JP3645061B2 - 水溶液中の有機成分分解装置およびその分解方法 - Google Patents

水溶液中の有機成分分解装置およびその分解方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は極低電導度水溶液をはじめ、あらゆる水溶液系の有機成分、つまり全有機炭素(以下、TOCと記す)を電気化学と光化学処理の組み合わせにより分解処理する水溶液中のTOC成分分解装置およびその分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川や湖沼、或いは海洋に対する自然環境保護は、世界共通の課題となっている。自然環境を汚染する物質のうち、TOCに関する従来の処理方法を列挙すれば、下記のとおりである。
・フィルター(逆浸透膜等)による物理的ろ過法。
・吸着剤(イオン交換樹脂、活性炭等)による吸着法。
・酸化性物質(O3 、H2 2 等)による酸化分解法。
・金属触媒を利用した加熱・加圧分解法。
・紫外線による分解法。
・半導体光触媒を利用した紫外線分解法。
・放射線による分解法。
・電気分解による酸化分解法。
・微生物による酸化分解法。
上記処理技術以外にも、これらの組み合わせや改良された技術が多数開発され、また実際に装置として稼働しているものも数多くある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術では、溶液中のろ過捕捉できないTOC成分の除外技術としては酸化分解するのが一般的で、二次廃棄物や有害な副生成物の発生,危険な酸化性試薬等の取り扱い,分解反応の効率化,TOC分解後の処理液に残留する酸化性物質の処分などの課題がある。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、常温・常圧下において、添加試薬が不要で、二次廃棄物の発生がなく、処理液中に金属イオン,酸化性物質が残留せず、超純水のような極低電導度水溶液中のTOC成分に対しても優れた効率で分解(無機化)処理することができる水溶液中のTOC成分の分解方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、固体電解質を境界とし陰極と陽極を配置した電気分解装置と、紫外線ランプを内蔵し内面に半導体光触媒化処理層を有する紫外線照射槽とを備え、前記電気分解装置の陽極室で有機成分を含む水溶液から酸化性物質を生成した後、前記紫外線照射槽で紫外線照射と前記酸化性物質および前記半導体触媒により前記有機成分を無機物質に変えた後、さらに前記電気分解装置の陰極室で前記紫外線照射水溶液中に残存する酸化性物質を還元しながら、溶存している金属イオンを金属として除去することを特徴とする。
この発明によれば、常温,常圧下において添加試薬の必要がなく、処理後の溶液中に金属イオン,酸化性物質が残留せず、分解速度および効率が優れる。
【0006】
すなわち、TOCを含む原液(水溶液)は電気分解装置の陽極室において、陽極表面での電気分解反応により、
【数1】
Figure 0003645061
となる。
【0007】
酸化性物質を含んだ原液は紫外線照射槽において、紫外線(UV)と酸化性物質および半導体光触媒による酸化分解反応で、
【数2】
Figure 0003645061
となり、生成したOH・がTOCを分解する。
【0008】
TOCと分解した原液は電気分解装置の陰極において残留する金属イオンおよび酸化性物質(O2 ,O3 ,H2 2 等)を陰極表面での電気分解反応により、つぎの反応で除外する。
【0009】
【数3】
Figure 0003645061
【0010】
請求項2の発明は、前記陽極室の陽極は過電圧2.1 V以上の電極からなることを特徴とする。この発明によれば高濃度のオゾン水、つまり原液+酸化性物質を得ることができる。
【0011】
請求項3の発明は、前記固体電解質はイオン交換膜からなることを特徴とする。この発明によれば陽イオンを吸着し、陰イオンを排除でき、また酸化剤に対する耐久性が優れる。
【0012】
請求項4の発明は、前記半導体光触媒化処理層は二酸化チタン(TiO2 )または半導体光触媒化処理層に白金、銅、マンガン等の金属触媒を担持させてなることを特徴とする。この発明によれば、水のような還元性物質から電子eを取り入れ、水素分子(H+ )や酸素分子のような非還元性物質へ電子を送ることができる。
