JP3663535B2 - 粉末化粧料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、デンプンのアルケニルコハク酸エステル及び/又はその金属塩と球状粉体とを含有することにより、滑らかで柔らかい使用感を有し、肌への付着性・密着性が良好であり、且つ、均一な化粧膜を形成することができる、化粧効果の持続性に優れた粉末化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉末化粧料は、メーキャップの仕上げ用として、肌の質感を整えるためや、ファンデーション等のメーキャップ化粧料の化粧効果を持続させるため等に用いられる化粧料である。このため粉末化粧料においては、滑らかで均一な伸び広がりの使用感を有し、均一で、キメ細かく、透明感のある化粧膜が得られること等の品質特性が求められている。そこで、従来から、滑らかで柔らかい使用感を付与するために、ナイロンや無水ケイ酸等の球状粉体が配合されていた。また、肌への付着性・密着性を向上させるために、タルクやマイカ等の不定形粉体や板状粉体を配合したり、付着性の高い油剤を添加したり、この油剤で粉体を表面処理して配合する等の方法が実施されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ナイロンや無水ケイ酸等の球状粉体を配合すると、滑らかな使用感は得られるが、柔らかさは満足できる水準になく、肌への付着性・密着性や化粧効果の持続性が劣る場合があった。また、タルクやマイカ等の不定形粉体や板状粉体を配合すると、肌への付着性・密着性はある程度向上するが、滑らかで柔らかい使用感が低下する傾向があった。更に、付着性の高い油剤を配合した場合も、肌への付着性・密着性はある程度向上するが、より高い肌との密着性を求めて、油剤の配合量を高めると、化粧料を繰り返し使用したとき等に、粉体の軟凝集によるダマを生じ、小道具への付着が悪くなったり、化粧膜の均一性が失われる場合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる事情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、デンプンのアルケニルコハク酸エステル及び/又はその金属塩と球状粉体とを含有する粉末化粧料が、滑らかで柔らかい使用感を有し、肌への付着性・密着性が良好で、均一な化粧膜を形成でき、且つ化粧効果の持続性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、次の成分(a)及び(b);
(a)デンプンのアルケニルコハク酸エステル及び/又はその金属塩0.5〜3重量%
(b)球状ナイロンパウダー2〜15重量%
を含有することを特徴とする粉末化粧料を提供するものである。
【0006】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について説明する。本発明に使用される成分(a)は、デンプンをアルケニルコハク酸でエステル化して変性したもの、又はそのエステル化物の金属塩であり、米国特許第2613206号公報にて公知の粉体である。
【0007】
成分(a)に用いられるデンプンとしては、いずれかの植物源、例えば、トウモロコシ、馬鈴薯、小麦、米、タピオカ等、及びこれらデンプンを加水分解したものが挙げられる。デンプンの加水分解物は、酸や酵素を用いて、常法により加水分解したものであり、その加水分解率、平均分子量、組成等は、特に限定されない。
【0008】
成分(a)に用いられる、デンプンをエステル化するアルケニルコハク酸は、炭素数が5〜22のアルケニルコハク酸が好ましく、例えば、オクテニルコハク酸、デセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等が挙げられる。
【0009】
成分(a)のデンプンのアルケニルコハク酸金属塩に用いられる金属としては、例えば、銅、水銀、アルミニウム、ジルコニウム、鉄(二価及び三価)、クロム、すず、カルシウム、バリウム及びストロンチウム等が挙げられる。
【0010】
成分(a)の粒子形状は、特に限定されないが、例えば、不定形、楕円形、球状等が挙げられる。また、その粒径は、概ね1〜50μが好ましい。
【0011】
成分(a)の具体例としては、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、デセニルコハク酸小麦デンプンエステルアルミニウム、オクタデセニルコハク酸馬鈴薯デンプンエステル銅、テトラデセニルコハク酸タピオカエステルカルシウム、エイコセニルコハク酸米デンプンエステル等が挙げられる。この中でも、DRY FLO PC (ナショナルスターチ社製)として、市販されているオクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウムが、滑らかで柔らかい使用感や肌への付着性・密着性に優れるため、特に好ましい。
【0012】
本発明の粉末化粧料における、成分(a)の含有量は、0.5〜3重量%(以下、単に「%」と略す。)である。この範囲で用いると、滑らかで柔らかい使用感や肌への付着性・密着性が特に優れるものである。
【0013】
本発明に使用される成分(b)は、球状ナイロンパウダーであり、肌への密着性・付着性を損なうことなく、より効果的に滑らかで柔らかな使用感を発現できるものである。また、成分(b)の粒径は、1〜100μが好ましく、1〜50μがより好ましい。成分(b)は、市販品として、ナイロン12SP−500(東レ社製)等が挙げられる。
【0014】
