JP3623927B2 - 携帯式循環濾過装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯式循環濾過装置に関し、特に、刃先と被穿孔体との当接面に液体を供給しながら切刃を回転させて、コンクリート、磁器タイル、石材などの内外壁を穿孔する携帯式回転穿孔工具に用いられ、前記刃先に供給されて懸濁液となった液体を回収し、当該液体中の不純物を取り除いた後、再び前記刃先に循環させる携帯式循環濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンクリート、磁器タイル、石材などの内外壁といった被穿孔体Wを穿孔する場合、携帯式回転穿孔工具100(以下、電動ドリルという)が使用される(図5参照)。
この電動ドリル100では、切刃101を被穿孔体Wに当接させて回転させることで被穿孔体Wの穿孔を行うが、切刃101と被穿孔体Wとの間の摩擦に起因して切刃101が熱を帯びる、切刃101を回転させるモータに負荷がかかりモータが壊れる、穿孔により生じた微細切削屑Mが周辺環境中に浮遊する、などの問題を生ずることがあった。
【0003】
そのため、被穿孔体Wを穿孔する際に、切刃の先端(以下、刃先という)に流体を供給しながら被穿孔体Wを穿孔する方法が提案されている。
この方法において、刃先に供給する流体には、冷却ガスなどの気体を用いる方式と、水などの液体を用いる方式とがある。しかし、冷却ガスなどの気体を用いる方式では、冷却ガスの供給にコンプレッサなどの付帯設備を必要とするために工具の携帯が困難である、発熱の問題は改善できるがそれ以外の前記問題を完全に解消できない、などの欠点を有していた。
そのため、水などの液体を用いる方法が、上記問題点を解消するのに最も有効な方法として主流を占めていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この刃先に液体を供給しながら被穿孔体Wを穿孔する方法にも、次のような改善すべき問題点が包含されていた。
(1)単に刃先に液体を供給する構成であるので、供給された液体に穿孔により生じた被穿孔体の切削屑を含んでなる懸濁液が周囲に飛散して、これを作業者が浴びるという問題。
(2)懸濁液が被穿孔体の表面に溢出するため、被穿孔体の表面やその周囲(たとえば地面)等を汚染するという問題。
(3)穿孔に際し、液体の使用量が多いという問題。
(4)穿孔作業を行う場所が、ビルなどの外壁である場合が比較的多く、水の確保、補給が困難であるという問題。
(5)穿孔にあたり作業スペースが狭い場合、大きくて重い装置では使用できないという問題。
【0005】
したがって、本発明の目的は、刃先に液体を供給しながら切刃を回転させて、被穿孔体を穿孔する携帯式回転穿孔工具に用いられ、懸濁液すなわち切削屑を含んだ液体を周囲に飛散させることなく、かつ、液体の使用量が少なくて済むように、前記懸濁液を回収し当該懸濁液中の切削屑を取り除いた後、再び前記刃先に循環させる携帯式循環濾過装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる事情に鑑み、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、次のような装置構成とすることで上記課題を解決するに至った。すなわち、刃先に液体を供給しながら切刃を回転させて、被穿孔体を穿孔する回転穿孔工具に用いる携帯式循環濾過装置であって、前記刃先に供給された液体に被穿孔体の切削屑を含んでなる懸濁液を回収する懸濁液回収手段と、前記回収された懸濁液から前記切削屑を分離する分離手段と、前記分離手段において前記切削屑が分離されてなる液体を貯留する貯留手段と、前記貯留手段に貯留された液体を前記刃先に供給し、前記刃先に供給され被穿孔体の切削屑を含んで懸濁液となった当該液体を、前記懸濁液回収手段を経て前記分離手段に導き、当該分離手段で当該懸濁液から切削屑を分離してなる液体を前記貯留手段に循環させる循環手段と、前記貯留手段、前記分離手段、および前記循環手段を収容するとともに、これらを運搬自在とする携帯手段とを備え、前記分離手段は、供給された前記懸濁液を収容して、この懸濁液に含まれる切削屑を濾別する順次隣接させた複数の収容部を備えた袋状の濾過部と、当該分離手段に供給された懸濁液を常に所定の前記収容部に誘導する誘導部とを備え、前記誘導部は、前記収容部に懸濁液を供給する排水管と、この排水管に設けた懸濁液排出孔とを備える構成とした(請求項1)。
