JP3620619B2 - 親水性被膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス,ミラーなどの表面にチタニアを主成分とする親水性被膜が形成されているものとし、かつまた、その優れた親水性が長く持続するとともに、特に、耐水性および耐摩耗性にも優れるものとするのに好適な親水性被膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ソーダライムガラスのごとき無機ガラスなどは、従来から、透明基材としての性質を活かして、たとえば、窓ガラス,鏡面,眼鏡レンズなどの物品に広く利用されている。
【0003】
しかしながら、これらの透明基材を用いた物品の欠点は、高温・高湿の場所または温度や湿度の高い境界面などにおいて使用すると、物品の表面に結露を生じ、これに起因して物品の表面に曇りを帯びることである。
【0004】
とくに、透明基材のうちでも、窓ガラス,鏡面,眼鏡レンズなどにおいてその表面が曇ったり、あるいは傷がつきやすいということは、重大な問題である。また、特に自動車のアウトサイドミラーにあっては、雨天時には鏡面に雨滴が多数付着し、明瞭な後方視界を得ることが難しくなるといった問題点があった。
【0005】
従って、各方面からこれらの改良に関する要望がなされており、これまでに透明基材をはじめとする各種物品に対して防曇性,水滴付着防止性および耐久性を付与しようとする試みが種々提案されている。
【0006】
表面の曇りや水滴の付着を防止する方法として、ガラス等の表面に親水性の被膜を形成することが行われている。最も簡単な手段として、界面活性剤を表面に塗布することは古くから知られており、界面活性剤にポリアクリル酸やポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーを配合することでその効果の持続性を上げる試みがなされている(例えば、特開昭52−101680号公報等)。
【0007】
しかしながら、この様な方法においては、一時的に親水性を付与することができるのみであり、連続的な効果を期待することはほとんどできない。
【0008】
また、特開昭55−154351号公報には、ガラス基材表面に、モリブデン酸化物とタングステン酸化物のうちいずれか一種以上とリン酸化物とを含む薄膜を物理蒸着,化学蒸着等で形成することにより親水性薄膜を得る方法が提案され、特開昭54−105120号公報には、P2Oを含むガラスに、P2O5の液体または蒸気を接触させることにより親水性を付与する方法が提案され、特開昭53−58492号公報には、スルホン酸型両性界面活性剤および無機塩あるいは酢酸塩を含む組成物を低級アルコール溶液を用いて基材に塗布することにより密着性に優れた親水膜を形成する方法が提案されているが、いずれの方法においても耐久性に乏しく、親水性能の長期持続性に劣るという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、従来の技術においては、親水持続性に優れるとともに、耐久性にも優れる親水性被膜を得ることが困難であるという問題点があり、このような問題点を解決することが課題としてあった。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、かかる従来の技術の欠点を解消しようとするものであり、親水性に優れ、優れた親水性が長く持続するとともに、耐水性および耐摩耗性にも優れる親水性被膜を形成することができるようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる親水性被膜の形成方法は、請求項1に記載しているように、チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物ゾルと金属酸化物のコロイド溶液との複合ゾル溶液をガラス基板上に塗布・焼成して複合金属酸化物の親水性被膜を形成するに際し、複合ゾル溶液塗布面を上側にして焼成する第1の焼成工程と、複合ゾル溶液塗布面を下側にして再度焼成する第2の焼成工程を経るようにしたことを特徴としている。
【0012】
そして、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項2に記載しているように、ガラス基板はソーダライムガラス基板よりなり、このソーダライムガラス基板上に金属酸化物ゾルを塗布・乾燥して中間層を形成した後に複合ゾル溶液を塗布・焼成するようになすことができる。
【0013】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項3に記載しているように、第1の焼成工程の際の複合ゾル溶液塗布面温度が660℃〜680℃であり、第2の焼成工程の際の複合ゾル溶液塗布面温度が600℃〜650℃であるようになすことができる。