【0013】
請求項5の発明は、前記陰極室の陰極は多孔質金属からなることを特徴とする。この発明によれば、紫外線照射水溶液中に残存する酸化性物質および金属イオンとの接触時間,表面積が大きくなり、水溶液中TOC分解装置の還元処理能力を大きく向上できる。
【0014】
請求項6の発明は、前記紫外線照射槽は断熱構造からなることを特徴とする。この発明によれば、紫外線照射槽内の温度上昇につれて系外へ移行する熱量を多くできる。
【0015】
請求項7の発明は、前記紫外線ランプの代りに放射線線源を置き換えてなることを特徴とする。この発明によれば、波長が紫外線以下の電磁波であれば、有機化合物の結合を直接切断することができる。また、放射線源として原子力発電所で発生する廃棄物を利用すれば、放射性廃棄物の有効なリサイクルシステムを構築できる。
【0016】
請求項8の発明は、前記陽極および陰極をメッシュ形状に形成し、前記固体電解質をイオン交換膜で形成し、かつ前記陰極、イオン交換膜および陽極を密着させてなることを特徴とする。この発明によればH+ イオンの移動のみによって水の分解反応が成立し紫外線とオゾンの併用によりTOC分解性能を発揮する。
【0017】
請求項9の発明は、前記二酸化チタン触媒化処理層を施した紫外線照射槽を陽極とし、前記電気分解装置の陰極との間に電圧を印加する回路を設けてなることを特徴とする。この発明によれば二酸化チタン触媒化処理層の表面上に励起された電子に電圧を加えて陰極へ移行させることにより光触媒機能を促進できる。
【0018】
請求項10の発明は、固体電解質を境界とし陰極と陽極を配置した電気分解装置と、紫外線ランプを内蔵し、内面に半導体光触媒化処理を施してなる紫外線照射槽を使用し、前記電気分解装置の陽極室で有機成分を含む水溶液から酸化性物質を生成した後、前記紫外線照射槽で紫外線照射と前記酸化性物質および前記半導体触媒により前記有機成分を無機物質に変えた後、さらに前記電気分解装置の陰極室で前記紫外線照射水溶液中に残存する酸化性物質を還元しながら、溶存している金属イオンを金属として除去することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、TOC成分を含む水溶液(原液)は、電気分解装置の陽極室→紫外線照射槽→電気分解装置の陰極室と流れる。まず、電気分解装置の陽極室において、陽極での水の電気分解反応により、原液から酸化性物質(O3 )を生成する。
【0020】
つぎに、紫外線照射槽において、酸化性物質の混在している原液に紫外線を照射し、TOCを無機物質(二酸化炭素等)とする。最後に、電気分解装置の陰極室での還元反応により、紫外線照射水溶液中に残留する酸化性物質および金属イオンを排除する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る水溶液中のTOC分解装置およびその分解方法の実施の形態を図面により説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の請求項1および10に対応する実施形態に係る水溶液中TOC分解装置の原理を説明する系統図である。
【0022】
本実施の形態のTOC分解装置は図1に示すように、大別して、(1) 固体電解質1を中心に境界として設け、左側に陰極2と右側に陽極3を配置した電気分解装置4と、(2) 紫外線ランプ5を内蔵し水溶液に接する内面に半導体光触媒化処理層6を施した紫外線照射槽7とからなっている。
【0023】
TOC成分を含む水溶液(原液)8は、電気分解装置4の陽極室3aに流入し、陽極室3a内において、電気分解により陽極3で以下の反応を起こす。
2 O→H+ +O2 +(O3 ) …(1)
【0024】
陽極室3aから流出する酸化性物質9を混在した原液+酸化性物質(O3 )10は紫外線照射槽7に流入し、紫外線照射槽7において、紫外線ランプ5からの紫外線照射による酸化性物質9の分解反応と半導体光触媒6の電子移行反応を同時に進行させ、以下のようにヒドロキシラジカル(OH・)を生成する。なお、図1中符号11はTOC(有機成分)を、12は無機物質(CO2 )を示している。
【0025】
(酸化性物質の分解反応)
3 +H2 O→[UV]→H2 2 +O2 …(2)
2 2 →[UV]→OH・ …(3)
