JP3658074B2 - 動圧軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑剤に動圧を発生させ、その動圧により固定部材に対して回転部材を支持するように構成した動圧軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、モータ等の各種装置において、特に高速回転に対応し得るようにオイル等の潤滑剤の動圧を利用した動圧軸受装置が種々検討され提案されている。この動圧軸受装置においては、固定部材側の動圧面と回転部材側の動圧面とが対向配置されているとともに、これら両対向動圧面のうちの少なくとも一方側に動圧発生用溝が形成されており、上記回転部材と固定部材との両対向面間に介在された所定のオイル等の潤滑剤が、回転部材の回転時に動圧発生用溝のポンピング作用により昇圧され、当該潤滑剤の動圧によって回転部材の回転支持が行われるようになっている。
【0003】
このように動圧軸受装置は、オイル等の潤滑剤(以下、単に潤滑剤という。)を軸受部内に有しており、その潤滑剤の保持構造によって次の3つの型式に一般に大別することができる。
1)部分潤滑剤構造(例えば、特開平6−178492号公報参照)
これは、潤滑剤が軸受部分のみに充填されており、軸受どうしの間に空気層を設けた構造であって、最も単純な動圧軸受構造である。
2)潤滑剤循環構造(例えば、米国特許4,795,275参照)
これは、軸受どうしの間も潤滑剤で満たしておき、軸受端どうしを循環孔で繋げた構造であって、回転時に発生する内部の圧力差(差圧)を解消するように潤滑剤を循環移動させる構造である。この構造によれば、潤滑剤の量を十分に確保して長寿命化を図ることが可能となるとともに、潤滑剤の内部圧力差(差圧)を循環孔により常に解消しているため、潤滑剤の外部漏れを防止する点においても有利である。
3)片袋保持構造(例えば、米国特許5,427,456参照)
軸受部の軸方向一端側を壁で閉塞して袋状の軸受空間を形成し、その軸受空間が外気と繋がる出口部を一個所とした構造であって、潤滑剤の圧力差を片袋構造により支えるように構成したものである。この構造によれば、潤滑剤の移動が防止されるため、簡易で低コストな動圧軸受構造を得ることができるとともに、長寿命化と潤滑剤漏れ防止との双方が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の各動圧軸受構造のうち、1)の「部分潤滑剤構造」においては、潤滑剤の注入量管理が難しい上に、軸受部内のスペースが小さいために潤滑剤の絶対量が少なくなってしまい絶対寿命が短いという問題がある。また、これを解消するために潤滑剤の充填スペースを拡大して潤滑剤の量を増やすと、今度は潤滑剤が漏れ易くなってしまう。さらに、軸受どうしの間にある空気層が気圧及び温度の変化によって体積膨張及び縮小することから潤滑剤の移動・漏れが生じ易く、これを防止するために外部に繋がる孔を設ける等の対策が必要となる。
【0005】
また、上述した2)の「潤滑剤循環構造」においては、循環孔を設けるために構造が複雑化してしまい、従って量産性に乏しく、製造コストも高くなるという問題がある。
【0006】
さらに、上述した3)の「片袋保持構造」では、片袋状の軸受部を作る結果として、いわゆる軸回転型及び軸固定型のいずれの軸受構造であっても、軸部材が片持ち構造に限られてしまい、そのため用途が限定されるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、簡易で低コストな構造で、潤滑剤漏れを良好に防止しつつ長寿命化を図ることができ、しかも適用性の広い動圧軸受装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、まず、1)潤滑剤漏れを防止する条件、2)長寿命化を可能とするための条件、及び3)低コストで量産性を良好とするための条件のそれぞれについて必要な点を考えてみる。
【0009】
1)潤滑剤漏れを防止するための条件。
1-1. 潤滑剤の外部漏れを防止するためには、まず潤滑剤の液面位置が固定部材と回転部材との間の狭い隙間内にあることが必要である。
これは、回転及び停止の双方の状態を含むのは勿論、温度・気圧が変化した状態、全ての姿勢状態、振動・衝撃が加わった状態、潤滑剤の注入量のばらつき及び蒸発などによる量変化した状態等、仕様内のあらゆる状態に対して必要な条件である。
【0010】
特に、動圧軸受に対して大きな慣性力が負荷された場合には、毛細管力や磁気力によるシール力だけでは潤滑剤を保持することが難しくなるため、その場合には、潤滑剤の流体粘性抵抗による動圧力を潤滑剤保持力の主とする必要がある。そしてこの潤滑剤の流体粘性抵抗による動圧力を大きくするためには、潤滑剤の表面位置における隙間を一定以下に狭くする必要である。
【0011】
さらに、上述したように潤滑剤の液面位置が常に狭い隙間内にあるためには、a.潤滑剤の液面位置及び量が、上述したいずれの状態にあっても大きく変動しないこと、
b.潤滑剤の注入時における液面位置を管理・調整することができ、簡単に指定の位置内とすることができること、
c.狭い隙間内における液面指定位置の前後に、ある程度の体積的余裕があること、
などが必要となる。
【0012】
1-2. 潤滑剤の外部漏れを防止するための次の条件としては、停止時において、毛細管シール力が働く状態になっていることがある。つまり、潤滑剤を軸受内部の所定の位置に維持する力としての毛細管力による引戻力が、連続的に作用していることが必要である。
【0013】