【0014】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項4に記載しているように、第1の焼成工程および第2の焼成工程ともに、複合ゾル溶液を塗布したガラス基板を型の上に設置して焼成を行うようになすことができる。
【0015】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項5に記載しているように、チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物ゾルがチタニアゾルとシリカゾルとからなるものとすることができる。
【0016】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項6に記載しているように、金属酸化物のコロイド溶液がコロイダルシリカとコロイダルアルミナの少なくとも1種を含むものであるようになすことができる。
【0017】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項7に記載しているように、中間層形成のために用いる金属酸化物ゾルがシリカゾルであるものとすることができる。
【0018】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項8に記載しているように、中間層形成のために用いる金属酸化物ゾルを塗布面温度150℃〜300℃で乾燥するようになすことができる。
【0019】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項9に記載しているように、焼成の際にガラス基板を設置する型として、第1の焼成工程では平面状の型を用い、第2の焼成工程では凹面状の型を用いるようになすことができる。
【0020】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項10に記載しているように、第2の焼成工程において、凹面状の型内部に設けた気孔より吸引しながら焼成を行うことにより、焼成とともに曲げ加工を行うようになすことができる。
【0021】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項11に記載しているように、曲げ加工を行った後に、親水性被膜が形成されているのと反対の凹面に反射性コーティングを施して反射鏡とするようになすことができる。
【0022】
同じく、本発明に係わる親水性被膜の形成方法の実施態様においては、請求項12に記載しているように、焼成後の複合金属酸化物の親水性被膜において、チタニア成分が60wt%〜90wt%、微粒子以外のシリカ成分が5wt%〜15wt%、シリカおよび/またはアルミナの微粒子成分が5wt%〜35wt%となるようにすることができる。
【0023】
【発明の作用】
本発明に係わる親水性被膜の形成方法では、チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物ゾルと金属酸化物のコロイド溶液との複合ゾル溶液をソーダライムガラスなどのガラス基板上に塗布・焼成して複合金属酸化物の親水性被膜を形成するに際し、複合ゾル溶液塗布面を上側にして焼成する第1の焼成工程と、複合ゾル溶液塗布面を下側にして再度焼成する第2の焼成工程を経るようにしており、より好ましくは、第1の焼成工程における複合ゾル溶液塗布面の温度を第2の焼成工程における複合ゾル溶液塗布面の温度よりも高くして焼成することによって、親水性に優れ、優れた親水性が長く持続すると共に、耐水性および耐摩耗性にも優れ、さらには歪みの少ない親水性被膜が形成されることとなる。
【0024】
本発明のごとく、ゾルゲル法によって形成されたチタニアを主体する被膜は表面に多数の水酸基を有するため、優れた親水性を示す。また、無機質被膜であるため耐水性にも優れている。さらにまた、特に、チタニアをアナターゼ型の結晶構造とすると、高い光触媒活性を示すため、表面に付着する有機物質を酸化分解して除去することが可能である。
【0025】
このとき、チタニアの光触媒活性によって汚れを分解するための光源としては、400nm以下の紫外線を含むものが良く、例えば、太陽光,水銀灯,蛍光灯,ハロゲンランプ,ショットアークキセノン光,レーザー光等がある。この場合、親水性被膜を形成した部分に直接光が照射されるように光源を設けてもよいが、通常は特別に光源を必要とせず、例えば、太陽などの自然光によって十分な性能を得ることができる。
【0026】
