JP3633810B2 - 真空蒸着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種フィルム状製品の製造に適する真空蒸着装置に関し、詳しくは、真空槽内を走行するフィルムに異なる元素からなる混合膜を形成するための真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空槽中を走行する高分子フィルムに薄膜を蒸着・形戒する方法として、例えば特開平2−236273号公報に記載されている方法がある。この方法は、移動する高分子フィルムと直行する方向に、高分子フィルムの幅方向を越えて対向・配置された横長の蒸発源に、無走査電子銃から電子線を照射して加熱し、高分子フィルム上に薄膜を形成させる。そして、電子銃から電子線を照射する際、電子線が蒸着源の各位置で同じ入射角度になるように磁界を制御して行うようになっている。
【0003】
しかしながら、この方法では蒸着した膜厚をモニタする手段が無いため、例えば、真空槽の真空度が変化したり、蒸着材料の表面形状が変化するなどにより蒸着速度が変化した場合に、蒸着膜の厚みが変化して一定しないという問題があった。又、この方法は、複数の蒸着材料を同時に蒸着させて、これらの蒸着材料による混合膜を高分子フィルム上に形成することはできない。
【0004】
かかる問題を解決するために発明された真空蒸着装置として、例えば、真空槽内の蒸着源を電子銃で加熱した際の蒸発量の一部を検出する検出器と、この検出器での検出値に基づいて前記蒸着源の出力を制御する手段とを備えた構造のものがある。この方式の検出器は水晶振動子を備えていて、水晶振動子に蒸着膜が付着すると、膜厚に依存して振動周波数が変動する原理を利用している。この真空蒸着装置は、蒸着源からの蒸発量の一部を制御指標として高分子フィルム上に製膜された薄膜の厚みを間接的に制御する。
【0005】
しかしながら、上述した検出器は種類の異なる複数の蒸着源を有する場合には、検出した信号を各々の成分情報に分解することができず、その結果、化学組成比および厚みの制御の精度が著しく低下するという問題があった。又、間接制御のために、例えば蒸着時の蒸発ビーム方向が変わった場含には、検出器の測定値と実測値が合わなくなることもあった。更に、上記検出器は検出器への総蒸着量の制限から、長時間の連続計測を行う場合に、計測途中で検出器を切り替える等の対策が必要となり、計測の信頼性にも間題があった,
かかる問題を解消した装置として、例えば特開平1−208465号公報に記載の装置がある。この装置は、蒸着後の基板上の蒸着膜に電子線を鋭角に入射して特性X線を励起させるための電子銃と、この特性X線強度を測定する検出器と、この検出器での検出値に基づいて各蒸着源の出力を制御する手段とを備える。この装置では、蒸着薄膜の直接計測が可能なため、上述した装置に比べて製膜性は向上する。
【0006】
しかしながら、上記特性X線はRHEED(高エネルギー電子線)を蒸着膜に鋭角に入射することにより励起されるため、蒸着薄膜のごく表層の情報しか得ることができない。つまり、蒸着薄膜全体の情報が得られるわけではないため、混合膜の組成比および総厚みが一定である蒸着膜を製膜する装置としては、十分な情報が得られず問題であった。又、特性X線の励起源が高エネルギー電子線であることから、照射された部分の蒸着膜表面を破損するという問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の装置では2種類の成分からなる混合膜を走行フィルムの幅方向および走行方向に均一に分散・形成させ、しかも一定の組成比および厚みとなるように、長時間連続的に、且つ、安定に形成することは困難であった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点を解消し、走行中のフィルム表面に異なる元素からなり、所定の組成比および目標厚みを有する混合膜を、連続的、且つ均−に形成できる真空蒸着装置を提供することにある。