレート(MSP)であることを特徴としている。
【0026】
また、イオンパルスが出射されるイオン源部と、該イオン源部を出射したイオンパルスが飛行する飛行時間型分光部と、所定距離を飛行したイオンが入射する最終イオン検出器とを用いる飛行時間型質量分析方法であって、前記飛行時間型分光部において、イオン源部から出射されたイオンパルスが最終イオン検出器に到達する前に、該イオンパルスの電流値とイオンパルス出射後の経過時間とを併せて測定し、測定されたイオンパルス出射後の経過時間と測定されたイオンパルスの電流値とに基づいて、最終イオン検出器のゲインをイオンパルスの到達に合わせて制御することにより、イオンパルスによる最終イオン検出器の飽和を回避させるようにしたことを特徴としている。
【0027】
また、イオンパルスの電流値とイオンパルス出射後の経過時間とを併せて測定するために、飛行時間型分光部におけるイオンの空間収束点に中間イオン検出器を設けて用いることを特徴としている。
【0028】
また、最終イオン検出器の飽和を回避させるために、イオンパルスの電流値に応じて、最終イオン検出器のゲインを複数段階で制御することを特徴としている。
【0029】
また、最終イオン検出器で検出された各イオンパルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報と対応づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴としている。
【0030】
また、前記最終イオン検出器の前段で、かつ、前記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えたことを特徴としている。
【0031】
また、前記イオン源部は、連続的にイオンを出射する外部イオン源と、該外部イオン源から出射されたイオンビームが導入されるイオン溜と、パルス電圧の印加によって、該イオン溜からイオンビームの導入方向と交差する方向にイオンビームをパルス的に加速するイオン加速部とから成る垂直加速型のイオン源部であることを特徴としている。
【0032】
また、前記外部イオン源は、電子衝撃イオン源(EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原子衝撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン源(ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、または誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれかであることを特徴としている。
【0033】
また、前記最終イオン検出器は、マイクロ・チャンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・スフェア・プレート(MSP)であることを特徴としている。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明にかかるリフレクター型OA−TOFMSの一実施例を表わしたものである。図中1は、連続的に正イオンを生成する電子衝撃(EI)、化学イオン化(CI)、高速原子衝撃(FAB)、エレクトロスプレイ(ESI)、誘導結合プラズマ(ICP)などの外部イオン源である。
【0035】
外部イオン源1から正の加速電位V1で出射されたイオンビームは、正の電位VFが印加された収束レンズ2でZ方向に収束されて、y0の有効長を持ったイオン溜3に導入される。イオン溜3には、Push-outプレート4が備え付けられている。また、イオン溜3のPush-outプレート4に対向する位置には、接地電位のイオン引き出しグリッド5及び負の電位の出口グリッド6が設けられていて、イオンビームの導入方向(Y方向)に対して交差する方向(Z方向)に、イオンを押し出すための電界が形成されるようになっている。
【0036】
Push-outプレート4に正電圧2VSから成るPush-outパルス7を印加すると、Push-outプレート4、イオン引き出しグリッド5、及び出口グリッド6の間、すなわち2段加速部と呼ばれる領域8に瞬時に電界勾配が形成される。その結果、イオン溜3のイオンは一斉にZ方向に加速されてイオンパルスとして排出され、対向する位置に設けられたミラー部9で反射された後、MCP(マイクロチャンネルプレート)などで構成された最終イオン検出器10に向けて飛行する。
【0037】
尚、厳密に言えば、イオンはイオン溜3に導入されたときのY方向の速度を持っているため、Push-outプレート4、イオン引き出しグリッド5、及び、出口グリッド6の間、すなわち2段加速部8に発生した電界によってZ方向の力を受けても、飛行方向はZ方向からわずかにY方向にずれたものとなる。
