JP3652515B2 - 車両用ドアの保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば車両の組立工場において、車体に組付けられるべきドアに各種部品を組付ける等の作業を施すべく、該ドアを保持するための車両用ドアの保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、たとえば特開平5−92761号公報および特開平6−285729号公報等で車両用ドアの保持装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平5−92761号公報では、オーバーヘッドコンベアで移動するドアハンガーに設けられる上下一対の支持部に、ピンを介して車両用ドアの上部および下部ヒンジを連結するようにして車両用ドアを保持するようにしているが、前記上下一対の支持部はドアハンガーの固定位置に設けられるものであり、上部ヒンジおよひ下部ヒンジ間の間隔が一定である車両用ドアにしか適用できず、車種の異なる車両用ドアを保持することができない。
【0004】
また上記特開平6−285729号公報等では、車両用ドアを載せる支持体に、該ドアの基側縁を係合させる定置係合具と、前記ドアの遊側縁に係合する起立位置および前記遊側縁との係合を解除する横倒位置間で回動可能な可動係合具が設けられた構成が開示されているが、このものでも、可動係合具は支持体の一定位置に設けられるので車種の異なる車両用ドアには対応できず、しかも定置係合具および可動係合具が車両用ドアの両側縁に直接係合するので、両側縁に損傷が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、車両用ドアに損傷が生じることを防止しつつ、車種の異なる車両用ドアにも対応可能とした車両用ドアの保持装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、上部および下部ヒンジを基端部に備える車両用ドアを保持するための車両用ドアの保持装置において、基板上に立設された支柱と、この支柱に支持されて車両用ドアの基端部の端縁に沿って上下に延びる支持枠と、この支持枠から車両用ドアの底部に沿って水平に延びるアームと、そのアームに設けられて、該ドア底部の相互に間隔をあけた複数箇所を載せることを可能とした複数の載置台と、それら載置台上に載せられた車両用ドアの上部ヒンジに挿通される上部ピンと、同じく載置台上に載せられた車両用ドアの下部ヒンジに挿通される下部ピンとを備え、支持枠は、支柱に昇降可能に支持されアームの基端が固着される下部支持枠と、その下部支持枠の上端にアームの長手方向ならびに下部支持枠の長手方向に直交する軸線まわりに制限された範囲で回動することを可能として上部支持枠の下端部が連結されて成り、その上部支持枠には上部ピンおよび下部ピンが、両ピン相互の上下方向相対位置ならびに各ピンおよび前記アーム間の上下方向相対位置を調節可能として取付けられ、また下部支持枠と基板間には昇降シリンダが設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、上部および下部ヒンジを基端部に備える車両用ドアを保持するための車両用ドアの保持装置において、基板上に立設した支柱に、上下に延びる支持枠が昇降可能に支持されると共に、その支持枠及び基板間に昇降シリンダが設けられ、車両用ドアの底部の相互に間隔をあけた複数箇所を載せることを可能とした複数の載置台が設け られて水平に延びるアームと、前記各載置台上に載せられた車両用ドアの前記上部ヒンジに挿通される上部ピンと、前記各載置台上に載せられた車両用ドアの前記下部ヒンジに挿通される下部ピンとが、両ピン相互の上下方向相対位置ならびに各ピンおよび前記アーム間の上下方向相対位置を調節可能として、前記支持枠に取付けられ、係合位置および非係合位置間での水平面内での移動を可能として前記支柱に支承されるストッパに、水平軸線まわりの移動を可能としてローラが軸支され、前記ストッパを係合位置側にばね付勢するとともに係合位置から非係合位置に該ストッパを強制的に移動させ得るアクチュエータが前記支柱に取付けられ、前記支持枠には、該支持枠が上限位置に上昇したときに前記係合位置に在るストッパの前記ローラに上方から係合して該支持枠の前記上限位置からの落下を阻止する係合爪が設けられ、該係合爪には、前記ストッパが係合位置に在る状態で前記支持枠が上限位置に上昇する際には前記ローラに下方から接触して前記ストッパを非係合位置側に移動せしめるカム面が形成されることを特徴とする。
