JP3628722B2 - 生体硬組織代替部材およびその製造方法 - Google Patents

生体硬組織代替部材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、整形外科分野等で用いられる生体硬組織代替部材と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
整形外科分野では、骨腫瘍のような骨の疾患または外傷によって骨に欠損を生じた場合に、骨の機能を修復するため、該欠損部への人工骨の移植が行なわれる。生体硬組織代替部材とは、上記のような人工骨や、或いは人工歯根のように、欠損を生じた生体硬組織の機能を修復するために、該欠損部に移植される人工材料の総称である。
【0003】
このような生体硬組織代替部材としては従来、アルミナ系、ジルコニア系もしくはリン酸カルシウム系のセラミックス材料、またはチタン系合金等の金属材料が用いられている。これら材料のうち、リン酸カルシウム系材料は、骨組織中に埋設されると骨と直接的に結合する好ましい生体活性を有しているが、機械的強度に劣っている。これに対して、アルミナ系材料、ジルコニア系材料およびチタン系金属は、機械的強度に優れているものの、生体活性は有していない。そこで、生体活性および機械的強度の両者を満足させるために、上記二つのタイプの材料を複合化した代替部材、即ち、機械的強度に優れた材料の上に生体活性を有する材料をコーティングした部材が考案されている。
【0004】
このような複合材料からなる生体硬組織代替部材として、チタン若しくはアルミナ基材の上に水酸化アパタイトをコーティングしたものが提案されている。例えば、特開昭61−284253号公報および特開昭63−300754号公報には、樹脂をバインダーに用いて水酸化アパタイトをコーティングしたインプラント材および人工歯根が開示されている。特開昭61−284253号公報に記載のインプラント材では、バインダーとして、例えばトリエチレングリコールジメタクリレート重縮合物のような熱硬化性樹脂が用いられている。また、特開昭63−300754号公報に記載の人工歯根では、例えばフッ素樹脂のような衝撃吸収性の樹脂が用いられている。これら公報では、上記バインダー樹脂の作用について、樹脂の適度な弾性率および硬度によって、生体内に埋設した後の生体への適合感や、外力に対する衝撃吸収をもたらすと説明されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記複合材料からなる従来の生体硬組織代替部材では、バインダーに用いた樹脂自体の生体親和性や、生体に対する影響が問題になる。即ち、これらバインダー樹脂は永久的に生体内に残存するので、長期的には樹脂の変質や機械的性質の劣化を免れ得ず、従って周囲の組織に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
また、代替部材に用いる材料の種類によって差はあるものの、移植後の代替部材と周囲の骨組織との間の結合および固着が得られるまでには、或る程度の時間を要する。従って、例えば偽関節や骨欠損を伴う骨折のように、修復すべき部位の骨に支持性が乏しく、移植された代替部材の固定が困難で容易に動いてしまうような症例では、代替部材の移植を適用し難いという問題がある。
【0007】
かかる事情に鑑み、本発明の課題は、生体活性を有する材料と機械的性質に優れた材料とをバインダーを介して結合した複合材料からなる生体硬組織代替部材であって、生体活性材料単独の代替部材と同等な生体活性および優れた機械的強度を有し、加重が加わる部位にも適用可能であり、しかも使用したバインダーによる弊害を伴わない代替部材とその製造方法を提供することである。
本発明の他の課題は、移植すべき部位が支持性に欠けるような症例に対しても適用できる、生体硬組織代替部材を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を達成するために、本発明では、バインダー材料として生分解性有機材料を用いることとした。
即ち、本発明による第一の生体硬組織代替部材は、β−リン酸三カルシウムと生分解性有機材料との複合体からなる所望形状の基体と、該基体に埋設された生体用金属材料または生体用構造材料からなる棒状あるいはワイヤー状あるいはメッシュ状の支持体とを具備したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明による第二の生体硬組織代替部材は、生体活性セラミックスもしくは生体活性ガラスからなる所望形状の基体と、該基体に埋設された生体用金属材料または生体用構造材料からなる棒状あるいはワイヤー状あるいはメッシュ状の支持体と、該支持体と前記基体との間に介在された生分解性有機材料層とを具備したことを特徴とするものである。
