JP3662347B2 - 医療用粉体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性を有する医療用粉体に関し、詳しくはドラッグデリバリー用ドラッグ担体、イムノラテックス、イムノビーズ、あるいはハイパーサーミア用媒体等に使用される磁性を有する医療用粉体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、乳化重合法やソープフリー乳化重合法等の重合方法によって得られる高分子ミクロスフェアに抗原や抗体を固定したものを用い、検知対象物質としての抗原や抗体との凝集性を観察して診断に使用する医療用粉体がイムノラテックスとして知られている。イムノラテックスに固定する抗体を標識抗体として診断のための検出力を上げることも行われている。また、イムノラテックスに抗体と共に薬物(ドラッグ)を担持させて、担持させた抗体に相応する抗原を有する癌細胞などに担持させた薬物を運搬するためにイムノラテックスを使用することも行われている。
【0003】
前記薬物運搬用の薬物の担体としては、ラテックスよりはビーズの方が薬物の担持能力が大きいのでよく使用されている。ビーズとは前記ラテックスより粒子径の大きな高分子ミクロスフェアのことである。ラテックスの粒子径は100Å程度からサブミクロン(1μm以下)程度の範囲であるのに対して、ビーズはサブミクロンから数mmの範囲のものをいう。また、高分子化合物からなるビーズの表面に抗原や抗体を固定したものは一般にイムノビーズとよばれている。
【0004】
また、高分子化合物からなるビーズは、その中に薬物を封入させ、かつビーズの表面に抗体を固定化し、相応する抗原が存在する患部に薬物を運搬するのに使用される。すなわち、薬物運搬(ドラッグデリバリー)用ビーズの1種である。
このような薬物運搬用ビーズのビーズの素材としては、生体分解性のある天然高分子化合物、すなわちゼラチン、デンプン、フィブリノーゲン等が好ましく使用されてきたが、粒子径が調節し難い、品質の一定したものが得られ難い、貯蔵し難い等の欠点もあり、合成あるいは半合成高分子化合物の使用がすすめられている。
【0005】
前記ラテックスやビーズに抗原や抗体を固定することは、ラテックスやビーズの構成高分子化合物の主鎖に存在する水酸基、アミノ基やカルボキシル基等の反応性基、あるいは構成高分子化合物の側鎖に前記の反応性基を置換し、臭化シアンやカルボジイミド等の縮合剤を用いて蛋白(抗原や抗体の構成物質)を結合すること等により行われている。
【0006】
前記イムノビーズの利用分野の他の例としては、細胞分離の分野が知られている。細胞分離の分野における利用の1例を挙げると、高分子のビーズ内に、鉄粉その他強磁性体粉末を混入させる方法、あるいは強磁性体粉末の集塊を封じ込ませる方法等により強磁性物質を固定化し、ビーズの表面には抗体を固定化することにより、磁性を有するイムノビーズ(以下磁気感応性イムノビーズともいう。)を作成し、該磁気感応性イムノビーズを血液中に入れ、血液中の相応抗原(病原性の抗原)と反応させて該抗原イムノビーズに固定化し、磁石によって磁気感応性イムノビーズを収拾することにより血液から抗原を除去する治療用または診断検査用のイムノビーズが挙げられる。かかる血液から病原性の抗原を除去するのに使用される前記磁気感応性イムノビーズはまた、骨髄からの腫瘍細胞の除去にも使用される。
【0007】
磁気感応性ビーズはまた薬物運搬用に使用されている。すなわち、磁気感応性ビーズを人体等生体の静脈中に注入し、体外より患部箇所に磁石等を宛がい、この磁気的誘導によって前記薬物担持磁気感応性ビーズを患部に誘導するドラッグデリバリーシステム用の治療用粉体として使用されているものである。その磁気感応性ビーズの1例は、高分子ミクロスフェア中にマグネタイトを核物質として封入し、同時に薬物を担持させた医療用粉体である。
【0008】
また、末期癌の患部に金属等の導体の粉体(通常金属製粉体が使用される。)を混入させ、高周波誘導加熱によって患部を焼いて治療するハイパーサーミヤとよばれる治療法の加熱媒体として金属導体の医療用粉体が使用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記の診断・治療システム用として使用されている高分子ミクロスフェア中にマグネタイトを核物質として封入した現用の医療用粉体(すなわち、前記磁気感応性ビーズの1種)は、核物質としてマグネタイトを使用したものであるが、該現用の医療用粉体は、現用の磁気的誘導装置では前記医療用粉体に作用する磁力が弱いため、それらを患部に誘導できる位置に制限があり、より強い磁気感応性のある医療用粉体(すなわち、磁気感応性ビーズ)が求められている。