【0008】
上記請求項1,2の各構成によれば、複数の載置台上に載せられた車両用ドアの上部および下部ヒンジに、上部および下部ピンがそれぞれ挿通されることにより、車両用ドアを直立姿勢で保持することができ、しかも車両用ドアの内、外側面に直接外力が及ぶことなく該車両用ドアを保持することができるので、該ドアの内、外側面に損傷が生じることを防止することができる。また上部および下部ピン相互の上下方向相対位置を調節可能であるとともに、上部および下部ピンとアームとの間の上下方向相対位置を調節可能であるので、車種が異なることにより上部および下部ヒンジの上下方向相対位置、もしくは上部および下部ヒンジとドア底部との上下方向相対位置が変化したとしても、上部および下部ピンの上下方向相対位置もしくは上部および下部ピンとアームとの上下方向相対位置を調節することで対応することができ、車種が異なる毎に保持装置を取換えることが不要となる。
【0009】
また基板上に立設された支柱に昇降可能に支持される支持枠にアームが固定され、基板及び支持枠間に昇降シリンダが設けられるので、車両用ドアの載置、保持作業を行なうときと、保持されている車両用ドアに部品組付等の作業を施すときとで、支持枠の上下位置、すなわち各載置台ならびに上部および下部ピンの上下位置を変化させることができ、作業者が無理な作業姿勢をとらずにすむようにして、作業能率を向上することができる。
【0010】
また車両用ドアの種類によっては車両用ドアの底面に対して上部および下部ヒンジのピン孔の軸線がなす角度が異なる場合があるが、特に請求項1の上記構成によれば、上,下部ピンを取付けた上部支持枠の下端部が下部支持枠の上端に、アームの長手方向ならびに下部支持枠の長手方向に直交する軸線まわりに制限された範囲で回動することを可能として連結されるため、車両用ドアの種類が変化しても上部ピンおよび下部ピンを上部ヒンジおよび下部ヒンジに確実に挿通することができ、車両用ドアの種類の変化に対処することができる。
【0011】
また特に請求項2の上記構成によれば、支持枠が上昇する際には、係合爪のカム面がローラに下方から接触してストッパを非係合位置側に移動せしめることにより支持枠の上限位置までの上昇が可能であり、支持枠が上限位置まで上昇した状態では係合爪が係合位置にあるストッパのローラに上方から係合するので、ストッパをアクチュエータによって非係合位置まで移動させない限り、支持枠が落下してしまうことはない。したがって支持枠を上限位置に上昇させた状態で昇降シリンダに流体圧を供給し続ける必要がなく、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、前記アームには、車両用ドアの種類の変化に応じて車両用ドアの基端側底部を載せる位置を前記アームの長手方向に直交する水平方向に変化させることを可能として複数種類の車両用ドアの基端側底部を載せ得る第1の載置台が固定されるとともに、車両用ドアの遊端側底部を載せる載置部を備える第2の載置台が、第1の載置台への車両用ドアの載置位置の変化に応じて前記載置部の位置を変化させることを可能として取付けられることを特徴とし、かかる構成によれば、車両用ドアの種類が変化しても、第1および第2の載置台で、車両用ドアの底部を確実に支持することができ、車両用ドアの種類の変化に対処できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1ないし図9は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両用ドアを保持した状態での保持装置の側面図、図2は図1の要部拡大図、図3は車両用ドアを外した状態での保持装置の拡大平面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図3の5−5線拡大断面図、図6は図3の6−6線拡大断面図、図7は図2の7−7線拡大断面図、図8は図7の8−8線拡大断面図、図9は図4の9矢示部拡大縦断面図である。
【0014】
先ず図1において、乗用車両のたとえば後部サイドドアである車両用ドア11の基端部には、図示しない車体に開閉可能に取付けるための上部ヒンジ12および下部ヒンジ13が上下に間隔をあけて設けられており、この車両用ドア11に部品等の組付作業を実施するために、図示しない台車上に本発明に従う保持装置14が設けられる。
