JP3622022B2 - 部材の強度検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、あらゆる部材の強度を検査する方法及び硬質部材の応力又は歪みを測定する方法に関し、特に材質強度のワイブル係数が低い部材や、不良率をできるだけ0に近づける必要がある部材、あるいは著しく高い信頼性が要求される部材等の強度を検査する方法及び応力又は歪みを測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
部材の強度検査方法として、液圧ポンプで水又は油等の液体及びゴム状弾性体を介して、セラミックス製部品に内圧、すなわち保証応力を印加する方法(特開平4−256829号)、液圧ポンプで水又は油等の液体及び弾性チューブを介して、セラミックス製部品に内圧、すなわち保証応力を印加する方法(特開平5−133842号)、又加圧装置でセラミック製品を金属製治具に押し付けつつ加熱することで、熱伸び応力と摩擦により、セラミックス部品に保証応力を印加する方法(特開平4−350534号)等が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法には種々の問題がある。例えば、特開平4−256829号及び特開平5−133842号の方法では、液体及びゴム状弾性体を介して、最低50MPa レベルの液圧を印加するため、それ相当の高コストの圧力容器装置(シールド材、ゴム状弾性体の型代を含む)が必要となる。また、製品破損時に液体飛散が考えられるため、シール性の箱体で装置全体を覆う必要がある。さらに図9に示す二段のリング1の一体形状品の場合、二段リングに同時に圧力を印加する場合、二段リングの内側に同時に密接する半円環状の治具93等が更に必要となる。
【0004】
また、特開平4−350534号の方法では、セラミックス製品と金属製治具の間の静摩擦係数μにより、金属製治具の熱伸び応力を製品の端面部のみに印加する。μ=0.3 〜0.4 とセラミックス製品と金属製治具間に滑りが発生するため、製品に与えたい径方向荷重の2.5 〜3.3 倍の圧縮荷重を製品にかける必要がある。また、熱伸び応力を製品の端面部のみに印加するため、長尺の製品に軸方向にほぼ均一に引張り応力を発生させることが不可能であり、また短尺の製品に応力を発生させる場合でも、より大きい圧縮荷重を製品にかける必要がある。そのことによる製品の強度の低下、又そのために必要となる加圧装置のコストアップが懸念される。
【0005】
従って、本発明の目的は、安価な装置を用い、簡単な操作で、部材の任意な部位に圧縮応力及び引っ張り応力を自在に付与できる部材の強度検査方法及び硬質部材の応力又は歪みを測定する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、治具を使用して部材の強度を検査する場合に、(a) 治具及び部材の一方が他方に遊嵌するように治具の形状を定めるとともに、治具の材質を部材と異なる熱膨張率を有するように選定し、前記治具と部材を遊嵌の関係に係合し、加熱又は冷却すると、両者の熱膨張率の差から、部材に所定の圧縮又は引張応力がかかり、もって部材の強度を検査できるとともに、硬質部材の応力又は歪みを測定できること、並びに (b) 前記加熱後に治具又は(硬質)部材を急冷するか、前記冷却後に治具又は(硬質)部材を急加熱すると、(硬質)部材の強度低下を防止できることを発見し、本発明に想到した。
【0007】
すなわち、治具を使用して部材の強度を検査する本発明の部材強度検査方法は、(1) 前記部材の強度検査に必要な応力を実用中に発生する最大応力より決定し、(2) 前記強度検査応力から、前記部材と異なる熱膨張率を有する治具の材質、及び前記治具と前記部材との遊嵌の初期クリアランスを定め、(3) 前記材質の治具及び前記部材の一方を他方に遊嵌し、(4) 検査開始温度から所定の温度まで前記治具及び/又は前記部材を加熱又は冷却することにより、前記部材に応力を与え、(5) 前記加熱後に前記治具又は前記部材を急冷するか、前記冷却後に前記治具又は前記部材を急加熱することにより遊嵌状態に戻し、 (6)前記部材にクラックが発生したか否かを検出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の硬質部材の応力又は歪みを測定する方法は、(1) 