JP3646957B2 - 流体軸受 - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、流体軸受に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、図３に示されるような流体軸受は、軸方向に所定距離だけ離間した２つの径方向フランジ３４，３５を有する軸３０と、この軸３０が挿通されかつ上記両径方向フランジ３４，３５間に挾持されるスリーブ３１と、上記軸３０とスリーブ３１内周面間に形成されるラジアル動圧軸受部３７と、上記スリーブ３１の両端面と上記両径方向フランジ間にそれぞれ形成されるアキシアル動圧軸受部３８，３９と、上記アキシアル動圧軸受部３８，３９より径方向外方位置の上記スリーブ３１に、円周上複数箇所でかつスリーブ両端面に連通して形成された圧力平衡用通路３６とからなり、上記軸３０とスリーブ３１が相対回転させられている。そして上記スリーブ３１は、円筒状の内スリーブ３２と円筒状の外スリーブ３３とが圧入嵌合にて一体形成されている。また、内スリーブ３２の外周面には、図４に示すように１８０度対向位置でかつスリーブ両端面に連通する切除部４２が形成され、この切除部４２が、内スリーブ３２を外スリーブ３３の内周面に圧入嵌合した際に、上記圧力平衡用通路３６として形成される。また、外スリーブ３３の両端部は、その内周面３３ａが上記両径方向フランジ側面３４ａ，３５ａに近接状態で対向しかつこの側面を囲むよう配置され、このフランジ側面３４ａ，３５ａと外スリーブ内面３４ａ間の隙間により、表面張力が利用された流体密封部４０，４１とされ、軸受内部の流体が密封される。上記従来の流体軸受としては、例えば米国特許第４７９５２７５号明細書に記載のものが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来の流体軸受においては、軸受回転時に各動圧軸受が作用するが、この時の軸受内部の圧力バランスが崩れたときに、フランジ側面３４ａ，３５ａとスリーブ内面３３ａ間の密封隙間４０，４１から軸受内部の流体が漏れることがある。このため、圧力バランスを維持するために上記圧力平衡用通路３６が形成され、流体を圧力平衡用通路３６内に送り込み、流体の漏れが防止されている。しかしながら、上記従来軸受においては、軸３０と、内スリーブ３２と、外スリーブ３３の３つの部品からなるため各部品の同軸度が要求され、各部品の加工、組立てが難しい。また、前述理由により各部品の加工精度が要求されるため、コストが高くなる。さらに、外スリーブ３３の内周面は円筒面にて形成されているため、圧力平衡用通路３６があるとはいえ、どうしても流体が漏れやすいという問題がある。
【０００４】
そこで、この発明の目的は、加工及び組立てが容易で、かつ流体の漏れを防止できる流体軸受を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、▲１▼軸方向に所定距離だけ離間した２つの径方向フランジを有する軸と、この軸が挿通されかつ上記両径方向フランジ間に挾持されるスリーブと、上記軸とスリーブ内周面間に形成されるラジアル動圧軸受部と、上記スリーブに、円周上複数箇所でかつスリーブ両端面に連通して形成された圧力平衡用通路とからなり、上記軸とスリーブが相対回転させられる流体軸受において、上記スリーブが一体部材にて形成されるとともに、上記圧力平衡用通路が上記スリーブ両端面に連通する複数の孔から形成され、上記スリーブ両端面に上記径方向フランジの側面を対向して囲む流体閉鎖部材が固定され、この流体閉鎖部材の内面に、上記圧力平衡用通路を軸受内部に開放するとともに、流体を上記圧力平衡用通路に案内して流体の大気側への漏れを抑制する流体抑制部が形成されたことを特徴とする。
【０００６】
また、▲２▼上記▲１▼において、上記流体抑制部が、流体閉鎖部材の内面に形成した大気側に縮径する円すい面にて形成されたことを特徴とする。
【０００７】
さらに▲３▼上記▲１▼において、上記流体抑制部が、流体閉鎖部材の内面に形成した断面矩形の周段部にて形成されたことを特徴とする。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の具体的実施例について図面を参照して説明する。