【0038】
上記加速を受ける際、イオンにはPush-outプレート4と出口グリッド6の間の電位差に対応する一定のエネルギーが等しく与えられるため、加速が終了した時には、質量の小さなイオンほど速度が大きく、質量の大きなイオンほど速度が小さい。このような速度差が生まれる結果、分光部電源11によって負の電位V2に設定されたリフレクターTOF分光部12をイオンが飛行する間に、イオンの質量分散が行なわれて、質量に応じた複数のイオンパルスに展開され、軽いイオンから順番に最終イオン検出器10に到達し、マススペクトルが測定される。
【0039】
本発明の特徴は、イオン溜3からミラー部9に向かうイオンパルスの飛跡の途中に存在するイオンパルスの空間収束点13において、個々のイオンパルスが時間収束するのを利用して、ここに中間イオン検出器14を設けたこと、及び、該中間イオン検出器14で測定された個々のイオンパルスの電流値に基づいて、最終イオン検出器10のゲインを最適に制御する最終イオン検出器ゲイン制御回路30を設けたこと、の2点である。
【0040】
この中間イオン検出器14の中心部は、矩形状にカットされていて、空間収束点13に到達した個々のイオンパルスの大部分のイオンは、この中間イオン検出器14を通過して、リフレクターTOF分光部12を無事飛行することができる。すなわち、空間収束点13に到達した個々のイオンパルスのごく一部のイオンがこの中間イオン検出器14に入射して検出される。。
【0041】
イオンの空間収束点13は、リフレクターTOF分光部12の対物点に一致させてある。同一質量で運動エネルギーの異なるイオンは、空間収束点13を通過後、再び時間分散するが、ミラー部9で反射され、最終イオン検出器10上で再び時間収束する。この時間収束したイオンパルスをマススペクトルとして測定する。最終イオン検出器10には、通常、2枚のMCPを重ねたタンデム型MCPが使用される。
【0042】
また、イオン溜3の突き当たり部に設けられたイオン検出器15は、外部イオン源1でイオン化されてイオン溜3に導入されたイオンの総量をモニターするためのイオン検出器である。
【0043】
ここで、2段加速部8における第1加速部(Push-outプレート4とイオン引き出しグリッド5の間)の距離、第2加速部(イオン引き出しグリッド5と出口グリッド6の間)の距離、及び2段加速部の終端である出口グリッド6から最終イオン検出器10までの距離を、それぞれ2S0、D、LXと置くと、2S0の中心S0から最終イオン検出器10までのイオンの飛行時間tTOFは、以下のように計算される。
【0044】
すなわち、外部イオン源1からイオン溜3内をY方向に飛行しているイオンのZ方向の運動エネルギーを初期エネルギーUi=mvi 2/2とし、このイオンにイオン押し出しパルス電圧2VSを与えたときの2段加速部の第1加速部の電位、及び第2加速部の電位をそれぞれEs、及びEdとする。
【0045】
すると、2段加速部通過後のイオンの全運動エネルギーUは、(3)式で与えられる。
【0046】
U = Ui+e・S0・Es+e・D・Ed・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
2段加速部における第1加速部の電場Es、及び第2加速部の電場Edを出たときのイオンの速度をそれぞれvs、及びvdとすると、vsとvdは(4)式、及び(5)式のように表わされる。
【0047】
vs = √(2/m)・√(Ui+e・S0・Es)・・・・・・・・・・・・・(4)
vd = √(2/m)・√U・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
また、加速場Es及びEdを飛行するイオンの飛行時間ts及びtdは、(6)式及び(7)式で与えられる。
【0048】
次に、イオンが2段加速部8で加速された後の行程は、以下のように解析される。まず、出口グリッド6と空間収束点13との間の自由空間距離をL0、空間収束点13からリフレクターTOF分光部12を介して最終イオン検出器10に至るまでの飛行時間、及びそのときの計算上の飛行距離をそれぞれtLx、及びLxとすると、飛行時間tLxは(8)式で与えられる。
【0049】
従って、イオンの全飛行時間tTOFは、イオンが2段加速部8を飛行している時の飛行時間を表わした(6)式及び(7)式に、(8)式を加算した(9)式で表わされる。
【0050】
tTOF = ts+td+tLx・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
(6)、(7)、及び(8)式は、いずれも飛行イオンの質量mの平方根√mに比例するので、(9)式は、装置定数Kxでまとめられて、(10)式で与えられる。
【0051】
