JP3642956B2 - 画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法 - Google Patents

画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3642956B2
JP3642956B2 JP17520198A JP17520198A JP3642956B2 JP 3642956 B2 JP3642956 B2 JP 3642956B2 JP 17520198 A JP17520198 A JP 17520198A JP 17520198 A JP17520198 A JP 17520198A JP 3642956 B2 JP3642956 B2 JP 3642956B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
accompanying information
evaluation value
sum
image data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17520198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000013763A (ja
Inventor
信禎 宮原
陽一 矢ヶ崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP17520198A priority Critical patent/JP3642956B2/ja
Priority to KR1019990023504A priority patent/KR20000006352A/ko
Publication of JP2000013763A publication Critical patent/JP2000013763A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3642956B2 publication Critical patent/JP3642956B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N5/00Details of television systems
    • H04N5/76Television signal recording
    • H04N5/91Television signal processing therefor
    • H04N5/913Television signal processing therefor for scrambling ; for copy protection
    • GPHYSICS
    • G09EDUCATION; CRYPTOGRAPHY; DISPLAY; ADVERTISING; SEALS
    • G09CCIPHERING OR DECIPHERING APPARATUS FOR CRYPTOGRAPHIC OR OTHER PURPOSES INVOLVING THE NEED FOR SECRECY
    • G09C5/00Ciphering apparatus or methods not provided for in the preceding groups, e.g. involving the concealment or deformation of graphic data such as designs, written or printed messages
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N1/00Scanning, transmission or reproduction of documents or the like, e.g. facsimile transmission; Details thereof
    • H04N1/387Composing, repositioning or otherwise geometrically modifying originals
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N7/00Television systems
    • H04N7/08Systems for the simultaneous or sequential transmission of more than one television signal, e.g. additional information signals, the signals occupying wholly or partially the same frequency band, e.g. by time division
    • H04N7/081Systems for the simultaneous or sequential transmission of more than one television signal, e.g. additional information signals, the signals occupying wholly or partially the same frequency band, e.g. by time division the additional information signals being transmitted by means of a subcarrier

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Editing Of Facsimile Originals (AREA)
  • Image Processing (AREA)
  • Facsimile Image Signal Circuits (AREA)
  • Television Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の画像データ(静止画像或いは動画像シーケンス)に対して、それに付随する情報を画像データ中に付加し、再生時にその付随情報を検出する画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法に関し、特に、デジタル画像データに付加された付随情報を、再生時に検出する画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特定の画像データ(静止画像或いは動画像シーケンス)に対して、それに付随する情報を画像データ中に付加し、再生時にその付随情報を検出して利用する技術がある。この代表的な例として、著作権情報の付加が挙げられる。
【0003】
不特定の利用者が特定の画像データを利用することが可能である場合、その画像に対して著作権を持つ者がその権利を主張するためには、あらかじめ著作権情報を画像データ中に付加しておく必要がある。著作権情報を付加することにより、画像の再生装置或いは再生方法の処理手順の中で、その画像データを表示不可とすべき著作権情報が検出された場合には、その画像データの表示を行わない等の対策を講じることが可能となる。
【0004】
上述の著作権情報の付加或いは検出は、現在ビデオテープの不正コピー防止等でよく利用されている。近頃はビデオテープのレンタルを行う店も多いが、多くの利用者が店から低価格で借りたビデオテープを不正にコピーして楽しんだ場合、そのビデオテープの著作権を持つ者及びビデオテープのレンタルを行う店の損害は甚大である。
【0005】
ビデオテープには、画像データがアナログ的に記録されているため、コピーを行った場合に画質が劣化する場合がある。そのため、コピーが複数回繰り返された場合、元々保持されていた画質を維持することは非常に困難となる。
【0006】
これに対し、最近普及しつつあるデジタル的に画像データを記録し再生する機器等においては、不正コピーによる損害はさらに大きなものとなる。画像データをデジタル的に扱う機器等では、原理的にコピーによって画質が劣化することはない。そのため、デジタル的に処理を行う機器等における不正コピー防止は、アナログの場合と比べてはるかに重要である。
【0007】
画像データに付随する情報をその画像データ中に付加する方法は、主に2通りある。
【0008】
第1の方法は、画像データの補助部分に付加する方法である。例えばビデオテープでは、図20に示すように、その画像データの補助的情報が画面上部に記録されている。この領域の一部を利用して、付随情報を付加することが可能である。
【0009】
第2の方法は、画像データの主要部分に付加する方法である。これは、図21に示すように、ある特定のパターン、例えば、ウォータマーク(Water Mark)パターンを視覚的に感知できない程度に画像の全体或いは一部に付加するものである。この具体例として、乱数やM系列等を用いて発生させた鍵パターンを利用して情報の付加或いは検出を行うスペクトラム拡散等がある。
【0010】
以下では、従来より行われているウォータマークパターンを用いた場合の画像データの主要部分への付随情報の付加及び検出の一例について説明する。
【0011】
ウォータマークは、図22に示すように、各画素について、プラス、マイナスの2つのシンボルのいずれかを取るものと仮定する。なお、実際には、ウォータマークパターンは2つのシンボルのいずれかをランダムに取るものであり、その領域の形状、大きさについても任意である場合が多い。
【0012】
付随情報を付加する際には、図23に示すように、付加を行う対象となる画像上でウォータマークパターンの領域と等しい大きさの領域を設定し、そして、設定した領域とウォータマークパターンを重ねて照らし合わせ、プラスのシンボルの画素については値aを足し、マイナスのシンボルの画素については値bを引く。ここで、値a,b共に、任意の値であり、そのウォータマークパターンを通じて一定である。例えば、本例では、図23中(B)に示すように、値a=1,b=1に設定しており、すなわち、図23中(A)に示すように付加を行う対象となる領域の画素値が全て100であるとした場合には、この埋め込み操作により画素値は、図23中(c)に示すように、101、99のいずれかになる。
【0013】
付随情報を検出する際には、検出を行う対象となる画像上でウォータマークパターンの領域と等しい大きさの領域を設定する。そして、この領域の画素全てを合計した値を評価値として用いる。具体的には、画素全てを合計の算出は、図24中(A)及び(B)に示すように、設定された領域とウォータマークパターンを重ねて照らし合わせ、プラスのシンボルの画素については足し算、マイナスのシンボルの画素については引き算する。このとき、付随情報を付加する際に用いたウォータマークパターンと同じパターンを用いることが条件であることはいうまでもない。
【0014】
このような検出操作により、付随情報が付加されている場合には、図24中(A)に示すように、その評価値は(4n)^2(領域に含まれる画素数の数と同じ)になり、また、付随情報が付加されていない場合には、図24中(B)に示すように、その評価値は0になる。
【0015】
ウォータマークパターンの領域が充分に広く、かつウォータマークパターンが充分にランダムである場合、付随情報が付加されていない場合の評価値は常にほぼ0となる。そのため、評価値がある一定の閾値を超えた場合には、付随情報が付加されていると判別することができる。上記の手順により、付随情報が付加されているか否かという2値の情報(1ビット)を付加することが可能となる。ここで、より多くの情報を付加したい場合には、画像全体をk個の領域に分けてそれぞれ上記の操作を行う等の処理方法により、2^k通り(k ビット)の情報を付加することができる。
【0016】
さらに、ウォータマークパターンは、M系列を用いて生成したものを利用することができる。M系列(最長符号系列)は、0,1の2値のシンボルからなる数列で、0,1の統計的分布は一定であり、符号相関は原点で1、その他では−1/符号長となるものである。なお、M系列を用いる以外の方法でウォータマークパターンを生成する方法もある。
【0017】
ところで、画像データをデジタル的に記録し再生する場合、そのままでは非常に情報量が多くなるため、データを圧縮するのが一般的である。画像データを圧縮する方法として、JPEG(静止画像符号化方式;Joint Photographic Coding Experts Groupe)、或いはMPEG(動画像符号化方式;Moving Picture Experts Groupe)等の高能率符号化方法が国際的に標準化され、実用化に至っている。
【0018】
高能率符号化によって画像データを圧縮する場合において、付随情報の付加及び検出は、図25に示すように構成されたエンコーダ301及び図26に示すように構成されたデコーダ305により実現される。
【0019】
エンコーダ301は、図25に示すように、ウォータマーク付加器302において入力されて画像データに対して付随情報fを付加する。そして、エンコーダ301は、付随情報fを付加した画像データを符号化器303に入力し、高能率符号化を行って符号化ビット列を生成する。
【0020】
また、デコーダ305については、図26に示すように、復号器306により入力されたビット列を画像データとして復元する。そして、エンコーダ305は、ウォータマーク検出器231において付随情報fを検出する。
【0021】
なお、画像データを高能率符号化しない場合には、エンコーダ301から符号化器303を除き、また、デコーダ305から復号器306を除く構成とされる場合もあり、これにより、画像データ上に付随情報を付加し、又は画像データに付加されている付随情報を検出する。
【0022】
ここで、ウォータマーク付加器302は、図27に示すように構成されており、このような構成にされたウォータマーク付加器302は、付随情報fがonである場合には、ウォータマークパターン保持メモリ311に記録されているウォータマークパターンを用いて、付随情報付加器312で入力された画像データに対して付随情報を付加し、また、付随情報fがoffである場合には、入力された画像データを付随情報付加器312からそのまま出力する。
【0023】
また、ウォータマーク検出器307は、図28に示すように構成されており、このような構成にされたウォータマーク検出器307は、ウォータマークパターン保持メモリ315に記録されているウォータマークパターンを用いて、入力された画像データに基づいて評価値算出器316により評価値を算出している。ここで算出された評価値は、評価値比較器317で閾値処理され、付随情報fとして出力されている。また、入力された画像データ自体については、そのまま出力される。なお、画像変換器318(図中点線で示す。)は、入力された画像データを加工又は処理する部分である。このことについては、後で述べる。
【0024】
ウォータマーク付加器302で行われる一連の処理を図29に示し、また、ウォータマーク検出器307で行われる一連の処理を図30に示す。
【0025】
ウォータマーク付加処理については、ウォータマーク付加器302は、図29に示すように、ステップS301において、ウォータマークの付加レベルa,bを設定する。
【0026】
続いて、ウォータマーク付加器302は、ステップS302において、付随情報の付加を行う対象となる画像上でウォータマークパターンの領域と等しい大きさの領域を設定し、その領域内の各画素についてウォータマークパターンとの照合を行い、ステップS303において、ウォータマークのシンボルの判別を行う。
【0027】
ここで、ウォータマーク付加器302は、その画素のウォータマークのシンボルがプラスである場合には、ステップS304に進み、その画素に値aを足し、また、その画素のウォータマークのシンボルがマイナスである場合には、ステップS305に進み、その画素から値bを引く。
【0028】
そして、ウォータマーク付加器302は、ステップS306において、対象領域の全画素について処理を行ったか否かの判別処理を行い、ここで、全画素について処理を行っていないことを確認した場合には、上記ステップS302に戻り再び上記照合等の処理を行い、対象領域の全画素について処理を繰り返す。
【0029】
ウォータマーク検出処理については、ウォータマーク検出器307は、図30に示すように、ステップS311において、評価値sumの初期化及び閾値thの設定を行う。
【0030】
続いて、ウォータマーク検出器307は、ステップS312において、ウォータマークパターンの領域と等しい大きさの領域を設定し、その領域内の各画素についてウォータマークパターンとの照合を行い、ステップS313において、ウォータマークのシンボルの判別を行う。
【0031】
ここで、ウォータマーク検出器307は、その画素のウォータマークのシンボルがプラスである場合には、ステップS314に進み、評価値sumにその画素値xを足し、また、その画素のウォータマークのシンボルがマイナスである場合には、ステップS315に進み、評価値sumからその画素値xを引く。
【0032】
そして、ウォータマーク検出器307は、ステップS316において、対象領域の全画素について処理を行ったか否かの判別処理を行い、ここで、全画素について処理を行っていないことを確認した場合には、上記ステップS312に戻り再び上記照合等の処理を行い、対象領域の全画素について処理を繰り返す。
【0033】
全画素について上述した処理を行った後、ウォータマーク検出器307は、ステップS317において、評価値sum>閾値thとして閾値thに対して評価値sumを比較する。ここでウォータマーク検出器307は、評価値sum>閾値thである場合には、ステップS318に進み、画像データに付随情報が付加されているとみなして付随情報fをon(付随情報fが存在している)にして、また、そうでない場合には、ステップS319に進み、付随情報fをoff(付随情報fが存在していない)にする。
