JP3623777B2 - 環境汚染微量物質の定量方法及びそれに用いる定量用キット - Google Patents

環境汚染微量物質の定量方法及びそれに用いる定量用キット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な環境汚染微量物質の定量方法及びそれに用いる定量用キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境汚染防止の観点から、大気中、水中あるいは土壌中の極微量成分を定量することが必要とされる機会が多くなってきているため、これらの極微量成分を簡便かつ精度よく定量する方法に対する要求が高まっている。
このような微量成分の分析法の1つとして、重金属イオンに対す比色定量法がある。これは、被分析物質と発色試薬とを反応させ、得られる反応生成物を予備濃縮したのち、分光分析を行う方法であり、マイクログラムオーダーの定量が可能であるため、広い分野において利用されている。
【0003】
しかしながら、この方法においては予備濃縮が分析感度を高めるのに不可欠な工程であり、蒸発濃縮、溶媒抽出、凝集、透析などの手段を用いて行われているが、いずれも操作が煩雑である、長時間を要する、経費がかかる、試料が不安定である、発ガン性のおそれのある有機溶剤を用いなければならないなどの問題があり、使用範囲が制限されるのを免れない。
【0004】
このような問題に対処するものとして、被分析物質と特異的に反応する分子吸光係数の大きい発色試薬[「ファインケミカル」,第20巻,第6号,第5〜12ページ(1991)]や、被分析物質と発色試薬との反応生成物をメンブランフィルター濃縮する方法[「アナリスト(Analyst)」,第112巻,第1257〜1260ページ(1987)]などが提案されているが、まだ、実用に供するには、必ずしも満足しうるものではない。
【0005】
一方、環境分析の分野では、特に現場において試料を採取し、その試料を分析機器の完備した場所に持ち帰って分析することが行われている。この方法は分析精度が高いという利点はあるが、分析結果を得るまでに長時間を要し、また経費がかさむという欠点があることから、最近はその場で結果が得られるオンサイトでの分析が望まれている。
【0006】
ところで、このオンサイトでの分析においては、試料の分離及び検出に特別な装置、器具を必要とせず、簡単な操作で、迅速かつ高感度で結果が得られ、しかもコスト的には十分安く行いうることが要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境汚染の原因となっている極微量成分、特に重金属イオンを簡便かつ精度よく定量する方法、及びそれに用いる定量キットを提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、極微量の汚染物質を簡単に定量分析しうる方法を開発するために鋭意研究を重ねた結果、低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物の特性を利用することにより、簡便かつ精度よく微量汚染物質を定量しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(イ)微量汚染物質を含む環境採取試料を水と混合し、よくかきまぜたのち静置し、その上澄液を分取し、前処理液と混合する工程、
(ロ)上記の混合液を任意温度に維持し、その温度よりも高い転移温度をもつ低温において親水性、高温において疎水性となる微細繊維状固体の熱可逆型感熱高分子化合物を加えて溶解させる工程、
(ハ)その溶解液を上記感熱高分子化合物の転移温度以上に昇温して固形物を形成させたのち、この固形物から液体部分を分離する工程、
(ニ)この液体部分を、上記微量汚染物質と反応して呈色する疎水性発色試薬を包接した固体状の低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物と、その転移温度よりも低い温度において混合して溶液を形成させる工程、
(ホ)この溶液を転移温度以上に昇温して、微量汚染物質と上記発色試薬との反応によって生じた呈色化合物を包接して析出した上記感熱高分子化合物からなる固体部分を液体部分から分離する工程、
(ヘ)(ホ)で得た固体部分を上記感熱高分子化合物の転移温度よりも低い温度において水又は溶剤に溶解し、溶液とする工程、及び
(ト)得られた溶液の吸光度を測定するか、或いは標準品と比色定量して微量汚染物質の含有量を求める工程
から成ることを特徴とする環境汚染微量物質の定量方法、及びこの方法に用いるのに好適な、