tTOF = Kx・√(m/2U)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(10)
ここで、空間収束点13に中間イオン検出器14を置いた場合、Push-outプレート4とイオン引き出しグリッド5との中間点S0から空間収束点13までのイオンの飛行時間tF1は、(8)式の自由空間距離Lxを出口グリッド6から空間収束点13までの距離L0で置換して整理した(11)式により算出できる。
【0052】
ここで、tL0は出口グリッド6から空間収束点13までのイオンの飛行時間、また、K0は装置定数である。
【0053】
(10)式と(11)式から共通項の√(m/2U)を消去すれば、(12)式が得られる。
【0054】
tTOF = tF1・(Kx/K0)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
以上の結果に基づき、先ずこの空間収束点13に置かれた中間イオン検出器14で、飛行してきた個々のイオンパルスの強度をモニターする。次に、図3に示すようなパルス発生回路と、個々のイオンパルスの到達に伴うパルス発生の時間tF1とに基づいて、中間イオン検出器14に到達したイオンの質量mを(11)式で算出する。次に(10)式を用いて個々のイオンパルスの最終イオン検出器10への到達時間tTOFを計算・予測する。最後に、個々のイオンパルスが最終イオン検出器10のMCPに到達する前に、MCPが飽和しないように、MCPゲインを設定変更する。
【0055】
(10)式と(11)式では、イオンの質量m以外は既知の装置定数であり、√mさえ迅速に算出できれば、個々のイオンパルスが最終イオン検出器10に到達する前に、MCPゲインを高速に設定し直すことは可能である。√mの値の計算は、有効数字5桁までで打ち切り、4桁の精度で√mの値を算出すれば、今回の目的には充分な精度である。
【0056】
また、さらに簡便には、(12)式に基づく方法が考えられる。それは、先ず空間収束点13に置かれた中間イオン検出器14で、飛行してきた個々のイオンパルスの強度をモニターする。次に、図3に示すようなパルス発生回路と、個々のイオンパルスの到達に伴うパルス発生の時間tF1と、(12)式とに基づいて、個々のイオンパルスの最終イオン検出器10への到達時間tTOFを計算・予測する。最後に、個々のイオンパルスが最終イオン検出器10のMCPに到達する前に、MCPが飽和しないように、MCPゲインを設定変更する。(12)式では、時間tF1以外は既知の装置定数であり、tF1さえ迅速に測定できれば、イオンパルスが最終イオン検出器10に到達する前に、MCPゲインを高速に設定し直すことは可能である。
【0057】
図3に、MCPゲイン制御回路のブロックダイヤグラムを示す。2段加速部8のPush-outプレート4にPush-outパルス7(2VS)を印加すると、イオン溜内のイオンは、Push-outプレート4とイオン引き出しグリッド5との中間点S0を始点にして出発し、2段加速部8を飛行した後、空間収束点13に時間収束したイオンパルスとなって到達する。そのイオンパルスの一部のイオンを空間収束点13に設けた中間イオン検出器14で検出し、パルス回路16のアンプ17で増幅する。このアンプ17の出力が、ディスクリミネーター18に設定されているスレッショルド・レベル以上の値になると、ディスクリミネーター18は、反転回路19を介して、MCP電源制御回路20に対してパルスを発生する。
【0058】
最終イオン検出器ゲイン制御回路30は、Push-outパルス7の発生から、反転回路19でのパルス発生までの時間tF1を計測する。そして、該最終イオン検出器ゲイン制御回路30は、その計測結果に基づいて、イオンパルス群P1、P2、及び、P3となって飛来したイオンの質量の平方根√mの値をMCP電源制御回路20で計算し、√mの値を(10)式と(11)式に代入するか、または、実測された時間tF1の値を直接(12)式に代入するかして、個々のイオンパルスが最終イオン検出器10に到達する予測到達時間tTOFを求める。
【0059】
この予測時間に合わせて、MCP電源制御回路20がMCP電圧用電源21に対してパルス列22を発生させ、個々のイオンパルスが最終イオン検出器10(すなわち、MCP)に到達する直前に、MCP電圧用電源21の出力電圧を低下させてMCPゲインを下げる。そして、個々のイオンパルスの到達時間tTOFが経過してから所定時間後に、MCP電圧用電源21の出力電圧を上げて、MCPゲインを元に戻すようにする。MCPゲイン制御回路がこのように動作することにより、仮に強力なイオンパルスがイオン源部から飛来しても、最終イオン検出器10の飽和を未然に防止することができる。MCP電圧用電源21の出力電圧VMCPの時間変化は23のようになる。
【0060】
