JP3657438B2 - 空気清浄化フィルターの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気清浄化フィルターの製造方法に関し、更に詳しくは、エレクトレットフィルターなどの機能性フィルターと通気性フィルターの間に脱臭剤を封入する多機能性の空気清浄化フィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、脱臭剤を使用した空気清浄化フィルターは、通気性を有するウレタンの多孔質基材上に、粒状或いは粉体状活性炭を接着させたものや、不織布に活性炭を塗りつけたり、活性炭素を含浸させたものにエレクトレットを貼り合わせたものがあった。また、ハニカム状の六角柱の部分の中にぺレット状活性炭を詰めたもの、あるいは、波状の不織布と平面状の不織布を組み合わせてできる三角柱の部分に同じくぺレット状活性炭を詰めたもの等があった。
【0003】
特開昭61−119269号公報では2枚の基材シート間に活性炭などの脱臭剤を挟み込む脱臭シートの製造方法が開示されている。
この2枚のシート間に脱臭剤を挟み込む脱臭シートの製造方法は、脱臭剤が基材から剥落することがなく、脱臭剤表面が樹脂で覆われることなく脱臭効果の低下が少ない脱臭シートを提供するものであり、更に、所望に応じて脱臭剤を多くすることができて脱臭寿命を長くできるなどの利点を有し、脱臭機能に関しては実用性が特に優れたものであった。
【0004】
しかしながら、この従来法においては、脱臭剤の上にシート又は熱によりシートを形成し得る材料を積層し全面を加熱するため、シートにかかる熱の影響が多大となり、加熱によって性能が低下する基材シートを用いることができず、多機能性の空気清浄化フィルターが得難いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、エレクトレットなどの加熱によって性能が低下する機能性フィルターと通気性フィルターの間に脱臭剤を封入する多機能性の空気清浄化フィルターの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0007】
(1)加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)と通気性フィルター基材(B)との間に脱臭剤を挟んで熱可塑性接着剤によって封入する空気清浄化フィルターの製造方法において、通気性フィルター基材(B)の上に脱臭剤と熱可塑性接着剤を散布して加熱し、該接着剤が可塑化した後に加熱を止め、次いで通気性フィルター基材(B)の脱臭剤散布側に、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)を重ね合わせて加圧し、一体化する空気清浄化フィルターの製造方法。
【0008】
(2)上記の発明(1)において、通気性フィルター基材(B)の上に脱臭剤と熱可塑性接着剤を散布して加熱し、該接着剤が可塑化した後に加熱を止め、次いで可塑化した接着剤の表面を急冷した後に加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)を重ね合わせて加圧し、一体化する空気清浄化フィルターの製造方法。
【0009】
(3)上記の発明(1)または(2)において、加圧が2本の加圧ロールに挟む方法であり、少なくとも通性フィルター基材(A)と接するロールは冷却する空気清浄化フィルターの製造方法。
【0010】
(4)上記の発明(1)、(2)または(3)において、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)がエレクトレットフィルターである空気清浄化フィルターの製造方法。
【0011】
(5)上記の発明(1)、(2)、(3)または(4)において、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)がHEPAフィルターである空気清浄化フィルターの製造方法。
【0012】
(6)上記の発明(1)、(2)または(3)において、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)が芳香剤を担持したフィルターである空気清浄化フィルターの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、エレクトレットなど機能性フィルターと通気性フィルターの間に脱臭剤を封入する多機能性の空気清浄化フィルターの製造方法を提供する。
【0014】