(A)必要量の前処理液を収納し、かつ試料を加える標線を付した試験管、
(B)必要量の低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物を収納した試験管、
(C)処理後(B)の管壁に付着した親水性−疎水性熱可逆型高分子化合物固形物から分離された液体部分を受容する試験管、
(D)定量しようとする微量汚染物質と反応して呈色する疎水性発色試薬を包接した低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型高分子化合物の必要量を収納し、かつ(C)中の液体部分を加えるための標線を付した試験管、
(E)上記処理後に(D)の管壁に付着させた固形物を溶解するための溶剤を収納した小型容器、及び
(F)標準試薬により求めた微量汚染物質の濃度に対応する比色帯を印刷した比色計
を組み合わせてなる環境汚染微量物質の定量用キット
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において用いる低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物とは、所定の温度すなわち転移温度以下の低温で生成する高分子の水和物(オキソニウムヒドロキシド)が、上記温度よりも高温で脱水和することにより高分子同士が凝集し、沈殿する物性を有するものであり、転移温度以下では親水性を示し、水に溶解するが、転移温度よりも高い温度では疎水性を示し、沈殿する。
【0011】
本発明においては、転移温度が0〜90℃、好ましくは10〜60℃の間にある親水性−疎水性熱可逆型感熱高分子化合物が用いられるが、特に周囲温度では親水性を示し、加熱すると疎水性を示すような転移温度をもつものが好ましい。この転移温度は、高分子化合物を構成する単量体の種類、共単量体の含有割合によって変えることができるが、そのほか水溶液としたときの塩濃度やpHを調整することによっても変えることができる。
【0012】
上記の低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物自体は公知の物質であり、その例としては、N‐エチルアクリルアミド、N‐n‐プロピルアクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐シクロプロピルアクリルアミド、N,N‐エチルメチルアクリルアミド、N,N‐ジエチルアクリルアミド、N‐アクリロイルピロリジン、N‐アクリロイルピペリジン、N‐アクリロイルモルホリン及び対応するメタクリルアミド誘導体の中から選ばれた少なくとも1種の単量体の重合体又は共重合体、あるいはこれらの単量体と親水性単量体、例えばN‐ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N‐メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、アクリル酸やメタクリル酸のような不飽和カルボン酸及びそれらの塩、ビニルスルホン酸やスチレンスルホン酸のような不飽和スルホン酸、N,N‐ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N‐ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N‐ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなど、あるいは疎水性単量体、例えばエチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートのようなアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルや、N‐n‐ブチルアクリルアミド、N‐n‐ブチルメタクリレートのようなN‐アルキル置換アクリルアミド又はメタクリルアミド、塩化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニルなどの中から選ばれた少なくとも1種の単量体との共重合体などが挙げられる。
【0013】
一般に、親水性単量体と共重合させると単独重合体よりも転移温度は上昇するし、また疎水性単量体と共重合させると単独重合体よりも転移温度は低下するので、これを利用して所望の転移温度をもつ親水性−疎水性熱可逆型感熱高分子化合物を形成させることができる。
【0014】
