JP3651483B2 - スピーカ - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカに関するものである。
従来のスピーカは図5に示すような構成となっていた。
すなわち、この図5に示すように、このスピーカは、磁気回路1と、この磁気回路1の磁気ギャップ2内に少なくともそのコイル部3が可動自在に設けられたボイスコイル体4と、このボイスコイル体4の磁気ギャップ2外方部分に、その内周が連結された振動板5と、この振動板5の外周がエッジ6を介して連結されたフレーム7とを備えた構成となっていた。
すなわち、ボイスコイル体4のボイスコイル部3にオーディオアンプ等から出力された電気信号を入力することで、ボイスコイル体4が起振し、その起振力が振動板5に伝達され、振動板5が空気を振動させて電気信号を音声に変換する構成となっていた(例えば特許文献1)。
特開平11−275690号公報
上記従来例においては、図5に示すように、ボイスコイル体4のボイスコイル部3と振動板5内周固定部分との間にダンパー8の内周が固定され、このダンパー8の外周はフレーム7に固定されている。このダンパー8はエッジ6と共にサスペンションを構成し、ボイスコイル体4が可動時にローリングしないようにしている。また、このダンパー8は図5に示すように複数の波形を組み合わせた形状にして、できるだけボイスコイル体4の可動負荷とならないような構成となっている。
しかし、近年のスピーカの高性能化においては、このダンパー8が存在することによって大きな問題が発生している。
すなわち、ボイスコイル体4が磁気回路1へ向かう挙動と、磁気回路1とは反対側へ向かう挙動においてダンパー8の可動負荷の非直線性や非対称性が大きく、これに起因する高調波ひずみが大きく発生すると同時にパワーリニアリティも悪化することになっていた。
図6は従来のスピーカのパワーリニアリティ、スピーカ入力電力に対する振動板5の変位を示している。Aは磁気回路1に向けた振動板5の振幅特性を示し、Bは磁気回路1とは反対方向の振動板5の振幅特性を示す。また、図7には従来のスピーカの高調波ひずみ特性を示し、Cがスピーカの周波数特性、Dが第2高調波ひずみ特性、Eが第3高調波ひずみ特性である。
このような非直線性や非対称性に起因するパワーリニアリティ悪化や高調波ひずみ特性の課題を解決するため、各社とも、ダンパー8の非直線性や非対称性を解決するため種々の工夫をしているが、このダンパー8は上述のごとく、その可動負荷を少なくするように複数の波形を組み合わせて出来たものであるから、このダンパー8とエッジ6を組み合わせてサスペンションを構成する以上は、非直線性や非対称性を解決して高調波ひずみを低減させることが難しく、スピーカの高性能化が出来ていないのが現状である。そこで本発明は、スピーカの高性能化を図ることを目的とするものである。
そして、この目的を達成するために本発明は、磁気ギャップを有する磁気回路と、この磁気回路の前記磁気ギャップ内に少なくともそのコイル部が可動自在に設けられたボイスコイル体と、このボイスコイル体の磁気ギャップ外方部分に、その内周が連結された振動板と、この振動板の外周が第1のエッジを介して連結されたフレームとを備え、前記振動板より前記磁気回路側に、前記ボイスコイルを実質的に支えるサスペンションホルダを設け、このサスペンションホルダの外周部分は、第2のエッジを介して前記フレームに連結し、これら第1、第2のエッジは、これら第1、第2のエッジ間を境にして略対称相似形状とするとともに、前記磁気回路の磁気ギャップへの塵侵入防止用の防塵ネットを設けたものである。
以上のように本発明は、第1のエッジと第2のエッジによりサスペンションを構成させることでサスペンションの非直線性及び非対称性の要因となるダンパーを排除するとともに、第1のエッジと第2のエッジはそれ自体の非対称性をキャンセルするように配置させたので、サスペンションの非直線性及び非対称性を根本的に解決することができ、これに起因するスピーカの高調波ひずみ低減とパワーリニアリティを向上させてスピーカの性能を向上させることができる。また従来のダンパーを廃止したので、磁気回路の磁気ギャップ部に塵が入りやすくなるのを防塵ネットにより、磁気回路の磁気ギャップ内へ塵などが入るのを未然に防止することができ、ボイスコイル体を円滑に可動させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のスピーカの断面図を示し、図1において、9はリング状のマグネット10、リング状のプレート11、円板状のヨーク12、円柱状のポール13による磁気回路であり、プレート11の内周とポール13の外周間の磁気ギャップ14にマグネット10の磁束を集中させる。