また、現用の磁気感応性ビーズは長時間生体内におかれているうちに封入されている核物質が酸化する等の変化を受け磁気感応性が低下する。また、現用の磁気感応性ビーズからは例えば鉄イオン等のイオンがビーズから流出することもあった。すなわち、現用の磁気感応性ビーズは前記したような未解決の問題を有している。
本発明の課題は、前記現用の磁気感応性ビーズにある問題点を解決し、前記した診断用、治療用あるいは薬剤運搬用として優れた性能を有し、より安全な医療用粉体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
鋭意研究の結果前記課題は、本発明の治療用粉体により達成されることを見出した。すなわち、
(1)強磁性金属の粉体核粒子の表面に生体不活性物質よりなる被膜層を有する医療用粉体において、前記被膜層が、少なくとも1層以上の金属酸化物被膜層と、最外層としての有機高分子被膜層とから成ることを特徴とする医療用粉体、
(2)金属酸化物被膜層が、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素よりなる群から選択される金属のアルコキシド化合物の加水分解生成物質からなる層であることを特徴とする前記(1)記載の医療用粉体、
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の医療用粉体すなわち磁気感応性ビーズに使用する強磁性金属の粉体核粒子は、好ましくは10kOe(キロエルステッド)の磁場における磁化が120emu/g以上である強磁性体である。
強磁性金属としては、飽和磁化が大きく、透磁率が高く、保磁力が小さくかつ加工し易いことから、純鉄、金属ニッケル、ケイ素鋼、鉄・ニッケル系合金、鉄・コバルト系合金、鉄・アルミニウム系合金、鉄・コバルト・ニッケル系合金等を挙げることができる。前記鉄、ニッケルはそれぞれ鉄、ニッケルのカルボニル化合物からのものが好ましく、特にカルボニル鉄からの鉄は純度や経済的見地からより好ましい。また、鉄は電解鉄や水素還元鉄も使用できる。
【0012】
前記純鉄、金属ニッケルや鉄・アルミニウム系合金のような金属や合金そのものは、そのままの血液中の血漿のような電解質を含む水溶液に曝されると変化して磁化や透磁率が低下したり、イオン化して溶出するようになる。このような理由から、本発明は、核物質の変化を防止するするため、核物質の表面に生体不活性物質の表面コーティングをするものである。
ここで、生体不活性物質とは、血液またはその他の生体組織液等の電解質の水溶液に長時間曝されても、該電解液によるイオンの溶出等の影響を受けることががなく、かつ生体中に投入しても、有害な生理作用を及ぼさない物質を意味する。
【0013】
生体不活性物質の具体例としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィン系オリゴマー、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のビニル系オリゴマー、ポリブタジエン、ポリペンタジエン、ポリクロロプレン等のジエン系オリゴマーまたはこれら共重合体等の有機高分子、金属酸化物等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素等の酸化物を挙げることができる。この金属酸化物の種類は、その粉体の表面に付与しようとする性質に応じてそれに適するものが選択される。前記金属酸化物膜の各層の層厚は特に限定されないが0.01〜20μmの範囲とすることが好ましい。
有機高分子は薬物や抗原・抗体の担持するのに有利であり、金属酸化物は生体液の金属核物質への浸透を効果的に防止できる点で有利である。
【0014】
核物質表面への金属酸化物の表面コーティングをする方法としては、電解メッキ法、無電解メッキ法等の液相中での固相析出法による方法や、プラズマCVD法やプラズマPVD法のような気相中における製膜法によって耐食性無機コーティングをする方法が例示できるが、均一な厚さでしかも緊密な皮膜層が得られることから、溶液中で金属アルコキシドを加水分解する、ゾル−ゲル法とよばれる方法が挙げられ、本発明の核物質のように血液やその他の体液のような電解質を含む水溶液による核物質の変化を防止するための粉体の表面コーティングをする方法として好適である。
