JP3661736B2 - ポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,ポリオレフィンとポリアミドからなる樹脂組成物であり,ゴムや樹脂の強化材料として好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
ゴムや樹脂などの弾性率や機械的強度を向上させるためには,ガラス繊維や無機充填剤を配合していた。しかし,これらを配合すると剛性,弾性率,強度,耐クリープ性が向上するが,成形品の外観が悪くなったり,成形品が重くなっていた。
【0003】
特開平7−238189号公報及び特開平9−59431号公報にはポリオレフィンとゴム状ポリマーをマトリックスとして熱可塑性性ポリアミド繊維を微細な繊維として分散させてた組成物を開示されている。これらはゴムと配合すると機械的性質を向上させることが可能である。しかし,配合するゴムは限定され混練中にゲル化する場合もあった。特に高温でゲル化しやすい傾向であり,強度,伸び,弾性率などは本来の性質が発現されない場合もあった。
一方,ポリアミド極細繊維の製造法として特開昭63−75108号公報には皮革用基材構成要素として襞を有する内外層の境界線が特定の範囲を有する多成分繊維が開示されている。特開昭54−73921号公報にはポリアミドを混合高速防糸して得られる混合高速防糸繊維をポリスチレンとポリエチレングリコールを溶媒除去して太さ0.1デニールのポリアミド極細繊維が開示されている。特開平3−279419号公報,特開平4−272222号公報,特開平4−281015号公報にはポリプロピレンとポリアミドの界面での剥離のない軽量複合繊維が開示されている。芯鞘繊維でポリプロピレンの染色性を改善を目的としている。しかし,これらの方法や繊維は口径の小さな防糸ノズルから押し出し,高速防糸したり溶媒処理、その他溶融して太さ0.1〜1デニール(d)の極細繊維を得るのが目的であったので生産性が悪く経済的な製法とは言えない。またこれらの繊維は極細繊維の連続繊維であって光沢や風合の良い織物,合成皮革の素材として優れているがゴムや樹脂に充填して混練する場合には連続繊維であるために混練による分散が困難であった。
【0004】
高分子化学,29,324,265(1972)及び高分子論文集,47,4,331(1990)には無水マレイン酸変性ポリプロピレンを少量介在させたナイロン/ポリプロピレンブレンド系では両者の相溶性が向上して分散粒子径を極めて小さくして機械的性質(耐衝撃性,引張強度)を向上させている。しかしブレンド比=50/50付近で機械的性質が著しく低下した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決して剛性,強度,耐クリープ性に優れ密度の小さな成形品を与える組成物を提供することを目的とする。更に極細繊維が経済的に製造できしかも樹脂やゴムに分散性が良く,しかもゴムを配合する時にゲル化しにくいポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【発明が解決しようとする手段】
(a)ポリオレフィン90〜40重量部,(b)ポリアミド10〜60重量部,(c)(a)と(b)100重量部に対してシランカップリング剤0.1〜5.5重量部及び(d)ポリアミドがポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物中に繊維状に分散した構造からなるポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物であって、(a)ポリオレフィン,(b)ポリアミド及び(c)シランカップリング剤を溶融・混練して押出し,ドラフト(ドラフト比2〜50)を掛けて引取り延伸又は圧延することにより(a)ポリオレフィン中に(b)ポリアミドを平均繊維径1μm以下の繊維状に分散させてペレット状に仕上げることを特徴とするポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物及びその製造方法における構成成分を具体的に説明する。
(a)成分はポリオレフィンであって,80〜250℃の範囲の融点のものが好ましい。又,50℃以上,特に好ましくは50〜200℃のビカット軟化点を有するものも用いられる。
このような好適な例としては,炭素数2〜8のオレフィンの単独重合体や共重合体、及び、炭素数2〜8のオレフィンとスチレンやクロロスチレン,α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物との共重合体,炭素数2〜8のオレフィンと酢酸ビニルとの共重合体,炭素数2〜8のオレフィンとアクリル酸あるいはそのエステルとの共重合体,炭素数2〜8のオレフィンとメタアクリル酸あるいはそのエステルとの共重合体,及び炭素数2〜8のオレフィンとビニルシラン化合物との共重合体が好ましく用いられるものとして挙げられる。
【0008】
具体例としては、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン・プロピレンブロック共重合体,エチレン・プロピレンランダム共重合体,ポリ4−メチルペンテン−1,ポリブテン−1,ポリヘキセン−1,エチレン・酢酸ビニル共重合体,エチレン・ビニルアルコール共重合体,エチレン・アクリル酸共重合体,エチレン・アクリル酸メチル共重合体,エチレン・アクリル酸エチル共重合体,エチレン・アクリル酸プロピル共重合体,エチレン・アクリル酸ブチル共重合体,エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体,エチレン・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体,エチレン・ビニルトリメトキシシラン共重合体,エチレン・ビニルトリエトキシシラン共重合体,エチレン・ビニルシラン共重合体,エチレン・スチレン共重合体,及びプロピレン・スチレン共重合体などがある。
又,塩素化ポリエチレンや臭素化ポリエチレン,クロロスルホン化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィンも好ましく用いられる。
【0009】
これら (a)成分のポリオレフィンのなかで特に好ましいものとしては,高密度ポリエチレン(HDPE),低密度ポリエチレン(LDPE),線状低密度ポリエチレン(LLDPE),ポリプロピレン(PP),エチレン・プロピレンブロック共重合体,エチレン・プロピレンランダム共重合体,エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA),エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA),及びエチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられ,中でもメルトフローインデックス(MFI)が0. 2〜50g/10分の範囲のものが最も好ましいものとして挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく,2種以上を組合わせてもよい。
【0010】
(b)成分は、主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリアミド(以下,ポリアミド)であり、融点135〜350℃の範囲のものが用いられ,しかも(a)成分のポリオレフィンの融点より高いものであり,中でも融点160〜265℃の範囲のものが好ましい。かかる(b)成分としては,押出し及び延伸によって強靱な繊維を与えるポリアミドが好ましいものとして挙げられる。
【0011】
ポリアミドの具体例としてはナイロン6,ナイロン66,ナイロン6−ナイロン66共重合体,ナイロン610,ナイロン612,ナイロン46,ナイロン11,ナイロン12,ナイロンMXD6,キシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合体,キシリレンジアミンとピメリン酸との重縮合体,キシリレンジアミンとスペリン酸との重縮合体,キシリレンジアミンとアゼライン酸との重縮合体,キシリレンジアミンとセバシン酸との重縮合体,テトラメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体,ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体,オクタメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体,トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体,デカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体,ウンデカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体,ドデカメチレンジアミンとテレフタル酸の重縮合体,テトラメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体,ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体,オクタメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体,トリメチルヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体,デカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体,ウンデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体,及びドデカメチレンジアミンとイソフタル酸の重縮合体などが挙げられる。
【0012】
これらのポリアミドの内、特に好ましい具体例としては,ナイロン6(PA6),ナイロン66(PA66),ナイロン12(PA12),ナイロン6−ナイロン66共重合体などが挙げられる。これらの1種又は2種以上でもよい。これらのポリアミドは,10,000〜200,000の範囲の分子量を有していることが好ましい。
【0013】