尚、本発明において「フィルム」とは、幅および長さに対して厚みの薄い形状の材料を総称するものとし、本来のフィルムのみならずシート状材料を含む概念として用いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る真空蒸着装置の特徴構成は、真空槽内を走行するフィルムに異なる元素からなる混合膜を形成する真空蒸着装置において、異なる種類の蒸着材料を保持可能な保持手段と、前記蒸着材料を加熱して蒸着させる加熱手段と、この加熱手段によ形成された前記フィルム上の混合膜にX線を照射するX線照射手段と、このX線照射手段により励起された特性X線の強度を測定する半導体検出器と、前記混合膜の各成分毎の厚みデータを出力する測定手段とを備えていて、前記測定手段にて出力された厚みデータに基づいて、前記加熱手段を自動的に制御する制御手段を備えると共に、前記制御手段は、複数の厚みモニタ装置により測定される厚みデータを基に前記各厚みモニタ装置間の蒸着膜の厚みデータを近似予測する演算手段を備えることにある。
【0010】
この構成によれば、保持手段に保持された異なる種類の蒸着材料から蒸発した蒸着成分により、走行フィルムに形成された混合膜から、直接、且つリアルタイムで各成分毎の特性X線強度を測定できるので、かかる測定値から各々の混合膜形成成分の厚みデータに換算・出力でき、この厚みデータに基づいて、例えば別に設けた制御手段により予め設定された各成分の目標値と比較し、これらの偏差値を求める等の処理が可能になる。このようにすると、かかる処理に基づいて加熱手段をフィードバック制御することができるようになり、所定の化学組成を有し、旦つ目標とする厚みの混合膜を高精度にフィルムに製膜できる。しかも、蒸着された混合膜形成成分の厚みデータを検出するのにX線を照射するようにしているため、高エネルギー電子線の照射と異なり、混合膜を破損することがない。又、半導体検出器を用いるので、装置全体がコンパクトに構成でき、複数の検出器の配置をしても広いスペースを占めることがなく、フィルム幅方向にわたって高精度の測定が可能になる。しかも、前記測定手段にて出力された厚みデータに基づいて、前記加熱手段を自動的に制御する制御手段を備えているので、出力された厚みデータに対応して加熱手段を制御することにより、フィルムの全幅、全長さ方向にわたって所望の厚みに製膜できて都合がよい。更に、前記制御手段は、複数の厚みモニタ装置により測定される厚みデータを基に前記各厚みモニタ装置間の蒸着膜の厚みデータを近似予測する演算手段を備えているため、測定された情報を基に測定点間の厚みを近似予測することから、制御性は一層向上すると共に、特に少ない厚みモニタ装置の配置でも精度の良い制御ができて都合がよい。その結果、走行中のフィルム表面に異なる元素の混合膜の組成比および目標厚みを有する混合膜を連続的、且つ均一に形成できる真空蒸着装置を提供することができた。
【0011】
前記X線照射手段は、厚みを測定する混合膜に対して略垂直に照射することが好ましい。このようにすることにより、励起される特性X線を混合膜の厚み方向全体の情報として得ることができて都合がよい。ここに「略垂直」とは、計測上厳密な意味での垂直のみならず、その近似姿勢を含む概念として用いる。
【0012】
前記X線照射手段および前記検出器からなる厚みモニタ装置は、フィルム幅方向に略等間隔で千鳥状に配置されるか、又は、フィルム幅方向に―列に略等間隔で配置されることが好ましい。厚みモニタ装置を千鳥状に配置すると、厚みモニタ装置の形状の制約を受け難いため、混合膜の全幅において多くの厚み情報を同時に、且つリアルタイムに正確な計測できて都合がよい。又、厚みモニタ装置をフィルム幅方向に対して一列に略等間隔で配置すると、装置数が少なくて済み比較的安価に構成できて、しかも混合膜の略全幅を同時に、且つリアルタイムに計測できて都合がよい。