JP3624017B2 - 金属管の熱間曲げ加工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、曲げ加工した金属管を曲げ加工装置上で、曲げ角度を所望の曲げ角度に一致又は略一致させることにより、管を曲げ加工装置から取り出した後に、修正を行なわないで済むようにする金属管の曲げ加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属管(以下、管という)を曲げ加工する方法として、図1に示すように、曲げ加工しようとする管1の先端を旋回軸3を中心として、旋回可能なアーム4のクランプ4Aに把持させ、加熱器(例えば高周波誘導子)6で管1を環状に加熱し乍ら、管1を駆動装置5により前進させて、曲げモーメントを付与し変形させた直後、加熱部を水冷による冷却装置6Aで冷却し、曲げ角度を旋回軸3に装着した角度検出器3Aで検出して、それが設定角度に一致するまで連続的に曲げ加工する方法が知られている。尚、図中、2は曲管部、5Aはテールクランプ、5Bは推力計、7はガイドローラである。
【0003】
ところで、上記のような曲げを例えば図2の実線で示すような曲げ仕様で行なう際に第1直管部N1,曲げ角度θ、第2直管部N2及び管端長Lが曲げ仕様と同一に加工できることが理想である。
【0004】
然し乍ら、上記の曲げ加工においては、実際の曲げ角度θが所望の設定値に合致しないことが多く、このため直管部N1,N2が仕様通りに加工出来た場合でも、管端長さがL′となり、所望値Lに対する許容誤差を超えることが屡々あり、特に直管部N1,N2が長い程、顕著となっていた。
【0005】
一般に、上記の曲げを行う際には、曲げ角度の設定値を所望角度に合せて行うのが理想的である。
(1) 管には、曲げ加工中に曲げモーメントを受けてバネ状に撓み、前記モーメントを開放すると復元するスプリングバック(以下、SBという)現象がある。
SB量は、管の形状,材質,曲げ角度,管長及び各部反力の関数であり、特 定は容易ではない。
(2) 同一管の曲げであっても、加工条件によりSB量が一定しない。即ち、加熱温度が高いか、或いは加工速度が遅いと、SB量は少なく、逆では多くなる傾
向にある
(3) 加工条件その他が同一であっても、造管方法の違いにより、または造管方法が同一であっても、造管メーカーの違いによって、SB量が一定しない
などの理由から、所望角度と曲げ加工完了後の曲げ管の曲げ角度との偏差が許容値を超える場合が屡々ある。そのため、従来は実績から割り出した補正値で設定角度を補正して曲げるのが通常であるが、補正を行なったからといって、必ず許容値に入るといったものではなく、許容値を超えた曲げ管はその曲げを修正しなければならないという問題点があった。
【0006】
従来、上記の修正を行う場合、その作業は、まず、曲げ加工完了後、曲げ管を加工装置から取り出し、別途に設けた定盤上で、予め所望角度を定盤上に罫書きし、この罫書き角度と曲げ管の角度の差を測定し、前記罫書き角度に対して曲げ管の曲げ角度が小さい場合は、曲げ管の外側に押込装置を設け、曲げ部を加熱装置で加熱しながら、曲げ管をその内側に変形修正し、また、同様にして、曲げ管の角度が大きい場合は、曲げ管の内側に押込装置を設け、曲げ管をその外側に変形修正するようにしている。従って、従来の修正作業は曲げ加工装置以外に、定盤,加熱装置,罫書き装置,押込装置等多くの装置を必要とし、修正作業にも多大の時間と費用を要していたのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、曲げ加工した金属管を曲げ加工装置上で、その曲げ角度と所望の曲げ角度との差を測定して修正し、管を曲げ装置から取り外した後に、修正を行わないで済むように出来る金属管の曲げ加工方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決することを目的としてなされたもので、その構成は、曲げようとする金属管を環状に局部的に加熱できる適宜の加熱装置の中を通して加工先端側を回転自在のアームにクランプし、該金属管を前記加熱装置により加熱しながら、加熱部を管の長手方向に適宜の移動装置により相対的に移動させて行き、更には、この移動とそれに伴う前記アームの回転とによって前記金属管に曲げモーメントを付与し変形させた直後、加熱部を適宜の冷却手段により冷却する金属管の熱間曲げ加工方法において、曲げ角度が設定値に達したことを前記アームの旋回軸に装着した角度検出器で検出したら、直ちにテールクランプによる緊締を解除することで、もしくは、テールクランプを緊締した状態で前記移動装置により管を反加工側に移動させることで、前記アームと前記移動装置とで構成される曲げモーメント付与装置内で金属管に生じている撓みエネルギーを管の反加工側に開放して、設定角度と管の曲げ角度との偏差を検出し、設定角度に偏差角度を加えた角度まで管を再び加工側又は反加工側に移動させて曲げ角度を修正することを特徴とするものである。
