JP3639018B2 - フェージング周波数測定装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおいて、無線伝送路の伝送特性の変動に応じて生じるフェージングについて単位時間当たりに発生する回数を測定するフェージング周波数測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムの基地局では、移動局から到来する受信波のフェージング周波数が測定され、その受信波の波長とフェージング周波数との積で得られるその移動局の移動速度に適応した形態や手順に基づいて種々の無線チャネル設定制御が行われる。
【0003】
図5は、従来のフェージング周波数測定装置の構成例を示す図である。
図5(a)に示すフェージング周波数測定装置では、制御部51は、アンテナ50に到来した受信波の電界強度を一定の周期で測定する。また、制御部51は、このようにして測定された値の差分が予め与えられた閾値を上回る単位時間当たりの回数を計数することによってフェージング周波数を求める。
【0004】
また、図5(b)に示すフェージング周波数測定装置では、アンテナ521 、522 は個別に到来する受信波の相互相関が無視され得る程度に隔たった位置に設置され、スイッチ53はこれらのアンテナに到来した2つの受信波の内、電界強度が大きい方を常に選択して図示されない受信部に与える。制御部54は、このような選択に応じてスイッチ53の接点が単位時間当たりに切り替わる回数に予め理論的に求められた比例定数(=1.3)を乗じることによってフェージング周波数を求める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来例では、移動局が低速で移動する場合には、フェージングが発生する頻度が少なくなり、精度を高く維持するためには、測定する周期を長く設定する必要があった。
【0006】
また、高速で移動する移動局にかかわる無線チャネル設定制御については、高速性が要求されて上述した周期を長く設定することが許容されないために、十分な精度でフェージング周波数を測定することは困難であった。
本発明は、短い時間に高い精度でフェージング周波数を測定できるフェージング周波数測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
図1は、請求項1に記載の発明の原理ブロック図である。
請求項1に記載の発明は、複数のブランチ101〜10nと、前記複数のブランチ101〜10nに個別に到来して互いに無相関と見なし得る複数の受信波を取り込み、これらの受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成して合成受信波を生成する合成手段11と、前記合成手段11によって生成された合成受信波の電界強度を監視してその合成受信波に発生するフェージングの単位時間当たりの回数を計数し、フェージング周波数を測定する測定手段12と、前記複数のブランチ101〜10nの何れかに到来する受信波と前記合成手段11によって生成される合成受信波とについて、実測又はシミュレーションに基づいて予め並行して個別に求められたフェージング周波数の比を前記測定手段12によって測定されたフェージング周波数に乗じ、その複数のブランチ101〜10nに実際に到来する受信波のフェージング周波数を得る換算手段13とを備えたことを特徴とする。
【0008】
図2は、請求項2に記載の発明の原理ブロック図である。
請求項2に記載の発明は、複数のブランチ101〜10nと、前記複数のブランチ101〜10nに個別に到来して互いに無相関と見なし得る複数の受信波を取り込み、これらの受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成し、互いに無相関と見なし得る2つの合成受信波を生成する合成手段20と、前記合成手段20によって生成された2つの合成受信波の電界強度を比較して両者の大小関係が反転する単位時間当たりの回数を計数し、その回数に予め理論的に求められた比例定数を乗じて、これらの合成受信波のフェージング周波数を測定する測定手段21と、前記複数のブランチ101〜10nの何れかに到来する受信波と前記合成手段20によって生成される合成受信波の一方とについて、実測又はシミュレーションに基づいて予め並行して個別に求められたフェージング周波数の比を前記測定手段21によって測定されたフェージング周波数に乗じ、その複数のブランチ101〜10nに実際に到来する受信波のフェージング周波数を得る換算手段22とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明にかかわるフェージング周波数測定装置では、複数のブランチ101〜10nには互いに無相関と見なし得る複数の受信波が到来し、合成手段11はこれらの受信波の電界強度をその分布の定常性を維持しつつ合成して合成受信波を生成する。このような合成受信波については、上述した複数の受信波に対して電界強度の分布が保全され、かつこれらの受信波に伴う全てのフェージングが重畳されるため、見かけ上のフェージング周波数は実際のフェージング周波数より高くなる。