【0015】
この保持装置14は、上下に延びる支持枠15と、該支持枠15の下部から水平に延設されるアーム18と、車両用ドア11の底部の相互に間隔をあけた複数箇所たとえば2箇所を載せることを可能として前記アーム18に設けられる第1および第2の載置台19,20と、第1および第2の載置台19,20上に載せられた車両用ドア11の前記上部ヒンジ12のピン孔12aに下方から挿通させるべく前記支持枠15の上部に上下位置を調節可能として取付けられる上部ピン21と、前記各載置台19,20上に載せられた車両用ドア11の前記下部ヒンジ13のピン孔13aに上方から挿通させるべく前記上部ピン21および前記アーム18間で上下位置を調節可能として前記支持枠15に取付けられる下部ピン22とを備える。
【0016】
図2ないし図4を併せて参照して、図示しない台車上に固定される基板23上には支柱24が立設されており、この支柱24の側方に支持枠15が配置される。
【0017】
この支持枠15は、横断面形状を四角形とした角筒状にして上下に延びる固定の下部支持枠16の上端に、横断面形状を四角形とした角筒状である上部支持枠17が制限された範囲での水平軸線まわりの揺動を可能として連結されて成るものであり、下部支持枠16および上部支持枠17は、その連結状態で基本的には上下に延びた形態となっている。
【0018】
アーム18は、支柱24および下部支持枠16の軸線を含む平面に直交する方向で水平に延びるものであり、該アーム18の基端が下部支持枠16に固着される。第1および第2の載置台19,20のうち第1の載置台19は、車両用ドア11の基端側底部を載せるべくアーム18の基端寄りの部分の上面に固定され、第2の載置台20は車両用ドア11の遊端側底部を載せるべく前記アーム18の先端部に配設される。
【0019】
図5において、第1の載置台19の上面には、アーム18の長手方向に沿って平行に延びる一対の側壁部19a,19bと、両側壁部19a,19b間の中間部で横断面三角形状に形成されて両側壁部19a,19bと平行に延びる仕切り部19cと、一方の側壁部19aおよび仕切り部19c間に配置される平坦な載置面19dと、該載置面19dと同一レベルとして他方の側壁部19bおよび仕切り部19c間に配置される平坦な載置面19eとが設けられており、一方の側壁部19aの載置面19dからの立上がり高さH1 は、他方の側壁部19bの載置面19eからの立上がり高さH2 よりも大きく(H1 >H2 )設定される。また両側壁部19a,19bの内側面は、上方に向うにつれて相互に離反するように水平面に対して傾斜角θ1 ,θ2 をなすように傾斜して形成される。
【0020】
このような第1の載置台19によれば、車両用ドア11の横断面形状に応じて両載置面19d,19eのいずれかに車両用ドア11の基端側底部を載せるかを選択することができ、図5の鎖線で示すように、車両用ドア11の種類に応じて該車両用ドア11の基端側底部を載せる位置をアーム18の長手方向に直交する水平方向に変化させることが可能である。
【0021】
図6を併せて参照して、第2の載置台20は、鉛直軸線を有する軸25のまわりに、たとえば最大限6度程度の角度だけわずかに回動し得るようにしてアーム18に取付けられており、第2の載置台20の上面には、前記軸25の軸線に直交する方向に延びる溝状の載置部20aが、軸25の軸線まわりに前記最大限6度程度の角度だけ回動するのに応じて、アーム18の長手方向に対して両側に最大限3度程度の角度だけずれるようにして設けられており、車両用ドア11の遊端側底部は、載置部20aの端部に載せられる。
【0022】
而して第1の載置台19への車両用ドア11の載置位置をアーム18の長手方向に直交する水平方向に変化させるのに応じて第2の載置台20を軸25の軸線まわりに回動せしめることにより、車両用ドア11の遊端側底部を載せるべき前記載置部20aの端部位置を、アーム18の長手方向に直交する水平方向に変化させることが可能であり、第1の載置台19への車両用ドア11の載置位置の変化に対応して車両用ドア11の遊端側底部を第2の載置台20上に載せることが可能となる。
【0023】