【0007】
かかる構成によると、刃先に供給された液体は、被穿孔体の切削屑を含む懸濁液として回収され、回収された懸濁液中に含まれる切削屑を取り除いて分離液体とされた後、前記貯留手段を経て再び刃先に供給される。よって、刃先に供給される液体は循環再利用されるので、従来の装置のように被穿孔体の穿孔に際し大量の液体を必要としない。また、携帯式回転穿孔工具の使用に際し、貯留手段、分離手段、循環手段は携帯手段内に収容されているので、容易に携帯できる。よって、作業者の移動が容易となり、作業効率が改善される。
【0008】
また、懸濁液は常に所定の収容部(第一の収容部)に供給され、当該第一の収容部で濾過できない懸濁液は、当該第一の収容部に隣接して設けられた第二の収容部に供給され濾過される。したがって、第一の収容部が目詰まり等により懸濁液を濾過できなくなると、懸濁液は隣接する第二の収容部に収容されて濾過される。そして、その第二の収容部で濾過できなくなると、第三の…という様に順次収容部を代えながら濾過を行うので、収容部を一つしか設けない場合と比べて、分離手段の長寿命化を計ることができる。
【0010】
また、前記濾過部を形成する収容部は複数の襞が形成されるように折り畳まれている構成とした(請求項3)。
かかる構成によると、前記収容部は、折り畳まれて収容部内に複数の襞が形成されているので、収容部内に収容された懸濁液と濾過部との接触面積が大きくなり、懸濁液中に含まれる切削屑が効率よく濾別される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、本発明の携帯式循環濾過装置1を備えた回転穿孔工具の概略を説明する概略説明図である。図2は、電動ドリル2および懸濁液回収手段3の要部拡大断面図である。
【0012】
本発明の携帯式循環濾過装置1は、刃先に液体を供給しながら切刃を回転させて、被穿孔体に小口径の穴を穿つ回転穿孔工具に用いられ、刃先に供給させた液体を回収・浄化した後、再び刃先に循環させる装置である。
【0013】
ここで、被穿孔体とは、建物などのコンクリート製の外壁などのように、硬質の材料から構成されているために、所望の口径を備えた穴を容易に穿つことのできないものをいう。
また、刃先とは切刃の先端部分のことをいい、切刃とはビットのことをいう。刃先に供給する液体とは、刃先と被穿孔体との摩擦の緩和、刃先と被穿孔体との摩擦により発熱した刃先を冷却できるものであれば特に限定されるものではない。なお、本実施の形態では、この液体は水道水である。
【0014】
図1は、本発明の携帯式循環濾過装置1を取り付けた回転穿孔工具の一実施態様である。この図において、回転穿孔工具は電動ドリル2であり、携帯式循環濾過装置1は、懸濁液回収手段3と、分離手段4と、貯留手段5と、循環手段6と、携帯手段7とを備えて構成されている。
【0015】
前記電動ドリル2とは、モータなどによりビット11を回転させ、被穿孔体Wに穴を穿つのに用いられる一般的な電動ドリルであって、ビット11と被穿孔体Wとの当接面に水を供給できるように構成されているものであれば特に限定されるものではない。
【0016】
この電動ドリル2は、図2に示すように、モータ(図示せず)を備えた本体部10、被穿孔体Wを穿孔するためのビット11、前記モータの回転をビット11に伝える回転軸13、後述する貯留手段5から供給された水を回転軸13に設けられた孔12に挿通させる導入部14を備えている。
【0017】
この電動ドリル2では、この導入部14に供給された水は、回転軸13の外周面上に設けられた導入孔16を通って孔12内に導かれる。ついで、この孔12内を挿通してビット11まで供給される。そして、ビット11に供給された水は、被穿孔体Wとビット11との当接面の隙間を通り、被穿孔体Wの切削屑とともに懸濁液として被穿孔体Wの表面上に溢出する。
【0018】
本発明の携帯式循環濾過装置1の懸濁液回収手段3は、スポンジパッキン18および懸濁液回収部19を備えている。
この懸濁液回収手段3のスポンジパッキン18は、被穿孔体Wを穿孔する際に、被穿孔体Wの表面に当接され、被穿孔体Wの表面に溢出した懸濁液を、外部に漏らすことなく懸濁液回収部19に誘導する。
なお、このスポンジパッキンは、柔軟性に富み、かつ外部に懸濁液を漏出させることのないものであれば特に限定されるものではない。
懸濁液回収手段3の懸濁液回収部19は、前記スポンジパッキン18により誘導された懸濁液を、その下部に設けられた排出口36に導く(図2参照)。