【0009】
上記課題を解決することができる本発明方法の別の構成は、曲げようとする金属管を環状に局部的に加熱できる適宜の加熱装置の中を通して加工先端側を回転自在のアームにクランプし、該金属管を前記加熱装置により加熱しながら、加熱部を管の長手方向に適宜の 移動装置により相対的に移動させて行き、更には、この移動とそれに伴う前記アームの回転とによって前記金属管に曲げモーメントを付与し変形させた直後、加熱部を適宜の冷却手段により冷却する金属管の熱間曲げ加工方法において、曲げ角度が設定値に達したことを前記アームの旋回軸に装着した角度検出器で検出したら、前記移動と加熱を停止し、次いで、前記アームと前記移動装置とで構成される曲げモーメント付与装置内で金属管に生じている撓みエネルギーを管の反加工側に開放して設定角度と管の曲げ角度との偏差を検出すると共に曲管部を含む任意長さだけ所望温度に再加熱し、設定角度に偏差角度を加えた角度まで、管を再び加工側又は反加工側に移動させて曲げ角度を修正することを特徴とするものである。
【0010】
即ち、本発明の発明者らは、上記の課題を解決することを目的として鋭意研究の結果、曲げ角度に過不足が生じた場合、管を曲げ加工装置から取り出すことなく、曲げ加工装置上で、曲げ角度が設定値に達したら直ちに管の撓みを反加工側に開放すると共に、設定角度と管の実際の曲げ角度との偏差を検出し、更に、別法として、曲げ完了後に管の撓みを反加工側に開放し、設定角度と管の曲げ角度との偏差を検出すると共に、曲管部を含む任意長さだけ所望温度に再加熱し、設定度に偏差角度を加えた角度まで管を、角度不足の場合は加工側に、また、曲げ過ぎの場合は反加工側に、それぞれ移動させることにより、曲げの修正を行なうことが出来ることを知得し、本発明を完成したのである。
【0011】
而して、本発明では、曲げ角度が設定角度より小さい場合は、その偏差角度を+、設定角度より大きい場合は、その偏差角度を−とし、偏差角度が+の場合は、管を加工側に移動させ、また、偏差角度が−の場合は、管を反加工側に移動させるのである。なお、管等の条材の環状局部加熱を伴う連続曲げでは、SB現象の特性から曲げ角度は不足気味になることが多い。しかし乍ら、上記曲げでは撓みエネルギーによる応力と加熱部の塑性応力が平衡するまでは曲げが進行しようとするので、条件によっては曲げ角度が大きくなることもある。
【0012】
【実施例】
次に本発明の実施の一例を図により説明する。図1は本発明を適用する公知の管曲げ装置の一例を用いて管を曲げ加工した後、曲げ角度の修正を行なっている状態の図、図2は曲げ態様を示す図である。
【0013】
本発明方法は、曲げ加工しようとする金属管1の先端を旋回軸3を中心として、旋回可能なアーム4のクランプ4Aに把持させ、加熱器6で管1を環状に加熱し乍ら、管1を駆動装置5により前進させて、曲げモーメントを付与し変形させた直後、加熱部(曲管部)2を水冷による冷却ジャケット6Aで冷却し、曲げ角度θを旋回軸3に装着した角度検出器3Aで検出して、それが設定角度に一致するまで連続的に曲げ加工したら、直ちに管1の加工後端側のクランプ5Aによる緊締を解除して、管1と曲げモーメント付与装置間の撓みを開放すると共に、管1の曲げ角度θと設定角度との偏差を検出し、偏差角度と撓み角度とを加えた角度に相当する距離だけ管を加工側又は反加工側に移動させることにより曲げ角度θが設定角度に一致又は略一致するようにするのである。そして、曲げ角度θが設定角度より小さい場合は、管を加工側に移動させ、また、曲げ角度θが設定角度より大きい場合は、管を反加工側に移動させることによって、曲げ角度を修正できる。なお、駆動装置5に推力計5Bを取付けクランプ5Aを緊締した状態で、推力計の指示値、即ち、残留推力が実質的に零となるまで,管1を反加工側に移動させても撓みを開放できるので、同様の効果が得られる。