【0010】
上記第一および第二の生体硬組織代替部材は、バインダーとしての生分解性有機材料を他の材料と組み合わせる態様が異なっている。即ち、第一の生体硬組織代替部材において、生分解性有機材料は、生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスと共に代替部材の基体を構成している。これに対して、第二の生体硬組織代替部材においては、生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスで構成された基体と、生体用金属材料等で構成された支持体との間に配置される介在層として用いられている。
【0011】
本発明による生体硬組織代替部材の製造方法は、上記第一の代替部材を得るためのものであり、生分解性有機材料を融解し、これに生体活性セラミックスもしくは生体活性ガラスの粉末または顆粒を添加して混合する工程と、こうして得られた混合物を、生体用金属もしくは生体用構造材からなる棒状あるいはワイヤー状あるいはメッシュ状の支持体を配置したモールド型内に充填し、固化させる工程とを具備する。
【0012】
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明において、代替部材の基体として用いられる生体活性セラミックスおよび生体活性ガラスは、骨組織と直接的に結合もしくは癒合し、骨形成または骨修復の足場として機能するものであり、このような機能を有するものであれば如何なる種類のものを用いてもよい。しかし、骨の無機成分であるリン酸カルシウム系の物質が特に適しており、その例としては、水酸化アパタイト(HAP)、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)等のリン酸カルシウム系セラミックス及びそれらの混合物、CaO−P系、CaO−SiO系、CaO−P−SiO系が挙げられる。
【0013】
この生体活性セラミックスおよび生体活性ガラスの形態は、特に限定されない。しかし、第一の生体硬組織代替部材の場合、即ち、生分解性有機材料との複合体として代替部材の基体を構成するときは、粉末または顆粒状であるのが好ましい。また、第二の生体硬組織代替部材の場合、即ち、単独で代替部材の基体を構成するときは多孔質体であるのが好ましい。
【0014】
生体活性セラミックスのうち、β−TCP等の骨置換型生体吸収性セラミックスは、骨組織中で経時的に吸収され、自家骨に置換されていく性質を有している。従って、この材料を用いた代替部材では、将来的には支持体を除く全ての部分が自家骨で置換される効果が得られる。その結果、β−TCP等の骨置換型生体吸収性セラミックスと、HAP等の非吸収性生体活性セラミックスとは、夫々の性質に応じて区別して適用するのが望ましい。
【0015】
本発明における生分解性有機材料は、生体親和性に優れ、生体中で分解されて吸収される有機材料であれば特に限定されない。例えば、乳酸、グリコール酸、ラクトン等をモノマー単位とするポリマーまたはコポリマーを用いることができ、またコラーゲン、キチン等を用いてもよい。
【0016】
これら生分解性有機材料は、粉末または顆粒状の生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスを用い、これを代替部材の基体に構成するためのバインダーとして作用する。また、代替部材の基体を、多孔質の生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスで構成する場合、該基体と生体用金属等からなる支持体とを結合するためのバインダーとして作用する。何れの場合にも、この生分解性有機材料の作用によって、代替部材は弾性が向上するため、加重が加わる部位にも適用することが可能となる。しかも、上記の生分解性有機材料は生体内において分解され、吸収されるので、残存して生体に悪影響を及ぼすことはない。また、生体活性セラミックス等の骨伝導能を低下させることもない。
【0017】