【0010】
測定手段12は、その合成受信波に伴うフェージングの単位時間当たりの回数を計数してフェージング周波数を求める。また、換算手段13は、このようにして合成手段11によって生成される合成受信波とブランチ101〜10nに到来する受信波の何れかとについて、測定手段12によって求められたフェージング周波数に、実測又は予め設定されたモデルに基づくシミュレーションによって並行して求められたフェージング周波数の比を乗じ、これら複数のブランチ101 〜10n に実際に到来する受信波のフェージング周波数を算出する。
【0011】
したがって、受信波のフェージング周波数は短い測定時間に精度よく求められる。
請求項2に記載の発明にかかわるフェージング周波数測定装置では、複数のブランチ101〜10nには互いに無相関と見なし得る複数の受信波が到来し、合成手段20はこれらの受信波の電界強度をその分布の定常性を維持しつつ合成することによって互いに無相関と見なし得る2つの合成受信波を生成する。このような2つの合成受信波については、上述した複数の受信波に対して電界強度の分布が保全され、かつこれらの受信波に伴う全てのフェージングが重畳されるため見かけ上のフェージング周波数は実際のフェージング周波数より高くなる。測定手段21は、これら2つの合成受信波の大小関係が反転する単位時間当たりの回数を計数し、その回数に予め理論的に求められた比例定数を乗じることによってフェージング周波数を求める。また、換算手段22は、このようにして合成手段20によって生成される合成受信波の何れかとブランチ101〜10nに到来する受信波の何れかとについて、測定手段21によって求められたフェージング周波数に、実測又は予め設定されたモデルに基づくシミュレーションによって並行して求められたフェージング周波数の比を乗じ、これら複数のブランチ101〜10nに実際に到来する受信波のフェージング周波数を算出する。
【0012】
したがって、受信波のフェージング周波数が短い測定時間に精度よく求められる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細を説明する。
【0014】
図3は、請求項1に記載の発明に対応した実施形態を示す図である。
本実施形態と図5(a)に示した従来例との構成の相違点は、アンテナ50に代えてアンテナ301、302が設けられ、制御部51に代えて制御部32が設けられ、これらのアンテナ301、302の給電端と制御部32の入力との間にハイブリッド回路31が設けられた点にある。
【0015】
なお、本実施形態と図1に示すブロック図との対応関係については、アンテナ301、302はブランチ101〜10nに対応し、ハイブリッド回路31は合成手段11に対応し、制御部32は測定手段12および換算手段13に対応する。
【0016】
以下、本実施形態の動作を説明する。
アンテナ301、302には相互相関が無視され得る程度に小さい2つの受信波が並行して到来し、ハイブリッド回路31はこれらの受信波を一定の位相差で合成して合成受信波を生成する。
このような合成受信波は、上述した位相差を適正な値に設定することによって、電界強度の分布が上述した2つの受信波と同様になり、さらに合成受信波の電界強度は2つの受信波のベクトル和として得られるのでフェージングが発生する頻度は多くなる。
【0017】
また、このような合成受信波と上述した2つの受信波の一方とのフェージング周波数は、実測又はこれらの受信波の無線伝送路のモデルに基づくシミュレーションによって求められ、かつ両者の比は予め算出される。
制御部32は、合成受信波に図5(a)に示した従来例と同様の処理を施すことによってフェージング周波数を測定し、かつそのフェージング周波数に上述した比を乗じることによって、アンテナ301、302に実際に到来した受信波のフェージング周波数を間接的に求める。
【0018】
したがって、本実施形態において、フェージング周波数の測定については、フェージングの発生する頻度が多い合成受信波が測定対象となるため、従来と同様の測定時間が設定された場合には高い精度が得られ、従来と同様の精度が維持される場合には測定時間の短縮がはかれる。