1-3. さらに潤滑剤の外部漏れを防止するためには、回転時において潤滑剤の内部差圧が解消されており、バランスがとれた状態であることを要する。
つまり、回転時に発生する動圧力又は遠心力によって潤滑剤内に圧力差が生じることとなるが、この圧力差は一般にシール圧力よりもかなり大きくなってしまい、例えば、2つの出口部どうしの間で潤滑剤に圧力差があると、その圧力差が解消されるまで潤滑剤が移動して外部漏れの原因となることがある。すなわち、潤滑剤の外部漏れを防止するためには、潤滑剤の僅かな移動量だけで上述した圧力差が解消され、バランスが取れるようにした構造、或は、片袋保持構造のように圧力差を支えられる構造とすることが必要である。
【0014】
このようなことから、本発明にかかる動圧軸受装置は、固定部材に対して回転部材を回転可能に支承する少なくとも2つの動圧軸受部が設けられ、上記動圧軸受部は、2体以上の軸受構成部品が接合されることにより画成された一連の軸受空間内に配置されているとともに、上記軸受空間から装置外部方向に延びる前記軸受構成部品どうしの接合面の途中位置に、当該接合面を密閉接合する接着剤が充填され、かつ、上記各動圧軸受部を構成する固定部材及び回転部材の少なくとも一方側に、前記軸受空間内に充填された潤滑剤に動圧を発生させる動圧発生手段が設けられた動圧軸受装置において、上記動圧軸受部を含む軸受空間の端部には、前記固定部材と回転部材との間の隙間を狭小とした毛細管シール部が設けられているとともに、前記潤滑剤は、動圧軸受部を含む軸受空間内に毛細管シール部に至るまで連続して充填され、かつ、前記軸受構成部材どうしの接合面であって、前記軸受空間から半径方向に延びた接合面の半径方向外周側及び途中位置に、当該接合面の全周に連続して前記接着剤を導く毛細管案内手段がそれぞれ設けられ、その半径方向外周側に設けられている毛細管案内手段は、外方に向かって隙間寸法が拡大するように形成されているとともに、前記半径方向途中位置に設けられている毛細管案内手段は、横断面略V字状をなし外方に向かって隙間寸法が縮小するように形成された構成になされている。
【0015】
このような動圧軸受装置によれば、まず、潤滑剤の液面位置が、固定部材と回転部材との間の狭い隙間からなる毛細管シール部内に存在し、停止時において、毛細管シール力が常時働く状態になっており、この毛細管シール力に基づく引戻力によって潤滑剤が内部側所定の位置に保持される。一方、大きな慣性力Gが負荷された場合には、潤滑剤の流体粘性抵抗による動圧力が狭い隙間からなる毛細管シール部に発生し、これにより潤滑剤の外部拡散が防止される。
【0016】
また、軸受空間を画成する軸受構成部材どうしの接合面においては、当該軸受構成部材どうしを密閉接合する接着剤が、毛細管案内手段の毛細管力によって上記接合面内の全周に良好に導かれていき、その結果、接合面の全周にわたって軸受構成部材どうしが密閉状態で接着されることとなり、これによって潤滑剤の外部拡散が防止されるようになっている。
【0017】
加えて、上述したような漏れ防止作用を有する毛細管シール部及び毛細管案内手段が、固定部材と回転部材との間に簡易な構造にて形成され、製作の容易化が図られ生産性が向上されるようになっている。
【0018】
さらに、本発明にかかる動圧軸受装置は、上述した発明に加えて、毛細管シール部は、動圧軸受部を含む軸受空間の両端部分に、動圧軸受部を両側から挟むように2箇所設けられているとともに、潤滑剤は、上記動圧軸受部を含む2箇所の毛細管シール部どうしの間の軸受空間内に連続して充填され、動圧軸受部を構成する動圧発生手段は、動圧軸受部を構成する動圧発生手段は、軸受空間の一方側に向かう所定の差圧を潤滑剤に生じさせ、当該潤滑剤を軸受空間の一方側に移動させるように非対称な形状に形成され、2箇所の毛細管シール部のうち、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シール部は、前記動圧発生手段による差圧で上記潤滑剤が軸方向の一方側に移動させられたときの偏位分を許容する隙間内容量を備えるように、当該下流側の毛細管シール部を形成している前記固定部材と回転部材との間の隙間寸法が設定されたものであって、前記回転部材が回転したときに動圧軸受部により生じさせられる差圧によって潤滑剤が軸方向に所定量移動され、前記動圧軸受部のいずれかの動圧発生手段の一部から潤滑剤が消失することによって上記差圧が解消されるとともに、潤滑剤の軸方向移動による偏位分が、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シール部によって受け入れられる構成になされている。
【0019】
このような動圧軸受装置によれば、特に、回転時において、動圧軸受部で潤滑剤に対して意図的に差圧が生じさせられ、この潤滑剤の差圧を解消するように潤滑剤の移動が僅かに行われてバランス状態になされるため、回転時における潤滑剤の外部拡散が防止されるようになっている。
【0020】
また、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シール部の隙間内容量が、潤滑剤の移動による偏位分を許容する容量に設定されているため、潤滑剤の漏れを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、いわゆる両端軸固定型のHDDスピンドルモータに適用した実施形態について図面により詳細に説明する。