(半導体光触媒の電子移行反応)
OH- +O2 →[UV]→O2-+OH・ …(4)
【0026】
生成したヒドロキシラジカル(OH・)と紫外線照射によりTOC成分は、以下のように分解される。
(ヒドロキシラジカルによるTOCの分解例)
R−H:TOC(C=1以上の炭化水素)
CHn OH(C=1の炭化水素)、R(C-1) −H:R−Hの分解生成物
【0027】
【数4】
Figure 0003645061
CHn OH+OH・→無機物質+H2 O …(8)
(紫外線照射によるTOCの分解)
R−H→[UV]→CHn +R(C-1) −H …(9)
CHn +O2 →[UV]→無機物質+H2 O …(10)
【0028】
そして、紫外線照射槽7で紫外線照射処理された処理液(酸化性物質含有液)13は電気分解装置4の陰極室2aに流入する。この陰極室2aで処理液13中に残存する酸化性物質9及び金属イオン15は以下の還元反応により除外される。なお、図1中符号14は還元性物質(H2 )、15は金属イオン、16は金属、17は純水を示している。
(酸化性物質の還元反応)
2 O→OH- +H2 …(11)
3 +H2 2 +H2 →H2 O …(12)
OH・+H2 →H2 O+H+ (13)
(金属イオンの還元反応)
+ →M[metal] …(14)
このような反応により、処理液13は還元されて純水17となり、電気分解装置4から流出する。
【0029】
(第2の実施の形態)
つぎに本発明の第2の実施の形態を図1および図14により説明する。
本実施の形態は請求項2に対応した水溶液中TOC分解装置に係るもので、電気分解装置4の陽極3を過電圧2.1 V以上の電極材料、例えば二酸化鉛で構成したことにあり、その他の部分は第1の実施の形態と同様である。
【0030】
すなわち、本実施の形態は図1において、固体電解質1を境界とし陰極2と二酸化鉛で構成した陽極3とを配置した電気分解装置4と、第1の実施の形態と同様に紫外線ランプ5が内蔵され、水溶液に接する内面に半導体光触媒化処理層6を施した紫外線照射槽7とからなっている。
【0031】
TOC成分を含む水溶液の原液8は、電気分解装置4の陽極室3aの二酸化鉛製陽極3の表面で、以下の水の電気分解反応を起こす。
2 O→H+ +O2 +O3
【0032】
二酸化鉛製陽極を使用しない通常の電気分解では酸化性物質(オゾンO3 )9はほとんど生成しない。この原因は反応の標準酸化還元電位が酸性溶液中で、
2H2 O−4e⇔4H+ +O2 :約1.2 V
2 O−2e+O2 ⇔2H+ +O3 :約2.1 V
であるのに対し、通常の電気分解で使用される陽極の過電圧が、
白金被覆電極 :約2V
DSE(Dimensionally Stable Electrode) :約1.6 V
と低いため、酸化性物質(O3 )9を生成するほどのエネルギーが液相に与えられないためと考えられる。
【0033】
しかし、二酸化鉛の陽極を使用した場合には電極過電圧が、
二酸化鉛陽極 :約2.5 V
と、オゾンの標準酸化還元電位より十分大きいため、高濃度のオゾン水、つまり、原液+酸化性物質(O3 )10を得ることが可能となる。
【0034】
図14は第2の実施の形態に係る純水を電気分解する試験において、陽極の種類(材質)と生成する溶解オゾン濃度の過渡変化を示す図であり、二酸化鉛電極のみオゾンを生成することが分かる。これはオゾンの発生する標準酸化還元電位が約 2.1Vであるため、白金電極やDSE電極では必要な電極電位(エネルギーと考えられる)が得られないが、二酸化鉛電極は電極電位が約 2.5Vと大きくオゾンを発生させることができる。
【0035】
(第3の実施の形態)
つぎに本発明の請求項3に対応する第3の実施の形態を図1,図2および図15(a),(b)により説明する。
【0036】
本実施の形態は第1の実施の形態における電気分解装置4の陰極2と陽極3の間に設置する固体電解質1をイオン交換膜で構成したことにある。このイオン交換膜には図2に示すようにフルオロカーボン系強酸性陽イオン交換膜18を使用する。
【0037】
すなわち、本実施の形態は図1に示す固体電解質1に図2に示すようにフルオロカーボン系強酸性陽イオン交換膜18を使用して、この陽イオン交換膜18の両側に陰極2と陽極3を配置して電気分解装置4を構成する。紫外線照射槽7は図1に示したように紫外線ランプ5を内蔵し、水溶液に接する内面に半導体光触媒化処理層6を施したもので、第1の実施の形態の紫外線照射槽7と同様の構成である。