本発明に係わる通気性フィルター基材としては、織布、不織布、ネット、及びスポンジ等の他、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエステルフィルムの様な汎用の熱可塑性フィルムや薄板等が挙げられる。これらの内、フィルムや薄板等の通気性に乏しいシートは、微細な穴をあけて通気性を向上させ、通気性フィルターとしても良い。
その中でも、特に不織布等を用いれば、比較的均一な通気性を確保することができるばかりか、封入加工も容易であるため、優位に使用される。
【0015】
不織布は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、フェノール系繊維などの合成繊維、ガラス繊維、金属繊維、アルミナ繊維、活性炭素繊維などの無機繊維、木材パルプ、麻パルプ、コットンリンターパルプなどの天然繊維、再生繊維、あるいはこれらの繊維に親水性、難燃性、脱臭性、吸着性、抗菌性などの機能を付与した繊維などを使用し、各種方法によって製造したものである。
【0016】
不織布の製造方法については特に制限はなく、目的・用途に応じて、乾式法、湿式抄造法、メルトブローン法、スパンボンド法などで得られたウェブを水流交絡法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などの物理的方法、サーマルボンド法などの熱による接着方法、レジンボンドなどの接着剤による接着方法で強度を発現させる方法を適宜組み合わせて製造することができる。
【0017】
本発明に係わる通気性フィルター基材の一方(A)は加熱によって性能が低下することを特徴とする。加熱によって性能が低下するフィルターの例としては、エレクトレットフィルター、HEPAフィルター、芳香剤を担持したフィルター、吸着剤や触媒が熱可塑性樹脂に練り込み担持されながらその一部が表面に露出しているフィルター、酵素系などの耐熱性が低い脱臭剤を担持したフィルター、あるいは揮発性の消臭剤や抗菌剤などを担持したフィルターを挙げることができる。
【0018】
加熱に伴って、エレクトレットフィルターは永久帯電が失われて除塵性能が低下し、HEPAフィルターは濾材構造が破壊されて除塵性能が低下、圧力損失が増加し、芳香剤を担持したフィルターは芳香剤が昇華して芳香性を失い、吸着剤や触媒が熱可塑性樹脂に練り込み担持されながらその一部が表面に露出しているフィルターは担持物質の表面が熱可塑性樹脂で覆われて機能が低下し、酵素系などの耐熱性が低い脱臭剤を担持したフィルターは酵素の失活などによって脱臭性が低下し、揮発性の消臭剤や抗菌剤などを担持したフィルターは揮発性薬剤の気化霧散によってその機能が低下する。
【0019】
本発明に係わるエレクトレットフィルターとは、半永久的に電気分極を保持し、外部に対して電気力を及ぼすフィルターであり、その静電気力によって粒子を捕捉するものである。帯電方法としては、エレクトロエレクトレット、熱エレクトレット、ラジオエレクトレット、メカノエレクトレット、フォトエレクトレット、マグネットエレクトレットなどが挙げられるが、工業的に不織布フィルターで用いられているものは、主にエレクトロエレクトレットおよび熱エレクトレットであり、フィルター材料としてはポリプロピレンまたはプロピレン主体の共重合体が用いられることが多い。
【0020】
不織布は嵩高で3次元空隙が存在するため、コロナ放電などによる帯電処理では安定した帯電効果を得ることが難しい。しかしながら、コロナ放電などで帯電処理を施したフィルムを繊維状に断裁、それを不織布化したスプリットファイバーエレクトレットフィルターや、メルトブロー紡糸時および溶融紡糸時に高電圧を印加して熱エレクトレット的に繊維を帯電させたメルトブロー不織布式エレクトレットフィルターおよびスパンボンド不織布式エレクトレットフィルターなどは、安定した分極電荷を得ることができる。なお、メルトブロー不織布式エレクトレットフィルターは単体では力学的強度が小さいため、乾式不織布やスパンボンドなどを貼り合わせて使用される場合がある。
【0021】
本発明に係わるHEPAフィルターとは、超高性能の集塵フィルターであり、0.3μmの粒子に対して99.97%以上の集塵効率を有するものである。従来は、軍事用、放射性廃棄物用、クリーンルーム用などの特殊用途で用いられたものであるが、近年では家庭用空気清浄機などの民生用にもHEPAフィルターの使用が拡大する傾向がある。
【0022】
本発明に係わる芳香剤を担持したフィルターとは、不織布などの通気性フィルター基材に芳香剤を担持したフィルターであり、担持方法としては、芳香剤または芳香剤含有物質の基材材料への練り込みや芳香剤塗液または芳香剤溶融液の含浸塗工やスプレー塗工などを挙げることができる。芳香剤の他に、必要に応じて抗菌剤、防虫剤、害虫忌避剤などを併用担持してもよい。
【0023】