まず、図1に示めされたHDDスピンドルモータの全体構造を説明すると、このHDDスピンドルモータは、固定部材としてのステータ組1と、このステータ組1に対して図示上側から組み付けられた回転部材としてのロータ組2とから構成されている。このうちステータ組1は、図示省略した固定基台側にネジ止めされるフレーム11を有しているとともに、このフレーム11の略中央部分に立設された固定軸12が、図示上方に向かって延びている。この固定軸12の先端部(図示上端部)は、図示を省略した固定基台に対してネジ止めされる。
【0022】
また、上記フレーム11は、中空円筒状の支持ホルダー13を有しており、この支持ホルダー13の外周にステータコア14が嵌着されており、当該ステータコア14の突極部に対して巻線15が巻回されている。
【0023】
一方、前記ロータ組2は、図示を省略した所定の記録媒体を支持するためのハブ21を有しており、このハブ21は、当該ハブ21の中心部分に配置された一対のラジアル動圧軸受部22a,22bを介して上記固定軸12の外周側に回転自在に支承されている。
【0024】
上記ハブ21は、磁気ディスク等の磁気記録媒体を外周部に装着する略円筒形状の胴部21aを有しているとともに、この胴部21aの内周側に、バックヨーク21bを介して駆動マグネット21cが環状に装着されている。この駆動マグネット21cは、前述したステータコア14の外周端面に対して環状に対向するように近接配置されている。
【0025】
また、上記一対のラジアル動圧軸受部22a,22bは、ハブ21の内周側に当該ハブ21と一体に形成されており、軸方向に所定間隔離して並列するように配置されている。これらの各ラジアル動圧軸受部22a,22bの内周面と、前記固定軸12の外周面とは、数μmの隙間を介して対向配置されている。
【0026】
そして、上記各ラジアル動圧軸受部22a,22bと固定軸12との両対向面のうち、少なくとも一方側には、図2に示されているようなヘリンボーン形状のラジアル動圧発生用溝23a,23bが、環状に並列するようにそれぞれ凹設されているとともに、上記両対向面間には、オイルや磁性流体等からなる所定の潤滑剤24(図3参照)が介在されており、前記ハブ21の回転時に、ラジアル動圧発生用溝23a,23bのポンピング作用によって潤滑剤24が昇圧されて動圧が生じ、この潤滑剤24に生じさせられた動圧によって、ハブ21がラジアル方向に軸支持されるように構成されている。上記ラジアル動圧発生用溝23a,23bのヘリンボーン形状については後述する。
【0027】
本実施形態における上記潤滑剤24としては、当該潤滑剤24の寿命と良好な軸受特性とを両立し得るように、トリメチロールプロパン(TMP)又はペンタエリスリトール(PE)と、炭素数5〜18の直鎖又は分岐脂肪酸とをエステル化した構造のオイルが使用されており、その中でも、特に、蒸発率が10-7g/h・cm2(at 40℃)以下で、粘度が30cP(at 40℃)以下のオイルが用いられている。
【0028】
なお、このような潤滑剤24を軸受内部に注入するにあたっては、組立が完了したモータを一旦真空室内に入れ、その真空引きした状態で毛細管力又は外部大気圧を利用して行う。このようにすれば、含有空気率が低い状態で軸受内部全体に潤滑剤24を満たすことが可能となる。
【0029】
さらに、上記固定軸12の先端側(図示上端側)の途中部分には、2つのスラスト動圧軸受部16a,16bを構成するリング状のスラスト板16が固着されている。このスラスト板16により構成される2つのスラスト動圧軸受部16a,16bは、図示上側に配置されたラジアル動圧軸受部22aの図示上側に隣接するように配置されている。
【0030】
すなわち、上記スラスト板16の図示下面側は、図示上側に配置されているラジアル動圧軸受部22aの端面(図示上端面)に対面するように配置されているとともに、スラスト板16の図示上端面は、前記ハブ21の中央部分にネジ止めされた軸受構成部品としてのスラスト押え板25の端面(図示下端面)に対面するように配置されており、当該スラスト動圧軸受部16a,16bを構成するスラスト板16の軸方向両端面には、図4に示されているようなヘリンボーン形状のスラスト動圧発生用溝17がそれぞれ環状に形成されている。
【0031】
また、上記スラスト板16とラジアル動圧軸受部22aとの対向面どうしの間、及びスラスト板16とスラスト押え板25と対向面どうし間の各隙間部分には、上述したラジアル動圧軸受部22a,22b側の潤滑剤24が連続するようにして充填されており、上記ハブ21の回転時に、スラスト動圧発生用溝17のポンピング作用によって潤滑剤24が昇圧されて動圧が生じ、この潤滑剤24に生じさせられた動圧によってハブ21がスラスト方向に軸支持されるように構成されている。
【0032】
このように、ハブ21の図示上端面に対してスラスト押え板25が接合されることによって、軸方向に延在する軸受空間が一連に画成されており、この軸受空間内に、上述した4つの動圧軸受部16a,16b,22a,22bが軸方向に並列するように配置されているとともに、その軸受空間内には、上述した潤滑剤24が連続するようにして充填されている。このとき、上記ハブ21とスラスト押え板25とは、前記軸受空間から装置外部方向に延びる接合面を備えるように固定ネジSBにより締付け固定されており、これら両部材21,25どうしの接合面における上記軸受空間から装置外部方向に延びる途中位置には、両部材21,25どうしを密閉状態にて接合するように接着剤29a,29bが2個所充填されている。
【0033】
上記各接着剤29a,29bは、前記接合面の半径方向外周側及び途中位置に設けられた毛細管案内手段30a,30b内にそれぞれ充填されており、これらの各毛細管案内手段30a,30bによって、上記接着剤29a,29bが接合面の全周にわたって連続するように導かれ、完全な密閉構造が形成されるようになっている。
【0034】
