JP3659706B2 - 加湿エレメント本体、加湿エレメント及び加湿ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は加湿エレメント及び加湿ユニットに関し、詳しくはユニット化したときに圧力損失が小さく加湿面積を十分確保でき、しかも安価に簡単に製造可能な加湿エレンメント及び加湿ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
疎水性高分子の多孔質シートを用いた透湿膜式加湿器が知られている。これは、例えば図23に示すように、水の通過を阻止し、水蒸気の通過を許容する疎水性高分子多孔質膜31に補強材32を積層したシートを用いて袋帯状の中空構造体33を形成し、この中空構造体33を加湿エレメントとしたものである。図23に示す加湿エレメントでは、中空構造体33の内部に、水の流路を確保するためのスペーサー34が配置されている。このような加湿エレメントを用いた加湿器の構造例としては、図24に示すものが挙げられる。この加湿器は、中空構造体33からなる加湿エレメントを、通風路を確保するための波板状のスペーサ35とともに渦巻状に巻き上げ、取付枠36に収納して構成されている。
【0003】
このように構成された加湿器を運転するには、給水口37より加湿用水を袋帯状の中空構造体33の内部に供給し、取付枠36の開口部へと空気を送る。これにより、中空構造体33の内部の水は、疎水性高分子多孔質膜31を介して水蒸気として外部へ放出され、加湿が行われる(特開昭60−171337号公報、特開昭61−250429号公報等)。
【0004】
ところが、このタイプの加湿器は、前記袋帯状の中空構造体の内部に加湿用水が給水されると、中空構造体が膨張して空気の通路を狭くするために、加湿効率が低下したり、空気の圧力損失が増大したりする。このような不具合を防ぐために、波板状スペーサの波形のピッチを微小化して、微小間隔で中空構造体を押さえることが考えられる。しかし、このようにすると、波板状スペーサとシートとの接触面積が大きくなるため加湿面積のロスが大きくなる上、スペーサが微小間隔で波形状をしているため空気抵抗が大きくなるという欠点がある。また、内部水圧によるシートの破壊を防ぐために、加湿エレメントにおいて図23の32で示すような補強材を設けることが不可欠であった。
【0005】
一方、疎水性高分子の多孔質シートを用いた透湿膜式加湿器の別の例として、図25に示すような中空の枠を用いたものがある。これは、例えば厚さ5mm程度のアルミニウム板あるいはプラスチック板を用いて形成された中空の枠に、疎水性高分子多孔質膜を両面に貼り合わせ、加湿ユニット38としたものである(図では疎水性高分子多孔質膜は省略してある)。隣接する中空部を仕切る枠部分には両中空部を連通させる貫通孔が設けてある。なお、図中37は給水口である。
【0006】
このような構造の加湿器の場合、加湿ユニット38に給水口37から加湿用水を供給すると、水の自重により疎水性高分子多孔質膜が膨れ、やがて膜はクリープを引き起こし耐水圧が低下し、水漏れが発生してしまう。このような不具合を改善するためには、膜が膨れないようように中空部の個数を多くするとともに各中空部の大きさを小さくして、中空枠と膜とを微小間隔で接着すればよい。しかしながら、このようにすると、中空枠と疎水性高分子多孔質膜との接着部は透湿性がないため加湿面積のロスが大きくなるという欠点がある。また、アルミニウムやプラスチックからなる中空枠はコスト高になり、しかも大型のものが作り難いという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するものであって、加湿用水の給水後も膨れが生じず、補強材の不要な加湿エレメント及び加湿ユニットを提供することをその課題とする。
また、本発明は、加湿効率が大幅に向上し、しかも低コストで製造できる加湿エレメント及び加湿ユニットを提供することを別の課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題を解決するため、吸水性材料層の両面に水蒸気透過性で水不透過性の合成樹脂層を部分的接着により積層してなるシートの周縁部を閉じた構造の加湿エレメント本体と、該加湿エレメント本体の少なくとも一方の面上にあらかじめ支持されたスペーサとからなることを特徴とする加湿エレメントが提供される。
また、本発明によれば、上記構成において、該スペーサが、軸方向がシート面とほぼ平行となるように互いに間隔をおいて配された複数の棒状スペーサであることを特徴とする加湿エレメントが提供される。
また、本発明によれば、吸水性材料層の両面に水蒸気透過性で水不透過性の合成樹脂層を部分的接着により積層してなるシートの周縁部を閉じた構造の加湿エレメント本体が、シート面同士が密着しないようにかつ通風が可能なように、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された複数の棒状スペーサを介して渦巻状に巻回され、かつ該加湿エレメント本体が給水口を有することを特徴とする加湿ユニットが提供される。
さらに、本発明によれば、吸水性材料層の両面に水蒸気透過性で水不透過性の合成樹脂層を部分的接着により積層してなるシートの周縁部を閉じた構造の加湿エレメント本体が複数、シート面同士が密着しないようにかつ通風が可能なように、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された複数の棒状スペーサを介して互いに平行に配列され、かつ該加湿エレメント本体が給水口を有することを特徴とする加湿ユニットが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の加湿エレメントについて詳細に説明する。