支柱24の下部支持枠16側の側面には上下に延びるレール26が固着されており、下部支持枠16の上下に間隔をあけた複数箇所たとえば2箇所には、前記レール26に沿ってスライドするスライド部材27,27が固着される。これにより下部支持枠16すなわち支持枠15は、基板23上の支柱24に昇降可能に支持されることになる。
【0024】
基板23および下部支持枠16間には上下に延びる軸線を有する昇降シリンダ32が設けられており、該昇降シリンダ32におけるシリンダ体29の下端部は、下部支持枠16に関して前記アーム18と反対側の基板23上に固着されたブラケット28にクレビスピン30を介して取付けられ、シリンダ体29の上端から上方に突出するピストンロッド31の上端が、下部支持枠16の上端から側方に突出する連結アーム33に連結される。このような昇降シリンダ32を伸縮作動せしめることにより、下部支持枠16すなわち支持枠15が昇降駆動されることになる。
【0025】
下部支持枠16の下方で基板23上には支持台34が固着されており、この支持台34には、上下に延びる軸線を有する円筒状の液圧ダンパ35が螺合される。しかも液圧ダンパ35の上部には、下部支持枠16の下端に固着された当接板38に接触して下部支持枠16すなわち支持枠15の下限位置を定める規制筒36が固着されており、液圧ダンパ35の支持台34の上下方向取付け位置を調節することにより、下部支持枠16の下限位置が調節される。また液圧ダンパ35は、下部支持枠16が規制筒36の上端から離反して上昇したときには規制筒36の上端よりも上方に突出するロッド37を備えるものであり、液圧ダンパ35は、下部支持枠16の下降時に前記当接板38がロッド37の上端に当接してから下部支持枠16の下降速度を緩和するようにして、下部支持枠16の下端の当接板38の規制筒36への当接時の衝撃を緩和することになる。
【0026】
下部支持枠16の上端にはブラケット39が固着されており、前記支柱24および下部支持枠16の軸線を含む平面内で水平に延びる軸線を有する連結軸40を介して前記ブラケット39に上部支持枠17の下端部が回動可能に連結される。しかも上部支持枠17の下端部には、前記支軸39の周方向に沿う一方側に臨む第1規制面41と、前記支軸39の周方向に沿う他方側に臨む第2規制面42とが設けられ、下部支持枠16の上端部には、第1規制面41に当接して前記支軸39の周方向に沿う一方側への上部支持枠17の回動を規制する第1ボルト43と、第2規制面42に当接して前記支軸39の周方向に沿う一方側への上部支持枠17の回動を規制する第2ボルト44とが進退位置を調節可能として螺合されており、それらの規制面41,42およびボルト43,44により、上部支持枠17の回動範囲が1度前後のわずかな範囲に制限される。
【0027】
図7を併せて参照して、上部支持枠17の前記アーム18側の側面には上下に延びるレール45が固着されており、該レール45の上部には上部スライダ46が上下動可能に支承され、前記レール45の下部には下部スライダ47が上下動可能に支承される。
【0028】
上部スライダ46には、載置台19,20上に載っている車両用ドア11側に延びる取付けアーム48が固着されており、車両用ドア11の上部ヒンジ12に下方から挿通可能な上部ピン21が取付けアーム48の先端から上方に突設される。
【0029】
また上部支持枠17において支柱24とは反対側の側面の上部には、上下に間隔をあけた複数箇所に係合孔49,49…を有して上下に延びる位置調節板50が固着されており、上部スライダ46には、前記各係合孔49,49…の1つに択一的に挿通、係合される位置決めピン51が係合孔49,49…に挿通、係合する方向にばね付勢されて取付けられており、該位置決めピン51の外端には操作部52が設けられる。
【0030】
したがって操作部52を握って位置決めピン51を外方に引っ張った状態で上部スライダ46をレール45に沿って上下動せしめ、位置決めピン51が各係合孔49,49…のうちの選択された係合孔49に対応した位置で操作部52から手を離すと、位置決めピン51の内端部が選択された係合孔49に挿通、係合されることになり、上部スライダ46に固着された取付けアーム48に設けられる上部ピン21の上下位置を、各係合孔49,49…の上下間隔に対応した適宜位置で調節することが可能である。
【0031】
上部支持枠17の上端には、レール45に沿う上部スライダ46すなわち上部ピン21の上限位置を規制すべく上部スライダ46に当接可能な上部ストッパ53が固着され、上部支持枠17の上下方向中間部で位置調節板50の下方には、前記レール45に沿う上部スライダ46すなわち上部ピン21の下限位置を規制すべく上部スライダ46に当接可能な下部ストッパ54が固着される。
