JP3659507B2 - アクリル酸の精製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、粗製アクリル酸の精製方法に係り、特に、アクリル酸に水を添加して真空下で断熱冷却晶析することにより結晶を得て高純度精製アクリル酸を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業上、アクリル酸の製造は、近年プロピレンの直接酸化法によるプロセスが開発されて以来、これがアクリル酸製造法の主力となってきている。このプロピレンの直接酸化法によりアクリル酸を製造する場合、プロピレンの酸化過程で、低沸点、高沸点の各種プロピオン酸、酢酸、蟻酸などの酸類、アセトアルデヒド、アクロレイン、フルフラールなどのアルデヒド類などの不純物が副生される。
【0003】
この酸類やアルデヒド類は、原料プロピレンの接触気相反応による酸化反応において、副反応生成物として副生したもののほか、原料中に含まれる不純物が酸化されて、生成したものも含まれる。
【0004】
これらの副生成物を含んだ反応ガスは、一般に冷却、吸収、抽出、蒸留、結晶化などの方法によって、分離、精製され、製品としての高純度アクリル酸に精製される。
【0005】
高純度精製アクリル酸は、これを重合させることにより高分子体として、不織布バインダーや紙力増強用バインダーなどの用途に使用されるほか、ポリアクリル酸塩類として、一般的な高吸水性樹脂や、おむつの尿吸収剤、沈降分離用の凝集剤等に使用されている。
【0006】
この時、製品アクリル酸中に微量のアルデヒド類が不純物として存在していると、重合反応における誘導時間が長くなったり、得られた重合物の重合度が低く、高分子量の重合体とならなかったりする傾向が認められる。このために、従来より、様々な分離、精製法が提案されてきている。この代表的な方法は、蒸留(精留)法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、蒸留法に於ける分離、精製法では、フルフラール(沸点161.7 ℃)、ベンズアルデヒド(沸点179 ℃)等は、アクリル酸と会合性がみられ(アクリル酸の沸点142 ℃)、蒸留法で精製するためには、非常に高い段数と、還流比が必要となり、経済的ではない。
【0008】
また、アクロレインなどの低沸点アルデヒド類は、熱変化を受けて容易に二量体化し、または、水と水和して、水和物を形成するために、高沸成分となり缶出液となるアクリル酸液中に残存し、精留法では、10ppm 以下に精製することは困難である。
【0009】
このために、特開昭54−27520号公報には、精留法によりまず低沸点物質を分離した後、高沸点物質を分離し、続いて不活性ガスにより微量に含有する低沸点アルデヒド類を放散させて分離除去する方法が開示されている。また、特開昭57−88143号公報には、アクリル酸にα−アミノ酸を添加して蒸留することにより、アルデヒド類を除去する方法が提案されている。
【0010】
しかし、この種の蒸留または精留方法であっても、依然としてきわめて高い段数と、還流比が必要となり、経済的ではない。
【0011】
さらに、特にアクリル酸の蒸留精製においては、操作温度をできるだけ低く抑えるにしても、80℃程度の高温度となるために、蒸留塔内で重合反応を起こし、蒸留塔を閉塞させるトラブルが度々起こる。重合防止用のインヒビター剤を添加して、精留または蒸留操作をすることが一般に行われているが、完全に重合反応トラブルを避けられるほど多量には、製品純度の関係からインヒビター剤を添加することはできず、結果として、この種のトラブルの発生は避けられない状況である。
【0012】
したがって、本発明の課題は、従来より多く行われてきた蒸留(精留)法に従う精製法に代わって、アクリル酸中に存在する不純物をほぼ完全に、かつ容易に経済的な方法により除去して高純度のアクリル酸を得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、不純物を含む粗製アクリル酸からアルデヒド類の含有量が5ppm以下のアクリル酸を精製する方法であって、粗製アクリル酸に水を添加し、真空圧下で蒸発断熱冷却し、アクリル酸の結晶を晶出させるとともに、この蒸発と晶析過程において共存する母液の水分濃度を2〜10wt%とすることで解決できる。
