JP3645764B2 - 多孔質酸化チタン及びその製造方法、並びにそれを含有する化粧料 - Google Patents

多孔質酸化チタン及びその製造方法、並びにそれを含有する化粧料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面積の増大により光吸収散乱効果の向上が期待され、触媒,塗料、化粧料等の各分野に応用可能であり、細孔中に水又は水溶性物質を担持させ得る多孔質酸化チタン及びその製造方法、並びにそれを含有して成る化粧料に関する。さらに詳しくは、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩の1種又は2種以上を触媒として、加水分解されたチタンアルコキシドが酸化チタンへと重縮合する際、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩の1種又は2種以上を複合化し、次いで酸処理することにより得られる多孔質酸化チタン、さらに細孔内に水又は水溶性物質を担持した多孔質酸化チタン及びこれらの製造方法、並びにこれらを含有して成る化粧料に関し、紫外線防御効果,赤外線吸収効果に代表される光学的効果、さらには水溶性物質の徐放効果を発揮するものである。また、担持させる水溶性物質の種類によって、酸化チタンの透明性の向上が期待できる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、酸化チタン粉末はガラス,耐熱材料(セラミクス),触媒等の製造に使用されている。また最近は、その紫外線吸収散乱効果により、日焼け止め化粧料への応用も盛んになっている。かかる酸化チタンを製造する方法として、ガラスやセラミクス等の最終製品の特性の向上及び生産性の向上を図り、さらに環境問題に配慮して、低温で製造できる金属アルコキシドを用いたゾル-ゲル法が提案されている。
【0003】
特開平8−143438においては、チタンテトラアルコキシド,テトラオクチレングリコールチタネート,テトラキス(2-エチルヘキシル)チタネート,ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート等の有機チタン化合物と水混和性有機溶媒とを混合した溶液に、塩酸,硫酸,硝酸等の無機酸の水溶液を添加して加水分解を行い、次いで60℃を超えない温度及び相対湿度60%以上の条件で熟成してルチル型の酸化チタンを得、これを化粧料に配合する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、加水分解された有機チタン化合物が酸化チタンへと重縮合する際に強酸である塩酸等を用いると、重合速度が遅く、酸化チタンの形状及び微細構造を制御することは困難であった。これに対し、特開平9−100124においては、炭酸塩,酢酸塩等の弱酸の塩を用い、或いは加水分解抑制剤を共存させることにより、チタンアルコキシドを球状粒子ないし薄片状粒子としてゲル化させることができ、生成する酸化チタンの形状を制御し得ることが示されている。
【0005】
一方、特に紫外線防止を目的とした日焼け止め化粧料等に応用する場合には、酸化チタン粉末を微粒子化したり、薄片状体質顔料に被覆することにより表面積を増大させる工夫がなされてきた。しかしかかる方法では、二次凝集粒子の形成等により、最終的な化粧料製剤において目的とする高表面積が維持されにくいという問題があった。
【0006】
また近年、揮発性物質の不揮発化や薬剤等の放出制御を目的として、多孔性材料や高分子の薄膜コーティング或いはマイクロカプセル化技術、多孔性材料や高分子の内部間隙内に有効成分を担持させる技術が開発されてきている。
【0007】
しかしながら、それ自体紫外線吸収効果等の機能を有する多孔性材料に、さらに他の物質を担持させて、複合的機能を保持させるような試みはあまりなされていない。
【0008】
特に酸化チタン粉末は、上述したように、ガラス,耐熱材料(セラミクス),触媒等の製造に使用され、日焼け止め化粧料への応用も盛んになっている。かかる酸化チタンについては、表面処理や他の粉体のメカノケミカル的な複合化が知られているが、酸化チタンを担体として、他の物質を効率よく担持させることは、技術的に困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、酸化チタン粉末を多孔質とすることにより、表面積増大による紫外線吸収散乱効果の向上が期待でき、さらに汗や皮脂に対する吸収性を持たせて、化粧持続性を向上させることも期待できる。また、触媒としての利用や、耐候性に優れる塗料への応用も可能となり、さらに酸化チタンを担体として、特に化粧料等皮膚用組成物において有用な揮発性物質である水や、水溶性物質を効率よく保持させ、これらの不揮発化及び放出制御を可能とすることができる。
【0010】