【0032】
図8を併せて参照して、下部スライダ47には、載置台19,20上に載っている車両用ドア11側に延びる取付けアーム55が固着されており、車両用ドア11の下部ヒンジ13に上方から挿通可能な下部ピン22が取付けアーム55の先端から下方に突設される。
【0033】
また上部支持枠17には、支柱24とは反対側に臨むラック56が前記下部ストッパ54よりも下方で上下に延びるようにして固着されており、下部スライダ47には、該ラック56に対向する支持アーム57が固着される。
【0034】
前記支持アーム57には、前記ラック56に噛合する歯部58を内端部に有するとともに操作部59を外端部に有する位置決めピン60がその軸方向移動可能に支承され、支持アーム57および位置決めピン60間には歯部58をラック56に噛合せしめる方向に位置決めピン60を付勢するばね61が設けられる。
【0035】
したがって操作部59を握って位置決めピン60を外方に引っ張った状態で下部スライダ47をレール45に沿って上下動せしめ、適宜位置で操作部59から手を離すと、位置決めピン60の内端の歯部58がラック56に噛合することになり、下部スライダ47に固着された取付けアーム55に設けられる下部ピン22の上下位置を調節することが可能である。しかも上部スライダ46が、各係合孔49,49…の上下間隔に対応した間隔で上下位置を調節可能であるのに対し、下部スライダ47は、ラック56に歯部58を噛合せしめるので、上下位置をより微細に調節して定めることができる。
【0036】
また上部支持枠17において、車両用ドア11とは反対側の側面には、昇降シリンダ32の伸縮作動すなわち支持枠15の昇降作動を作業員の操作により制御するための操作レバー62が配設される。
【0037】
図9において、支柱24の上端部には下部支持枠16の軸線と直交する方向に延びるガイド孔63を有するガイド部材64が固着されており、ガイド孔63に摺動可能に嵌合される摺動部材65と、該摺動部材65から下部支持枠16側に突出するブラケット66とでストッパ67が構成され、該ストッパ67は、ガイド孔63の下部支持枠16側の内面に嵌着される止め輪68に摺動部材65を当接させるまで下部支持枠16側に移動した係合位置と、下部支持枠16から離反する非係合位置との間での水平面内の移動が可能であり、前記ブラケット66には、水平軸線まわりの回転を可能としたローラ69が軸支される。
【0038】
ストッパ67には、アクチュエータであるシリンダ70が連結されており、該シリンダ70は、下部支持枠16とは反対側でガイド部材64に同軸に連結されるシリンダ体71と、シリンダ体71のガイド部材64側の端壁との間に空気圧室72を形成してシリンダ体71に摺動可能に嵌合されるピストン73と、該ピストン73に同軸に連設されるとともに前記端壁を移動自在にかつ気密に貫通して前記摺動部材65に同軸に連結されるピストンロッド74と、前記空気圧室72とは反対側でシリンダ体71およびピストン73間に縮設されるばね75とを備え、該ばね75は、空気圧室72の容積を縮少せしめる方向すなわちストッパ67を係合位置側に移動させる方向のばね力を発揮する。
【0039】
一方、係合位置に在るストッパ67の前記ローラ69に上方から係合して該支持枠15の前記上限位置からの落下を阻止する係合爪76が、下部支持枠16の上端部に固着されており、この係合爪76には、前記ストッパ67が係合位置に在る状態で下部支持枠16が上限位置に上昇する際には前記ローラ69に下方から接触して前記ストッパ67を非係合位置側に移動せしめるべく上方に向うにつれてストッパ67から離反する方向に傾斜して上方に臨むカム面76aと、係合位置に在るストッパ67の前記ローラ69に上方から係合すべく前記カム面76aの下方で下方に臨む係合面76bとが形成される。
【0040】
さらに前記ストッパ67よりも上方位置で支柱24の上端には、下部支持枠16すなわち支持枠15の上限位置を規制すべく前記係合爪76に上方から当接可能な上限位置ストッパ77が固着される。
【0041】
基板23には、前記保持装置14のうち支持枠15における上部支持枠17の上部、ならびにアーム18を突出させて保持装置14の大部分を覆うカバー78が設けられる。
【0042】
