JP3641529B2 - 油浸紙ソリッド直流海底ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高電圧油浸紙ソリッド直流海底ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
油浸紙ソリッドケーブルは、構造が簡単で長距離に適し、また給油設備が不要であることから、直流海底ケーブルとして数多くの実績を有している。
【0003】
油浸紙ソリッドケーブルは、高粘度の油(動粘度が500〜2000cst at40℃)を含浸したクラフト紙絶縁が採用され、その構造は普通、図7に示すように、導体の上にクラフト紙を巻回した絶縁体と、鉛被ソリッドケーブルでは絶縁体の上に鉛被され、鉛被上にクロロプレン、ビニル、ポリエチレンなどの防食シースを設けている。
【0004】
特殊な場合に、防食シースの上に座床テープを巻き、その上に鋼帯を巻く構造が使用されている。鋼帯は単に防護として設けているものである。
【0005】
鉛被OFケーブルでは、鉛被上に座床綿テープを巻き、その上にステンレステープ2枚を巻いた構造が通常使用されている。これはOFケーブルの油圧に対してステンレステープが補強として鉛被の膨らみを防止する役割をしている。この上に防食層を施される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高電圧油浸紙ソリッド直流海底ケーブル、とりわけ電圧300kV以上のソリッドケーブルでは、負荷遮断(導体通電遮断)時に導体側油圧が負圧となり、ボイドを形成し耐電圧特性が低下する。この概念図を図6に示す。
【0007】
特に400kV以上の油浸紙ソリッド直流海底ケーブルでは、この対策が必須である。
【0008】
上記の負圧現象発生の大きな原因として、製造時(鉛被押出し時)に発生する空気層の量が要因の一つであることが後述する検証により解明された。
【0009】
この対策としてソリッドケーブルといえども、鉛被OFケーブルと同じく座床テープを巻いた上に補強テープを巻く構造が推奨される。
【0010】
これは製造時の鉛被膨らみを防止すると共に、負荷時の鉛被膨脹を抑止し、引き続き発生する負荷遮断時の導体側油圧負圧現象発生の防止につながる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、ケーブル絶縁層上に設けた鉛被上に綿テープ、または、カーボン、アラミド、ガラスのいずれかのファイバテープからなる座床テープを巻回して、その上にステンレステープまたは温度膨張係数が10-5/℃以下である例えばエリンバーテープもしくはインバーテープの補強テープを複数枚巻回して構成したことを特徴とする。
【0012】
上記エリンバーテープ及びインバーテープの特性について記すと、
エリンバーはNi36%,Cr12%を含むNi合金で、常温において実用上弾性率が不変で、熱膨張係数もまた小さい。特性は下記のとおりである。
【0013】
Ni% Cr% Fe% 弾性率Kg/mm 2 熱膨張係数/℃
36 12 52 17600 0.000008
また、インバはNi,Crの合金であって、その機械的特性の一例は下記のとおりである。
【0014】
他の手段は、ケーブル絶縁層上に設けた鉛被上に前記カーボン,アラミド,ガラスのいずれかのファイバテープからなる座床テープだけを巻回して構成したことを特徴とする。
【0015】
上記の補強テープ、座床テープは高弾性材料であって、弾性率E≧1.5×104 Kg/mm2 が望ましい。
【0016】
油浸紙ソリッドケーブルの導体側の油圧P1 (t) 、油量V1 (t) とシース側の油圧P2 (t) 、(油量+空気量)V2 (t) +Vaとの関係は図2に示す等価回路で表わすことができる。
【0017】
図2に示す等価回路に於て、計算過程は省略するが、導体側油圧が負圧とならない条件は、次の(1) 式の通りとなる。
【0018】
【数1】
1+(V20/V10)(T2 −T0 )/(T1 −T0 )−αk 2 V20Rη>0 …(1)
V10:ケーブル導体側の初期油量 (cm3 )
V20:シース側の初期油量 (cm3 )
T1 :絶縁体導体側温度 (℃)
T2 :絶縁体シース側温度 (℃)
T0 :基底温度 (℃)
α :ケーブル温度の降温冷却定数(sec-1)
k 2 :シース側油圧縮率 (kg/cm2 )
R :絶縁体の油流抵抗 (kg/cm5 ・sec)
η :補正係数
上記の式からk 2 V20Rが大きいほど導体側油圧の負圧現象が出易くなる。また、V10は大きいほど、(T2 −T0 )/(T1 −T0 )が小さいほど負圧現象が出易くなる。
【0019】
即ち、油浸紙ソリッドケーブルにおいて、導体側油層に負圧現象を起こさないようにするには以下の対策がある。
【0020】
(1)絶縁体の油流抵抗を小さくする。(Rを小さくする)
(2)シース側絶縁油に空気層を含まないようにすると共に、シース側絶縁油量を小さくする。(k 2 V20を小さくする)
(3)導体側絶縁油量を小さくする。(V10を小さくする)
