JP3631816B2 - 板金製部材の筒状壁形成方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板金製部材の筒状壁形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、板金製プーリや板金製ポリVプーリのV溝を形成するための筒状壁は板金をプレスによる方法や、フラットローラを用いる方法によって形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の方法とはまったく異なる方法によって板金製部材の筒状壁を形成しようとするものである。本発明は、板金製部材としての円筒部や筒部を軸方向に延伸して筒状壁に形成することができ、また、そのようにして形成された筒状壁の外面が平滑になるような板金製部材の筒状壁形成方法を提供することを解決課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、板金製部材としての円筒部の内面を回転型で支えてその回転型と共に上記板金製部材を回転させ、上記円筒部の外面に螺旋凸条を備える螺旋ローラの上記螺旋凸条を押し付けてこの螺旋ローラを連れ回りさせながら上記円筒部に材料流れを生じさせることによりその円筒部を軸方向に延伸させて筒状壁とする、というものである。
【0005】
この方法であると、螺旋ローラの螺旋凸条による円筒部の外面の押付箇所が、円筒部に対する螺旋ローラの連れ回りにより円筒部の軸方向に移動する。そして、円筒部の材料すなわち肉が螺旋凸条の山部と山部の間の谷形空間に沿って上記螺旋凸条の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に円筒部が軸方向に延伸されて筒状壁が形成される。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載したものに加え、螺旋ローラが、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向が反対向きで同一ピッチの2種類の螺旋凸条を各別に備え、この2種類の螺旋凸条を円筒部の外面に押し付ける、というものである。
【0007】
この方法であると、円筒部の肉が2種類の螺旋凸条の螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部が軸方向に延伸されて筒状壁が形成される。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載したものに加え、螺旋ローラが、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向が反対向きでピッチの異なる2種類の螺旋凸条を各別に備え、この2種類の螺旋凸条を円筒部の外面に押し付ける、というものである。
【0009】
この方法であると、円筒部の肉が2種類の螺旋凸条の螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部が軸方向に延伸されて筒状壁が形成される。この点で請求項2に係る発明と同じである。しかし、請求項3に記載した方法であると、2種類の螺旋凸条のピッチが異なっているので、円筒部の肉の運ばれる量が各螺旋凸条によって異なるので、円筒部の延伸量が、片側の螺旋凸条に押圧される側と他側の螺旋凸条に押圧される側とで異なる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載したものに加え、円筒部への螺旋ローラの押付箇所とは異なる箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面を備えるフラットローラを、内面が回転型で支えられた上記円筒部の外面に押し付けて連れ回りさせる、というものである。
【0011】
この方法であると、常に、フラットローラによってある程度フラットに仕上げられた円筒部の外面に螺旋ローラが押し付けられるので、螺旋ローラの螺旋凸条により円筒部の肉が運ばれやすくなる。
【0012】
請求項5に係る発明は、板金製部材としての筒部の内面を回転型に具備された円錐形成形面で支えてその回転型と共に上記板金製部材を回転させ、上記筒部の外面に、上記円錐形成形面の母線に沿う母線を有する仮想円錐面上に螺旋凸条が形成された螺旋ローラの上記螺旋凸条を押し付けてこの螺旋ローラを連れ回りさせながら上記筒部に材料流れを生じさせることによりその筒部を上記円錐形成形面の母線に沿う方向に延伸させて筒状壁とする、というものである。
【0013】
この方法であると、螺旋ローラの螺旋凸条による筒部の外面の押付箇所が、筒部に対する螺旋ローラの連れ回りにより筒部の母線方向に移動する。そして、筒部の材料すなわち肉が螺旋凸条の山部と山部の間の谷形空間に沿って上記螺旋凸条の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に筒部がその母線方向に延伸されて円錐状の筒状壁が形成される。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載したものに加え、筒部への螺旋ローラの押付箇所とは異なる箇所で、母線方向にフラットな成形面を備えるフラットローラを、内面が回転型で支えられた上記筒部の外面に押し付ける、というものである。
【0015】
この方法であると、常に、フラットローラによってある程度フラットに仕上げられた筒部の外面に螺旋ローラが押し付けられるので、螺旋ローラの螺旋凸条により筒部の肉が運ばれやすくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は請求項1に係る発明の実施の一形態を示した説明図である。同図の左半分は2つの回転型1,2によって支えられた板金製部材(ワーク)としての円筒部81に螺旋ローラ5を対向させて配備した場合を示している。同図の右半分は、上記円筒部81が軸方向に延伸されて筒状壁8となされる途中工程を示している。