このうち、接合面の半径方向外周側に設けられている毛細管案内手段30aは、スラスト押え板25の外周端面を面取りして形成された傾斜壁面と、ハブ21の図示上端面側に薄板状に立設された環状フランジ部21dの内周壁面との間を狭小とした隙間から形成されている。この狭小隙間は、外方(図示上方)に向かって隙間寸法が拡大するように形成されており、当該狭小隙間の最外端部の隙間寸法が0.3mm以下に形成されていて、毛細管力によって接着剤29aを接合面の全周に切れ目なく導く機能を有している。
【0035】
また、前記接合面の半径方向途中位置に設けられている他方の毛細管案内手段30bは、接合面を構成しているハブ21の図示上面側に凹設された横断面略V字状の環状溝から形成されている。この環状溝も、同様な毛細管力を備えるように所定の浅い溝深さに設定されており、当該環状溝によって、接合面の全周にわたって切れ目なく連続するように接着剤29bが導かれるようになっている。
【0036】
また、これら毛細管案内手段30a,30bを構成する狭小隙間及び環状溝は、装置の組立時において装置外方(図示上方)に向かって開口するように設けられており、外部側から接着剤29a,29bを直接注入することができるように構成されている。
【0037】
なお、上記スラスト押え板25は、上述した各動圧軸受部の組付後にハブ21に対して接合されるが、軸受空間すなわち潤滑剤24の充填部分に臨む接合面は、このスラスト押え板25による接合面のみであって、潤滑剤24の充填部分に対するその他の部位は一体に成形されており、これにより密閉性が良好に確保されるようになっている。また、上記スラスト押え板25とハブ21との接合面は、潤滑剤24の注入前に、上述した接着剤29a,29bによって完全密閉構造となるように接合され、これによっても潤滑剤24に対する密閉性が良好に確保されている。
【0038】
一方、上記スラスト押え板25には、外側(図示上側)から吸収布26を介して薄板状のストッパー板27が設けられており、これら吸収布26及びストッパー板27によって、最悪の場合でも、潤滑剤24の外部飛散が防止されるようになっている。
【0039】
前述したように、前記2つのラジアル動圧軸受部22a,22b、及び2つのスラスト動圧軸受部16a,16bは、軸方向に延びる一連の軸受空間内に併設されているが、これら4つの動圧軸受部16a,16b,22a,22bを含む軸受空間の軸方向両端部分には、前記固定軸12と回転側の部材22b,25との隙間を狭小にしてなる2箇所の毛細管シール部31a,31bが、前記4つの動圧軸受部16a,16b,22a,22bを軸方向両側から挟むように設けられている。
【0040】
これらの各毛細管シール部31a,31bのうち、図示下側の毛細管シール部31bは、図示下側に配置されたラジアル動圧軸受部22bの一部に設けられており、より具体的には、当該ラジアル動圧軸受部22bの軸方向外端部分(図示下端部分)の内周壁と、前記固定軸12の外周面との隙間を狭小にすることによって形成されている。従って、この図示下側の毛細管シール部31bを構成する狭小隙間は、図示下側のラジアル動圧軸受部22bの軸受部を構成する隙間に対して直接的に連通されているとともに、この毛細管シール部31bとラジアル動圧軸受部22bとの連通部分には、隙間を拡大するような凹部は設けられていない。
【0041】
一方、図示上側の毛細管シール部31aは、スラスト動圧軸受部16aを構成するスラスト押え板25と固定軸12との間の隙間により形成されており、前述したスラスト押え板25の内周壁と固定軸12の外周面との間の隙間を狭小にすることによって形成されている。
【0042】
これら図示上下両側の各毛細管シール部31a,31bは、当該毛細管シール部31a,31bを構成する狭小隙間が図示上下の外方に開口するように軸方向に沿って設けられている。そして、これらの各毛細管シール部31a,31bの狭小隙間を構成するように固定軸12側に各々対面しているスラスト押え板25の内周壁、及び図示下側のラジアル動圧軸受部22bの内周壁は、軸方向外方に向かって上記隙間の寸法を連続的に拡大するように傾斜壁に形成されており、この連続的に拡大している狭小隙間の寸法が、20μmから300μmとなっている部位を毛細管シール部31a,31bとしている。また、これらの各毛細管シール部31a,31bの外方部分には、潤滑剤24の外部拡散による漏れを防止するための撥油が被着された部位がそれぞれ設けられている。
【0043】
前述したように、4つの動圧軸受部16a,16b,22a,22bを含む上記2箇所の毛細管シール部31a,31bどうしの間の軸受空間部分には、潤滑剤24が連続して充填されており、その潤滑剤24の図示上下端における各液面位置が、モータ停止時においては、図3及び図5中にそれぞれ実線A,Bで示されているように、各毛細管シール部31a,31bの内部所定位置となるように設定されている。
【0044】
また、モータ回転時においては、潤滑剤24の両液面のうち、図示上端側の液面の位置が、図5中の破線A’で示されているように、図示上側の毛細管シール部31a内に保持されているとともに、図示下端側の液面位置は、図3中の破線B’で示されているように、図示下側に配置されているラジアル動圧軸受部22b内に引き込まれた位置に設定されている。このような潤滑剤24の移動については後述する。
【0045】
一方、上述したラジアル動圧軸受部22a,22bにおけるヘリンボーン形状の各動圧発生用溝23a,23bは、図2に示されているように、当該ラジアル動圧軸受部22a,22bの軸方向両端部から中心側で合流するようにして「く」の字状に延びる一対の傾斜溝を環状に並列することにより構成されている。各動圧発生用溝23a,23bを構成する各傾斜溝は、数μmの溝深さに形成されており、軸方向両端側から中心側に向かって潤滑剤24を加圧するようなっている。
