JP3638712B2 - 低測定力型直線変位測定機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤルゲージ等の直線変位測定機に関するもので、特に、低測定力で被測定物を測定する低測定力型直線変位測定機に関する。
【0002】
【背景技術】
直線変位測定機としてダイヤルゲージが知られているが、このダイヤルゲージは、一般に、一端に被測定物と接触する測定子が設けられたスピンドルを亜鉛(Zn)やアルミニウム(Al)のダイカスト製フレームに進退自在に支持し、このスピンドルの移動量を機械的又は電気的な検出手段で検出して被測定物の直線変位を測定する構造である。
このダイヤルゲージは、ばね等の付勢手段によりスピンドルが被測定物側に常時付勢されるものであり、その測定力は、樹脂成形品やゴム成形品等に代表される軟質材部品の測定では、50kgf 未満の低測定力とされる。
【0003】
低測定力のダイヤルゲージを実現するため、従来では、スピンドルとして比重の小さなカーボンロッド(ρ=2.25)が利用されている。
このダイヤルゲージでは、スピンドルが軽量化されているので、被測定物である軟質材部材がスピンドルに設けられた測定子と衝突しても、この衝突に伴って軟質材部材が変形することがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来例では、スピンドルがカーボン製であるため、亜鉛(Zn)やアルミニウム(Al)のダイカスト製フレームとの線膨張係数の差が大きく異なることにより、温度ドリフトが避けられないという問題点がある。
温度ドリフトにより、温度環境が変化した場所でダイヤルゲージを使用すると、温度変化に伴ってスピンドルとフレームとの相対位置が変化して測定誤差が生じるという不都合がある。
【0005】
さらに、従来例では、スピンドルを構成するカーボンは脆い材質であり、加工が困難であるため、スピンドルの組立作業性が悪いとともに、ダイヤルゲージの製造コストが高いものになるという問題点がある。
即ち、カーボン製のスピンドルをフレームに装着するに際して、スピンドルの両端に中間部材をそれぞれ接着し、その後、これらの中間部材に測定子とストップねじとをそれぞれ接着固定し、スピンドルの中間部に補助材を接着し、この補助材にスピンドル側検出手段を接着固定しなければならず、このため、組立手順が多くなり、しかも、中間部材等の余分な部材が必要とされる。
【0006】
本発明の目的は、温度ドリフトを避けることができるとともに、組立作業性を向上させ、しかも、製造コストを低減することができる低測定力型直線変位測定機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は、スピンドルの材質をアルミニウムにして前記目的を達成しようとするものである。
【0008】
具体的には、本発明の低測定力型直線変位測定機は、一端に被測定物と接触する測定子が設けられ、かつ、被測定物側に付勢されるスピンドルをフレームに移動自在に支持し、このスピンドルの移動量から被測定物の直線変位量を測定する低測定力型直線変位測定機であって、前記スピンドルおよび前記フレームをアルミニウムから構成し、前記測定子はその基端部に雄ねじが形成され、前記スピンドルは、円筒状に形成され、前記スピンドルの前記一端に前記測定子の前記雄ねじが螺合され、前記スピンドルの他端に前記スピンドルの移動を規制するストップねじが螺合され、かつ、前記スピンドルの周面にキー穴が形成されたことを特徴とする。
【0009】
この構成の本発明では、スピンドルの材質をアルミニウムとしので、このアルミニウムはカーボンと近似した比重(ρ=2.7 )を有するため、従来と同様に、低測定力を確保できる。
しかも、一般的に、スピンドルを支持するフレームでは、アルミニウムと同一のアルミニウムや近似した線膨張係数の亜鉛が利用されているので、温度ドリフトの発生を避けることができる。
その上、低測定力を必要としない通常の直線変位測定機では、スピンドルとしてステンレス(SUS)が利用されているが、本発明でスピンドルとして利用されるアルミニウムは、ステンレスと同様に加工が容易な材料であるので、スピンドルに取付部を形成することにより、中間部材や補助材を用いることなく、スピンドルに測定子等を取り付けることができる。
【0010】
ここで、本発明では、前記スピンドルの表面に硬質の酸化膜が形成された構造でもよい。
この構造では、スピンドルの表面が高硬度になるため、高い耐久性を確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態にかかる低測定力型直線変位測定機の全体構成を示す分解斜視図である。