本発明において、代替部材の支持体として用いられる生体用金属材料としては、生体親和性に優れた金属であれば特に限定されず、例えば、チタン、チタン系合金、タンタル、生体用ステンレス等を用いることができる。なかでも、チタン、チタン系合金およびタンタル等、骨と直接的に接触し結合することができる骨結合性金属が好ましい。この生体用金属材料の代わりに、アルミナやジルコニア等のセラミックスのように、別の生体用構造材料を用いてもよい。これら生体用金属材料または他の生体用構造材料は、本発明の代替部材の機械的強度を向上させるための支持体として用いられる。該支持体は、円筒状、棒状など如何なる形態であってもよいが、メッシュ状またはワイヤー状とすることによって、生体活性を有する領域を多くすることが好ましい。
【0018】
ワイヤ−状の支持体を用い、これを代替部材の基体中に埋設する場合は、該ワイヤを基体の両端を越えて外部に延設することにより、この延設部を周囲の骨との連結手段に用いることができる。こうして、ワイヤーの延設部を周囲の骨と連結することにより、代替部材を固定できる。従って、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力がない症例においても、代替部材を容易に移動しないように固定して移植することができる。この場合、支持体ワイヤーとしてチタンやチタン系合金等のように、介在組織なしで骨と接し得る金属(骨結合性金属)を用いれば、骨修復後も安定に生体内に存在せしめることができる。一方、骨修復後にワイヤを取り除きたい場合は、骨組織と直接には接触することなく、介在物を介して接する金属(例えばSUS316のようなステンレス)を用いる。
【0019】
以上の構成からなる本発明の生体硬組織代替部材は、支持体およびバインダーとしての生分解性有機材料の作用により、機械的強度および弾性が向上するので、加重が加わる部位での骨修復のために適用することができる。
【0020】
次に、本発明の生体硬組織代替部材の製造方法について説明する。
本発明による第一の生体硬組織代替部材を製造する際は、まず、生分解性有機材料を加熱または冷却して融解させ、これに生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスの粉末または顆粒を加えて混合する。一方、生体用金属材料または生体用構造材料からなる支持体を、骨格となるようにモールド型内に配置する。このモールド型内に上記で得られた混合物を流し込み、固化させることにより、本発明による第一の代替部材が得られる。
【0021】
或いは、生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスの粉末または顆粒と、生分解性有機材料の粉末または顆粒とを混合し、この混合物を上記支持体を配置したモールド型内に充填した後、加圧および加熱処理を施して、圧着、融着および重合により固化させてもよい。このとき、粉末または顆粒間の間隙を残留させて、代替部材基体を多孔質にすることにより、骨組織中での骨形成がより速やかに達成される利点が得られる。
【0022】
本発明による第二の生体硬組織代替部材を製造する場合は、生体用金属材料または生体用構造材料からなる支持体に、生分解性有機材料層をコーティングする。次いで、このコーティングされた支持体を、生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスの多孔質体の内部に配置し、加熱処理して一体化させればよい。このような製造方法によれば、製造プロセスの影響で生体活性セラミックス等の生体活性が損なわれることを防止することができる。
【0023】
【実施例】
<第一実施例>
図1は、本発明の第一実施例になる生体硬組織代替部材を示す図である。同図Aは斜視図、同図Bは正面図、同図Cは平面図である。これらの図において、符号11は、β−TCPとポリ乳酸との混合物からなる円柱形の基体である。該基体11は、同図Dに示したように、バインダーとして機能するポリ乳酸マトリックス12内に、β−TCP粒子13が分散された構造を有している。基体11の内部には、チタンワイヤからなる支持部材14 ,14 が埋設されている。該支持部材14 ,14 の夫々は、複数の環状チタンワインヤを上下に並べ、これらを線状のチタンワイヤで連結して円筒形の網状に編んだものである。この実施例では、大小二つの支持部材14 ,14 が用いられており、小さい支持部材14 は、大きい支持部材14 内側に挿入して配置されている。
【0024】