【0046】
このとき、図示上側のラジアル動圧軸受部22aでは、一対の動圧発生用溝23a,23aどうしが、ほぼ同一の軸方向長さLaにそれぞれ設定されており、これによって図示上側の動圧発生用溝23aによる図示下側方向への加圧力と、図示下側の動圧発生用溝23aによる図示上側への加圧力とがほぼ等しくなって、軸方向両端側から中心側に向かう加圧力がほぼバランスするように構成されている。
【0047】
これに対して、軸方向における最外部分に配置された図示下側のラジアル動圧軸受部22bでは、一対の動圧発生用溝23b,23bのうち、軸方向外側(図示下側)の傾斜溝の軸方向長さLb1が、軸方向内側(図示上側)の傾斜溝の軸方向長さLb2より長く設定されている(Lb1>Lb2)。すなわち、このような軸方向に非対称な溝形状に形成されていることによって、図示下側の傾斜溝による上方加圧力が、図示上側の傾斜溝による下方加圧力を上回り、軸方向一方側(図示上側)に向かって所定の差圧を潤滑剤24に生じさせる構造になされている。
【0048】
このようにラジアル動圧軸受部22bによって潤滑剤24に生じさせられる差圧により、潤滑剤24は図示上側に向かって移動して偏位することとなるが、この潤滑剤24の移動方向下流側(図示上側)の毛細管シール部31aは、図5に示されているように、潤滑剤24の移動による偏位分を許容する隙間内容量に設定されており、上述したように、モータ回転時においても潤滑剤24の液面位置が毛細管シール部31a内に保持されるようになっている(図5中の破線A’参照)。
【0049】
より具体的には、この潤滑剤24の移動方向下流側(図示上側)の毛細管シール部31aは、0.5mm以上の軸方向長さに設定されているとともに、当該毛細管シール部31aの隙間内容量及び軸方向長さが、潤滑剤24の移動により当該潤滑剤24が減少する側(図示下側)の毛細管シール部31bの隙間内容量及び軸方向長さの3倍以上に設定されている。また、この潤滑剤24の移動による当該潤滑剤24の偏位分を許容する側の毛細管シール部31aにおける隙間寸法は、潤滑剤24の移動により当該潤滑剤24が減少する側の毛細管シール部31bの実質的な軸受隙間寸法、すなわちラジアル動圧軸受部22bにおける動圧発生用溝23bを含めた軸受隙間寸法より大きく設定されている。これは、潤滑剤24の注入量の増減に対する余裕を持たせるとともに、潤滑剤24の移動や蒸発による潤滑剤24の減少に対して量的な余裕を持たせるためである。
【0050】
一方、前述したように、潤滑剤24の移動方向上流側(図示下側)の毛細管シール部31bは、ラジアル動圧軸受部22bの軸方向外端部分(図示下端部分)に設けられているため、潤滑剤24が上述した差圧により図示上側に向かって移動して偏位した際には、図3中の破線B’で示されているように、当該図示下側の毛細管シール部31b内の潤滑剤24の全部が消失し、かつラジアル動圧軸受部22b内の潤滑剤24における図示下側の一部が消失するように構成されている。
【0051】
より具体的には、ハブ21が回転したときの上述した差圧による潤滑剤24の移動により、図示下側の動圧発生用溝23bの軸方向長さLb1の約1/4の長さにわたって潤滑剤24が枯渇し、図示下側の動圧発生用溝23bに残された潤滑剤24の軸方向長さLb3が、図示上側の動圧発生用溝23bの軸方向長さLb2とほぼ等しくなる位置まで液面が上昇する。そして、潤滑剤が枯渇した分、図示下側の動圧発生用溝23bで発生する動圧力が低下して差圧が解消するようになっている。
【0052】
また、この軸方向最外部に配置されている図示下側のラジアル動圧軸受部22bは、潤滑剤24が枯渇・消失する部位に、当該部位における隙間を他の部位の隙間より大きくする窪み部28が形成されており、この窪み部28によって、潤滑剤24の枯渇・消失時においても、衝撃等による急激な大負荷力によってラジアル動圧軸受部22bの内周面が固定軸12の外周面に接触することのないように構成されている。この窪み部28としては、図3に示されているような段部形状として、隙間を2μm程度大きしたものや、テーパ形状として最外端部における隙間を0.5μmないし3μm程度大きくなるようにしたもの等が考えられる。
【0053】
図1に戻って、上述した図示上側の毛細管シール部31aの軸方向外側(図示上側)には、当該毛細管シール部31aに対して軸方向に連続するようにして潤滑剤注入部32が設けられている。この潤滑剤注入部32は、毛細管シール部31aを構成している狭小隙間に連続する拡大隙間から形成されており、前記固定軸12側に対面しているスラスト押え板25の内周壁が、毛細管シール部31aを構成している傾斜壁よりもさらに大きい開角で傾斜させられている。
【0054】
この潤滑剤注入部32を構成する傾斜壁は、軸方向に向かって潤滑剤24が良好に進入して行くように、70度以下の開角に形成されているとともに、当該潤滑剤注入部32の軸方向最外端における隙間が400μm以上となるように設定されている。また、この潤滑剤注入部32の隙間内容量は、前述した2つの毛細管シール部31a,31bどうしの間を結ぶ軸受空間の内容量より大きく設定されており、これによって、潤滑剤24の全量を、一旦、潤滑剤注入部32内に注入することができ、以後は毛細管力によって内部側(図示下側)に案内されていき、大気開放によって軸受空間の全長にわたって潤滑剤24が満たされるようになっている。
【0055】