【0017】
上記円筒部81は円形の基板部80の外周に形成されており、その基板部80の中央部に膨出部82が形成されている。そして、第2回転型2に被せられた上記円筒部81の内面が、その第2回転型2の円筒状の成形面21で支えられている。この成形面21の端部には、第2回転型2に凹入状に形成された溝形面22が備わっている。また、上記基板部80や膨出部82が第2回転型2と第1回転型1とによって挾み付けられている。
【0018】
螺旋ローラ5は、外周面に螺旋凸条51を備えており、この螺旋凸条51によって形成される山部52と谷形空間53とが軸方向に交互に並んでいる。
【0019】
図1左半分に示した円筒部81を同図右半分に示した筒状壁8に形成していくには、同図左半分のように、回転型2で支えた円筒部81を回転型1,2と共に回転させ、螺旋ローラ5を図中右方向(矢符A)に移動させてその螺旋凸条51を円筒部81の外面に押し付けてこの螺旋ローラ5を軸方向に移動させることなく連れ回りさせる。こうすると、螺旋ローラ5の螺旋凸条51による円筒部81の外面の押付箇所、すなわち円筒部81の外面に対する螺旋凸条51の山部52の複数の接触箇所が、螺旋ローラ5の連れ回りにより円筒部81の軸方向一端側(図中では下端83側)に向かって同じ速さで移動する。この操作により、同図右半分に矢符aで示したように円筒部81に材料流れが生じる。このため、円筒部81の材料すなわち肉が螺旋凸条51の山部52と山部52の間の谷形空間53に沿って上記螺旋凸条51の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に円筒部81が軸方向に延伸されて同図右半分に示したような筒状壁8が形成される。ここで、螺旋ローラ5の押付力は5〜6ton程度に設定しておけばよい。この点、外周面がフラットな成形ローラを用いる従来の方法では、円筒部を延伸して筒状壁にする場合に8〜10ton程度の押付力が必要になる。なお、円筒壁81はそれが延伸されるのに伴って次第に薄肉化されるので、その薄肉化の進行に応じて螺旋ローラ5を回転型1,2側に徐々に移動させる。このようにすると、螺旋ローラ5の螺旋凸条51が常に円筒部81に押し付けられるので、上記の筒状壁形成工程が最後まで連続して行われる。
【0020】
ここで、螺旋凸条51が右ねじの方向に延びているとき、すなわち図1のように螺旋ローラ5の軸方向がたとえば上下方向に一致していて螺旋凸条51の側面視が右上がりになっているときには、螺旋凸条51の上端が螺旋の始点に相当し、螺旋凸条51の下端が螺旋の終点に相当する。したがって、円筒部81の肉を螺旋凸条51の螺旋の終点方向に向かって運ばせるためには、螺旋ローラ5の連れ回り方向が上から見て半時計方向Yになるように、第1回転型1と第2回転型2の上から見た回転方向を時計方向Xにしておく必要がある。各回転型1,2や螺旋ローラ5の軸方向が水平方向に一致して配備されているときには、上述した点に準じて各回転型1,2の回転方向や螺旋ローラ5の連れ回り方向を定める必要がある。
【0021】
図2に、円筒部81が所定長さに延伸されて筒状壁8になされるまでの間、螺旋ローラ5を円筒壁81に押し付けておくための機構を説明的に示してある。この機構は、螺旋ローラ5を回転自在に支えている杆体54をガイド55で出退自在に支持させ、このガイド55と杆体54との間に杆体54を常時退入方向に付勢するばね56を設けると共に、偏心カム58に杆体54に設けた摺動子57を接触させた構成になっている。この機構によれば、偏心カム58が一回転することによって螺旋ローラ5が出退動作を一回だけ行うので、偏心カム58が半回転するまでの間に上述した筒状壁8の形成工程が終了するように制御することが可能である。この機構の代わりに、油圧を利用した押付機構を採用することも可能である。
【0022】
図3は請求項4に係る発明の実施の一形態を平面的に見て表した説明図である。この実施形態において、円筒部81の内面を回転型(不図示)で支えてその回転型と共に円筒部81を回転させる点や、円筒部81の外面に螺旋ローラ5の螺旋凸条51を押し付けてこの螺旋ローラ51を連れ回りさせながら円筒部81に材料流れを生じさせることによりその円筒部81を軸方向に延伸させて筒状壁8とする点は、図1で説明したものと同様である。
【0023】
この実施形態において、図1で説明したものと異なる点は、円筒部81への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所、具体的には同図のように円筒部81を挾んでその反対側の箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面91を備えるフラットローラ9を、円筒部81の外面に押し付けて連れ回りさせるという点だけである。
【0024】
この方法であると、螺旋ローラ5の螺旋凸条51により筒状部81の外面に形成されるわずかな凹凸状の材料流れの痕跡が、筒状部81の回転によって再び螺旋凸条51との接触箇所に達するまでの間に、フラットローラ9の成形面91によってある程度フラットに仕上げられる。そして、そのようにある程度フラットに仕上げられた円筒部81の外面に再び螺旋ローラ5の螺旋凸条51が押し付けられるので、螺旋凸条51により円筒部の肉が円滑に運ばれやすくなって、円筒部81が一定長さにまで延伸されるまでの時間が短縮される利点がある。
【0025】
