JP3643781B2 - 飛翔体の防御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特殊車両や船舶などに装備される飛翔体の防御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特殊車両を目標として飛翔する棒状の飛翔体が、この特殊車両に衝突したときに、この飛翔体を屈曲あるい溶融することで、飛翔体による特殊車両の貫通を防止する装置がある。
【0003】
この飛翔体の防御装置としては、2枚の電極板の間にセラミックス板を多数介装すると共に、この電極板の間にコンデンサを接続し、飛翔体がこの電極板及びセラミックス板を貫通したときにコンデンサから大電流を流すことで、この飛翔体を屈曲あるいは溶融するようにしたものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した飛翔体の防御装置において、飛翔体は高速で飛翔するものであるから、この飛翔体が電極板及びセラミックス板に貫入したら、貫通してしまう前に直ちにこの飛翔板に大電流を流して屈曲あるいは溶融させる必要がある。ところが、従来の飛翔体の防御装置では、飛翔体が前面の電極板から各セラミックス板に貫入し、先端が後面の電極板に接触したときに初めて大電流が流れるものである。飛翔体の推進力はセラミックス板で抑止されるものの十分ではなく、飛翔体が前面の電極板に貫入してから直ちに大電流を流して屈曲あるいは溶融させることが望まれている。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するものであって、飛翔体が接触してから早期に電流を流して飛翔体を屈曲あるいは溶融させることで防御性能の向上を図った飛翔体の防御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明の飛翔体の防御装置は、
ケーシングに、少なくとも3枚以上所定間隔で積層された電極板と、該各電極板の間に配設された絶縁性補強部材とを備えると共に、前記各電極板の間に接続されたコンデンサとを備え、
飛翔体が少なくとも2枚の前記電極板を貫通したときに、該飛翔体にローレンツ力が作用して屈曲可能な電流値以上の電流を、前記コンデンサから前記飛翔体に流すことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明の飛翔体の防御装置では、前記絶縁性補強部材は、セラミックス板であることを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明の飛翔体の防御装置では、前記絶縁性補強部材は、多数のセラミックス球体が絶縁性樹脂にて板状に固結された補強板であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1に本発明の第1実施形態に係る飛翔体の防御装置の断面を示す。
【0012】
本実施形態の飛翔体の防御装置において、図1に示すように、所定の大きさのケーシング11には複数枚(本実施形態では5枚)の電極板12a〜12eが配設されると共に、この各電極板12a〜12eの間に絶縁性補強部材として2枚積層されたセラミックス板13a〜13dがそれぞれ介装されている。
【0013】
一方、車両の外板14は硬質のセラミックスにより形成されており、この外板11の所定の位置に形成された凹部15にこの電極板12a〜12e及びセラミックス板13a〜13dが収納されたケーシング11が固定されている。そして、この各電極板12a〜12eの間にはコンデンサ16がそれぞれ接続されている。
【0014】
このコンデンサ16は車両に搭載されており、飛翔体Mが少なくとも2枚の電極板12a〜12bを貫通したときに、この飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲可能な大きさ以上の電流(例えば、50KJ)が流れるように構成されている。
【0015】
上述した本実施形態の飛翔体の防御装置は、特殊車両などの所定の位置に複数並設して装備されている。従って、特殊車両を目標として棒状の飛翔体Mが向かって飛翔し、この飛翔体Mが表面の電極板12aから貫入し、先端がセラミックス板13aを貫通して2枚目の電極板12bに接触すると、このときに電極板12aと電極板12bが飛翔体Mを介して通電する。すると、飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲し、あるいは溶融することで、飛翔体Mがそれ以上推進するのを抑止できる。
【0016】
また、飛翔体Mが表面の電極板12aと2枚目の電極板12bに接触して通電したときに、飛翔体Mの屈曲あるいは溶融が不十分であっても、飛翔体Mが3枚目以降の電極板13c,13d,13eに順に接触したときにも、前述と同様に、飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲し、あるいは溶融するため、飛翔体Mが車両本体に貫入するのを確実に抑止できる。
【0017】
このように本実施形態の飛翔体の防御装置では、ケーシング11内に複数の電極板12a〜12eを配設すると共に、その間にセラミックス板13a〜13dを介装し、これを車両の所定の位置に固定し、各電極板12a〜12eの間にコンデンサ16を接続している。
【0018】
従って、飛翔体Mが表面の電極板12aと2枚目の電極板12bに貫通したときにコンデンサ16により飛翔体Mに通電することとなり、この飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲あるいは溶融し、飛翔体Mが3枚目以降の電極板13c,13d,13eに順に接触したときにも飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲あるいは溶融することとなり、飛翔体Mが車両本体に貫入するのを確実に抑止できる。その結果、車両に対する防御性能の向上することができる。