すでに本発明者らは、低温で酸化チタン結晶を成長させる際に、その成長を妨げ得る希土類元素に属する金属イオンを導入し、形状や微細構造を制御しながら、酸化チタンと希土類元素に属する金属を含んだ複合酸化物を得た後に、希土類元素に属する金属を前記複合酸化物から溶出させることにより、均一に制御された細孔を有する多孔質の酸化チタンを得、さらにそれを化粧料に応用すること、及び水又は水溶性物質を前記多孔質酸化チタンに担持させることを開示した(特願平10−155265,特願平11−270020)。しかしながら、前記発明において用いる希土類元素に属する金属は非常に高価であり、これらを用いて調製する多孔質酸化チタンはコスト的に高価となって、種々の技術分野において応用する際の支障となる。そこで、より廉価で一般的な原材料を用いて、形状や微細構造が制御され、水又は水溶性物質を担持させ得る多孔質酸化チタンを得ることを本発明の目的とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため種々検討を行った結果、低温で酸化チタン結晶を成長させる際、その成長を妨げ得る金属イオンとして、特願平10−155265にて開示した発明において用いた希土類元素に属する金属イオンに替えて、アルカリ金属に属する金属イオンもしくはアルカリ土類金属に属する金属イオンを導入することにより、形状や微細構造を良好に制御することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明においては、チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選ばれる1種又は2種以上、水及び、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン・金属複合酸化物を調製し、次いで酸処理して複合化金属を除去することにより、多孔質酸化チタンを得る。また、チタンアルコキシドから酸化チタンを生成する際、「弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩」として添加する塩の種類によっては、チタンアルコキシドがゾルやゲルに成長せずに沈殿してしまい、酸化チタンの形状や微細構造を良好に制御できない場合がある。かかる場合においても、加水分解抑制剤を共存させることにより、チタンアルコキシドをゾルやゲルとして成長させることができ、生成する多孔質酸化チタンの形状や微細構造をより良好に制御できる。
【0013】
そして、上記により得た多孔質酸化チタンに水や水溶性物質の水溶液を含浸させた場合、これらを良好に担持し得ることを見いだした。水又は水溶性物質を担持した多孔質酸化チタンは、紫外線防御効果に加えて赤外線吸収効果等の光学的効果を合わせ持ち、水溶性成分の徐放効果を有するものであり、また担持させる水溶性物質の種類によっては透明性の向上が期待でき、特に化粧料に配合した場合に良好な効果を発揮し得るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において用い得るチタンアルコキシドとしては、チタンテトラエトキシド,チタンテトラノルマルプロポキシド,チタンテトライソプロポキシド,チタンテトラノルマルブトキシド,チタンテトライソブトキシド,チタンテトラターシャルブトキシド等が挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。かかるチタンアルコキシドを溶解する水混和性有機溶媒としては、メタノール,エタノール,ノルマルプロパノール,イソプロパノール,ノルマルブタノール,イソブタノール,ターシャルブタノール,エチレングリコール,ジメチルホルムアミド等が挙げられ、特にノルマルブタノールが好ましい。チタンアルコキシドの水混和性有機溶媒による溶液の濃度としては0.001〜10.0Mであることが好ましく、0.01〜6.0Mの範囲とすることが特に好ましい。
【0015】
本発明においては、チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、触媒として、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選ばれる1種又は2種以上を添加し、重縮合を促進してゾルやゲルを得る。前記触媒として用いる弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩としては、塩酸,炭酸,カルボン酸及びその誘導体,並びにフェノキシド及びその誘導体より成る群から選ばれる1種以上と、アルカリ金属,アルカリ土類金属,アンモニウム化合物,ヒドラジニウム化合物,ピリジニウム化合物及びヒドロキシアルミニウム化合物より成る群から選ばれる1種以上との塩が好ましく用いられ、炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸アンモニウム,炭酸水素リチウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,炭酸水素アンモニウム,ギ酸リチウム,ギ酸ナトリウム,ギ酸カリウム,ギ酸カルシウム,ギ酸アンモニウム,酢酸リチウム,酢酸ナトリウム,酢酸カリウム,酢酸カルシウム,酢酸アンモニウム,ヒドロキシアンモニウム塩酸塩,アセトアミジン塩酸塩,ヒドラジン塩酸塩等が例示される。これらのうち、炭酸ナトリウム,炭酸アンモニウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素アンモニウム,酢酸ナトリウム及び酢酸アンモニウムが特に好ましい。前記より1種又は2種以上を選択して用いるが、用いる塩により、生成するチタンアルコキシドゲルの状態は異なり、薄片状から球状のゲル粒子が得られる。
【0016】
上記塩の1種又は2種以上は、上記濃度範囲のチタンアルコキシド溶液1リットルに対して0.05〜0.5モルの割合で添加することが好ましい。塩の添加量の上限は溶媒に溶解する量に、下限は重合促進に対する触媒効果の得られる量に決定される。
【0017】