本発明に係わる芳香剤とは、芳香作用、消臭作用またはマスキング作用などを有する揮発性または昇華性の薬剤である。芳香作用とは香料などが発する香気によって臭いの質を変化させ、不快感を軽減させる作用である。消臭作用とは臭いの相殺作用によって臭気強度を低減させる作用、あるいは悪臭成分を包接して中和分解する作用である。マスキング作用とは対象とする悪臭よりも強い臭気物質で悪臭を隠蔽する作用、または嗅覚を麻痺させて悪臭を感知し難くする作用である。芳香剤は上記の作用以外にも、抗菌作用、防虫作用、害虫忌避作用などを有しても良い。
【0024】
芳香剤としては香料、フィトンチッド、消臭剤、マスキング剤などを挙げることができ、具体的には、シトラール、シンナミックアルデヒド、ヘリオトピン、カンファ、ボルニルアセテート、ヒノキチオール、ボルネオール、リモネン、ピネン、ユカリプトール、オイゲノール、パラジクロロベンゼン、プロパノールなどのアルコール類などを挙げることができる。
【0025】
本発明に係わる通気性フィルター基材(B)は、必要に応じて抗菌、防黴、抗ウイルス、防虫、害虫忌避、脱臭、消臭、粗塵除去などの機能を有するものを用いても良い。中でも、抗菌、防黴、抗ウイルス機能を有する基材を用いることが好ましく、基材(A)がエレクトレットの場合には、除塵、脱臭、抗菌・防黴を併せ持つ有用性が高い空気清浄化フィルターを得ることができる。殊に、基材(B)に酸化チタンなどの光触媒を担持した場合には、抗菌、防黴、抗ウイルス機能に加えて、菌が排出する毒素の分解、脱臭、防汚などの機能が付加されるため、一層好ましい。
【0026】
本発明に係わる脱臭剤は主に悪臭を除去する目的で用いられる薬剤の総称であり、具体的には、活性炭、添着活性炭、ゼオライト、活性アルミナ、活性白土、イオン交換樹脂、鉄アスコルビン酸、鉄フタロシアニン誘導体などの吸着脱臭剤、マンガン系酸化物やペロブスカイト型触媒などの低温酸化触媒、酸化チタンや酸化亜鉛などの光触媒、植物抽出成分に含まれる化合物であるカテキン、タンニン、フラボノイド等を用いた消臭剤などを挙げることができる。
これらの脱臭剤は必要に応じて複数のものを併用しても良く、また、これらの脱臭剤を複合化したハイブリット脱臭剤としても良い。
【0027】
本発明に係わる熱可塑性接着剤は、熱可塑性樹脂を主体とするものであり、熱可塑性樹脂として、エチレン酢酸ビニル共重合体またはこの変性物、エチレンアクリレート共重合体、アイオノマー、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン系などの樹脂を挙げることができる。
【0028】
本発明に係わる熱可塑性接着剤の軟化点または融点は特に制限されるものではなく、フィルターの後加工条件や使用環境温度、基材または脱臭剤の耐熱性などを考慮して適宜選択すれば良い。
【0029】
本発明に係わる脱臭剤または熱可塑性接着剤の形状は、粉体状、粒状、ウイスカー状または短繊維状であることが好ましい。
本発明に係わる脱臭剤または熱可塑性接着剤の粒径は、10〜100メッシュであることが好ましい。粒径が10メッシュ未満では活性炭が加圧時に割れたり、基材同士の接着点が不均一になるなどの問題があり、一方、粒径が100メッシュを越えると通気性フィルター基材の目から離脱するなどの問題がある。
【0030】
本発明に係わる脱臭剤(S)と熱可塑性接着剤(T)の重量比(S/T)は0.3〜4であることが好ましい。重量比(S/T)が0.3より小さいと、熱可塑性樹脂が脱臭剤の表面を覆うため著しく脱臭性能が低下すると共に、空気清浄化フィルターの通気性が損なわれる場合がある。一方、重量比(S/T)が4より大きいと接着強度が不足し、2枚の基材の剥離や脱臭剤の離脱が生じ易い。
【0031】
本発明に係わる脱臭剤の封入量は、特に制限されるものではないが、500g/m2以下であることが好ましい。封入量が500g/m2を越えると基材間の接着強度が低くなり、また、厚さが大きくなってプリーツ加工が困難となるため、実用性が低下する。
【0032】
本発明に係わる通気性フィルター基材(B)の上に脱臭剤と熱可塑性接着剤を散布する場合には、両者を個別に散布しても良いが、脱臭性などに特に影響がなければ予め混合したものを散布することが好ましい。散布の方法としては、ホッパー下部からの自由落下による散布、空気中に分散した送風による散布、水系分散してのスプレー塗工やダイ塗工などを挙げることができる。
【0033】
本発明に係わる加熱は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂を散布した側から加熱することが好ましい。
熱可塑性樹脂を散布した側から加熱する場合には、接触式の熱伝導による加熱は困難であるため、熱風などの非接触式の加熱手段を採ることが好ましく、中でも赤外線ヒーターやガスバーナーヒーターのような放射熱による手段が特に好ましい。
【0034】
本発明に係わる基材を重ね合わせた後の加圧は、例えば加圧したロール間を通す方法などを採用できる。加圧の程度は、接着強度、脱臭剤の潰れ、通気性への影響などを考慮して、適宜設定すればよい。
【0035】
本発明においては、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)への熱の影響を排除するために、基材(A)と重ね合わせる前の基材(B)および脱臭剤、熱可塑性接着剤が有する熱量を適正化する必要がある。
【0036】
本発明においては、通気性フィルター基材(B)の上に脱臭剤と熱可塑性接着剤を散布して加熱し、該接着剤が可塑化した後に加熱を止め、次いで可塑化した接着剤の表面を急冷した後に加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)を重ね合わせて加圧し、一体化することが好ましい。一旦加熱した熱可塑性接着剤の表面を急冷することにより、基材(A)への熱の影響を減らしながら加圧、一体化に充分な接着性を維持することが可能となる。従って、急冷の程度は、可塑化した接着剤の表層のみを冷却させ、内部は可塑化状態にあるように調節する必要がある。急冷の具体例としては冷風を当てる方法を挙げることができる。
【0037】
本発明においては、加圧により一体化した後は速やかに熱を除くことが好ましい。中でも、加圧が2本の加圧ロール間に挟む方法であり、基材に接触するロール、特に基材(A)に接触するロールを冷却することが特に好ましく、加圧、一体化と同時に冷却を行えるため、基材(A)への熱の影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0038】
本発明の第6の発明によって得られる芳香性と脱臭性を併せ持つ空気清浄化フィルターを用いる場合には、芳香剤を担持した通気性フィルター基材(A)が主に通気の流れの風下側に位置するように配置することが好ましい。芳香剤を担持した通気性フィルター基材(A)を風上側に配置すると芳香成分が脱臭剤で除去されて芳香作用などが得られ難い場合がある。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、実施例に限定されるものではない。
【0040】
調製例1
ポリエステル繊維(テトロン、3d、38mm、50w%/6d、51mm、30w%)とビスコースレーヨン繊維(3d、51mm、20w%)とを混合し、乾式法により空気中でウエッブを形成し、次に、熱可塑性のバインダーであるアクリルのラテックス中に含浸し、繊維を接着して形成し、不織布を得た。次いで、ピリジンチオール亜鉛塩の微粒子からなる抗菌・防黴剤を含む塗液にこの不織布を含浸させてピリジンチオール亜鉛塩を1g/m2担持し、抗菌・防黴性の通気性フィルター基材(B)を調製した。
【0041】
調製例2
脱臭剤として、粒状活性炭50重量部と粒状ゼオライト吸着剤50重量部の合計100部に対して、熱可塑性接着剤として軟化点100℃のエチレン酢酸ビニル樹脂粉体50重量部を混合し、混合粉体を調製した。
【0042】
調製例3
極細ガラス繊維(平均繊維径0.6μm)を12重量%と、ポリエステル繊維(繊維径18μm、繊維長は5mm)を38重量%と、バインダー繊維として芯鞘型熱融着性ポリエステル繊維(繊維径14μm、繊維長5mm、鞘部融点110℃)を50重量%とを混合して水性スラリーを調製し、これらのスラリーから円網抄紙機にて坪量40g/m2のHEPAフィルターを作製し、これを通気性フィルター基材(A)とした。
【0043】
調製例4
ポリエステル繊維(テトロン、3d、38mm、50w%/6d、51mm、30w%)とビスコースレーヨン繊維(3d、51mm、20w%)とを混合し、乾式法により空気中でウエッブを形成し、次に、熱可塑性のバインダーであるアクリルのラテックス中に含浸し、繊維を接着して形成し、不織布を得た。次いで、シリカゲル担体にヒノキチオールを担持させた芳香剤を含む塗液にこの不織布を含浸させて芳香剤を20g/m2担持し、芳香剤を担持した通気性フィルター基材(A’)を調製した。
【0044】
実施例1
調製例1の通気性フィルター基材(B)の上に調製例2の混合粉体を150g/m2散布し、混合粉体を散布した側から表面温度150℃の赤外線ヒーターを当てて加熱した。次いで、接着剤が可塑化した後に加熱を止め、速やかに基材(B)の脱臭剤散布側に通気性フィルター基材(A)として市販のエレクトレットフィルター(東燃タピルス製、PO−20ALOG)を重ね合わせて2本の回転ロール間に挟んで加圧、一体化し、空気清浄化フィルターを製造した。これを実施例1の空気清浄化フィルターとした。
【0045】
実施例2
調製例1の通気性フィルター基材(B)の上に調製例2の混合粉体を150g/m2散布し、混合粉体を散布した側から表面温度150℃の赤外線ヒーターを当てて加熱した。次いで、接着剤が可塑化した後に加熱を止めて温度5℃の冷風で急冷し、速やかに基材(B)の脱臭剤散布側に通気性フィルター基材(A)として市販のエレクトレットフィルター(東燃タピルス製、PO−20ALOG)を重ね合わせて2本の回転ロール間に挟んで加圧、一体化し、空気清浄化フィルターを製造した。これを実施例2の空気清浄化フィルターとした。
【0046】
実施例3
実施例2において、基材を挟んで加圧する2本の回転ロールを10℃に冷却する以外は、全て実施例2と同一の方法で空気清浄化フィルターを製造した。これを実施例3の空気清浄化フィルターとした。
【0047】
実施例4
実施例3において、市販のエレクトレットフィルターに代えて、HEPAフィルターとして調製例3の通気性フィルター基材(A)とする以外は、全て実施例3と同一の方法で空気清浄化フィルターを製造した。これを実施例4の空気清浄化フィルターとした。
【0048】
比較例1
調製例1の通気性フィルター基材(B)の上に調製例2の混合粉体を150g/m2散布し、その上に通気性フィルター基材(A)として市販のエレクトレットフィルター(東燃タピルス製、PO−20ALOG)を重ね合わせた。次いでこれを130℃に加熱した2本の回転ロール間に挟んで加圧し、一体化した。これを比較例1の空気清浄化フィルターとした。
【0049】
比較例2
比較例1において、市販のエレクトレットフィルターに代えて、HEPAフィルターとして調製例3の通気性フィルター基材(A)とする以外は、全て比較例1と同一の方法で空気清浄化フィルターを製造した。これを比較例2の空気清浄化フィルターとした。
【0050】
以上、実施例および比較例で得られた空気清浄化フィルターは以下の方法で集塵性能試験、脱臭性能試験を行い、その結果を表1に示した。
【0051】
[集塵性能試験]
実施例および比較例の空気清浄化フィルターをプリーツ加工してフィルターユニットとしたものを市販の空気清浄機(三菱製紙(株)製、新・鮮風機PC3−S)にプレフィルターの代わりとして搭載し、日本電機工業会規格JEM−1467−1995に準拠して集塵性能を測定した。更に、これらの空気清浄機2台を事業所内の喫煙場所に2ヶ月間並べて設置、運転した後に、JEM−1467−1995に準拠して集塵性能を測定した。集塵性能は集塵効率(%)として表した。
【0052】
[脱臭性能試験]
上記の集塵性能試験と同様に市販の空気清浄機(三菱製紙(株)製、新・鮮風機PC3−S)にプレフィルターの代わりとして搭載し、JEM−1467−1995に準拠して脱臭性能を測定し、除去率(%)として表した。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例5
実施例3において、市販のエレクトレットフィルターに代えて、芳香剤を担持したフィルターとして調製例4の通気性フィルター基材(A’)とする以外は、全て実施例3と同一の方法で空気清浄化フィルターを製造した。これを実施例5の空気清浄化フィルターとした。
【0055】
比較例3
比較例1において、市販のエレクトレットフィルターに代えて、芳香剤を担持したフィルターとして調製例4の通気性フィルター基材(A’)とする以外は、全て比較例1と同一の方法で空気清浄化フィルターを製造した。これを比較例3の空気清浄化フィルターとした。
【0056】
以上、実施例および比較例で得られた空気清浄化フィルターは以下の方法で臭気判定試験を行い、その結果を表2に示した。
【0057】
[臭気判定試験]
実施例および比較例の空気清浄化フィルターをプリーツ加工してフィルターユニットとしたものを市販の空気清浄機(三菱製紙(株)製、新・鮮風機PC3−S)にプレフィルターの代わりとして、芳香剤を担持した通気性フィルター基材(A’)が風下側となるように搭載した。床面積30m2の部屋でタバコ5本を燃焼させて、実施例および比較例の空気清浄化フィルターからなるプレフィルターを搭載した空気清浄機を運転し、6時間後の室内の臭気をモニター10人で判定した。
【0058】
【表2】
【0059】
表1の結果から、実施例の空気清浄化フィルターは、同じ基材を用いた比較例の空気清浄化フィルターに比べて集塵性能が高く、特に、基材(A)がエレクトレットフィルターの場合には経時による集塵性能の低下が少ないことが分かる。特に、接着剤が可塑化した後に加熱を止めて冷風で急冷した場合には集塵性能の低下が著しく少なく、更に、基材を挟んで加圧する2本の回転ロールを冷却した場合には集塵性能が一層高い空気清浄化フィルターが得られた。
一方、脱臭性能には差が無く、実施例と比較例の空気清浄化フィルター共に高い脱臭性能を有している。
【0060】
表2の結果から、実施例5の空気清浄化フィルターは、同じ基材を用いた比較例3の空気清浄化フィルターに比べて芳香性が高く、更にタバコ臭の除去性能にも優れ、芳香性と脱臭性を併せ持つ空気清浄化フィルターが得られた。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)と通気性フィルター基材(B)との間に脱臭剤を挟んで熱可塑性接着剤によって封入する空気清浄化フィルターの製造方法において、通気性フィルター基材(B)の上に脱臭剤と熱可塑性接着剤を散布して加熱し、該接着剤が可塑化した後に加熱を止め、好ましくは可塑化した接着剤の表面を急冷し、次いで通気性フィルター基材(B)の脱臭剤散布側に、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)を重ね合わせて加圧、好ましくは少なくとも通性フィルター基材(A)と接するロールは冷却しながら2本の加圧ロールに挟んで加圧、一体化する空気清浄化フィルターの製造方法は、基材間に封入された脱臭剤による高い脱臭性能を有すると共に、通気性フィルター基材(A)が有する特性をも付与された多機能性の空気清浄化フィルターを提供するものである。
【0062】
特に、通気性フィルター基材(A)がエレクトレットフィルターまたはHEPAフィルターの場合には、脱臭機能に加えて除塵機能を有する空気清浄化フィルターが得られ、更に、通気性フィルター基材(B)が抗菌性を有する場合には、脱臭・除塵・抗菌機能を有する空気清浄化フィルターが得られる。これらの多機能性空気清浄化フィルターは、空気清浄機用、エアコン用、換気装置用あるいは業務用脱臭機用のフィルターとして好適であり、その有用性は著しく高い。
【0063】
一方、通気性フィルター基材(A)が芳香剤を担持したフィルターの場合には、脱臭機能に加えて芳香性を有する空気清浄化フィルターが得られる。この空気清浄化フィルターは、悪臭成分を脱臭剤で除去すると共に、空気に芳香を与え、悪臭を効率よく除去することができる。特に、芳香剤が消臭作用を有する場合には、脱臭剤を用いる脱臭が空気中の悪臭除去には優れながら部屋の壁や天井、家具類などに付着した臭気が除去できず、臭気が残るのに対して、空気中に散布された消臭性芳香剤が壁などに付着した臭気物質を消臭するため、悪臭を総合的に除去できる空気清浄化フィルターが得られ、このフィルターは悪臭の除去用途には格別に優れたものである。更に、芳香剤が抗菌作用を有する場合には、芳香剤が空気中の浮遊菌に対して抗菌作用を及ぼすため、家庭やオフィスなどでの室内空気の浄化用途に一層優れた空気清浄化フィルターを提供するものである。
Claims (3)
- 加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)と通気性フィルター基材(B)との間に脱臭剤を挟んで熱可塑性接着剤によって封入する空気清浄化フィルターの製造方法において、
通気性フィルター基材(B)の上に脱臭剤と熱可塑性接着剤を散布して加熱し、該接着剤が可塑化した後に加熱を止め該可塑化した接着剤の表面を急冷した後に、通気性フィルター基材(B)の脱臭剤散布側に、加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)を重ね合わせて加圧し、一体化することを特徴とする空気清浄化フィルターの製造方法。 - 加圧が2本の加圧ロールに挟む方法であり、少なくとも通気性フィルター基材(A)と接するロールは冷却することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄化フィルターの製造方法。
- 加熱によって性能が低下する通気性フィルター基材(A)がエレクトレットフィルター、HEPAフィルターまたは芳香剤を担持したフィルターであることを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄化フィルターの製造方法。
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JP26319598A JP3657438B2 (ja) | 1998-09-17 | 1998-09-17 | 空気清浄化フィルターの製造方法 |
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JP26319598A JP3657438B2 (ja) | 1998-09-17 | 1998-09-17 | 空気清浄化フィルターの製造方法 |
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