(c)成分のシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン.ビニルトリアセチルシラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン,N−β−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)アミノプロピルエチルジメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)アミノプロピルエチルジエトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−〔N−(β−メタクリロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム(クロライド)〕プロピルメトキシシラン及びスチリルジアミノシランなどが挙げられる。
中でも、アルコキシ基などから水素原子を奪って脱離し易い基及び又は極性基とビニル基とを有するものが特に好ましく用いられる。
【0014】
(c)成分のシランカップリング剤は, (a)成分と (b)成分100重量部に対し0. 1〜5. 5重量部の範囲が好ましく,特に好ましくは0. 2〜3. 0重量部の範囲である。シランカップリング剤の量が0. 1重量部よりも少ないと、強度の高い組成物が得られず,シランカップリング剤の量が5. 5重量部よりも多いと弾性率に優れた組成物が得られない。シランカップリング剤の量が0. 1重量%より少ないと,(a)成分及び(b)成分との間に強固な結合が形成されず,強度の低い組成物しか得られない。一方,シランカップリング剤の量が5. 5重量%より多いと,成分(b)は良好な微細繊維にならないので,やはり弾性率に劣る組成物しか得られない。
【0015】
(c)成分のシランカップリング剤を用いる場合は,有機過酸化物を併用することができる。有機過酸化物を併用することにより(a)成分の分子鎖にラジカルが形成されシランカップリング剤と反応することにより(a)成分とシランカップリング剤の反応は促進されるからである。有機過酸化物の使用量は(a)成分100重量部に対して0.01〜1.0重量部である。有機過酸化物としては1分間の半減期温度が,(a)成分の融点或いは(c)成分の融点のいずれか高い方と同じ温度ないし,この温度より30℃程高い温度範囲であるものが好ましく用いられる。具体的には1分間の半減期温度が110〜200℃程度のものが好ましく用いられる。
【0016】
有機過酸化物の具体例としてはジ−α−クミルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、n−ブチル4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリネート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン)プロパン、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオヘキサネート,t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシアセート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソフタレートなどが挙げられる。中でも1分間の半減期温度が溶融混練温度ないしこの温度より30℃程高い温度の範囲であるもの,具体的には1分半減期温度が80〜260℃程度のものが好ましく用いられる。
【0017】
(b)成分はその殆どが微細な繊維として上記マトリックス中に均一に分散している。具体的にはその70重量%,好ましくは80重量%,特に好ましくは90重量%以上が微細な繊維として分散している。
(b)成分の繊維は,平均繊維径が1μm以下で平均繊維長が100μm以下であることが好ましい。アスペクト比(繊維長/繊維径の比)は20以上であり1,000以下であことが好ましい。そして,(a)成分は(b)成分と界面で結合している。
(a)成分と(b)成分の割合は(a)成分は90〜40重量部,(b)成分は10〜60重量部,特に好ましくは(a)成分は15〜35重量部,(b)成分は85〜65重量部である。(b)成分の割合が10重量部より少ないと弾性率或いは強度の向上効果が少なく,(b)成分の割合が60重量部より多いと成形品の表面光沢が損なわれる。
【0018】
次に本発明のポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物の製造方法について説明する。以下の工程から製造される。
(1)(a)成分のポリオレフィンと(c)成分のシランカップリング剤とを溶融混練して化学変成する工程,
(2)(c)成分で化学変成した(a)成分に(b)成分のポリアミドを(b)成分の融点以上で溶融混練する工程,
(3)(c)成分で化学変成した(a)成分に(b)成分のポリアミドを(b)成分の融点以上で溶融混練・化学変成して押出す工程,
(4)溶融混練・化学変成した押出物を(a)成分の融点以上でしかも(b)成分の融点以下でドラフトをかけつつ延伸又は圧延する工程,
(5)延伸又は圧延した組成物を室温に冷却してペレタイズする工程,
からなる。
【0019】