本発明は上記の(2)シース側絶縁油に空気層を含まないようにしたものである。即ち、鉛被の上に座床テープ、補強テープを巻くケーブル構造とすることによって、鉛被の膨らみを防止し鉛被下に空気層ができないようにするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1に本発明による油浸紙ソリッド直流海底ケーブルの断面を示す。導体1の周りに内部遮蔽としてカーボン紙巻回2を施し、その表面にポリプロピレンフィルムとクラフト紙を積層して一体化した複合絶縁紙、またはクラフト紙を巻いて絶縁紙層3を形成し、その上に外部遮蔽としてカーボン紙巻回4を施し、鉛被5をかぶせ、その上にカーボン、アラミド、ガラス等のいずれかのファイバテープを巻回した座床テープ6を施し、更にその上に例えば0.1〜1mm厚のステンレステープまたはエリンバーテープもしくはインバーテープの補強テープ7を複数枚(例えば2〜6枚)巻回して設け、その上に防食層8を施し、更に鉄線がい製9を施して形成したものである。なお、絶縁紙層3には高粘度の絶縁油が含浸されている。
【0022】
エリンバーテープもしくはインバーテープは温度膨張係数が極めて小さい為、温度膨張による鉛被内の体積変化がなく、温度上昇時の鉛被下V20(シース側の初期油量)は小さくできる。従って負圧現象が起きにくくなる。
【0023】
また、座床テープとして上記のファイバテープの他に、綿テープを使用してもよい。
【0024】
ここで、負荷遮断時の導体側油圧の負圧現象の原因として、鉛被下に生じる空気層が大きな要因の一つであることは先に説明したが、実ケーブルの500kV1×800mm2 油浸紙ソリッド直流海底ケーブルでヒートサイクル試験時の導体側油層の圧力変化の計算結果を図3,図4に示す。
【0025】
使用した計算定数は以下の通りである。
【0026】
油流抵抗率 Z=1011cm-2,3×1011cm-2
温度時定数 α=1.4×10-4(sec)-1
油粘度 ν=50poise(40℃の値)
絶縁油体積 V10=V20=13cm3
絶縁油の圧縮率は、6.5×10-5(kg/cm2 )-1であるが、絶縁油中に空気を含んだ場合、特に鉛被下に空気が存在すると、この絶縁油の等価圧縮率は図3に示すように低圧領域と高圧領域で異なる。
【0027】
絶縁油に空気が混合した場合、油の圧縮率は圧力の関数となるが、計算が極めて複雑となる。通電時の等価圧縮率は高圧領域のKH を、遮断時は低圧領域の等価圧縮率KL とすると、図3に示すように、KL /KH =1/3となる。
【0028】
計算結果を図4,図5に示す。鉛被下の空気ギャップとして0.1〜0.3mmあるとk 2 =10-3〜3×10-3となる。
【0029】
図4に示すように、Z=1011cm-2の高油流抵抗の場合では鉛被下の空気ギャップ0.3mm(空気混合比1/20)あると、導体側が負圧となる。
【0030】
従って、ソリッドケーブル鉛被上に座床テープ、補強テープを巻回することによって、鉛被下の空気ギャップを無くすことにより上記の負圧現象が起きないようにすることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の油浸紙ソリッド直流海底ケーブルは、ケーブル鉛被上に座床テープ、金属補強テープを巻回した構成とすることにより、鉛被下の空気ギャップを無くすることができ、負荷遮断時の導体側油圧の負圧現象が起きないので、負荷遮断時の耐電圧特性が向上する。また部分放電が発生しないので長期劣化がしにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明油浸紙ソリッド直流海底ケーブルの実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明油浸紙ソリッド直流海底ケーブルの絶縁紙層の絶縁油等価回路図である。
【図3】油浸紙ソリッド直流海底ケーブル例でのヒートサイクル試験時の導体側油層の圧力変化の計算結果であって、ケーブル鉛被下絶縁油中に空気が含んだ場合の油の等価圧縮率と油中の空気混合比の関係を示すグラフである。
【図4】上記ヒートサイクル試験時の導体側油層の圧力変化の計算結果であって、k2 (シース側油圧縮率)をパラメータとした導体側油圧の変化を示すグラフである。
【図5】上記ヒートサイクル試験時の導体側油層の圧力変化の計算結果であって、Z(油流抵抗率)をパラメータとした導体側油圧の変化を示すグラフである。
【図6】油浸紙ソリッド直流海底ケーブルにおいて、負荷遮断時に導体側油圧が負圧となる現象を説明する概念説明図である。
【図7】従来鉛被油浸紙ソリッドケーブルの断面図である。
【符号の説明】
1,11 導体
2,4,12,14 カーボン紙
3,13 絶縁紙層
5,15 鉛被
6 座床テープ
7 補強テープ
16 防食層
Claims (4)
- ケーブル絶縁層上に設けた鉛被上に座床テープを巻回して、その上に金属補強テープを複数枚巻回して構成した油浸紙ソリッド直流海底ケーブルにして、
前記金属補強テープは、1.5×104 Kg/mm2以上の弾性率を有し、且つ、10-5/℃以下の温度膨張係数を有することを特徴とする油浸紙ソリッド直流海底ケーブル。 - 金属補強テープとしてステンレステープを巻回して構成したことを特徴とする請求項1記載の油浸紙ソリッド直流海底ケーブル。
- 金属補強テープとしてエリンバーテープまたはインバーテープを巻回して構成したことを特徴とする請求項1記載の油浸紙ソリッド直流海底ケーブル。
- 前記座床テープは、カーボン、アラミド、ガラスのいずれかのファイバテープからなることを特徴とする請求項1記載の油浸紙ソリッド直流海底ケーブル。
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