図4に螺旋ローラ5における螺旋凸条51のピッチを符号Pで、つる巻角を符号αでそれぞれ示してある。ピッチPは、つる巻角αが大きくなれば大きくなり、つる巻角αが小さくなれば小さくなる。そして、ピッチPやつる巻角αの大きさは、図1や図3で説明した方法を行うときの、螺旋凸条51が押し付けられて延伸される円筒部81の外面状態や工程進行時間に影響を及ぼす。具体的には、ピッチPやつる巻角αが大きすぎると、螺旋凸条51の螺旋の終点方向に運ばれる円筒部81の肉に流動むらが生じて円筒部81の外面に材料流れの痕跡が大きな凹凸として残りやすくなるので、その後に筒状壁8の外面を平坦に加工するのに手間がかかるようになる。また、螺旋凸条51に加わる負荷が大きくなって螺旋ローラ5の耐用寿命が短くなる。他方、ピッチPやつる巻角αが小さすぎると、円筒部81の肉の運び速度が遅くなって工程進行時間が長くなる。適切なピッチPは3.5〜5.0mm、適切なつる巻角αは機械角で10′〜3°(10分〜3度)であり、ピッチPやつる巻角αがこの範囲であると、円筒部81の外面に生じる材料流れの痕跡がそれほど大きな凹凸にならなくなって、後の平坦化加工が不必要になるか、必要であっても手間をかけずに平坦化することが可能になる上、螺旋ローラ5に極端に無理な力が加わることがなく、さらに、工程進行時間も短くなる。
【0026】
図5は螺旋凸条51の形状を断面で示してある。同図のように、螺旋凸条51の山部52の頂部の半径R2が谷形空間53を形作っている谷面の半径R1よりも小さいことが望ましく、この条件下で、図示のように谷面が螺旋ローラ5の軸方向において円弧状に湾曲していると、上述した円筒部81の肉が無理なく谷形空間53に収容されて螺旋の終点方向に運ばれるようになるので、円滑に工程を進行させる上で好ましい。山部52の頂部の適切な半径R2の長さは、頂部が先尖り状にならない程度であり、また、谷面の適切な半径R1は0.4mm程度である。また、谷形空間53の深さDは0.2〜0.5mmであればよく、この深さDが深すぎると山部52の強度が弱くなって螺旋ローラ5の耐用寿命が短くなる。また、深さDが浅すぎると、円筒部81の肉の収容能力が小さくなりすぎるおそれがある。
【0027】
図6および図7は請求項2に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法に用いられる螺旋ローラ5は、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向(つる巻方向)が反対向きで同一ピッチの2種類の螺旋凸条51a,51bを各別に備えている。そして、この方法では、図6のように2種類の螺旋凸条51a,51bが円筒部81の外面に押し付けられ、それによって図7のように筒状壁8が形成される。この実施形態において、円筒部81の内面を回転型1,2で支えてその回転型1,2と共に円筒部81を回転させる点や、円筒部81の外面に押し付けられた螺旋ローラ5が連れ回りする点は、図1で説明したものと同様である。また、回転型1,2や螺旋ローラ5の回転方向X,Yは図1で説明したところに準じる。
【0028】
この方法であると、円筒部の肉が図7の矢符a,bのように軸方向両側、すなわち、2種類の螺旋凸条51a,51bの螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部81が軸方向両側に延伸されて筒状壁8が形成される。
【0029】
この方法を実施するときに、図3で説明したように円筒部81への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面91を備えるフラットローラ9を、内面が回転型2で支えられた上記円筒部81の外面に押し付けて連れ回りさせる、という方法を採用することが可能であり、そのようにすると、図3で説明したように、工程を速やかに進行させることができるようになる。
【0030】
図8は請求項3に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法に用いられる螺旋ローラ5は、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向(つる巻方向)が反対向きでピッチP1,P2の異なる2種類の螺旋凸条51c,51dを各別に備えている。そして、この方法では、図8のように2種類の螺旋凸条51c,51dが仮想線で示した円筒部81の外面に押し付けられ、それによって実線のような筒状壁8が形成される。この実施形態において、円筒部81の内面を回転型1,2で支えてその回転型1,2と共に円筒部81を回転させる点や、円筒部81の外面に押し付けられた螺旋ローラ5が連れ回りする点は、図1で説明したものと同様である。また、回転型1,2や螺旋ローラ5の回転方向X,Yは図1で説明したところに準じる。
【0031】
この方法であると、円筒部の肉が図8の矢符a,bのように軸方向両側、すなわち、2種類の螺旋凸条51a,51bの螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部81が軸方向両側に延伸されて筒状壁8が形成される。その際、円筒部81の肉が螺旋凸条51c,51dによって運ばれる量は、小さいピッチP1の螺旋凸条51c側よりも大きいピッチP2の螺旋凸条51d側が多くなるので、延伸量が軸方向の一側と他側とで異なる。したがって、たとえば、基板部80の一側に短い筒状壁を作り、他側に長い筒状壁を作りたい場合にこの方法が有益である。
【0032】
この方法を実施するときに、図3で説明したように円筒部81への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面91を備えるフラットローラ9を、内面が回転型2で支えられた上記円筒部81の外面に押し付けて連れ回りさせる、という方法を採用することが可能であり、そのようにすると、図3で説明したように、工程を速やかに進行させることができるようになる。
【0033】
図6〜図8で説明した螺旋ローラ5、すなわち、捩じり方向が反対向きの2種類の螺旋凸条51a,51b(または51c,51d)を各別に備えた螺旋ローラ5は、たとえば図9のようにして構成することができる。同図において、5a,5bは捩じり方向が反対向きの螺旋ローラユニットであり、同図の螺旋ローラ5は、これらの螺旋ローラユニット5a,5bを重ね合わせて締結ボルト59によって固定してある。
【0034】