【0034】
ここで検出された付随情報fは、例えば不正コピーを防止する場合には、次のように利用される。
【0035】
上記図26に示すように構成されるデコーダ305を例にすると、出力される画像データ及び付随情報fは、図示せぬ画像表示部に渡される。画像表示部では、付随情報fがonである場合にはそのまま画像を表示するが、付随情報fがoffである場合には、例えば画像を表示しない、画像データの主要領域を表示しない、画像にスクランブルを掛ける(受けとった画像データをでたらめに表示する)等の加工或いは処理を行う。例えば、画像変換器318は、付随情報fに応じてこのような画像データの加工又は処理を行う部分である。
【0036】
また、ウォータマークパターンには、M系列等の特殊な性質を有するパターンによって構成されている場合もある。この場合には、その性質を利用して付随情報を検出している。
【0037】
例えばM系列の符号相関は、原点で高く、その他ではほぼ0になる性質がある。付随情報を検出する際にこの性質を利用し、ウォータマークパターンをずらしながらそれぞれのずらし位置(位相)に対する評価値を求め、それらの評価値を比較する。この場合、ずらし量0以外の評価値は、付随情報を付加しなかったときの評価値とみなせるため、これらの値を比較することは相対的評価基準を利用することになり、付随情報を確実に検出することができる。以後、この検出方法を「ずらし検出」と呼ぶことにする。
【0038】
ずらし検出については、図31及び図32に示すような処理により、付随情報の検出を行っている。そして、図33に示すようにウォータマーク検出器321を構成することにより、ずらし検出による付随情報の検出が可能とされている。
【0039】
なお、ウォータマーク検出器を除くと、この構成はずらし検出を行わない場合と完全に同一、例えば上記図28で示したウォータマーク検出器307と完全に同一である。より具体的には、処理についてみると、図30で示した従来例の処理と比べると、ウォータマークパターンをずらしながらそれぞれのずらし位置(位相)に対する評価値を求め、それらの評価値を比較して付随情報を検出することのみが異っている。
【0040】
ずらし検出によりウォータマークパターンを検出するウォータマーク検出器321は、図33に示すように、入力された画像データが複数の評価値算出器3231,3232,3233に入力される。
【0041】
ウォータマーク検出器321は、ウォータマークパターン保持メモリ322に記録されているウォータマークパターンを、必要に応じてウォータマークパターンずらし器3251,3252でずらす。
【0042】
そして、ウォータマーク検出器321は、評価値算出器により、必要に応じてずらされたウォータマークパターンを用いて、それぞれ評価値を算出している。ウォータマーク検出器321は、ここで算出した評価値を、評価値比較器324により閾値処理して、付随情報fを出力する。なお、入力された画像データ自体も、そのまま出力する。画像変換器326(図中点線で示す)が置かれることもあるが、この理由は既に述べたとうりである。
【0043】
このような構成からなるウォータマーク検出器321は、図31に示すように一連の処理により付随情報fの検出を行っている。
【0044】
ウォータマーク検出器321は、ステップS331において、閾値thの設定を行う。
【0045】
そして、ウォータマーク検出器321は、ステップS322〜ステップS337において、ずらし量0,i,jのウォータマークパターンを用いたときの、現フレームの画像に対するそれぞれの評価値sum_i,sum_n,sum_jを求めている。このために、ウォータマーク検出器321は、ステップS333,335,337の各ステップにおいての評価値を算出するための処理(図32に示す処理であって、以下、これを「評価値算出処理」と称す。)を行っている。
【0046】
上記評価値算出処理は、図32に示すように、ステップS351において、評価値sumの初期化を行い、それからステップS352において、ウォータマークパターンをずらし量zだけずらす。そして、続くステップS353以降の処理では、上記図30を用いて説明したステップS313〜ステップS316と同様な処理を行う。
【0047】
すなわち、ウォータマーク検出器321は、ステップS352において、ウォータマークパターンの領域と等しい大きさの領域を設定し、その領域内の各画素について上記ずらし量z分ずらしたウォータマークパターンとの照合を行い、ステップS353において、ウォータマークのシンボルの判別を行う。ここで、ウォータマーク検出器321は、その画素のウォータマークのシンボルがプラスである場合には、ステップS354に進み、評価値sumにその画素値xを足し、また、その画素のウォータマークのシンボルがマイナスである場合には、ステップS355に進み、評価値sumからその画素値xを引く。そして、ウォータマーク検出器321は、ステップS356において、対象領域の全画素について処理を行ったか否かの判別処理を行い、ここで、全画素について処理を行っていないことを確認した場合には、上記ステップS352に戻り再び上記照合等の処理を行い、対象領域の全画素について処理を繰り返す。このようにウォータマーク検出器321は、この評価値算出処理により算出している。
【0048】
このような評価値算出処理により、ウォータマーク検出器321は、ステップS332及びステップS333において、ずらし量0における評価値sum_nを求め、続いて、ステップS334及びステップS335において、ずらし量z=iのウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_iを求める。そして、上記ずらし量z=iにおける評価値sum_iを求めたウォータマーク検出器321は、最後に、ステップS336及びステップS337において、ずらし量z=jのウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_jを求める。
【0049】
なお、ここで、ウォータマークパターンをずらす際には、図34に示すような処理によって行う。すなわち、ウォータマークパターンが、図34中(A)に示すように構成されている場合において、図34中(B)に示すように画像を走査するときに、例えば図34中(C)に示すように、画像の走査順に従ってずらして処理を行っている。また、このときにずらす単位は、1画素単位に限らず、任意の領域の単位でずらしても良い。ずらし量はi>0,j<0,|i|=|j|のように、ずらし量0を中心に前後に同じ量だけずらす方が良いが、任意のずらし量でも構わない。
【0050】
なお、ウォータマークパターンをずらして評価値を求めるのは、次のような理由による。
【0051】
例えば、M系列を用いてウォータマークパターンを生成した場合、0又は周期分以外の位置(位相)でそのパターンを任意にずらしたウォータマークパターンとの相関は非常に低くなる。言い換えれば、付加したときのウォータマークパターンに対して少しでもずらしたウォータマークパターンを用いて検出を行うと、評価値のバイアス成分はほぼ0となり、付随情報を付加しなかった場合の評価値とほぼ同じ値となる。例えば図24においては、評価値のバイアス成分 (4n)^2はほぼ0になる。そのため、ウォータマークパターンをずらして求めた評価値は、ウォータマークパターンが付加されていない場合の標準的な評価値とほぼ等しいとみなすことができる。それらの評価値とずらし量0の場合の評価値とを比較することにより、相対的評価基準を利用できるため、付随情報の検出を容易に行うことができる。この方法により、付随情報が埋め込まれていない場合の評価値がほぼ0となるような、充分に広い領域の ウォータマークパターン(M系列なら、高次の系列)を用いなくても、狭い領域の ウォータマークパターン(M系列なら、低次の系列)を用いるだけで、付随情報の検出を確実に行うことができるようになっている。
【0052】
ウォータマーク検出器321は、このようなことから3つの評価値sum_n,sum_i,sum_jを相対的に評価することにより、上記図31に示す付随情報の検出を行っている。
【0053】
すなわち、ウォータマーク検出器321は、図31に示すステップS339において、評価値sum_i及び評価値sum_jの平均の値sum_ave=(sum_i+sum_j)/2を求める。そして、続くステップS339において、ウォータマーク検出器321は、この値sum_aveを標準的な評価値として実際の評価値(ずらし量0の評価値)sum_nとの差分の絶対値|sum_n−sum_ave|を求める。ここで、ウォータマーク検出器321は、その差が閾値thよりも大きい場合には、ステップS340に進み、ずらし位相rでは付随情報が付加されているとみなして付随情報fをonにして、そうでない場合には、ステップS341に進み、付随情報fをoffにする。
【0054】
例えば、上述の3つの評価値により相対的に評価する例を、図35のように示すことができる。この図35に示すように、ウォータマークを付加した場合、ずらし量−1,0,1での評価値は評価値A,sum_embed,Bになり、また、ウォータマークを付加しない場合には、同様に評価値は評価値A,sum_non,Bになる。
【0055】
ここで、標準的な評価値sum_ave=(A+B)/2(図中●印)とずらし量0におけるウォータマークの付加/非付加の評価値とを比べると、ウォータマーク付加時は評価値sum_embed(図中○印)との比較になるのでその差が大きくなり、ウォータマーク非付加時はsum_non(図中×印)との比較になるのでその差が小さくなる。よって、上記標準的な評価値sum_aveとの差を閾値処理することにより、付随情報の抽出が可能となるのがわかる。
【0056】
なお、現フレームの画像に対する標準的な評価値は、次のような処理方法により求めることができる。
【0057】
例えばメディアンフィルタのようなフィルタを掛け、3つの評価値sum_n,sum_i,sum_jに対し、現フレームの画像に対する標準的な評価値sum_medを求めている。ここで、メディアンフィルタとは、入力した数値列を大きい順或いは小さい順に並べ直した後で、真中の位置の値を返すフィルタである。すなわち、例えば71,8,−345,68,−2という5つの数値が入力された場合、メディアンフィルタは、−345,−2,8,68,71のように並べ換えを行い、この結果として8を返す。このようにして求めた標準的な評価値sum_medと実際の評価値sum_nとの差分の絶対値を求め、その差が閾値thよりも大きい場合には、付随情報が付加されているとみなして付随情報fをonにする。そうでない場合には、付随情報fをoffにする。
【0058】
また、この他にも、任意の単一の位相の評価値をそのまま利用しても良いし、複数の評価値のうち全部或いは一部に対する平均値、最大値、最小値などを求めて利用するというように、どのような処理方法を用いて標準的な評価値を求めても構わない。これには、例えば−2及び−1ずらした場合の評価値の推移から、ずらし量0の場合の評価値を予測或いは外挿するというような、より複雑な処理方法も含まれている。
【0059】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、画像データに付随する情報をその画像データ中に付加する上述の方法では、検出時に次のような問題が発生する。
【0060】
画像データに付随した情報を検出する際は、付加した場合のある特定のパターン、(上述した説明ではウォータマークパターン)に従って、各画素値を処理し評価値を算出する。ところが、一般に画素値は正の値であり、検出時は平均的に0ではない正の値を処理して評価値を算出することになる。そのため、各画素値が評価値に与える影響は大きく、ウォータマークパターンの系列の長さが短い場合には、誤検出の可能性が高くなる。
【0061】
すなわち、例えば、上述したMPEG等の高能率符号化では、輝度信号Y、色差信号Cb,Crはどれも0〜255の範囲で量子化されている。評価値を算出する際には、平均的に128の各画素値を処理することになり、評価値は平均的に128の変動を繰り返す。例えば、系列の長さが100で、プラスのシンボルの個数がマイナスよりも2個だけ多い場合には、評価値は128×2で約+256分だけずれてくる。これにより、上述したような例のように一つのシンボルで±1の付加を行っていた場合では、全体では+100の付加しかできないが、上述したように約+256分だけずれてしまうような従来の方式では、検出精度は低くなってしまう。
【0062】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであって、画像データに付加されているウォータマークを検出するための評価値の検出精度の高い画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法を提供することを目的としている。
【0063】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る画像データ処理装置は、付随情報が埋め込まれている画像データを処理する画像データ処理装置において、上記付随情報は、2値データからなるウォータマークパターンであり、上記ウォータマークパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出手段と、上記付随情報出力手段より出力された上記ウォータマークパターンの値に応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算手段と、上記評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出手段とを備えることにより、上述の課題を解決する。
【0064】
このような構成を有する画像データ処理装置は、付随情報出力手段より出力された付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値とに基づいて、評価値演算手段により評価値を得る。そして、画像データ処理装置は、付随情報検出手段により、この評価値に基づいて付随情報を検出する。
【0065】
そして、画像データ処理装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0066】
また、本発明に係る画像データ処理方法は、付随情報が埋め込まれている画像データを処理する画像データ処理方法において、上記付随情報は、2値データからなるウォータマークパターンであり、上記ウォータマークパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出工程と、上記付随情報出力工程において出力された上記ウォータマークパターンの値に応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算工程と、上記評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出工程とを有することにより、上述の課題を解決する。
【0067】
この画像データ処理方法は、付随情報出力工程において出力された付随情報のパターンと、差分値算出工程において算出した差分値とに基づいて、評価値演算手段において評価値を得る。そして、画像データ処理装置は、付随情報検出手段により、この評価値に基づいて付随情報を検出する。
【0068】
そして、画像データ処理方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0069】
また、本発明に係る記録装置は、付随情報が埋め込まれている画像データを記録媒体に記録する記録装置において、上記付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出手段と、上記付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンに応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算手段と、上記評価値演算手段により得た複数の評価値を演算し、演算された評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出手段と、上記付随情報検出手段の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御手段とを備えることにより、上述の課題を解決する。
【0070】
このような構成を有する記録装置は、付随情報出力手段より出力された付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値とに基づいて、評価値演算手段により評価値を得る。そして、記録装置は、付随情報検出手段により、この評価値に基づいて付随情報を検出する。さらに、記録装置は、記録制御手段により、付随情報検出手段の検出結果に応じて入力された画像データを記録媒体に記録する。
【0071】
そして、記録装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0072】
また、本発明に係る記録方法は、付随情報が埋め込まれている画像データを記録媒体に記録する記録方法において、上記付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出工程と、上記付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンに応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算工程と、上記評価値演算工程により得た複数の評価値を演算し、演算された評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出工程と、上記付随情報検出工程の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御工程とを有することにより、上述の課題を解決する。