【0015】
金属アルコキシドの加水分解に基づくゾル−ゲル法とは、粉体核粒子表面に被覆させる金属酸化物膜の金属成分である金属のアルコキシドの溶液中に、前記粉体核粒子を分散し、金属アルコキシドを加水分解することにより、粉体核粒子の表面上にその金属の酸化物ゾルを生成させる。生成したゾルは粉体の表面上に沈着すると共にゲル化し、金属酸化物ゲル膜が粉体上に均一に生成するというプロセスによる粉体の金属酸化物被覆方法である。
この粉体の金属酸化物被覆方法は、繰り返しにより、同種あるいは異種の金属酸化層を複数回に分けて粉体上に被覆し、多層金属酸化物膜被覆粉体を製造することもできる。
【0016】
また、粉体表面に有機高分子皮膜を被覆させる方法として、前記気相法による核物質の表面重合法やプラズマCVD法の他、以下のような方法が挙げられる。すなわち、
▲1▼粉体を重合性モノマーと共に、水中に乳化、あるいは懸濁させ、それぞれ乳化重合触媒あるいは水溶性重合触媒、例えば過硫酸アンモンのような触媒、を用いて乳化重合あるいは懸濁重合によって粉体を含有する乳化重合物、あるいは懸濁重合物として有機高分子被覆粉体を得る方法、
▲2▼前記粉体を含有した乳化重合物、あるいは懸濁重合物を核として、シード重合法により有機高分子被覆粉体を得る方法、
▲3▼その他、in situな重合法により有機高分子被覆粉体を得る方法、
等が挙げられる。
【0017】
粉体表面に有機高分子皮膜を被覆させる前記乳化重合、懸濁重合、シード重合等の重合法に用いるモノマーとしては、以下に示すようなビニルモノマーやオレフィンモノマーが挙げられるが、この他オリゴマーや重合性モノマー変成の化合物等も使用でき、これらに限定されるものではない。
通常使用される重合性モノマーとしては、スチレン、メチルスチレンのようなアリール置換ビニルモノマー、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンのような不飽和炭化水素系モノマー、アクリロニトリル、(メタ)アクリルエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマー、その他酢酸ビニル、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0018】
生体内に注入して使用する医療用粉体の最外層は、金属酸化物などよりも、有機高分子の外層の方が薬物や抗原・抗体の担持に有利であるとの観点から好ましい。従って、本発明の医療用粉体の望ましい態様としては、強磁性体の核物質の上に、水やイオン等を透過させない緊密な構造の金属酸化皮膜を設け、その外層に有機高分子皮膜を被覆させたものである。
例えば、純鉄製核の上に前記ゾル−ゲル法を適用して、ケイ素アルコオキシド溶液から酸化ケイ素皮膜を被覆させ、この上に物質担持性皮膜としてヒドロキシプロピルセルロス皮膜を吸着させ、これをシードとしてアクリル酸とスチレンからなるモノマー系でシード重合を行わせ、主としてポリスチレン外殻の医療用ビーズを作成することができる。
このようにデザインされたビーズは、ポリスチレン外殻に抗体を固定化してイムノビーズとして細胞分離等に利用できる。
【0019】
前記した磁気感応性ビーズを薬剤運搬用に使用する場合に、高分子ビーズ内に封入される薬剤は、抗癌剤、ステロイド剤、抗生物質、局所麻酔剤、放射線治療用ラジオアイソトープ等多岐にわたる。これら封入された薬剤の患部における放出をよりよくするためには、前記有機高分子物質よりなる外殻を多層構造にするかあるいは複合相のものとして、高分子物質よりなる部分に薬剤を担持しておく等することが好ましい。また、交番磁場をかけ、薬物の放出を促すこともできる。
また、前記した高周波誘導加熱によって患部を焼いて治療するハイパーサーミヤとよばれる治療法の加熱媒体は、従来使用のものは磁気感応性を持つ媒体は使用されていない。この治療法においては、前記金属導体を患部に混入させるには外科的に切開して混入するか激しい痛みを伴う局所注射により行われていた。しかしながら、ハイパーサーミヤ用加熱媒体に磁気感応性を持たせることにより、静脈注射により血液中に混入し体外より患部箇所に磁場を与えこの磁気的誘導によって磁性金属導体を患部に誘導することが可能となる。これによりハイパーサーミヤ用加熱媒体の患部への導入は非常に簡易になり、また導入後にも体外より患部箇所に磁場を与えることにより、前記加熱媒体の患部以外への経時拡散を防止することができる利点がある。