【0014】
この場合、断熱冷却操作を2.0〜7.0Torrの真空圧力の下で行うことができる。晶析した結晶分を固液分離し、結晶ケーキを洗浄して、高純度精製アクリル酸を得ることができる。
【0015】
蒸発ベーパーを、結晶化させないで、実質的に全凝縮させ、結晶缶に還流することができる。
【0016】
この場合、蒸発ベーパーをコンデンサーに導き、このコンデンサーにおける熱交換器の冷却表面にアクリル酸を流すことにより、前記冷却面に氷の結晶が出るのを避けながら、コンデセートを結晶缶に還流することが望ましい。また、蒸発ベーパーをコンデンサーに導き、このコンデンサーにおける熱交換器の冷却表面に水を流すことにより、前記冷却面にアクリル酸の結晶が出るのを避けながら、コンデセートを結晶缶に還流することも好適である。
【0017】
【作用】
本発明者らは、経済的に劣る蒸留または精留法に代わって、収率が高くかつ経済的に優れた結晶化法をアクリル酸の精製に適用できないかとの観点から、鋭意研究を重ねた結果、水を少量添加した状態で、真空下に導入し、蒸発させて断熱冷却すれば、効率良くアクリル酸を結晶化させて、高純度のアクリル酸結晶を分離することができることを見出し、本発明の方法を完成した。
【0018】
一般に、吸収、抽出などの方法で回収された粗製アクリル酸は、95〜99%の純度のものであり、この粗製アクリル酸より、前記のアルデヒド類の含有量を5ppm 以下、望ましくは1ppm 以下にすることが望まれ、本発明によれば、かかる高純度精製アクリル酸を得ることができる。
【0019】
純品のアクリル酸の結晶化点は、+13.5℃である。従って上記の粗製アクリル酸は、固液平衡線に従って、+3℃〜+13℃の範囲にて冷却されて結晶化する。この冷却、結晶化させる工業的方法は一般に次の方法が考えられる。
【0020】
1)ジャケット付攪拌槽のような機器にて、内液のアクリル酸に対して、ジャケットにブライン等を流し、間接冷却して結晶を作る方法。
2)攪拌槽内へ、直接フレオン等を導入して、アクリル酸と直接接触させて沸騰蒸発させ、このフレオン等の蒸発潜熱により粗製アクリル酸を冷却し結晶を作る方法。
3)トルエン等の有機溶媒を添加して混合し、これを真空下へ導き、主にトルエン等の有機溶媒を蒸発させて、濃縮、冷却して結晶を出す方法。
4)粗アクリル酸をそのまま高真空器へ導入し、主に、アクリル酸自身を蒸発させ断熱冷却し、結晶を作る方法。
【0021】
以上の方法を工業的に実現させると、それぞれに一長一短があり、最適方法とは言い難い。
【0022】
しかしながら、本発明においては、水を2〜10wt%添加して、この液を真空下におき、主に水を蒸発させて断熱冷却する方法を採る。
【0023】
本発明で使用する冷媒は、純水であり、非常に安価で扱い易いものである。また、極く微量が製品に残ったとしても、それ程製品品質を損なう物ではない。したがって、品質の面からも、本発明は優れている。
【0024】
他方で、水を用いることによる利点として、本発明者は、研究の過程で、次のような驚くべき事実を発見した。それは、水の実質的に無い状態の粗製アクリル酸液を冷却晶出した場合と、水を2〜10%添加した組成で冷却晶出した場合は、結晶の晶癖が向上し、水を添加した場合は、非常に大きな結晶をたやすく成長させることができ、結晶の形も柱状晶でしっかりしている。これに対して、実質的に水の入っていない場合は、いくら除冷しても結晶が大きくならず、細かいままであった。さらに、それぞれの晶析に伴う結晶スラリーを固液分離して、洗浄した結晶も、水を添加した場合の方が、純度が高くなることである。
【0025】
このように、水添加は、ただ冷媒として働くのみならず結晶を大きくし、結晶体の純度を高くする効果が大きいことは、実用上きわめて有利である。
【0026】
本発明の基本となる原理は、粗製アクリル酸(すなわち、副生成物として、水、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のプロピレン直接酸化法によりアクリル酸を製造する場合に副成する不純物を様々な組成で含む原料であり、アクリル酸を90重量%以上含む)に対して、水を添加して、1〜7Torr、好ましくは1〜4Torrの真空圧力下で蒸発させて断熱冷却を行い結晶を生じせしめて、この時の結晶と共存する母液の組成として2〜10wt%の水を含むように、水の添加量を調節した方法である。
【0027】
水の添加方法は、あらかじめフィード液に加えて混合しておいてもよく、原液フィード配管とは別に、水を直接に結晶缶に供給する方法でもよく、またコンデンサーの凝縮液を結晶缶に戻す還流液の配管ラインに加えるようにしてもよい。
【0028】
真空圧力下で水を蒸発させ、断熱冷却させると、原液は、アクリル酸の飽和溶解温度に達し、結晶を生成し始める。この時、系は、固液平衡線に沿った割合で、結晶を増加してゆき、発生する結晶化熱は、さらに蒸発操作による蒸発潜熱により奪われる。
【0029】
この時、発生するベーパーの組成は、主に、水とアクリル酸および少量の不純物を含んだ組成の混合物であり、コンデンサーにより冷却されて凝縮液となる。この凝縮液は、水を多量に含んでおり、これを全量結晶缶へ戻す全還流操作を行ってもよいし、あるいは全量または一部を取り出して、不純物を除くために、他の処理系へ送ってもよい。
【0030】
この時、蒸発して来る混合ベーパーを実質的に全量凝縮させるためには、水分の添加量に応じた、全縮温度(0〜−12℃の範囲)まで冷却しなければならない。
【0031】
この場合、驚いたことには、本発明の操作範囲内において、次記の操作を行うことにより、結晶を析出させることなく凝縮させることができることを知見した。すなわち、本発明の採用に当って、結晶が多量に共存する結晶缶を冷却するに当って、その蒸発ベーパーをコンデンサーを用いて冷却する際に、コンデンサーの冷却面に全く結晶の析出を起こすことなく冷却できる。このことは、工業生産上において、非常に有利となる。この理由は、冷却面を融解するためのスイッチングが不要となり、伝熱速度を低下させることなく、常に高い伝熱速度で冷却ができるために、装置が単純で安価となり、長期の連続運転をきわめて安定した状態で行うことができるからである。
【0032】
すなわち、本発明において、母液の含水率の多い状態(たとえば8〜10wt%)では、実質的に全縮を行わせようとすると、氷が発生する(水の結晶)領域があるが、この時は、コンデンサーの表面に、アクリル酸原液を少量スプレーして流すことによって、アクリル酸の濃度を増し、凝縮液組成を共晶点に近い組成とし、結晶を析出することなく凝縮させることができる。逆に、含水率が低い領域(2〜3%程度)では、同様にコンデンサーの冷却面に水を流下させることにより、凝縮液を共晶点に近い組成として、結晶を析出することなく、凝縮させることができる。
【0033】
一方、図1は、アクリル酸−水系において、ある真空圧力下での気液平衡曲線および固液平衡曲線を表しており、真空断熱冷却にて、アクリル酸を結晶化する場合の固−液−気相関係を図示している。不純物が共存する場合は、これらの曲線は少々ずれるが、本発明においては、ほとんどをアクリル酸と水が占めるために、十分近似して説明できる。
【0034】
この図1を用いて本発明を説明すれば、点Aにおける組成、温度の原液が供給されるとして、これを破線で示される気液平衡が成り立つ真空圧力下に置かれると、蒸発冷却されてB点に到る。B点においては、アクリル酸の結晶が晶出し始める。この時に発生してくる結晶化熱は、蒸発潜熱により奪われる。発生する蒸気の組成は、C点で示される。このベーパーを全凝縮させると、点Dの状態となる。したがって、点Dが示す温度まで冷却することになる。この時、点Dは、固相線の上側に位置し、氷の結晶を発生させることなく、冷却させて全縮させることができる。点Eは共晶点であり、結晶を見ない最低温度の液組成である。
【0035】
本発明においては、晶析過程において共存する母液の水分濃度を2〜10wt%とする。2wt%未満の水分濃度では、操作する真空度が1Torr以下となり、ランニングコストの点から望ましくない。逆に10wt%を超えると、結晶化温度が−5℃以下となるために、結晶缶に霜が付着したり、連結する水の配管が凍結して安定した運転が困難となる。一方、水分濃度に応じて、安定した運転のための真空度が規定され、この真空度は2.0〜7.0Torrである。
【0036】
【実施例】
以下本発明を実施するための幾つかのフローを示しながら、本発明をさらに詳説する。
【0037】
図2は本発明の第1の態様を示したもので、攪拌機1を有する結晶缶2に対して、粗製アクリル酸の原液Fが供給管3を介して供給される、水Wは原液Fの供給経路とは別に直接結晶缶2に供給される。
【0038】
結晶缶2からの発生ベーパーは、連結管4を介してコンデンサー5に導かれ、このコンデンサー5に与えられる低温ブライン6により凝縮液(コンデンセート)が結晶缶2に供給される。コンデンサー5は真空発生装置7と連結されており、結晶缶2とコンデンサー5とが連結管4により連結されているので、結果として結晶缶2内が真空下に置かれる。
【0039】
結晶缶2内においては、水を添加した原液Fに対して、主に水の断熱蒸発操作が行われ、冷却に伴って生成した結晶を含む結晶スラリーは、管路8を介してポンプ9により固液分離装置10、たとえば遠心分離機に供給され、濾液は濾液槽11に一時貯留しながら、管路12を通って結晶缶2に返送される。濾液の一部は、残液13として系外に排出される。
【0040】
分離された結晶は、管路14を通して溶融機15に供給され、ここでスチーム16などの加熱源により溶融され、一部は製品17として取り出され、残部は返送管路18を通って、固液分離装置10に返送され、固液分離装置10において、管路8を通して送られてくる結晶の洗浄に用いられる。
【0041】
図3は、第2の態様を示したもので、原液Fに対して予め水を添加した後に、供給管3を通して結晶缶2に供給するとともに、結晶スラリーの分離および精製をサイクロン20付き溶融精製塔21により行うものである。
【0042】
結晶缶2で生成した結晶スラリーは、管路8を通してサイクロン20に導かれ、ここで結晶分が分離されて、溶融精製塔21の上部に供給される。溶融精製塔21には、低速度で回転する攪拌機22が設けられ、下部にはスチーム16などの加熱源が供給されるようになっており、溶融精製塔21内において、下部に移行する結晶分が下部においてスチーム16により溶融されて、製品17として取り出されるとともに、母液が上方に移行することにより、下部に移行する結晶分と向流的に接触して、結晶の洗浄が図られる。上部の清澄母液は、母液槽11Aおよび管路12に通して結晶缶2に返送される。
【0043】
図4は、第3の態様を示したもので、第1の態様においては、原液Fを結晶缶2に供給したが、第3の態様では、原液Fをコンデンサー5Aに散布して供給するとともに、水Wを直接結晶缶2に供給するようにしたものである。コンデンサー5Aにおいては、原液Fが結晶缶2から連結管4を通って移行する発生ベーパーと接触し、その発生ベーパーの一部が原液Fに対して吸収され、かつ低温ブライン6が流通されることにより凝縮が図られ、吸収凝縮液は結晶缶2に返送管路4Aを通して供給される。
【0044】
図5は、第4の態様を示したもので、第1の態様と異なる点は、固液分離装置10での濾液の一部を、管路23を通して、吸収コンデンサー5Aに導き、結晶缶2での発生ベーパーと接触させて吸収凝縮を図りながら、返送管路4Aを通して結晶缶2に導くようにしたものである。
【0045】
図6は、第5の態様を示したもので、第3の態様に対して、原液Fは結晶缶2に供給するとともに、水Wを吸収コンデンサー5Aに散布するものである。
【0046】
前述の第1の態様〜第5の態様のいずれでも、粗製アクリル酸を精製でき、アルデヒド類を5ppm 以下にまで分離でき、高純度のアクリル酸を得ることができる。
【0047】
〔実験例〕
以下本発明の効果を実験例により説明する。
(実験例1)
25℃の粗製アクリル酸(酢酸1.5 %、プロピオン酸0.3 %、アクロレイン0.03%、フルフラール0.05%、その他の微量不純物を含み、アクリル酸含量97.7%のもの)500gを1リットルの三つ口セパラブルフラスコに張込んだ。フラスコの一つの口より、ベーパーを引き出すために、リービッヒ型コンデンサーに対してチューブで連絡した。さらにコンデンサー出口を真空ポンプに連結した。フラスコの他の一つの口へは適当量の純水を適時供給できるように、コック弁付のチューブで、純水ポットと継いだ。もう一つ口から温度計を挿入した。
【0048】
フラスコ内には、マグネットスターラーの攪拌子を入れて、液を十分に攪拌できるようにした。コンデンサーには、−10℃のブライン(エチレングリコール水溶液)を通し常時冷やした。真空ポンプを起動し、フラスコ内を常時、3.5Torr になるようにコントロールした。