【0073】
この記録方法は、付随情報出力工程において出力された付随情報のパターンと、差分値算出手段において算出した差分値とに基づいて、評価値演算手段により評価値を得る。そして、記録方法は、付随情報検出工程により、この評価値に基づいて付随情報を検出する。さらに、記録方法は、記録制御工程により、付随情報検出手段の検出結果に応じて入力された画像データを記録媒体に記録する。
【0074】
そして、記録方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0075】
また、本発明に係る画像データ処理装置は、上述した課題を解決するために、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出手段と、付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算手段と、評価値演算手段により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出手段とを備える。
【0076】
このような構成を有する画像データ処理装置は、付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値に基づいて、評価値演算手段により評価値を得る。そして、画像データ処理装置は、付随情報検出手段により、複数の評価値に基づいて付随情報を検出する。
【0077】
そして、画像データ処理装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0078】
また、本発明に係る画像データ処理方法は、上述した課題を解決するために、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出工程と、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算工程と、評価値演算工程により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出工程とを有する。
【0079】
この画像データ処理方法は、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出工程において算出した差分値に基づいて、評価値演算工程により評価値を得る。そして、画像データ処理方法は、付随情報検出工程により、複数の評価値に基づいて付随情報を検出する。
【0080】
そして、画像データ処理方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0081】
また、本発明に係る記録装置は、上述した課題を解決するために、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出手段と、付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算手段と、評価値演算手段により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出手段と、付随情報検出手段の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御手段と備える。
【0082】
このような構成を有する記録装置は、付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値に基づいて、評価値演算手段により評価値を得る。そして、記録装置は、付随情報検出手段により、複数の評価値に基づいて付随情報を検出する。さらに、記録装置は、記録制御手段により、付随情報検出手段の検出結果に応じて入力された画像データを記録媒体に記録する。
【0083】
そして、記録装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0084】
また、本発明に係る記録方法は、上述した課題を解決するために、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出工程と、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算工程と、評価値演算工程により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出工程と、付随情報検出工程の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御工程と有する。
【0085】
この記録方法は、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出工程において算出した差分値に基づいて、評価値演算工程により評価値を得る。そして、記録方法は、付随情報検出工程により、複数の評価値に基づいて付随情報を検出する。さらに、記録方法は、記録制御工程により、付随情報検出工程の検出結果に応じて入力された画像データを記録媒体に記録する。
【0086】
そして、記録方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っている。
【0087】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。この実施の形態は、本発明に係る画像データ処理処理装置及び方法を、ウォータマークが付随情報として埋め込まれている画像データを検出するウォータマーク検出器に適用したものである。
【0088】
先ず第1の実施の形態であるウォータマーク検出器の構成について図1を用いて説明する。第1の実施の形態であるウォータマーク検出器2は、図1に示すように、ウォータマークのパターンを出力する付随情報出力手段であるウォータマークパターン保持メモリ3と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出手段である差分算出器4と、上記ウォータマークパターン保持メモリ3から取り出したウォータマークのパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算手段である評価値算出器5と、評価値にも基づいてウォータマークの検出を行う付随情報検出手段である評価値比較器6とを備えている。また、ウォータマーク検出器2は、ウォータマークの照合の結果に基づいて入力された画像に処理を施す画像変換器7を備えている。
【0089】
上述のような構成を有するウォータマーク検出器2は、画像データに付加されているウォータマークを検出することができる。
【0090】
このウォータマーク検出器2は、例えば、入力された画像データを復号処理するデコーダに備えられている。デコーダはこのウォータマーク検出器2を備えることにより、ウォータマークを検出して、その検出結果に応じて画像処理を行うことができる。
【0091】
デコーダについては、具体的には、従来のウォータマーク検出器の説明において用いた図26に示したようにエンコーダ305と同様に構成されるものであって、すなわち、この場合、ウォータマーク検出器307に替えて本実施の形態であるウォータマーク検出器2が適用されることになる。なお、画像データに対するウォータマークの付加処理については、図25に示すようなエンコーダ301により行われる。
【0092】
上記差分算出器4は、入力された画像データのそれぞれの画素に対する差分値を算出する。ここで算出された差分値は、評価値算出器5に入力される。
【0093】
上記ウォータマークパターン保持メモリ3は、予めウォータマークが格納される記憶手段であって、上記評価値算出器5は、このウォータマーパターン保持メモり3に記録されているウォータマークパターンを用いて、評価値を算出する。ここで算出された評価値は、評価値比較器6に入力される。
【0094】
評価値比較器6は、評価値を閾値処理して、付随情報fを出力する。
【0095】
なお、入力された画像データは、通常、そのまま出力されるが、画像変換器7は、必要に応じて入力された画像データを加工又は処理する機能を有している。例えば、画像を表示する画像表示部において、付随情報fがonである場合にはそのまま画像を表示するが、付随情報fがoffである場合には、例えば画像を表示しない、画像データの主要領域を表示しない、画像にスクランブルを掛ける(受けとった画像データをでたらめに表示する)等の加工或いは処理を行う。この画像変換器7は、このように付随情報fに応じて画像データの加工又は処理を行う部分である。
【0096】
このような構成を有するウォータマーク検出器2は、付随情報の検出処理を、図2に示すように、一連の処理により実行している。
【0097】
ウォータマーク検出器2は、ステップS1において、評価値sumの初期化及び閾値thの設定を行う。
【0098】
続いて、ウォータマーク検出器2は、ステップS2において、ウォータマークパターンの領域と等しい大きさの領域を設定し、その領域内の各画素についてウォータマークパターンとの照合を行い、ステップS3において、その照合を行った画素Xに対する差分値xdを求める。
【0099】
そして、ウォータマーク検出器2は、ステップS4において、ウォータマークのシンボルの判別を行う。ここで、ウォータマーク検出器2は、その画素のウォータマークのシンボルがプラスである場合には、ステップS5に進み、評価値sumにその差分値xdを足し、また、その画素のウォータマークのシンボルがマイナスである場合には、ステップS6に進み、評価値sumからその差分値xdを引く。
【0100】
それからウォータマーク検出器2は、ステップS7において、対象領域の全画素について処理を行ったか否かの判別処理を行い、ここで、全画素について処理を行っていないことを確認した場合には、上記ステップS2に戻り再び上記照合等の処理を行い、対象領域の全画素について処理を繰り返す。
【0101】
全画素について上述した処理を行った後、ウォータマーク検出器2は、ステップS8において、評価値sum>閾値thとして閾値thに対して評価値sumを比較する。ここでウォータマーク検出器2は、評価値sum>閾値thである場合には、ステップS9に進み、画像データに付随情報が付加されているとみなして付随情報fをon(付随情報fが存在している)にして、また、そうでない場合には、ステップS10に進み、付随情報fをoff(付随情報fが存在していない)にする。ここで検出された付随情報fに基づいて、従来と同様に、例えば不正コピーの防止処理がなされる。
【0102】
以上のように本発明が適用された上記ウォータマーク検出器2は、評価値に基づいて付随情報の検出処理を行っているが、従来例の処理と比べると、評価値sumを算出する際、対象の画素Xそのもの画素値xを用いるのではなく、画素Xの差分値xdを算出して用いる点で異なっている。
【0103】
ウォータマーク検出器2は、上述のような構成により、差分値を用いて評価値を算出しているので、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができる。これにより、ウォータマーク検出器2は、付随情報の検出精度を高くすることができるので、確実は付随情報の検出が可能になる。
【0104】
すなわち、具体的には、上述したように、従来においては、0〜255の範囲で量子化されている各画素値について、近隣の画素値との差分をとると、値の範囲自体は−255〜255に広がってしまう。しかし、一般的に画像では近隣の画素値の相関が高いため、差分値は平均的に0になる。よって、例えば、系列の長さが100で、プラスのシンボルの個数がマイナスよりも2個だけ多い場合でも、評価値のずれは約±0になる。一つのシンボルで±1の付加を行なっていた場合、全体で+100の付加量があれば、従来よりも高い検出精度を得ることができることになる。
【0105】
なお、画素Xに対する差分値xdの計算方法については、次のような例が挙げられる。
【0106】
差分値xdを求める第1の計算方法には、画素Xと同じ垂直座標に位置する画素との差分(以下、横差分と称する。)によりを求める方法がある。
【0107】
すなわち、例えば、画素Xの左隣に位置する画素XLと差分をとることにして、差分値xd=XL−Xを得る。なお、差分値xd=X−XLとすることにしても良い。
【0108】
また、差分を求める対象は、左隣に限定される必要はなく、n個だけ左に位置する画素XLnとの差分を用いても良い。この場合、差分値xd=XLn−Xとなる。または、差分値xd =X−XLnとなる。もちろん、画素Xの右側に位置する画素と差分をとることにしても良い。
【0109】
次に、第2の計算方法には、画素Xと同じ水平座標に位置する画素との差(以下、縦差分と称する。)を求める方法がある。例えば、画素Xの上隣に位置する画素XUと差分をとることにして、差分値xd=XU−Xを得る。なお、差分値xd=X−XUdとすることにしても良い。
【0110】
また、差分を求める対象は、上隣に限定される必要はなく、n個だけ上に位置する画素XUnとの差分を用いても良い。すなわち、この場合、差分値xd=XUn−Xとなる。または、差分値xd=X−XUnとなる。もちろん、画素Xの下側に位置する画素と差分をとることにしても良い。
【0111】
第3の計算方法としては、差分を求める対象を、垂直座標か水平座標が同じでないものとして求める方法がある。
【0112】
例えば、画素Xの座標位置から、上に3画素、右に12画素離れた画素との差分をとるようにしても良い。
【0113】
なお、上述したような計算方法以外にも、画像の上下左右の端の方に画素が位置された場合に差分対象となる画素が画像の外側位置に存在する場合を考慮して計算方法もある(第4の計算方法)。この場合、差分値xdを任意の値に設定する。例えば、この場合は差分値が計算できないと判定し、差分値xd=0としても良い。または、上述したような計算方法の何らかを用いて、差分対象となる画素を構成しても良い。さらに、このように対象とされる画素が画像の外側に位置される場合に、画像を周期化する方法を用いて差分値を求めることもできる。例えば、左隣の画素を用いて差分値を求める場合について考えると、画素Xの座標(y,x)が(5,0)のとき、差分対象となる左隣の画素XLは座標(5,−1)となり、画素XLは画像の外側に位置することになる。そこで、画像の水平方向の画素数NHを画素XLの水平成分に加える周期化を行い、座標(5,NH−1)に位置する画素を用いる。もちろん、これ以外の方法によって、差分対象となる画素を構成しても構わない。
【0114】
また、第5の計算方法として、次のような計算方法を用いて、画素Xに対する差分値xdを求めてることもできる。
【0115】
まず、上述した横差分と縦差分の両方を用いて、差分値を求める方法が挙げられる。例えば、画素X(y,x)に対する差分値xdを求める際には、画素XL(y,x−1),XU(y−1,x),XUL(y−1,x−1)の3画素を用いて、差分値 xdを以下のように求める。
【0116】
xd=(XUL−XU)−(XL−X)
複数の画素を用いて差分値を求める方法の例は、これに限定されることなく次のような算出方法を採ることもできる。
【0117】
例えば横差分なら、画素X0に対する差分値xdを求める際に、右隣に連続する4つの画素X0(y,x),X1(y,x+1),X2(y,x+2),X3(y,x+3)を用いることにしても良い。この場合、次のような式により各差分値xd1,xd2,xd3を求める。
【0118】
xd1=X0−X1+X2−X3
xd2=X0−X1−X2+X3
xd3=X0+X1−X2−X3
そして、最終的に得たい差分値xdを、これらの差分値xd1,xd2,xd3から算出する。例えば、xd1,xd2,xd3の平均、中間値、0にもっとも近い値などを得たい差分値xdに決定する。または、これらの値それぞれに対して個別に評価値を求めるような構成をとり、評価値を比較する際にそれらを利用することにしても良い。
【0119】
また、画素Xに対する差分値xdを求める際に、画素X自体を用いなくても良い。この場合には、例えば、X(y,x)に対する差分値xdを求める際に、画素XL(y,x−1),XR(y,x+1)を用い、以下の通り差分値 xd を求める。
【0120】
xd=XL(y,x−1)−XR(y,x+1)
差分値xdを求める際に画素X自体を用いない他の例としては、さらに、例えば画素Xと同じウォータマークシンボルの画素Xsameと、画素Xと異なるウォータマークシンボルの画素Xdiffから、以下の通り差分値xdを求める方法もある。
【0121】
xd = Xsame−Xdiff
ここで、画素Xsame, Xdiffを選ぶ基準は、例えば画素位置が画素Xと一番近いもの、又は、画素Xと値が一番近いものなどにする。
【0122】
上述したように多岐にわたる算出方法により差分値を算出しているが、これは、画像では近隣の画素値の相関が高いため、画素Xの差分値は平均的に0になることを利用している。
【0123】
ところで、画素位置がエッジの境界などにある場合、その差分値の絶対値は大きな値となってしまうことが多く、上述のような算出方法においてさらにこのよな現象を考慮しないと、評価値はその差分値によって大きな影響を受けてしまう。
【0124】
このことを避けるために、差分値の絶対値がある範囲を超える場合には、その差分値を評価値に反映させないような方法を採る。または、その値をクリッピングしても良い。
【0125】
具体的には、差分値の絶対値が所定の値rangeとの関係において、|xd|>rangeとなる場合には、差分値xdをxd=0に設定する。または、次のように設定する。
【0126】
xd=range (xd≧0)
xd=−range (xd<0)
なお、上述したクリッピングは、差分値がある値に達してときに、所定の値の範囲内に納まるように変換するものであるが、この変換を関数変換により行ってもよい。
【0127】