本発明においては、チタンアルコキシドから酸化チタンに成長させる際、アルカリ金属に属する金属及びアルカリ土類金属に属する金属、すなわちリチウム,ナトリウム,カリウム,ルビジウム,セシウム,ベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムより成る群から選択した1種又は2種以上の金属を含む塩を添加して、前記金属を複合化させる。次いで、酸処理してこれら金属を溶出させることにより、添加する金属イオンに対応する細孔が得られる。これら金属イオンの複合化量によって細孔の構造を制御でき、非結晶,アナターゼ型結晶,ルチル型結晶と、酸化チタンの結晶系を変化させることができる。
【0018】
アルカリ金属に属する金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩としては、これらの塩化物,臭化物,ヨウ化物等のハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩,硫酸塩,酢酸塩,シュウ酸塩,アンモニウム塩等を用いることができる。アルカリ金属に属する金属及びアルカリ土類金属に属する金属は、チタン1モルに対して0.05モル〜2.0モルの範囲で添加することが好ましい。
【0019】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩は、チタンアルコキシドの水混和性有機溶媒による溶液に水及び触媒として用いる塩を添加する際、同時に加えてもよいが、やや遅れて添加してもよい。触媒として用いる塩の種類やアルカリ金属に属する金属及びアルカリ土類金属に属する金属の種類、及び添加時期により、チタンアルコキシドゲル中におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属の分布を制御でき、酸処理後に得られる酸化チタンの細孔の微細構造の制御が可能である。
【0020】
また本発明においては、チタンアルコキシドから酸化チタンへの重縮合に際し、触媒となる塩の他に、加水分解を制御する加水分解抑制剤を添加することもできる。加水分解抑制剤を添加することにより、チタンアルコキシドの加水分解の進行を制御し、選択的に薄片状のゲル粒子を得ることができる。
【0021】
上記加水分解抑制剤はキレート試薬及び電子供与性試薬より選択され、ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,テトラエチレングリコールモノメチルエーテル,テトラエチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールのアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル,エチレングリコールモノベンジルエーテル等のアルキレングリコールのアリールエーテル類、アセチルアセトン等のβ-ジケトン類、エチレンジアミン,トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。前記の中でも、特にアルキレングリコール類が好ましく使用できる。
【0022】
上記の加水分解抑制剤は、チタンアルコキシド1モルに対し1〜20モルの割合で添加することが好ましく、2〜10モルとするのがより好ましい。加水分解抑制剤の添加量が1モル未満であると、チタンアルコキシドの加水分解の制御効果が十分に得られず、また20モルを超えると、チタンアルコキシドの加水分解が十分に進行しないので好ましくない。
【0023】
本発明に係る多孔質酸化チタンの製造方法としては、まず、上記したチタンアルコキシドの1種又は2種以上を上記水混和性溶媒の1種又は2種以上に溶解し、チタンアルコキシドの溶液を調製する。次いで、チタンアルコキシドの溶液を撹拌しながら、水と、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選択した1種又は2種以上(又は水、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選択した1種又は2種以上、及び加水分解抑制剤の1種又は2種以上)を水混和性有機溶媒の1種又は2種以上に溶解した溶液を添加し、それと同時か、若干反応を進行させた後、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩の1種又は2種以上と、水とを添加する。この際、さらに弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選択した1種又は2種以上の水混和性有機溶媒による溶液を添加してもよい。なお、水の添加量は全量で、チタンアルコキシド1モルに対して1〜20モルとするのが好ましい。次に撹拌を停止して、そのまま2〜24時間反応を継続させ、酸化チタンのゲルを得る。この酸化チタンのゲルを水洗し、70℃〜100℃で1〜4時間程度乾燥させた後、300℃〜1200℃で2〜4時間加熱処理し、続いて塩酸,硫酸,硝酸等の酸で処理して複合化させた金属を溶出させ、水洗乾燥する。
【0024】