なお、本実施形態では、フェージング周波数を測定するために、図5(a)に示した従来例と同様の処理手順が適用されているが、本発明では、このような処理手順に限らず、1つの受信波の電解強度に基づいてフェージング周波数を求める方法であれば、例えば、一定の周期で受信波の電界強度を測定してその差分の絶対値を積算した値に所定の比例係数を乗じる算出方法など如何なる方法を用いてもよい。
【0019】
また、本実施形態では、一定の位相差の下で合成受信波が生成されるが、上述した2つの受信波の電界強度の分布が保全されつつフェージング周波数が高い合成受信波が生成されるならば、このような位相差は一定でなくてもよい。
図4は、請求項2に記載の発明に対応した実施形態を示す図である。
図において、図5(b)に示すものと機能および構成が同じものについては、同じ符号を付与して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0020】
本実施形態と図5(b)に示した従来例との構成の相違点は、制御部54に代えて制御部41が設けられ、アンテナ521、522の給電端とスイッチ53の入力との間にハイブリッド回路40が配置された点にある。
なお、本実施形態と図2に示すブロック図との対応関係については、アンテナ521、522はブランチ101〜10nに対応し、ハイブリッド回路40は合成手段20に対応し、スイッチ53は測定手段21に対応し、制御部41は測定手段21および換算手段22に対応する。
【0021】
以下、本実施形態の動作を説明する。
アンテナ521、522には、相互相関が無視され得る程度に小さい2つの受信波が並行して到来し、ハイブリッド回路40はこれらの2つの受信波を一定であって異なる2つの位相差で合成して相互相関が無視され得る程度に小さい2つの合成受信波を生成する。
【0022】
このようにして生成され得る2つの合成受信波は、上述した2つの位相差を適正な値に設定することによって、電界強度の分布が上述した2つの受信波と同様になり、さらに合成受信波の電界強度は2つの受信波のベクトル和として得られるのでフェージングが発生する頻度は多くなるが、相互相関は無視され得る程度に小さく抑えられる。
【0023】
このような2つの合成受信波の一方と上述したブランチに到来し得る2つの受信波の一方とのフェージング周波数は、実測又はこれらの受信波の無線伝送路のモデルに基づくシミュレーションによって求められ、かつ両者の比が予め算出される。
制御部41は、2つの合成受信波に図5(b)に示した従来例と同様の処理を施すことによってフェージング周波数を測定し、かつそのフェージング周波数に上述した比を乗じることによってアンテナ521、522に実際に到来した2つの受信波のフェージング周波数を間接的に求める。
【0024】
したがって、本実施形態において、フェージング周波数の測定については、フェージングの発生する頻度が多い合成受信波が測定対象となるため、従来と同様の測定時間が設定された場合には高い精度が得られ、従来と同様の精度が維持される場合には測定時間の短縮がはかれる。
なお、本実施形態では、一定であって異なる2つの位相差の下で2つの合成受信波が生成されるが、上述した2つの受信波の電界強度の分布が保全されつつフェージング周波数が高く相互相関が無視され得る程度に小さい2つの合成受信波が生成されるならば、このような2つの位相差は一定でなくてもよい。
【0025】
また、上述した各実施形態では、ハイブリッド回路を介して合成受信波が生成されるが、そのハイブリッド回路に等価な特性を有するならば、サーキュレータその他の如何なる合成器を用いてもよい。
さらに、上述した各実施形態では、2つのブランチに到来した受信波が合成されているが、予め実測又はシミュレーションに基づいて各実施形態に示した比が得られるならば、ブランチの数は「3」以上であってもよい。
【0026】
【発明の効果】
上述したように請求項1および請求項2に記載の発明では、複数のブランチに到来する受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成することによってフェージングが発生する頻度が多い合成受信波が生成され、その合成受信波のフェージング周波数にこのような合成の方法に適応した換算の処理が施されるので、速やかに精度よくフェージング周波数を測定することが可能となる。
【0027】
したがって、本発明が適用された移動通信システムでは、このようなフェージング周波数に基づいて移動局の移動速度が高速に高い精度で求められ、無線チャネル設定制御の効率および信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明の原理ブロック図
【図2】請求項2に記載の発明の原理ブロック図
【図3】請求項1に記載の発明に対応した実施形態を示す図