【0019】
本発明の携帯式循環濾過装置1の分離手段4とは、被穿孔体Wに穴を穿つ際に生ずる切削屑を含んだ水、すなわち懸濁液から、切削屑を濾別するフィルタ20である(図3、4参照)。
ここで、切削屑として具体的な例を挙げると、被穿孔体がコンクリートの場合はコンクリート粉である。
【0020】
このフィルタ20は、貯留手段5内に収容されており、懸濁液をフィルタ20内に導入するための接続口21と、懸濁液を収容して当該懸濁液に含まれる切削屑を濾過するための第一の収容部22、および第二の収容部23を有する袋状の濾過部24とを備え、フィルタ20に供給された懸濁液を常に第一の収容部22に誘導する誘導部25が配設されている。
【0021】
このフィルタ20は不織布より構成されており、懸濁液中に含まれる2μm以上の大きさの切削屑を濾別できる不織布であればどのような不織布を用いてもよい。しかし、濾過処理効率などの点から、本件出願人の特許出願(特願2000―215421号)に記載された濾過材であることが好ましい。
【0022】
このフィルタ20の接続口21には、前記循環手段6の排水管35をフィルタ20に取り付けるためのマジックテープ26(取り付け手段)が設けられている。
よって、前記排水管35を接続口21からフィルタ20内に挿通させた際に、排水管35の外周部に沿ってマジックテープ26を巻き付けることにより、排水管35をフィルタ20に容易に取り付けできる。
なお、この取り付け手段は、排水管35をフィルタ20に取り付けることができるものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、紐であってもよい。また、この接続口21の径の大きさは、挿通させる排水管35の径に応じて適宜選択可能である。
【0023】
この接続口21に挿通させた排水管35の外周面上には、懸濁液排出孔27が複数設けられており、誘導部25を構成している。この懸濁液排出孔27の配設位置は、このフィルタ20に供給された懸濁液が、常に所定の収容部に供給される位置であれば特に限定されるものではない。本実施の形態では、懸濁液が常に第一の収容部22に供給されるように、第一の収容部22の直上の位置である。なお、この懸濁液排出孔27の数、径の大きさは、排水管35を介して供給される懸濁液が、排水管35内に滞留し、この分離手段4への懸濁液の導入を阻害することがなければ、特に限定されるものではない。
【0024】
このフィルタ20の濾過部24は、第一の収容部22、および当該第一の収容部22に隣接させて設けられた第二の収容部23を有している。
このフィルタ20に供給された懸濁液は、前記排水管35に設けられた懸濁液排出孔27の存在により、常に第一の収容部22に導かれる。よって、濾過の進行とともに第一の収容部22の濾過処理効率が低下した場合、処理しきれない懸濁液は、当該第一の収容部22に隣接する第二の収容部23に供給され、濾過される。
【0025】
ここで、このフィルタ20に供給される懸濁液中の切削屑は、コンクリートや金属粉などの比重の重いものである。よって、これら比重の重い切削屑は第一の収容部22で一旦取り除かれるので、第二の収容部23に供給される懸濁液は、目詰まりの主原因となる切削屑をあまり含んでいない。
よって、収容部を一つしか設けない構成と比べてフィルタの寿命を延ばせる、濾過スピードが懸濁液の処理量に比例して極端に低下しない、目詰まりに起因する配管内の圧力上昇による配管の破裂やポンプの破損などを防止できる、というような種々の効果が得られる。
なお、収容部を2つ設けたフィルタでは、収容部を一つしか設けないフィルタと比べ、のべ使用時間で比較して2倍以上のフィルタ寿命が確認された。
【0026】
上述した理由により、前記濾過部24が備える収容部の数は少なくとも2つ以上が好ましい。しかし、収容部の数を増やすと、それに応じて収容部一つ一つの容量が少なくなり、逆にフィルタ20の濾過処理効率が低下する。よって、収容部の数は、この分離手段4であるフィルタ20を収容する貯留手段5の大きさにもよるが、2〜4個程度であることが好ましい。
ここで、本発明の携帯式循環濾過装置1の場合、一つの穿孔に必要な時間として約30〜40秒程度を想定している。この際、前記刃先より吐出させる水の量はおおよそ200〜250mlである。よって、前記収容部の容量は、水の使用量に加えて、本発明の携帯式濾過装置1の重量およびスペースなどに基づいて適宜決定可能である。