【0019】
図3に本発明の第2実施形態に係る飛翔体の防御装置の断面を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0020】
本実施形態の飛翔体の防御装置において、図2に示すように、所定の大きさのケーシング11には複数の電極板12a〜12eが配設されると共に、この各電極板12a〜12eの間に絶縁性補強部材として補強板21a〜21dがそれぞれ介装されている。そして、この各電極板12a〜12eの間にはコンデンサ16がそれぞれ接続されている。
【0021】
この補強板21a〜21dは、電極板12a〜12e間の空間部に多数のセラミックス球体22を装填した後に、絶縁性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)23を充填して形成したものであり、電極板12a〜12e間が絶縁性樹脂23により固結された多数のセラミックス球体22により補強されている。
【0022】
従って、特殊車両を目標として飛翔した飛翔体Mが表面の電極板12aから貫入し、先端が補強板21aを貫通して2枚目の電極板12bに接触すると、このときに電極板12aと電極板12bが飛翔体Mを介して通電し、飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲し、あるいは溶融することで、飛翔体Mがそれ以上推進するのを抑止できる。そして、飛翔体Mが3枚目以降の電極板13c,13d,13eに順に接触したときにも、前述と同様に、飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲し、あるいは溶融するため、飛翔体Mが車両本体に貫入するのを確実に抑止できる。
【0023】
このように本実施形態の飛翔体の防御装置では、ケーシング11内に複数の電極板12a〜12eを配設すると共に、その間に多数のセラミックス球体22を絶縁性樹脂23で固結した補強板21a〜21dを介装し、各電極板12a〜12eの間にコンデンサ16を接続している。
【0024】
従って、飛翔体Mが表面の電極板12aと各電極板12b〜12eに順に貫通したときにコンデンサ16により飛翔体Mに通電することとなり、この飛翔体Mに対してローレンツ力が作用して屈曲あるいは溶融することとなり、飛翔体Mが車両本体に貫入するのを確実に抑止できる。また、補強板21a〜21dを形成する多数のセラミックス球体22は、板状のセラミックスよりも硬質であるため、飛翔体Mの前進を確実に抑制することができ、装置の小型化にも寄与できる。その結果、車両に対する防御性能の向上することができる。
【0025】
なお、第1実施形態では、絶縁性補強部材としてセラミックス板13a〜13dを用い、第2実施形態では、絶縁性補強部材として多数のセラミックス球体22を絶縁性樹脂23で固結した補強板21a〜21dを用いたが、これらを混在して配設してもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明の飛翔体の防御装置によれば、ケーシングに、少なくとも3枚以上所定間隔で積層された電極板と、該各電極板の間に配設された絶縁性補強部材とを備えると共に、前記各電極板の間に接続されたコンデンサとを備え、飛翔体が少なくとも2枚の前記電極板を貫通したときに、該飛翔体にローレンツ力が作用して屈曲可能な電流値以上の電流を、前記コンデンサから前記飛翔体に流すので、飛翔体が表面の電極板と各電極板に順に貫通したときにコンデンサから飛翔体に早期に通電し、この飛翔体に対してローレンツ力が作用して屈曲あるいは溶融することとなり、飛翔体が車両本体に貫入するのを確実に抑止することができ、防御性能の向上を図ることができる。また、飛翔体が車両本体に貫入するのを確実に抑止することができる。
【0027】
請求項2の発明の飛翔体の防御装置によれば、絶縁性補強部材をセラミックス板としたので、簡単な構成で飛翔体の推進力を抑止することができる。
【0028】
請求項3の発明の飛翔体の防御装置によれば、絶縁性補強部材を多数のセラミックス球体が絶縁性樹脂にて板状に固結された補強板としたので、飛翔体の推進力を確実に抑制することができ、装置の小型化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る飛翔体の防御装置の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る飛翔体の防御装置の断面図である。
【符号の説明】
11 ケーシング
12a〜12e 電極板
13a〜13d セラミックス板
16 コンデンサ
21a〜21d 補強板
Claims (3)
- ケーシングに、少なくとも3枚以上所定間隔で積層された電極板と、該各電極板の間に配設された絶縁性補強部材とを備えると共に、前記各電極板の間に接続されたコンデンサとを備え、
飛翔体が少なくとも2枚の前記電極板を貫通したときに、該飛翔体にローレンツ力が作用して屈曲可能な電流値以上の電流を、前記コンデンサから前記飛翔体に流すことを特徴とする飛翔体の防御装置。 - 請求項1記載の飛翔体の防御装置において、前記絶縁性補強部材は、セラミックス板であることを特徴とする飛翔体の防御装置。
- 請求項1記載の飛翔体の防御装置において、前記絶縁性補強部材は、多数のセラミックス球体が絶縁性樹脂にて板状に固結された補強板であることを特徴とする飛翔体の防御装置。
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