【0014】
而して、曲げ角度が設定角度に達した後、金属管と曲げモーメント付与装置間の撓みを管の反加工側に開放する手順としては、下記の方法がある。即ち、
(1) 加熱を停止し、その後直ちに撓みの開放を行う
(2) 加熱を停止せず、加熱装置と冷却手段とを任意の距離だけ相対的に移動させた後に停止するが、この間に、撓みの開放を行う
(3) 上記(2)において、加熱装置と冷却手段とを任意の距離だけ相対的に移動させる際に、冷却を停止して加熱のみ行い、この間に、撓みの開放を行う
などの手順によることが出来る。
【0015】
更に、一連の曲げ加工完了後に、管1と曲げモーメント付与装置間の撓みを開放して、設定角度と管の曲げ角度との偏差を検出すると共に、曲管部を含む任意長さだけ所望温度に再加熱し、設定角度に偏差角度を加えた角度まで管を再び加工側又は反加工側に移動させても良い。
【0016】
なお、上記実施例においては、管1を移動させながら曲げ加工する装置により実施する例について述べたが、本発明はこれに限られることなく、アーム4を移動させながら曲げ加工する装置にも適用される。
【0017】
【発明の効果】
本発明は上述の通りであって、曲げ加工した金属管を曲げ加工装置上で、その曲げ角度と所望の曲げ角度との差を測定して修正し、管を曲げ装置から取り出した後に、修正を行わないで済むように出来るので、従来の、曲げ加工完了後、管を加工装置から取り出し、面倒な修正作業を行なわないで済むから、修正のための諸装置が不要になり、修正作業時間も大幅に短縮出来て、作業コストの著しい低減を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を適用する公知の管曲げ加工装置の一例を用いて管を曲げ加工した後、曲げ角度の修正を行う状態の平面図。
【図2】曲げ態様を示す図。
【符号の説明】
1 曲げ加工すべき金属管
2 加熱部
3 旋回軸
3A 曲げ角度検出器
4 アーム
4A クランプ
5 駆動装置
5A テールクランプ
6 加熱器
6A 冷却ジャケット
7 ガイドローラ
Claims (2)
- 曲げようとする金属管を環状に局部的に加熱できる適宜の加熱装置の中を通して加工先端側を回転自在のアームにクランプし、該金属管を前記加熱装置により加熱しながら、加熱部を管の長手方向に適宜の移動装置により相対的に移動させて行き、更には、この移動とそれに伴う前記アームの回転とによって前記金属管に曲げモーメントを付与し変形させた直後、加熱部を適宜の冷却手段により冷却する金属管の熱間曲げ加工方法において、曲げ角度が設定値に達したことを前記アームの旋回軸に装着した角度検出器で検出したら、直ちにテールクランプによる緊締を解除することで、もしくは、テールクランプを緊締した状態で前記移動装置により管を反加工側に移動させることで、前記アームと前記移動装置とで構成される曲げモーメント付与装置内で金属管に生じている撓みエネルギーを管の反加工側に開放して、設定角度と管の曲げ角度との偏差を検出し、設定角度に偏差角度を加えた角度まで管を再び加工側又は反加工側に移動させて曲げ角度を修正することを特徴とする金属管の熱間曲げ加工方法。
- 曲げようとする金属管を環状に局部的に加熱できる適宜の加熱装置の中を通して加工先端側を回転自在のアームにクランプし、該金属管を前記加熱装置により加熱しながら、加熱部を管の長手方向に適宜の移動装置により相対的に移動させて行き、更には、この移動とそれに伴う前記アームの回転とによって前記金属管に曲げモーメントを付与し変形させた直後、加熱部を適宜の冷却手段により冷却する金属管の熱間曲げ加工方法において、曲げ角度が設定値に達したことを前記アームの旋回軸に装着した角度検出器で検出したら、前記移動と加熱を停止し、次いで、前記アームと前記移動装置とで構成される曲げモーメント付与装置内で金属管に生じている撓みエネルギーを管の反加工側に開放して設定角度と管の曲げ角度との偏差を検出すると共に曲管部を含む任意長さだけ所望温度に再加熱し、設定角度に偏差角度を加えた角度まで、管を再び加工側又は反加工側に移動させて曲げ角度を修正することを特徴とする金属管の熱間曲げ加工方法。
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