【0038】
フルオロカーボン系強酸性陽イオン交換膜18は、フッ素樹脂を基体とし、官能基としてスルホン酸を付加結合させたもので、陽イオンを吸着し陰イオンを排除する。また、中性領域や強酸性領域においても完全に官能基が解離でき、薬品類、特に酸化剤に対する耐久性は炭化水素系陽イオン交換膜より大きく優れる。
【0039】
電気分解を開始すると、陽イオンは図2に示すような移動反応を起こして、陽極3からの陽イオンH+ を吸着し、陰極2からの陰イオンを排除するため、このとき陰イオンは陽イオン交換膜18を移動できない。
【0040】
図15(a),(b)は第3の実施の形態に係る電気分解装置4の陰極室2aに硝酸ナトリウム(NaNO3 )または塩化ナトリウム(NaCl)溶液を入れ、陽極室3aに純水を入れ、電気分解を行った結果であり、陽イオン交換膜による陰イオンの遮蔽性を示す図である。
【0041】
図15(a)は陰極室2aの硝酸イオン(NO3 - ),塩化物イオン(Cl- )の濃度変化を示し、また図15(b)は陽極室3aの濃度変化であるがどちらも濃度変化のないことが分かる。つまり、電気分解によって陰極室2aから陽極室3aへ移動するはずの陰イオンが、陽イオン交換膜18を設けることにより完全に遮蔽されたことになる。
【0042】
(第4の実施の形態)
つぎに図1および図3により本発明の請求項4に対応する第4の実施の形態を説明する。
【0043】
本実施の形態は図1において、紫外線照射槽7の内面に施す半導体光触媒化処理層6を、二酸化チタン(TiO2 )により形成したことにある。また、半導体光触媒化処理層6に白金,銅,マンガン等の金属触媒を担持させてなることにあるが、これについては後述する第10の実施の形態で説明する。
【0044】
すなわち、本実施の形態は図1に示すように、固体電解質1を介し陰極2と陽極3を配置した電気分解装置4と、紫外線ランプ5を内蔵し水溶液に接する内面に二酸化チタンの半導体光触媒化処理層6を施した紫外線照射槽7とから構成している。
【0045】
二酸化チタン(TiO2 )はn型半導体であり、固有のバンドキャップ3.0 eV以上のエネルギーを持つ電磁波(例えば415 nm以下の紫外線)を照射すると、図3に示すように二酸化チタン内部で電子eの移行反応が起こり、水(H2 O)のような還元性物質から電子eを取り入れ、水素分子(H+ )や酸素分子のような被還元性物質へ電子を送る。
【0046】
(第5の実施の形態)
図4により請求項5に対応する第5の実施の形態を説明する。
本実施の形態は図4に示したように、電気分解装置4の陰極2を多孔質金属で構成したことにある。その他の部分は第1の実施の形態と同様である。
【0047】
本実施の形態は図4に示すように、固体電解質1を境界とし、この境界の両側に多孔質金属製陰極2と陽極3を配置してなる電気分解装置4と、紫外線ランプ5を内蔵し、水溶液に接する内面に半導体光触媒化処理層6を施した紫外線照射槽7とからなっている。
【0048】
多孔質金属としては、例えば一般的なろ過材として幅広く用いられている金属フィルターである。多孔質金属が水溶液と接触する表面積は、近似的に[孔数×(4/3πr3 )]と考えられ、通常の平板型電極[高さ×幅]よりはるかに大きくなる。
【0049】
したがって、処理液(紫外線照射水溶液)13中に残存する酸化性物質9および金属イオン15との接触時間、表面積が大きくなり、水溶液中TOC分解装置の還元処理能力を大きく向上させることができる。
【0050】
図16は第5の実施の形態に係る電気分解装置4の陰極室2aに酸化性物質である次亜塩素酸ナトリウムを入れ電気分解を行った結果を平板陰極と対比して示している。図16から明らかなように、還元性(酸化性物質ClO濃度の減少速度)は、平板陰極より多孔質金属製陰極の方が優れていることが分かる。
【0051】
(第6の実施の形態)
図5により請求項6に対応する第6の実施の形態を説明する。
本実施の形態は図5に示すように、紫外線照射槽7に断熱材19を設けて断熱構造としたことにある。その他の部分は第1の実施の形態と同様である。
【0052】
すなわち、固体電解質1を境界とし、この境界の両側に陰極2と陽極3を配置した電気分解装置4と、紫外線ランプ5を内蔵し水溶液に接する内面に半導体光触媒化処理層6を施した紫外線照射槽7と、紫外線照射槽7に設けた断熱材19とからなっている。