しかも、上記のようにすると複数の厚みモニタをフィルム幅方向に対面配置しても、厚みを測定する混合膜に対してX線を略垂直に照射できる。ここに「略等間隔」とは、計測上厳密な意味での等間隔のみならず、多少の間隔のずれを含む概念として用いる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態における真空蒸着装置の概略構造を示す。この真空蒸着装置は、フィルム状の被蒸着材料として、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)などの高分子フィルムを例に用いた。真空槽6の巻き出しロール1にセットされた高分子フィルム18は冷却ロール3上を走行し、測定ロール5を通り、巻き取りロール2で巻き取られる。真空槽6内の真空度は、油拡散ポンブ(図示略)等からなる排気系10により所定の真空度に維持される。尚、図番8は被蒸着材料上に均一で良好な蒸着膜を形成するための遮蔽板である。
【0016】
真空槽6の底部に、蒸着材料16を保持する保持手段の一例である坩堝9が配置されていて、この坩堝9は、加熱手段の一例である電子銃4に向かって高分子フィルム18の被蒸着面と平衡関係を保ちながら低速で移動するようになっている。つまり、坩堝9は移動する高分子フィルムに対して蒸着条件が一定に保たれるように、図1の電子銃4に対して接近または離間することにより、坩堝9内に収納されている蒸着材料を照射する電子線の照射条件(電子銃と電子材料との距離など)ができるだけ一定になるように配置されている。電子銃4は、坩堝9に収納された蒸着材料17に対して電子線19を照射する。電子線19により加熱・蒸発された蒸着材料の一部は、冷却ロール3上を走行する高分子フィルム18の被蒸着面に蒸着される。
【0017】
次に、真空槽6の上部に配置され、高分子フィルム18の表面に蒸着された薄膜の厚みを測定するための厚みモニタ装置7について説明する。このモニタ装置7には、膜構成成分から特性(蛍光)X線を励起させるためのX線発生装置7aが測定ロール5に対して略垂直に配置されている。X線発生装置7aから、測定ロール5上を走行する蒸着後の高分子フィルム18に略垂直に照射されたX線により励起された特性X線の―部は、測定ロール5表面に対して30°の角度に配置されたSi(Li)半導体(シリコンを添加したリチウム半導体)検出器7bに導かれる。半導体検出器7bでは、入射する特性X線のエネルギーに比例した微弱電流パルスが生じる。この電流パルスは、プリアンプ11にて電流パルスの量に比例した電圧パルスに変換される。更に、アンプ12によって増幅された後、波高分析器13にてエネルギースペクトルが形成される。このエネルギースペクトルに変換された特性X線強度は、厚み演算器14にて各々の元素での厚みに変換された後、制御量演算器15に入力される。ここに、前記厚みモニタ装置7、プリアンプ11、アンプ12、波高分析器13、厚み演算器14は、オンライン厚み測定手段を構成する。
【0018】
制御量演算器15は、予め設定された各元素の目標とする基準厚みデータと、入力された各々の測定厚みデータとを比較して偏差値を求める。得られた偏差値情報に基づいて、電子銃を制御するために制御データが自動的に生成される。この制御データは、電子銃制御装置16に送られる。電子銃制御装置16は、入力された制御デ−タに従って電子銃4の投入電力と電子線の走査時間を制御する。ここに、制御量演算器15、電子銃制御装置16は制御手段を構成する。
【0019】
【実施例】
以下に、実際に行った例を参考例と共に示す。
【0020】
参考例
蒸着にされる高分子フィルム18として、ポリエチレンテレフタレ一ト(PET)フィルム(東洋紡績(株)製、E5100:商品名)を用いた。その他使用可能な高分子フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン4、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられるが、高分子フィルムとして特に材料に限定されるものではない。