なお、ウォータマークのシンボルについては、プラス、マイナス以外のどのようなシンボルを用いることもできる。さらに、ウォータマークのシンボルの種類についても、2種類ではなく、3種類以上のどのようなシンボルを用いることもできる。例えば、プラス、ゼロ、マイナスの3種類のシンボルを用意しておき、ウォータマークパターンとの照合を行った際にシンボルがゼロである画素については、評価値sumに影響を与えない(その画素値を評価値sumに足しも引きもしない)ようにするなど、各シンボルにどのような意味を与える。
【0128】
また、ウォータマークパターンを画像上に付加する領域は、任意の形状及び範囲で構わない。
【0129】
さらに、付加したウォータマークパターンとの整合が取れている限り、検出時に評価値を求める領域の形状及び範囲は任意で構わない。さらにウォータマークパターンは、時間的或いは空間的に渡るより広い領域を用いて、検出を行うことにしても良い。例えば動画像シーケンスにおいては、時間的な基準を用い、現フレームの時間的位置だけでなく、過去や未来のフレームも利用して良い。例えば非常に大きな画像サイズを持つ静止画像においては、1枚の画像をある単位で複数の画像領域に分割して扱うことにし、空間的な基準を用い、現在対象としている画像領域に対して、例えば走査順で前や後に位置する画像領域も利用して良い。
【0130】
次に、本発明の実施の形態として、ずらし検出により、画像データにウォータマークとして埋め込まれている付随情報を検出するウォータマーク検出器について説明する。すなわち、ここで説明する第2の実施の形態であるウォータマーク検出器は、ずらし検出に応じて差分値を用いて評価値を求ている。
【0131】
ここで、差分値を用いてずらし検出を行った場合、評価値がどのようになるかを考えてみる。
【0132】
始めに、ウォータマークパターンとして用いる系列Mに関する性質については次に示のようになる。
【0133】
例えば、MとしてM系列を用いた場合、プラスとマイナスのシンボルが疑似乱数的に現れるため、系列Mと画像Pとの内積はほぼ0になる。また、その系列と同位相の系列との内積を取ると相関が高くなり、同位相ではない系列との内積を取ると相関は低くなる性質も有する。なお、M系列に限らず、このような特殊な性質を有するパターンであれば、ウォータマーパターンとして用いる系列Mはここで説明するものに限定されない。
【0134】
以上をまとめると、式のようになる。
【0135】
M(y,x)=+a (シンボルがプラスの場合)
M(y,x)=−b (シンボルがマイナスの場合)
Σ{M(y,x)×P(y,x)}≒0
Σ{M(y1,x1)×M(y2,x2)}≒α (y1=y2 and x1=x2)
Σ{M(y1,x1)×M(y2,x2)}≒0 (y1≠y2 or x1≠x2)
次に、一つ前との差分と一つ後との差分について考えてみる。
【0136】
まず、一つ前との差分を用いた場合については、例えば、注目する画素X(x,y)と、その左隣の画素XL(y,x−1)との差分値を差分値diff_Lとする。画素X,XLは、どちらもウォータマークパターンを付加する前の画像Pに対して、ウォータマークパターンMを付加したものである。例えば、差分値diff_Lを次のように算出する。
【0137】
Figure 0003642956
なお、ここで、
YL=P(y,x−1)−P(y,x)
である。
【0138】
そして、差分値diff_Lを用いて評価値sum_Lを算出する。ずらし量0の時の評価値sum_L(0)は、画像に渡って画素M(y,x)と差分値diff_Lの内積を求めることにより、次のように得られる。
【0139】
Figure 0003642956
ここで、上式の第1項は、画像との内積なので、ほぼ0となる。また、第2項は、同位相ではない系列との内積なので、ほぼ0となる。そして、第3項は、同位相の系列の内積なので、ほぼ−αとなる。これらから、次のような値が導き出せる。
【0140】
sum_L(0)≒−α
そして、これらと同様に、ずらし量−1の場合の評価値sum_L(−1) を同様に求める。なお以下では、ずらし量zが画像のx成分に対して影響を与える場合を例にして式を展開している。評価値sum_L(−1)は次のように得られる。
【0141】
Figure 0003642956
ここで、上式の第1項は、画像との内積なので、ほぼ0となる。また、第2項は、同位相の系列の内積なので、ほぼαとなる。そして、第3項は、同位相ではない系列との内積なので、ほぼ0となる。以上をまとめると、次のような値が導き出せる。
【0142】
sum_L(−1)≒α
さらに、ずらし量0,−1以外の場合についても上述したような手法により算出した評価値は、どれもほぼ0となる。すなわち、次のような値が導き出せる。
【0143】
sum_L(z)≒0 (z≠0 and z≠−1)
次に、一つ後との差分を用いた場合について、上述した一つ前との差分について行ったと同様な手法により評価値を求める。例えば、注目する画素X(x,y)と、その右隣の画素XR(y,x+1)との差分値を差分値diff_Rとしよう。画素X,XRは、どちらもウォータマークパターンを付加する前の画像Pに対して、ウォータマークパターンMを付加したものである。例えば、差分値diff_Rを次のように算出する。
【0144】
Figure 0003642956
なお、ここで、
YR=P(y,x)−P(y,x+1)
である。
【0145】
差分値diff_Rを用いて評価値sum_Rを算出する。ずらし量0の時の評価値sum_R(0)は、画像に渡ってM(y,x)とdiff_Rとの内積を求めることにより次のように得られる。
【0146】
Figure 0003642956
ここで、上式の第1項は、画像との内積なので、ほぼ0となる。また、第2項は、同位相の系列の内積なので、ほぼαとなる。そして、第3項は、同位相ではない系列との内積なので、ほぼ0となる。以上をまとめると、次のような値が導き出せる。
【0147】
sum_R(0)≒α
そして、ずらし量1の場合の評価値sum_R(1)については、次のようななる。なお以下では、ずらし量zが画像のx成分に対して影響を与える場合を例に、式を展開している。
【0148】
Figure 0003642956
ここで、上式の第1項は、画像との内積なので、ほぼ0となる。また、第2項は、同位相ではない系列との内積なので、ほぼ0となる。そして、第3項は、同位相の系列の内積なので、ほぼ−αとなる。以上をまとめると、次のような値が導き出せる。
【0149】
sum_R(1)≒−α
そして、同様にずらし量0,1以外の時の評価値を求めると、どれもほぼ0となる。
【0150】
sum_R(z)≒0 (z≠0 and z≠1)
上述した結果をまとめると次のようになる。すなわち、一つ前の差分を用いて求めた評価値sum_L(z)については、ずらし量zにより変化し、次のようにまとめることができる。
【0151】
sum_L(z)≒−α (z=0)
sum_L(z)≒α (z=−1)
sum_L(z)≒0 (z≠0 and z≠−1)
ここで、評価値sum_L(z)とずらし量zとの関係は、図3中(A)に示すようになる。
【0152】
また、一つ後の差分を用いて求めた評価値sum_R(z)については、ずらし量zにより変化し、次のようにまとめることができる。
【0153】
sum_L(z)≒α (z=0)
sum_L(z)≒−α (z=1)
sum_L(z)≒0 (z≠0 and z≠−1)
ここで、この評価値sum_R(z)とずらし量zとの関係は、図3中(B)に示すようになる。
【0154】
これら値により付加量の増幅(或いは強調)できる。次に、この付加量の増幅(強調)について説明する。
【0155】
例えば、次のような式により評価値sumを算出する。
【0156】
sum(z)=sum_R(z)−sum_L(z)
この式により、ずらし量z=0の場合には、評価値sum=2αとなり、また、ずらし量z=−1,1の場合には、いずれも評価値sum=−αとなり、そして、それ以外のずらし量の場合には、評価値sumがほぼ0となる。ここで、評価値sumとずらし量zとの関係は、図3中(C)に示すようになる。
【0157】
よって、上述したように、評価値sum=sum_R−sum_Lを算出し、ずらし量z=−1,1の場合の評価値を平均して標準的な評価値sum_aveを求め、ずらし量0の場合の実際の評価値とを比較した場合、付加量αは3倍に増幅(或いは強調)されることになる。すなわち、
sum_ave≒−α
sum_n ≒2α
から、
Figure 0003642956
となり、3倍の増幅量として付加量を得ることができる。
【0158】
以上のように、差分値を用いてずらし検出を行うと、付加量がこのように増幅されるため、従来よりも高い検出精度で確実に付随情報を検出することができる。
【0159】
なお上述の例では、評価値sum_L又は評価値sum_Rのどちらかの評価値を求めるだけでも、増幅(或いは強調)の効果は得られる。例えば、sum_Lについてみると、上記図3中(A)に示すように、ずらし量−1とずらし量0の場合の評価値の差は2αである。よって、この2つのずらし量の時の評価値を用いるだけで、2倍の増幅(或いは強調)効果を得られることになる。もちろん、そのような構成にしても良い。
【0160】
次に、上述した処理を実施可能にする第2の実施の形態のウォータマーク検出器の構成について説明する。
【0161】
ウォータマーク検出器は、図4に示すように、ウォータマークのパターンを記憶する記憶手段であるウォータマークパターン保持メモリ12と、ウォータマークパターン保持メモリ12に記憶されているウォータマークのパターンを、異なる位相に設定する位相設定手段であるウォータマークパターンずらし器131,132と、入力された画像データにおいて近傍の画素との画素値の差分値を算出する差分値算出手段である差分算出器141,142と、上記ウォータマークパターンずらし器131,132から出力された位相の異なる複数のウォータマークのパターンと上記差分値とに基づいて、評価値を演算する演算手段である評価値算出器151,152,153,161,162,163と、評価値算出器151,152,153,161,162,163により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出手段である評価値比較器17とを備えている。また、ウォータマーク検出器11は、ウォータマークの照合の結果に基づいて入力された画像に処理を施す画像変換器18を備えている。なお、このウォータマーク検出器11については、以後、第2の実施の形態における「構成例1」のウォータマーク検出器と称する。
【0162】
次にウォータマーク検出器11を構成する各部について説明する。
【0163】
上記差分算出器141,142は、 入力された画像データについてそれぞれの画素に対する差分値を算出する。ここで差分算出器141において算出された差分値は、評価値算出器151,152,153にそれぞれ入力され、差分算出器142において算出された差分値は、評価値算出器161,162,163に入力される。
なお、差分算出器141及び差分算出器142における差分値の算出は、互いに同様の方法により行ってもよいが、異なる方法でもよい。例えば、差分値の算出方法が異なる方法を採用した場合、差分算出器141では一つ前との差分、差分算出器142では一つ後との差分により差分値を算出する。
【0164】
上記ウォータマークパターン保持メモリ12は、予めウォータマークを記憶しておく記憶手段であって、上記ウォータマークパターンずらし器131,132は、このウォータマーク保持メモリ12に記録されているウォータマークパターンを、必要に応じてずらす。なお、ウォータマークずらし器131,132と、ウォータマーク保持メモリ12とにより付随情報出力手段が構成される。
【0165】
具体的には、ウォータマークパターンずらし器131がずらし量iによりウォータマークパターンをずらし、ここでずらし量iによりずらされたウォータマークパターンは、評価値算出器151,161に入力され、また、ウォータマークパターンずらし器132がずらし量jによりウォータマークパターンをずらし、ここでずらし量jによりずらされたウォータマークパターンは、評価値算出器153,163に入力される。
【0166】
上記評価値算出器151,152,153,161,162,163は、必要に応じてずらされたウォータマークパターンを用いて、それぞれ評価値を算出する。ここで算出された全ての評価値は、評価値比較器17に入力される。
【0167】
上記評価値比較器17は、入力された評価値により付加量を増幅(或いは強調)させる処理を行った後、閾値処理して、付随情報fを出力する。
【0168】
なお、付加量の増幅(或いは強調)処理を行う部分を外部に出し、評価値比較器17の前に設けても良い。また、入力された画像データ自体も、そのまま出力される。
【0169】
上記画像変換器18は、必要に応じて入力された画像データを加工又は処理する機能を有している。
【0170】
このような構成を有するウォータマーク検出器11は、付随情報の検出処理を、図5及び図6に示すようなに、一連の処理により実行している。
【0171】
ウォータマーク検出器11は、ステップS21において、閾値thの設定を行い、続くステップS22において、一つ前との差分を用いて評価値sum_Lを求める準備を行う。この準備の具体例として、例えば評価値算出部151,152,153(後述する「差分値用評価値算出処理」を行う部分)で評価値を算出する場合において、対象の画素Xの差分値xdを算出するときに、図6を用いて説明する後述する差分値xd(z)=X(z−1)−X(z)を用いるような設定を行うことなどが挙げられる。
【0172】
そして、ウォータマーク検出器11は、ステップS23〜ステップS28において、ずらし量i,0,jのウォータマークパターンを用いたときの、現フレームの画像に対するそれぞれの評価値sum_L(i),sum_L(0),sum_L(j)を求めている。このために、ウォータマーク検出器11は、ステップS24,26,28の各ステップにおいての評価値を算出するための処理(図6に示す処理であって、以下、これを「差分値用評価値算出処理」と称す。)を行っている。
【0173】
上記評価値算出処理は、図6に示すように、ステップS51において、評価値sumの初期化を行い、それからステップS52において、ウォータマークパターンをずらし量zだけずらす。そして、ウォータマーク検出器11は、続くステップS53以降の処理を、上記図2を用いて説明したステップS3〜ステップS7と同様な処理を行う。
【0174】
すなわち、ウォータマーク検出器11は、ステップS52において、ウォータマークパターンの領域と等しい大きさの領域を設定し、その領域内の各画素について上記ずらし量z分ずらしたウォータマークパターンとの照合を行い、ステップS53において、現在対象とされている画素Xの差分値xdを算出する。そして、ウォータマーク検出器11は、ステップS54において、ウォータマークのシンボルの判別を行う。ここで、ウォータマーク検出器11は、その画素のウォータマークのシンボルがプラスである場合には、ステップS55に進み、評価値sumにその差分値xdを足し、また、その画素のウォータマークのシンボルがマイナスである場合には、ステップS56に進み、評価値sumからその差分値xdを引く。そして、ウォータマーク検出器11は、ステップS57において、対象領域の全画素について処理を行ったか否かの判別処理を行い、ここで、全画素について処理を行っていないことを確認した場合には、上記ステップS52に戻り再び上記照合等の処理を行い、対象領域の全画素について処理を繰り返す。このようにウォータマーク検出器11は、この評価値算出処理により算出している。
【0175】
よって、これにより、ウォータマーク検出器11は、上記図5に示すステップS23及びステップS24において、上記差分値用評価値算出処理によりずらし量iにおける評価値sum_L(i)を求め、続いて、ステップS25及びステップS26において、ずらし量z=0のウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_L(0)を求める。そして、上記ずらし量z=0における評価値sum_L(0)を求めたウォータマーク検出器11は、最後に、ステップS27及びステップS28において、ずらし量z=jのウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_L(j)を求める。
【0176】
そして、ウォータマーク検出器11は、続くステップS29において、一つ後との差分を用いて評価値sum_Rを求める準備を行う。この準備の具体例として、例えば、差分値用評価値算出処理で評価値を算出する場合において、対象の画素Xの差分値xdを算出するときに、差分値xd(z)=X(z)−X(z+1)を用いるよう設定を行うことなどが挙げられる。
【0177】
そして、上述したように差分値用評価値処理により、ずらし量z=i,0,jについて評価値sum_R(z)を算出する。
【0178】
すなわち、ウォータマーク検出器11は、ステップS30及びステップS31において、上記図6に示した差分値用評価値算出処理によりずらし量iにおける評価値sum_R(i)を求め、続いて、ステップS32及びステップS33において、ずらし量z=0のウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_R(0)を求める。そして、最後に、ステップS34及びステップS35において、ずらし量z=jのウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_R(j)を求める。なお、ウォータマークパターンをずらす方法は、従来例において述べた方法と同様で構わない。
【0179】