前記硬質部材に応力又は歪みの測定手段を設け、(2) 前記硬質部材と異なる熱膨張率を有する材質からなる治具と前記硬質部材との遊嵌の初期クリアランスを定め、(3) 前記材質の治具及び前記硬質部材のいずれか一方を他方に遊嵌し、(4) 測定開始温度から所定の温度まで前記治具及び/又は前記部材を加熱又は冷却することにより、前記硬質部材に作用荷重を発生させ、(5) 前記応力又は歪み測定手段を用いて、前記作用荷重から生じる応力又は歪みを測定し、次いで (6) 前記加熱後に前記治具又は前記部材を急冷するか、前記冷却後に前記治具又は前記部材を急加熱することにより遊嵌状態に戻すことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
[1] 部材の強度検査方法
(1) 部材
本発明の方法によりあらゆる部材の強度検査に適用可能である。例えば木材、ポリマー樹脂、金属等が挙げられる。特に材料強度のワイブル係数が低いものや、不良率をできるだけ0に近づける必要があるもの、あるいは著しく高い信頼性が要求されるもの等があり、例えば各種のセラミックス、カーボン、金属間化合物等、非常に硬度が高いが変形能又は塑性が低い材質からなる硬質脆性部材が適する。セラミック材としては、窒化珪素、炭化珪素、アルミナ、ジルコニア等の各種の強度材が本発明の強度検査方法に好適である。
【0010】
(2) 部材の強度を検査するのに必要な応力の決定
部材の強度を検査するのに必要な応力は、一般に部材が実際の作動時に受ける応力、特に実際の作動時に受ける最大応力より求められる。例えば、▲1▼部材が実際の作動時に受ける応力に、▲2▼部材の材料強度のワイブル係数、▲3▼不良品確率、▲4▼長時間の疲労による強度低下率から求められる安全係数を掛けた値を、強度検査に必要な応力とする。しかしこの方法に限らず、種々の方法で強度検査に必要な応力を決定することができる。
【0011】
(3) 治具の材質、サイズ及び形状の決定
強度検査応力、及び部材の熱膨張率、ヤング率、ポアソン比等より、治具の材質、部材と治具との間の初期クリアランス、加熱により応力を発生させる場合の加熱温度、及び冷却により応力を発生させる場合の冷却温度を決定する。治具は検査すべき部材と異なる熱膨張率を有する材質からなる。また熱膨張率の差で応力が発生したときに、治具自身が塑性変形せず、弾性変形域内に収まるようなものが好ましい。このような治具の材質として、検査すべき部材の熱膨張率に応じて金属、セラミックス、ポリマー等あらゆる材質を用いることができる。
【0012】
一般に、治具と部材との熱膨張率の差が大きいほど、高い応力が得られる。このため、部材と治具の熱膨張率の差は0.5 ×10−6−1以上が好ましく、5×10−6−1以上がより好ましい。
【0013】
部材と治具との初期クリアランスが小さいほど、低い加熱温度又は冷却温度にて高い応力が得られるが、初期クリアランスが小さすぎると、治具と部材との遊嵌が困難になる。部材と治具との間の初期クリアランスは、治具及び部材の形状及びサイズ、治具と部材との熱膨張率の差、必要とする応力等の条件をもとに適宜設定することができるが、一般に30〜100 μmとするのが好ましい。
【0014】
(4) 治具の作製と遊嵌
決定された材質と初期クリアランスのデータに基づき、治具を作製する。本発明では、部材の被検部位に治具が上記初期クリアランスをもって当接し、均等に部材に応力を与えるように、治具の形状を決めればよい。
【0015】
(5) 治具及び/又は部材の加熱又は冷却
検査時には、治具及び部材の一方を他方に遊嵌し、所定の温度まで部材及び/又は治具を加熱又は冷却する。加熱する手段として、電気炉、誘導加熱装置、熱風ヒーター等が挙げられる。また、冷却する手段として、電気冷却装置、水冷スプレー、空冷ジェット等が挙げられる。加熱温度としては、治具の弾性率の温度による低下が大きくない範囲内で使用するのが好ましい。スチール製治具を使用する場合、最大300 ℃が好ましい。
【0016】
治具及び部材の一方を他方に遊嵌する場合の組み合わせは以下の通りである。それぞれの場合について説明する。
Figure 0003622022
【0017】
(a) 治具の熱膨張率が部材より大きい場合
(i) 引張応力
部材が凹部及び/又は中空部を有する時には、治具を部材の凹部及び/又は中空部に所定のクリアランスで遊嵌し、治具、又は治具及び部材を加熱すると、部材に引張応力が発生する。