また本発明においては、上記のようにして調製した多孔質酸化チタンに、水又は水溶性物質を含浸させて担持させる。水溶性物質としては、塩化ナトリウム,塩化マグネシウム,硫酸マグネシウム,塩化カリウム,臭化マグネシウム及びこれらの含水塩並びに混合物やニガリ等の無機塩類、アラニン,グリシン,ピロリドンカルボン酸等のアミノ酸及びその塩、加水分解コラーゲン,加水分解エラスチン,加水分解フィブロイン,加水分解セリシン等の可溶化ペプチド、乳酸,クエン酸等の2-ヒドロキシ酸及びその塩並びに誘導体、尿素、プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール,1,2-ペンタンジオール等の二価アルコール、グリセリン、ジグリセリン,トリグリセリン等のポリグリセリン、グルコース,ショ糖等の糖類、ソルビトール,マルチトール等の糖アルコール、ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類、カルボキシビニルポリマー,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム等の水溶性高分子、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム,ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム等の水溶性紫外線吸収剤、チアミン及びその誘導体(ビタミンB1),リボフラビン(ビタミンB2),ピリドキシン及びその誘導体(ビタミンB6),アスコルビン酸及びその誘導体(ビタミンC),パントテン酸及びその誘導体等の水溶性ビタミン類、グリチルリチン酸ジカリウム,グアイアズレンスルホン酸ナトリウム等の水溶性抗炎症剤、タンニン酸等の水溶性収斂剤、胎盤抽出物,脾臓抽出物等の動物抽出物、各種植物抽出物、酵母抽出物、海藻抽出物等が好ましいものとして例示され、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。
【0025】
上記水又は水溶性物質を担持した多孔質酸化チタンの製造方法としては、上述した方法で得た多孔質酸化チタンを、水又は水溶性物質の水溶液中に浸漬し、必要に応じて減圧処理を行い、これらを細孔内に含浸担持させる。
【0026】
さらに本発明においては、上記に従って調製した多孔質酸化チタン、及び水又は水溶性物質を担持した多孔質酸化チタンより、1種又は2種以上を選択して化粧料に含有させる。化粧料中における含有量としては特に限定はされないが、0.1〜85重量%の範囲内とするのが適切であり、目的に応じて決定する。化粧料に配合する際、目的に応じて粒径を整えたり、シリコーン処理,金属セッケン処理等の疎水化処理を行った後に配合することもできる。本発明に係る化粧料は、特に紫外線防御に有効な日焼け止め化粧料として有用である。
【0027】
本発明に係る化粧料には、上記多孔質酸化チタン及び水等を担持した多孔質酸化チタンの他、油脂類,ロウ類,炭化水素類,脂肪酸類,高級アルコール類,エステル類,低級アルコール類,多価アルコール類,保湿剤,細胞賦活剤,抗炎症剤,抗酸化剤,界面活性剤,水溶性高分子化合物,防菌防黴剤,キレート剤,色素類,香料等、一般的に化粧料に配合される原料を含有させることができる。また、多孔質酸化チタン及び水等を担持した多孔質酸化チタン以外に、体質顔料,着色顔料,真珠光沢顔料等の粉体類を含有させることができる。特に紫外線対策を目的とした日焼け止め化粧料においては、従来より用いられていた微粒子酸化チタンや酸化亜鉛といった紫外線散乱効果を有する粉体や、紫外線吸収剤を併用し得る。
【0028】
本発明に係る化粧料は、ゲル,クリーム,パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップベースクリーム、乳液状,クリーム状,油性軟膏状,油性スティック状,パウダー状の各ファンデーション、アイカラー、チークカラー、リップスティック、リップクリーム、粉おしろい、マスカラ、アイライナー等のメイクアップ化粧料、美爪料、ハンドクリーム,レッグクリーム,ボディローション等の身体用化粧料などとして提供し得る。粉体層と水層又は乳液層より成る二層状化粧水もしくは乳液、粉体層,水層又は乳液層及び油層より成る三層状化粧水もしくは乳液としても提供できる。
【0029】
【実施例】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。まず、本発明に係る多孔質酸化チタン及びその製造方法に関し、実施例1〜実施例3を示す。
【0030】
[実施例1] 多孔質粒状酸化チタン
グローブボックス内にてチタンテトラノルマルブトキシド0.25モルをノルマルブタノールに溶解して500mlとする(1液)。一方、酢酸アンモニウム0.25モルと精製水0.625モルをノルマルブタノールに溶解して750mlとする(2液)。また、硝酸カルシウム0.05モル(カルシウム/チタンモル比=0.2)と精製水3.75モルをメタノールに溶解して500mlとする(3液)。1液を撹拌しながら、2液及び3液を同時に添加し、その後2時間静置し、15,000回転で15分間の遠心分離を行って沈殿を回収し、水で3回洗浄した。次いで沈殿を90℃で1時間乾燥し、600℃で2時間加熱処理した。得られた粉体を1M塩酸1,000ml中に添加して撹拌処理した後、遠心分離して酸化チタン粉体を回収した。最終収量は19.5gであった。
【0031】
[実施例2] 多孔質薄片状酸化チタン
グローブボックス内にてチタンテトラノルマルブトキシド0.25モルとジエチレングリコール2.5モルをノルマルブタノールに溶解して500mlとする(1液)。一方、炭酸水素アンモニウム0.25モルと精製水0.625モルをノルマルブタノールに溶解して750mlとする(2液)。また、塩化カリウム0.05モル(カリウム/チタンモル比=0.2)と精製水3.75モルをメタノールに溶解して500mlとする(3液)。1液を撹拌しながら、2液及び3液を同時に添加し、その後2時間静置し、15,000回転で15分間の遠心分離を行って沈殿を回収し、水で3回洗浄した。次いで沈殿を90℃で1時間乾燥し、600℃で2時間加熱処理した。得られた粉体を1M塩酸1,000mlに添加して撹拌処理した後、遠心分離して酸化チタン粉体を回収した。最終収量は19.5gであった。