図1において、低測定力型直線変位測定機1は、フレーム2と、このフレーム2の上下方向に貫通して進退自在に支持されるスピンドル3と、このスピンドル3の一端に設けられた測定子4と、スピンドル3の他端に設けられたストップねじ5と、ストップねじ5を覆うキャップ6と、スピンドル3の進退移動量から被測定物の直線変位量を検出する検出手段7と、この検出手段7で検出された変位量を表示する図示しない表示手段と、スピンドル3を一端側に付勢する図示しない付勢手段と、フレーム2の裏側を覆う裏蓋8と、フレーム2の正面側を覆う図示しない蓋とを備えたダイヤルゲージである。
フレーム2はアルミのダイキャストから形成された略円筒状部材である。
【0012】
検出手段7は、スピンドル3にスケールホルダ9を介して取り付けられたメインスケール10と、フレーム2の内部に取付片11を介して取り付けられたインデックススケール12と、このインデックススケール12をメインスケール10側に付勢する抑え板13とを含んで構成された静電容量型エンコーダである。
メインスケール10は、スピンドル3の軸方向に沿って一定ピッチで整列配列された格子電極及びこの格子電極間に配設されたアース電極を備えた構造である。
【0013】
インデックススケール12は複数組の送電電極要素からなる送電電極及び受信電極を備えた構造である。この静電容量型エンコーダの測定原理は、特公昭64-11883号及びスウェーデン特許出願第7714010-1 号等に詳述されているように一般的な構造である。
この検出手段7はカウンタ及びCPU等の図示しない電装品等を介して表示手段と電気的に接続されるが、このうちインデックススケール12は可撓性のある接続用フラットケーブル14と接続されている。
【0014】
スピンドル3の構造が図2に詳細に示されている。
図2において、スピンドル3は、細長い円筒状に形成されており、その材質はアルミニウムである。
測定子4は、被測定物と接触するものであり、その基端部に取付部としての雄ねじ4Aが形成されている。この雄ねじ4Aはスピンドル3の取付部である開口端部に螺合されている。
ストップねじ5は、その基端部に取付部としての雄ねじ5Aが形成されている。この雄ねじ5Aはスピンドル3の取付部である開口端部に螺合されている。
【0015】
スピンドル3の表面には硬質の酸化膜(アルマイト)が形成されている。
スピンドル3の測定子4側の周面には、その長手方向と交差する方向に回り止め用のキー穴3Aが形成されている。このキー穴3Aは、測定子4をスピンドル3に取り付けるに際して、プライヤ等の工具でスピンドル3を固定しなくてもよいようにするもので、図示しない棒をキー穴3Aに差し込んでスピンドル3を固定状態にする。
スケールホルダ9はスピンドル3に接着剤等の適宜な手段で固定されており、その両側に設けられたガイド突起9Aはフレーム2に設けられた図示しないガイド溝に係合可能である。
【0016】
この構成の低測定力型直線変位測定機1を組み立てるには、まず、フレーム2にスピンドル3を挿通し、その後、このスピンドル3にスケールホルダ9を取り付け、さらに、スピンドル3の両端に測定子4とストップねじ5とをそれぞれ取り付ける。
その後、スケールホルダ9にメインスケール10を接着剤等で取り付けるとともに、フレーム2の内部に取付片11を介してインデックススケール12を取り付けて検出手段7を装着する。さらに、フレーム2に裏蓋8及び正面用蓋を取り付ける。
【0017】
従って、本実施の形態では、一端に被測定物と接触する測定子4が設けられ被測定物側に付勢されるスピンドル3をフレーム2に移動自在に支持し、このスピンドル3の移動量から被測定物の直線変位を測定する低測定力型直線変位測定機1であって、スピンドル3をアルミニウムから構成したから、アルミニウムはカーボンと近似した比重(ρ=2.7 )を有するため、従来と同様に、低測定力を確保できる。
しかも、スピンドル3を支持するフレーム2がアルミニウムなので、温度ドリフトの発生を避けることができる。そのため、温度環境が変化した場所で低測定力型直線変位測定機1を使用しても、スピンドル3とフレーム2との相対位置が変化して測定誤差が生じるという不都合がない。
【0018】
その上、低測定力を必要としない通常の直線変位測定機では、スピンドルとしてステンレス(SUS)が利用されているが、本実施の形態でスピンドル3として利用されるアルミニウムは、ステンレスと同様に加工が容易な材料であるので、スピンドル3に取付用として端部開口を形成することにより、中間部材や補助材を用いることなく、スピンドル3に測定子4やストップねじ5を取り付けることができる。
中間部材や補助材を用いることがないため、組立作業性を向上することができるとともに製造コストを低減することができる。
【0019】