【図4】請求項2に記載の発明に対応した実施形態を示す図
【図5】従来のフェージング周波数測定装置の構成例を示す図
【符号の説明】
10 ブランチ
11、20 合成手段
12、21 測定手段
13、22 換算手段
30、50、52 アンテナ
31、40 ハイブリッド回路
32、41、51、54 制御部
53 スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおいて、無線伝送路の伝送特性の変動に応じて生じるフェージングについて単位時間当たりに発生する回数を測定するフェージング周波数測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムの基地局では、移動局から到来する受信波のフェージング周波数が測定され、その受信波の波長とフェージング周波数との積で得られるその移動局の移動速度に適応した形態や手順に基づいて種々の無線チャネル設定制御が行われる。
【0003】
図5は、従来のフェージング周波数測定装置の構成例を示す図である。
図5(a)に示すフェージング周波数測定装置では、制御部51は、アンテナ50に到来した受信波の電界強度を一定の周期で測定する。また、制御部51は、このようにして測定された値の差分が予め与えられた閾値を上回る単位時間当たりの回数を計数することによってフェージング周波数を求める。
【0004】
また、図5(b)に示すフェージング周波数測定装置では、アンテナ521 、522 は個別に到来する受信波の相互相関が無視され得る程度に隔たった位置に設置され、スイッチ53はこれらのアンテナに到来した2つの受信波の内、電界強度が大きい方を常に選択して図示されない受信部に与える。制御部54は、このような選択に応じてスイッチ53の接点が単位時間当たりに切り替わる回数に予め理論的に求められた比例定数(=1.3)を乗じることによってフェージング周波数を求める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来例では、移動局が低速で移動する場合には、フェージングが発生する頻度が少なくなり、精度を高く維持するためには、測定する周期を長く設定する必要があった。
【0006】
また、高速で移動する移動局にかかわる無線チャネル設定制御については、高速性が要求されて上述した周期を長く設定することが許容されないために、十分な精度でフェージング周波数を測定することは困難であった。
本発明は、短い時間に高い精度でフェージング周波数を測定できるフェージング周波数測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
図1は、請求項1に記載の発明の原理ブロック図である。
請求項1に記載の発明は、複数のブランチ101〜10nと、前記複数のブランチ101〜10nに個別に到来して互いに無相関と見なし得る複数の受信波を取り込み、これらの受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成して合成受信波を生成する合成手段11と、前記合成手段11によって生成された合成受信波の電界強度を監視してその合成受信波に発生するフェージングの単位時間当たりの回数を計数し、フェージング周波数を測定する測定手段12と、前記複数のブランチ101〜10nの何れかに到来する受信波と前記合成手段11によって生成される合成受信波とについて、実測又はシミュレーションに基づいて予め並行して個別に求められたフェージング周波数の比を前記測定手段12によって測定されたフェージング周波数に乗じ、その複数のブランチ101〜10nに実際に到来する受信波のフェージング周波数を得る換算手段13とを備えたことを特徴とする。
【0008】
図2は、請求項2に記載の発明の原理ブロック図である。
請求項2に記載の発明は、複数のブランチ101〜10nと、前記複数のブランチ101〜10nに個別に到来して互いに無相関と見なし得る複数の受信波を取り込み、これらの受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成し、互いに無相関と見なし得る2つの合成受信波を生成する合成手段20と、前記合成手段20によって生成された2つの合成受信波の電界強度を比較して両者の大小関係が反転する単位時間当たりの回数を計数し、その回数に予め理論的に求められた比例定数を乗じて、これらの合成受信波のフェージング周波数を測定する測定手段21と、前記複数のブランチ101〜10nの何れかに到来する受信波と前記合成手段20によって生成される合成受信波の一方とについて、実測又はシミュレーションに基づいて予め並行して個別に求められたフェージング周波数の比を前記測定手段21によって測定されたフェージング周波数に乗じ、その複数のブランチ101〜10nに実際に到来する受信波のフェージング周波数を得る換算手段22とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明にかかわるフェージング周波数測定装置では、複数のブランチ101〜10nには互いに無相関と見なし得る複数の受信波が到来し、合成手段11はこれらの受信波の電界強度をその分布の定常性を維持しつつ合成して合成受信波を生成する。