【0053】
紫外線照射によるエネルギーの約50%が水溶液に吸収されたと仮定すれば、水溶液の温度上昇は、
溶液量:1dm3 、紫外線ランプ5の消費電力:100 W、照射時間:2hとして、
【数5】
Figure 0003645061
となる。しかし、実際には温度が上昇するにつれ、系外へ移行する熱量も多くなる。
【0054】
反応速度と温度の関係は、以下の式により表される。
【数6】
Figure 0003645061
【0055】
(第7の実施の形態)
図6により請求項7に対応する第7の実施の形態を説明する。
本実施の形態は図1に示した紫外線照射槽7内の紫外線ランプ5の代りに、放射線線源20を置き換えてなることにある。
【0056】
すなわち、図6において、固体電解質1を境界として、その両側に陰極2と陽極3を配置した電気分解装置4と、放射線線源20を内蔵し、水溶液に接する内面に半導体光触媒化処理層6を施した紫外線照射槽7とからなっている。放射線線源20は線源収納容器21内に収納され、線源収納容器21は紫外線照射槽7の上端開口を閉塞する放射線遮蔽材22から吊り下げられている。
【0057】
TOC成分(有機化合物)の解離エネルギーは、80〜200 (kcal /mol )である。これは、波長が紫外線以下の電磁波であれば、有機化合物の結合を直接切断することが可能であることを意味する。
この放射線源20として、原子力発電所で発生する廃棄物を利用すれば、放射性廃棄物の有効なリサイクルシステムとすることができる。
【0058】
(第8の実施の形態)
図7,図8および図17を参照しながら請求項8に対応する第8の実施の形態を説明する。
【0059】
図7において、電気分解装置4の陰極2および陽極3をメッシュ形状に形成するとともに前記固体電解質1をイオン交換膜で形成して、陰極2,イオン交換膜,陽極3を密着させ、電気分解装置4に設置してなることにある。
【0060】
近年、極低電導度の超純水は、半導体,食料品,原子力・火力発電等の産業で必要性が急増している。従来の超純水製造では、イオン交換樹脂と逆浸透膜および活性炭を組み合わせた不純物除外装置と、この装置で除去できない極微量のTOC成分を分解するための紫外線照射装置が付設されたものが多い。
【0061】
しかし、TOC成分の中でも紫外線のみでは極めて分解されにくいものがあり、また、反応を加速させる酸化性物質(過酸化水素,オゾン等)を使用すると残留性あるいは副生成物等の問題が発生するため、新たな処理技術の開発が待たれている。
【0062】
本実施の形態では、図7に示すように、固体電解質1をイオン交換膜とし、このイオン交換膜を境界としてイオン交換膜1の両側にメッシュ形状の陰極2と陽極3を配置した電気分解装置4と紫外線ランプ5を内蔵し水溶液に接する内面に半導体光触媒6化処理を施した紫外線照射槽7とから構成されている。
【0063】
図7において、電気分解装置4の陰極2と陽極3はメッシュ形状であり、固体電解質1のイオン交換膜を介して密着させる。イオン交換膜の内部には、官能基に付随している(電気的中性を保っている)数規定濃度の対イオンが存在している。
【0064】
本実施の形態では、TOC成分を含む極低電導度の水溶液を対象とする。この水溶液系では、通常の電気分解装置を用いて電圧を加えたとしても、電場によるイオンの移動が全く起こらず、水の分解反応も起こらない。
【0065】
しかし、陰極2と陽極3をメッシュ形状とし、イオン交換膜1(ここでは陽イオン交換膜)を介して密着させた電気分解装置4の内部では、図8に示すようにH+ イオンの移動のみによって水の分解反応が成立する。
【0066】
本実施の形態では、たとえば超純水のような極低電導度の水中でも上記の反応を成立させることができ、紫外線とオゾンの併用による優れたTOC分解性能を十分発揮できる。
【0067】
図17は本発明の第8の実施の形態に係る純水を電気分解した際の電流の過渡変化を示した図であり、陽イオン交換膜なし(スペースのみ)の場合では電流が流れないことが分かる。つまり、陽イオン交換膜の官能基に付随している陽イオン(ここではH+ )の電気泳動だけで電流が流れていることになる。
【0068】
(第9の実施の形態)
図9および図10により請求項9に対応する第9の実施の形態を説明する。