ここで、本実施の形態では、スピンドル3の表面に硬質の酸化膜を形成したから、スピンドル3の表面が高硬度になるため、高い耐久性を確保できる。
実験によれば、スピンドル3の表面に硬質の酸化膜を形成したことにより、100万回以上のストローク耐久性を確保することができた。
【0020】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲であれば次に示す変形例を含むものである。
例えば、前記実施の形態では、低測定力型直線変位測定機をダイヤルゲージとしたが、本発明では、一端に被測定物と接触する測定子が設けられ、かつ、被測定物側に付勢されるスピンドル3をフレーム2に移動自在に支持し、このスピンドル3の移動量から被測定物の直線変位量を測定するものであれば、その具体的な構成は問わない。例えば、直線変位測定機はボアゲージやシリンダゲージでもよい。
【0021】
また、前記実施の形態では、検出手段7は、スピンドル3に取り付けられたメインスケール10と、フレーム2の内部に取り付けられたインデックススケール12とを含んで構成された静電容量型エンコーダとしたが、本発明では、検出手段を、光電式エンコーダや磁気式エンコーダから構成してもよく、あるいは、スピンドル3の移動量をラック及びピニオン等の歯車要素から機械的に検出する構造のものでもよい。
【0022】
さらに、本発明では、必ずしもスピンドル3の表面に硬質の酸化膜を形成することを要しない。
また、スピンドル3の周面に必ずしも回り止め用のキー穴3Aを形成することを要しない。
さらに、フレーム2の材質はアルミニウムに限定されるものではなく、スピンドル3に使用されるアルミニウムと線膨張係数が近似しているものならば、他の材質、例えば、亜鉛のダイキャストステンレス等から構成するものでもよい。
また、スピンドル3の両端部と測定子4及びストップねじ5とを接着固定する構造でもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、一端に被測定物と接触する測定子が設けられ被測定物側に付勢されるスピンドルをフレームに移動自在に支持し、このスピンドルの移動量から被測定物の直線変位を測定する低測定力型直線変位測定機において、スピンドルおよびフレームをアルミニウムから構成し、測定子はその基端部に雄ねじが形成され、スピンドルは、円筒状に形成され、スピンドルの一端に測定子の雄ねじが螺合され、スピンドルの他端にスピンドルの移動を規制するストップねじが螺合され、かつ、スピンドルの周面にキー穴が形成されるから、温度ドリフトの発生を避けることができ、その上、スピンドルに測定子等を取り付けるに際して、中間部材や補助材を用いることがないので、組立作業性が向上するとともに、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる低測定力型直線変位測定機の全体構成を示す分解斜視図である。
【図2】ズピンドルを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 低測定力型直線変位測定機
2 フレーム
3 スピンドル
4 測定子
7 検出手段
Claims (2)
- 一端に被測定物と接触する測定子が設けられ、かつ、被測定物側に付勢されるスピンドルをフレームに移動自在に支持し、このスピンドルの移動量から被測定物の直線変位量を測定する低測定力型直線変位測定機であって、前記スピンドルおよび前記フレームをアルミニウムから構成し、前記測定子はその基端部に雄ねじが形成され、前記スピンドルは、円筒状に形成され、前記スピンドルの前記一端に前記測定子の前記雄ねじが螺合され、前記スピンドルの他端に前記スピンドルの移動を規制するストップねじが螺合され、かつ、前記スピンドルの周面にキー穴が形成されたことを特徴とする低測定力型直線変位測定機。
- 請求項1記載の低測定力型直線変位測定機において、前記スピンドルは、その表面に硬質の酸化膜が形成されていることを特徴とする低測定力型直線変位測定機。
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JP10105696A JP3638712B2 (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | 低測定力型直線変位測定機 |
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- 1996-04-23 JP JP10105696A patent/JP3638712B2/ja not_active Expired - Fee Related
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