ウォータマーク検出器11は、ステップS36において、上述のようにして求めた上記6つの評価値sum_L(i),sum_L(0),sum_L(j),sum_R(i),sum_R(0),sum_R(j)から、相対的評価を行うために用いるsum_i,sum_n,sum_jを算出する(評価値の変換を行う)。ここで行う算出方法は、概略的に説明すると、同じずらし量に対して求めたsum_L,sum_Rの評価値を用いて、sum=sum_R−sum_Lを求めていることになる。このような評価値の変換によって、付随情報を検出する際の付加量が増幅(或いは強調)されるため、この処理は付加量を増幅(或いは強調)させるための処理と考えることができる。
【0180】
その後、ウォータマーク検出器11は、ステップS37において、評価値sum_i,sum_jから標準的な評価値sum_ave=(sum_i+sum_j)/2を求め、続くステップS38において、この値sum_aveを標準的な評価値として実際の評価値(ずらし量0の評価値)sum_nとの差分の絶対値|sum_n−sum_ave|を求める。ここで、ウォータマーク検出器11は、その差が閾値thよりも大きい場合には、ステップS39に進み、ずらし位相rでは付随情報が付加されているとみなして付随情報fをonにして、そうでない場合には、ステップS40に進み、付随情報fをoffにする。
【0181】
上述した構成例1のウォータマーク検出器11は、差分算出器を2つ、評価値算出器を6つ備えている。しかし、同様の機能、効果を有したまま、これらの数を減らす(演算量を削減する)別形態をとることが可能であり、次にそのウォータマーク検出器について説明する。
【0182】
ここで、演算量を削減するための基本的な考え方についてまず説明する。
【0183】
先の構成例1のウォータマーク検出器11では、上記図3を用いて説明したように、評価値sum_L,sum_Rの双方の評価値を求めて付随情報を検出している。
【0184】
一方で、評価値sum_Lと評価値sum_Rとの関係においては、図7に示すように、ずらし量zに対する評価値sum_Rの変化は、ずらし量zに対する評価値sum_Lの変化を当該ずらし量zのプラス方向にシフトしたものと同等とみなすことができる。
【0185】
このようなことから、評価値sum_Rを求める処理を省略し、その代わり評価値sum_Lをずらし量のずらす方向にずらし量1だけシフトしたものを評価値sum_Rとして代用することにする。このようにすると、例えば4つのずらし量−2,−1,0,1の場合の評価値sum_Lを求めるだけで、上述した構成例1のウォータマーク検出器11と同様の増幅(或いは強調)効果が得られることになる。
【0186】
上述のように、求めた評価値の位相をシフトすることによって、評価値の代用を行うことを可能にする構成が、図8に示すようなウォータマーク検出器31である。このウォータマーク検出器31は、ウォータマークパターン保持メモリ32、ウォータマークパターンずらし器331,332,333、差分算出器34、評価値算出器351,352,353,354、評価値比較器37、画像変換器38から構成されている。なお、このウォータマーク検出器31については、以後、第2の実施の形態における「構成例2」のウォータマーク検出器と称する。
【0187】
以下、ウォータマーク検出器31の構成部について説明する。
【0188】
差分算出器34は、入力された画像データのそれぞれの画素に対する差分値を算出する。ここで算出された差分値は、各評価値算出器351,352,353,354に入力される。
【0189】
上記ウォータマークパターン保持メモリ32は、予めウォータマークを記憶しておく記憶手段であって、上記ウォータマークパターンずらし器331,332,333は、このウォータマークパターン保持メモリに記憶されているウォータマークパターンを、必要に応じてずらす。
【0190】
具体的には、ウォータマークパターンずらし器331がずらし量iによりウォータマークパターンをずらし、ここでずらし量iによりずらされたウォータマークは、評価値算出器352に入力され、また、ウォータマークパターンずらし器332がずらし量jによりウォータマークパターンをずらし、ここでずらし量jによりずらされたウォータマークは、評価値算出器354に入力され、さらに、ウォータマークパターンずらし器333がずらし量hによりウォータマークパターンをずらし、ここでずらし量hによりずらされたウォータマークは、評価値算出器351に入力される。
【0191】
上記評価値算出器351,352,353,354は、必要に応じてずらされたウォータマークパターンを用いて、それぞれ評価値を算出する。ここで算出された全ての評価値は、評価値比較器37に入力される。
【0192】
上記評価値比較器37は、入力された評価値により付加量を増幅(或いは強調)させる処理を行った後、閾値処理して、付随情報fを出力する。
【0193】
なお、付加量の増幅(或いは強調)処理を行う部分を外部に出し、評価値比較器37の前に設けても良い。また、入力された画像データ自体も、そのまま出力される。
【0194】
上記画像変換器38は、必要に応じて入力された画像データを加工又は処理する機能を有している。
【0195】
以上のような構成部を有する構成例2であるウォータマーク検出器31により、上記構成例1のウォータマーク検出器11より、差分算出器及び評価値算出器を減らしてもなお、同様の機能、効果を保持することができる。
【0196】
なお、本例では、従来例と同様のずらし量(例えば、i,o,jの3つ)だけを用いても良い。しかし、差分値を用いることによる付加量の増幅(或いは強調)効果を高めるために、ウォータマーク検出器31の評価値算出器351及び ウォータマークパターンずらし器333(複数あっても構わない)を設け、それ以外のずらし量(例えば、h )に対して評価値を算出しても良い。
【0197】
このような構成を有するウォータマーク検出器31は、付随情報の検出処理を、図9に示すようなに、一連の処理により実行している。
【0198】
ウォータマーク検出器31は、ステップS71において、閾値thの設定を行い、続くステップS72において、一つ前との差分を用いて評価値sum_Lを求める準備を行う。この準備の具体例として、例えば差分値用評価値算出処理で評価値を算出する場合において、対象の画素Xの差分値xdを算出するときに、差分値xd(z)=X(z−1)−X(z)を用いるような設定を行うことなどが挙げられる。
【0199】
そして、ウォータマーク検出器31は、ステップS73〜ステップS80において、ずらし量i,0,jのウォータマークパターンを用いたときの、現フレームの画像に対するそれぞれの評価値sum_L(h),sum_L(i),sum_L(0),sum_L(j)を求めている。このために、ウォータマーク検出器31は、ステップS74,76,78,80の各ステップにおいての評価値を算出するための上述した差分値用評価値算出処理(図6に示す処理)を行っている。
【0200】
すなわち、ウォータマーク検出器31は、ステップS73及びステップS74により、上記差分値用評価値算出処理によりずらし量hにおける評価値sum_L(h)を求める。そして、ずらし量z=hにおける評価値sum_L(h)を求めたウォータマーク検出器31は、続くステップS75及びステップS76において、ずらし量z=iのウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_L(i)を求め、さらに、ステップS77及びステップS78において、ずらし量z=0のウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_L(0)を求め、そして、ステップS79及びステップS80において、ずらし量z=jのウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_L(j)を求める。
【0201】
なお、例えば、ずらし量z=hのウォータマークパターンを用いた評価値sum_L(h)は求めないこととしても良いが、その場合には、付加量の増幅(或いは強調)効果は少なくなる。また、ウォータマークパターンをずらす方法は、例えば、従来例において述べた方法と同様で構わない。
【0202】
ウォータマーク検出器31は、ステップS81において、上述のようにして求めた上記4つの評価値sum_L(h),sum_L(i),sum_L(0),sum_L(j)から、相対的評価を行うために用いるsum_i,sum_n,sum_jを算出する(評価値の変換を行う)。
【0203】
ここで行う算出方法について概略的に説明すると、評価値sum_Lをずらし量のプラス方向(図7中(A)において右方向)にシフトしたものを評価値sum_R(同図7中(B))とみなして算出する。すなわち、図8に示すように、評価値sum_L(z)(同図10中(A))についてずらし量zのプラス方向にシフトした評価値sum_L(z+1)(同図10中(B))を一つ後の差分を示す評価値である上記評価値sum_Rとみなして算出する。
【0204】
具体的には、評価値sum_L(z)についてずらし量1だけシフトした評価値sum_L(z+1)を評価値sum_R(z)とみなし、評価値sum(z)=sum_R(z)−sum_L(z)=sum_L(z+1)−sum_L(z)を求める(図10中(C))。
【0205】
この評価値の変換によって、付随情報を検出する際の付加量が増幅(或いは強調)されるため、この処理は付加量を増幅(或いは強調)させるための処理と考えることができる。
【0206】
その後、ウォータマーク検出器31は、ステップS82において、評価値sum_i,sum_jから標準的な評価値sum_ave=(sum_i+sum_j)/2を求め、続くステップS83において、この値sum_aveを標準的な評価値として実際の評価値(ずらし量0の評価値)sum_nとの差分の絶対値|sum_n−sum_ave|を求める。ここで、ウォータマーク検出器321は、その差が閾値thよりも大きい場合には、ステップS84に進み、ずらし位相rでは付随情報が付加されているとみなして付随情報fをonにして、そうでない場合には、ステップS85に進み、付随情報fをoffにする。
【0207】
なお、例えばずらし量z=hに対する評価値sum_L(h)を求めない場合には、評価値sum_L(h)として任意の値を代用しても良い。或いは、その評価値sum_L(h)が必要となる処理は省略することにし、判定の際にその影響を考慮した構成をとっても良い。いずれの場合も、付加量の増幅(或いは強調)効果は少なくなる。
【0208】
上述した構成例2のウォータマーク検出器31は、先の構成例1のウォータマーク検出器11と比べて、差分算出器を1つ、評価値算出器を2つ削減した構成とされている。次に、これよりも演算量を削減することを可能にするウォータマーク検出器について説明する。
【0209】
先ず、演算量を削減するための基本的な考え方の一例を示す。上述した構成例1及び構成例2のウォータマーク検出器では、各ずらし量に対して求めた評価値を用いて相対的評価を行う際に、評価値sum(z)=sum_R(z)−sum_L(z)により評価値の変換を行っている(ただし、z=i,n,jの3点のみで、n=0)。
【0210】
この式を展開し、ウォータマークパターンを付加する前の画像PとウォータマークパターンMとで表現すると、次のような式が導き出せる。なお以下では、ずらし量zが画像のx成分に対して影響を与える場合を例に、式を展開している。
【0211】
Figure 0003642956
ここで、
YL(z)=P(y,x+z−1)−P(y,x+z)
YR(z)=P(y,x+z)−P(y,x+z+1)
である。よって、
Figure 0003642956
さらに、注目する画素については、
X(z)=P(y,x+z)+M(y,x+z)
その一つ前の画素については、
XL(z−1)=P(y,x+z−1)+M(y,x+z−1)
その一つ後の画素については、
XR(z+1)=P(y,x+z+1)+M(y,x+z+1)
となる。よって、
Figure 0003642956
以上のような関係から上述した構成例1及び構成例2のウォータマーク検出器が相対的に評価を行う際に用いた変換後の評価値は、最初から差分値xdとして差分値xd=−X(z−1)+2X(z)−X(z+1)を用いて算出した場合の評価値と、最終的には一致することがわかる。
【0212】
一つ前との差分や一つ後との差分を用いる代わりに、最初から前後との差分値xd=−X(z−1)+2X(z)−X(z+1)を用いれば、z=i,n,jの3つ(ただし、n=0)のずらし量に対する評価値を求めるだけで、上記構成例1及び構成例2のウォータマーク検出器と同様の増幅(或いは強調)効果が得られることになる。
【0213】
このように、前後との差分値を最初から用いることによって、評価値を求める際の演算量の削減だけでなく、付加量を増幅(或いは強調)させるための評価値の変換処理も省略できる構成が、ここで説明するウォータマーク検出器である。
【0214】
なお、ここで説明するウォータマーク検出器については、以後、第2の実施の形態における「構成例3」のウォータマーク検出器と称する。
【0215】
この構成例3のウォータマーク検出器の構成については、上記図8に示す構成例2のウォータマーク検出器11と略同様に構成されている。
【0216】
すなわち、入力された画像データは、差分算出器34においてそれぞれの画素に対する差分値が算出され、複数の評価値算出器351,352,353,354に入力される。
【0217】
ウォータマークパターン保持メモリ32に記録されているウォータマークパターンは、必要に応じてウォータマークパターンずらし器331,332,333でずらされる。
【0218】
評価値算出器351,352,353,354では、必要に応じてずらされたウォータマークパターンを用いて、それぞれ評価値が算出される。
【0219】
算出された評価値は評価値比較器38に入力され、閾値処理され、付随情報fが出力される。なお、入力された画像データ自体も、そのまま出力される。
【0220】
なお、評価値算出器351及びウォータマークパターンずらし器333(同図8中点線で示す部分)は、基本的に必要ではないが、それらを設けて利用しても一向に構わない。
【0221】
そして、構成例3とされるウォータマーク検出器は、付随情報の検出処理を、図11に示すような一連の処理により実行している。
【0222】
構成例3のウォータマーク検出器は、ステップS91において、閾値thの設定を行い、続くステップS92において、一つ前との差分を用いて評価値sumを求める準備を行う。この準備の具体例として、例えば上述した差分値用評価値算出処理(図6に示す処理)で評価値を算出する場合において、対象の画素Xの差分値xdを算出するときに、差分値xd(z)=−X(z−1)+2X(z)−X(z+1)を用いるような設定を行うことなどが挙げられる。
【0223】
そして、ステップS93〜ステップS98において、ずらし量i,0,jのウォータマークパターンを用いたときの、現フレームの画像に対するそれぞれの評価値sum_i,sum_n,sum_jを求めている。ここで、ステップS94,96,98の各ステップにおいては、評価値を算出するための上述した差分値用評価値算出処理を行っている。
【0224】
すなわち、ウォータマーク検出器は、ステップS93及びステップS94により、上記評価値算出処理によりずらし量iにおける評価値sum_iを求め、続くステップS95及びステップS96において、ずらし量z=0のウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_nを求め、そして、ステップ97及びステップS98において、ずらし量z=jのウォータマークパターンを用いたときの評価値sum_jを求める。なお、ウォータマークパターンをずらす方法は、例えば、従来例において述べた方法と同様で構わない。
【0225】
ウォータマーク検出器は、ステップS99において、上述のようにして求めた上記3つの評価値sum_i,sum_n,sum_jから、相対的に評価し、付随情報を求める。
【0226】
その後、ウォータマーク検出器は、ステップS100において、評価値sum_i,sum_jから標準的な評価値sum_ave=(sum_i+sum_j)/2を求め、続くステップS101において、この値sum_aveを標準的な評価値として実際の評価値(ずらし量0の評価値)sum_nとの差分の絶対値|sum_n−sum_ave|を求める。ここで、ウォータマーク検出器は、その差が閾値thよりも大きい場合には、ステップS101に進み、ずらし位相rでは付随情報が付加されているとみなして付随情報fをonにして、そうでない場合には、ステップS102に進み、付随情報fをoffにする。
【0227】
以上のように、構成例1、構成例2、及び構成例3のように構成された第2の実施の形態のウォータマーク検出器は、ずらし検出して付随情報を検出している。
【0228】
この第2の実施の形態であるウォータマーク検出器は、付随情報を付加する際に利用したウォータマークパターンが、M系列等の特殊な性質を有するパターンである場合には、差分値を用いて評価値を求めることによって、付加量を増幅させることができる。すなわち、例えば、M系列では、その系列と同位相の系列の内積を取ると相関が高くなり、同位相ではない系列の内積を取ると相関は低くなる性質がある。差分をとることによって、同位相以外で相関が高くなる位相を設けることができ、それらの位相を利用して付加量を増幅(或いは強調)させることができる。
【0229】
ここで、上述した構成例1、構成例2、及び構成例3のように構成された第2の実施の形態におけるウォータマーク検出器については、次のような変形例が可能になっている。
【0230】
例えば、構成例1、構成例2、及び構成例3のように構成したウォータマーク検出器については、一つ前との差分値xd(z)=X(z−1)−X(z)、一つ後との差分値xd(z)=X(z)−X(z+1)、前後との差分値xd(z)=−X(z−1)+2X(z)−X(z+1)を用いる場合を例に、して説明した。
【0231】