本発明の加湿エレメントは、吸水性材料層(以下水吸収層と称することもある)の両面に水蒸気透過性で水不透過性の合成樹脂層を部分的接着により積層してなるシート(以下加湿用シートと称することもある)の周縁部を閉じた構造の加湿エレメント本体と、該加湿エレメントの少なくとも一方の面上にあらかじめ支持されたスペーサとからなることを特徴とする。
【0010】
まず本発明の加湿エレメントに使用される加湿用シートについて説明する。
本発明において使用される加湿用シートの基本的構成は図1で示される。図1において、1は水吸収層、2A及び2Bは合成樹脂層である。この加湿用シートの透湿度は、1万g/m2・day以上であればいくらでも良いが、結露等の問題を考慮すると好ましくは3万〜10万g/m2・dayである。
【0011】
水吸収層1は、加湿用水を吸収、保持することが可能な吸水性材料からなる。水吸収層1の厚さは0.1〜50mm、好ましくは1〜5mmである。水吸収層1に使用する吸水性材料は、当該加湿用シートを用いて作製した加湿エレメントを使用した加湿器の運転時に、合成樹脂層2A、2Bを介して加湿用水を水蒸気として放出するものであればよく、適宜の材料が使用可能であるが、(i)不織布、(ii)織布、(iii)編布、(iv)発泡性材料、(v)多孔性焼結体の使用が特に好ましい。
【0012】
上記(i)の不織布としては、普通の不織布が使用可能であるが、一般的には、厚さ0.1〜50mm、好ましくは1〜5mm、目付け10〜5000g/m2、好ましくは50〜500g/m2のものが使用される。例えば、アクリル樹脂の不織布(一例として厚さ3mm、目付け300g/m2)、ポリプロピレン樹脂の不織布(一例として厚さ3mm、目付け50g/m2)等を用いることができる。
【0013】
上記(ii)の織布としては、一般的には、5〜5000デニール、好ましくは200〜1000デニールの繊維を織ったもの、例えば、500デニールのアクリル繊維の平織の織布、200デニールのビニール繊維を織り込んだもの等を用いることができる。
【0014】
上記(iii)の編布としては、一般的には、厚さ0.1〜50mm、好ましくは1〜10mm、開口率30〜98%、好ましくは60〜90%のもの、例えば、500デニールのポリプロピレン繊維を20×22メッシュ/インチに編みこんだもの、編み目が5×5mm、厚さ4mmのネット等を用いることができる。
【0015】
上記(iv)の発泡性材料としては、連続孔を有する発泡体、例えばポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等を使用することができる。一般的に、発泡性材料で形成したシートの厚みは0.1〜50mm、好ましくは1〜10mm、空隙率は20〜98%、好ましくは60〜90%、セル数3〜500個/インチ、好ましくは5〜15個/インチである。
【0016】
上記(v)の多孔性焼結体としては、プラスチックのビーズを熱若しくは接着剤を用いて接合、一体化した多孔性材料、例えば、直径が100μm程度のポリビニルアルコールビーズなどを焼結させたもの、直径が300μm程度のポリエチレンビーズを焼結させたもの等を用いることができる。一般的に多孔性焼結体で形成したシートの厚さは0.1〜50mm、好ましくは1〜10mm、空隙率は20〜95%、好ましくは60〜80%である。
【0017】
合成樹脂層2A、2Bは、水蒸気透過性で水不透過性であることが必要で、水吸収層1に吸収、保持された加湿用水の漏出を防ぎ、加湿用水を水蒸気として外部に放出させ、供給される空気を加湿する機能を有する。合成樹脂層2A、2Bの透湿度は1万g/m2・day以上であれば良いが、結露等の問題を考慮すると好ましくは3万〜10万g/m2・dayである。また、合成樹脂層2A、2Bの厚さは、3〜1000μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μmである。
【0018】
合成樹脂層2A、2Bに使用する材料は上記の機能を備えたものであればよく、適宜の材料が使用可能であるが、(i)合成樹脂多孔質膜、(ii)透湿性を有する合成樹脂無孔質膜の使用が好ましい。
【0019】
上記(i)の合成樹脂多孔質膜としては、下記のものの使用が特に好ましい。
(a)疎水性多孔質膜
(b)高分子多孔質膜に透湿性樹脂を無孔質構造で含浸させたもの
(c)高分子多孔質膜に無孔質構造の透湿性樹脂膜を積層したもの
(d)高分子多孔質膜に透湿性樹脂を無孔質構造で含浸させるとともに、無孔質構造の透湿性樹脂膜を積層したもの
(e)高分子多孔質膜の骨格表面を撥水性及び撥油性を有する有機ポリマーで被覆し且つ連続孔を残したもの
【0020】
上記(a)の疎水性多孔質膜としては、合成樹脂より得られる公知の疎水性の連続多孔質体、例えばポリオレフィン樹脂系の多孔質体、フッ素樹脂系の多孔質体等が使用可能である。ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の連続多孔質体を用いる場合は、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤等により撥水処理を付与することができる。フッ素樹脂系多孔質体としては、ポリテトラフルオロエチン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の多孔質体が使用できるが、なかでもポリテトラフルオロエチレンを延伸処理して得られる多孔質体は、耐薬品性、耐熱性、耐圧性に優れ特に好ましく使用される。