図9において、二酸化チタン(TiO2 )の触媒化処理層23を施した紫外線照射槽7を陽極とし、紫外線照射槽7の外面と電気分解装置4の陰極2とを電圧を印加する回路24で接続し、この回路24に電源25を接続して構成したことにある。その他の部分は第1の実施の形態と同様である。
【0069】
すなわち、図9のように、固体電解質1を介し陰極2と陽極3を配置した電気分解装置4と、紫外線ランプ5を内蔵し水溶液に接する内面に二酸化チタン触媒化処理層23を施した紫外線照射槽7と、紫外線照射槽7と陰極2とを接続する回路24とからなっている。
【0070】
紫外線照射槽7の二酸化チタン触媒化処理層23上では、電子の励起による移行反応が起こる。これによる酸化還元反応は図10のように表すことができる。
この反応は、水溶液系に水のような還元性物質と酸素分子のような酸化性物質が存在すれば成り立つ。しかし、この一連の流れを律速するのは、励起した電子が酸化性物質へ移行する部分と考えられる。
【0071】
そこで図9のように、二酸化チタン触媒化処理層23の表面上に励起された電子に電圧を加え、電気分解装置4の陰極2へ強制移行させれば、光触媒機能を促進できると考えられる。
【0072】
(第10の実施の形態)
図11から図13および図18により請求項4において、二酸化チタンに白金,銅またはマンガン等の金属触媒を担持させた請求項4に対応する第10の実施の形態を説明する。
【0073】
図11において、紫外線照射槽7の半導体光触媒6表面にPt,Cu,Mn等の金属触媒26を担持する。
図11に示すように、固体電解質1を境界としてその両側に陰極2と陽極3を配置した電気分解装置4と、紫外線ランプ5を内蔵し水溶液に接する内面に金属触媒26を担持した半導体光触媒化処理層6を施した紫外線照射槽7とからなっている。
【0074】
半導体光触媒化処理層6表面上に金属触媒26を担持した場合、電子の励起による移行反応は図12に示すようになり、半導体光触媒化処理層6表面上で酸化反応,金属触媒26の表面上で還元反応が起こる。
【0075】
ここで金属触媒26は、酸化性物質9と配位状態を作りポテンシャルエネルギーを低下させる働きをしているため、励起状態にある電子は容易に酸化性物質9へと移行する。模式的に表すと図13のようになる。
【0076】
図18は本発明の第10の実施の形態に係る電気分解装置4の陰極室2aに酸化性物質である次亜塩素酸ナトリウムを入れ電気分解を行った結果で、陰極2で発生する水素により約500ppmの酸化性物質ClOが120minで10ppm 以下に低減できることが分かる。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線(又は放射線)照射と電気分解装置から供給される酸化性物質(O3 )あるいは半導体光触媒によって起こる酸化分解反応により、効率よくTOC成分を無機物質へと分解することができる。また、紫外線照射水溶液に残存する金属イオンおよび酸化性物質は、電気分解装置での還元処理により水溶液中から排除できる。
【0078】
したがって、常温・常圧において、二次廃棄物の発生や試薬の必要なしに、例えば超純水のような極低電導度水中のTOC成分に対しても優れた分解処理(無機化)を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水溶液中の有機成分分解装置の第1から第4の実施の形態を概略的に示す装置配置図。
【図2】本発明に係る第3の実施の形態における電気分解した際の陽イオンの移動反応を説明するための模式図。
【図3】本発明に係る第4の実施の形態における二酸化チタン内での電子の移行反応を説明するための模式図。
【図4】本発明に係る第5の実施の形態を概略的に示す装置配置図。
【図5】本発明に係る第6の実施の形態を概略的に示す装置配置図。
【図6】本発明に係る第7の実施の形態を概略的に示す装置配置図。
【図7】本発明に係る第8の実施の形態を概略的に示す装置配置図。
【図8】図7における電気分解開始前,その直後および電気分解中の行程を説明するための模式図。
【図9】本発明に係る第9の実施の形態を概略的に示す装置配置図。
【図10】図9における電子の励起による反応を説明するための模式図。
【図11】本発明に係る第10の実施の形態を概略的に示す装置配置図。
【図12】図11における半導体光触媒化処理層と金属触媒での反応を説明するための模式図。