しかしながら、チタニアを主体とする被膜は表面の活性が極めて高いため、屋外の紫外線の少ない環境に放置しておくと、ハイドロカーボンなどの汚染物質が吸着されて親水性を失いやすい。一方、紫外線照射強度の大きな環境下では表面に吸着された有機汚染物質はチタニアのもつ光触媒作用によって分解されて親水性を維持することができるが、紫外線の少ない夜間や、雨天時などにおいてはもはや親水性を維持することが困難となる。
【0027】
この問題は、物理吸着水を多く有する微粒子を被膜に添加することによって解消される。すなわち、この物理吸着水によって表面に汚染物質が付着しにくくなるからである。このために添加する微粒子としては、特に、シリカおよび/またはアルミナの微粒子が好ましい。そして、微粒子の大きさは、膜の透明性を確保する観点からは粒径50nm以下の大きさのものを用いるのがよい。
【0028】
被膜の耐摩耗性を向上させるには非晶質性の金属酸化物ゾルを添加するのがよい。すなわち、焼成後のチタニアは結晶性のため、結晶粒が形成され、粒界には空隙が多数存在するため、膜自体がやや脆い。従って、外部から応力を加えられると、脆性破壊を起こし、ついにはガラス基板から剥離してしまうことがある。しかし、これに非晶質膜が加わると、非晶質膜がバインダの役割を果たし、外部応力に耐えるようになると考えられる。
【0029】
脱水縮重合して非晶質性の金属酸化物を形成する金属酸化物ゾルとしては、シリカゾルが透明性,硬さなどの面から最も好適である。
【0030】
一般に、ともに脱水縮重合可能なチタニアゾルとシリカゾルとの混合溶液からゾルゲル法によって薄膜を形成すると、Si−O−Tiの結合が生成し、チタニアの結晶化が阻害されると考えられるが、実際には、チタニアゾルの方がシリカゾルに比較して脱水縮重合速度が極めて大きいため、シリカゾルの添加量が一定以下の範囲では結晶化が可能であり、光分解性も保持することができる。
【0031】
使用する基板としては、金属,ガラス等の材料があげられるが、曲げ加工が比較的容易で、かつ材料が安価である点から、ガラス、とりわけ、ソーダライムガラスが好適に用いられる。そして、基板にソーダライムガラスを用いる場合には、最上層の親水性被膜と基板との界面に中間層としての第2の金属酸化物層を設けてもよい。この中間層はソーダライムガラスからチタニアを主成分とする親水性被膜中へナトリムイオンがマイグレーションして、TiO(2−x)Nax(0≦x<2)を形成し、紫外線によって発生した正孔と電子の再結合サイトとなるため、光触媒性能が低下するのを防止するのに有効なものとなる。この中間層としては、ナトリウムイオンのマイグレーションを防止できるものであればなんでもよく、シリカ,アルミナ,シリカ−アルミナ複合酸化物などが用いられるが、基板および親水性被膜との密着力の観点からは、シリカが好適に用いられる。
【0032】
中間層の形成方法としては、ドライプロセス,ウエットプロセスのいずれでもよいが、ウエットプロセスのゾルゲル法を用いる場合には、乾燥温度を表面温度で150℃〜300℃の範囲とするのが好ましい。そして、150℃よりも低いと膜が柔らかく、傷が付きやすい傾向となる。また、300℃よりも高いと、この上に塗布する複合金属酸化物ゾルとの反応性が低下し、膜の密着性が低下する傾向となる。
【0033】
シリカおよび/またはアルミナの微粒子の被膜全体に対する含有率は5wt%〜35wt%とするのがよい。そして、5wt%より少ないと十分な親水性維持性能が得られない傾向となり、35wt%より多いと十分な光分解性能が得られない傾向になるとともに、十分な耐摩耗性も得られなくなってくる。
【0034】
また、親水性被膜中の非晶質金属酸化物は5wt%〜15wt%、チタニアは60wt%〜90wt%となるようにするのがよい。そして、非晶質金属酸化物が5wt%より少ないと、親水性被膜の耐摩耗性が不足する傾向となり、トラバース式耐摩耗試験などにおいて膜の剥離が生じることがある。また、非晶質金属酸化物が15wt%より多いと、被膜中のチタニアの量が相対的に少なくなり、十分な光触媒性能が得られなくなる傾向となる。
【0035】
ゾルゲル法によって形成される被膜は、焼成温度を極力高くすることで、被膜の緻密性が向上し、耐水性および耐摩耗性が向上する。しかし、ガラス基板にソーダライムガラスを用いた場合は、膜面温度660℃を超える温度で焼成を行うと基板ガラスの変形量が大きく、型に乗せて焼成炉を通す間に膜面が型に触れて接触痕が付いてしまうことがあるという問題がある。本発明では、焼成中のガラス上面の方が下面よりも温度が高くなることに着目し、この問題を解決するには、焼成工程を2段階に分け、第1の焼成工程では、複合ゾル溶液をコーティングした面を上側にして焼成し、コーティング膜の表面温度が660℃〜680℃となるようにして十分に焼成を進め、第2の焼成工程では、コーティング膜面を下側にして焼成を行い、塗布面温度が600℃〜650℃となるようにするのがよいことを見出した。
【0036】