【0021】
疎水性多孔質膜の平均孔径は、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μmである。疎水性多孔質膜の平均孔径が0.01μmより小さいと膜製造上の困難さがあり、逆に10μmを超えると不純物、異物が付着しやすくなって好ましくない。
疎水性多孔質膜の空孔率は、50〜98%、好ましくは60〜95%である。疎水性多孔質膜の空孔率が50%より小さいと水蒸気の透過量が少なくなって、加湿量が不十分になり、逆に98%を超えると膜の強度が低下してしまう。
また、疎水性多孔質膜の厚さは、5〜300μm、好ましくは30〜60μmが適当である。疎水性多孔質膜の厚さが5μmより薄いと製造時の取扱い性に問題が生じ、300μmを超えると水蒸気の透過効率が低下し十分な加湿量がとれない。
【0022】
上記(b)の高分子多孔質膜に透湿性樹脂を無孔質構造で含浸させたものにおいて、高分子多孔質膜としては、耐熱性、耐腐食性を有するものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の多孔質体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル等の多孔質体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂の多孔質体等が使用できるが、なかでもポリテトラフルオロエチレンを延伸処理して得られる多孔質体は、耐熱性、耐薬品性に優れ好ましい。なお、ここで用いる高分子多孔質膜は疎水性でなくてもよい。
【0023】
この場合、高分子多孔質膜の平均孔径は、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μmである。この孔径が大きすぎると、特に透湿性樹脂を含浸により複合化する場合に薄層化が困難になる。
高分子多孔質膜の空孔率は、5〜95%、好ましくは80〜95%である。空孔率が小さすぎると合成樹脂層の水蒸気透過量が減少し、また大きすぎると多孔質膜の強度が低下する。
また、高分子多孔質膜の厚さは、5〜1000μmが好ましく、あまり薄いものでは透湿性樹脂を含浸させるための基体として十分ではない。
【0024】
高分子多孔質膜に含浸させる透湿性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基等の親水性基を持つ高分子材料であって、水膨潤性で且つ水不溶性のものが好ましく用いられる。具体的には、少なくとも一部が架橋されたポリビニルアルコール、酢酸セルロース、硝酸セルロース等の親水性ポリマーや、ポリアミノ酸、ポリウレタン樹脂、親水性含フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を例示することができるが、耐熱性、耐薬品性、加工性、透湿度等を考慮に入れるとポリウレタン樹脂、フッ素系透湿性樹脂の使用が特に好ましい。
【0025】
ポリウレタン樹脂としては、無孔質の親水性ポリウレタン系樹脂が好ましく用られる。この無孔質の親水性ポリウレタン系樹脂は、通常親水性の高いポリオールとポリイソシアネート化合物を主原料として反応させて得られる。親水性の高いポリオールとしては、例えばポリオキシエチレングリコールを用いることができるが、透湿性の向上、硬化速度の向上等を目的としてポリオキシアルキレンポリオールの使用も有効であり、またジオール類を併用することもできる。この反応により得られたイソシアネート基含有プレポリマーは、このプレポリマーの硬化剤との組み合わせにより二液型の組成物として用いることができる。硬化剤としては、ジオールやジアミンが用いられる。また、硬化剤を含まない一液型の組成物として、空気中の水分などにより硬化させるようにしてもよい。あるいは、二液型組成物と一液型組成物を併用することもできる。
【0026】
フッ素系透湿性樹脂としては、スルホン酸系パーフルオロイオン交換樹脂、特開平4−139237号公報に開示されている含フッ素モノマーと親水基含有モノマーとのコポリマー等の使用が望ましい。
【0027】
高分子多孔質膜に透湿性樹脂を含浸させる場合、高分子多孔質膜の厚さ方向の全部にわたって含浸させてもよいし、その一部において含浸させてもよい。
透湿性樹脂を含浸させた部分の厚さは、1〜30μm、好ましくは5〜15μmである。この部分の厚さが厚すぎると水蒸気透過量の低下をもたらし、加湿能力が不十分となり、薄すぎるとピンホールが無く均一に製膜を行うことが困難となる。
【0028】
多孔質高分子膜に透湿性樹脂を含浸させる方法としては、例えば以下のような方法を用いることができる。
透湿性樹脂がポリウレタン系樹脂の場合には、ポリオールとポリイソシアネートの2成分を混合し硬化反応が終了する前の流動性がある状態で塗布した後、加熱硬化させる方法を用いることができる。
透湿性樹脂がフッ素系樹脂の場合には、アルコール、ケトン、エステル、アミドあるいは炭化水素のような有機溶媒中に溶解させた溶液を塗布した後、脱溶剤する方法が挙げられる。
透湿性樹脂がシリコーン樹脂の場合には、トルエン等の有機溶媒中に溶解させ、その溶液を塗布した後、脱溶媒する方法が挙げられる。
上記において、塗布の具体的方法としては、グラビアロール、リバースロール、ドクターロール、キスロール等を用いた方法やディッピング法等が挙げられる。
【0029】
上記(b)においては、高分子多孔質膜に透湿性樹脂を無孔質構造で含浸させたものを挙げたが、上記(c)のように、高分子多孔質膜に無孔質構造の透湿性樹脂膜を積層したものも使用可能である。
この場合、高分子多孔質膜としては上記(b)において使用される材料ものと同様な材料を同様にして用いることができる。また、透湿性樹脂膜にも上記(b)において使用される材料と同様な材料を用いることができる。
透湿性樹脂膜の厚さは、500μm以下、好ましくは1〜100μmである。この部分の厚さが厚すぎると水蒸気透過量の低下をもたらし、加湿能力が不十分となり、薄すぎるとピンホールが無く均一に製膜を行うことが困難となる。
高分子多孔質膜に無孔質構造の透湿性樹脂膜を積層する方法としては、例えば、グラビアロールを用いて、接着剤を転写しラミネートする方法、熱融着法等を用いることができる。
【0030】
また、合成樹脂層2A、2Bとしては、上記(d)のように、高分子多孔質膜に透湿性樹脂を無孔質構造で含浸させるとともに、無孔質構造の透湿性樹脂膜を積層させたものも使用可能である。
【0031】
さらに、上記(e)の高分子多孔質膜の骨格表面を撥水性及び撥油性を有する有機ポリマーで被覆し且つ連続孔を残したものにおいて、高分子多孔質膜としては、上記(b)と同様のものを用いることができる。
この場合、骨格表面を被覆する有機ポリマーは、撥水性及び撥油性を有する有機ポリマーであれば特に限定されないが、例えば、フッ素化有機側鎖を繰り返し現われるペンダント基として有するポリマーを好適に用いることができる。
【0032】
このようなポリマー及びそれを多孔質高分子膜に複合化する方法の詳細についてはWO 94/22928公報などに開示されており、その一例を下記に示す。
(式中、nは3〜13の整数、RはHまたはCH3である)で表わされるフルオロアルキルアクリレート及びフルオロアルキルメタクリレートを重合して得られるポリマー(フッ素化アルキル部分は6〜16の炭素原子を有することが好ましい。)の水性マイクロエマルジョン(平均粒径0.01〜0.5μm)をフッ素化界面活性剤(例、アンモニウムペルフルオロオクタノエート)を用いて形成し、それを多孔質高分子膜に適用し、加熱すると水とフッ素化界面活性剤が除去されるとともに、フッ素化ポリマーが溶融して多孔質基材の骨格を被覆し、かつ連続孔を維持した、目的の撥水性・撥油性多孔質膜が得られる。
また、他の有機ポリマーとして、「AFポリマー」(デュポン社の商品名)、「サイトップ」(旭硝子社の商品名)なども使用できる。これらの有機ポリマーを高分子多孔質膜の骨格表面に被覆するには、例えば「フロリナート」(3M社の商品名)などの不活性溶剤にこれらのポリマーを溶解させ、高分子多孔質膜に含浸させた後、溶剤を蒸発除去する等の方法で行う。
【0033】
また、合成樹脂層2A、2Bには、上述のように透湿性を有する合成樹脂無孔質膜を使用することもできる。この合成樹脂無孔質膜に使用する材料としては、上記(b)において使用した透湿性樹脂を使用することができる。
【0034】
透湿性樹脂無孔質膜の厚さは、通常3〜400μm、好ましくは5〜30μmである。透湿性樹脂無孔質膜の厚さが厚すぎると水蒸気透過量の低下をもたらし、加湿能力が不十分となる。従って、透湿性樹脂無孔質膜で必要とされる機械的強度、耐用性を満足させる範囲で極力薄い方が好ましい。
【0035】
加湿用シートにおいて、水吸収層1と合成樹脂層2A、2Bは部分的接着により積層され、実質的に三層一体化された状態となっている。ここで水吸収層1と合成樹脂層2A、2Bとの積層は、公知の方法で行うことができる。
例えば、水吸収層材料にグラビアパターンを施したロールでウレタン系接着剤を塗布し、その上に合成樹脂層を合わせてロールで圧着する。この工程を水吸収層の上下面に連続して行う。この場合、接着剤を合成樹脂層面に塗布し、これを水吸収層に圧着してもよい。水吸収層と合成樹脂層の接着面積は、水蒸気の透過面積を減少させない意味でできるだけ少ない方がよく、全接合面積の3〜97%、好ましくは5〜60%、より好ましくは20〜40%である。本発明においては、このため点接着、線接着等の部分接着法を採用する。
また、水吸収層の両側に合成樹脂層を重ねて三層構造とし、これをヒートロールに通して、水吸収層の表面の一部を熱により融着して積層してもよい。この場合の接着面積も上記と同様である。ただし、接着剤自体に透湿性を有する場合、上記外でもよい。
【0036】
水吸収層の両面に積層される合成樹脂層には、必ずしも同じ材料を用いる必要はない。即ち、例えば、水吸収層の片面には透湿性樹脂からなる合成樹脂無孔質層を設け、他の面には疎水性多孔質膜からなる合成樹脂層を設けることもできる。同様に、合成樹脂層を適宜組み合わせて加湿用シートを得ることができる。
【0037】
この加湿用シートは、水吸収層と合成樹脂層が実質的に一体的に積層された三層一体構造となっているため、従来の中空状の加湿用膜材と比較して、強度的にも改善されたものとなっており、合成樹脂層の外側に織布、不織布、編布等の補強材を積層して内部水圧によるシートの破壊を防ぐといった必要はない。しかしながら、製造時における合成樹脂層の損傷を防止する等の意味でこれを設けることは一向に差し支えない。
【0038】
次に、本発明の加湿エレメントに使用される別の加湿用シートについて説明する。