【0027】
また、図4に示すように、このフィルタ20は、フィルタ20内に供給された懸濁液との接触面積が多くなるように、折り畳まれて収容部の内方に向かって複数の襞が形成されている。なお、図4は、フィルタ20の折り畳まれた様子が判り易いように、フィルタ20の下部を広げた様子を示した図である。
このフィルタ20の折り畳み方は、収容部の内方に向かって複数の襞が形成される折り畳み方であればこの折り畳み方に限定されるものではなく、所望に応じて適宜決定可能である。
【0028】
このフィルタ20は、折り畳まれた状態で前記貯留手段5内に収納されており、被穿孔体Wの穿孔開始当初は、折り畳まれた状態で懸濁液からの切削屑の濾過を行う。そして、濾過の進行に伴い、濾過処理効率の低下により収容部内への懸濁液の収容量が多くなると、収容された懸濁液の重みにより徐々に折り畳みがほどけ、収容部の容量が多くなるように構成されている。
また、このフィルタ20が収納されている貯留手段5は、密閉できるように構成されているので、前記循環手段6のポンプ31が稼働すると、貯留手段5内に貯留された水の吸引により生じた負圧、およびポンプ31の吐出力による分離手段4への水の強制供給により、フィルタ20での懸濁液の濾過が促進される。
【0029】
本発明の携帯式循環濾過装置1の貯留手段5とは、前記電動ドリル2のビット11に供給する水を貯留する容器である。
【0030】
この貯留手段5は、運搬を容易にするために、後述する循環手段6の一部および分離手段4とを内設している。したがって、貯留手段5、循環手段6の一部、および分離手段4とが一体に形成されている。
この貯留手段5は、その内部を密閉して水を貯留できるものであれば特に限定されるものではない。しかし、運搬を容易にするために、軽量であって加工適正に優れる材料で作られていることが好ましい。このようなものとしてポリエチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチック材料が挙げられる。なお、貯留手段の形状も特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0031】
このような貯留手段5を設けることにより、本発明の携帯式回転穿孔工具1は、穿孔の際にビット11に供給する水を、常時蓄えることが可能となる。よって、穿孔作業を行う場所が、水道などの水の供給場所から離れた位置であっても、問題なく穿孔作業を行える。
【0032】
本発明の携帯式循環濾過装置1の循環手段6とは、前記貯留手段5に貯留された水を前記電動ドリル2のビット11まで供給して吐出させる。次いで、吐出と同時に被穿孔体の切削屑を含んで懸濁液となった水を回収して、後述する分離手段4を経て再び貯留手段5に循環させる機構である。
【0033】
この循環手段6は、ポンプ31、吸水管32、導水管33、排水管35を備えている。
循環手段6のポンプ31は、前記電動ドリル2のモータの回転に連動して、稼動するように構成されている。このポンプ31は、前記貯留手段5に貯留された水を、吸水管32を介して吸引し、導水管33に安定して送り出すことのできるポンプであって、小型かつ軽量のものであれば特に限定されるものではない。たとえば、このようなものとして脈動を生ずることなく安定して水を送ることのできるギヤポンプや、呼び水が不要でメンテナンスの容易なチューブポンプ等が挙げられる。
なお、本実施の形態では、ポンプ31は、貯留手段5内に貯留される水の容量が最大となるように貯留手段5の上部に設けた構成としたが、水を安定して循環させることができ、かつ貯留手段5内の水の貯留量を最大にできる位置であれば特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0034】
循環手段6の吸水管32は、一端が前記ポンプ31の吸入口(図示せず)に接続され、他端は前記貯留手段5に貯留された水に浸漬されている。この吸水管32を浸漬する位置は、水の吸引を効果的に行えるように、貯留手段5を構成するタンクの底面に這わせて設けた構成とすることが好ましい。
循環手段6の導水管33は、一端が前記ポンプ31の吐出口(図示せず)と接続され、他端が電動ドリル2の導入部14に設けられた導入口17に接続されている。
循環手段6の排水管35は、一端が懸濁液回収部19の排出口36に接続され、他端が後述する分離手段4の接続口21に挿通されている。
【0035】
