JP3651871B2 - イオン交換膜法電解槽の運転開始方法 - Google Patents
イオン交換膜法電解槽の運転開始方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3651871B2 JP3651871B2 JP22610097A JP22610097A JP3651871B2 JP 3651871 B2 JP3651871 B2 JP 3651871B2 JP 22610097 A JP22610097 A JP 22610097A JP 22610097 A JP22610097 A JP 22610097A JP 3651871 B2 JP3651871 B2 JP 3651871B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- exchange membrane
- ion exchange
- electrolytic cell
- concentration
- electrolysis
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換膜法によるアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解方法に関し、特に、未使用のイオン交換膜を装着した電解槽の運転開始方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食塩水等のアルカリ金属ハロゲン化物の水溶液をイオン交換膜電解槽において電気分解を開始する際に、イオン交換膜を装着した電解槽に、最初に通電を行う場合には、イオン交換膜の性能が発揮できるように、所定の初期運転条件によって運転を開始することが行われている。これは、イオン交換膜の電気分解性能が、運転初期に浸漬される電解液によって左右されるために、イオン交換膜を所定の電解液に浸漬した後に通電を開始することが行われている。
【0003】
一般には、電解槽の運転開始時には、電解槽の陽極室には、電気分解で用いる飽和塩水を、また陰極室には30重量%程度の水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ加熱して充填した後に、通電を開始することが行われていた。
【0004】
ところが、このような初期運転を行っても、電気分解電圧が予想される値よりも高く、その後の定常運転においても電気分解電圧が高いという現象が多く見られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電気分解性能が高く、電気分解電圧が上昇することがないイオン交換膜電解槽の運転開始方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、未使用のイオン交換膜を装着したイオン交換膜法電解槽の運転開始方法において、イオン交換膜電解槽の陽極室に、アルカリ金属濃度が2.0規定ないし4.5規定のアルカリ金属ハロゲン化物水溶液を満たし、通電を開始するイオン交換膜法電解槽の運転開始方法である。
【0007】
陰極室には、濃度が20重量%ないし30重量%のアルカリ金属水酸化物水溶液を満たし、温度を60℃ないし85℃として、通電を開始する前記のイオン交換膜法電解槽の運転開始方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
イオン交換膜電解槽において電解開始時のイオン交換膜の特性が変化する要因は多くあるが、従来、食塩水の電気分解においては、イオン交換膜電解槽への通電開始時のイオン交換膜膜の特性に影響を与える要因として、電解液の温度と陰極側の水酸化ナトリウム濃度のみが考えられていたが、本発明では、特に電気分解電圧を上昇する要因として、陽極液の濃度が大きく影響しているものを見いだしたものである。
【0009】
陽極液の濃度を特定の濃度範囲とすることによって、電気分解電圧の上昇を防止することができる理由は明白ではないが、通電開始時に陽極液の濃度が高いと、陰極室側に移動するいわゆる浸透水の量が減少し、イオン交換膜の陰極室側に接する部分の水酸化ナトリウム濃度が上昇し、それによって含水率が低下し、イオン交換膜の電気伝導度が低下し、電気分解電圧が上昇するものではないかと推察される。そして、本発明では、陰極室側に移動する浸透水量を大きくために、陽極液の濃度を電気分解用の塩水の濃度よりも低くして、移行水の量を十分に大きくすることによって含水率が低くなることを防止し、電気分解電圧の上昇を防止するものである。
【0010】
また、食塩水を陽極液とする場合には、陽極液中には、食塩以外に硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム等も含まれていることがあり、イオン交換膜に対しては、これらの物質に由来するナトリウムも同様に影響を与えるので、陽極液中のナトリウム濃度は、それらの物質に起因するナトリウムも含めた総ナトリウムとして考慮する必要がある。
【0011】
本発明の、イオン交換膜電解槽の運転開始時の陽極液のナトリウム濃度は、2.0規定〜4.5規定とすることが好ましく、3.5規定〜4.5規定とすることがより好ましい。
【0012】
また、陰極液中の水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、20重量%〜30重量%以下であることが好ましく、25重量%〜30重量%とすることがより好ましい。また、電解槽中の電解液の温度は、60℃ないし85℃とすることが好ましい。
【0013】
また、イオン交換膜電解槽では、陽極液より陰極液は電解質の濃度が高く、電流の通電しない場合でも、陽極室から陰極室に水が移行する。その結果、陽極液の全ナトリウム濃度は高くなり、陰極液の水酸化ナトリウム濃度は低下する傾向がある。したがって、陽極液および陰極液の濃度が一定に保持されるように、陽極液中には、やや濃度の低い食塩水を添加し、陰極液中にはやや濃度の低い水酸化ナトリウム水溶液を供給することが好ましい。また、陽極液および陰極液の供給は、電解槽内での濃度分布および温度分布を減少させるためにも有効である。