図10は請求項5に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法では、板金製部材としての円錐状の筒部85の内面が、回転型2に具備された円錐形成形面25で支えられてその回転型2と共に筒部85が回転される。また、この方法に使用される螺旋ローラ5は、上記円錐形成形面25の母線25aに沿う母線61を有する仮想円錐面上に螺旋凸条51が形成されている。
【0035】
そして、この方法においては、上記筒部85の外面に螺旋ローラ5の螺旋凸条51を押し付けてこの螺旋ローラ5を連れ回りさせながら上記筒部85に材料流れを生じさせることによりその筒部85を上記円錐形成形面25の母線25aに沿う方向に延伸させて筒状壁とする。
【0036】
筒部85が延伸して筒状壁になされる原理は、図1で説明したところと同様である。すなわち、筒部85の材料すなわち肉が螺旋凸条51の山部と山部の間の谷形空間に沿って上記螺旋凸条51の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に筒部が延伸されて円錐状の筒状壁が形成される。符号Aは、螺旋ローラ5の押付方向を示している。
【0037】
図11は請求項6に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法は、図3で説明したものと原理的に同じである。すなわち、筒部85への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所で、母線方向にフラットな円筒状の成形面95を備えるフラットローラ9を、内面が回転型2で支えられた上記筒部85の外面に押し付けて連れ回りさせる、というものである。このようにすると、図3で説明したように、工程を速やかに進行させることができるようになる。
【0038】
【実施例】
図1で説明した螺旋ローラ5を用いてカップ状板金製部材の円筒部81を延伸させて筒状壁8を形成した場合の実験例を示す。図12において、Lは円筒部81の外周直径、L1は円筒部81の軸方向長さ、L2は完成した筒状壁8の軸方向長さを示している。実験条件は以下の通りである。この実験によると、筒状壁8が初期の円筒部81よりも薄肉化され、プレスなどによって筒状壁8を形成した場合に比べて2割以上も材料費が軽減された。また、筒状壁8の形成に要する時間も大幅に短縮された。
螺旋凸条のピッチP1=3.5mm
螺旋ローラの直径=200mm
円筒部の外周直径L=130mm
カップ状板金製部材の厚さT=2.6mm
円筒部の初期の軸方向長さL1=15mm
完成した筒状壁の軸方向長さL2=30mm
所要時間=15秒
螺旋ローラの押付力=5ton
【0039】
【発明の効果】
請求項1や請求項5に係る発明は、螺旋ローラの作用で回転型で支えられた板金製部材としての円筒部または筒部に材料流れを生じさせることによりその円筒部または筒部を延伸させて筒状壁とするものであるから、従来とはまったく異なる方法で板金製部材の円筒部から筒状壁を形成することが可能になる。また、この方法であると材料費が低減され、また、円筒部を延伸して筒状壁にする工程を短時間で行えるようになる。
【0040】
請求項2や請求項3に係る発明によれば、板金製部材としての円筒部をその軸方向において両側に振り分けて延伸させることができるようになる。そして、特に請求項3に係る発明によれば、円筒部をその軸方向において両側に振り分けて延伸させるときに、各側の延伸量を異ならせることが可能になる。
【0041】
請求項4や請求項6に係る発明によれば、フラットローラによってある程度フラットに仕上げられた円筒部の外面に螺旋ローラが押し付けられるようになるので、円筒部を延伸して筒状壁にする工程に要する時間を短縮しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る発明の実施の一形態を示した説明図である。
【図2】螺旋ローラの押付機構を示す説明図である。
【図3】請求項4に係る発明の実施の一形態を平面的に見て表した説明図である。
【図4】螺旋凸条のピッチとつる巻角を示した説明図である。
【図5】螺旋凸条の形状説明図である。
【図6】請求項2に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図7】請求項2に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図8】請求項3に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図9】螺旋ローラの断面図である。
【図10】請求項5に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図11】請求項6に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図12】実験に用いた板金製部材の説明図である。
【符号の説明】
1,2 回転型
5 螺旋ローラ
8 筒状壁
9 フラットローラ
25 円錐形成形面
25a 円錐形成形面の母線
51 螺旋凸条
61 螺旋ローラ側の母線
81 円筒部
85 筒部
91,95 フラットローラの成形面
P,P1,P2 螺旋凸条のピッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、板金製部材の筒状壁形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、板金製プーリや板金製ポリVプーリのV溝を形成するための筒状壁は板金をプレスによる方法や、フラットローラを用いる方法によって形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の方法とはまったく異なる方法によって板金製部材の筒状壁を形成しようとするものである。本発明は、板金製部材としての円筒部や筒部を軸方向に延伸して筒状壁に形成することができ、また、そのようにして形成された筒状壁の外面が平滑になるような板金製部材の筒状壁形成方法を提供することを解決課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、板金製部材としての円筒部の内面を回転型で支えてその回転型と共に上記板金製部材を回転させ、上記円筒部の外面に螺旋凸条を備える螺旋ローラの上記螺旋凸条を押し付けてこの螺旋ローラを連れ回りさせながら上記円筒部に材料流れを生じさせることによりその円筒部を軸方向に延伸させて筒状壁とする、というものである。