このような合成受信波については、上述した複数の受信波に対して電界強度の分布が保全され、かつこれらの受信波に伴う全てのフェージングが重畳されるため、見かけ上のフェージング周波数は実際のフェージング周波数より高くなる。
【0010】
測定手段12は、その合成受信波に伴うフェージングの単位時間当たりの回数を計数してフェージング周波数を求める。また、換算手段13は、このようにして合成手段11によって生成される合成受信波とブランチ101〜10nに到来する受信波の何れかとについて、測定手段12によって求められたフェージング周波数に、実測又は予め設定されたモデルに基づくシミュレーションによって並行して求められたフェージング周波数の比を乗じ、これら複数のブランチ101 〜10n に実際に到来する受信波のフェージング周波数を算出する。
【0011】
したがって、受信波のフェージング周波数は短い測定時間に精度よく求められる。
請求項2に記載の発明にかかわるフェージング周波数測定装置では、複数のブランチ101〜10nには互いに無相関と見なし得る複数の受信波が到来し、合成手段20はこれらの受信波の電界強度をその分布の定常性を維持しつつ合成することによって互いに無相関と見なし得る2つの合成受信波を生成する。このような2つの合成受信波については、上述した複数の受信波に対して電界強度の分布が保全され、かつこれらの受信波に伴う全てのフェージングが重畳されるため見かけ上のフェージング周波数は実際のフェージング周波数より高くなる。測定手段21は、これら2つの合成受信波の大小関係が反転する単位時間当たりの回数を計数し、その回数に予め理論的に求められた比例定数を乗じることによってフェージング周波数を求める。また、換算手段22は、このようにして合成手段20によって生成される合成受信波の何れかとブランチ101〜10nに到来する受信波の何れかとについて、測定手段21によって求められたフェージング周波数に、実測又は予め設定されたモデルに基づくシミュレーションによって並行して求められたフェージング周波数の比を乗じ、これら複数のブランチ101〜10nに実際に到来する受信波のフェージング周波数を算出する。
【0012】
したがって、受信波のフェージング周波数が短い測定時間に精度よく求められる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細を説明する。
【0014】
図3は、請求項1に記載の発明に対応した実施形態を示す図である。
本実施形態と図5(a)に示した従来例との構成の相違点は、アンテナ50に代えてアンテナ301、302が設けられ、制御部51に代えて制御部32が設けられ、これらのアンテナ301、302の給電端と制御部32の入力との間にハイブリッド回路31が設けられた点にある。
【0015】
なお、本実施形態と図1に示すブロック図との対応関係については、アンテナ301、302はブランチ101〜10nに対応し、ハイブリッド回路31は合成手段11に対応し、制御部32は測定手段12および換算手段13に対応する。
【0016】
以下、本実施形態の動作を説明する。
アンテナ301、302には相互相関が無視され得る程度に小さい2つの受信波が並行して到来し、ハイブリッド回路31はこれらの受信波を一定の位相差で合成して合成受信波を生成する。
このような合成受信波は、上述した位相差を適正な値に設定することによって、電界強度の分布が上述した2つの受信波と同様になり、さらに合成受信波の電界強度は2つの受信波のベクトル和として得られるのでフェージングが発生する頻度は多くなる。
【0017】
また、このような合成受信波と上述した2つの受信波の一方とのフェージング周波数は、実測又はこれらの受信波の無線伝送路のモデルに基づくシミュレーションによって求められ、かつ両者の比は予め算出される。
制御部32は、合成受信波に図5(a)に示した従来例と同様の処理を施すことによってフェージング周波数を測定し、かつそのフェージング周波数に上述した比を乗じることによって、アンテナ301、302に実際に到来した受信波のフェージング周波数を間接的に求める。
【0018】