【0020】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
医療用粉体の製造
〔実施例1〕
(1層目のシリカコーティング)
純鉄製粉末(BASF製カーボニル鉄粉、平均粒径1.8μm、10kOeで201emu/g)10gをエタノール100ml中に分散し、容器をオイルバスで加熱して、液の温度を55℃に保持した。この分散液にシリコンエトキシド6g、29%アンモニア水6gおよび水8gを添加し、攪拌しながら2時間反応させた。
反応後、エタノールで希釈・洗浄し、ろ過し、真空乾燥機で110℃3時間乾燥した。乾燥後、回転式チューブ炉を用いて加熱処理を650℃で30分間施し、シリカコート粉体A1 を得た。得られたシリカコート粉体A1 の膜厚は75nmであり、分散状態は非常に良好であった。
【0021】
(2層目チタニアコーティング)
加熱処理後、再度得られたシリカコート粉体A1 10gに対し、エタノール200mlを加え、分散し、容器をオイルバスで加熱して、液の温度を55℃に保持した。この分散液にチタンエトキシド5gを添加し、攪拌する。これにエタノール30mlと水8.0gの混合溶液を60分間かけて滴下した後、2時間反応させ、真空乾燥および加熱処理を施し、チタニア−シリカコート粉体A2 を得た。得られたチタニア−シリカコート粉体A2 は分散性が良く、それぞれ単分散であった。チタニア−シリカコート粉体A2 のチタニア膜の厚さは50nmであった。
【0022】
(3層目ポリスチレンコーティング)
蒸留水600gにスチレンモノマー500gを入れ、70℃まで加熱・攪拌しながらラウリル硫酸ナトリウムを入れ乳化する。さらに表面をメタクリル酸で親油化したチタニア−シリカコート粉体A2 25gを混合し、高速攪拌し十分混合する。これに過硫酸アンモニウム水溶液10%を添加し、重合反応を開始させ、4時間攪拌し反応させる。反応終了後、蒸留水2リットルで希釈し、傾斜洗浄して上液を捨て、沈殿物を集める。
沈殿物をろ紙上で乾燥し、ポリスチレン−チタニア粉体Aを得た。得られた粉体Aの磁場10kOeでの磁化は148emu/gであり、従来使用されているマグネタイト(90emu/g)の磁化の約1.5倍であった。
【0023】
粉体の生体内安定性
〔実施例2〕
オイルバスで38℃に保持した生理食塩水500ml中に、上記ポリスチレン−チタニア粉体A10gを24時間浸漬した。
その結果、粉体Aの外見上の変化は認められず、生理食塩水中には鉄イオンも検出されなかった。また、粉体Aの磁化は、生理食塩水浸漬前が磁場10kOeで148emu/gに対し、浸漬後は146emu/gと殆ど変化がなかった。
【0024】
〔比較例1〕
これに対して、純鉄製粉末(BASF製カーボニル鉄粉、平均粒径1.8μm、10kOeで201emu/g)に前記実施例1のポリスチレンコーティングのみ行った粉体B10gを、前記同様にオイルバスで38℃に保持した生理食塩水500ml中に24時間浸漬した。
その結果、粉体Bの浸漬から17分後に水素の発生が認められ、4時間後には暗褐色と黒色の粉体が認められ、24時間後には粉体Bの表面は完全に酸化し暗褐色となり、生理食塩水中には鉄イオン濃度は1.5%であった。また、粉体Bの磁化は、生理食塩水浸漬前が磁場10kOeで166emu/gに対し、浸漬後は25emu/gと約85%に減少した。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、長時間体内におかれても、磁気感応性が低下したり、イオンなどが流出することのない、優れた性能を有し、安全な医療用粉体を提供することができる。
本発明の医療用粉体の提供により、優れた性能の磁気感応性イムノビーズが提供できるので、骨髄からの有害細胞の分離等の細胞分離の分野、また優れた磁気誘導薬剤の提供によって薬剤運搬システムの分野等の治療分野に大きく貢献することができる。