【0005】
この方法であると、螺旋ローラの螺旋凸条による円筒部の外面の押付箇所が、円筒部に対する螺旋ローラの連れ回りにより円筒部の軸方向に移動する。そして、円筒部の材料すなわち肉が螺旋凸条の山部と山部の間の谷形空間に沿って上記螺旋凸条の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に円筒部が軸方向に延伸されて筒状壁が形成される。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載したものに加え、螺旋ローラが、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向が反対向きで同一ピッチの2種類の螺旋凸条を各別に備え、この2種類の螺旋凸条を円筒部の外面に押し付ける、というものである。
【0007】
この方法であると、円筒部の肉が2種類の螺旋凸条の螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部が軸方向に延伸されて筒状壁が形成される。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載したものに加え、螺旋ローラが、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向が反対向きでピッチの異なる2種類の螺旋凸条を各別に備え、この2種類の螺旋凸条を円筒部の外面に押し付ける、というものである。
【0009】
この方法であると、円筒部の肉が2種類の螺旋凸条の螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部が軸方向に延伸されて筒状壁が形成される。この点で請求項2に係る発明と同じである。しかし、請求項3に記載した方法であると、2種類の螺旋凸条のピッチが異なっているので、円筒部の肉の運ばれる量が各螺旋凸条によって異なるので、円筒部の延伸量が、片側の螺旋凸条に押圧される側と他側の螺旋凸条に押圧される側とで異なる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載したものに加え、円筒部への螺旋ローラの押付箇所とは異なる箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面を備えるフラットローラを、内面が回転型で支えられた上記円筒部の外面に押し付けて連れ回りさせる、というものである。
【0011】
この方法であると、常に、フラットローラによってある程度フラットに仕上げられた円筒部の外面に螺旋ローラが押し付けられるので、螺旋ローラの螺旋凸条により円筒部の肉が運ばれやすくなる。
【0012】
請求項5に係る発明は、板金製部材としての筒部の内面を回転型に具備された円錐形成形面で支えてその回転型と共に上記板金製部材を回転させ、上記筒部の外面に、上記円錐形成形面の母線に沿う母線を有する仮想円錐面上に螺旋凸条が形成された螺旋ローラの上記螺旋凸条を押し付けてこの螺旋ローラを連れ回りさせながら上記筒部に材料流れを生じさせることによりその筒部を上記円錐形成形面の母線に沿う方向に延伸させて筒状壁とする、というものである。
【0013】
この方法であると、螺旋ローラの螺旋凸条による筒部の外面の押付箇所が、筒部に対する螺旋ローラの連れ回りにより筒部の母線方向に移動する。そして、筒部の材料すなわち肉が螺旋凸条の山部と山部の間の谷形空間に沿って上記螺旋凸条の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に筒部がその母線方向に延伸されて円錐状の筒状壁が形成される。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載したものに加え、筒部への螺旋ローラの押付箇所とは異なる箇所で、母線方向にフラットな成形面を備えるフラットローラを、内面が回転型で支えられた上記筒部の外面に押し付ける、というものである。
【0015】
この方法であると、常に、フラットローラによってある程度フラットに仕上げられた筒部の外面に螺旋ローラが押し付けられるので、螺旋ローラの螺旋凸条により筒部の肉が運ばれやすくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は請求項1に係る発明の実施の一形態を示した説明図である。同図の左半分は2つの回転型1,2によって支えられた板金製部材(ワーク)としての円筒部81に螺旋ローラ5を対向させて配備した場合を示している。同図の右半分は、上記円筒部81が軸方向に延伸されて筒状壁8となされる途中工程を示している。
【0017】
上記円筒部81は円形の基板部80の外周に形成されており、その基板部80の中央部に膨出部82が形成されている。そして、第2回転型2に被せられた上記円筒部81の内面が、その第2回転型2の円筒状の成形面21で支えられている。この成形面21の端部には、第2回転型2に凹入状に形成された溝形面22が備わっている。また、上記基板部80や膨出部82が第2回転型2と第1回転型1とによって挾み付けられている。
【0018】
螺旋ローラ5は、外周面に螺旋凸条51を備えており、この螺旋凸条51によって形成される山部52と谷形空間53とが軸方向に交互に並んでいる。
【0019】