図2はこの加湿用シートの基本的構成を模式的に示す斜視断面図で、この加湿用シートは、図1に示す加湿用シートにおいて、水吸収層1に、加湿用水の通路となり、かつ加湿用水から析出する不純物を収容するための溝3を形成したものである。
【0039】
本発明者らの更なる検討によると、図1に示す加湿用シートを用いて構成した加湿エレメントを使用した加湿ユニットを長期間に渡って運転した場合、加湿用水に含まれるカルシウム分等の不純物が水吸収層に析出して、水吸収層材料の目詰まりを引き起こし、加湿効率の低下を招く傾向があることを確認するとともに、水吸収層1に溝3を形成することにより、加湿用水から析出した不純物が該溝3に収容され、前記不具合が改善できることを確認した。なお、この溝は加湿用水の通路としての機能も有する。
【0040】
溝3の幅、深さ、長さ、断面形状等は、加湿用シートの耐用年数、加湿器の運転条件、水質等を考慮して決定すべきであるが、一般に、幅1〜50mm、好ましくは5〜10mm、深さ0.1〜50mm、好ましくは2〜10mmの溝を適宜の位置に1個又は複数個設ける。図3(a)は溝3を水吸収層1の両側に設けた例である。溝3の深さは、場合によっては、水吸収層1の厚さ方向全体に渡って設けてもよい。加湿用シートを矩形又は帯状に成形する場合、溝3は長さ方向に平行に1個又は複数個設けると好適である。また、図3(b)に示すように、2枚の水吸収層のそれぞれの片側に長手方向と平行に溝を形成し、溝を形成した面を向かい合わせて積層する等の方法により、厚さ方向の中間部に溝を有する水吸収層とすることもできる。
【0041】
次に、本発明の加湿エレメントについて説明する。
本発明の加湿エレメントにおける加湿エレメント本体の基本構成は、上記した加湿用シートを適宜の形状に成形し、その周縁部を閉じたものからなる。その基本的構成は、例えば図4及び図5で示される。図4、図5において、1は水吸収層、2A及び2Bは合成樹脂層、3は溝、4は閉じられた周縁部である。
【0042】
本発明の加湿エレメント本体の形状は特定の形に限定されず、矩形、帯状、方形、円形等適宜の形状とすることができる。
本発明の加湿エレメント本体においては、上述のように周縁部が閉じられるが、この閉じ方としては、熱融着又は接着剤により接合する方法等を用いることができる。熱融着により行う場合は、例えば、温度195℃、圧力3kg/cm2、速度1m/分の条件で熱ロールを用いてシートの中間部に位置する水吸収層材料を溶かして行うことができる。
【0043】
本発明の加湿エレメント本体には、後述するように給水口が取り付けられる。また、本発明の加湿エレメント本体には、排水口を設けることができる。この排水口は、上記の給水口と同様、例えば一端部が加湿用シートの水吸収層に通じ、他端部が加湿用シートの外部に突出しているプラスチックチューブを設けるなどして設置することができる。排水口を設置すると、加湿用シート内に給水された加湿用水を加湿用シートの洗浄のために排出したり、あるいは、加湿器の運転中に排水口から一定量の水を連続的に又は間欠的に排出して、加湿用水の流れを作り、加湿用シートの目詰まりが発生しにくくすることができる。
【0044】
また、本発明の加湿エレメント本体には、図6に示すように、空気抜き手段として、通気性で水不透過性の素材からなるチューブ5を取り付けることができる。このチューブ5は、その一端部が加湿用シートから外部に出るように取り付けられる。
チューブ5を構成する通気性で水不透過性の素材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いることができる。
また、チューブ5は、加湿用シートの水吸収層1の長さ方向のほぼ全体にわたって設けられた溝3内に配置することもできる。
上記チューブ5を設置すると、加湿用シートへの最初の給水時に、加湿用シート内に存在している空気はチューブ5により速やかに捕集され、水による空気置換を速やかに行うことができるようになる。
なお、合成樹脂層2A、2Bが疎水性多孔質膜や、高分子多孔質膜の骨格表面を撥水性及び撥油性を有する有機ポリマーで被覆しかつ連続孔を残したもの等のように通気性を有する膜とした場合には、空気抜きチューブの設置は不要である。
【0045】
また、本発明の加湿エレメント本体には、加湿用シートの一部に合成樹脂層を被覆していない部分を設けるとともに、該部分に水不透過性で通気性の膜を空気抜き手段として設置することができる。図7にその一例を示す。図において6は合成樹脂層2Aが設けられていない部分で、その部分に水不透過性の通気性膜7が設置されている。水不透過性で通気性の膜材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いることができる。
このような構成としても、上記チューブ5を設けた場合と同様、加湿用シートへの給水時に速やかに水による空気置換を行うことが可能となる。
なお、合成樹脂層2A、2Bが疎水性多孔質膜や、高分子多孔質膜の骨格表面を撥水性及び撥油性を有する有機ポリマーで被覆しかつ連続孔を残したもの等のように通気性を有する膜とした場合には、水不透過性の通気性膜7の設置は不要である。
【0046】
本発明の加湿エレメントは、加湿エレメント本体の少なくとも一方の面上にあらかじめ支持されたスペーサを有するものである。このスペーサとしては、適宜の形状のものが使用可能であるが、ユニット化した際にシート面同士が密着しないようにかつ通風が可能なように、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された棒状スペーサが特に好ましい。ここで、棒状スペーサとは、単独で棒状、パイプ状となっているもののほか、図10に示すようにピン状のもの或いは図13に示すように螺旋状のもので、加湿エレメント本体に取り付けられたときにシート面上の部分が棒状体、パイプ状体と同じ作用を行うものをも含む。
【0047】
棒状スペーサを用いると、波板状スペーサを用いた場合と比ベ、スペーサとシートとの接触面積を大幅に減少でき、単位体積当たりの加湿面積をより増大させることが可能となる。
また、棒状スペーサを用いると、波板状スペーサを用いた場合と比べ、被加湿空気の加湿ユニット通過時の抵抗(圧力損失)を非常に小さくすることができる。つまり、風を発生するファンのエネルギーが少なくて済み低燃費となる。そして、圧力損失が小さい加湿エレメントは、低出力のファンを設置している家庭用加湿ユニットへの使用に特に好適なものとなる。また、スペーサに使用する棒、パイプ、ピン等は非常に安価であり、波板状スペーサに比べ材料費を低減できる。
【0048】
ここで、本発明による加湿エレメントと従来の袋状中空膜を用いた加湿エレメントにおける加湿面積、圧力損失の評価結果を述べる。
<従来品A>
波板状スペーサ:幅120mm、高さ3.5mm、ピッチ6.5mm
袋状中空膜:100μmの厚さのPTFE疎水性多孔質膜に200μmの厚さのナイロン製織物を接着剤を用いて接着した膜で作製しその幅を120mmとした。
上記スペーサを介して2枚の袋状中空膜を重ねた状態の断面は、模式的に図8で示される。図8において、11は袋状中空膜、12は波板状スペーサである。この場合の波板の山部と袋状中空膜との接触幅は1.5mmであった。
<本発明品B>
棒状スペーサ:長さ120mmの3.5mm角棒:30mmピッチで配置
加湿エレメント:後記実施例1で得られた幅120mmのもの
上記スペーサを介して2枚の加湿エレメントを重ねた状態の断面は、模式的に図9で示される。図9において、13は加湿エレメント、14は棒状スペーサである。この場合、30mmピッチでスペーサを設けたにもかかわらず、加湿エレメントのたるみはなかった。A、B両者における膜100cm2当たりのスペーサとの接触面積はAが22.5cm2、Bが10.5cm2であり、本発明品Bの方が加湿面積を大きくできる。
また、前記した従来品A及び本発明品Bで用いたスペーサと加湿エレメント本体を渦巻状に巻いて加湿エレメントを作成し、風速2.5m/sの条件で圧力損失を測定したところ、圧力損失はAが8.6mmH2O、Bが5.8mmH2Oであり、本発明品Bの方が圧力損失は小さかった。
【0049】
本発明の加湿エレメントによれば、上記のような構成としたので、以下のような利点を有する。
(1)吸水性材料層(水吸収層)とその両面に設けられた合成樹脂層が部分的接着により積層され、実質的に三層一体化された構造となっているため、従来の袋帯状の中空構造体からなる透湿膜で構成された加湿エレメントと異なり、加湿用水を供給しても、シートの膨れが生じず、従って、ユニット化した場合、従来のように通風路が狭くなって加湿効率が低下したり、加湿する空気の圧力損失が増大したりする不具合がなくなる。
(2)膨れが生じず、一定の厚さを有する加湿エレメントのため、品質が安定したものとなる。
(3)上記したように実質的に一体の積層構造となっているため、従来の袋帯状の中空構造体からなる透湿膜で構成された加湿エレメントと異なり、内部水圧によるシートの破壊を防ぐための補強材を必要とせず、簡素な構造の加湿ユニットを製造することができる。
(4)加湿エレメント本体にあらかじめスペーサが支持されているため、加湿ユニットの製造が極めて簡単化される。
(5)棒状スペーサを用いた場合には、波板状スペーサの場合と比べ、スペーサとシートとの接触面積を大幅に減少でき、単位体積当たりの加湿面積をより増大させることが可能となる。
【0050】
次に、本発明の加湿ユニットについて説明する。
本発明による第1の加湿ユニットは、前記加湿エレメント本体が、シート面同士が密着しないようにかつ通風が可能なように、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された複数の棒状スペーサを介して渦巻状に巻回され、かつ該加湿エレメント本体が給水口を有することを特徴とする。
また、本発明による第2の加湿ユニットは、前記加湿エレメント本体が複数、シート面同士が密着しないようにかつ通風が可能なように、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された複数の棒状スペーサを介して互いに平行に配列され、かつ該加湿エレメント本体が給水口を有することを特徴とする。
棒状スペーサは加湿エレメント本体にあらかじめ支持されていてもよいし、ユニット化の際に装着するようにしてもよい。前者の場合は、前述の本発明による加湿エレメントをそのまま使用することができる。
【0051】