また、本発明の医療用粉体は製造が容易であるので、安価に供給でき、さらに長期にわたって安定に保存でき安定供給が可能であるので経済的効果も大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性を有する医療用粉体に関し、詳しくはドラッグデリバリー用ドラッグ担体、イムノラテックス、イムノビーズ、あるいはハイパーサーミア用媒体等に使用される磁性を有する医療用粉体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、乳化重合法やソープフリー乳化重合法等の重合方法によって得られる高分子ミクロスフェアに抗原や抗体を固定したものを用い、検知対象物質としての抗原や抗体との凝集性を観察して診断に使用する医療用粉体がイムノラテックスとして知られている。イムノラテックスに固定する抗体を標識抗体として診断のための検出力を上げることも行われている。また、イムノラテックスに抗体と共に薬物(ドラッグ)を担持させて、担持させた抗体に相応する抗原を有する癌細胞などに担持させた薬物を運搬するためにイムノラテックスを使用することも行われている。
【0003】
前記薬物運搬用の薬物の担体としては、ラテックスよりはビーズの方が薬物の担持能力が大きいのでよく使用されている。ビーズとは前記ラテックスより粒子径の大きな高分子ミクロスフェアのことである。ラテックスの粒子径は100Å程度からサブミクロン(1μm以下)程度の範囲であるのに対して、ビーズはサブミクロンから数mmの範囲のものをいう。また、高分子化合物からなるビーズの表面に抗原や抗体を固定したものは一般にイムノビーズとよばれている。
【0004】
また、高分子化合物からなるビーズは、その中に薬物を封入させ、かつビーズの表面に抗体を固定化し、相応する抗原が存在する患部に薬物を運搬するのに使用される。すなわち、薬物運搬(ドラッグデリバリー)用ビーズの1種である。
このような薬物運搬用ビーズのビーズの素材としては、生体分解性のある天然高分子化合物、すなわちゼラチン、デンプン、フィブリノーゲン等が好ましく使用されてきたが、粒子径が調節し難い、品質の一定したものが得られ難い、貯蔵し難い等の欠点もあり、合成あるいは半合成高分子化合物の使用がすすめられている。
【0005】
前記ラテックスやビーズに抗原や抗体を固定することは、ラテックスやビーズの構成高分子化合物の主鎖に存在する水酸基、アミノ基やカルボキシル基等の反応性基、あるいは構成高分子化合物の側鎖に前記の反応性基を置換し、臭化シアンやカルボジイミド等の縮合剤を用いて蛋白(抗原や抗体の構成物質)を結合すること等により行われている。
【0006】
前記イムノビーズの利用分野の他の例としては、細胞分離の分野が知られている。細胞分離の分野における利用の1例を挙げると、高分子のビーズ内に、鉄粉その他強磁性体粉末を混入させる方法、あるいは強磁性体粉末の集塊を封じ込ませる方法等により強磁性物質を固定化し、ビーズの表面には抗体を固定化することにより、磁性を有するイムノビーズ(以下磁気感応性イムノビーズともいう。)を作成し、該磁気感応性イムノビーズを血液中に入れ、血液中の相応抗原(病原性の抗原)と反応させて該抗原イムノビーズに固定化し、磁石によって磁気感応性イムノビーズを収拾することにより血液から抗原を除去する治療用または診断検査用のイムノビーズが挙げられる。かかる血液から病原性の抗原を除去するのに使用される前記磁気感応性イムノビーズはまた、骨髄からの腫瘍細胞の除去にも使用される。
【0007】
磁気感応性ビーズはまた薬物運搬用に使用されている。すなわち、磁気感応性ビーズを人体等生体の静脈中に注入し、体外より患部箇所に磁石等を宛がい、この磁気的誘導によって前記薬物担持磁気感応性ビーズを患部に誘導するドラッグデリバリーシステム用の治療用粉体として使用されているものである。その磁気感応性ビーズの1例は、高分子ミクロスフェア中にマグネタイトを核物質として封入し、同時に薬物を担持させた医療用粉体である。
【0008】
また、末期癌の患部に金属等の導体の粉体(通常金属製粉体が使用される。)を混入させ、高周波誘導加熱によって患部を焼いて治療するハイパーサーミヤとよばれる治療法の加熱媒体として金属導体の医療用粉体が使用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記の診断・治療システム用として使用されている高分子ミクロスフェア中にマグネタイトを核物質として封入した現用の医療用粉体(すなわち、前記磁気感応性ビーズの1種)は、核物質としてマグネタイトを使用したものであるが、該現用の医療用粉体は、現用の磁気的誘導装置では前記医療用粉体に作用する磁力が弱いため、それらを患部に誘導できる位置に制限があり、より強い磁気感応性のある医療用粉体(すなわち、磁気感応性ビーズ)が求められている。