図4に、各部の動作タイミングを示すタイムチャートを示す。図中、▲1▼はPush-outパルス(2VS)の印加時間、▲2▼はイオンパルスの発生時間、▲3▼は空間収束点13に設けられた中間イオン検出器14でイオンパルス群P1、P2、及びP3が検出されるまでの個々のイオンパルスの飛行時間tF1、▲4▼は中間イオン検出器14で検出されたイオンパルス群P1、P2、及びP3の信号に基づいて、反転回路19からMCP電源制御回路20に対して出力されるパルス列のタイミング、▲5▼はイオンパルス群P1、P2、及びP3が最終イオン検出器10に到達するまでの時間tTOF、▲6▼はMCP電源制御回路20からMCP電圧用電源21に対して出力される、MCP電圧用電源21を制御するためのパルス列22のタイミング、▲7▼はMCP電圧用電源21からの出力電圧VMCPに基づいて設定される、MCPゲインの時間変化を示している。
【0061】
そして、上記パルス群、P1、P2、及びP3のうち、P1とP2は最終イオン検出器10のMCPを飽和させるか否かの分岐点であるスレッショルド・レベルを超えた強力なイオンパルス、一方、P3はスレッショルド・レベルを超えない微弱なイオンパルスであると仮定する。すると、中間イオン検出器14から出力されるパルス信号のうち、P1とP2については、MCPを飽和させる恐れがあるので、反転回路19からMCP電源制御回路20に対して、MCPの飽和防止のためのパルス信号が出力されるが、P3については、MCPを飽和させる恐れがないので、反転回路19からのパルス信号の出力は行なわれない。
【0062】
反転回路19からMCP電源制御回路20を介してMCP電圧用電源21に出力されるパルス列22(図4の▲6▼と同じ)の各パルスのDwell time(tD)は、個々のイオンパルスの飛行時間tTOFを中心に、前後にtD/2ずつ振り分けられる。tDの時間幅は、仮に(1)式におけるΔtの5倍程度を取っても50ns以下である。また、MCP電圧用電源21の高速切り換え用スイッチの応答時間を考えて、Δtの10倍の100nsを取ったとしても、このイオンパルスの質量mが数百ダルトン以下ならば、数ダルトンの範囲のマススペクトルが欠落する程度、ないしは数ダルトンの範囲のマススペクトルが低いゲインで測定される程度の影響に収まる。要は、tDの時間幅は、TOFMS装置に応じた最適値を設定すれば良い。
【0063】
また、予め初期設定されたMCPゲインをGA、強力なイオンパルスの入射を予測してMCP電圧VMCPを下げたときのMCPゲインをGB(=k・GA、k≪1)とすると、GBは、イオンパルス入射後、所定の時間tD/2後に自動的にGAに戻される。この間のMCPゲインの低下率k(=GB/GA)は、1/10〜1/1000の範囲の所定の値に設定しておくと良い。
【0064】
MCP検出器10から得られる各イオンパルスの検出信号は、検出時のゲインがGAであるかGBであるかを区別する信号と共に記憶される。そして、各イオンパルスの検出信号強度を認識する際、検出時のゲインが考慮される。
【0065】
また、図3のパルス回路16を並列に複数セット設け、それぞれのディスクリミネーター18の設定値を異なる値に設定しておけば、ゲインの低下率kを複数の段階に分けてステップダウンさせることも可能である。その場合、ステップダウンさせた最終イオン検出器10のゲインの低下率kを予め設けられた記憶手段に記憶させておき、記憶されたkの値に基づいて、実測されたマススペクトルの信号強度を補正させるように構成すれば、最終イオン検出器10のゲインが変化したことに由来するマススペクトルの信号強度変化を自動的に補正することができ、定量性の高い測定結果を得ることができる。また、逆に、イオン源部から2段加速部8を経由して飛来するイオンパルスの強度が非常に弱い場合には、ゲインの低下率kの値を1未満の値に設定することにより、最終イオン検出器10のゲインを逆にステップアップさせ、最終イオン検出器10が飽和しない範囲でイオンの検出感度を上げるように制御することも可能である。
【0066】
また、中間イオン検出器14と最終イオン検出器10に入射するイオン量の比率は、必ずしも固定的なものではなく、TOFMS装置に応じて、1:10〜1:100の間の適当な比率に設定すれば良い。
【0067】
また、イオンパルスが最終イオン検出器であるMCPに入射する時間の前後に、高速かつタイミング良くMCPゲインを低下及び復帰させるためには、高速高圧の電気回路を要するが、例えば、水銀リレーやQスイッチの使用によらず、高耐圧用高速MOSFETスイッチ等の半導体素子を用いて5nsから10nsの速度で切り換えさせることにより、MCP電圧を500〜1kVの幅で高速に変化させることも可能である。
【0068】