次にこの実施例の作用について説明すると、保持装置14は、上下に延びる支持枠15と、該支持枠15の下部から水平に延設されるアーム18と、車両用ドア11の底部の相互に間隔をあけた複数箇所を載せることを可能として前記アーム18に設けられる2つの載置台19,20と、それらの載置台19,20上に載せられた車両用ドア11の上部ヒンジ12に下方から挿通させるべく支持枠15の上部に上下位置を調節可能として取付けられる上部ピン21と、各載置台19,20上に載せられた車両用ドア11の下部ヒンジ13に上方から挿通させるべく上部ピン21およびアーム18間で上下位置を調節可能として支持枠15に取付けられる下部ピン22とを備えるものである。したがって、各載置台19,20上に載せられた車両用ドア11の上部および下部ヒンジ12,13に、上部および下部ピン21,22がそれぞれ挿通されることにより、車両用ドア11を直立姿勢で保持することができ、しかも車両用ドア11の内、外側面に直接外力が及ぶことなく該車両用ドア11を保持することができるので、該ドア11の損傷を防止できる。
【0043】
しかも上部および下部ピン21,22はそれらの上下方向相対位置を調節可能であるとともに、アーム18に対する上下方向相対位置を調節可能であるので、車種が異なることにより上部および下部ヒンジ12,13の上下方向相対位置が変化したり、上部および下部ヒンジ12,13のドア底部に対する上下方向相対位置が変化したりしても、上部および下部ピン21,22の上下位置を調節することで対応することができ、車種が異なる毎に保持装置14を取換えることが不要である。
【0044】
ところで、車両用ドア11の種類によっては車両用ドア11の底面に対して上部および下部ヒンジ12,13のピン孔12a,13aの軸線がなす角度が異なる場合があるが、支持枠15は、アーム18が固着される下部支持枠16と、上部および下部ピン21,22が上下位置を調節可能として取付けられて前記下部支持枠16の上端に制限された範囲での水平軸線まわりの回動を可能として連結される上部支持枠17とから成るものである。したがって車両用ドア11の種類が変化しても上部ピン21および下部ピン22を上部ヒンジ12および下部ヒンジ13に確実に挿通することができ、車両用ドア11の種類の変化に対処することができる。
【0045】
またアーム18には、車両用ドア11の種類の変化に応じて車両用ドア11の基端側底部を載せる位置を前記アーム18の長手方向に直交する水平方向に変化させることを可能として複数種類の車両用ドア11の基端側底部を載せ得る第1の載置台19が固定されるとともに、車両用ドア11の遊端側底部を載せる載置部20aを備える第2の載置台20が、第1の載置台19への車両用ドア11の載置位置の変化に応じて前記載置部20aの位置を変化させることを可能として取付けられるので、車両用ドア11の種類が変化しても、第1および第2の載置台19,20で、車両用ドア11の底部を確実に支持することができ、車両用ドア11の種類の変化に対処することができる。
【0046】
また基板23上に立設された支柱24に支持枠15が昇降可能に支持され、基板23及び支持枠15間に昇降シリンダ32が設けられているので、車両用ドア11の載置、保持作業を行なうときに支持枠15を下限位置とし、保持装置14に保持されている車両用ドア11に部品組付等の作業を施す時に支持枠15を上限位置まで上昇させることにより、作業者が無理な作業姿勢をとらずにすむようにして作業能率を向上することができる。
【0047】
さらに係合位置および非係合位置間での水平面内での移動を可能として支柱24に支承されたストッパ67にローラ69が軸支され、ストッパ67を係合位置側にばね付勢するとともに係合位置から非係合位置に該ストッパ67を強制的に移動させ得るシリンダ70が支柱24に取付けられ、支持枠15には、その上限位置への上昇時に係合位置に在るストッパ67の前記ローラ69に上方から係合して該支持枠15の前記上限位置からの落下を阻止する係合爪76が設けられ、ストッパ67が係合位置に在る状態で前記支持枠15が上限位置に上昇する際には前記ローラ69に下方から接触して前記ストッパ67を非係合位置側に移動せしめるカム面76aが係合爪76に形成されている。したがって支持枠15が上昇する際には、係合爪76のカム面76aがローラ69に下方から接触してストッパ67を非係合位置側に移動せしめることにより支持枠15の上限位置までの上昇が可能であり、支持枠15が上限位置まで上昇した状態では係合爪76が係合位置にあるストッパ67のローラ69に上方から係合するので、ストッパ67をシリンダ70によって非係合位置まで移動させない限り、支持枠15が落下してしまうことはない。この結果、支持枠15を上限位置に上昇させた状態で昇降シリンダ32に流体圧を供給し続ける必要がなく、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0049】