【0018】
(ii)圧縮応力
治具が凹部及び/又は中空部を有する時には、部材を治具の凹部及び/又は中空部に遊嵌する。この場合、スタート時の温度で所定のクリアランスがある状態で、治具、又は治具及び部材を冷却すると、部材に圧縮応力が発生する。
【0019】
(b) 治具の熱膨張率が部材より小さい場合
(i) 引張応力
部材が凹部及び/又は中空部を有する時には、治具を部材の凹部及び/又は中空部に遊嵌する。スタート時の温度で所定のクリアランスがある状態で、部材、又は治具及び部材を冷却すると、部材に引張応力が発生する。
【0020】
(ii)圧縮応力
治具が凹部及び/又は中空部を有する時には、部材を治具の凹部及び/又は中空部に所定のクリアランスで遊嵌し、部材、又は部材及び治具を加熱すると、部材に圧縮応力が発生する。
【0021】
引張応力及び圧縮応力のいずれの場合も、加熱した後遊嵌状態になるまで冷却する時には、内側にある治具又は部材を急冷するのが好ましい。具体的には、▲1▼内側にある治具の方が熱膨張率が大きい場合には、内側にある治具を急冷し、▲2▼内側にある部材の方が熱膨張率が大きい場合には、内側にある部材を急冷する。また、内側にある部材を急冷すると同時に、外側にある治具を加熱してもよい。このような場合に治具又は部材を徐冷すると、治具が部材に与える応力がなかなか小さくならず、部材の強度低下が起きるおそれがある。
【0022】
また、冷却した後遊嵌状態になるまで昇温させる時には、外側にある治具又は部材を急加熱するのが好ましい。具体的には、▲1▼外側にある治具の方が熱膨張率が大きい場合には、外側にある治具を急加熱し、▲2▼外側にある部材の方が熱膨張率が大きい場合には、外側にある部材を急加熱する。また、外側にある部材又は治具を急加熱すると同時に、内側にある治具又は部材を冷却してもよい。このような場合に治具又は部材を徐々に昇温すると、治具が部材に与える応力がなかなか小さくならず、部材の強度低下が起きるおそれがある。
【0023】
(6) 部材中のクラックの検出
加熱又は冷却の完了後部材を治具から分離し、部材内にクラックが発生したか否かを検出する。クラックの検出方法は公知のものでよいが、例として蛍光探傷法、X線透過探傷法等が挙げられる。
【0024】
なお、工程(4) の加熱又は冷却を複数回繰り返し、部材の疲労検査を行うこともできる。
【0025】
部材の中空部内に治具を遊嵌した一例を図1に示す。この例では、部材1は断面がエの字状で全体がドーナツ状になっている形状を有し、内方及び外方に突出するリング部11、12を有する。部材1より治具3の方が大きな熱膨張率を有する場合には、治具3、又は治具3及び部材1を加熱する。また部材1より治具3の方が小さな熱膨張率を有する場合には、両者を遊嵌し、部材1、又は部材1及び治具3を冷却する。
【0026】
以下、窒化珪素系セラミックス製の部材1と、スチール製の治具3を使用する場合について、詳細に説明する。この場合には、治具3の方が部材1より大きな熱膨張率を有するので、治具3と部材1のリング部11とのクリアランスを直径で70±2μmとして、室温で部材1に治具3を遊嵌する。遊嵌した状態で110 ℃の炉に入れ、部材1及び治具3が110 ℃になるまで保持する。炉から取り出した後、室温まで強制空冷又は水冷で急冷し、部材1から治具3を取り除く。次いで上記の方法でクラックの有無を検出する。
【0027】
図2に示す実施例では、部材2は2つの突起部21、22を有する。2つの突起部21、22の間に棒状の治具5を遊嵌し、加熱又は冷却することにより、部材2の2つの突起部21、22の付け根部に引張応力を付与することができる。図3の実施例では、部材2は角の丸い筒状である。棒状治具5を部材2の四つの内面に所定のクリアランスをもって当接するように嵌挿する。図4の実施例では、棒状部材2を円筒状治具5の内面に所定のクリアランスをもって当接するように、治具5の中空部に遊嵌する。
【0028】
本発明では、1つの治具で部材の一個所の強度検査を行うことができるが、1つの治具で部材の複数個所の強度検査を同時に行うこともできる。また1つの治具で複数の部材の強度検査を行うことができるし、複数の治具で1つの部材の強度検査を行うこともできる。
【0029】
[2] 硬質部材の応力又は歪みの測定方法
本発明の硬質部材の応力又は歪みの測定方法は、以下の順序で行う。