(1)(a)成分のポリオレフィンと(c)成分のシランカップリング剤とを溶融混練(以下同様)して化学変成する工程について説明する。溶融混練温度は(a)成分の融点以上である。融点より30℃高い温度である。融点より30℃高い温度で溶融混練すると(c)成分のシランカップリング剤と反応して化学変成される。
溶融混練は樹脂やゴムの混練に通常用いられている装置で行うことができる。このような装置としてはバンバリー型ミキサー,ニーダー,ニーダーエキストルーダー,オープンロール,一軸混練機,二軸混練機などが用いられる。これらの装置の中では短時間で且つ連続的に溶融混練が行える点で二軸混練機が最も好ましい。
【0020】
(2)(c)成分で化学変成した(a)成分に(b)成分の熱可塑性ポリアミドを(b)成分の融点以上で溶融混練する工程について説明する。
溶融混練温度は(b)成分の融点以上である。融点より10℃高い温度である。溶融混練温度が(b)成分の融点より低いと混練できないし,繊維状に分散しないので,融点より高い温度,特に好ましくは20℃高い温度で溶融混練する。
【0021】
(3)(c)成分で化学変成した(a)成分に(b)成分のポリアミドを(b)成分の融点以上で溶融混練・化学変成して押出す工程について説明する。 押出しする工程において得られた混練物を紡糸口金或いはインフレーションダイ又はTダイから押出す。紡糸、押出しのいずれも成分(b)の融点より高い温度で実施する必要がある。具体的には,(b)成分の融点より高い温度,この融点より30℃高い温度の範囲で実施することが好ましい。本工程で成分(b)の融点より低い温度で溶融・混練を行っても,混練物は(a)成分からなるマトリックス中に(b)成分の微細な粒子が分散した構造にはならない。従って,かかる混練物を紡糸・延伸しても,(b)成分は微細な繊維にはなり得ない。
【0022】
(4)溶融混練・化学変成した押出物を(a)成分の融点以上でしかも(b)成分の融点以下でドラフトをかけつつ延伸又は圧延する工程について説明する。
押出された紐状乃至糸状紡糸は,連続的に冷却,延伸,又は圧延処理して行われる。冷却・延伸又は圧延処理は,(b)成分の融点より10℃以下の低い温度で行われる。延伸及び圧延することにより,より強固な繊維が形成されるので繊維強化樹脂組成物としての特性がより発揮できてより好ましい。
延伸又は圧延は,例えば混練物を紡糸口金から押し出して紐状ないし糸状に紡糸し,これをドラフトを掛けつつホビンなどに巻き取る。または,切断してペレットにするなどの方法で実施できる。ここでドラフトを掛けるとは、紡糸口金速度より巻取速度を高くとることを言う。巻取速度/紡糸口金速度の比(ドラフト比)は,1.5〜100の範囲とすることが好ましく,更に好ましくは2〜50の範囲,特に好ましくは3〜30である。
【0023】
(5)延伸又は圧延した組成物を室温に冷却してペレタイズする工程について説明する。
ペレット化することにより樹脂やゴム成分などを追加して均一に混練できるから,ポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物としてはペレット状のものを用いることが好ましい。ペレット状の樹脂組成物を用いれば,樹脂組成物はエラストマーと均一に混練でき,微細な繊維が均一に分散した強化エラストマー組成物が容易に得られるからである。
【0024】
上記各第1,第2,及び第3工程は工程毎に分離して説明したが,(a)成分,(b)成分,及び(c)成分を供給できる第1供給口,第2供給口及び第3供給口を有し,且つ各供給口に対応する第1混練帯,第2混練帯及び第3混練帯を有する二軸混練機を用いて一括して連続的なプロセスで処理することも可能である。そうすることにより経済的,安定した,安全な製造方法になる。
【0025】
本発明のポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物には,このほかカーボンブラック,ホワイトカーボン,活性炭酸カルシウム,超微粒子珪酸マグネシウム,ハイスチレン樹脂,フェノール樹脂,リグニン,変成メラミン樹脂,クマロンインデン樹脂,石油樹脂などの補助剤,炭酸カルシウム,塩基性炭酸マグネシウム,クレー,亜鉛華,珪草土,再生ゴム,粉末ゴム,エボナイト粉など各種の充填剤、アミン・アルデヒド類,アミン・ケトン類,アミン類,フェノール類,イミダゾール類,含硫黄系酸化防止剤,含燐系酸化防止剤などの安定剤及び各種顔料を含んでいてもよい。
【0026】
【実施例】
以下,実施例及び比較例を示して,本発明についてより具体的に説明するが本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例及び比較例において,ポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物の物性は以下のようにして測定した。
繊維形状:;形態・分散性と平均繊維径: 樹脂組成物をトルエンに溶解して繊維分を取り出し洗浄した後走査型電子顕微鏡で観察し,微細な繊維で分散している場合は分散性良好;○,微細な繊維やフィルム状で凝集して分散不良;×,で評価した。分散性良好な場合は,分散した微細繊維200本について、上記の走査型電子顕微鏡で繊維径を測定し,その平均を求めて平均繊維径とした。
引張強度・引張弾性率・伸び:; JIS K6760に準じて温度23℃,引張速度200mm/minで,引張強度,引張弾性率及び伸びを求めた。