また、前述したラジアル動圧軸受部22a,22bどうしの軸方向間部分には、内周面を窪ませることによって固定軸12との隙間を拡大してなる潤滑剤溜り部33が設けられている。本実施形態における潤滑剤溜り部33の隙間寸法は、ラジアル動圧軸受部22a,22bにおける軸受隙間寸法の3倍以上又は40μm以上に設定されている。これは、軸受部に対して潤滑剤24に量的余裕をもたせるように一定量以上の潤滑剤24を潤滑剤溜り部33内に確保して長寿命化を図るためである。
【0056】
このとき、上記潤滑剤溜り部33内の潤滑剤24の圧力は、上述した動圧発生用溝23a,23aの軸方向非対称な形状による軸方向に偏ったポンピング作用によって、大気圧よりやや高い状態に維持されており、これによって、潤滑剤24内に空気が多少含まれていても、空気の影響を小さくすることができるようになっている。
【0057】
このような実施形態装置によれば、まず、潤滑剤24からなる潤滑剤24の液面位置が、固定軸12と回転側の部材25,22bとの間の狭隙間からなる毛細管シール部31a,31b内に存在するため、回転時にはもちろん停止時においても毛細管シール力が常時働く状態になっており、この毛細管シール力に基づく引戻力によって、潤滑剤24が内部側の所定位置に保持される。
【0058】
一方、大きな慣性力が負荷された場合には、潤滑剤24の流体粘性抵抗による動圧力が狭隙間からなる毛細管シール部31a,31bに生じ、その潤滑剤24の流体粘性抵抗による動圧力が保持力の主となって、潤滑剤24の外部拡散が防止される。
【0059】
特に、回転時においては、ラジアル動圧軸受部22bで潤滑剤24に対して意図的に差圧が生じさせられ、この潤滑剤24の差圧を解消するように潤滑剤24の移動が僅かに行われてバランス状態になされる。そしてこのようなバランスによって回転時における潤滑剤24の外部拡散が防止される。
【0060】
さらに、潤滑剤24の移動方向下流側の毛細管シール部31aが、潤滑剤24の移動による偏位分を許容する隙間内容量に設定されているため、潤滑剤24の漏れが防止される。
【0061】
また、当該発明による毛細管シール部31a,31bは、傾斜面による簡易な構成を有しているため、製作の容易化が図られ生産性が向上される。
【0062】
さらにまた、軸受空間を画成している軸受構成部材としてのスラスト押え板25とハブ21との接合面においては、これらスラスト押え板25とハブ21とを密閉接合する接着剤29a,29bが、毛細管案内手段30a,30bの毛細管力によって接合面内の全周に良好に導かれるように構成されており、これによって、上記両部材25,21の接合面の全周にわたってスラスト押え板25とハブ21とが密閉状態で接着され、潤滑剤の外部拡散が防止されるようになっている。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0064】
また、例えば、図6(a)に示されているように、スラスト動圧軸受部を構成するスラスト板46を、2つのラジアル動圧軸受部42a,42bの軸方向間部分に配置したり、図6(b)に示されているように、上述した第1の実施形態とは反対側である図示下側のラジアル動圧軸受部42bに隣接して配置することも可能である。
【0065】
そして、図6(a)の場合には、2つのラジアル動圧軸受部42a,42bの軸方向間部分に、軸受空間を画成するスペーサ40が接合されており、これら2つのラジアル動圧軸受部42a,42bとスペーサ40との接合面40a,40aに、溝や狭小隙間からなる毛細管案内手段が設けられているとともに、この毛細管案内手段内に、上記両部材42a,40どうしを密閉状態に接合する接着剤がそれぞれ充填されている。
【0066】
また、図6(b)の場合には、スラスト板46が、上述した図1にかかる実施形態とは逆の図示下端位置に配置されており、そのスラスト板46の図示下端面が、軸受構成部品としてのスラスト押え板45の端面(図示上端面)に対面するように配置されている。そして、このスラスト押え板46とハブ41との接合面45aに、溝や狭小隙間からなる毛細管案内手段が設けられているとともに、この毛細管案内手段内に、上記両部材45,41どうしを密閉状態に接合する接着剤が充填されている。
【0067】
そして、これら図6(a),(b)の各毛細管案内手段によっても、上記接着剤が接合面の全周にわたって連続するように導かれ、これによって完全な密閉構造が形成される。
【0068】
また、図7及び図8に示されている実施形態装置は、軸受空間の一端側(図示下端側)のみに、潤滑剤の毛細管シール部31aを設けたものであって、図1に表した実施形態装置に対応する構成物を同一符号で示している。すなわち、本実施形態装置では、スラスト押え板25の外周部がハブ21側にシール接合されており、そのシール接合面に対して、溝や狭小隙間からなる毛細管案内手段30が設けられているとともに、この毛細管案内手段30内に、上記両部材25,21どうしを密閉状態に接合する接着剤29が充填されている。このような各実施形態装置によっても、上述した第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
【0069】
また、本発明にかかる毛細管案内手段では、環状溝や狭小隙間等を複数設けることによって、上述した作用・効果を一層高めることも可能であり、さらに、毛細管案内手段は、上述したような環状溝や狭小隙間に限定されることはなく、その他の毛細管力を備える手段であれば種々のものを採用することができる。
【0070】
さらにまた、本発明を適用する動圧発生用溝は、上述した実施形態におけるようなヘリングボーン形状のものに限定されることはなく、その他のあらゆる形状の動圧発生用溝に対しても本発明は同様に適用することができる。