しかし、このような差分値に限定される必要はなく、画素Xに対する差分値xdの計算方法はいろいろと考えられる。その方法は、例えば図1のように構成されるウォータマーク検出器2においていろいろと述べた方法と同様で構わない。もちろん、一つ前や一つ後との差分値ではなく、2つ前や9つ後との差分値を用いる構成にしても良い。
【0232】
また、ずらし量z(或いは、h,i,0,j )が画像のx成分に対して影響を与える場合を例に説明した。しかし、このようなずらし方に限定される必要はなく、ウォータマークパターンのずらし方はいろいろと考えられる。その方法は、例えば従来例において図34を用いて説明したように、画像の走査順に従ってずらす方法でも良いし、それ以外の方法でも構わない。またずらす単位は、1画素単位に限らず、任意の領域の単位でずらして良い。ずらし量はi>0,j<0,|i|=|j|のように、ずらし量0を中心に前後に同じ量だけずらす方が良いが、任意のずらし量で構わない。
【0233】
また、一般的に画像内では近隣の画素値の相関が高いため、画素Xの差分値は平均的に0になる。しかし、その画素位置がエッジの境界などにある場合、その差分値の絶対値は大きな値となってしまうことが多く、評価値はその差分値によって大きな影響を受けてしまう。このことを避けるために、差分値の絶対値がある範囲を超える場合には、その差分値を評価値に反映させなくても良い。または、その値をクリッピングしても良い。具体例には、差分の絶対値|xd|>rangeの場合には、差分値xdを次のように設定する。
【0234】
xd=0
または、次のように設定する。
【0235】
xd=range (xd≧0)
xd=-range (xd<0)
また、前後1つずつのずらし量だけでなく、それぞれ複数のずらし量を用い、それらについて求めた全て或いは一部の評価値に対して、フィルタ等を用いて標準的な評価値を構成しても構わない。それとは逆に、例えば前のずらし量だけを用いるというように、どちらか一方のずらし量だけを用いて、標準的な評価値を構成しても良い。
【0236】
また、小数精度のずらし量についても反復処理を行うことにし、そのような場合はウォータマークパターン或いは対象領域の画素を補間して評価値を求めることにしても良い。
【0237】
また、現フレームの画像に対する標準的な評価値を求める際には、どのような処理方法を用いても良い。例えばメディアンフィルタのようなフィルタを掛け、3つの評価値sum_n,sum_i,sum_jに対し、現フレームの画像に対する標準的な評価値sum_medを求めても良い。ここで、メディアンフィルタとは、入力した数値列を大きい順或いは小さい順に並べ直した後で、真中の位置の値を返すフィルタである。例えば、71,8,−345,68,−2という5つの数値が入力された場合、メディアンフィルタは−345,−2,8,68,71等のように並べ換えを行い、8を返す。このようにして求めた標準的な評価値sum_medと実際の評価値sum_nとの差分の絶対値を求め、その差が閾値thよりも大きい場合には、付随情報が付加されているとみなして付随情報fをonにする。そうでない場合には、付随情報fをoffにする。
【0238】
この他にも、任意の単一の位相の評価値をそのまま利用しても良いし、複数の評価値のうち全部或いは一部に対する平均値、最大値、最小値などを求めて利用するというように、どのような処理方法を用いて標準的な評価値を求めても構わない。これには、例えば−2及び−1ずらした時の評価値の推移から、ずらし量0の時の評価値を予測或いは外挿するというような、より複雑な処理方法も含まれる。
【0239】
また、標準的な評価値及び実際の評価値を用いて閾値との比較を行う際には、先に示した比較方法以外のどのような比較方法を用いても良い。例えば、評価値のバイアス成分B(図22乃至図24を用いて説明した例の(4n)^2)に相当)が一定であることを利用して、どの程度バイアス成分が保持されているとみなすか示すバイアス信頼係数c(0≦c≦1)と共に比較を行っても良い。これについて具体例を挙げて説明する。
【0240】
前にずらし量iずらした場合の評価値よりもずらし量0の場合の評価値がB×cだけ大きく、しかも後にずらし量jだけずらした場合の評価値よりもずらし量0の場合の評価値もB×cだけ大きいときに、付随情報が付加されているとみなす。或いは、ずらし量i,jのいずれかにずらした場合の評価値よりも、ずらし量0の時の評価値がB×cだけ大きい場合に、付随情報が付加されているとみなす。
【0241】
以上のように、評価値のバイアス成分Bが一定であることを利用して、どの程度バイアス成分が保持されているとみなすか示すバイアス信頼係数c(0≦c≦1)と共に比較を行い付随情報を検出することができる。
【0242】
また、ウォータマークのシンボルは、プラス、マイナス以外のどのようなシンボルを用いても良い。また、2種類ではなく、3種類以上のどのようなシンボルを用いても良い。例えば、プラス、ゼロ、マイナスの3種類のシンボルを用意しておき、ウォータマークパターンとの照合を行った際にシンボルがゼロである画素については、評価値sumに影響を与えない(その画素値を評価値sumに足しも引きもしない)ようにするなど、各シンボルにどのような意味を与えても良い。
【0243】
また、ウォータマークパターンを画像上に付加する領域は、任意の形状及び範囲で構わない。さらに、付加したウォータマークパターンとの整合が取れている限り、検出時に評価値を求める領域の形状及び範囲は任意で構わない。そして、ウォータマークパターンは、時間的或いは空間的に渡るより広い領域を用いて、付加或いは検出を行うことにしても良い。例えば動画像シーケンスにおいては、時間的な基準を用い、現フレームの時間的位置だけでなく、過去や未来のフレームも利用して良い。例えば非常に大きな画像サイズを持つ静止画像においては、1枚の画像をある単位で複数の画像領域に分割して扱うことにし、空間的な基準を用い、現在対象としている画像領域に対して、例えば走査順で前や後に位置する画像領域も利用して良い。
【0244】
以上が第2の実施の形態におけるウォータマーク検出器の説明である。次に第3の実施の形態のウォータマーク検出器について説明する。
【0245】
第3の実施の形態となるウォータマーク検出器は、評価値を相対的に評価して付随情報を検出する場合において、標準的な評価値と実際の評価値を用いて閾値との比較を行う際に、複数のずらし量の位相を参照しそれらを総合的に判断するように構成されている。このように、差分値の計算方法を工夫すると、複数の位相を対象にこの比較を行うことができ、検出の信頼性を上げることができる。
【0246】
ここで、第1の実施の実施の形態において説明した画素Xに対する差分値xdのいくつかの計算方法の中から、複数の画素を用いて差分値を求める方法を一例として説明する。
【0247】
例えば横差分なら、画素X0に対する差分値xdを求める際に、右隣に連続する4つの画素X0(y,x),X1(y,x+1),X2(y,x+2),X3(y,x+3)を用いることにしても良い。これから、次のように、差分値xd1,xd2,xd3を求める。
【0248】
xd1=X0−X1+X2−X3
xd2=X0−X1−X2+X3
xd3=X0+X1−X2−X3
ここで、X0,X1,X2,X3 は、どれもウォータマークパターンを付加する前の画像Pに対して、ウォータマークパターンMを付加したものである。すなわち、次のように示す値である。
【0249】
X0=P(y,x)+M(y,x)
X1=P(y,x+1)+M(y,x+1)
X2=P(y,x+2)+M(y,x+2)
X3=P(y,x+3)+M(y,x+3)
ここで、差分値xd1を用いて評価値sum_1を算出する。ずらし量0の時の評価値sum_1(0)は、画像に渡ってM(y,x)と差分値xd1との内積を求めることにより得られる。すなわち、次のような式で表すことができる。
sum_1(0)=Σ{M(y,x)×xd1}
=Σ{M(y,x)×Y1}
+Σ{M(y,x)×M(y,x )}
−Σ{M(y,x)×M(y,x+1)}
+Σ{M(y,x)×M(y,x+2)}
−Σ{M(y,x)×M(y,x+3)}
ただし、Y1=P(y,x)−P(y,x+1)+P(y,x+2)−P(y,x+3)である。
【0250】
ここで、上記式sum_1(0)の第2項の+Σ{M(y,x)×M(y,x)}は、同位相の系列の内積なのでほぼαとなるが、それ以外の項はほぼ0となる。よって、
sum_1(0)≒α
となる。同様に、ずらし量1,2,3の場合の評価値は、
sum_1(1)≒−α
sum_1(2)≒α
sum_1(3)≒−α
となる。また、同様にずらし量0,1,2,3以外の場合の評価値を求めると、どれもほぼ0となる。すなわち、
sum_1(z)≒0 (z≠0 and z≠1 and z≠2 and z≠3)
となる。
【0251】
このように導かれる差分値xd1の場合の評価値sum_1は、ずらし量zとの関係において、図12中(A)に示すようになる。
【0252】
次に、差分値xd2を用いて評価値sum_2を算出する。ずらし量0の場合の評価値sum_2(0)は、画像に渡ってM(y,x)と差分値xd2との内積を求めることにより、得られる。すなわち、次のような式で表すことができる。
【0253】
sum_2(0)=Σ{M(y,x)×xd2}
=Σ{M(y,x)×Y2}
+Σ{M(y,x)×M(y,x)}
−Σ{M(y,x)×M(y,x+1)}
−Σ{M(y,x)×M(y,x+2)}
+Σ{M(y,x)×M(y,x+3)}
ただし、Y2=P(y,x)−P(y,x+1)−P(y,x+2)+P(y,x+3)である。
【0254】
ここで、上記式sum_2(0)の第2項の+Σ{M(y,x)×M(y,x)}は、同位相の系列の内積なのでほぼαとなるが、それ以外の項はほぼ0となる。よって、
sum_2(0)≒α
となる。同様に、ずらし量1,2,3の場合の評価値は、
sum_2(1)≒−α
sum_2(2)≒−α
sum_2(3)≒α
となる。また、同様にずらし量0,1,2,3以外の場合の評価値を求めると、どれもほぼ0となる。すなわち、
sum_2(z)≒0 (z≠0 and z≠1 and z≠2 and z≠3)
となる。
【0255】
このように導かれる差分値xd2の場合の評価値sum_2は、ずらし量zとの関係において、図12中(B)に示すようになる。
【0256】
次に、差分値xd3を用いて評価値sum_3を算出する。ずらし量0の場合の評価値sum_3(0)は、画像に渡ってM(y,x)と差分値xd3との内積を求めることにより、得られる。すなわち、次のような式で表すことができる。
【0257】
sum_3(0)=Σ{M(y,x)×xd3}
=Σ{M(y,x)×Y3 }
+Σ{M(y,x)×M(y,x)}
+Σ{M(y,x)×M(y,x+1)}
−Σ{M(y,x)×M(y,x+2)}
−Σ{M(y,x)×M(y,x+3)}
ただし、Y3=P(y,x)+P(y,x+1)−P(y,x+2)−P(y,x+3)である。
【0258】
ここで、上記式sum_3(0)の第2項の+Σ{M(y,x)×M(y,x)}は、同位相の系列の内積なのでほぼαとなるが、それ以外の項はほぼ0となる。よって、
sum_3(0)≒α
となる。同様に、ずらし量1,2,3の場合の評価値は、
sum_3(1)≒α
sum_3(2)≒−α
sum_3(3)≒−α
となる。また、同様にずらし量0,1,2,3以外の場合の評価値を求めると、どれもほぼ0となる。すなわち、
sum_3(z)≒0 (z≠0 and z≠1 and z≠2 and z≠3)
となる。
【0259】
このように導かれる差分値xd3の場合の評価値sum_3は、ずらし量zとの関係において、図12中(C)に示すようになる。
【0260】
以上のように各差分値から評価値sum_1,sum_2,sum_3を求めたが、例えば次のような評価値sum_p0,sum_p1,sum_p2,sum_p3 への変換を行うと、第2の実施の形態において説明した付加量増幅効果を複数のずらし位相で得ることができる。すなわち、
sum_p0=sum_1+sum_2+sum_3
により、図13中(A)に示すように、ずらし位相0においてピーク値として得ることができる。また、
sum_p1=−sum_1−sum_2+sum_3
により、図13中(B)に示すように、ずらし位相1においてピーク値として得ることができる。さらに、
sum_p2=sum_1−sum_2−sum_3
により、図13中(C)に示すように、ずらし位相2においてピーク値として得ることができる。そして、
sum_p3=−sum_1+sum_2−sum_3
により、図13中(D)に示すように、ずらし位相3においてピーク値として得ることができる。
【0261】
よって、例えばsum_p0(0),sum_p1(1),sum_p2( 2),sum_p3(3)の全てでピーク値になった場合に、付随情報が付加されていると判定することができる。このようにすると、基本的にずらし量の一つの位相(ずらし量0)しか対象にできなかった付随情報の有無の判定が、複数の位相を対象にすることができるため、検出の信頼性を上げることができる。
【0262】
次に、この処理を可能にする第3の実施の形態とされるウォータマーク検出器の構成について、図14を用いて説明する。
【0263】
第3の実施の形態であるウォータマーク検出器は、ウォータマークパターン保持メモリ52、ウォータマークパターンずらし器53、差分算出器541,・・・,54n、評価値算出器551,・・・,55m、評価値比較器57、画像変換器58を備えている。なお本実施例では、評価値比較器の構成に特徴があるため、それ以外の部分は概念的に説明する。
【0264】
このような構成されたウォータマーク検出器51においては、入力された画像データは、n個の各差分算出器541,・・・,54nにおいてそれぞれの画素に対する差分値が算出される。そして、算出された差分値は、m個の複数の評価値算出器551,・・・,55mに入力される。なお、各差分算出器541,・・・,54nで差分値を算出する方法は、互いが同様の方法を採っても良いし、異なる方法を採っても構わない。
【0265】
また、ウォータマークパターン保持メモリ52に記録されているウォータマークパターンは、必要に応じてウォータマークパターンずらし器53でずらされる。
【0266】
各評価値算出器551,・・・,55mでは、必要に応じてずらされたウォータマークパターンを用いて、それぞれ評価値が算出される。ここで算出された評価値は評価値比較器57に入力され、付加量を増幅(或いは強調)させる処理が行われた後、閾値処理され、付随情報fが出力される。
【0267】
なお、付加量の増幅(或いは強調)処理を行う部分を外部に出し、評価値比較器57の前に設けても良い。また、入力された画像データ自体も、そのまま出力される。
【0268】
画像変換器58は必須ではないが、置かれることもあり、この画像変換器58により画像データが加工処理等される。
【0269】
上述した評価値比較器57は、第3の実施の形態であるウォータマーク検出器51において特徴的なところであり、詳しくは、図15に示すように構成されている。なお、特徴を明確にするために、図16には、従来の評価値比較器の構成例を示している。
例えば従来のウォータマーク検出器321においては、上述した図33に示すように、評価値比較器324に、各評価値算出器3231,3232,3233で算出された評価値が入力される。そして、これに対応して従来の評価値比較器324では、例えば、図16に示すように、3つの評価値が入力される場合を示している。
【0270】
なお、図16と図33とにおいて示すずらし量(と評価値)の対応関係は、表1のようになる。また、図が繁雑になるのを防ぐため、本来は「ずらし量z1の場合の評価値」と記すべきを「ずらし量z1」と省略している。
【0271】
【表1】
Figure 0003642956
【0272】
従来の評価値比較器324は、例えば、ずらし量z1,z2の評価値から足し算器401及び1/2乗算器402により導き出した平均値を標準的な評価値とみなし、この値とずらし量0の場合の評価値から引き算器403によって差分を算出している。そして、この差分の絶対値を絶対値変換器404においてとり、その値と閾値とを比較器405において比較する。そして、従来の評価値比較器324は、値が閾値よりも大きい場合には、付随情報が付加されていると評価して付随情報fをonにする。そうでない場合には、付随情報fをoffにしている。
【0273】
本実施の形態における評価値比較器57は、図15に示すように、足し算器711,712,713,714、1/2乗算器721,722,723,724、引き算器731,732,733,734、絶対値変換器741,742,743,744、比較器751,752,753,754、及び総合判定器76から構成されている。
【0274】
この評価値比較器57の構成については、図16に示した従来の評価値比較器324と比べるとわかるように、付随情報の評価を行う部分が複数段設け、それらの評価結果を総合的に判定する総合判定器76を設けていることが特徴である。この評価値比較器57の構成は、この第3の実施の形態の説明において先に説明した差分値(差分値xd1,xd2,xd3)を用いた場合の一例であり、すなわち、付随情報の評価を行う部分を2段以上取ることが可能であれば、どのような差分値又は構成を用いても良い。
【0275】
評価値比較器57には、上記図14に示した各評価値算出器551,・・・,55mで算出された評価値が入力される。なお、これらの評価値を算出する際には、差分値を用いる。例えばこの第3の実施の形態において先に説明した差分値(差分値xd1,xd2,xd3)を用いた場合、評価値とずらし量と関係は、図13に示すようになる。なお、図13と図15とにおいて示すずらし量の対応関係は、表2のようになる。
【0276】
【表2】
Figure 0003642956
【0277】