図1左半分に示した円筒部81を同図右半分に示した筒状壁8に形成していくには、同図左半分のように、回転型2で支えた円筒部81を回転型1,2と共に回転させ、螺旋ローラ5を図中右方向(矢符A)に移動させてその螺旋凸条51を円筒部81の外面に押し付けてこの螺旋ローラ5を軸方向に移動させることなく連れ回りさせる。こうすると、螺旋ローラ5の螺旋凸条51による円筒部81の外面の押付箇所、すなわち円筒部81の外面に対する螺旋凸条51の山部52の複数の接触箇所が、螺旋ローラ5の連れ回りにより円筒部81の軸方向一端側(図中では下端83側)に向かって同じ速さで移動する。この操作により、同図右半分に矢符aで示したように円筒部81に材料流れが生じる。このため、円筒部81の材料すなわち肉が螺旋凸条51の山部52と山部52の間の谷形空間53に沿って上記螺旋凸条51の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に円筒部81が軸方向に延伸されて同図右半分に示したような筒状壁8が形成される。ここで、螺旋ローラ5の押付力は5〜6ton程度に設定しておけばよい。この点、外周面がフラットな成形ローラを用いる従来の方法では、円筒部を延伸して筒状壁にする場合に8〜10ton程度の押付力が必要になる。なお、円筒壁81はそれが延伸されるのに伴って次第に薄肉化されるので、その薄肉化の進行に応じて螺旋ローラ5を回転型1,2側に徐々に移動させる。このようにすると、螺旋ローラ5の螺旋凸条51が常に円筒部81に押し付けられるので、上記の筒状壁形成工程が最後まで連続して行われる。
【0020】
ここで、螺旋凸条51が右ねじの方向に延びているとき、すなわち図1のように螺旋ローラ5の軸方向がたとえば上下方向に一致していて螺旋凸条51の側面視が右上がりになっているときには、螺旋凸条51の上端が螺旋の始点に相当し、螺旋凸条51の下端が螺旋の終点に相当する。したがって、円筒部81の肉を螺旋凸条51の螺旋の終点方向に向かって運ばせるためには、螺旋ローラ5の連れ回り方向が上から見て半時計方向Yになるように、第1回転型1と第2回転型2の上から見た回転方向を時計方向Xにしておく必要がある。各回転型1,2や螺旋ローラ5の軸方向が水平方向に一致して配備されているときには、上述した点に準じて各回転型1,2の回転方向や螺旋ローラ5の連れ回り方向を定める必要がある。
【0021】
図2に、円筒部81が所定長さに延伸されて筒状壁8になされるまでの間、螺旋ローラ5を円筒壁81に押し付けておくための機構を説明的に示してある。この機構は、螺旋ローラ5を回転自在に支えている杆体54をガイド55で出退自在に支持させ、このガイド55と杆体54との間に杆体54を常時退入方向に付勢するばね56を設けると共に、偏心カム58に杆体54に設けた摺動子57を接触させた構成になっている。この機構によれば、偏心カム58が一回転することによって螺旋ローラ5が出退動作を一回だけ行うので、偏心カム58が半回転するまでの間に上述した筒状壁8の形成工程が終了するように制御することが可能である。この機構の代わりに、油圧を利用した押付機構を採用することも可能である。
【0022】
図3は請求項4に係る発明の実施の一形態を平面的に見て表した説明図である。この実施形態において、円筒部81の内面を回転型(不図示)で支えてその回転型と共に円筒部81を回転させる点や、円筒部81の外面に螺旋ローラ5の螺旋凸条51を押し付けてこの螺旋ローラ51を連れ回りさせながら円筒部81に材料流れを生じさせることによりその円筒部81を軸方向に延伸させて筒状壁8とする点は、図1で説明したものと同様である。
【0023】
この実施形態において、図1で説明したものと異なる点は、円筒部81への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所、具体的には同図のように円筒部81を挾んでその反対側の箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面91を備えるフラットローラ9を、円筒部81の外面に押し付けて連れ回りさせるという点だけである。
【0024】
この方法であると、螺旋ローラ5の螺旋凸条51により筒状部81の外面に形成されるわずかな凹凸状の材料流れの痕跡が、筒状部81の回転によって再び螺旋凸条51との接触箇所に達するまでの間に、フラットローラ9の成形面91によってある程度フラットに仕上げられる。そして、そのようにある程度フラットに仕上げられた円筒部81の外面に再び螺旋ローラ5の螺旋凸条51が押し付けられるので、螺旋凸条51により円筒部の肉が円滑に運ばれやすくなって、円筒部81が一定長さにまで延伸されるまでの時間が短縮される利点がある。
【0025】
図4に螺旋ローラ5における螺旋凸条51のピッチを符号Pで、つる巻角を符号αでそれぞれ示してある。ピッチPは、つる巻角αが大きくなれば大きくなり、つる巻角αが小さくなれば小さくなる。そして、ピッチPやつる巻角αの大きさは、図1や図3で説明した方法を行うときの、螺旋凸条51が押し付けられて延伸される円筒部81の外面状態や工程進行時間に影響を及ぼす。具体的には、ピッチPやつる巻角αが大きすぎると、螺旋凸条51の螺旋の終点方向に運ばれる円筒部81の肉に流動むらが生じて円筒部81の外面に材料流れの痕跡が大きな凹凸として残りやすくなるので、その後に筒状壁8の外面を平坦に加工するのに手間がかかるようになる。また、螺旋凸条51に加わる負荷が大きくなって螺旋ローラ5の耐用寿命が短くなる。他方、ピッチPやつる巻角αが小さすぎると、円筒部81の肉の運び速度が遅くなって工程進行時間が長くなる。適切なピッチPは3.5〜5.0mm、適切なつる巻角αは機械角で10′〜3°(10分〜3度)であり、ピッチPやつる巻角αがこの範囲であると、円筒部81の外面に生じる材料流れの痕跡がそれほど大きな凹凸にならなくなって、後の平坦化加工が不必要になるか、必要であっても手間をかけずに平坦化することが可能になる上、螺旋ローラ5に極端に無理な力が加わることがなく、さらに、工程進行時間も短くなる。
【0026】