したがって、本実施形態において、フェージング周波数の測定については、フェージングの発生する頻度が多い合成受信波が測定対象となるため、従来と同様の測定時間が設定された場合には高い精度が得られ、従来と同様の精度が維持される場合には測定時間の短縮がはかれる。
なお、本実施形態では、フェージング周波数を測定するために、図5(a)に示した従来例と同様の処理手順が適用されているが、本発明では、このような処理手順に限らず、1つの受信波の電解強度に基づいてフェージング周波数を求める方法であれば、例えば、一定の周期で受信波の電界強度を測定してその差分の絶対値を積算した値に所定の比例係数を乗じる算出方法など如何なる方法を用いてもよい。
【0019】
また、本実施形態では、一定の位相差の下で合成受信波が生成されるが、上述した2つの受信波の電界強度の分布が保全されつつフェージング周波数が高い合成受信波が生成されるならば、このような位相差は一定でなくてもよい。
図4は、請求項2に記載の発明に対応した実施形態を示す図である。
図において、図5(b)に示すものと機能および構成が同じものについては、同じ符号を付与して示し、ここでは、その説明を省略する。
【0020】
本実施形態と図5(b)に示した従来例との構成の相違点は、制御部54に代えて制御部41が設けられ、アンテナ521、522の給電端とスイッチ53の入力との間にハイブリッド回路40が配置された点にある。
なお、本実施形態と図2に示すブロック図との対応関係については、アンテナ521、522はブランチ101〜10nに対応し、ハイブリッド回路40は合成手段20に対応し、スイッチ53は測定手段21に対応し、制御部41は測定手段21および換算手段22に対応する。
【0021】
以下、本実施形態の動作を説明する。
アンテナ521、522には、相互相関が無視され得る程度に小さい2つの受信波が並行して到来し、ハイブリッド回路40はこれらの2つの受信波を一定であって異なる2つの位相差で合成して相互相関が無視され得る程度に小さい2つの合成受信波を生成する。
【0022】
このようにして生成され得る2つの合成受信波は、上述した2つの位相差を適正な値に設定することによって、電界強度の分布が上述した2つの受信波と同様になり、さらに合成受信波の電界強度は2つの受信波のベクトル和として得られるのでフェージングが発生する頻度は多くなるが、相互相関は無視され得る程度に小さく抑えられる。
【0023】
このような2つの合成受信波の一方と上述したブランチに到来し得る2つの受信波の一方とのフェージング周波数は、実測又はこれらの受信波の無線伝送路のモデルに基づくシミュレーションによって求められ、かつ両者の比が予め算出される。
制御部41は、2つの合成受信波に図5(b)に示した従来例と同様の処理を施すことによってフェージング周波数を測定し、かつそのフェージング周波数に上述した比を乗じることによってアンテナ521、522に実際に到来した2つの受信波のフェージング周波数を間接的に求める。
【0024】
したがって、本実施形態において、フェージング周波数の測定については、フェージングの発生する頻度が多い合成受信波が測定対象となるため、従来と同様の測定時間が設定された場合には高い精度が得られ、従来と同様の精度が維持される場合には測定時間の短縮がはかれる。
なお、本実施形態では、一定であって異なる2つの位相差の下で2つの合成受信波が生成されるが、上述した2つの受信波の電界強度の分布が保全されつつフェージング周波数が高く相互相関が無視され得る程度に小さい2つの合成受信波が生成されるならば、このような2つの位相差は一定でなくてもよい。
【0025】
また、上述した各実施形態では、ハイブリッド回路を介して合成受信波が生成されるが、そのハイブリッド回路に等価な特性を有するならば、サーキュレータその他の如何なる合成器を用いてもよい。
さらに、上述した各実施形態では、2つのブランチに到来した受信波が合成されているが、予め実測又はシミュレーションに基づいて各実施形態に示した比が得られるならば、ブランチの数は「3」以上であってもよい。
【0026】
【発明の効果】
上述したように請求項1および請求項2に記載の発明では、複数のブランチに到来する受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成することによってフェージングが発生する頻度が多い合成受信波が生成され、その合成受信波のフェージング周波数にこのような合成の方法に適応した換算の処理が施されるので、速やかに精度よくフェージング周波数を測定することが可能となる。
【0027】
したがって、本発明が適用された移動通信システムでは、このようなフェージング周波数に基づいて移動局の移動速度が高速に高い精度で求められ、無線チャネル設定制御の効率および信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明の原理ブロック図