【0049】
こうして、純水を、少量滴下すると、内液面より蒸発がおこり、温度が下がっていった。さらに少量を滴下すると7.5 ℃にて結晶が析出してきた。さらに結晶を増やすために、少量の水を滴下して、6.5 ℃とした。
【0050】
こうして、装置を止めて、素早く遠心分離機で結晶を分離して、それぞれを組成分析を行った。結晶は、アクリル酸純度99.6%でフルフラール含量5ppm以下となっていた。このときの分離母液は水分3.5 %であった。
【0051】
(実験例2)
内径450 mmφ、スラリー内容積120 リットルの、ドラフトチューブとマリンタイプの攪拌羽根を有する攪拌機を備えた結晶缶と、伝熱面積6m2を持つ多管式凝縮器、およびスチーム駆動のブースター付真空ポンプ、さらにこれらと径200 mmφ、高さ1500mmの塔型溶融精製塔を連結して構成した実験装置を用いた。この時、凝縮器にて凝縮した液は、すべて結晶缶に還流するようにした。
【0052】
結晶缶に、前記実験例1と同じ粗製アクリル酸を張込み、攪拌速度2.1 rpmにて攪拌し、結晶缶内の液を循環させた。真空発生装置を作動させ、結晶缶内圧力を徐々に下げて、3.0Torr とした。この時適時少量の水を添加して温度の下降を見守った。凝縮器には、−1.5 ℃のブラインを常時流した。結晶缶内温度が6〜7℃になるように運転し、結晶を生成させた。結晶のスラリー濃度が20〜25wt%になった所で、精製塔へ供給を開始し、塔内に結晶を充填し、下部メルターヘスチームを供給することにより還流操作を行った。塔上部のオーバーフロー液は、結晶缶へ戻すようにした。当初は、結晶缶において、全還流運転を行い、溶融精製塔の下部温度が、融点(13.5 ℃) に保持された時点で、製品を10リットル/hrで抜き出した。この時還流比は0.5 にて、8 時間連続運転を行った。この製品のアクリル酸純度は、99.8%であり、フルフラール、アクロレインは、1ppm以下であった。
【0053】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、アクリル酸中に存在する不純物をほぼ完全に、かつ容易に経済的な方法により除去して高純度のアクリル酸を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクリル酸を結晶化する場合の固−液−気相線図である。
【図2】本発明の第1の態様を示すフローシートである。
【図3】本発明の第2の態様を示すフローシートである。
【図4】本発明の第3の態様を示すフローシートである。
【図5】本発明の第4の態様を示すフローシートである。
【図6】本発明の第5の態様を示すフローシートである。
【符号の説明】
2…結晶缶、3…供給管、5、5A…コンデンサー、7…真空発生装置、10…固液分離装置、15…溶融機、17…製品、21…溶融精製塔、F…原液、W…水。

Claims (6)

  1. 不純物を含む粗製アクリル酸からアルデヒド類の含有量が5ppm以下のアクリル酸を精製する方法であって、粗製アクリル酸に水を添加し、真空圧下で蒸発断熱冷却し、アクリル酸の結晶を晶出させるとともに、この蒸発と晶析過程において共存する母液の水分濃度を2〜10wt%とすることを特徴とするアクリル酸の精製方法。
  2. 断熱冷却操作を2.0〜7.0Torrの真空圧力の下で行う請求項1記載のアクリル酸の精製方法。
  3. 晶析した結晶分を固液分離し、結晶ケーキを洗浄して、高純度精製アクリル酸を得る請求項1記載のアクリル酸の精製方法。
  4. 蒸発ベーパーを、結晶化させないで、実質的に全凝縮させ、結晶缶に還流する請求項1記載のアクリル酸の精製方法。
  5. 蒸発ベーパーをコンデンサーに導き、このコンデンサーにおける熱交換器の冷却表面にアクリル酸を流すことにより、前記冷却面に氷の結晶が出るのを避けながら、コンデセートを結晶缶に還流する請求項4記載のアクリル酸の精製方法。
  6. 蒸発ベーパーをコンデンサーに導き、このコンデンサーにおける熱交換器の冷却表面に水を流すことにより、前記冷却面にアクリル酸の結晶が出るのを避けながら、コンデセートを結晶缶に還流する請求項4記載のアクリル酸の精製方法。
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