(1) 前記硬質部材に応力又は歪みの測定手段を設け、
(2) 前記硬質部材と異なる熱膨張率を有する材質からなる治具と前記硬質部材との遊嵌の初期クリアランスを定め、
(3) 前記材質の治具及び前記硬質部材のいずれか一方を他方に遊嵌し、
(4) 測定開始温度から所定の温度まで前記治具及び/又は前記硬質部材を加熱又は冷却することにより、前記硬質部材に作用荷重を発生させ、
(5) 前記応力又は歪み測定手段を用いて、前記作用荷重から生じる応力又は歪みを測定し、
(6) 前記加熱後に前記治具又は前記硬質部材を急冷するか、前記冷却後に前記治具又は前記硬質部材を急加熱することにより遊嵌状態に戻す。
【0030】
硬質部材の応力又は歪みの測定方法は基本的に上記[1] に記載した方法と同じであるが、硬質部材に発生させる作用荷重は、治具と硬質部材との間のクリアランス及び治具の熱膨張率等を適宜選択することにより、任意に設定することができる。また、硬質部材の所定部位に設けられる応力又は歪みの測定手段として、歪みゲージ等の計測機器が挙げられる。本発明の硬質部材の応力又は歪みの測定方法を用いれば、硬質部材の破断強度等を測定することができる。
【0031】
【実施例】
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
粉末(純度99.9%、日本イットリウム(株)製)1.5 〜5.0 重量%と、Al粉末(SAFFILアルミナファイバー、ICI社製)1.0 〜5.0 %と、Si粉末(UBE−SN−E09、宇部興産(株)製)残部とからなる出発材料をスリップキャスティング法で成形し、1900℃で焼結し、仕上げ加工を行って、図1に示す形状のセラミックリング1を作製した。セラミックリング1は内方及び外方に突出する一対のリング部11、12を有していた。セラミックリング1の特性及び寸法は以下の通りであった。
密度 :3.21g/cm
熱膨張率:3.0 ×10−6−1
内径A:119.060 mm、
内径B:119.090 mm、
内径C:125.0 mm、
外径D:161.0 mm
高さH:17.5 mm
すみR: 1.0 mm
リング部11の肉厚W1:3.5 mm
リング部12の肉厚W2:3.5 mm
リングの肉厚T:8.0 mm
【0033】
また、リング部11の肉厚にはばらつきがあり、標準肉厚3.5mm に対して、部分的に3.1mm のところがあり、なおその3.1mm の部分には、図6に示すような切欠きがある。
【0034】
一方、高周波焼き入れを行った円柱状の炭素鋼S35C製治具3(熱膨張率:12×10−6−1、表面硬度HC:40〜55、高さ45 mm 、直径 118.990 mm )を準備した。治具3とリング部11との初期クリアランスは70μmであり、リング部12との初期クリアランスは100 μmであった。
【0035】
リング1上で発生する歪みを測定するために、リング部11の上面及び下面の内径Aにできるだけ近い部位及びリング部12の上面及び下面の内径Bにできるだけ近い部位に円周方向に歪みゲージ(ZFLA−1及びZFLA−6、東京測器研究所(株)製)を貼り付けた。
【0036】
図1に示すように、セラミックリング1の中空部に治具3を挿入して治具台4上に置き、両者を電気炉で加熱した。加熱速度は約6℃/分であった。110 ℃まで加熱した後、すぐに電気炉から取り出し、主として治具3をエアブローで急冷して、セラミックリング1を治具から外した。この後、セラミックリング1を蛍光探傷法で検査し、クラックの有無を調べた。クラックが入ってなければ、セラミックリング1の強度を合格とし、クラックが入っていれば不合格とした。
【0037】
110 ℃まで加熱したときのリング部11及びリング部12の歪み量を温度に対してプロットしたものを図5に示す。75℃に加熱したときにリング部11の内径が治具3に当接し、75℃以上では、リング部11の歪み量がほぼ直線的に増加した。一方、リング部12は100 ℃で治具に当接し、それ以後歪み量が直線的に増加した。また、リング部11の肉厚には、ばらつきが有り、標準肉厚3.5mm に対して、部分的に3.1mm のところがある。この部分に歪みゲージを貼り付け、発生する歪み量を図5にプロットすると、薄肉であるため、発生する円周応力が標準肉厚3.5mm 部より大きくなった。110 ℃での各リング部の円周方向歪み量と円周応力をまとめて表1に示す。
【0038】