上記実施例の生体硬組織代替部材では、埋設されたチタン製支持部材14 ,14 の骨格としての作用により、優れた機械的強度が付与される。また、基体11には、β−TCPの生体活性に加えて、ポリ乳酸マトリックスによる弾性が付与されている。従って、β−TCPによる生体活性を生かすと共に、加重が加わる部位への適用も可能である。移植された後は、ポリ乳酸が生体組織により経時的に分解され、吸収される。また、β−TCPは生体組織に吸収されながら、自家骨に置換されていくので、最終的には骨格として用いたチタン製の支持部材14 ,14 以外の全ての部分が自家骨で置換されることになる。残存したチタン製支持部材14 ,14 は、介在物なしで骨組織と接することになる。しかし、その形態が網状であるので、バルク状のチタン金属片が恒久的に骨組織中に残存する場合に比較すれば、加重下での応力の分布に偏りがなくなる利点が得られる。
【0025】
上記の生体硬組織代替部材は、次のようにして製造することができる。
まず、ポリ乳酸を加熱して溶融させ、これにβ−TCP顆粒を加えて混合する。得られた混合物を、支持部材14 ,14 を配置したモールド型内に流し込み、固化させることにより、図1の代替部材を得ることができる。
【0026】
或いは、ポリ乳酸の顆粒とβ−TCPの顆粒を混合し、続いて支持部材14 ,14 を配置したモールド型内にこの混合顆粒を充填した後、加圧および加熱処理を施すことにより、圧着、融着および重合により固化させてもよい。このとき、顆粒の間に間隙が残留するようにすれば、基体11を多孔質とすることができ、骨組織中でのより速やかな骨形成を行なうことができる。
<第二実施例>
図2は、本発明の第二実施例になる生体硬組織代替部材を示している。同図Aは斜視図であり、同図Bは縦断面図である。これらの図において、符号21は、HAPまたはβPCPの多孔質体からなる四角柱形の基体である。該基体21は、バインダーとしてのポリ乳酸マトリックスを用いておらず、HAPまたはβ−TCPのみからる多孔質体である点において、第一実施例の基体11とは異なっている。この基体21の内部には、長手方向に沿って、ロッド状の複数のポリ乳酸層22が形成されている。また、夫々のポリ乳酸層22の内部には、複数のチタン製ワイヤ23が埋設されている。
【0027】
上記のように、この実施例の生体硬組織代替部材では、HAPまたはβ−TCPの多孔質体からなる基体21の内部に、ポリ乳酸層22を介してチタン製ワイヤ23が骨格として埋設された構造を有している。従って、チタンワイヤ23による補強作用により、向上した機械的強度が得られる。一方、第一実施例に比較すると、基体21がβ−TCPまたはHAPのみからなり、ポリ乳酸またはこれと等価な有機質を含まないので、弾性にやや欠ける。しかし、基体21は一体の多孔質体であり、顆粒構造または粒子構造を含まないので、その一部が補填部から遊離する事態を生じることはない。
【0028】
上記実施例の代替部材を生体組織中に移植すると、ポリ乳酸層22は経時的に分解吸収される。また、生体活性の多孔質セラミックスからなる基体21は、HAPを用いた場合は、その内部まで骨組織が侵入して骨形成が得られ、β−TCPを用いた場合は経時的に自家骨に置換される。チタン製支持体23の形態はワイヤー状であるので、バルク状のチタン金属片が恒久的に骨組織中に存在する場合に比較して、第一実施例の場合と同様、加重下における応力の分布に偏りがなくなる利点を有する。
<第三実施例>
図3は、本発明の第三実施例になる生体硬組織代替部材を示している。同図において、符号31は、生体活性セラミックス多孔質体からなる円柱形の基体である。該基体31は、β−TCPおよびHPAの混合物(混合比1:1)からなっている。基体31の中心軸には、ロッド状のポリ乳酸層32が形成されている。このポリ乳酸層32を通して、ステンレス(SUS316)製ワイヤ33が嵌装され、該ステンレス製ワイヤの両端は基体31の両端を越えて延設されている。
【0029】
上記のように、ステンレス製ワイヤ31の一部に、ポリ乳酸層32を介して生体活性セラミックスからなる多孔質の基体31を形成した構造は、次のような利点を有する。即ち、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力がない場合でも、基体31を補填部位に位置させ、ステンレス製ワイヤ33の延設部分を周囲の骨に連結することによって、代替部材を固定することができる。
【0030】
移植された後、ポリ乳酸層32は経時的に分解吸収される一方、β−TCP・HAP混合物の優れた骨伝導能により、基体31内への骨形成が促進される。ステンレス製ワイヤ33は、骨が修復された後に抜去される。ステンレス製ワイヤ33と骨組織との間には介在物が形成され、両者は直接接触しないので、ステンレスワイヤ33は容易に取り除くことができる。
【0031】