加湿エレメント本体を渦巻き状に巻きあげた場合には、給水は加湿エレメント本体に給水口を設けて行なえばよい。一方、加湿エレメント本体を複数個平行に配列した場合には、各加湿エレメント本体間の適宜の位置に板状体及び棒状スペーサを挟んで上下の加湿エレメント本体と接合し、板状体及び加湿エレメント本体を上下に貫通する給水用***を設ける。あるいは、貫通するように予め加湿エレメント本体と板状体に穴をあけておき、これを接合するようにしてもよい。接合には接着剤を用いるとよい。このように構成すると、加湿用水は、この給水用***を経由して、各加湿エレメント本体に供給され、加湿用シートの水吸収層全域に行き渡ることになる。なお、上記した板状体を挟み、貫通穴を設けた構造のものを、別途設けて、排水用***とするか、加湿用水を水吸収層に供給する時の空気抜き孔としてもよい。空気抜き孔とする場合は、下方の穴端部を閉じ、最上部の開口部に、前述した水不透過性で通気性の膜を設ければよい。その他、各加湿用シートにチューブ等を用いて給水口を設け、この給水口を経由して加湿用水を供給してもよい。
【0052】
この様にして形成された加湿ユニットは、取付枠に収納し、給水配管と接続し、送風手段により空気を送風することにより、空気を加湿することができる。
【0053】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明する。
【0054】
実施例1
目付100g/m2のポリプロピレン不織布(15デニール繊維を使用)の両面に、空孔率90%、透湿度7万g/m2・day、厚さ50μmの延伸多孔質PTFE(商品名:ゴアテックス)を熱融着にて接着し、幅80mmのリボン状シートを作成した。接着面積は約30%であった。熱融着は160℃の2kgf圧力でニップした熱ロール間を3m/minの速さで通すことにより行った。これの4辺はヒートシールで熱融着し、水漏れが起こらないようにした。この様にして、8m×0.08mの加湿エレメント本体を作成した。
次に、この加湿エレメント本体の半分4mに図10で示されるようなプラスチック製ピン15を30mmピッチで差し込み、また、端部には給水口17を設けて、加湿エレメント16とした。これを図11に示す。次に、加湿エレメント16の中心部に芯18を入れて巻き、図12に示されるような加湿ユニット19を作成した。
【0055】
実施例2
セル数20±4、密度30±3kg/m3のオープンセル構造をしたウレタンフォームの両面に、片面に5μm厚のウレタン層を有する延伸多孔質PTFE膜(厚さ10μm、透湿度8万g/m2・day)のウレタン層面側をウレタン系接着剤にてグラビアロールを用いて全体を点状に接着して、積層膜とした。接着面積は約30%であった。これを80mm間隔が空いた2組の熱ロール(幅5mm)を用い5kgfの圧力でニップした隙間を通し、その後カットして幅80mmの幅方向両端を水が漏れないようにシールしたリボン状シートを成型した。
このリボン状シートを4m長さで切断し、切断面をヒートシールで水漏れが起こらないようにシールし、加湿エレメント本体とした。
得られた4m×0.08mのリボン状加湿エレメント本体を2枚で1加湿ユニットを作成する。この2枚の加湿エレメント本体の1枚に図13で示されるように、外径3mmφの塩化ビニル製チューブを螺旋状に巻き付け、接着剤で固定した。これをもう1枚の加湿エレメント本体と重ね巻き、末端に共通の給水口を設け、その模式断面が図14で示される加湿ユニットを作成した。なお、本加湿エレメント本体は空気を非常に通し難く、給水しにくいので膜内部に延伸PTFEチューブを施した(図6参照)。もちろん、別方法として、ベントフィルターとして多孔質延伸PTFEを貼り付け空気抜きを行うこともできる(図7参照)。図13及び14において、16’は加湿エレメント本体、17は共通の給水口、18は芯、20は塩化ビニル製チューブである。
【0056】
実施例3
セル数20±4、密度30±3kg/m3のオープンセル構造をしたウレタンフォームの両面に、延伸多孔質PTFE(商品名:ゴアテックス)の微細骨格に撥水性ポリマーであるテフロンAF2400(デュボン社製)をコーティングしかつ多孔質構造を残したもの(厚さ30μm、透湿度10万g/m2・day)を、ウレタン系接着剤にてグラビアロールを用いて全体を点状に接着して、積層膜とした。接着面積は約20%であった。これを実施例2と同じ方法で、幅80mmの幅方向両端を水が漏れないようにシールしたリボン状シートを成型した。
このリボン状シートを0.3m長さで切断し、切断部をヒートシールで水漏れが起こらないようにシールした。図15に示されるように、この加湿エレメント本体16’に、4mm×4mm×90mm長さの角棒21を30mmピッチで接着し、端には板22を接着した。そしてこれを1加湿エレメント23として、図16に示されるような加湿ユニットを作成した。
【0057】
実施例4
目付100g/m2のポリプロピレン不織布(15デニール繊維を使用)の両面に、空孔率90%、透湿度10g/m2・day、厚み50μmの延伸多孔質PTFE(商品名:ゴアテックス)を熱融着にて接着し、積層構造の幅80mmのリボン状シートを作成した。接着面積は40%であった。熱融着は160℃の2kgf圧力でニップした熱ロール間を3m/minの速さで通すことにより行った。これの4辺はヒートシーラで熱融着し、水漏れが起こらないようにした。このようにして、8m×0.08mの加湿エレメント本体を作成した。
これを図17に示されるように、一定の隙間を開けながら螺旋状に巻き、これに図18に示されるような一体成型されたスペーサを挿入し加湿ユニットを作製した。
なお、スペーサの配置を図19のようにすると、スペーサの効果がより発揮される。
【0058】
実施例5
実施例4において、図20で示されるような形状の角柱A(ポリプロピレン樹脂棒)及びこれの支持体B(ポリプロピレン樹脂のホットメルト棒)からなる成型品を製作し、加湿エレメントを螺旋状に巻く時にこれを一緒に巻き込んで、加湿ユニットを作成した。