【0021】
蒸着材料(蒸着源)として3〜5mm程度の大きさの粒子状をした酸化アルミニウム(Al23 、純度99.5%)と酸化珪素(SiO2 、純度99.9%)を用いた。これらの材料を保持する一個の坩堝は銅製であり、底部に外形20mmΦの冷却用水冷管21を設けた構造とした。冷却水の流量は略4m3 である。この坩堝9内には、蒸着材料をフィルム幅方向に対向して交互1列に配置させるために、2mm厚みのカーボン製しきり板20を幅方向100mm間隔で配置させ、計8ブロックの材料を収納できる構造とした。このしきり板20は、後述する電子銃4の電子線19が各蒸着材料に入射される角度と略等しい角度に傾斜して配置されている。しきり板20によって確保された各ブロックには、前記2種類の蒸着材料を交互に均一に収容した。図2、3に、本参考例で用いた坩堝9の概略構造を示す。
【0022】
電子銃4として、250kWのものをフィルム幅方向に平行に配置した坩堝9に対面するように配置した。この電子銃4により、坩堝内に交互配置されたSiO2 が4ブロック、Al23 が4ブロックの計8ブロックの蒸着材料を蒸着させる仕様とした。この参考例では1台の電子銃を便用したが、坩堝9に投入する総エネルギー量が1台で確保できない場合や広幅の高分子フィルムを蒸着する場合などでは、複数の電子銃を使用して、蒸着領域を分割する方法を採用してもよく、電子銃の設置台数は特に限定されない。
【0023】
蒸着中の真空槽内圧力は、4×10−4Pa以下を常時確保できるような排気系とした。具体的には、50000L/秒の油拡散ポンプを真空槽底部に直接接続する構造にした。尚、蒸着後の混合膜層の厚みは、測定ロールの略真上で、且つ高分子フィルム18の幅方向の中央に配置された厚みモニタ装置7にて連続的に測定した。
【0024】
次に、厚みモニタ装置7を詳細に説明する。まず、ロジウムのX線管7aに40kV、50mAの電流を流して、測定ロール5上を走行中のフィルム18に垂直に一次X線を照射した。この場合、フィルム18上の蒸着膜に照射されるX線は、コリメートされた30mmφの光束である。このX線により励起された特性(蛍光)X線の一部は、混合膜の測定位置から略等距離にあり、且つ測定ロール面5に対して略30゜の入射角度で配置された半導体検出器7bに導かれる。半導体検出器7bはSiとAlの元素成分の特性エネルギ−強度を受けると微弱電流を出力し、電圧値(0〜5V)に変換された後、A/D変換器(図示略)にて12ビットのデジタル信号に変換され出力される。尚、本参考例では半導体検出器をSi(Li)半導体検出器としたが、Ge(Li)半導体検出器や高純度Ge半導体検出器または高純度Si半導体検出器を使用しても良く、特に半導体の組成を限定するものではない。但し、エネルギー分布が均衡しているSiとAlのような元素の厚みを測定する場合に、エネルギー分解能の高いSi(Li)半導体検出器を用いることが好ましい。
【0025】
その他の特性X線の検出方法として比例計数管等を用いる方法があるが、これらは、事前に特性X線波長を対象元素に依存する波長に絞るための結晶分光板が必要となることや、抽出する元素の数だけ分光結晶板と比例係数菅が必要となるため、装置が大掛かりになるという問題がある。
【0026】
波高分析器13に入力されたデジタル信号は、横軸がエネルギー、縦軸が計数値(強度)のエネルギースペクトルに変換される。このスペクトルデータから、Siのエネルギーである1.84keVの強度とAlのエネルギーである1.56keVの強度を求めて厚み演算器14にて各々の厚みに換算した。尚、換算法は厚みが既知である複数の蒸着サンプルでの蒸着膜厚とX線強度の検量線を事前に作成しておき、この検量線に基づいて厚みデータに変換する方法を採用した。
【0027】