上記のように、この実施例になる生体硬組織代替部材は、生体活性に優れると共に、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力がない症例に対しても適用することができる。
<第四実施例>
図4は、本発明の第四実施例になる生体硬組織代替部材を示している。同図において、41は円柱形のチタン製基体である。該基体41の周面には、β−TCPとポリ乳酸との複合体からなる生体活性層42がコーティングされている。また、チタン製基体41の中心軸に沿って、ロッド状のポリ乳酸層43が形成されている。該ポリ乳酸層43を貫通してステンレス(SUS316)製ワイヤ44が挿通され、ステンレス製ワイヤ44の両端は基体41の両端を越えて延設されている。
【0032】
上記構造の生体硬組織代替部材では、基体41をチタン製としたことによって、第三実施例よりも機会的強度が増大する利点が得られる。また、第三実施例と同様に、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力がない場合でも、基体41を補填部位に位置させ、ステンレス製ワイヤ44の延設部分を周囲の骨に連結することによって、代替部材を固定することができる。この代替部材を移植すると、時間の経過と共に、生体活性層42のβ−BCT部分が周囲から骨に置換されて骨形成が進行し、ポリ乳酸は分解吸収される。ステンレス製ワイヤ44は、第三実施例の場合と同様、修復の後に除去される。
【0033】
上記のように、この実施例によれば、代替部材自体の機械的強度を向上させ得る共に、第三実施例と同様、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力がない症例に対しても適用できる利点が得られる。
【0034】
なお、この実施例においては、チタン製基体41の代わりに、アルミナまたはジルコニア等の他の生体用構造材料からなる基体を用いてもよく、この場合にも同様の効果が得られる。
<第五実施例>
図5は、本発明の第五実施例になる生体硬組織代替部材を示している。同図において、符号51は、生体活性セラミックスのβ−TCPと生分解性有機物質であるポリ乳酸との複合体からなる円筒形の基体である。該基体51の内部には、第一実施例で用いたのと同様の、チタン製ワイヤを円筒形の網状に組み立てた支持部材52が埋設されている。また、支持部材52の中心軸に沿ってチタン製ワイヤ53が挿通され、その両端は基体51の両端を越えて延設されている。
【0035】
上記実施例の代替部材は、基体51に混合されたポリ乳酸によって弾性が向上し、チタン製支持部材52の骨格機能によって機械的強度の向上が達成される。また、第三実施例および第四実施例と同様、移植部周囲の骨に代替部材を支持する能力がない症例においても、基体51を補填部に配置し、チタン製ワイヤ53を周囲の骨に連結することによって代替部材を固定することができる。
【0036】
移植の後、基体51のポリ乳酸は経時的に分解吸収され、β−TCTの部分は自家骨に置換される。残存するチタン製支持体52およびチタン製ワイヤ53は、介在物なしで骨組織と直接接することになる。これらチタン製部材は網状または線状なので、バルク状のチタン金属片が恒久的に骨組織中に存在する場合に比較して、加重下での応力分布に偏りがなくなるという利点が得られる。
【0037】
以上説明した本発明について、各請求項の好ましい実施態様を要約して示せば次の通りである。
(1) 請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、支持体が生体用金属材料からなるもの。
【0038】
(2) 実施態様1において、支持体がメッシュ状またはワイヤ状の形態を有するもの。
(3) 請求項1に記載の生体硬組織代替部材において、基体中に埋め込まれた支持体がメッシュ状またはワイヤ状の形態を有する生体用金属材料からなり、該支持体の両端が基体の両端を越えて延設されているもの。
【0039】
(4) 請求項2に記載の生体硬組織代替部材において、基体中に埋め込まれた支持体がメッシュ状またはワイヤ状の形態を有する生体用金属材料からなり、該支持体の両端が基体の両端を越えて延設されているもの。
【0040】
(5) 請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、基体が多孔質であるもの。
(6) 請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、生体活性セラミックスがリン酸カルシウムであるもの。