【0014】
本発明の方法による電解槽の運転開始方法は、未使用のイオン交換膜を装着したイオン交換膜電解槽の、組立を終え、漏れ試験を完了した電解槽の陰極室に、所定の温度および濃度に調整した水酸化ナトリウム水溶液を供給するとともに、陽極室に所定の温度および濃度に調整した塩水を供給する。電解槽を満たした水酸化ナトリウム水溶液と塩水は、供給を続けるとそれぞれの電極室から溢流するようになるが、各電極室には所定の流量で引き続き水酸化ナトリウム水溶液および塩水を供給する。次いで、電解槽の温度が所定の温度となった後に、電気分解電流の通電を開始するとともに、通常の運転用の濃厚な食塩水を供給することによって、運転を継続することができる。
【0015】
また、本発明の方法は、イオン交換膜電解槽であれば、フィルタープレス型、箱型のいずれにも適用することができ、またイオン交換膜と電極との間隔、使用する電極の種類等の相違にかかわらず各種の電解槽にも適用することができる。
通電開始時に陽極室に供給する塩水は、食塩溶解した液を精製した食塩電解用の飽和食塩水を水で希釈して所定の濃度として使用することができ、また陰極室に供給する水酸化ナトリウム水溶液は、水酸化ナトリウムを溶解した所定の濃度の水溶液を使用することができる。
【0016】
また、通電開始時の電解液の温度は、陽極液もしくは陰極液の少なくともいずれか一方を、熱媒体を用いた熱交換器、電気的加熱手段等によって温度調節することによって調整すれば良い。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を説明する。
【0018】
実施例1〜3及び比較例1〜2
実施例、比較例は、図1に示した2室式イオン交換膜電解槽を用いて実施した。電解槽1は、陽イオン交換膜2として、デュポン社ナフィオン962で、陽極室3と陰極室4に区画した。陽極5は、通電面積100cm2 のチタン基体上に貴金属酸化物の被覆を形成した不溶性金属電極(ペルメレック電極製)を用い、陽極室枠体には、チタンパラジウム合金を用いた。また、陰極6には、同様の通電面積のニッケル基体上にラネーニッケルの被覆を施した活性陰極を用い、陰極室枠体には、ニッケルを用いた。
【0019】
陽イオン交換膜の両面に陽極および陰極を接して、40Aの電流を通電した。また、陽極室には、陽極液貯槽7から食塩の濃度が異なる陽極液を供給し、陰極室には水8を供給するとともに、陽極室および陰極室内の電解液の温度を加熱装置9で調整した後に、電気分解を開始した。電気分解の開始とともに、陽極液のナトリウム濃度が5.25規定の塩水を供給し、陽極室から淡塩水10および塩素11を取り出し、陰極室からは水酸化ナトリウム12および水素13を取り出した。
【0020】
実施例4〜6及び比較例3〜4
陽イオン交換膜を旭硝子製フレミオンF893とした点を除き、実施例1と同じ条件で電気分解を行いその結果を表2に示す。
【0021】
実施例7及び比較例5
陰極とイオン交換膜の距離を2mmとした点を除き、実施例1と同様の条件で電気分解を行った。その結果を表3に示す。
【0022】
【0023】
【発明の効果】
本発明によると、運転初期より電解電圧が低く、少ない電力で所定量の水酸化ナトリウムを製造できる。また、電気分解電圧が低くなるために、発熱量の減少によって、電気分解時の熱収支が容易となり、電解槽の温度の上昇による冷却、電気分解電流の低下等の操作が不要となり、電解槽の運転管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明する図である。
【符号の説明】
1…電解槽、2…陽イオン交換膜、3…陽極室、4…陰極室、5…陽極、6…陰極、7…陽極液貯槽、8…水、9…加熱装置、10…淡塩水、11…塩素、12…水酸化ナトリウム、13…水素
Claims (2)
- 未使用のイオン交換膜を装着したイオン交換膜法電解槽の運転開始方法において、イオン交換膜電解槽の陽極室に、アルカリ金属濃度が2.0規定ないし4.5規定のアルカリ金属ハロゲン化物水溶液を満たし、通電を開始することを特徴とするイオン交換膜法電解槽の運転開始方法。
- 陰極室には、濃度が20重量%ないし30重量%のアルカリ金属水酸化物水溶液を満たし、温度を60℃ないし85℃として、通電を開始することを特徴とする請求項1記載のイオン交換膜法電解槽の運転開始方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22610097A JP3651871B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | イオン交換膜法電解槽の運転開始方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22610097A JP3651871B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | イオン交換膜法電解槽の運転開始方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1161476A JPH1161476A (ja) | 1999-03-05 |
JP3651871B2 true JP3651871B2 (ja) | 2005-05-25 |
Family
ID=16839836
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22610097A Expired - Lifetime JP3651871B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | イオン交換膜法電解槽の運転開始方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3651871B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105951119B (zh) * | 2016-07-04 | 2018-07-06 | 宁波镇洋化工发展有限公司 | 一种制备氢氧化钠的方法 |