ところで、一般に環境汚染の原因となる微量物質は、通常、土壌、排水などの巨大マトリックス中に含有されているため、これを定量分析するには、先ず巨大マトリックスから分析しようとする微量物質を分離する必要がある。これまで、この分離は、微量物質を疎水性物質、例えばキレート化合物に誘導したのち、クロロホルム、エーテルなどの疎水性有機溶媒を用いて、巨大マトリックス中から抽出することによって行われていたが、この方法は多量の有機溶媒を必要とする上に、抽出効率の上からも必ずしも満足しうるものではなかった。
【0015】
しかるに、前記の熱可逆型感熱高分子化合物を0.01〜0.5質量%の濃度で含む水溶液は、低級アルコールに近い極性をもち、かつある濃度以上では疎水性を示す溶媒となるものであり、しかも温度刺激により脱水和して固相を形成して水相と分れる性質を有している。そして、疎水性マトリックスが共存すると、これは熱可逆型感熱高分子化合物の固相中に取り込まれて水相から除去され、この際の水相と固相間の分配係数は、マトリックス物質の疎水性が高いものほど大きくなる。
【0016】
したがって、定量しようとする微量物質を親水性に維持し、上記の熱可逆型感熱高分子化合物をその転移温度以下の温度で添加したのち、その転移温度以上に加温すると、マトリックス物質を捕集し、分離することができる。そして、この分離方法は、何らの機器も必要とせず、単に定量すべき上澄液を傾しゃにより分取するだけで、簡単かつ短時間で行うことができるので、オンサイト分析における処理方法としては好適である。
【0017】
本発明方法においては、このような低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物の性質を利用して、環境から採取した試料中から定量しようとする微量汚染物質を分離する。この微量汚染物質は、重金属イオンのような無機物質でもよいし、またホルムアルデヒドのような有機物質でもよい。
【0018】
すなわち、先ず所定量の試料を環境から採取し、水と混合して試料中の微量物質を水中へ移行させ、上澄液として分取することにより、所定の基準、例えば土壌の場合は、「土壌の汚染に係わる環境基準」(平成3年8月23日環境庁告示第46号)に示された調製法に従って試料液を調製する[(イ)工程]。
【0019】
次に、この試料液の所定量に、使用する低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物の転移温度よりも低い温度に保ち、この微細繊維状固体の熱可逆型感熱高分子化合物を加え、よく混合し、溶解する[(ロ)工程]。この工程において混合物は単一の水相を形成している。
【0020】
次いで、この混合物を該熱可逆型感熱高分子化合物の転移温度以上に昇温する。この段階で固形物を生じ、マトリックス物質が存在する場合には、これは固相中に取り込まれるので、傾しゃ等により液体部分のみを固形物から分取するとマトリックス物質が除かれた検液が得られる[(ハ)工程]。
【0021】
次に、この検液にあらかじめ調製された微量物質検出用材料を、その材料中に含まれる低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物の転移温度よりも低い温度において加え、溶解させる[(ニ)工程]。
【0022】
この微量物質検出用材料は、低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物に疎水性キレート形成型発色試薬を包接させることによって調製される。この包接させる疎水性キレート形成型発色試薬としては、これまで光分析において所定の微量汚染物質とキレート化合物を形成する発色試薬として用いられているものの中から任意に選択して用いることができる。
【0023】
このような発色試薬には、例えば、重金属イオン検出用としてカドミウムCd(II)と赤色錯体を形成するジチゾン、コバルトCo(II)と赤色錯体を形成する2‐ニトロソ‐1‐ナフトール、クロムCr(VI)と赤紫色錯体を形成するジフェニルカルバジド、水銀Hg(I)及びHg(II)と黄色錯体を形成するチオテノイルトリフルオロアセトン、鉛Pb(II)と赤色錯体を形成するジヂゾンなどがある。
【0024】
その外、有機環境汚染物質、例えばホルムアルデヒドの発色試薬としては、亜硫酸で脱色した色素フクシン、N‐ベンゼンスルホニルヒドロキシルアミンと塩化鉄との組合せ、4‐アミノ‐3‐ヒドラジノ‐5‐メルカプト‐1,2,4‐トリアゾール、クロモトロープ酸などがある。
【0025】
本発明方法で用いる微量汚染物質検出用材料は、前記の疎水性キレート形成型発色試薬を、水混和性有機溶剤例えばアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどに溶解し、得られた溶液を、前記の親水性−疎水性熱可逆型感熱高分子化合物の水溶液とその転移温度以下において混合し、その混合物を凍結乾燥することによって製造することができる。