マグネット10にはフェライト系や希土類コバルト系が、プレート11及びヨーク12、ポール13には鉄が主な材料として用いられている。なお、図1では外磁型の例を示しているが内磁型の磁気回路も幅広く用いられている。15は磁気回路9の磁気ギャップ14内に少なくともそのコイル部16が可動自在に設けられた円筒状のボイスコイル体であり、一般的には紙及び樹脂、アルミ等の金属を材料としたボビンの上に、銅線などのコイルを巻いて構成している。
17はボイスコイル体15の磁気ギャップ外方部分に、その内周が連結された逆円錐状の振動板であり、ボイスコイル体15に起振された振動により実際に音を出すもので、高い剛性と内部損失を両立したパルプ及び樹脂が主な材料として用いられる。18は振動板17の外周に結合されたリング状の第1のエッジであり、振動板17に可動負荷を加えないようにウレタン及びゴム、布などの材料が用いられる。19は振動板17の外周が第1のエッジ18を介して連結された皿状のフレームであり、複雑な形状にも対応できるように鉄板プレス品や樹脂成型品及びアルミダイキャストなどの材料が用いられる。
20はボイスコイル体15の振動板17より磁気回路9側に、その内周を連結したサスペンションホルダであり、高い剛性と内部損失を両立したパルプ及び樹脂が主な材料として用いられる。
また、サスペンションホルダ20の内周と外周の間の中部が振動板17の中部に接着剤等で結合されている。このため、振動板17とサスペンションホルダ20との位相がほぼ同位相となり、これら振動板17とサスペンションホルダ20の位相ずれに起因する中低音域の共振歪みを低減することが可能となるので、周波数特性の平坦化ができる。
21はサスペンションホルダ20の外周をフレーム19に結合する第2のエッジであり、第1のエッジ18と同様にサスペンションホルダ20に可動負荷を加えないようにウレタン及びゴム、布などの材料が用いられる。第1のエッジ18は磁気回路9とは反対方向に突出し、第2のエッジ21は磁気回路9側に突出しているが、これら第1、第2のエッジ18,21間を境にして略対称相似形状となっている。
また、ボイスコイル体15とフレーム19の間には従来のダンパーに代わってサスペンションホルダ20と第2のエッジ21によるサスペンションが設けられている。このサスペンションホルダ20及び第2のエッジ21は、第1のエッジ18と共にサスペンションを構成し、ボイスコイル体15が可動時にローリングしないように設けられているものである。
このため、第1のエッジ18と第2のエッジ21によりサスペンションを構成させることができ、サスペンションの非直線性及び非対称性の要因となるダンパーを排除することができる。また、第1のエッジ18と第2のエッジ21はそれ自体の非対称性をキャンセルするように略対称相似形状となっている。具体的には第1のエッジ18と第2のエッジ21の突出する方向が反対になるように対向配置されており、これにより図2のA,Bで示すパワーリニアリティの入力電力−振動板振幅特性のごとく、サスペンションの非直線性及び非対称性を根本的に解決することができる。
このため、図3のD,Eで示すスピーカの高調波ひずみ特性のごとく、サスペンションの非直線性及び非対称性に起因する高調波ひずみを低減することができ、スピーカの高性能化が実現できる。
図2は、本発明の実施の形態1のスピーカのパワーリニアリティであり、入力電力に対する振動板17の振幅量を示している。Aは磁気回路9側への入力電力−振動板振幅特性である。また、Bは磁気回路9と反対側への入力電力−振動板振幅特性である。
図3は、本発明の実施の形態1のスピーカの高調波ひずみ特性であり、出力音圧と高調波ひずみのダイナミックレンジが大きいほど、その高調波ひずみが少ないことを示す。Cがスピーカ特性で、Dが第2高調波ひずみ特性、Eが第3高調波ひずみ特性である。
以上のように構成された実施の形態1のスピーカについて、以下その動作について説明する。
ボイスコイル体15のコイル部16にオーディオアンプ等から出力された電気信号を入力することで、ボイスコイル体15が起振し、その起振力が振動板17に伝達され、振動板17が空気を振動させて電気信号を音声に変換する。