図5は螺旋凸条51の形状を断面で示してある。同図のように、螺旋凸条51の山部52の頂部の半径R2が谷形空間53を形作っている谷面の半径R1よりも小さいことが望ましく、この条件下で、図示のように谷面が螺旋ローラ5の軸方向において円弧状に湾曲していると、上述した円筒部81の肉が無理なく谷形空間53に収容されて螺旋の終点方向に運ばれるようになるので、円滑に工程を進行させる上で好ましい。山部52の頂部の適切な半径R2の長さは、頂部が先尖り状にならない程度であり、また、谷面の適切な半径R1は0.4mm程度である。また、谷形空間53の深さDは0.2〜0.5mmであればよく、この深さDが深すぎると山部52の強度が弱くなって螺旋ローラ5の耐用寿命が短くなる。また、深さDが浅すぎると、円筒部81の肉の収容能力が小さくなりすぎるおそれがある。
【0027】
図6および図7は請求項2に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法に用いられる螺旋ローラ5は、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向(つる巻方向)が反対向きで同一ピッチの2種類の螺旋凸条51a,51bを各別に備えている。そして、この方法では、図6のように2種類の螺旋凸条51a,51bが円筒部81の外面に押し付けられ、それによって図7のように筒状壁8が形成される。この実施形態において、円筒部81の内面を回転型1,2で支えてその回転型1,2と共に円筒部81を回転させる点や、円筒部81の外面に押し付けられた螺旋ローラ5が連れ回りする点は、図1で説明したものと同様である。また、回転型1,2や螺旋ローラ5の回転方向X,Yは図1で説明したところに準じる。
【0028】
この方法であると、円筒部の肉が図7の矢符a,bのように軸方向両側、すなわち、2種類の螺旋凸条51a,51bの螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部81が軸方向両側に延伸されて筒状壁8が形成される。
【0029】
この方法を実施するときに、図3で説明したように円筒部81への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面91を備えるフラットローラ9を、内面が回転型2で支えられた上記円筒部81の外面に押し付けて連れ回りさせる、という方法を採用することが可能であり、そのようにすると、図3で説明したように、工程を速やかに進行させることができるようになる。
【0030】
図8は請求項3に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法に用いられる螺旋ローラ5は、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向(つる巻方向)が反対向きでピッチP1,P2の異なる2種類の螺旋凸条51c,51dを各別に備えている。そして、この方法では、図8のように2種類の螺旋凸条51c,51dが仮想線で示した円筒部81の外面に押し付けられ、それによって実線のような筒状壁8が形成される。この実施形態において、円筒部81の内面を回転型1,2で支えてその回転型1,2と共に円筒部81を回転させる点や、円筒部81の外面に押し付けられた螺旋ローラ5が連れ回りする点は、図1で説明したものと同様である。また、回転型1,2や螺旋ローラ5の回転方向X,Yは図1で説明したところに準じる。
【0031】
この方法であると、円筒部の肉が図8の矢符a,bのように軸方向両側、すなわち、2種類の螺旋凸条51a,51bの螺旋の終点方向に振り分けられて運ばれ、結果的に円筒部81が軸方向両側に延伸されて筒状壁8が形成される。その際、円筒部81の肉が螺旋凸条51c,51dによって運ばれる量は、小さいピッチP1の螺旋凸条51c側よりも大きいピッチP2の螺旋凸条51d側が多くなるので、延伸量が軸方向の一側と他側とで異なる。したがって、たとえば、基板部80の一側に短い筒状壁を作り、他側に長い筒状壁を作りたい場合にこの方法が有益である。
【0032】
この方法を実施するときに、図3で説明したように円筒部81への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面91を備えるフラットローラ9を、内面が回転型2で支えられた上記円筒部81の外面に押し付けて連れ回りさせる、という方法を採用することが可能であり、そのようにすると、図3で説明したように、工程を速やかに進行させることができるようになる。
【0033】
図6〜図8で説明した螺旋ローラ5、すなわち、捩じり方向が反対向きの2種類の螺旋凸条51a,51b(または51c,51d)を各別に備えた螺旋ローラ5は、たとえば図9のようにして構成することができる。同図において、5a,5bは捩じり方向が反対向きの螺旋ローラユニットであり、同図の螺旋ローラ5は、これらの螺旋ローラユニット5a,5bを重ね合わせて締結ボルト59によって固定してある。
【0034】
図10は請求項5に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法では、板金製部材としての円錐状の筒部85の内面が、回転型2に具備された円錐形成形面25で支えられてその回転型2と共に筒部85が回転される。また、この方法に使用される螺旋ローラ5は、上記円錐形成形面25の母線25aに沿う母線61を有する仮想円錐面上に螺旋凸条51が形成されている。
【0035】
そして、この方法においては、上記筒部85の外面に螺旋ローラ5の螺旋凸条51を押し付けてこの螺旋ローラ5を連れ回りさせながら上記筒部85に材料流れを生じさせることによりその筒部85を上記円錐形成形面25の母線25aに沿う方向に延伸させて筒状壁とする。
【0036】
筒部85が延伸して筒状壁になされる原理は、図1で説明したところと同様である。すなわち、筒部85の材料すなわち肉が螺旋凸条51の山部と山部の間の谷形空間に沿って上記螺旋凸条51の螺旋の終点方向に向かって運ばれ、結果的に筒部が延伸されて円錐状の筒状壁が形成される。符号Aは、螺旋ローラ5の押付方向を示している。
【0037】