厚みモニタ装置7は、フィルムの幅方向では各蒸着材料の略真上に配置できるように、干鳥状に2列に計8台を配置した。その配置例を図6(a)に示す。各厚みモニタ装置7の幅方向の間隔は、100mmである。尚、千鳥配置の間隔、配列数および台数などは、蒸着フィルムの幅寸法や蒸着薄膜の要求品質に基づいて決定すれば良く、特に限定されるものではない。
【0028】
厚み演算器14で演算されて出力された厚みデータは、制御量演算器15に送られる。ここでは、厚みデータに基づいて電子銃の投入電力量と電子線の滞在時間が計算される。これらの制御データは、実験にて求められる各々の坩堝での蒸発速度(蒸着厚みに相当)と投入エネルギーとの関係式を基に計算した。図4は、坩堝9での投入エネルギ−とフィルム堆積厚みとの関係を表した結果である。図中、A1、A2、A3、A4は坩堝中のAl の各位置を示し、S1、S2、S3、S4は坩堝中のSiO の各位置を示すもので、交互に異なる成分が隣接して、フィルムの幅方向に対向するように順次配置されている。図4から判るように、現在の厚みと目標値との偏差値に相当するエネルギ−量を現在値に加算または減算して出力することにより、目的の厚み及び組成比に制御できる。但し、こらの材料に投入されるエネルギーは、同じ電子銃4から照射される電子線19が源であるため、実際は電子線の滞在時間を各々の坩堝に対して変化させることにより各材料へ投入されるエネルギーを分配できる。これらの関係式を次に示す。
【0029】
tan =[Pan /(ΣPa+ΣPs)]×t0
ここに、
tan :酸化アルミニウム・ブロックnでの電子線走査時間
Pan :酸化アルミニウム・ブロックnに投入するエネルギー量
ΣPa:計4ブロックの酸化アルミニウムに投入する総エネルギ量
ΣPs:計4ブロックの酸化珪素に投入する総エネルギー量
t0 :ハードウェアーに依存する時間定数(ms:ミリセカンド)
各蒸着ブロックから蒸発するガスの分布は、坩堝中の各蒸着材料の蒸発特性を示す図5の31(酸化珪素・ブロックからの蒸発成分)、32(酸化アルミニウムーブロックからの蒸発成分)に示すように、真上が最も強度が高く、横に広がる程、強度が低下する分布を示す。この分布強度および形状は、電子ビ−ムの強度、電子線が入射される角度、電子銃と坩堝までの距離および蒸発面積に主に依存する。従って、薄膜を形成するフィルムの幅方向および走行方向に組成比が同じで、且つ目標とする総厚みが均一な膜を形成させるためには、蒸着材料の配置が最も重要である。本参考例における材料の配置は、図2、3に示す通りであり、電子銃と最も近い坩堝表面までの距離を1000mmとした。尚、図中A、Sは夫々Al23 、SiO2 が収納されていることを示す。
【0030】
蒸着材料は、図3に示す薄いしきり板20で材料を分割して配置し、前述した条件にて高分子フィルム18の蒸着を行った。フィルムの走行速度は300m/分であり、計40,000mを蒸着した。坩堝は、電子銃方向に向かって2mm/分の速度で移動させた(駆動装置は図示略)。
自動制御の効果を確認するために自動制御を行った場合と、モニタ装置のみ動作状態として制御系を切り離した場合とを比較した。尚、自動制御の制御周期は30秒とした。その結果を表1に示す。自動制御を行わない場合には、総厚み変動および組成比変動が大きいのに対して、自動制御を行うと、非常に安定な膜が形成されることが判る。
【0031】
(実施例
厚みモニタ装置7を、フィルム幅方向に一列に等間隔に計4台配置した。配置例を図6(b)に示す。各モニタ装置7の幅方向の間隔は、200mmである。本実施例では、参考例のように各蒸着材料真上の蒸着膜の厚みすべては計測できない。この課題を解決するために、測定データを基にその間の厚みを直線近似にて予測して各坩堝を制御する方法を実施した。尚、本実施例では近似予測手段を一次式にて行ったが、測定点が多い場含には多項式による近似などでも良く、特に限定するものではない。その他の実施条件は、参考例と同じである。
【0032】