評価値比較器57が行う処理について、評価値z1,z2,z3の場合の処理について説明する。評価値比較器57は、入力された評価値z1,z2から足し算器711及び1/2乗算器721により導き出した平均値を標準的な評価値とみなし、この値とずらし量0の場合の評価値から引き算器731によって差分を算出する。そして、この差分の絶対値を絶対値変換器741においてとり、その値と閾値とを比較器751において比較する。そして、評価値比較器57は、値が閾値よりも大きい場合には、付随情報が付加されていると評価して付随情報fをonにする。そうでない場合には、付随情報fをoffにしている。
【0278】
これと同様に、評価値z4〜評価値z12について、対応する各部分において演算して、付随情報の有無を検出する。
【0279】
そして、最後に、評価値比較器57は、各段で検出された付随情報を総合判定器76において総合的に判定する。ここでの判定基準は、どのようなものであっても良いが、例えば、全ての段の付随情報fがonである場合に限って、最終的な付随情報fをonと判定し、そうでない場合には、最終的な付随情報fをoffと判定する。或いは、判定基準は、どれかの段の付随情報fがonである場合には、最終的な付随情報fをonと判定し、そうでない場合(全ての段の付随情報fがoffの場合)には、最終的な付随情報fをoffと判定する。なお、もちろん、これ以外の方法であっても構わない。
【0280】
なお、本実施の形態では、右隣に連続する4つの画素を用いた差分値の場合を説明したが、付随情報の評価を行う部分を2段以上取ることが可能であれば、この差分値以外であっても構わない。また、差分値を算出するために用いる画素は、連続している必要はなく、例えば2つ前や9つ後との差分値を用いる構成にしても良い。
【0281】
また、ウォータマークパターンのずらし方はいろいろと考えられる。その方法は、例えば上記図34に示したように、画像の走査順に従ってずらす方法でも良いし、それ以外の方法でも構わない。またずらす単位は、1画素単位に限らず、任意の領域の単位でずらして良い。ずらし量はi>0,j<0,|i|=|j|のように、ずらし量0を中心に前後に同じ量だけずらす方が良いが、任意のずらし量で構わない。
【0282】
また、一般的には、画像内において近隣の画素値の相関が高いため、画素Xの差分値は平均的に0になる。しかし、その画素位置がエッジの境界などにある場合、その差分値の絶対値は大きな値となってしまうことが多く、評価値はその差分値によって大きな影響を受けてしまう。このことを避けるために、差分値の絶対値がある範囲を超える場合には、その差分値を評価値に反映させなくても良い。或いは、その値をクリッピングしても良い。
【0283】
具体的には、差分値の絶対値が所定の値rangeとの関係において、|xd|>rangeとなる場合には、評価値xdを評価値xd=0に設定する。または、次のように設定する。
【0284】
xd=range (xd≧0)
xd=−range (xd<0)
なお、前後1つずつのずらし量だけでなく、それぞれ複数のずらし量を用い、それらについて求めた全て或いは一部の評価値に対して、フィルタ等を用いて標準的な評価値を構成しても構わない。それとは逆に、例えば前のずらし量だけを用いるというように、どちらか一方のずらし量だけを用いて、標準的な評価値を構成しても良い。
【0285】
また、小数精度のずらし量についても反復処理を行うことにし、そのような場合はウォータマークパターン或いは対象領域の画素を補間して評価値を求めることにしても良い。
【0286】
また、現フレームの画像に対する標準的な評価値を求める際には、どのような処理方法を用いても良い。例えばメディアンフィルタのようなフィルタを掛け、例えば3つのずらし量z1,z2,z3の場合の評価値に対し、現フレームの画像に対する標準的な評価値sum_medを求めても良い。このようにして求めた標準的な評価値sum_medと実際の評価値(例えば、ずらし量z3の場合の評価値)との差分の絶対値を求め、その差が閾値thよりも大きい場合には、付随情報が付加されているとみなして付随情報fをonにする。そうでない場合には、付随情報fをoffにする。
【0287】
この他にも、任意の単一の位相の評価値をそのまま利用しても良いし、複数の評価値のうち全部或いは一部に対する平均値、最大値、最小値などを求めて利用するというように、どのような処理方法を用いて標準的な評価値を求めても構わない。これには、例えば−2及び−1ずらした時の評価値の推移から、ずらし量0の時の評価値を予測或いは外挿するというような、より複雑な処理方法も含まれる。
【0288】
また、標準的な評価値及び実際の評価値を用いて閾値との比較を行う際には、先に示した比較方法以外のどのような比較方法を用いても良い。例えば、評価値のバイアス成分B(図22乃至図24を用いて説明した例の(4n)^2)に相当)が一定であることを利用して、どの程度バイアス成分が保持されているとみなすか示すバイアス信頼係数c(0≦c≦1)と共に比較を行っても良い。これについて具体例を挙げて説明する。
【0289】
前にずらし量iずらした場合の評価値よりもずらし量0の場合の評価値がB×cだけ大きく、しかも後にずらし量jだけずらした場合の評価値よりもずらし量0の場合の評価値もB×cだけ大きいときに、付随情報が付加されているとみなす。或いは、ずらし量i,jのいずれかにずらした場合の評価値よりも、ずらし量0の時の評価値がB×cだけ大きい場合に、付随情報が付加されているとみなす。
【0290】
以上のように、評価値のバイアス成分Bが一定であることを利用して、どの程度バイアス成分が保持されているとみなすか示すバイアス信頼係数c(0≦c≦1)と共に比較を行い付随情報を検出することができる。
【0291】
また、ウォータマークのシンボルは、プラス、マイナス以外のどのようなシンボルを用いても良い。また、2種類ではなく、3種類以上のどのようなシンボルを用いても良い。例えば、プラス、ゼロ、マイナスの3種類のシンボルを用意しておき、ウォータマークパターンとの照合を行った際にシンボルがゼロである画素については、評価値sumに影響を与えない(その画素値を評価値sumに足しも引きもしない)ようにするなど、各シンボルにどのような意味を与えても良い。
【0292】
さらに、ウォータマークパターンを画像上に付加する領域は、任意の形状及び範囲で構わない。また、付加したウォータマークパターンとの整合が取れている限り、検出時に評価値を求める領域の形状及び範囲は任意で構わない。そして、ウォータマークパターンは、時間的或いは空間的に渡るより広い領域を用いて、付加或いは検出を行うことにしても良い。例えば動画像シーケンスにおいては、時間的な基準を用い、現フレームの時間的位置だけでなく、過去や未来のフレームも利用して良い。例えば非常に大きな画像サイズを持つ静止画像においては、1枚の画像をある単位で複数の画像領域に分割して扱うことにし、空間的な基準を用い、現在対象としている画像領域に対して、例えば走査順で前や後に位置する画像領域も利用して良い。
【0293】
なお、第1の実施の形態などで、差分値に対してウォータマークパターンとの照合を行なう際には、ウォータマークパターン自体を差分値にしても良い。
【0294】
例えば、上記図2に示したような処理によりウォータマークを検出する場合に、ウォータマークパターンのシンボルが切り替わる(パターンが反転する)画素だけを対象に、評価値sumの計算を行なっても良い。さらに、例えば、上述した図30のような処理によりウォータマークを付加する時に、何らかの処理を行なっておくことにしても良い。
【0295】
また、第1の実施の形態などで、評価値sumと閾値thとを比較する際には、ウォータマークのパターンが反転した画素の割合を閾値thに反映させても良い。
【0296】
すなわち、例えば、パターンが反転する画素の割合が全体の50%であった場合、閾値thとしてth×50/100の値を用いても良い。あるいは、評価値sumの方を100/50倍してから閾値thと比較しても良い。
【0297】
また、本発明の第1の実施の形態の説明中において、差分値がある範囲を越える場合に、その差分値を評価値に反映させない処理としてクリッピング処理を説明した。さらに、クリッピングについての例を挙げ、図17乃至図19を用いて説明する。なお、クリッピングによる変換後の差分値については、差分値xd’と示す。
【0298】
クリッピングについての第1の例は、上記第1の実施の形態中において説明したものであって、図17に示すように、差分値xdの絶対値|xd|>a(a≧0)の場合に、変換後の差分値xd’を以下のように変換する。
【0299】
xd’=xd (|xd|≦a)
xd’=0 (|xd|>a)
また、クリッピングについての第2の例は、図18に示すように、以下のようなに変換する。
【0300】
xd’=xd (|xd|≦a)
xd’=a (|xd|>a,xd≧0)
xd’=−a (|xd|>a,xd≧0)
さらに、クリッピングについての第3の例は、図19に示すように、算出された差分値xdの平方根をとり、以下のように変換する。なお、ここで関数sqrt(B)は、値Bの平方根をとることを示す。
【0301】
xd’=sqrt(xd) (xd≧0)
xd’=−sqrt(−xd) (xd<0)
また、この他に、次のような例も挙げることができる。例えば、次に示すように、差分値xdの4乗根を取る。
【0302】
xd’=sqrt(sqrt(xd)) (xd≧0)
xd’=−sqrt(sqrt(−xd)) (xd<0)
また、次に示すように、折れ線的な関数により差分値xdを変換する。
【0303】
xd’=−8 (xd<−16)
xd’=(xd+8)/4−6 (−16≦xd<−8)
xd’=(xd+4)/2− 4 (−8≦xd≦−4)
xd’=xd (|xd|≦4)
xd’=(xd−4)/2+4 (4<xd≦8)
xd’=(xd−8)/4+6 (8<xd≦16)
xd’=8 (16<xd)
以上、クリッピングの例であるが、本例に限定されることなく、これ以外のどのような変換を行っても構わない。
【0304】
また、本発明の実施の形態として示したウォータマーク検出器において、差分値を算出するためのウォータマークは、予め上記ウォータマークパターン保持メモリに保持されるものとして説明しているがこれに限定されることはない。例えば、ウォータマークのパターンを読み出し信号などによりウォータマークパターンを発生させる付随情報発生器を付随情報出力手段として備えることもできる。例えば、本発明の実施の形態に適用するのであれば、M系列発生器となる。
【0305】
また、画像に付加されている付随情報とされたウォータマークは、予め画像の時間方向に差分がとられるように画像に付加することもできる。
【0306】
また、上述した第1乃至第3の実施の形態は、本発明に係る記録装置及び方法を適用して構成することもできる。すなわち、この場合、記録装置は、ウォータマーク検出器により付随情報の検出が行われれた画像データを、記録媒体に記録処理する記録処理部を備えて、当該記録媒体に対する画像データの記録を行う。そして、例えばこの場合、記録装置は、第1乃至第3の実施の形態において示したウォータマーク検出器の備える上記評価値比較器が検出した付随情報の検出結果に応じて、記録媒体への画像データの記録を行う記録制御手段を備える。ここで、記録制御手段は、例えば、第1乃至第3の実施の形態のウォータマーク検出器の備える画像変換器の機能を有し、すなわち、例えば、付随情報の検出された場合には、画像を表示しない、画像データの主領域を表示しない、又は画像にスクランブル処理する等のように画像に対する処理又は加工を施すようにする。
【0307】
【発明の効果】
本発明に係る画像データ処理装置は、付随情報のパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出手段と、付随情報出力手段より出力された付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算手段と、評価値に基づいて付随情報の検出を行う付随情報検出手段とを備えることにより、付随情報出力手段より出力された付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値とに基づいて、評価値演算手段により評価値を得ることができ、付随情報検出手段により、この評価値に基づいて付随情報を検出することができる。
【0308】
ここで、画像データ処理装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0309】
また、本発明に係る画像データ処理方法は、付随情報のパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出工程と、付随情報出力工程において出力された付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算工程と、評価値に基づいて付随情報の検出を行う付随情報検出工程とを有することにより、付随情報出力工程において出力された付随情報のパターンと、差分値算出工程において算出した差分値とに基づいて、評価値演算工程により評価値を得ることができ、付随情報検出工程により、この評価値に基づいて付随情報を検出することができる。
【0310】
ここで、画像データ処理方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0311】
また、本発明に係る記録装置は、付随情報のパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出手段と、付随情報出力手段より出力された付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算手段と、評価値に基づいて付随情報の検出を行う付随情報検出手段と、付随情報検出手段の検出結果に応じて記録媒体への入力された画像データの記録制御を行う記録制御手段と備えることにより、付随情報出力手段より出力された付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値とに基づいて、評価値演算手段により評価値を得ることができる。そして、記録装置は、この評価値に基づいて付随情報検出手段が検出した付随情報の検出結果に応じて、記録制御手段により、入力された画像データの記録媒体への記録制御を行うことができる。
【0312】
ここで、記録装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0313】
また、本発明に係る記録方法は、付随情報のパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出工程と、付随情報出力工程において出力された付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算工程と、評価値に基づいて付随情報の検出を行う付随情報検出工程と、付随情報検出工程の検出結果に応じて記録媒体への入力された画像データの記録制御を行う記録制御工程とを有することにより、付随情報出力工程において出力された付随情報のパターンと、差分値算出工程において算出した差分値とに基づいて、評価値演算工程により評価値を得ることができる。そして、記録方法は、この評価値に基づいて付随情報検出工程において検出した付随情報の検出結果に応じて、記録制御工程により、入力された画像データの記録媒体への記録制御を行うことができる。
【0314】
ここで、記録方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0315】
また、本発明に係る画像データ処理装置は、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出手段と、付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算手段と、評価値演算手段により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出手段とを備えることにより、付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値に基づいて、評価値演算手段により評価値を得ることができ、付随情報検出手段により、複数の評価値に基づいて付随情報を検出することができる。
【0316】
ここで、画像データ処理装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0317】
さらに、M系列等の特殊な性質を有するパターンを用いて付随情報を付加した場合、差分値を用いて検出することにより、付加量を増幅させて確実に付随情報を検出することができる。
【0318】
また、本発明に係る画像データ処理方法は、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出工程と、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算工程と、評価値演算工程により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出工程とを有することにより、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出工程において算出した差分値に基づいて、評価値演算工程により評価値を得ることができ、付随情報検出工程により、複数の評価値に基づいて付随情報を検出することができる。
【0319】
ここで、画像データ処理方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0320】
さらに、M系列等の特殊な性質を有するパターンを用いて付随情報を付加した場合、差分値を用いて検出することにより、付加量を増幅させて確実に付随情報を検出することができる。
【0321】