図11は請求項6に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。この方法は、図3で説明したものと原理的に同じである。すなわち、筒部85への螺旋ローラ5の押付箇所とは異なる箇所で、母線方向にフラットな円筒状の成形面95を備えるフラットローラ9を、内面が回転型2で支えられた上記筒部85の外面に押し付けて連れ回りさせる、というものである。このようにすると、図3で説明したように、工程を速やかに進行させることができるようになる。
【0038】
【実施例】
図1で説明した螺旋ローラ5を用いてカップ状板金製部材の円筒部81を延伸させて筒状壁8を形成した場合の実験例を示す。図12において、Lは円筒部81の外周直径、L1は円筒部81の軸方向長さ、L2は完成した筒状壁8の軸方向長さを示している。実験条件は以下の通りである。この実験によると、筒状壁8が初期の円筒部81よりも薄肉化され、プレスなどによって筒状壁8を形成した場合に比べて2割以上も材料費が軽減された。また、筒状壁8の形成に要する時間も大幅に短縮された。
螺旋凸条のピッチP1=3.5mm
螺旋ローラの直径=200mm
円筒部の外周直径L=130mm
カップ状板金製部材の厚さT=2.6mm
円筒部の初期の軸方向長さL1=15mm
完成した筒状壁の軸方向長さL2=30mm
所要時間=15秒
螺旋ローラの押付力=5ton
【0039】
【発明の効果】
請求項1や請求項5に係る発明は、螺旋ローラの作用で回転型で支えられた板金製部材としての円筒部または筒部に材料流れを生じさせることによりその円筒部または筒部を延伸させて筒状壁とするものであるから、従来とはまったく異なる方法で板金製部材の円筒部から筒状壁を形成することが可能になる。また、この方法であると材料費が低減され、また、円筒部を延伸して筒状壁にする工程を短時間で行えるようになる。
【0040】
請求項2や請求項3に係る発明によれば、板金製部材としての円筒部をその軸方向において両側に振り分けて延伸させることができるようになる。そして、特に請求項3に係る発明によれば、円筒部をその軸方向において両側に振り分けて延伸させるときに、各側の延伸量を異ならせることが可能になる。
【0041】
請求項4や請求項6に係る発明によれば、フラットローラによってある程度フラットに仕上げられた円筒部の外面に螺旋ローラが押し付けられるようになるので、円筒部を延伸して筒状壁にする工程に要する時間を短縮しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る発明の実施の一形態を示した説明図である。
【図2】螺旋ローラの押付機構を示す説明図である。
【図3】請求項4に係る発明の実施の一形態を平面的に見て表した説明図である。
【図4】螺旋凸条のピッチとつる巻角を示した説明図である。
【図5】螺旋凸条の形状説明図である。
【図6】請求項2に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図7】請求項2に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図8】請求項3に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図9】螺旋ローラの断面図である。
【図10】請求項5に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図11】請求項6に係る発明の実施の一形態を示す説明図である。
【図12】実験に用いた板金製部材の説明図である。
【符号の説明】
1,2 回転型
5 螺旋ローラ
8 筒状壁
9 フラットローラ
25 円錐形成形面
25a 円錐形成形面の母線
51 螺旋凸条
61 螺旋ローラ側の母線
81 円筒部
85 筒部
91,95 フラットローラの成形面
P,P1,P2 螺旋凸条のピッチ
Claims (6)
- 板金製部材としての円筒部の内面を回転型で支えてその回転型と共に上記板金製部材を回転させ、上記円筒部の外面に螺旋凸条を備える螺旋ローラの上記螺旋凸条を押し付けてこの螺旋ローラを連れ回りさせながら上記円筒部に材料流れを生じさせることによりその円筒部を軸方向に延伸させて筒状壁とすることを特徴とする板金製部材の筒状壁形成方法。
- 螺旋ローラが、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向が反対向きで同一ピッチの2種類の螺旋凸条を各別に備え、この2種類の螺旋凸条を円筒部の外面に押し付ける請求項1に記載の板金製部材の筒状壁形成方法。
- 螺旋ローラが、その軸方向の一側と他側とに捩じり方向が反対向きでピッチの異なる2種類の螺旋凸条を各別に備え、この2種類の螺旋凸条を円筒部の外面に押し付ける請求項1に記載の板金製部材の筒状壁形成方法。
- 円筒部への螺旋ローラの押付箇所とは異なる箇所で、軸方向にフラットな円筒状の成形面を備えるフラットローラを、内面が回転型で支えられた上記円筒部の外面に押し付けて連れ回りさせる請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載の板金製部材の筒状壁形成方法。
- 板金製部材としての筒部の内面を回転型に具備された円錐形成形面で支えてその回転型と共に上記板金製部材を回転させ、上記筒部の外面に、上記円錐形成形面の母線に沿う母線を有する仮想円錐面上に螺旋凸条が形成された螺旋ローラの上記螺旋凸条を押し付けてこの螺旋ローラを連れ回りさせながら上記筒部に材料流れを生じさせることによりその筒部を上記円錐形成形面の母線に沿う方向に延伸させて筒状壁とすることを特徴とする板金製部材の筒状壁形成方法。
- 筒部への螺旋ローラの押付箇所とは異なる箇所で、母線方向にフラットな成形面を備えるフラットローラを、内面が回転型で支えられた上記筒部の外面に押し付ける請求項5に記載の板金製部材の筒状壁形成方法。
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