【0032】
[実施例3] 多孔質薄片状酸化チタン
グローブボックス内にてチタンテトラノルマルブトキシド0.25モルとジエチレングリコール2.5モルをノルマルブタノールに溶解して500mlとする(1液)。一方、炭酸水素アンモニウム0.25モルと精製水0.625モルをノルマルブタノールに溶解して750mlとする(2液)。また、硝酸カルシウム0.125モル(カルシウム/チタンモル比=0.5)と精製水3.75モルをメタノールに溶解して500mlとする(3液)。1液を撹拌しながら、2液を添加してしばらく撹拌し、50分後に3液を添加した後12時間静置し、15,000回転で15分間の遠心分離を行って沈殿を回収し、水で3回洗浄した。次いで沈殿を90℃で1時間乾燥し、600℃で2時間加熱処理した。得られた粉体を1M塩酸1,000mlに添加して撹拌処理した後、遠心分離して酸化チタン粉体を回収した。最終収量は19.5gであった。
【0033】
次に、本発明に係る水又は水溶性物質を担持した多孔質酸化チタン及びその製造方法について、実施例4〜実施例9を示す。
【0034】
[実施例4] 水を担持した多孔質粒状酸化チタン
上記実施例1に係る多孔質粒状酸化チタン粉体15gを、室温にて水500ml中に一晩浸漬して水を含浸させ、水を担持した多孔質酸化チタンをろ別回収した。
【0035】
[実施例5] アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩を担持した多孔質粒状酸化チタン
上記実施例1と同様にして調製した多孔質酸化チタン粉体16gを、1.0重量%のアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩の水溶液500ml中に20℃にて5時間浸漬して含浸させ、前記マグネシウム塩を担持した多孔質酸化チタンをろ別回収した。
【0036】
[実施例6] グアイアズレンスルホン酸ナトリウムを担持した多孔質粒状酸化チタン
上記実施例1と同様にして調製した多孔質酸化チタン粉体15gを、0.5重量%のグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの水溶液500ml中に20℃にて6時間浸漬して含浸させ、前記物質を担持した多孔質酸化チタンをろ別回収した。
【0037】
[実施例7] 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウムを担持した多孔質薄片状酸化チタン
上記実施例2に係る酸化チタン粉体18gを20℃にて、5.0重量%の2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム水溶液500mlに浸漬して含浸させ、前記物質を担持した多孔質酸化チタンをろ別回収した。
【0038】
[実施例8] グリチルリチン酸ジカリウムを担持した多孔質薄片状酸化チタン
上記実施例2と同様にして調製した多孔質酸化チタン粉体17gを、2.5重量%のグリチルリチン酸ジカリウムの水溶液500ml中に20℃にて12時間浸漬し、減圧して含浸させ、前記物質を担持した多孔質酸化チタンをろ別回収した。
【0039】
[実施例9] 乳酸ナトリウムを担持した多孔質薄片状酸化チタン
上記実施例3に係る酸化チタン粉体19gを室温にて、2.0重量%の乳酸ナトリウム水溶液500mlに浸漬し、減圧して含浸させ、前記物質を担持した多孔質酸化チタンをろ別回収した。
【0040】
上記実施例1〜実施例3について比表面積及び細孔径分布を測定し、X線回折法により結晶型の解析、及び積分球による紫外部吸収スペクトルの測定を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003645764
【0042】
表1より、本発明の実施例1〜実施例3は、いずれも90m2/g以上の比表面積を示し、通常の化粧料用酸化チタンの比表面積が9〜12m2/gであることから、比表面積の顕著な増大が認められ、これらが多孔質構造を有することが示された。またX線回折の結果、実施例1及び実施例2はルチル型結晶性の酸化チタンであり、実施例3はアモルファス状の酸化チタンであることが確認された。細孔径分布については、全実施例について、55〜500オングストロームの範囲において孔径のブロードな分布が見られていた。さらに実施例1〜実施例3は、262nm〜275nmにおいて吸収極大を示していた。
【0043】
続いて、上記実施例4〜実施例9の水又は水溶性物質を担持した多孔質酸化チタンについて、紫外部吸収スペクトル及び赤外吸収スペクトルの測定を行い、結果を表2に示した。
【0044】
【表2】
Figure 0003645764
【0045】
表2において、実施例4については水に基づく3657cm-1の赤外吸収ピーク、実施例5についてはアスコルビン酸のカルボキシル基に基づく1781cm-1の赤外吸収ピークが認められ、実施例6については326nm,340nm,352nm、実施例7については322nmのアズレンもしくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウムに基づく、酸化チタンの吸収より長波長側の紫外部吸収が認められている。さらに実施例8及び実施例9については、1590cm-1及び1581cm-1のカルボン酸イオンに基づく赤外吸収ピークが認められ、いずれの実施例においても細孔内に水又は水溶性物質が担持されていることが示されていた。
【0046】
次に、本発明に係る化粧料についての実施例の処方を示す。
【0047】
[実施例10] 二層状化粧水
(1)エタノール 15.00(重量%)
(2)グリセリン 2.00
(3)1,3-ブチレングリコール 2.00
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(5)香料 0.10
(6)カンファー 0.20
(7)精製水 77.95
(8)グアイズレンスルホン酸ナトリウムを担持した 2.00
多孔質酸化チタン(実施例6)
(9)ベンガラ 0.15
(10)酸化亜鉛 0.50
製法:(1)に(2)〜(5)を順次添加して溶解する。(6)を(7)に溶解し、これに前記エタノール相を加え、さらに(8)〜(10)を加えて撹拌し、湿潤分散する。
【0048】
[実施例11] 水中油型乳液
(1)オレイン酸オレイルエステル 5.0(重量%)
(2)ジメチルポリシロキサン 3.0
(3)ワセリン 0.5
(4)セタノール 1.0
(5)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8
(6)ポリオキシエチレン(20E.O.)オレイルエーテル 1.2
(7)ジプロピレングリコール 6.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)ヒドロキシエチルセルロース 0.3
(10)アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 3.0
を担持した多孔質酸化チタン(実施例5)
(11)精製水 76.0
(12)エタノール 3.0
(13)香料 0.1
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、加熱溶解して70℃とする。一方、(7)〜(9)を(11)に加えて溶解して加熱し、70℃とする。この水相に前記油相を撹拌しながら添加し、ホモジナイザーにより乳化した後冷却し、40℃にて(13)を(12)に溶解して添加,混合した後、(10)を添加,分散する。
【0049】
[実施例12] 日焼け止め用水中油型クリーム
(1)スクワラン 10.0(重量%)
(2)ワセリン 5.0
(3)ステアリルアルコール 3.0
(4)ステアリン酸 3.0
(5)グリセリルモノステアリン酸エステル 3.0
(6)ポリアクリル酸エチル 1.0
(7)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 5.0
(8)4-ターシャルブチル-4'-メトキシジベンゾイル 1.0
メタン
(9)1,3-ブチレングリコール 7.0
(10)水酸化カリウム 0.2
(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(12)多孔質粒状酸化チタン(実施例1) 2.5
(13)2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン- 5.0
5-スルホン酸ナトリウムを担持した多孔質酸化チタン(実施例7)
(14)精製水 54.1
(15)香料 0.1
製法:(1)〜(8)の油相成分を混合し、加熱溶解して70℃とする。一方、(9)〜(11)を(14)に加えて溶解して加熱し、(12),(13)を分散した後70℃とする。この水相に前記油相を撹拌しながら添加し、ホモジナイザーにより乳化した後冷却し、40℃にて(15)を添加,混合する。
【0050】
[実施例13] 日焼け止め用油中水型クリーム
(1)スクワラン 40.0(重量%)
(2)グリセリルジイソステアリン酸エステル 3.0
(3)有機変性モンモリロナイト 1.5
(4)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 5.0
(5)オキシベンゾン 0.5
(6)4-ターシャルブチル-4'-メトキシジベンゾイル 0.5
メタン
(7)多孔質薄片状酸化チタン(実施例3) 3.5
(シリコーン処理物)
(8)2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン- 3.5
5-スルホン酸ナトリウムを担持した多孔質酸化チタン
(実施例7)(シリコーン処理物)
(9)1,3-ブチレングリコール 5.0
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(11)精製水 37.3
(12)香料 0.1
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,加熱溶解し、(7),(8)を分散した後70℃とする。一方、(9)〜(11)を混合,溶解して加熱し、70℃とする。この水相を前記油相に撹拌しながら添加し、ホモジナイザーにより乳化した後冷却し、40℃にて(12)を添加,混合する。なお、実施例3及び実施例7に係る多孔質酸化チタンのシリコーン処理は、メチルハイドロジェンポリシロキサン2.5重量%の焼き付け処理により行った。
【0051】
[実施例14] 油性スティック状ファンデーション
(1)流動パラフィン 18.08(重量%)
(2)ミリスチン酸イソプロピル 15.00
(3)液状ラノリン 4.50