樹脂及びゴムへの分散性評価:;190℃に設定したブラベンダープラストグラフに低密度ポリエチレン35gを投入してポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物5gを加えて5分間混練した。混練物を取り出して肉眼で見ると共に走査型電子顕微鏡で観察して分散性を評価した。分散性良好;○,繊維やフィルム状のものが凝集した分散状態;×で評価した。
【0027】
〔実施例1〕
(a)成分として低密度ポリエチレン〔宇部興産社製,F522,融点110℃,MFR=5.0(g/10min)〕100重量部に(c)成分としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0重量部と酸化防止剤のイルガノックス1010を0.5重量部及び過酸化物としてジ−α−クミルパーオキサイド(濃度40%)を0.5重量部を混合して170℃に加熱した45φの二軸押出機に投入し混練してペレット化した。シラン変性ポリエチレンを得た。得られたシラン変性ポリエチレン50重量部とナイロン6(宇部興産社製,1030B,融点215〜225℃)50重量部と更にイルガノックス1010を0.5重量部を235℃に設定した3mmφのダイスを付けた二軸押出機に投入して混練,ダイスよりストランド状に押し出し,空気で冷却して引き取りロールでドラフト比7で引取り5インチロール間で室温で1.5倍延伸してペレタイズした。ペレット化した形状は径1mm,長さ3mmであった。
得られたペレットを熱トルエンでポリエチレンを溶出した。不溶分は攪拌羽根にまとわりつかず,懸濁液は均一であった。不溶分はを走査型電子顕微鏡で観察すると径が0.3μmの微細な繊維状であった。又,ペレットを150℃に加熱したブラベンダープラストグラフで5分混練し2mmの厚さに120℃でプレスした。引張試験を行った。結果を表1に示した。
【0028】
〔比較例1〕
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとジ−α−ジクミルパーオキサイドを加えなかった他は実施例1と同様にして低密度ポリエチレン,ナイロン6を混練して押し出しストランドは吐出変動をおこしてドラフトを調整してどうにか巻き取ることができペレット化した。このペレットについて,それぞれの物性を測定した。熱トルエン不溶分はフィルム状(厚さ10〜30μm)やペレット状であった。ブラベンダープラストグラフで同様に処理した。結果を表1に示した。
【0029】
〔実施例2〜5〕
低密度ポリエチレンとナイロン6を表1のように配合して実施例1と同様に処理してそれぞれペレット化した。結果を表1に示した。
【0030】
〔比較例2〜3〕
低密度ポリエチレンとナイロン6を表1のように配合して実施例1と同様に処理してそれぞれペレット化した。結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
〔実施例6〜9〕
ドラフト比を表2のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
〔比較例4〜5〕
【0033】
ドラフト比を表2のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
【0034】
【表2】
【0035】
〔実施例10〜16〕
ポリオレフィンとナイロンの種類を変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示した。実施例及び比較例で使用した樹脂グレードを表4にまとめて示した。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物はポリオレフィンマトリックス中に平均繊維径が0.2〜0.6μmの微細なポリアミド繊維が均一に分散していると共に、ポリオレフィンと繊維が界面で結合している。ペレット状態で得られるので樹脂やゴムに混練した場合には分散性が容易で補強性を有する。従って,本発明の組成物は取扱が容易なポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物を提供できる。
Claims (1)
- (a)ポリオレフィン90〜40重量部,(b)ポリアミド10〜60重量部,(c)(a)と(b)100重量部に対してシランカップリング剤0.1〜5.5重量部及び(d)ポリアミドがポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物中に繊維状に分散した構造からなるポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、(a)ポリオレフィン,(b)ポリアミド及び(c)シランカップリング剤を溶融・混練して押出し,ドラフト(ドラフト比2〜50)を掛けて引取り延伸又は圧延することにより(a)ポリオレフィン中に(b)ポリアミドを平均繊維径1μm以下の繊維状に分散させてペレット状に仕上げることを特徴とするポリオレフィン−ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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