自動制御の効果を確認するために自動制御を行った場合と、厚みモニタ装置のみ動作状態として制御系を切り離した場合とを比較した。尚、自動制御の制御周期は30秒とした。その結果を表1に示す。自動制御を行わない場合には総厚み変動および組成比変動が大きいのに対して、自動制御を行うと、非常に安定な膜が形成されることが判る。
【0033】
【表1】
Figure 0003633810
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、真空槽としていわゆる1チャンバー式を用いた例を示したが、フィルム等の被蒸着材料を走行する室と蒸着材料を加熱する室とを異なる減圧状態にして真空蒸着を行う、いわゆる2チャンバー式の装置にも、本発明を適用できる。
【0034】
(2)上記実施形態では、被蒸着材料の巻き出しロール及び巻き取りロールを真空槽内に配置した例を示したが、巻き出しロール及び巻き取りロールを蒸着する真空槽外に配置し、蒸着を高真空槽内で行う連続方式の装置にも適用できる。
【0035】
(3)上記実施形態では、フィルム状の被蒸着材料として高分子フィルムを例に挙げたが、被蒸着材料としては紙、布などでもよい。又、蒸着材料として、上記した酸化アルミニウムと酸化珪素以外に、種々の元素、化合物を使用することができ、更に2種以上の蒸着材料を用いて2種以上の元素または成分からなる混合膜を形成するようにしても良い。
【0036】
(4)上記実施形態では加熱手段を電子銃としたが、坩堝を誘導加熱コイルにより加熱する蒸着装置にも適用できる。
【0037】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば走行中のフィルム表面に異なる元素の混合膜の組成比および目標厚みを有する混合膜を、フィルム幅方向および走行方向に対して長時間連続的に、且つ均一に安定して形成できる真空蒸着装置を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る真空蒸着装置の概略全体構成図
【図2】本発明の一実施形態に係る真空蒸着裴置に用いる坩堝とその配置を説明する図
【図3】図2の坩堝の構造を説明する図
【図4】坩堝投入エネルギー量とフィルム蒸着速度との関係を説明するグラフ
【図5】各蒸着材料ブロックの蒸着特性を説明するグラフ
【図6】モニタ装置の配置方法を説明する図
【符号の説明】
4 加熱手段
6 真空槽
7 厚みモニタ装置
7a X線照射手段
7b 半導体検出器
9 保持手段
15,16 制御手段
18 フィルム

Claims (4)

  1. 真空槽内を走行するフィルムに異なる元素からなる混合膜を形成する真空蒸着装置において、異なる種類の蒸着材料を保持可能な保持手段と、前記蒸着材料を加熱して蒸着させる加熱手段と、この加熱手段によ形成された前記フィルム上の混合膜にX線を照射するX線照射手段と、このX線照射手段により励起された特性X線の強度を測定する半導体検出器と、前記混合膜の各成分毎の厚みデータを出力する測定手段とを備えていて、前記測定手段にて出力された厚みデータに基づいて、前記加熱手段を自動的に制御する制御手段を備えると共に、前記制御手段は、複数の厚みモニタ装置により測定される厚みデータを基に前記各厚みモニタ装置間の蒸着膜の厚みデータを近似予測する演算手段を備えることを特徴とする真空蒸着装置。
  2. 前記X線照射手段により照射されるX線は、前記混合膜に対して略垂直に照射される請求項1の真空蒸着装置。
  3. 少なくとも前記X線照射手段および前記検出器からなる厚みモニタ装置が、前記フィルム幅方向に略等間隔で千鳥状に配置される請求項1又は2の真空蒸着装置。
  4. 少なくとも前記X線照射手段および前記検出器からなる厚みモニタ装置が、前記フィルム幅方向に一列に略等間隔で配置される請求項1又2の真空蒸着装置。
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