(4)マイクロクリスタリンワックス 4.50
(5)セレシン 10.00
(6)カルナウバロウ 2.00
(7)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 1.00
(8)酢酸トコフェロール 0.20
(9)パラオキシ安息香酸ブチル 0.02
(10)水を担持した多孔質酸化チタン(実施例4) 10.00
(11)乳酸ナトリウムを担持した多孔質酸化チタン 10.00
(実施例9)
(12)カオリン 14.60
(13)タルク 2.80
(14)マイカ 3.00
(15)ベンガラ 1.00
(16)黄酸化鉄 3.00
(17)黒酸化鉄 0.20
(18)香料 0.10
製法:(1)〜(9)の基剤成分を混合し、70℃〜80℃で加熱融解する。一方、(10)〜(17)の顔料成分を混合して前記基剤に加え、ロールミルで練る。混練物を加熱融解し、調色した後脱泡し、(18)を添加して型に充填して冷却固化する。
【0052】
[実施例15] パウダーファンデーション
(1)流動パラフィン 5.0(重量%)
(2)ミリスチン酸オクチルドデシル 2.5
(3)ワセリン 2.5
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(5)香料 0.1
(6)水を担持した多孔質酸化チタン(実施例4) 6.0
(7)グリチルリチン酸ジカリウムを担持した 4.0
多孔質酸化チタン(実施例8)
(8)ナイロンパウダー 10.0
(9)マイカ 20.0
(10)タルク 43.8
(11)ベンガラ 3.0
(12)黄酸化鉄 2.5
(13)黒酸化鉄 0.5
製法:(6)〜(13)の顔料成分を混合し、粉砕機を通して粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、(1)〜(5)を混合して加え、均一に混合する。これを粉砕機で処理し、ふるいを通し粒度をそろえた後、金皿に充填して圧縮成形する。
【0053】
[実施例16] ツーウェイファンデーション
(1)流動パラフィン 4.0(重量%)
(2)スクワラン 2.0
(3)メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(5)香料 0.1
(6)多孔質薄片状酸化チタン(実施例2) 3.0
(シリコーン処理物)
(7)水を担持した多孔質酸化チタン(実施例4) 7.0
(シリコーン処理物)
(8)2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン- 5.0
5-スルホン酸ナトリウムを担持した多孔質酸化チタン
(実施例7)(シリコーン処理物)
(9)シリコーン処理セリサイト 25.0
(10)シリコーン処理タルク 30.2
(11)シリコーン処理カオリン 5.0
(12)シリコーン処理ベンガラ 2.5
(13)シリコーン処理黄酸化鉄 2.0
(14)シリコーン処理黒酸化鉄 0.1
(15)ポリエチレン末 10.0
製法:(6)〜(15)の顔料成分を混合し、粉砕機を通して粉砕する。これを高速ブレンダーに移し、(1)〜(5)を混合して加え、均一に混合する。これを粉砕機で処理し、ふるいを通し粒度をそろえた後、金皿に充填して圧縮成形する。なお、実施例2,実施例4及び実施例7に係る多孔質酸化チタンをはじめ顔料のシリコーン処理は、メチルハイドロジェンポリシロキサン2.5重量%の焼き付け処理により行った。
【0054】
上記の実施例10〜実施例16について、使用試験を行った。その際、実施例10,実施例11及び実施例14〜実施例16において、各実施例処方中の本発明の実施例に係る多孔質酸化チタンを通常の化粧料用酸化チタンに代替したものを比較例1,比較例2及び比較例5〜比較例7とし、実施例12及び実施例13において、各実施例処方中の本発明の実施例に係る多孔質酸化チタンを平均粒子径20nm程度の微粒子酸化チタンに代替したものを比較例3及び比較例4とした。使用試験は、20才代〜50才代の女性パネラー20名を1群として用い、各群に実施例及び比較例のそれぞれをブラインドにて2週間使用させて行った。使用試験終了後、化粧料の付き,伸び,使用時のざらつき感,保湿効果,日焼け止め効果,仕上がりの透明感及び化粧持続性について官能評価させ、評価結果を表3に示す評価基準に従って点数化させて20名の平均値を算出し、表4に示した。
【0055】
【表3】
Figure 0003645764
【0056】
【表4】
Figure 0003645764
【0057】
表4より明らかなように、本発明に係る実施例10〜実施例16においては、化粧料の付きについては、従来の酸化チタン又は微粒子酸化チタンを含有する比較例1〜比較例7とほぼ同等の評価を得ていたが、伸びについては各比較例よりもよい評価を得ており、使用時のざらつき感については明らかに改善が認められていた。これは、各実施例において本発明に係る多孔質酸化チタンの凝集が認められないことに起因すると考えられる。また実施例14〜実施例16において、対応する比較例5〜比較例7に比し大幅な保湿効果の向上が認められていた。さらに実施例12及び実施例13についは、微粒子酸化チタンを用いた比較例3及び比較例4に比べて遜色ない日焼け止め効果が認められていた。そればかりか、前記以外の実施例10,実施例11及び実施例14〜実施例16においても、良好な日焼け止め効果が認められていた。さらにまた、いずれの実施例においても各比較例に比べ仕上がりの透明感の向上が認められており、特に実施例12〜実施例16においては顕著な透明感の向上が得られていた。さらに化粧持続性についても、全実施例において大幅な向上が認められた。なお表には示していないが、実施例10及び実施例11において、収斂消炎効果及び美白効果がそれぞれ認められていた。