たとえば、上記実施例では、第1の載置台19への車両用ドア11の載置位置の変化に応じて第2の載置台20における載置部20aの位置を変化させるために、第2の載置台20が鉛直軸線を有する軸25の軸線まわりに回動することを可能としてアーム18に取付けられたが、載置部20aをアーム18の長手方向と直交する水平方向にスライドすることを可能としてアーム18に第2の載置台20が取付けられるようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数の載置台上に載せられた車両用ドアの上部および下部ヒンジに、保持装置の上部および下部ピンがそれぞれ挿通されることにより、車両用ドアの内、外側面に直接外力が及ぶことを回避して車両用ドアを直立姿勢で保持することができ、ドアの損傷を防止することができる。また車種が異なることにより上部および下部ヒンジ相互の上下方向位置が変化したり、両ヒンジおよびドア底部間の上下方向相対位置が変化しても対応することができ、車種が異なる毎に保持装置を取換えることが不要である。また上部ピンおよび下部ピンを取付けた支持枠が、基板上の支柱に昇降可能に支持されると共に、その基板及び支持枠間に昇降シリンダが設けられるので、車両用ドアの載置、保持作業を行なうときと、保持されている車両用ドアに部品組付等の作業を施すときとで、支持枠の上下位置、即ち各載置台ならびに上部および下部ピンの上下位置を変化させることができ、作業者が無理な作業姿勢をとらずにすむようにして、作業能率を向上することができる。
【0051】
また、車両用ドアの種類によっては車両用ドアの底面に対して上部および下部ヒンジのピン孔の軸線がなす角度が異なる場合があるが、特に請求項1の発明によれば、上,下部ピンを取付けた上部支持枠の下端部が下部支持枠の上端に、アームの長手方向ならびに下部支持枠の長手方向に直交する軸線まわりに制限された範囲で回動することを可能として連結されるため、車両用ドアの種類が変化して上部および下部ヒンジのピン孔の軸線のなす角度が異なっても、上部ピンおよび下部ピンを上部ヒンジおよび下部ヒンジに確実に挿通することができ、車両用ドアの種類の変化に対処することができる。
【0052】
また特に請求項2の発明によれば、支持枠が上限位置に上昇する際にストッパに係合爪が係合することを回避して支持枠の上限位置までの上昇を可能とし、支持枠が上限位置まで上昇した状態では係合爪をストッパのローラに上方から係合せしめることができ、支持枠を上限位置に上昇させた状態で昇降シリンダに流体圧を供給し続ける必要がなく、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0053】
また特に請求項3の発明によれば、車両用ドアの種類が変化しても、第1および第2の載置台で、車両用ドアの底部を確実に支持することができ、車両用ドアの種類の変化に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両用ドアを保持した状態での保持装置の側面図である。
【図2】 図1の要部拡大図である。
【図3】 車両用ドアを外した状態での保持装置の拡大平面図である。
【図4】 図3の4−4線断面図である。
【図5】 図3の5−5線拡大断面図である。
【図6】 図3の6−6線拡大断面図である。
【図7】 図2の7−7線拡大断面図である。
【図8】 図7の8−8線拡大断面図である。
【図9】 図4の9矢示部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
11・・・車両用ドア
12・・・上部ヒンジ
13・・・下部ヒンジ
14・・・保持装置
15・・・支持枠
16・・・下部支持枠
17・・・上部支持枠
18・・・アーム
19・・・第1の載置台
20・・・第2の載置台
20a・・載置部
21・・・上部ピン
22・・・下部ピン
23・・・基板
24・・・支柱