EP3670706B1 (de) * | 2018-12-18 | 2024-02-21 | Covestro Deutschland AG | Verfahren zur membran-elektrolyse von alkalichloridlösungen mit gasdiffusionselektrode |
-
1997
- 1997-08-22 JP JP22610097A patent/JP3651871B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1161476A (ja) | 1999-03-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN103305861B (zh) | 使用耗氧电极电解碱金属氯化物的方法 | |
US4917781A (en) | Process for preparing quaternary ammonium hydroxides | |
JP5632780B2 (ja) | 電解槽の製造方法 | |
JP3080971B2 (ja) | オゾン製造用電極構造体及びその製造方法 | |
US4539083A (en) | Method for preventing degradation in activity of a low hydrogen overvoltage cathode | |
KR20010086305A (ko) | 테트라메틸암모늄 히드록사이드의 합성 | |
CA1179636A (en) | Method of bypassing electric current of electrolytic cells | |
JP3651871B2 (ja) | イオン交換膜法電解槽の運転開始方法 | |
JP3140743B2 (ja) | 酸素還元カソードを有するメンブレン電解槽の停止方法 | |
US3284240A (en) | Cells for generating electrical energy employing a hydrogen peroxide electrolyte in contact with an improved platinum electrode | |
JPS6131192B2 (ja) | ||
JP2699793B2 (ja) | 過酸化水素の製造方法 | |
JP3264535B2 (ja) | ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法 | |
JPS6240438B2 (ja) | ||
US20150017554A1 (en) | Process for producing transport and storage-stable oxygen-consuming electrode | |
CN110061331A (zh) | 一种铝空气电池用电解液和铝空气电池 | |
CA1040581A (en) | Electrochemical adiponitrile formation from acrylonitrile using ammonia | |
JPH0978279A (ja) | 塩酸電解装置 | |
JP2574678B2 (ja) | 過酸化物を含有する水溶液の製造装置 | |
JP4062917B2 (ja) | 水酸化ナトリウムの製造方法 | |
JP2000117060A (ja) | 電解槽のイオン交換膜の処理方法 | |
JPH031481Y2 (ja) | ||
JP2558042B2 (ja) | 過酸化水素の製造方法 | |
JPS60181286A (ja) | 水電解槽の性能を回復する方法 | |
JPS61217589A (ja) | 電気化学法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040213 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050208 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050218 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050221 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080304 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080304 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080304 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090304 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090304 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100304 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100304 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110304 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110304 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120304 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120304 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130304 Year of fee payment: 8 |