【0058】
上記の実施例10〜実施例16については、室温で6カ月間以上保存しても状態の変化は全く認められなかった。また上記使用試験において、皮膚刺激性反応や皮膚感作性反応の見られたパネラーは存在しなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明により、より低コストで形状及び微細構造の制御された多孔質酸化チタンを得ることができた。また酸化チタンを担体として、特に化粧料等皮膚用組成物において有用な揮発性物質である水や、水溶性物質を効率よく担持させ、これらの不揮発化及び放出制御を可能とすることができた。さらに、担持させる水溶性物質を選択することにより、酸化チタンの透明性を向上させることも可能であった。
【0060】
本発明による多孔質酸化チタンは、触媒としての利用や、耐候性を有する塗料、紫外線防御用化粧料等に応用可能なものである。そして、それを化粧料に含有させた場合、表面積増大による紫外線吸収散乱効果の向上や赤外線吸収効果により、優れた日焼け止め効果が得られ、さらに汗や皮脂に対する吸収性を示すことから、化粧持続性の向上を図ることができた。また、水又は水溶性物質を担持させた場合、これらの不揮発化を防ぎ、徐放効果も得られることから、持続的な保湿効果が得られ、担持させる水溶性物質の効果をも良好に発揮させることができた。

Claims (8)

  1. チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、水及び、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン・金属複合酸化物を調製し、次いで水洗,乾燥後、300℃〜1200℃で加熱処理した後、酸処理してアルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を除去して得られる、55〜500オングストロームの範囲に細孔径分布を有する多孔質酸化チタン。
  2. チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、加水分解抑制剤の1種又は2種以上、水及び、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン・金属複合酸化物を調製し、次いで水洗,乾燥後、300℃〜1200℃で加熱処理した後、酸処理してアルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を除去して得られる、55〜500オングストロームの範囲に細孔径分布を有する多孔質酸化チタン。
  3. チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、水及び、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン・金属複合酸化物を調製し、次いで水洗,乾燥後、300℃〜1200℃で加熱処理した後、酸処理してアルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を除去することを特徴とする、請求項1に記載の多孔質酸化チタンの製造方法。
  4. チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基,弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩から選ばれる1種又は2種以上、加水分解抑制剤の1種又は2種以上、水及び、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を含む塩より選択した1種又は2種以上を添加してチタン・金属複合酸化物を調製し、次いで水洗,乾燥後、300℃〜1200℃で加熱処理した後、酸処理してアルカリ金属及びアルカリ土類金属に属する金属を除去することを特徴とする、請求項2に記載の多孔質酸化チタンの製造方法。
  5. 水又は水溶性物質を担持することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多孔質酸化チタン。
  6. 水溶性物質が、無機塩類,アミノ酸及びその塩,ペプチド,2−ヒドロキシ酸及びその塩,尿素,二価アルコール,グリセリン,ポリグリセリン,糖類,糖アルコール,ムコ多糖類,水溶性高分子,水溶性紫外線吸収剤,水溶性ビタミン類,水溶性抗炎症剤,水溶性収斂剤,動物抽出物,植物抽出物,酵母抽出物,海藻抽出物より成る群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の多孔質酸化チタン。
  7. 請求項3又は請求項4に記載した製造方法により製造した多孔質酸化チタンを、水又は水溶性物質の水溶液に浸漬し、水又は水溶性物質を含浸担持させることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載した多孔質酸化チタンの製造方法。
  8. 請求項1,請求項2,請求項5又は請求項6に記載した多孔質酸化チタンより選択される1種又は2種以上を含有して成る、化粧料。
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