なお、前記吸水管32,導水管33、および排水管35を挿通する水は、摩擦により発熱したビット11を経た水であるので、ビット11から熱を奪って高温となっている場合がある。よって、これら吸水管23,導水管33、および排水管35を構成する材料は、耐熱性を有し、軽量で柔軟性に富み折れ曲がりにくい材料であることが好ましい。よって、本実施の形態では、テフロンブレードホースを用いている。
【0036】
したがって、この循環手段3のポンプ31が稼動すると、ポンプ31は、前記貯留手段5に貯留された水を吸水管32を介して汲み出して、導水管33を通して電動ドリル2の導入部14に供給する。次いで、導入部14に供給された水は、ビット11に導かれて吐出され、被穿孔体の切削屑を含んで懸濁液となり、懸濁液回収手段3の排出口36から排水管35、分離手段4を経て、貯留手段5に循環する。
【0037】
このように構成することで、従来の電動ドリル(図5参照)のように、ビット11と被穿孔体Wとの当接面に供給された水が、そのまま外部に溢出されることがないので、懸濁液の飛散、大量の水の消費といった問題を解決することが可能となる。
【0038】
本発明の携帯式循環濾過装置1の携帯手段7とは、ビット11に供給された水を循環させて、再利用するのに必要な、前記分離手段4、貯留手段5、循環手段6をまとめて、携帯性を向上させるものである。
本実施の形態では、前記貯留手段5内に分離手段4、循環手段6のポンプを一体に形成した構成であるので、この場合における携帯手段7とは、取手40である。
なお、この携帯手段7はこの構成に限定されるものではなく、たとえば、バスケットのようなものに、分離手段4、貯留手段5、ポンプ31などを別々に収容させた構成とすることも可能である。
また、携帯手段7は、手に持つ構成に限定されるものではなく、肩掛け式、ベルトにより腰に吊す構成、背負子により背中に背負う構成など適宜選択可能である。
【0039】
このように、携帯手段7を設け、その中に分離手段4、貯留手段5、循環手段6を収容することにより、作業場所まで本発明の携帯式循環濾過装置1を備えた回転穿孔工具(電動ドリル2)を容易に運搬できる。
【0040】
したがって、本発明の携帯式循環濾過装置1を備えた電動ドリル2では、刃先に供給した水を循環させて再利用するので、単に水を供給する方式の従来の携帯式回転穿孔工具と比べて水の使用量を抑えることができる。刃先と被穿孔体との当接面に供給する水をあらかじめ貯留しているので作業場所が水の供給場所と離れていても問題なく作業できる。また、工具に付帯する部品が少なく、主要な構成部品の携帯が可能となるように一体に形成されているので穿孔作業を行う場所に制限がなく、かつ軽量である。フィルタが特殊形状であるので濾過処理効率が良く、かつフィルタの寿命が長いという特徴を有する。
【0041】
<動作>
次に、本発明の携帯式循環濾過装置1を備えた電動ドリル2の動作を、図1乃至図3を適宜参照しながら説明する。
なお、ここでは、電動ドリル2、懸濁液回収手段3,分離手段4、貯留手段5、循環手段6との接続が完了しているものとして以下に説明を続ける。
【0042】
電動ドリル2のビット11を被穿孔体Wに当接させ、本体部10に設けられたスイッチSWを押す。するとこれに連動して循環手段6のポンプ31が起動して、貯留手段5内に貯留された水を、吸水管32を介して汲み上げて、導水管33を通して、電気ドリル2の導入部14に供給する。
導入部14に供給された水は、導入孔16を介して回転軸13に設けられた孔12内に導かれ、回転軸13の先端に設けられたビット11と被穿孔体Wとの当接面に供給される(図2参照)。
これと同時に、電動ドリル2の本体部10に設けられたモータ(図示せず)が起動し、回転軸13を介してその先端のビット11を回転させる。
よって、ビット11はその刃先と被穿孔体Wとの当接面に水を供給品しながら回転し、被穿孔体Wを穿孔する。
【0043】
ビット11に供給された水は、被穿孔体Wの穿孔により生じた切削屑を含んだ懸濁液として被穿孔体Wの表面に溢出する。
被穿孔体Wの表面に溢出した懸濁液は、懸濁液回収手段3により集められ、懸濁液回収部19の下部に設けられた排出口36から排出される。
排出口36から排出された懸濁液は、排水管35を通って、分離手段4のフィルタ20に導かれ、排水管35に設けられた懸濁液排出孔27より排出され、フィルタ20の第1の収容部22に供給される。
フィルタ20を構成する不織布により、収容部22,23内に収容された懸濁液に含まれる切削屑は濾別され、切削屑を含まない水が、再び貯留手段5に供給される。