また、現用の磁気感応性ビーズは長時間生体内におかれているうちに封入されている核物質が酸化する等の変化を受け磁気感応性が低下する。また、現用の磁気感応性ビーズからは例えば鉄イオン等のイオンがビーズから流出することもあった。すなわち、現用の磁気感応性ビーズは前記したような未解決の問題を有している。
本発明の課題は、前記現用の磁気感応性ビーズにある問題点を解決し、前記した診断用、治療用あるいは薬剤運搬用として優れた性能を有し、より安全な医療用粉体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
鋭意研究の結果前記課題は、本発明の治療用粉体により達成されることを見出した。すなわち、
(1)強磁性金属の粉体核粒子の表面に生体不活性物質よりなる被膜層を有する医療用粉体において、前記被膜層が、少なくとも1層以上の金属酸化物被膜層と、最外層としての有機高分子被膜層とから成ることを特徴とする医療用粉体、
(2)金属酸化物被膜層が、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素よりなる群から選択される金属のアルコキシド化合物の加水分解生成物質からなる層であることを特徴とする前記(1)記載の医療用粉体、
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の医療用粉体すなわち磁気感応性ビーズに使用する強磁性金属の粉体核粒子は、好ましくは10kOe(キロエルステッド)の磁場における磁化が120emu/g以上である強磁性体である。
強磁性金属としては、飽和磁化が大きく、透磁率が高く、保磁力が小さくかつ加工し易いことから、純鉄、金属ニッケル、ケイ素鋼、鉄・ニッケル系合金、鉄・コバルト系合金、鉄・アルミニウム系合金、鉄・コバルト・ニッケル系合金等を挙げることができる。前記鉄、ニッケルはそれぞれ鉄、ニッケルのカルボニル化合物からのものが好ましく、特にカルボニル鉄からの鉄は純度や経済的見地からより好ましい。また、鉄は電解鉄や水素還元鉄も使用できる。
【0012】
前記純鉄、金属ニッケルや鉄・アルミニウム系合金のような金属や合金そのものは、そのままの血液中の血漿のような電解質を含む水溶液に曝されると変化して磁化や透磁率が低下したり、イオン化して溶出するようになる。このような理由から、本発明は、核物質の変化を防止するするため、核物質の表面に生体不活性物質の表面コーティングをするものである。
ここで、生体不活性物質とは、血液またはその他の生体組織液等の電解質の水溶液に長時間曝されても、該電解液によるイオンの溶出等の影響を受けることががなく、かつ生体中に投入しても、有害な生理作用を及ぼさない物質を意味する。
【0013】
生体不活性物質の具体例としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィン系オリゴマー、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のビニル系オリゴマー、ポリブタジエン、ポリペンタジエン、ポリクロロプレン等のジエン系オリゴマーまたはこれら共重合体等の有機高分子、金属酸化物等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素等の酸化物を挙げることができる。この金属酸化物の種類は、その粉体の表面に付与しようとする性質に応じてそれに適するものが選択される。前記金属酸化物膜の各層の層厚は特に限定されないが0.01〜20μmの範囲とすることが好ましい。
有機高分子は薬物や抗原・抗体の担持するのに有利であり、金属酸化物は生体液の金属核物質への浸透を効果的に防止できる点で有利である。
【0014】
核物質表面への金属酸化物の表面コーティングをする方法としては、電解メッキ法、無電解メッキ法等の液相中での固相析出法による方法や、プラズマCVD法やプラズマPVD法のような気相中における製膜法によって耐食性無機コーティングをする方法が例示できるが、均一な厚さでしかも緊密な皮膜層が得られることから、溶液中で金属アルコキシドを加水分解する、ゾル−ゲル法とよばれる方法が挙げられ、本発明の核物質のように血液やその他の体液のような電解質を含む水溶液による核物質の変化を防止するための粉体の表面コーティングをする方法として好適である。
【0015】
金属アルコキシドの加水分解に基づくゾル−ゲル法とは、粉体核粒子表面に被覆させる金属酸化物膜の金属成分である金属のアルコキシドの溶液中に、前記粉体核粒子を分散し、金属アルコキシドを加水分解することにより、粉体核粒子の表面上にその金属の酸化物ゾルを生成させる。生成したゾルは粉体の表面上に沈着すると共にゲル化し、金属酸化物ゲル膜が粉体上に均一に生成するというプロセスによる粉体の金属酸化物被覆方法である。