そして、第1の焼成工程において、660℃より低い温度で焼成すると、長期の耐温水性試験を行ったときに親水性被膜が剥離を起こしてくる傾向となる。一方、680℃よりも高い温度で焼成を行うと、ソーダライムガラスの変形が大きくなって、焼成後に歪みが発生する傾向となる。また、複合ゾル溶液をコーティングした面を下側にして焼成を行うと、コーティング面が柔らかいため跡がつくとともに、上側の面の方が温度が高くなるため、やはり基板ガラスの変形量が大きく、膜面が型に触れて接触痕が付いてしまうことになりやすい。
【0037】
また、第2の焼成工程において、600℃よりも低い温度で焼成すると、ガラス基板の曲げが十分に行われない傾向となり、650℃よりも高い温度で焼成を行うと基板ガラスの変形量が大きく、膜面が型に触れて接触痕が付いてしまう傾向となる。そしてまた、複合ゾル溶液をコーティングした面を上側にして焼成を行うと、曲げ加工を精度よく行うのが困難となりやすい。
【0038】
第1の焼成工程でのガラス基板の反りを小さくするためには、平面状の型の上にコーティングしたガラス基板を設置して焼成を行うのがよい。また、第2の焼成工程でより正確な曲げ加工を行うには、凹面状の型の上にコーティングしたガラス基板を設置して、型内に設けた気孔を通して吸引を行いながら焼成・曲げ加工を行うのがよい。
【0039】
チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物のゾルは、チタニアゾルとシリカゾルとからなるものとすることができ、このような金属酸化物のゾルは金属アルコキシドから作製することができる。そして、チタニアゾルとしては、例えば、チタンテトライソプロポキシドやテトラエトキシチタンのようなチタンアルコキシドを加水分解・脱水縮重合して得ることもできる。この場合、反応性を制御するために配位子を用いてもよい。また、アルコキシドから作製したゾル溶液に、金属の硫酸塩,硝酸塩,炭酸塩,酢酸塩,ステアリン酸塩,また、塩化物や臭化物などのハロゲン化物やその縮合物などを添加してもよい。
【0040】
そしてまた、金属酸化物として市販されているものを用いることもできる。具体的には、例えば、チタニアゾルとしては、商品名TA−10,TA−15(日産化学工業(株)製)、商品名アトロンTiN−500(日本曹達(株)製)などのチタニアゾルなどがある。
【0041】
一方、シリカゾルとしては、商品名スーパーセラ(大八化学工業所製)、商品名セラミカ(日板研究所製)、商品名HAS(コルコート社製)、商品名アトロンSiN−500(日本曹達(株)製)、商品名CGS−D1−0600(チッソ(株)製)、商品名コルコートP、コルコート6P(日本コルコート社製)などを用いることができる。
【0042】
そして、上記ゾル溶液は、必要に応じて水や有機溶媒などで希釈して用いることができる。このとき使用する有機溶媒としては、金属酸化物を溶解するものであれば何んでもよく、例えば、メタノール,エタノール,プロピルアルコール等の1級アルコール、イソプロピルアルコール等の2級アルコール、ターシャルブタノール等の3級アルコール、アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類、エーテル類、ベンゼン,トルエン,キシレン,クロロホルム,ペンタン,ヘキサン,シクロヘキサン等の脂肪族、芳香族、脂環式の炭化水素等の一般的な溶媒を挙げることができ、これらを単独で、または混合して用いることができる。
【0043】
さらにまた、シリカ,アルミナのコロイド溶液としては市販のものを用いることができ、具体的に例をあげれば、シリカのコロイド溶液としては、商品名スノーテックスIPA−ST,IPA−ST−S,IPA−ST−XS,IPA−ST−S(日産化学(株)製)、アルミナのコロイド溶液としては、商品名アルミナゾル−10,アルミナクリアーゾル(川研ファインケミカル(株)製)などを用いることができる。
【0044】
さらにまた、ガラス基板上に上記の複合ゾル溶液を塗布する方法としては、浸漬引き上げ法(ディッピング法),スプレー法,フローコート法,スピンコート法,ロールコート法などの既知の塗布手段が適宜採用できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明による親水性被膜の形成方法では、チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物ゾルと金属酸化物のコロイド溶液との複合ゾル溶液をガラス基板上に塗布・焼成して複合金属酸化物の親水性被膜を形成するに際し、複合ゾル溶液塗布面を上側にして焼成する第1の焼成工程と、複合ゾル溶液塗布面を下側にして再度焼成する第2の焼成工程を経るようにしたから、親水性に優れ、そして、優れた親水性が長く持続すると共に、耐水性および耐摩耗性にも優れ、さらには歪の少ない親水性被膜をガラス基板上に形成することが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0046】