図１は、この発明にかかる一実施例であり、軸方向に所定距離だけ離間した２つの径方向フランジ３，４とを有する軸１と、この軸１が挿通されかつ上記両径方向フランジ３，４間に挾持されるスリーブ２と、上記軸１に形成された動圧溝６にてこの軸１とスリーブ２内周面２ａ間に形成されるラジアル動圧軸受部５と、上記両半径方向フランジ３，４のスリーブ２側の内面３ａ，４ａに形成された動圧溝８，１０にて、上記スリーブ２の両端面２ｂ，２ｃと上記両径方向フランジ３，４間にそれぞれ形成されるアキシアル動圧軸受部７，９と、上記アキシアル動圧軸受部７，９より径方向外方位置の上記スリーブ２に、円周上複数箇所でかつスリーブ２両端面２ｂ，２ｃに連通して形成された圧力平衡用通路１１とからなり、上記軸１とスリーブ２が相対回転させられる。
【０００９】
また、上記スリーブ２は一体部材にて形成されている。さらに、上記圧力平衡用通路１１が上記スリーブ２両端面２ｂ，２ｃに連通する複数の孔１１から形成され、上記スリーブ２両端面２ｂ，２ｃに形成された周段部１２，１３に上記径方向フランジ３，４の側面３ａ，４ａを対向して囲む流体閉鎖部材１４，１５が固定され、この流体閉鎖部材１４，１５の内面に、軸受内部側に連通開放するとともに、流体を上記圧力平衡用通路１１に案内して流体の大気側への漏れを抑制する流体抑制部１６，１７が形成されている。そして、上記流体閉鎖部材１４，１５の内側円筒面１４ａ，１５ａと軸１の両半径方向フランジ３，４の側面３ａ，４ａとの間が近接対向させられており、この各隙間が、流体の張力を利用した流体密封部２０，２１とされている。
【００１０】
また、上記流体抑制部１６，１７は、流体閉鎖部材１４，１５の内面に形成した大気側に縮径する円すい面１８，１９にて形成されている。この円すい面１８，１９は上述したように、上記圧力平衡用通路１１が軸受内部と連通状態にある位置に形成されている。この流体抑制部１６，１７である円すい面１８，１９により、軸受回転時の圧力バランスを維持するための流体の圧力平衡用通路１１内移動を確実に行わせることができるうえ、円すい面１８，１９により形成される流体貯留空間２２，２３にて流体が貯留されるため、上記流体密封部２０，２１からの流体の漏れが防止される。
【００１１】
さらにまた、上記流体抑制部１６，１７は、図２に示すように流体閉鎖部材１４，１５の内面に形成した断面矩形の周段部２４にて形成されている。この周段部２４は上述したように、上記圧力平衡用通路１１が軸受内部と連通状態にある位置に形成されている。この流体抑制部１６である断面矩形の周段部２４により、上記円すい面１８，１９と同様の効果が得られるが、円すい面に比べて加工容易である。
【００１２】
【発明の効果】
この発明の流体軸受は、スリーブは一体部材にて形成されているため、軸とスリーブとの同軸度を考慮すればよく、従来に比べて加工及び組立てが容易である。また、流体閉鎖部材に形成した流体抑制部により、軸受回転時の圧力バランスを維持するための流体の圧力平衡用通路内移動を確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の一実施例の断面図である。
【図２】この発明の別の実施例の一部断面図である。
【図３】従来の流体軸受の断面図である。
【図４】図３のＸ−Ｘ断面図である。
【符号の説明】
１ 軸
２ スリーブ
３，４ フランジ
５ ラジアル動圧軸受部
７，９ アキシアル動圧軸受部
１１ 圧力平衡用通路
１４，１５ 流体閉鎖部材
１６，１７ 流体抑制部

Claims (3)

  1. 軸方向に所定距離だけ離間した２つの径方向フランジを有する軸と、この軸が挿通されかつ上記両径方向フランジ間に挾持されるスリーブと、上記軸とスリーブ内周面間に形成されるラジアル動圧軸受部と、上記スリーブに、円周上複数箇所でかつスリーブ両端面に連通して形成された圧力平衡用通路とからなり、上記軸とスリーブが相対回転させられる流体軸受において、上記スリーブが一体部材にて形成されるとともに、上記圧力平衡用通路が上記スリーブ両端面に連通する複数の孔から形成され、スリーブ両端面に、上記径方向フランジの側面を対向して囲む流体閉鎖部材が固定され、この流体閉鎖部材の内面に、上記圧力平衡用通路を軸受内部に開放するとともに流体を上記圧力平衡用通路に案内して流体の大気側への漏れを抑制する流体抑制部が形成されたことを特徴とする流体軸受。
  2. 上記流体抑制部が、流体閉鎖部材の内面に形成した大気側に縮径する円すい面にて形成されたことを特徴とする請求項１に記載の流体軸受。
  3. 上記流体抑制部が、流体閉鎖部材の内面に形成した断面矩形の周段部にて形成されたことを特徴とする請求項１に記載の流体軸受。
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