本発明の粉末化粧料における、成分(b)の含有量は、2〜15%である。この範囲で用いると、肌への密着性・付着性を損なうことなく、より効果的に滑らかで柔らかな使用感を発現できるものである。
【0015】
本発明の粉末化粧料には、上記必須成分の他に、通常化粧料に用いられる成分として、例えば、成分(a)及び(b)以外の粉体、油性成分、紫外線吸収剤、美容成分、酸化防止剤、防腐剤、水性成分、界面活性剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲にて配合することができる。
【0016】
粉体としては、球状以外の形状のものであり、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造、等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。また、これら粉体は、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。本発明の粉末化粧料における、全粉体の含有量は80%以上であると、本発明の効果が顕著に現れる。
【0017】
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、パラアミノ安息香酸エチル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0018】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられ、PABA系としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等が挙げられ、ケイ皮酸系としては、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等が挙げられ、サリチル酸系としては、サリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等が挙げられ、その他、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0019】
美容成分としては、例えば、ビタミン類、消炎剤、生薬、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸アルキル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0020】
本発明の粉末化粧料は、プレス成形されていない粉末状の化粧料であり、皿状、筒状、コンパクト状等の容器に充填され、小道具としてマット、パフ等を用いて、使用するものであるが、粉末化粧料表面にメッシュや、いくつか孔の空いた中栓を介在して使用しても良い。また、小道具のマットやパフは、容器の形状とのマッチングにより毛足の長いものや、柄付きのものが適宜選択されて使用される。
【0021】
本発明の粉末化粧料は、ファンデーション、白粉、頬紅、口紅、アイシャドウ、デオドラントパウダー、ボディーパウダー、パフュームパウダー、ベビーパウダー等が挙げられるが、中でも、ファンデーション、白粉、頬紅、口紅、アイシャドウ等のメーキャップ化粧料が好ましい。
【0022】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0023】
実施例1〜4及び比較例1〜8:粉白粉
表1に示す組成の白粉を調製し、「滑らかで柔らかな使用感」、「肌への付着性・密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」について、以下に示す評価方法により評価判定し、その結果を併せて表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
(調製方法)
A:成分(14)を成分(1)の一部に含浸させ、篩で処理する。
B:A、成分(1)の残分及び成分(2)〜(13)を均一に混合し、粉砕する。
C:Bを皿容器に充填して、粉白粉を得た。
【0026】
(評価及び判定方法)
実施例及び比較例の粉白粉を試料として、30名の化粧品官能検査パネルに使用してもらい、「滑らかで柔らかな使用感」、「肌への付着性・密着性」、「化粧膜の均一性」、「化粧効果の持続性」の各項目を絶対評価基準(A)を用いて、7段階に評価し、各試料ごとの評点の平均値を4段階判定基準(B)を用いて判定した。
絶対評価基準(A)
(評点):(評価)
6 : 非常によい
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
4段階判定基準(B)
(評価の平均点) :(判定)
5点以上 : ◎
3点以上5点未満 : ○
1点以上3点未満 : △
1点未満 : ×
【0027】
表1の結果から明らかなように、本発明品である実施例1〜4の粉白粉は、比較例と比べて、滑らかで柔らかい使用感を有し、肌への付着性・密着性が良好であり、且つ、均一な化粧膜を形成でき、化粧効果の持続性にも優れたものであった。
【0028】
【発明の効果】
本発明の粉末化粧料は、滑らかで柔らかい使用感を有し、肌への付着性・密着性が良好であり、且つ、均一な化粧膜を形成することができる、化粧効果の持続性に優れたものであった。
Claims (1)
- 次の成分(a)及び(b);
(a)デンプンのアルケニルコハク酸エステル及び/又はその金属塩0.5〜3重量%
(b)球状ナイロンパウダー2〜15重量%
を含有することを特徴とする粉末化粧料。
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