【図13】図11における金属触媒による電子の酸化性物質への移行を示す模式図。
【図14】本発明の第2の実施の形態において、陽極の種類と生成オゾン濃度の関係を示す特性図。
【図15】(a)は本発明の第2の実施の形態において、陽イオン交換膜による陰イオンの遮断性を陰極室で示す特性図、(b)は同じく陽極室で示す特性図。
【図16】本発明の第5の実施の形態において、陰極形状と次亜塩素酸ナトリウムの還元性を説明するための特性図。
【図17】本発明の第8の実施の形態において、純水中での電気分解に伴う槽電流の変化を示す特性図。
【図18】本発明の第10の実施の形態において、陰極による酸化性物質(次亜塩素酸ナトリウム)の還元状態を示す特性図。
【符号の説明】
1…固体電解質、2…陰極、2a…陰極室、3…陽極、3a…陽極室、4…電気分解装置、5…紫外線ランプ、6…半導体光触媒化処理層、7…紫外線照射槽、8…原液(TOC含有液)、9…酸化性物質(O3 )、10…原液+酸化性物質(O3 )、11…TOC(有機成分)、12…無機物質(CO2 )、13…処理液(酸化性物質含有液)、14…還元性物質(H2 )、15…金属イオン、16…金属、17…純水、18…陽イオン交換膜、19…断熱材、20…放射線源、21…線源収納容器、22…放射線遮蔽材、23…二酸化チタン触媒化処理層、24…回路、25…電源、26…金属触媒。

Claims (10)

  1. 固体電解質を境界とし陰極と陽極を配置した電気分解装置と、紫外線ランプを内蔵し内面に半導体光触媒化処理層を有する紫外線照射槽とを備え、前記電気分解装置の陽極室で有機成分を含む水溶液から酸化性物質を生成した後、前記紫外線照射槽で紫外線照射と前記酸化性物質および前記半導体触媒により前記有機成分を無機物質に変えた後、さらに前記電気分解装置の陰極室で前記紫外線照射水溶液中に残存する酸化性物質を還元しながら、溶存している金属イオンを金属として除去することを特徴とする水溶液中の有機成分分解装置。
  2. 前記陽極室の陽極を過電圧2.1 V以上の電極材料で構成してなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  3. 前記固体電解質はイオン交換膜からなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  4. 前記半導体光触媒化処理層は二酸化チタン(TiO2 )または半導体光触媒化処理層に白金、銅、マンガン等の金属触媒を担持させてなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  5. 前記陰極室の陰極は多孔質金属からなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  6. 前記紫外線照射槽は断熱構造からなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  7. 前記紫外線ランプの代りに放射線線源を置き換えてなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  8. 前記陽極および陰極をメッシュ形状に形成し、前記固体電解質をイオン交換膜で形成し、かつ前記陰極、イオン交換膜および陽極を密着させてなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  9. 前記二酸化チタン触媒化処理層を施した紫外線照射槽を陽極とし、前記電気分解装置の陰極との間に電圧を印加する回路を設けてなることを特徴とする請求項1記載の水溶液中の有機成分分解装置。
  10. 固体電解質を境界とし陰極と陽極を配置した電気分解装置と、紫外線ランプを内蔵し、内面に半導体光触媒化処理を施してなる紫外線照射槽を使用し、前記電気分解装置の陽極室で有機成分を含む水溶液から酸化性物質を生成した後、前記紫外線照射槽で紫外線照射と前記酸化性物質および前記半導体触媒により前記有機成分を無機物質に変えた後、さらに前記電気分解装置の陰極室で前記紫外線照射水溶液中に残存する酸化性物質を還元しながら、溶存している金属イオンを金属として除去することを特徴とする水溶液中の有機成分分解方法。
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