貯留手段5に供給された水は、再び循環手段6のポンプ31により電動ドリル2に供給され再利用される。
【0044】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、貯留手段から刃先に供給された液体は、刃先と被穿孔体との当接面を通って被穿孔体の表面に溢出する際に、当該液体に被穿孔体の切削屑を含んでなる懸濁液となる。そして、被穿孔体の表面に漏出し他懸濁液は分離手段に誘導され、当該懸濁液中に含まれる切削屑を取り除いて分離液体とされた後、再び貯留手段に循環される。よって、刃先に供給される液体を、常に循環再利用させるので、被穿孔体の切削に際し大量の液体を必要とさせない。また、携帯式回転穿孔工具の使用に必要な付帯工具である貯留手段、分離手段、循環手段は携帯手段内に収容されるので、容易に携帯できる。よって、作業時の作業者の移動が容易となり、作業効率が改善される。
【0045】
また、懸濁液は常に所定の収容部(第一の収容部)に供給され、当該第一の収容部で濾過できない懸濁液は、当該第一の収容部に隣接して設けられた第二の収容部に供給され濾過される。したがって、第一の収容部が目詰まり等により懸濁液を濾過できなくなると、懸濁液は隣接する第二の収容部に収容されて濾過されるので、収容部を一つしか設けない場合と比べて、分離手段の長寿命化、濾過処理効率の急激な低下防止を計ることができる。
【0046】
請求項2記載の発明によると、前記収容部は、収容部内に収容された懸濁液との接触面積が大きくなるように、折り畳まれて収容部内に複数の襞が形成されている。よって、懸濁液中に含まれる切削屑が効率よく濾別される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯式循環濾過装置を備えた回転穿孔工具の概略を説明する概略説明図である。
【図2】本発明の携帯式循環濾過装置を備えた回転穿孔工具および本発明の携帯式循環濾過装置の懸濁液回収手段の要部拡大図である。
【図3】分離手段の濾過部の概略説明図である。
【図4】分離手段の濾過部を斜め下から見た斜視図である。
【図5】従来の携帯式回転穿孔工具の概略を説明する概略説明図である。
【符号の説明】
1・・・携帯式循環濾過装置
2・・・電動ドリル
3・・・懸濁液回収手段
4・・・分離手段
5・・・貯留手段
6・・・循環手段
7・・・携帯手段
20・・フィルタ
21・・接続口
22・・第一の収容部
23・・第二の収容部
24・・濾過部
25・・誘導部
31・・ポンプ
32・・吸水管
33・・導水管
Claims (2)
- 刃先に液体を供給しながら切刃を回転させて、被穿孔体を穿孔する回転穿孔工具に用いる携帯式循環濾過装置であって、前記刃先に供給された液体に被穿孔体の切削屑を含んでなる懸濁液を回収する懸濁液回収手段と、前記回収された懸濁液から前記切削屑を分離する分離手段と、前記分離手段において前記切削屑が分離されてなる液体を貯留する貯留手段と、前記貯留手段に貯留された液体を前記刃先に供給し、前記刃先に供給され被穿孔体の切削屑を含んで懸濁液となった当該液体を、前記懸濁液回収手段を経て前記分離手段に導き、当該分離手段で当該懸濁液から切削屑を分離してなる液体を前記貯留手段に循環させる循環手段と、前記貯留手段、前記分離手段、および前記循環手段を収容するとともに、これらを運搬自在とする携帯手段とを備え、
前記分離手段は、供給された前記懸濁液を収容して、この懸濁液に含まれる切削屑を濾別する順次隣接させた複数の収容部を備えた袋状の濾過部と、当該分離手段に供給された懸濁液を常に所定の前記収容部に誘導する誘導部とを備え、
前記誘導部は、前記収容部に懸濁液を供給する排水管と、この排水管に設けた懸濁液排出孔とを備えることを特徴とする携帯式循環濾過装置。 - 前記濾過部を形成する収容部は複数の襞が形成されるように折り畳まれていることを特徴とする請求項1記載の携帯式循環濾過装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001144326A JP3623927B2 (ja) | 2001-05-15 | 2001-05-15 | 携帯式循環濾過装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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