【0041】
(7) 請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、生体活性セラミックスが水酸化アパタイトであるもの。
(8) 実施態様6において、リン酸カルシウムが生体吸収性リン酸カルシウムであるもの。
【0042】
(9) 実施態様8において、生体吸収性リン酸カルシウムがβ−リン酸三カルシウムであるもの。
(10)請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、生体活性セラミックスがβ−リン酸三カルシウムと水酸化アパタイトとの混合物であるもの。
【0043】
(11)請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、生体活性ガラスがCaO−P系、CaO−SiO系、又はCaO−P−SiO系のガラスであるもの。
【0044】
(12)請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、生分解性有機材料が、乳酸、グリコール酸、ラクトンをモノマー単位とするポリマーまたはコポリマー、並びにコラーゲンおよびキチンからなる群から選ばれるもの。
【0045】
(13)請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、支持体が骨結合性金属からなるもの。
(14)請求項1または2に記載の生体硬組織代替部材において、支持体がチタン、チタン系合金またはタンタルからなるもの。
【0046】
(15)実施態様3または4において、支持体が、骨とは結合しない生体用金属からなるもの。
(16)実施態様15において、支持体が、ワイヤ状の形態を有する生体用ステンレス鋼であるもの。
【0047】
(17)請求項1に記載の生体硬組織代替部材を製造するに際し、生体活性セラミックス若しくは生体活性ガラスの粉末または顆粒と、生分解性有機材料の粉末または顆粒とを混合する工程と、この混合物を、生体用金属もしくは生体用構造材からなる支持体を配置したモールド型内に充填し、加圧および加熱処理を施して、圧着、融着および重合により固化させる方法。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明による生体硬組織代替部材は、生体活性材料単独の代替部材と同等な生体活性を有し、機械的強度に優れた材料を組み合わせたことによって優れた機械的強度を具備し、またバインダ材料による適度な弾性を有するため、加重が加わる部位にも適用可能である。しかも、移植後もバインダー材料による弊害を生じない等、顕著な効果を得ることができる。
【0049】
加えて、本発明によれば、移植すべき部位が代替部材を支持する能力を欠いているような症例に対しても適用できる、生体硬組織代替部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例になる生体硬組織代替部材を示す図であり、同図(A)は斜視図、同図(B)は正面図、同図(C)は平面図、同図(D)は基体の微細構造を示す拡大図である。
【図2】本発明の第二実施例になる生体硬組織代替部材を示す図であり、同図(A)は斜視図、同図(B)は縦断面図である。
【図3】本発明の第三実施例になる生体硬組織代替部材を示す説明図である。
【図4】本発明の第四実施例になる生体硬組織代替部材を示す説明図である。
【図5】本発明の第五実施例になる生体硬組織代替部材を示す説明図である。
【符号の説明】
11,21,31,41,51…基体、12…ポリ乳酸マトリックス、13…β−TCP粒子、14 ,14 ,52…チタン製支持部材、22,32,43…ポリ乳酸層、23,53…チタン製ワイヤ、33,44…ステンレス製ワイヤ、42…生体活性層

Claims (2)

  1. β−リン酸三カルシウムと生分解性有機材料との複合体からなる所望形状の基体と、該基体に埋設された生体用金属材料または生体用構造材料からなる棒状あるいはワイヤー状あるいはメッシュ状の支持体とを具備したことを特徴とする生体硬組織代替部材。
  2. 生体活性セラミックスもしくは生体活性ガラスからなる所望形状の基体と、該基体に埋設された生体用金属材料または生体用構造材料からなる棒状あるいはワイヤー状あるいはメッシュ状の支持体と、該支持体と前記基体との間に介在された生分解性有機材料層とを具備したことを特徴とする生体硬組織代替部材。
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