Figure 0003622022
【0039】
本検査では、表1に示すようにリング11の標準肉厚3.5mm に対して、肉厚3.1mm の薄い部分に発生する円周応力が高くなるが、本セラミックスリング1の実用中においても、同様な円周応力が発生する場合、肉厚の薄い部分により高い応力が発生する。
【0040】
実施例2
実施例1と同じ方法でセラミックスリング1に対して再度強度検査を行った。リング部11の肉厚3.1mm 部であり、図6及び7に示す切欠き6が存在する部分及びリング部12(標準肉厚3.5mm )の歪み量を温度に対してプロットしたグラフを図8に示す。
【0041】
図8からわかるように、110 ℃までは実施例1の結果と±9μの誤差で再現性よくトレースする。 122.5℃に加熱したとき、リング1のうち、リング部11の肉厚3.1mm 部であり、図6及び7に示す切欠き6が存在する部分の歪み量が481 μになり、この部分に146.7MPaの円周応力が発生し、セラミックスリング1が破断した。リングにクラックが発生する時期は歪みゲージより検出する歪み量の急激な降下により検出可能である。また、破壊起点はリング部11の高歪み発生箇所31であり、リング1の破断強度は図7に示したリング1の高歪み発生個所31に発生する応力により求められる。高歪み発生個所31に発生する応力は、円周応力146.7MPaに、有限要素法で求めた高歪み発生個所31の応力集中係数α2.0 を乗じて293.4MPaと得られる。よって、リング1の破断強度は293.4MPaとなる。
【0042】
このようにして、本発明の方法を用いてセラミックスの強度を測定することができる。また、この強度試験において高歪み発生個所31に最大応力が発生したが、実機使用において同様な円周応力が発生する場合、同じように高歪み発生個所31に応力が集中し、最大応力が発生する。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、遊嵌自在の治具を用いて部材の強度検査を行うため、短時間で効率的な強度検査ができるとともに、実機での発生応力をほぼ再現できる。また発生する応力を容易に制御することができ、再現性も高い。さらに設備が簡単で安価に部材の強度検査及び応力、歪みの測定を行うことができる。このような本発明の部材の強度検査方法及び硬質部材の応力又は歪みの測定方法はセラミック部材を始めとしたあらゆる部材の強度検査に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による部材と治具とを遊嵌した状態の概略断面図である。
【図2】本発明の他の実施例による部材と治具とを遊嵌した状態の概略断面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施例による部材と治具とを遊嵌した状態の概略断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例による部材と治具とを遊嵌した状態の概略断面図である。
【図5】実施例1においてセラミックリングと金属治具とを遊嵌して測定した円周方向歪み量と温度との関係を示すグラフである。
【図6】図1に示すセラミックリングの部分横断面図である。
【図7】図1に示すセラミックリングの内部から見た部分側面図である。
【図8】実施例2においてセラミックリングと金属治具とを遊嵌して測定した円周方向歪み量と温度との関係を示すグラフである。
【図9】従来の方法による部材と治具とを遊嵌した状態の概略断面図(a)と平面図(b)である。
【符号の説明】
1・・・セラミックリング
2・・・部材
3、5・・・治具
4・・・治具台
11、12・・・リング部
31・・・高歪み発生個所
6・・・切欠き
91・・・ゴム状弾性体
92・・・圧力媒体
93・・・半円環状治具

Claims (13)

  1. 治具を使用して部材の強度を検査する方法であって、(1) 前記部材の強度検査に必要な応力を実用中に発生する最大応力より決定し、(2) 前記強度検査応力から、前記部材と異なる熱膨張率を有する治具の材質、及び前記治具と前記部材との遊嵌の初期クリアランスを定め、(3) 前記材質の治具及び前記部材の一方を他方に遊嵌し、(4) 検査開始温度から所定の温度まで前記治具及び/又は前記部材を加熱又は冷却することにより、前記部材に応力を与え、(5) 前記加熱後に前記治具又は前記部材を急冷するか、前記冷却後に前記治具又は前記部材を急加熱することにより遊嵌状態に戻し、 (6) 前記部材にクラックが発生したか否かを検出することを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の部材の強度検査方法において、前記工程(4) (6) を繰り返すことを特徴とする方法。