この粉体の金属酸化物被覆方法は、繰り返しにより、同種あるいは異種の金属酸化層を複数回に分けて粉体上に被覆し、多層金属酸化物膜被覆粉体を製造することもできる。
【0016】
また、粉体表面に有機高分子皮膜を被覆させる方法として、前記気相法による核物質の表面重合法やプラズマCVD法の他、以下のような方法が挙げられる。すなわち、
▲1▼粉体を重合性モノマーと共に、水中に乳化、あるいは懸濁させ、それぞれ乳化重合触媒あるいは水溶性重合触媒、例えば過硫酸アンモンのような触媒、を用いて乳化重合あるいは懸濁重合によって粉体を含有する乳化重合物、あるいは懸濁重合物として有機高分子被覆粉体を得る方法、
▲2▼前記粉体を含有した乳化重合物、あるいは懸濁重合物を核として、シード重合法により有機高分子被覆粉体を得る方法、
▲3▼その他、in situな重合法により有機高分子被覆粉体を得る方法、
等が挙げられる。
【0017】
粉体表面に有機高分子皮膜を被覆させる前記乳化重合、懸濁重合、シード重合等の重合法に用いるモノマーとしては、以下に示すようなビニルモノマーやオレフィンモノマーが挙げられるが、この他オリゴマーや重合性モノマー変成の化合物等も使用でき、これらに限定されるものではない。
通常使用される重合性モノマーとしては、スチレン、メチルスチレンのようなアリール置換ビニルモノマー、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンのような不飽和炭化水素系モノマー、アクリロニトリル、(メタ)アクリルエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマー、その他酢酸ビニル、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0018】
生体内に注入して使用する医療用粉体の最外層は、金属酸化物などよりも、有機高分子の外層の方が薬物や抗原・抗体の担持に有利であるとの観点から好ましい。従って、本発明の医療用粉体の望ましい態様としては、強磁性体の核物質の上に、水やイオン等を透過させない緊密な構造の金属酸化皮膜を設け、その外層に有機高分子皮膜を被覆させたものである。
例えば、純鉄製核の上に前記ゾル−ゲル法を適用して、ケイ素アルコオキシド溶液から酸化ケイ素皮膜を被覆させ、この上に物質担持性皮膜としてヒドロキシプロピルセルロス皮膜を吸着させ、これをシードとしてアクリル酸とスチレンからなるモノマー系でシード重合を行わせ、主としてポリスチレン外殻の医療用ビーズを作成することができる。
このようにデザインされたビーズは、ポリスチレン外殻に抗体を固定化してイムノビーズとして細胞分離等に利用できる。
【0019】
前記した磁気感応性ビーズを薬剤運搬用に使用する場合に、高分子ビーズ内に封入される薬剤は、抗癌剤、ステロイド剤、抗生物質、局所麻酔剤、放射線治療用ラジオアイソトープ等多岐にわたる。これら封入された薬剤の患部における放出をよりよくするためには、前記有機高分子物質よりなる外殻を多層構造にするかあるいは複合相のものとして、高分子物質よりなる部分に薬剤を担持しておく等することが好ましい。また、交番磁場をかけ、薬物の放出を促すこともできる。
また、前記した高周波誘導加熱によって患部を焼いて治療するハイパーサーミヤとよばれる治療法の加熱媒体は、従来使用のものは磁気感応性を持つ媒体は使用されていない。この治療法においては、前記金属導体を患部に混入させるには外科的に切開して混入するか激しい痛みを伴う局所注射により行われていた。しかしながら、ハイパーサーミヤ用加熱媒体に磁気感応性を持たせることにより、静脈注射により血液中に混入し体外より患部箇所に磁場を与えこの磁気的誘導によって磁性金属導体を患部に誘導することが可能となる。これによりハイパーサーミヤ用加熱媒体の患部への導入は非常に簡易になり、また導入後にも体外より患部箇所に磁場を与えることにより、前記加熱媒体の患部以外への経時拡散を防止することができる利点がある。
【0020】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
医療用粉体の製造
〔実施例1〕
(1層目のシリカコーティング)