32・・・昇降シリンダ
67・・・ストッパ
69・・・ローラ
70・・・アクチュエータとしてのシリンダ
76・・・係合爪
76a・・カム面
Claims (3)
- 上部および下部ヒンジ(12,13)を基端部に備える車両用ドア(11)を保持するための車両用ドアの保持装置において、
基板(23)上に立設された支柱(24)と、この支柱(24)に支持されて車両用ドア(11)の基端部の端縁に沿って上下に延びる支持枠(15)と、この支持枠(15)から車両用ドア(11)の底部に沿って水平に延びるアーム(18)と、そのアーム(18)に設けられて、該ドア(11)底部の相互に間隔をあけた複数箇所を載せることを可能とした複数の載置台(19,20)と、それら載置台(19,20)上に載せられた車両用ドア(11)の上部ヒンジ(12)に挿通される上部ピン(21)と、同じく載置台(19,20)上に載せられた車両用ドア(11)の下部ヒンジ(13)に挿通される下部ピン(22)とを備え、
支持枠(15)は、支柱(24)に昇降可能に支持されアーム(18)の基端が固着される下部支持枠(16)と、その下部支持枠(16)の上端にアーム(18)の長手方向ならびに下部支持枠(16)の長手方向に直交する軸線まわりに制限された範囲で回動することを可能として上部支持枠(17)の下端部が連結されて成り、
その上部支持枠(17)には上部ピン(21)および下部ピン(22)が、両ピン(21,22)相互の上下方向相対位置ならびに各ピン(21,22)および前記アーム(18)間の上下方向相対位置を調節可能として取付けられ、
また下部支持枠(16)と基板(23)間には昇降シリンダ(32)が設けられることを特徴とする、車両用ドアの保持装置。 - 上部および下部ヒンジ(12,13)を基端部に備える車両用ドア(11)を保持するための車両用ドアの保持装置において、
基板(23)上に立設した支柱(24)に、上下に延びる支持枠(15)が昇降可能に支持されると共に、その支持枠(15)及び基板(23)間に昇降シリンダ(32)が設けられ、車両用ドア(11)の底部の相互に間隔をあけた複数箇所を載せることを可能とした複数の載置台(19,20)が設けられて水平に延びるアーム(18)と、前記各載置台(19,20)上に載せられた車両用ドア(11)の前記上部ヒンジ(12)に挿通される上部ピン(21)と、前記各載置台(19,20)上に載せられた車両用ドア(11)の前記下部ヒンジ(13)に挿通される下部ピン(22)とが、両ピン(21,22)相互の上下方向相対位置ならびに各ピン(21,22)および前記アーム(18)間の上下方向相対位置を調節可能として、前記支持枠(15)に取付けられ、係合位置および非係合位置間での水平面内での移動を可能として前記支柱(24)に支承されるストッパ(67)に、水平軸線まわりの移動を可能としてローラ(69)が軸支され、前記ストッパ(67)を係合位置側にばね付勢するとともに係合位置から非係合位置に該ストッパ(67)を強制的に移動させ得るアクチュエータ(70)が前記支柱(24)に取付けられ、前記支持枠(15)には、該支持枠(15)が上限位置に上昇したときに前記係合位置に在るストッパ(67)の前記ローラ(69)に上方から係合して該支持枠(15)の前記上限位置からの落下を阻止する係合爪(76)が設けられ、該係合爪(76)には、前記ストッパ(67)が係合位置に在る状態で前記支持枠(15)が上限位置に上昇する際には前記ローラ(69)に下方から接触して前記ストッパ(76)を非係合位置側に移動せしめるカム面(76a)が形成されることを特徴とする、車両用ドアの保持装置。 - 前記アーム(18)には、車両用ドア(11)の種類の変化に応じて車両用ドア(11)の基端側底部を載せる位置を前記アーム(18)の長手方向に直交する水平方向に変化させることを可能として複数種類の車両用ドア(11)の基端側底部を載せ得る第1の載置台(19)が固定されるとともに、車両用ドア(11)の遊端側底部を載せる載置部(20a)を備える第2の載置台(20)が、第1の載置台(19)への車両用ドア(11)の載置位置の変化に応じて前記載置部(20a)の位置を変化させることを可能として取付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用ドアの保持装置。
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