【図2】請求項2に記載の発明の原理ブロック図
【図3】請求項1に記載の発明に対応した実施形態を示す図
【図4】請求項2に記載の発明に対応した実施形態を示す図
【図5】従来のフェージング周波数測定装置の構成例を示す図
【符号の説明】
10 ブランチ
11、20 合成手段
12、21 測定手段
13、22 換算手段
30、50、52 アンテナ
31、40 ハイブリッド回路
32、41、51、54 制御部
53 スイッチ
Claims (2)
- 複数のブランチと、
前記複数のブランチに個別に到来して互いに無相関と見なし得る複数の受信波を取り込み、これらの受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成して合成受信波を生成する合成手段と、
前記合成手段によって生成された合成受信波の電界強度を監視してその合成受信波に発生するフェージングの単位時間当たりの回数を計数し、フェージング周波数を測定する測定手段と、
前記複数のブランチの何れかに到来する受信波と前記合成手段によって生成される合成受信波とについて、実測又はシミュレーションに基づいて予め並行して個別に求められたフェージング周波数の比を前記測定手段によって測定されたフェージング周波数に乗じ、その複数のブランチに実際に到来する受信波のフェージング周波数を得る換算手段と
を備えたことを特徴とするフェージング周波数測定装置。 - 複数のブランチと、
前記複数のブランチに個別に到来して互いに無相関と見なし得る複数の受信波を取り込み、これらの受信波を電界強度の分布の定常性を維持しつつ合成し、互いに無相関と見なし得る2つの合成受信波を生成する合成手段と、
前記合成手段によって生成された2つの合成受信波の電界強度を比較して両者の大小関係が反転する単位時間当たりの回数を計数し、その回数に予め理論的に求められた比例定数を乗じて、これらの合成受信波のフェージング周波数を測定する測定手段と、
前記複数のブランチの何れかに到来する受信波と前記合成手段によって生成される合成受信波の一方とについて、実測又はシミュレーションに基づいて予め並行して個別に求められたフェージング周波数の比を前記測定手段によって測定されたフェージング周波数に乗じ、その複数のブランチに実際に到来する受信波のフェージング周波数を得る換算手段と
を備えたことを特徴とするフェージング周波数測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29086095A JP3639018B2 (ja) | 1995-11-09 | 1995-11-09 | フェージング周波数測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29086095A JP3639018B2 (ja) | 1995-11-09 | 1995-11-09 | フェージング周波数測定装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09135215A JPH09135215A (ja) | 1997-05-20 |
JP3639018B2 true JP3639018B2 (ja) | 2005-04-13 |
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ID=17761436
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP29086095A Expired - Fee Related JP3639018B2 (ja) | 1995-11-09 | 1995-11-09 | フェージング周波数測定装置 |
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Country | Link |
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
WO2004068749A1 (ja) * | 2003-01-30 | 2004-08-12 | Fujitsu Limited | フェ−ジング周波数推定装置 |
-
1995
- 1995-11-09 JP JP29086095A patent/JP3639018B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH09135215A (ja) | 1997-05-20 |
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