純鉄製粉末(BASF製カーボニル鉄粉、平均粒径1.8μm、10kOeで201emu/g)10gをエタノール100ml中に分散し、容器をオイルバスで加熱して、液の温度を55℃に保持した。この分散液にシリコンエトキシド6g、29%アンモニア水6gおよび水8gを添加し、攪拌しながら2時間反応させた。
反応後、エタノールで希釈・洗浄し、ろ過し、真空乾燥機で110℃3時間乾燥した。乾燥後、回転式チューブ炉を用いて加熱処理を650℃で30分間施し、シリカコート粉体A1 を得た。得られたシリカコート粉体A1 の膜厚は75nmであり、分散状態は非常に良好であった。
【0021】
(2層目チタニアコーティング)
加熱処理後、再度得られたシリカコート粉体A1 10gに対し、エタノール200mlを加え、分散し、容器をオイルバスで加熱して、液の温度を55℃に保持した。この分散液にチタンエトキシド5gを添加し、攪拌する。これにエタノール30mlと水8.0gの混合溶液を60分間かけて滴下した後、2時間反応させ、真空乾燥および加熱処理を施し、チタニア−シリカコート粉体A2 を得た。得られたチタニア−シリカコート粉体A2 は分散性が良く、それぞれ単分散であった。チタニア−シリカコート粉体A2 のチタニア膜の厚さは50nmであった。
【0022】
(3層目ポリスチレンコーティング)
蒸留水600gにスチレンモノマー500gを入れ、70℃まで加熱・攪拌しながらラウリル硫酸ナトリウムを入れ乳化する。さらに表面をメタクリル酸で親油化したチタニア−シリカコート粉体A2 25gを混合し、高速攪拌し十分混合する。これに過硫酸アンモニウム水溶液10%を添加し、重合反応を開始させ、4時間攪拌し反応させる。反応終了後、蒸留水2リットルで希釈し、傾斜洗浄して上液を捨て、沈殿物を集める。
沈殿物をろ紙上で乾燥し、ポリスチレン−チタニア粉体Aを得た。得られた粉体Aの磁場10kOeでの磁化は148emu/gであり、従来使用されているマグネタイト(90emu/g)の磁化の約1.5倍であった。
【0023】
粉体の生体内安定性
〔実施例2〕
オイルバスで38℃に保持した生理食塩水500ml中に、上記ポリスチレン−チタニア粉体A10gを24時間浸漬した。
その結果、粉体Aの外見上の変化は認められず、生理食塩水中には鉄イオンも検出されなかった。また、粉体Aの磁化は、生理食塩水浸漬前が磁場10kOeで148emu/gに対し、浸漬後は146emu/gと殆ど変化がなかった。
【0024】
〔比較例1〕
これに対して、純鉄製粉末(BASF製カーボニル鉄粉、平均粒径1.8μm、10kOeで201emu/g)に前記実施例1のポリスチレンコーティングのみ行った粉体B10gを、前記同様にオイルバスで38℃に保持した生理食塩水500ml中に24時間浸漬した。
その結果、粉体Bの浸漬から17分後に水素の発生が認められ、4時間後には暗褐色と黒色の粉体が認められ、24時間後には粉体Bの表面は完全に酸化し暗褐色となり、生理食塩水中には鉄イオン濃度は1.5%であった。また、粉体Bの磁化は、生理食塩水浸漬前が磁場10kOeで166emu/gに対し、浸漬後は25emu/gと約85%に減少した。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、長時間体内におかれても、磁気感応性が低下したり、イオンなどが流出することのない、優れた性能を有し、安全な医療用粉体を提供することができる。
本発明の医療用粉体の提供により、優れた性能の磁気感応性イムノビーズが提供できるので、骨髄からの有害細胞の分離等の細胞分離の分野、また優れた磁気誘導薬剤の提供によって薬剤運搬システムの分野等の治療分野に大きく貢献することができる。
また、本発明の医療用粉体は製造が容易であるので、安価に供給でき、さらに長期にわたって安定に保存でき安定供給が可能であるので経済的効果も大きい。
Claims (2)
- 強磁性金属の粉体核粒子の表面に生体不活性物質よりなる被膜層を有する医療用粉体において、前記被膜層が、少なくとも1層以上の金属酸化物被膜層と、最外層としての有機高分子被膜層とから成ることを特徴とする医療用粉体。
- 金属酸化物被膜層が、鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素よりなる群から選択される金属のアルコキシド化合物の加水分解生成物質からなる層であることを特徴とする請求項1記載の医療用粉体。
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