【0071】
一方、上述した実施形態は、いわゆる軸固定型のモータに対して本発明を適用したものであるが、軸回転型のモータに対しても本発明は同様に適用することができる。
【0072】
また、本発明にかかる差圧発生用の動圧発生用溝を、上述した実施形態のようにラジアル軸受部に設けることに限定されることはなく、スラスト動圧軸受部に設けたり、あるいは双方に設けることもできる。
【0073】
さらにまた本発明は、上述したHDDモータ以外に用いられる動圧軸受装置に対しても同様に適用することができる。
【0074】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、固定部材と回転部材との間の狭い隙間からなる毛細管シール部を軸受空間の両端側に設けることによって、本来の毛細管力による引戻し力に加えて、大きな慣性力が負荷された場合に潤滑剤の流体粘性抵抗による動圧力によって潤滑剤の外部拡散を防止するとともに、軸受空間を画成する軸受構成部材どうしの接合面であって、前記軸受空間から半径方向に延びた接合面外方に向かって隙間寸法が拡大する毛細管案内手段を設け、軸受構成部材どうしを密閉接合する接着剤を接合面内の全周に良好に導くことによって、接合面における潤滑剤の外部拡散を防止するように構成したものであるから、簡易で低コストな構造で、潤滑剤漏れを良好に防止しつつ長寿命化を図ることができ、しかも動圧軸受装置の適用性を拡大することができる。
【0075】
また、本発明は、動圧軸受部で潤滑剤に対して意図的に差圧を生じさせ、この潤滑剤の差圧を解消するように潤滑剤を僅かに移動させることによってバランス状態とし、これにより回転時における潤滑剤の外部拡散を防止し、加えて、毛細管シール部の隙間内容量を潤滑剤の移動による偏位分を許容する容量に設定することによって潤滑剤の漏れを防止し、かつこのような漏れ防止作用を有する毛細管シール部を、簡易な隙間により構成することによって製作の容易化を図るように構成したものであるから、上記効果を一層高めて、動圧軸受装置の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる動圧軸受装置を備えたHDDスピンドルモータの一例を表した横断面説明図である。
【図2】ラジアル動圧発生用溝の一例を表した展開説明図である。
【図3】上側の毛細管シール部の構造を表した部分拡大横断面説明図である。
【図4】スラスト動圧発生用溝の一例を表した平面説明図である。
【図5】下側の毛細管シール部の構造を表した部分拡大横断面説明図である。
【図6】動圧軸受部の配置関係を変更した場合を模式的に示した半横断面説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる動圧軸受装置を備えたHDDスピンドルモータの一例を表した横断面説明図である。
【図8】図7に表されたモータの上部を拡大して表した要部横断面説明図である。
【符号の説明】
12 固定軸
16a,16b スラスト動圧軸受部
21,41 ハブ
25,45 スラスト押え板
22a,22b,42a,42b ラジアル動圧軸受部
23a,23b ラジアル動圧発生用溝
24,44 潤滑剤
29a,29b,29 接着剤
30a,30b,30,40a,45a 毛細管案内手段
31a,31b,41a,41b 毛細管シール部

Claims (21)

  1. 固定部材に対して回転部材を回転可能に支承する少なくとも2つの動圧軸受部が設けられ、
    上記動圧軸受部は、2体以上の軸受構成部品が接合されることにより画成された一連の軸受空間内に配置されているとともに、
    上記軸受空間から装置外部方向に延びる前記軸受構成部品どうしの接合面の途中位置に、当該接合面を密閉接合する接着剤が充填され、かつ、
    上記各動圧軸受部を構成する固定部材及び回転部材の少なくとも一方側に、前記軸受空間内に充填された潤滑剤に動圧を発生させる動圧発生手段が設けられた動圧軸受装置において、
    上記動圧軸受部を含む軸受空間の端部には、前記固定部材と回転部材との間の隙間を狭小とした毛細管シール部が設けられているとともに、
    前記潤滑剤は、動圧軸受部を含む軸受空間内に毛細管シール部に至るまで連続して充填され、かつ、
    前記軸受構成部材どうしの接合面であって、前記軸受空間から半径方向に延びた接合面の半径方向外周側及び途中位置に、当該接合面の全周に連続して前記接着剤を導く毛細管案内手段がそれぞれ設けられ、
    その半径方向外周側に設けられている毛細管案内手段は、外方に向かって隙間寸法が拡大するように形成されているとともに、
    前記半径方向途中位置に設けられている毛細管案内手段は、横断面略V字状をなし外方に向かって隙間寸法が縮小するように形成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 請求項1記載の固定部材又は回転部材は、動圧発生手段が設けられた2つの軸受構成部品から構成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 請求項1記載の毛細管シール部は、動圧軸受部を含む軸受空間の両端部分に、動圧軸受部を両側から挟むように2箇所設けられているとともに、
    潤滑剤は、上記動圧軸受部を含む2箇所の毛細管シール部どうしの間の軸受空間内に連続して充填され、
    動圧軸受部を構成する動圧発生手段は、軸受空間の一方側に向かう所定の差圧を潤滑剤に生じさせ、当該潤滑剤を軸受空間の一方側に移動させる非対称な形状に形成され、かつ、