【0026】
この際の有機溶剤中の発色試薬の濃度としては、0.5〜1.0質量%の範囲内が用いられるし、また水溶液中の感熱高分子化合物の濃度としては0.2〜15質量%の範囲内が用いられる。
凍結乾燥は、例えば−20℃ないし−50℃の温度において0.5〜100Paの減圧下で行うことができる。
このようにして、発色試薬が感熱高分子化合物中に均一に包接された綿状の微量汚染物質検出用材料が得られる。
【0027】
これまで、有機発色試薬は、有機溶剤に溶解した溶液として用いられていたが、その溶液の安定性が低く、短時間で劣化することが多かった。しかるに、上記の微量汚染物質検出用材料は固体状であるため安定であり、苛酷な測定条件下におけるフィールド分析にも十分対応することができる。しかも、高分子化合物と共存することにより、通常は水に難溶なキレート形成型発色試薬が容易に水と混合して、速やかに呈色反応を進行させることができる。
【0028】
本発明方法においては、この微量汚染物質検出用材料を加えた検液を、前記の感熱高分子化合物の転移温度以上に昇温する。この処理により微量汚染物質と発色試薬との反応によって生じた疎水性の呈色化合物が感熱高分子化合物に包接されたまま固体状で析出し、器壁に付着するので、固体部分をそのまま付着させて残し、傾しゃにより液体部分のみを除く[(ホ)工程]。
【0029】
次に、この器壁に付着した固体部分を使用した感熱高分子化合物の転移温度よりも低い温度の水又は溶剤の所定量を用いて溶解し、着色溶液とする[(ヘ)工程]。
【0030】
そして、このようにして得た着色溶液について、光度計でその吸光度を測定するか、或いは標準品と比色定量することにより、その中に含まれる微量汚染物質の量を求める[(ト)工程]。
このようにして、周囲環境から採取した試料から、オンサイトにおいて簡単、かつ迅速に微量汚染物質を定量することができる。
【0031】
上記の(ト)工程の定量は、既知濃度の標品に基づいてあらかじめ作成した標準色表と比色して行うのが有利であるが、生成した環境汚染物質の着色溶液の光吸収波長における吸光度を既知濃度の標品のそれと対比して行うこともできる。
【0032】
本発明方法における低温での操作は、5〜10℃の範囲で、また高温での操作は20〜45℃の範囲で行うのが好ましいので、この範囲の間の転移温度をもつ感熱高分子化合物を選んで用いるのが有利である。
【0033】
本発明方法は、各工程の操作が円滑に行いうるように、用具を組み合わせた定量用キットを用いて行うのが好ましい。
図1は、このような定量用キットの1例を示す斜視図である。
この図に従って定量用キットを用いて六価クロムを定量する方法を説明する。このキットは、ケース1、3本の丸底試験管2,4,5と1本の平底試験管6、溶剤を入れた小びん7、スポイト8及び比色計9(付属品として比色帯10を含む)から構成されている。そして、定量しようとする試料を、先ずあらかじめ前処理液、例えば過塩素酸混液3を収納し、試料の必要量を示す標線を付した試験管2に、該標線の位置まで注入し、前処理液とよく混合する。
【0034】
次に、低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物を収納した試験管4を、該熱可逆型感熱高分子化合物の転移温度よりも低い温度に保ち、その中へ試験管2から試料を注入する。
次いで、この試験管4を該熱可逆型高分子化合物の転移温度以上に加温し、激しく振り混ぜて析出した固体を管壁に付着させ、傾しゃにより液体部分のみを試験管5に移す。
【0035】
次に、疎水性発色試薬例えばジフェニルカルバジドを包接した低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型高分子化合物を収納し、所要の位置に標線を付した平底試験管6の標線の位置まで試験管5中の液体を低温に冷却して加え、内容物を溶解させたのち、上記熱可逆型高分子化合物の転移温度以上に加温し、激しく振りまぜて生じた固体を管壁に付着させたのち、傾しゃにより液体部分を捨てて、固体部分のみを残す。次いで、スポイト8により小びん7から少量の溶剤を試験管6に注ぎ、固体塊を完全に溶解して着色液とする。
【0036】
このようにして調製した着色液を収容した平底試験管6を比色計の所定の穴に挿入し、のぞき孔を通して比色帯の色と対比して、両者が一致するところを求め、対応する数値を読み取ることにより、クロムの定量を行うことができる。