なお、この場合、Aの材質は特に限定されないが、Bの材質はホットメルト以外では軟質グレードのプラスチック、及び針金や薄いアルミ板など折り曲げ可能な金属を用いる必要がある。また、支持体Bは角棒Aの両端部に2列設けてもよい。
さらに、通風可能なように、図21(側面図)及び図22(斜視図)で示されるごとくAとBは同一平面に位置しないように加工される必要がある。但し、針金や薄い材質のものをBに利用し、それが風の流れの抵抗にならない場合はその必要はない。
【0059】
【発明の効果】
本発明の加湿エレメント及び加湿ユニットは、前記構成としたことから、加湿用水を供給した際にシートの膨れが生ぜず、その防止策を講じる必要がないのみならず、スペーサと加湿エレメント本体との接触面積を大幅に減少することができるので、単位体積当たりの加湿面積が増大し、コンパクトで品質の安定した加湿器を低コストで作製できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加湿エレメントに使用する加湿用シートの基本的構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の加湿エレメントに使用する加湿用シートの別の基本的構成を模式的に示す斜視断面図である。
【図3】(a)及び(b)は溝の設置形態の別の2例を示す斜視断面図である。
【図4】本発明の加湿エレメント本体の基本的構成を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の加湿エレメント本体の別の基本的構成を模式的に示す断面図である。
【図6】空気抜き用チューブを取り付けた加湿エレメント本体の正面図である。
【図7】空気抜き用の通気性膜を設けた加湿エレメント本体の一部を示す断面図である。
【図8】従来の加湿エレメントの模式断面図である。
【図9】本発明の加湿エレメントの模式断面図である。
【図10】実施例1でスペーサとして使用したプラスチック製ピンの斜視図である。
【図11】実施例1で作成した加湿ユニットの製造過程を示す模式平面図である。
【図12】実施例1で得られた加湿ユニットの概略側面図である。
【図13】実施例2で作成した加湿エレメントの斜視図である。
【図14】実施例2で作成した加湿ユニットの重ね巻き前の模式断面図である。
【図15】実施例3で作成した加湿エレメントの概略斜視図である。
【図16】実施例3で作成した加湿ユニットの概略斜視図である。
【図17】実施例4で作成した加湿エレメント本体の螺旋状巻きあげ品の概略斜視図である。
【図18】実施例4で加湿ユニット作成に使用した一体成形されたスペーサの概略斜視図である。
【図19】スペーサのより好ましい配置を示す平面図である。
【図20】実施例5で加湿ユニット作成に使用した一体成型スペーサの正面図である。
【図21】実施例5で加湿ユニット作成に使用した一体成型スペーサの側面図である。
【図22】実施例5で加湿ユニット作成に使用した加湿エレメントの概略斜視図である。
【図23】従来の加湿エレメントの断面図である。
【図24】従来の加湿ユニットの概略斜視図である。
【図25】従来の別のタイプの加湿エレメントの概略斜視図である。
【符号の説明】
1 水吸収層 2A、2B 合成樹脂層
3 溝 4 周縁部
5 空気抜き用チューブ 7 通気性膜
11 袋状中空膜 12 波板状スペーサ
13 加湿膜 14 棒状スペーサ
15 プラスチック製ピン 16 加湿エレメント
16’加湿エレメント本体 17 給水口
18 芯 19 加湿エレメント
20 塩化ビニル製チューブ 21 角棒
22 板 23 加湿エレメント
24 加湿ユニット A ポリプロピレン樹脂棒
B ポリプロピレン樹脂のホットメルト棒
31 多孔質膜 32 補強材
33 中空構造体 34 水流路確保用スペーサ
35 通風路確保用スペーサ 36 取付枠
37 給水口 38 加湿ユニット
Claims (5)
- 吸水性材料層の両面に水蒸気透過性で水不透過性の合成樹脂層を部分的接着により積層してなるシートの周縁部を閉じた構造の加湿エレメント本体。
- 請求項1に記載の加湿エレメント本体と、該加湿エレメント本体の少なくとも一方の面上にあらかじめ支持されたスペーサとからなることを特徴とする加湿エレメント。
- 該スペーサが、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された複数の棒状スペーサであることを特徴とする請求項2に記載の加湿エレメント。
- 吸水性材料層の両面に水蒸気透過性で水不透過性の合成樹脂層を部分的接着により積層してなるシートの周縁部を閉じた構造の加湿エレメント本体が、シート面同士が密着しないようにかつ通風が可能なように、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された複数の棒状スペーサを介して渦巻状に巻回され、かつ該加湿エレメント本体が給水口を有することを特徴とする加湿ユニット。
- 吸水性材料層の両面に水蒸気透過性で水不透過性の合成樹脂層を部分的接着により積層してなるシートの周縁部を閉じた構造の加湿エレメント本体が複数、シート面同士が密着しないようにかつ通風が可能なように、軸方向がシート面とほぼ平行となるように配された複数の棒状スペーサを介して互いに平行に配列され、かつ該加湿エレメント本体が給水口を有することを特徴とする加湿ユニット。
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