尚、本実施例では、リフレクター型のOA−TOFMSを例にとって説明したが、本発明は、リフレクター型のOA−TOFMSに限定されるものではない。2段加速、または多段加速による空間収束点をTOFMS分光部の対物点に一致させたタイプに限定されるが、パルスイオン化方式を用いたTOFMSに対しても適用可能である。また、TOF分光部は、静電セクター電場型の装置に対しても適用可能である。
【0069】
また、最終イオン検出器としては、MCP以外に、MCPよりも安価で、しかもMCPのような口径の細い硝子キャピラリーを束ねて用いることなく、多数の球状粒子の隙間で電子を乱反射させることによって2次電子を増幅させることができるマイクロ・スフェア・プレート(MSP)等を用いることもできる。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明のOA−TOFMSによれば、TOFMS分光部の空間収束点に設けられた中間イオン検出器を用いて、外部イオン源から飛来するイオンパルスの電流値とイオンパルス飛行開始直後からの経過時間とを測定し、測定された情報を最終イオン検出器にフィードさせることにより、イオンパルスが最終イオン検出器に到達する前に最終イオン検出器のゲインを制御し、最終イオン検出器の飽和を回避させるように構成したので、最終イオン検出器の飽和に伴うDead timeに由来するマススペクトルの部分的な欠落を防止することができると共に、最終イオン検出器自身の短寿命化を避けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のリフレクター型垂直加速型飛行時間型質量分析装置を示す図である。
【図2】本発明にかかるリフレクター型垂直加速型飛行時間型質量分析装置の一実施例を示す図である。
【図3】本発明にかかるリフレクター型垂直加速型飛行時間型質量分析装置におけるMCPゲイン制御回路のブロックダイヤグラムの一例を示す図である。
【図4】本発明にかかるリフレクター型垂直加速型飛行時間型質量分析装置におけるMCPゲイン制御回路各部のタイミングチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・外部イオン源、2・・・収束レンズ、3・・・イオン溜、4・・・Push-outプレート、5・・・イオン引き出しグリッド、6・・・出口グリッド、7・・・Push-outパルス、8・・・2段加速部、9・・・ミラー部、10・・・最終イオン検出器、11・・・分光部電源、12・・・リフレクターTOF分光部、13・・・空間収束点、14・・・中間イオン検出器、15・・・イオン検出器、16・・・パルス回路、17・・・アンプ、18・・・ディスクリミネーター、19・・・反転回路、20・・・MCP電源制御回路、21・・・MCP電圧用電源、22・・・パルス列、23・・・MCP電圧、30・・・最終イオン検出器ゲイン制御回路。
Claims (16)
- イオンパルスが出射されるイオン源部と、
該イオン源部を出射したイオンパルスが飛行する飛行時間型分光部と、
所定距離を飛行し飛行速度に応じて複数のイオンパルスに展開されてイオンが入射する最終イオン検出器と、
各展開イオンパルスについてイオン源部から出射されてから最終イオン検出器に到達するまでの時間を計測する飛行時間計測部と、
前記飛行時間型分光部に設けられ、展開されたイオンパルスが最終イオン検出器に到達する前に、該イオンパルスの電流値を検出する中間イオン検出器と、
該中間イオン検出器へ到達した展開イオンパルスのイオン源出射後の経過時間を測定する測定手段と、
測定された展開イオンパルス出射後の経過時間に基づいて、各展開イオンパルスが最終イオン検出器に到達する時間を求める予測手段と、
中間イオン検出器により検出された各展開イオンパルスの電流値と各展開イオンパルスの最終イオン検出器への予測到達時間とに基づいて、最終イオン検出器のゲインを各展開イオンパルスの到達に合わせて制御し、各展開イオンパルスによる最終イオン検出器の飽和を回避する飽和回避手段と
を備えたことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。 - 前記中間イオン検出器は、飛行時間型分光部におけるイオンの空間収束点に設けられていることを特徴とする請求項1記載の飛行時間型質量分析装置。
- 前記飽和回避手段は、イオンパルスの電流値に応じて、最終イオン検出器のゲインを複数段階で制御することを特徴とする請求項1、または2記載の飛行時間型質量分析装置。
- 最終イオン検出器で検出された各イオンパルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報と対応づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の飛行時間型質量分析装置。
- 前記最終イオン検出器の前段で、かつ、前記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えたことを特徴とする請求項1、2、3、または4記載の飛行時間型質量分析装置。