  3. 請求項1又は2に記載の部材の強度検査方法において、前記部材と前記治具との熱膨張率の差0.5 ×10-6K-1以上とし、高い応力を発生させることを特徴とする方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記部材は凹部及び/又は中空部を有し、前記部材より大きな熱膨張率を有する治具を前記部材の凹部及び/又は中空部に遊嵌し、前記治具又は前記治具と前記部材とを加熱して前記部材に応力を与えた後、前記治具を急冷して遊嵌状態に戻すことを特徴とする方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記部材は凹部及び/又は中空部を有し、前記部材より小さい熱膨張率を有する治具を前記部材の凹部及び/又は中空部に遊嵌し、前記部材又は前記治具と前記部材とを冷却して前記部材に応力を与えた後、前記部材を急加熱して遊嵌状態に戻すことを特徴とする方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記治具は凹部及び/又は中空部を有し、前記治具より大きな熱膨張率を有する前記部材を前記治具の凹部及び/又は中空部に遊嵌し、前記部材又は前記治具と前記部材とを加熱して前記部材に応力を与えた後、前記部材を急冷して遊嵌状態に戻すことを特徴とする方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記治具は凹部及び/又は中空部を有し、前記治具より小さな熱膨張率を有する前記部材を前記治具の凹部及び/又は中空部に遊嵌し、前記治具又は前記治具と前記部材とを冷却して前記部材に応力を与えた後、前記治具を急加熱して遊嵌状態に戻すことを特徴とする方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記部材はセラミックスからなる硬質部材であり、前記治具はスチールからなることを特徴とする方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記初期クリアランスは 30 100 μ m であることを特徴とする方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記部材及び/又は治具を加熱する手段として、電気炉、誘導加熱装置又は熱風ヒーターを使用し、前記部材及び/又は治具を冷却する手段として、電気冷却装置、水冷スプレー又は空冷ジェットを使用することを特徴とする方法。
  11. 請求項1〜 10 のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記部材が実際の作動時に受ける応力に、 (1) 部材の材料強度のワイブル係数、 (2) 不良品確率、及び (3) 長時間の疲労による強度低下率から求められる安全係数を掛けた値を、前記強度検査応力とすることを特徴とする方法。
  12. 請求項1〜 10 のいずれかに記載の部材の強度検査方法において、前記部材の強度検査に必要な応力を前記最大応力より小さくすることを特徴とする方法。
  13. 硬質部材の応力又は歪みを測定する方法であって、(1) 前記硬質部材に応力又は歪みの測定手段を設け、(2) 前記硬質部材と異なる熱膨張率を有する材質からなる治具と前記硬質部材との遊嵌の初期クリアランスを定め、(3) 前記材質の治具及び前記硬質部材のいずれか一方を他方に遊嵌し、(4) 測定開始温度から所定の温度まで前記治具及び/又は前記硬質部材を加熱又は冷却することにより、前記硬質部材に作用荷重を発生させ、(5) 前記応力又は歪み測定手段を用いて、前記作用荷重から生じる応力又は歪みを測定し、次いで (6) 前記加熱後に前記治具又は前記硬質部材を急冷するか、前記冷却後に前記治具又は前記硬質部材を急加熱することにより遊嵌状態に戻すことを特徴とする方法。
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