試験管のうち、比色計に挿入する試験管6は、比色帯の色と対比する場合、平底の方が有利であるが、他の試験管は特に平底にする必要はない。
【0037】
【発明の効果】
本発明方法によれば、特に所定の定量用キットを用いることにより、簡単な操作で迅速に環境汚染微量物質をオンサイトで定量することができる。
【0038】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0039】
参考例1
転移温度約30℃、質量平均分子量約50000のポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド)(以下PNIPAAmと略す)4gを、ジフェニルカルパジド0.02gをアセトン5mlに溶かした溶液中に加えて溶解し、5℃の水を全量が100mlになるまで加えて希釈した。次いで、この溶液を温度−40℃、圧力10Paで24時間凍結乾操することにより、綿状のジフェニルカルパジドを包接したPNIPAAm(以下DPC−PNIPAAmと略す)を得た。
【0040】
参考例2
実施例1で用いたのと同じPNIPAAm0.2gを、ジチゾン0.001gをアセトン(orエチルアルコール)5mlに溶かした溶液中に加えて溶解し、5℃の水を全量が100mlになるまで加えて希釈した。次いで、この溶液を参考例1と同様の条件下で凍結乾燥することによりジチゾンを包接したPNIPAAm(以下DTZ−PNIPAAmと略す)を得た。
【0041】
実施例1
クロム酸カリウム0.971gを秤取し、全量50mlになるまで水を加えて溶解し、濃度0.1Mのクロム酸標準原液を調製した。次いで、このクロム酸標準原液を水で希釈してクロム含有量5.2〜156ppbのクロム標準液を各10mlずつ調製した。
これらのクロム標準液10mlずつを蓋付試験管にとり、これに過塩素酸混液(8M過塩素酸ナトリウム+0.0025M過塩素酸)3mlを加えて混合したのち、5℃において参考例1で得たDPC−PNIPAAmを加え振りまぜて溶解させた。さらに、5分間この温度に保持して、Cr−DPC錯体形成反応を完結させたのち、1分間45℃に加温し、ただちに10秒間激しく振りまぜて、生成した固体を試験管壁に付着させた。
次いで、デカンテーションにより、液体部分を除去し、アセトン0.5mlを加えて固体部分を溶解して赤色の溶液を得た。
この溶液について波長540nmにおける吸光度を測定した結果を図2に示す。図中の黒丸は本発明の重金属検出用材料を用いた場合、白丸は標準液について従来の方法により測定した場合の結果である。
【0042】
この図から分るように、Cr(VI)濃度と吸光度とは良好な比例関係(相関係数0.999)を示し、試料中の5ppb以上のCr(VI)は、これを20倍以上に濃縮することにより高効率で測定することができる。そして、Cr(VI)10ppb以上の試料では目視測定が可能であるので、あらかじめ検量線の標準溶液列の比色帯を作成しておけば、フィールドにおける採取試料の測定時に、毒性の高いCr(IV)標準液を用いることなくCr(VI)の定量を行うことができる。
【0043】
実施例2
原子吸光用標準溶液(1000mg/l)を水で適宜に希釈してカドミウム含有量0〜0.4mg/lの標準溶液を調製した。
これらのカドミウム標準溶液10mlずつを蓋付試験管にとり、5℃において参考例2で得たDTZ−PNIPAAmを加えて振り混ぜて溶解させた。さらに10%NaOH水溶液0.1mlを加えて45℃に10秒間加温し、直ちに10秒間激しく振り混ぜて、生成したCd−DTZ錯体を取り込んで析出したPNIPAAm固体を試験管壁に付着させた。
次いで、デカンテーションにより液体部分を除去し、アセトン1mlを加えて固体部分を溶解して赤色の溶液を得た。この溶液について波長535nmにおける吸光度を測定した結果を図3に示す。
【0044】
この図から分るように、Cd(II)濃度と吸光度とは良好な比例関係を示し、試料液中の0.005mg/l以上のCd(II)は、これを20倍以上に濃縮することにより高効率で測定できる。そして0.01mg/l以上の試料では目視測定が可能である。従って、予め標準溶液列の比色表を作製しておけばフィールドにおける測定時に、毒性の高いCd(II)標準液を用いることなくCd(II)の定量を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明キットの斜視図。
【図2】Cr(VI)の濃度と波長540nmにおける吸光度との関係を示すグラフ。
【図3】Cd(II)の濃度と波長535nmにおける吸光度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 ケース