また、本発明に係る記録装置は、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力手段と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出手段と、付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算手段と、評価値演算手段により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出手段と、付随情報検出手段の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御手段と備えることにより、付随情報出力手段より出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出手段により算出した差分値とに基づいて、評価値演算手段により、複数の評価値の得ることができる。そして、記録装置は、この複数の評価値に基づいて付随情報検出手段が検出した付随情報の検出結果に応じて、記録制御手段により、入力された画像データの記録媒体への記録制御を行うことができる。
【0322】
ここで、記録装置は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0323】
さらに、M系列等の特殊な性質を有するパターンを用いて付随情報を付加した場合、差分値を用いて検出することにより、付加量を増幅させて確実に付随情報を検出することができる。
【0324】
また、本発明に係る記録方法は、付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力工程と、入力された画像データにおいて近傍の画素との間の画素値の差分値を算出する差分値算出工程と、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと差分値とに基づいて、評価値を演算する評価値演算工程と、評価値演算工程により得た複数の評価値を比較することにより、付随情報の検出を行う付随情報検出工程と、付随情報検出工程の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御工程と有することにより、付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンと、差分値算出工程において算出した差分値とに基づいて、評価値演算工程により、複数の評価値の得ることができる。そして、記録方法は、この複数の評価値に基づいて付随情報検出工程において検出した付随情報の検出結果に応じて、記録制御手段により、入力された画像データの記録媒体への記録制御を行うことができる。
【0325】
ここで、記録方法は、相関が高い近隣の画素との間の差分値から得た評価値に基づいて付随情報の検出を行っており、これにより、画像データの個々の値が評価値に与える影響を小さくすることができるため、従来よりも高い検出精度が得られ、確実に付随情報を検出することができる。
【0326】
さらに、M系列等の特殊な性質を有するパターンを用いて付随情報を付加した場合、差分値を用いて検出することにより、付加量を増幅させて確実に付随情報を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される第1の実施の形態であるウォータマーク検出器の構成を示すブロック回路図である。
【図2】上記第1の実施の形態のウォータマーク検出器による付随情報の検出のための一連の処理を示すフローチャートである。
【図3】ずらし検出に基づいて得られる評価値とずらし量との関係を示す特性図である。
【図4】本発明が適用される第2の実施の形態であって、構成例1のウォータマーク検出器の構成を示すブロック回路図である。
【図5】上記構成例1のウォータマーク検出器による付随情報の検出のための一連の処理を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態のウォータマーク検出器が行う差分値により評価値を算出する差分値用評価値算出処理の一連の処理を示すフローチャートである。
【図7】付加量が増幅される場合の評価値とずらし量の関係を示す特性図である。
【図8】本発明が適用される第2の実施の形態であって、構成例2及び構成例3のウォータマーク検出器の構成を示すブロック回路図である。
【図9】上記構成例2のウォータマーク検出器による付随情報の検出のための一連の処理を示すフローチャートである。
【図10】付加量が増幅される場合の評価値とずらし量の関係を示す特性図である。
【図11】上記構成例3のウォータマーク検出器による付随情報の検出のための一連の処理を示すフローチャートである。
【図12】差分値xd1,xd2,xd3の場合の評価値とずらし量の関係を示す特性図である。
【図13】上記差分値xd1,xd2,xd3の場合の評価値とずらし量との関係式から導かれてる評価値とずらし量との関係を示す特性図である。
【図14】本発明が適用される第3の実施の形態のウォータマーク検出器の構成を示す図である。
【図15】上記第3の実施の形態のウォータマーク検出器の備える評価値比較器の構成を示すブロック回路図である。
【図16】上記第3の実施の形態のウォータマーク検出器の備える評価値比較器の構成を説明するために表す従来のウォータマーク検出器の構成を示すブロック回路図である。
【図17】上記差分値の変換操作のための変換関数の例を示す図である。
【図18】上記差分値の変換操作のための変換関数の他の例を示す図である。
【図19】上記差分値の変換操作のための変換関数の他の例を示す図である。
【図20】ビデオテープにおける補助的情報の画像上での位置を示す図である。
【図21】画像上に特定のパターンを埋め込んでいる例を示す図である。
【図22】ウォータマークのパターンの例を示す図である。
【図23】画像へのウォータマークの付加操作を示す図である。
【図24】ウォータマークを用いた付随情報の付加及び検出を示す図である。
【図25】エンコーダの構成を示すブロック回路図である。
【図26】デコーダの構成を示すブロック回路図である。
【図27】ウォータマーク付加器の構成を示すブロック回路図である。
【図28】従来のウォータマーク検出器の構成を示すブロック回路図である。
【図29】上記ウォータマーク付加器による画像へのウォータマークの付加の一連の処理を示すフローチャートである。
【図30】従来のウォータマーク検出器による付随情報の検出のための一連の処理を示すフローチャートである。
【図31】従来のウォータマーク検出器によるずらし検出に基づいた付随情報の検出の一連の処理を示すフローチャートである。
【図32】従来のウォータマーク検出器によるずらし検出において差分値を算出するため差分値算出処理の一連の処理を示すフローチャートである。
【図33】ずらし検出を行う従来のウォータマーク検出器の構成を示すフローチャートである。
【図34】ウォータマークパターンのずらしの一例を示す図である。
【図35】ずらし検出による付随情報の抽出の一例を示す図である。
【符号の説明】
2 ウォータマーク検出器、3 ウォータマークパターン保持メモリ、4 差分算出器、5 評価値算出器、6 評価値比較器、11 ウォータマーク検出器、12 ウォータマークパターン保持メモリ、131,132 ウォータマークパターンずらし器、141,142 差分算出器、151,152,153,161,162,163 評価値算出器、17 評価値比較器

Claims (4)

  1. 付随情報が埋め込まれている画像データを処理する画像データ処理装置において、
    上記付随情報は、2値データからなるウォータマークパターンであり、上記ウォータマークパターンを出力する付随情報出力手段と、
    入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出手段と、
    上記付随情報出力手段より出力された上記ウォータマークパターンの値に応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算手段と、
    上記評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出手段と
    を備えることを特徴とする画像データ処理装置。
  2. 付随情報が埋め込まれている画像データを処理する画像データ処理方法において、
    上記付随情報は、2値データからなるウォータマークパターンであり、上記ウォータマークパターンを出力する付随情報出力工程と、
    入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出工程と、
    上記付随情報出力工程において出力された上記ウォータマークパターンの値に応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算工程と、
    上記評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出工程と
    を有することを特徴とする画像データ処理方法。
  3. 付随情報が埋め込まれている画像データを記録媒体に記録する記録装置において、
    上記付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力手段と、
    入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出手段と、
    上記付随情報出力手段から出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンに応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算手段と、
    上記評価値演算手段により得た複数の評価値を演算し、演算された評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出手段と、
    上記付随情報検出手段の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御手段と
    を備えることを特徴とする記録装置。
  4. 付随情報が埋め込まれている画像データを記録媒体に記録する記録方法において、
    上記付随情報の互いに位相の異なる複数のパターンを出力する付随情報出力工程と、
    入力された上記画像データにおいて、ある画素値とその近傍の画素値との差分値を算出し、上記差分値の絶対値が所定の値を超えるとき、その差分値を評価値に反映させないように変換する差分値算出工程と、
    上記付随情報出力工程において出力された位相の異なる複数の付随情報のパターンに応じて上記差分値を加算又は減算した合計を評価値として演算する評価値演算工程と、
    上記評価値演算工程により得た複数の評価値を演算し、演算された評価値が所定の閾値を超える場合、上記付随情報が画像データに付加されていると判別する付随情報検出工程と、
    上記付随情報検出工程の検出結果に応じて上記記録媒体への上記入力された画像データの記録制御を行う記録制御工程と
    を有することを特徴とする記録方法。
JP17520198A 1998-06-22 1998-06-22 画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法 Expired - Fee Related JP3642956B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17520198A JP3642956B2 (ja) 1998-06-22 1998-06-22 画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法
KR1019990023504A KR20000006352A (ko) 1998-06-22 1999-06-22 영상데이터처리장치및방법과기록장치및방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17520198A JP3642956B2 (ja) 1998-06-22 1998-06-22 画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000013763A JP2000013763A (ja) 2000-01-14
JP3642956B2 true JP3642956B2 (ja) 2005-04-27

Family

ID=15992071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17520198A Expired - Fee Related JP3642956B2 (ja) 1998-06-22 1998-06-22 画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP3642956B2 (ja)
KR (1) KR20000006352A (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3630071B2 (ja) 2000-04-05 2005-03-16 日本電気株式会社 電子透かし検出器及びそれに用いる電子透かし検出方法
EP1928180A1 (en) * 2005-08-04 2008-06-04 Nippon Telegraph and Telephone Corporation Digital watermark padding method, digital watermark padding device, digital watermark detecting method, digital watermark detecting device, and program
KR101669854B1 (ko) * 2016-04-11 2016-10-27 동국대학교 산학협력단 연속 정수 변환에 기초한 데이터 은닉 장치 및 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000013763A (ja) 2000-01-14
KR20000006352A (ko) 2000-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3201347B2 (ja) 画像属性変更装置と電子透かし装置
JP3106985B2 (ja) 電子すかし挿入装置及び検出装置
US6404926B1 (en) Apparatus and method of processing image data, transmission medium, and recording medium
EP0901102B1 (en) Watermark embedding method and system
Kutter et al. Digital signature of color images using amplitude modulation
JP3266569B2 (ja) 電子透かしデータによる画像属性変更システム
Sherly et al. A compressed video steganography using TPVD
Xu et al. An improved least-significant-bit substitution method using the modulo three strategy
JP2009503948A (ja) 媒体識別のための隠されたロバストなマーク
EP0935872A2 (en) Watermarking an information signal
JPH1198341A (ja) 電子透かし重畳装置及び電子透かし検出装置
JP2001505753A (ja) ウォーターマークを検出するための方法及び装置
CN101389009B (zh) 一种水印信息的嵌入、检测方法及装置
US8135168B2 (en) System for embedding data
US7564973B2 (en) Digital watermark embedding device and digital watermark embedding method
CA2226719C (en) Image data illegal use prevention system
JP3642956B2 (ja) 画像データ処理装置及び方法、並びに記録装置及び方法
GB2383221A (en) Method of identifying a codeword used as a watermark
JPH1175055A (ja) 情報埋め込み方法と情報抽出方法と情報埋め込み装置と情報抽出装置と記録媒体
JP2003134329A (ja) 電子透かし埋め込み処理装置、および電子透かし埋め込み処理方法、並びにコンピュータ・プログラム
JP3606425B2 (ja) 画像データ処理装置および方法、並びに記録媒体
GB2383148A (en) Watermarking
JPH10240626A (ja) 統計的性質を用いたデータ・ハイディング方法及びシステム
JP2000013765A (ja) 付随情報検出装置及び方法、並びに画像データ処理装置及び方法
KR100339860B1 (ko) 오디오신호에 영상의 워터마크를 삽입 또는 추출하는 방법및 이를 위한 기록매체

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050126

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080204

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090204

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100204

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees