JP3655744B2 - 汚水処理設備用真空式流量調整槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空式下水道設備の集水タンク機能を付加した汚水処理設備用真空式流量調整槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の真空式下水道設備及び汚水処理設備を示す概略図である。同図に示すように地上の各家庭330から地中の真空弁ユニット332に流れ込んだ汚水は一定量溜ると、真空弁333が開いて真空下水管301に吸い込まれ、真空ポンプ場340の真空ポンプ343によって負圧に保持された集水タンク341に集められる。ここまでが真空式下水道設備である。そして集水タンク341内の汚水が所定量溜ると、圧送ポンプ342によって汚水処理設備350に送られる。
【0003】
そして汚水処理設備350に送られた汚水は、一旦流量調整槽351に溜められ、次にポンプによって所定量ずつ汚水反応槽355に移送され、微生物等によって分解処理される。分解処理された水は放流され、残った汚泥は埋立て・焼却などされる。
【0004】
汚水を一旦流量調整槽351に溜めるのは、汚水の量は時間によって大きく変動し、例えば朝夕は多いが昼間は少ないのに対して、汚水反応槽355による汚水の処理量は略一定なので、流入汚水の流量負荷変動を調整し、均等に汚水を後段の汚水反応槽355へ移送するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来、前述のように真空式下水道設備と汚水処理設備350とは切り離して構成されていた。即ち真空式下水道設備は汚水の収集に必要な機能としてのみ設計施工され、また汚水処理設備350も、汚水の収集方式が真空式であっても、自然流下式の場合と同じ大気開放型のものとして独立して設計施工されていた。これはたとえ真空式下水道設備の真空ポンプ場340と汚水処理設備350が同一建物内に設置されていた場合であっても同様であった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、汚水処理設備に設ける流量調整槽に、集水タンク機能を付加することによって、設備の小型化、低コスト化を図ることができる汚水処理設備用真空式流量調整槽を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本発明は、真空下水管で収集された汚水を分解処理する汚水反応槽の前に設置されて、該汚水反応槽へ供給される汚水の量を調整する汚水処理設備用流量調整槽において、前記流量調整槽は密閉された容器に該容器内を負圧にする排気手段を取り付け、さらに該流量調整槽に前記真空下水管を接続し、前記排気手段によって流量調整槽内を負圧にして真空下水管内の汚水を吸引せしめることにより、該流量調整槽に汚水を収集する機能を付加して構成され、且つ前記流量調整槽は複数台設置され、汚水反応槽の処理スケジュールに合わせてこれら複数の流量調整槽への汚水の受け入れと排出の動作をそれぞれ切り替えていく制御を行うように構成した。
また本発明は、前記汚水反応槽を、この汚水反応槽内に流入した所定量の汚水をばっ気・攪拌を行って微生物によって汚水を分解し、さらにばっ気を停止して汚泥を沈殿させてその上澄液と沈殿汚泥とを別々に排出する構造の回分式汚水反応槽とするか、或いは接触ばっ気式汚水反応槽として構成した。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第一実施形態を用いて構成された汚水処理設備を示す全体概略構成図である。同図に示すようにこの汚水処理設備は、2つの汚水処理設備用の流量調整槽10−1,10−2と、回分式の汚水反応槽50と、汚泥濃縮槽60と、汚泥貯留槽70とを具備して構成されている。
【0009】
2つの流量調整槽10−1,2は何れも同一構造であって、分岐された真空下水管100の先端が並列に接続されている。分岐された各真空下水管100−1,2には電動弁101−1,2が取り付けられている。
【0010】
ここで図2,図3は流量調整槽10(10−1,10−2)の構造を示す図であり、図2は側断面図、図3は図2のA−A断面矢視図である。
【0011】
両図及び図1に示すように流量調整槽10は、略円筒形状の密閉された容器11で構成されており、その側端面上部に前記真空下水管100(100−1,100−2)の先端が挿入されており、その先端にはフラップ弁13が取り付けられている。またフラップ弁13の直前には、複数本の棒を平行に設置してなる荒目スクリーン15が設置されている。
【0012】
一方容器11の上部には、ゴミ除去口17が設けられている。このゴミ除去口17には開閉蓋19が取り付けられており、これを閉じた際はゴミ除去口17が密封される。このゴミ除去口17は真空下水管100から流入して荒目スクリーン15に引っ掛かった大き目のゴミを手掻きで取り除くのに利用される。
【0013】
さらに容器11の上部には、下記する真空ポンプ/コンプレッサ装置30を接続するための接続口21と、汚水排出口23とが設けられている。なおこの容器11の容量は、流量調整槽の機能を果たすため、通常の集水タンクの容量よりも大きく構成した方がよい。
【0014】
そして前記流量調整槽10−1,10−2の接続口21には、それぞれ図1に示すように真空ポンプ/コンプレッサ装置30が接続されている。ここでこの真空ポンプ/コンプレッサ装置30は、容器11内の減圧と加圧とが行なえる機能を具備する装置であり、例えば、1台の真空ポンプを通常運転することで減圧し、配管の接続状態を切り換えて真空ポンプの排気側を容器11に接続し吸気側を大気に接続することによって加圧するような構造のものでも良いし、また真空ポンプとコンプレッサをそれぞれ1台ずつ設置することで両者を切り換えるようにした構造のものでも良い。
【0015】
次に流量調整槽10−1,10−2の汚水排出口23にはそれぞれ配管35(35−1,35−2)が接続され、電動弁37−1,37−2を介して該両配管35は1本に連結された後に微細目スクリーン40を通して回分式の汚水反応槽50に接続されている。
【0016】
この汚水反応槽50には、上澄水排出装置51が取り付けられ、また汚泥濃縮槽60に接続されている。
【0017】
また汚泥濃縮槽60は汚泥貯留槽70に接続されるとともに、その脱離液は流量調整槽10−2に戻される。
【0018】
次にこの汚水処理設備の動作を説明する。即ち例えば一方の流量調整槽10−1に所定量の汚水が溜っており、他方の流量調整槽10−2には汚水がないとする。
【0019】
この状態で流量調整槽10−1側の真空ポンプ/コンプレッサ装置30をコンプレッサとして機能させ、流量調整槽10−2側の真空ポンプ/コンプレッサ装置30を真空ポンプとして機能させる。
【0020】
これによって流量調整槽10−1内は加圧されてフラップ弁13は閉じ、電動弁37−1を開とすれば、流量調整槽10−1内の汚水は微細目スクリーン40を通して微細なゴミが除去された後に汚水反応槽50に導入される。
【0021】
一方前記流量調整槽10−2内は負圧に保持されており、電動弁37−2は閉じているので、真空弁110が開くことによって真空弁ユニット120内の汚水は真空下水管100を通してこの流量調整槽10−2内に導入される。つまり汚水の収集は流量調整槽10−2が継続して行なう。
【0022】
次に流量調整槽10−1から汚水反応槽50に導入された汚水は反応分解されるが、この汚水反応槽50は回分式、即ちばっ気槽と沈殿槽の機能を同一の槽で行なうので、具体的には以下のような方法でその処理が行なわれる。
【0023】
即ちまず汚水反応槽50内に所定量の汚水を流入する。次にばっ気・撹拌を行なって微生物によって汚水を分解する。次にばっ気を停止して汚泥を沈殿させる。そして上澄液を上澄水排出装置51によって排出し、これを消毒/放流する。一方沈殿汚泥は図示しないポンプによって汚泥濃縮槽60に排出される。
【0024】
そして汚泥濃縮槽60で濃縮された濃縮汚泥は汚泥貯留槽70に排出され、その脱離液は流量調整槽10−2に戻される。
【0025】
なお電動弁101−1,2はフラップ弁13が正常に動作しなかった場合の非常用の開閉弁であり、フラップ弁13が正常に動作している場合は使用せず、図示しない検出手段によってフラップ弁13が正常に動作していないことを検出した際にこれに代わって動作させるものである。
【0026】
流量調整槽10−1内の汚水排出が終了すると、流量調整槽10−1の真空ポンプ/コンプレッサ装置30を真空ポンプとして機能させると共に電動弁37−1を閉じることで、流量調整槽10−1内を負圧にして真空下水管100からの汚水を受け入れるようにする。
【0027】
一方真空下水管100からの汚水を収集していた流量調整槽10−2内の汚水量が所定量に達すると、真空ポンプ/コンプレッサ装置30をコンプレッサとして機能させ圧縮空気を流量調整槽10−2に送ると共に電動弁37−2を開き、これによって流量調整槽10−1によって汚水を収集しながら流量調整槽10−2から汚水を排出処理するようにする。この様に一方の流量調整槽が汚水を排出中にはもう一方の流量調整槽が負圧に保持され汚水を受け入れる様に制御する。
【0028】
なお例えば朝の汚水排出量がピーク流量となる直前に2つの流量調整槽10−1,2とも空になるように運転タイミングを制御し、朝のピーク流量時は汚水を両流量調整槽10−1,2で受け入れ、その後汚水反応槽50の処理スケジュールに合わせて順次汚水を汚水反応槽50に送るようにしても良い。
【0029】
このように2つの流量調整槽10−1,2の動作を必要に応じて切り替えていくことによって、汚水反応槽50へ送る汚水の量を調整する流量調整槽としての機能を図りながら、同時に汚水の収集をも図るのである。
【0030】
以上のように汚水処理設備に用いる流量調整槽10を排気手段によって負圧にして真空下水管100内の汚水を吸引せしめるように構成したので、流量調整槽10に汚水を収集する機能を付加でき、これによって真空式下水道設備に集水タンクを設置する必要がなくなり、全体として設備の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0031】
図4は本発明の第二実施形態を用いて構成された汚水処理設備を示す全体概略構成図である。この汚水処理設備において前記第一実施形態と同一又は相当する部分には同一符号を付している。
【0032】
即ちこの汚水処理設備の場合は、2つの汚水処理設備用の流量調整槽10(10−1,10−2)の後段に、接触ばっ気式の汚水反応槽80を接続し、その後段に沈殿槽85を接続し、更にその後段に汚泥濃縮貯留槽90を接続して構成されている。
【0033】
ここで2つの流量調整槽10−1,10−2は前記第一実施形態と略同一構成であるが、流量調整槽10−1,10−2から汚水反応槽80への汚水の排水を汚水ポンプ75によって行なっている点と、真空ポンプ/コンプレッサ装置30の代わりに真空ポンプ77を接続した点で相違している。
【0034】
そしてこの接触ばっ気式の汚水反応槽80の場合は、上記回分式の汚水反応槽50の場合と相違して、汚水をバッチ式ではなく連続処理していくので、流量調整槽10−1(又は10−2)の真空ポンプ77を起動して内部を負圧に保持して汚水の収集を行なわせながら、同時に汚水ポンプ75を起動することで汚水反応槽80に汚水を連続して送ることができる構成とした。
【0035】
汚水反応槽80で処理された汚水は順次沈殿槽85に送られ、その上澄液は消毒/放流され、また沈殿物は汚泥濃縮貯留槽90に送られてその脱離液は流量調整槽10−2に戻され、残った濃縮汚泥は廃棄される。
【0036】
この実施形態の場合、前述のように流量調整槽10−1,2に汚水を収集しながら汚水反応槽80に汚水を送ることができるので、両流量調整槽10−1,2への汚水の収集・排出は適宜行なえば良い。要は汚水反応槽80へ送る汚水の量を調整する流量調整槽としての機能を図りながら、同時に汚水の収集をも図るように運転すれば良い。
【0037】
以上本発明の実施形態を説明したが本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
▲1▼上記実施形態では汚水反応槽として回分式と接触ばっ気式とを示したが、その他の方式のものを用いても良い。
【0038】
▲2▼上記実施形態においては汚水処理設備用の流量調整槽を2台設置したが、流量調整槽の容積に対して汚水流量が少ないような場合は1台で構成しても良く、また3台以上で構成しても良い。なお第一実施形態のように真空ポンプ/コンプレッサ装置30を用いた場合は、これをコンプレッサとして用いているときは汚水の収集が図れないので、流量調整槽は2台設置した方が良い。
【0039】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、汚水処理設備内に設ける流量調整槽に集水タンク機能を付加したので、別途真空式下水道設備に集水タンクを設置する必要がなくなり、全体として設備の小型化、低コスト化を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態を用いて構成された汚水処理設備を示す全体概略構成図である。
【図2】流量調整槽10(10−1,10−2)の構造を示す側断面図である。
【図3】図2のA−A断面矢視図である。
【図4】本発明の第二実施形態を用いて構成された汚水処理設備を示す全体概略構成図である。
【図5】従来の真空式下水道設備及び汚水処理設備を示す概略図である。
【符号の説明】
10(10−1,10−2) 流量調整槽
11 容器
13 フラップ弁
37−1,2 電動弁
30 真空ポンプ/コンプレッサ装置(排気手段)
50 汚水反応槽
60 汚泥濃縮槽
70 汚泥貯留槽
100,100−1,2 真空下水管
75 圧送ポンプ
77 真空ポンプ(排気手段)
80 汚水反応槽
85 沈殿槽
90 汚泥濃縮貯留槽
Claims (2)
- 真空下水管で収集された汚水を分解処理する汚水反応槽の前に設置されて、該汚水反応槽へ供給される汚水の量を調整する汚水処理設備用流量調整槽において、
前記流量調整槽は密閉された容器に該容器内を負圧にする排気手段を取り付け、さらに該流量調整槽に前記真空下水管を接続し、前記排気手段によって流量調整槽内を負圧にして真空下水管内の汚水を吸引せしめることにより、該流量調整槽に汚水を収集する機能を付加して構成され、
且つ前記流量調整槽は複数台設置され、汚水反応槽の処理スケジュールに合わせてこれら複数の流量調整槽への汚水の受け入れと排出の動作をそれぞれ切り替えていく制御を行うように構成されていることを特徴とする汚水処理設備用真空式流量調整槽。 - 前記汚水反応槽は、この汚水反応槽内に流入した所定量の汚水をばっ気・攪拌を行って微生物によって汚水を分解し、さらにばっ気を停止して汚泥を沈殿させてその上澄液と沈殿汚泥とを別々に排出する構造の回分式汚水反応槽であるか、或いは接触ばっ気式汚水反応槽であることを特徴とする請求項1に記載の汚水処理設備用真空式流量調整槽。
Priority Applications (1)
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JP07131498A JP3655744B2 (ja) | 1998-03-05 | 1998-03-05 | 汚水処理設備用真空式流量調整槽 |
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JP07131498A JP3655744B2 (ja) | 1998-03-05 | 1998-03-05 | 汚水処理設備用真空式流量調整槽 |
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JPH11247282A JPH11247282A (ja) | 1999-09-14 |
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JP07131498A Expired - Lifetime JP3655744B2 (ja) | 1998-03-05 | 1998-03-05 | 汚水処理設備用真空式流量調整槽 |
Country Status (1)
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Cited By (1)
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1998
- 1998-03-05 JP JP07131498A patent/JP3655744B2/ja not_active Expired - Lifetime
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