    前記2箇所の毛細管シール部のうち、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シール部は、前記動圧発生手段による差圧で上記潤滑剤が軸方向の一方側に移動させられたときの偏位分を許容する隙間内容量を備えるように、当該下流側の毛細管シール部を形成している前記固定部材と回転部材との間の隙間寸法が設定されたものであって、
    前記回転部材が回転したときに動圧軸受部により生じさせられる差圧によって潤滑剤が軸方向に所定量移動され、前記動圧軸受部のいずれかの動圧発生手段の一部から潤滑剤が消失することによって上記差圧が解消されるとともに、潤滑剤の軸方向移動による偏位分が、潤滑剤の移動方向下流側の毛細管シール部によって受け入れられる構成になされていることを特徴とする動圧軸受装置。
  4. 請求項1記載の毛細管案内手段は、軸受構成部品どうしの接合面の一部を面取りすることによって環状に形成された狭小隙間からなることを特徴とする動圧軸受装置。
  5. 請求項4記載の毛細管案内手段を構成する狭小隙間は、0.3mm以下の隙間寸法に形成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  6. 請求項1記載の毛細管案内手段は、軸受構成部品どうしの接合面に対して凹設された横断面略V字状の環状溝からなることを特徴とする動圧軸受装置。
  7. 請求項6記載の環状溝が、複数体設けられていることを特徴とする動圧軸受装置。
  8. 請求項1記載の毛細管案内手段は、軸受構成部品の組立時において装置外方に開口するように設けられていることを特徴とする動圧軸受装置。
  9. 請求項1記載の軸受構成部品のどうしの接合面が、最小の一個所だけ設けられていることを特徴とする動圧軸受装置。
  10. 請求項9記載の軸受構成部品どうしの接合面は、潤滑剤の注入前に接着剤によって密閉接合された完全密閉構造に構成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  11. 請求項1記載の毛細管シール部を構成する固定部材と回転部材の隙間が、装置外方に向かって連続的に拡大されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  12. 請求項1記載の毛細管シール部は、固定部材と回転部材との隙間が20μmから300μmに形成されている部位であることを特徴とする動圧軸受装置。
  13. 請求項1記載の毛細管シール部は、当該毛細管シール部の長手方向が軸方向又は半径方向に沿って設けられて、一端部が軸方向又は半径方向の外方に向かって開口していることを特徴とする動圧軸受装置。
  14. 請求項1記載の毛細管シール部のうちの一体が、ラジアル動圧軸受部の軸方向外方端部分に設けられ、ラジアル動圧軸受部の軸受部を構成する隙間と毛細管シール部を構成する隙間とが、直接的に連通されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  15. 請求項1記載の毛細管シール部のうちの一体が、スラスト動圧軸受部を構成する固定部材と回転部材との間の隙間により形成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  16. 請求項1記載の2箇所の毛細管シール部のうち、潤滑剤の移動による当該潤滑剤の偏位分を許容する側の毛細管シール部の隙間内容量又は長さが、潤滑剤の移動により当該潤滑剤が減少する他方側の毛細管シール部の隙間内容量又は長さの略3倍以上に設定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  17. 請求項1記載の2箇所の毛細管シール部のうち、潤滑剤の移動による当該潤滑剤の偏位分を許容する側の毛細管シール部の隙間寸法が、潤滑剤の移動により当該潤滑剤が減少する側の動圧軸受部における動圧発生手段を含めた実質的な軸受隙間を形成している前記固定部材と回転部材との間の隙間寸法より大きく設定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  18. 請求項1記載の2箇所の毛細管シール部のうち、潤滑剤の移動による当該潤滑剤の偏位分を許容する側の毛細管シール部の長さが、0.5mm以上に設定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  19. 請求項1記載の毛細管シール部の外方側に、当該毛細管シール部に対して軸方向に連続するように拡大隙間を画成する傾斜壁を有する潤滑剤注入部が設けられているとともに、当該潤滑剤注入部の傾斜壁は、外方側に向かって70度以下の開角に形成されているとともに、当該潤滑剤注入部の最外端における隙間寸法が400μm以上に設定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  20. 請求項19記載の潤滑剤注入部の隙間内容量が、2つの毛細管シール部どうしの間の軸受空間の内容量より大きく設定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  21. 請求項1記載の動圧発生手段は、一対の傾斜溝が、当該動圧発生手段の軸方向両端側から中心側で合流するように略「く」の字状に延びるヘリングボーン構造に形成され、上記一対の傾斜溝は、差圧を発生するように片側の溝の長さが長く設定されていることを特徴とする動圧軸受装置。
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