- 前記イオン源部は、
連続的にイオンを出射する外部イオン源と、
該外部イオン源から出射されたイオンビームが導入されるイオン溜と、
パルス電圧の印加によって、該イオン溜からイオンビームの導入方向と交差する方向にイオンビームをパルス的に加速するイオン加速部と
から成る垂直加速型のイオン源部であることを特徴とする請求項1、2、3、4、または5記載の飛行時間型質量分析装置。 - 前記外部イオン源は、電子衝撃イオン源(EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原子衝撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン源(ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、または誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれかであることを特徴とする請求項6記載の飛行時間型質量分析装置。
- 前記最終イオン検出器は、マイクロ・チャンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・スフェア・プレート(MSP)であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、または7記載の飛行時間型質量分析装置。
- イオンパルスが出射されるイオン源部と、
該イオン源部を出射したイオンパルスが飛行する飛行時間型分光部と、
所定距離を飛行したイオンが入射する最終イオン検出器と
を用いる飛行時間型質量分析方法であって、
前記飛行時間型分光部において、イオン源部から出射されたイオンパルスが最終イオン検出器に到達する前に、該イオンパルスの電流値とイオンパルス出射後の経過時間とを併せて測定し、
測定されたイオンパルス出射後の経過時間と測定されたイオンパルスの電流値とに基づいて、最終イオン検出器のゲインをイオンパルスの到達に合わせて制御することにより、イオンパルスによる最終イオン検出器の飽和を回避させるようにしたことを特徴とする飛行時間型質量分析方法。 - イオンパルスの電流値とイオンパルス出射後の経過時間とを併せて測定するために、飛行時間型分光部におけるイオンの空間収束点に中間イオン検出器を設けて用いることを特徴とする請求項9記載の飛行時間型質量分析方法。
- 最終イオン検出器の飽和を回避させるために、イオンパルスの電流値に応じて、最終イオン検出器のゲインを複数段階で制御することを特徴とする請求項9、または10記載の飛行時間型質量分析方法。
- 最終イオン検出器で検出された各イオンパルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報と対応づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項11記載の飛行時間型質量分析方法。
- 前記最終イオン検出器の前段で、かつ、前記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えたことを特徴とする請求項9、10、11、または12記載の飛行時間型質量分析方法。
- 前記イオン源部は、
連続的にイオンを出射する外部イオン源と、
該外部イオン源から出射されたイオンビームが導入されるイオン溜と、
パルス電圧の印加によって、該イオン溜からイオンビームの導入方向と交差する方向にイオンビームをパルス的に加速するイオン加速部と
から成る垂直加速型のイオン源部であることを特徴とする請求項9、10、11、12、または13記載の飛行時間型質量分析方法。 - 前記外部イオン源は、電子衝撃イオン源(EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原子衝撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン源(ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、または誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれかであることを特徴とする請求項14記載の飛行時間型質量分析方法。
- 前記最終イオン検出器は、マイクロ・チャンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・スフェア・プレート(MSP)であることを特徴とする請求項9、10、11、12、13、14、または15記載の飛行時間型質量分析方法。
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