また、ボイスコイル体15とフレーム19の間には従来のダンパーに代わってサスペンションホルダ20と第2のエッジ21によるサスペンションが設けられている。このサスペンションホルダ20及び第2のエッジ21は、第1のエッジ18と共にサスペンションを構成し、ボイスコイル体15が可動時にローリングしないように設けられているものである。
このため、第1のエッジ18と第2のエッジ21によりサスペンションを構成させることができ、サスペンションの非直線性及び非対称性の要因となるダンパーを排除することができる。また、第1のエッジ18と第2のエッジ21はそれ自体の非対称性をキャンセルするように略対称相似形状となっている。具体的には第1のエッジ18と第2のエッジ21の突出する方向が反対になるように対向配置されており、これにより図2のA,Bで示すパワーリニアリティの入力電力−振動板振幅特性のごとく、サスペンションの非直線性及び非対称性を根本的に解決することができる。
このため、図3のD,Eで示すスピーカの高調波ひずみ特性のごとく、サスペンションの非直線性及び非対称性に起因する高調波ひずみを低減することができ、スピーカの高性能化が実現できる。
また本実施の形態においては、図1に示すごとく、ボイスコイル体15とフレーム19の間に防塵ネット31を取り付けた構成としている。
このため、磁気回路9の磁気ギャップ14内へ塵などが入るのを未然に防止することができる。
(実施の形態2)
次に図4について説明する。図4はスピーカを背面から見た図を示し、実施の形態1と同じ構成のものに関しては同一の符号を付している。図4において、フレーム19の内端は磁気回路9に連結し、このフレーム19の内端側(底面側)に通気口32を設け、通気口32部分に防塵ネット33を設けた構成としている。
このため、磁気回路9の磁気ギャップ14内へ塵などが入るのを未然に防止することができる。
以上のように本発明によれば、スピーカの高調波ひずみを低減させることができ、パワーリニアリティをも向上させてスピーカの高性能化を図ることができる。また磁気ギャップ内への塵侵入を防塵ネットにより防止できる。
本発明の実施の形態1のスピーカの断面図 本発明の実施の形態1のスピーカのパワーリニアリティを示す特性図 本発明の実施の形態1のスピーカの高調波ひずみ特性を示す特性図 本発明の実施の形態2のスピーカの背面図 従来のスピーカの断面図 従来のスピーカのパワーリニアリティを示す特性図 従来のスピーカの高調波ひずみ特性を示す特性図
符号の説明
9 磁気回路
10 マグネット
11 プレート
12 ヨーク
13 ポール
14 磁気ギャップ
15 ボイスコイル体
16 コイル部
17 振動板
18 第1のエッジ
19 フレーム
20 サスペンションホルダ
21 第2のエッジ
31,33 防塵ネット
32 通気口

Claims (8)

  1. 磁気ギャップを有する磁気回路と、この磁気回路の前記磁気ギャップ内に少なくともそのコイル部が可動自在に設けられたボイスコイル体と、このボイスコイル体の磁気ギャップ外方部分に、その内周部分が連結された振動板と、この振動板の外周部分が第1のエッジを介して連結されたフレームとを備え、前記振動板より前記磁気回路側に、前記ボイスコイルを実質的に支えるサスペンションホルダを設け、このサスペンションホルダの外周部分は、第2のエッジを介して前記フレームに連結し、これら第1、第2のエッジは、これら第1、第2のエッジ間を境にしてほぼ対称相似形状とするとともに、前記磁気回路の磁気ギャップへの塵侵入防止用の防塵ネットを設けたスピーカ。
  2. 第1のエッジは磁気回路とは反対方向に突出する形状にし、第2のエッジは磁気回路に向けて突出する形状とした請求項1に記載のスピーカ。
  3. 第1のエッジは磁気回路に向けて突出する形状とし、第2のエッジは振動板に向けて突出する形状とした請求項1に記載のスピーカ。
  4. 第1のエッジと第2のエッジの弾性率を略同等に設定した請求項2または3に記載のスピーカ。
  5. 第1のエッジと第2のエッジをウレタンで形成した請求項4に記載のスピーカ。
  6. サスペンションホルダをパルプで形成した請求項5に記載のスピーカ。
  7. サスペンションホルダと磁気回路の間に防塵ネットを取り付けた請求項2〜4のいずれか一つに記載のスピーカ。
  8. フレームに通気口を設け、この通気口部分に防塵ネットを設けた請求項2〜4のいずれか一つに記載のスピーカ。
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