2,4,5,6 試験管
3 前処理液
7 小びん
8 スポイト
9 比色計
10 比色帯

Claims (7)

  1. (イ)微量汚染物質を含む環境採取試料を水と混合し、よくかきまぜたのち静置し、その上澄液を分取し、前処理液と混合する工程、
    (ロ)上記の混合液を任意温度に維持し、その温度よりも高い転移温度をもつ低温において親水性、高温において疎水性となる微細繊維状固体の熱可逆型感熱高分子化合物を加えて溶解させる工程、
    (ハ)その溶解液を上記感熱高分子化合物の転移温度以上に昇温して固形物を形成させたのち、この固形物から液体部分を分離する工程、
    (ニ)この液体部分を、上記微量汚染物質と反応して呈色する疎水性発色試薬を包接した固体状の低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物と、その転移温度よりも低い温度において混合して溶液を形成させる工程、
    (ホ)この溶液を転移温度以上に昇温して、微量汚染物質と上記発色試薬との反応によって生じた呈色化合物を包接して析出した上記感熱高分子化合物からなる固体部分を液体部分から分離する工程、
    (ヘ)(ホ)で得た固体部分を上記感熱高分子化合物の転移温度よりも低い温度において水又は溶剤に溶解し、溶液とする工程、及び
    (ト)得られた溶液の吸光度を測定するか、或いは標準品と比色定量して微量汚染物質の含有量を求める工程
    から成ることを特徴とする環境汚染微量物質の定量方法。
  2. (イ)工程における微量汚染物質が重金属である請求項1記載の環境汚染微量物質の定量方法。
  3. (イ)工程における微量汚染物質が有害無機又は有機物質である請求項1記載の環境汚染微量物質の定量方法。
  4. (ニ)工程における微量汚染物質と反応して呈色する疎水性発色試薬が、重金属イオンとキレート化合物を形成して呈色する疎水性キレート形成型試薬である請求項2記載の環境汚染微量物質の定量方法。
  5. (A)必要量の前処理液を収納し、かつ試料を加える標線を付した試験管、
    (B)必要量の低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物を収納した試験管、
    (C)処理後(B)の管壁に付着した親水性−疎水性熱可逆型高分子化合物固形物から分離された液体部分を受容する試験管、
    (D)定量しようとする微量汚染物質と反応して呈色する疎水性発色試薬を包接した低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型高分子化合物の必要量を収納し、かつ(C)中の液体部分を加えるための標線を付した試験管、
    (E)上記処理後に(D)の管壁に付着させた固形物を溶解するための溶剤を収納した小型容器、及び
    (F)標準試薬により求めた微量汚染物質の濃度に対応する比色帯を印刷した比色計
    を組み合わせてなる環境汚染微量物質の定量用キット。
  6. (B)の低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物が、ポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド)であり、(D)の定量しようとする微量汚染物質がクロム、それと反応して呈色する疎水性発色試薬を包接した低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型高分子化合物が、ジフェニルカルバジドを包接したポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド)であり、(E)の溶剤がアセトンである請求項5記載の定量用キット。
  7. (B)の低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型感熱高分子化合物がポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド)であり、(D)定量しようとする微量環境汚染物質がカドミウム、それと反応して呈色する疎水性発色試薬を包接した低温において親水性、高温において疎水性となる熱可逆型高分子化合物が、ジチゾンを包接したポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド)であり、(E)の溶剤がアセトンである請求項5記載の定量用キット。
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