そして、請求項2に記載しているように、ガラス基板はソーダライムガラス基板よりなり、このソーダライムガラス基板上に金属酸化物ゾルを塗布・乾燥して中間層を形成した後に複合ゾル溶液を塗布・焼成するようになすことによって、ソーダライムガラス基板からチタニアを主成分とする親水性被膜中へナトリウムイオンがマイグレーションして、光触媒性能が低下するのを防止することができるようになるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0047】
また、請求項3に記載しているように、第1の焼成工程の際の複合ゾル溶液塗布面温度が660℃〜680℃であるようになすことによって、長期の耐温水性試験を行ったときでも親水性被膜が剥離を生じがたいものにすることが可能であると共に焼成時に基板の変形を生じがたいものとすることが可能であり、また、第2の焼成工程の際の複合ゾル溶液塗布面温度が600℃〜650℃であるようになすことによって、ガラス基板の曲げを変形過剰になるのを防止しつつ十分良好に行うことが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0048】
さらにまた、請求項4に記載しているように、第1の焼成工程および第2の焼成工程ともに、複合ゾル溶液を塗布したガラス基板を型の上に設置して焼成を行うようになすことによって、形状精度の良い親水性被膜形成ガラス基板とすることが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0049】
さらにまた、請求項5に記載しているように、チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物ゾルがチタニアゾルとシリカゾルとからなるものとすることによって、親水性に優れ、優れた親水性が長く持続できると共に、耐水性および耐摩耗性にも優れた親水性被膜を低コストで形成することが可能であるという顕著な効果がもたらされる。
【0050】
さらにまた、請求項6に記載しているように、金属酸化物のコロイド溶液がコロイダルシリカとコロイダルアルミナの少なくとも1種を含むものであるようになすことによって、入手の容易なコロイド溶液を用いて親水性の良好な被膜を低コストで形成することが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0051】
さらにまた、請求項7に記載しているように、中間層形成のために用いる金属酸化物ゾルがシリカゾルであるものとすることによって、ガラス基板および親水性被膜との密着力をより一層向上することができるようになるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0052】
さらにまた、請求項8に記載しているように、中間層形成のために用いる金属酸化物ゾルを塗布面温度150℃〜300℃で乾燥するようになすことによって、適度の硬さを有していて傷が付きにくく、そして親水性被膜との密着性が良好であるものとすることが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0053】
さらにまた、請求項9に記載しているように、焼成の際にガラス基板を設置する型として、第1の焼成工程では平面状の型を用い、第2の焼成工程では凹面状の型を用いるようになすことによって、第1の焼成工程でのガラス基板の反りを小さなものにすることが可能であると共に、第2の焼成工程での凹面状(ないしは球面状)への曲げ加工を正確に行うことが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0054】
さらにまた、請求項10に記載しているように、第2の焼成工程において、凹面状の型内部に設けた気孔より吸引しながら焼成を行うことにより、焼成とともに曲げ加工を行うようになすことによって、ガラス基板の曲げ加工を第2の焼成工程においてかなり簡便かつ高精度で実施することが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0055】
さらにまた、請求項11に記載しているように、曲げ加工を行った後に、親水性被膜が形成されているのと反対の凹面に反射性コーティングを施して反射鏡とするようになすことによって、反射鏡としても使用することができるようになるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0056】
さらにまた、請求項12に記載しているように、焼成後の複合金属酸化物の親水性被膜において、チタニア成分が60wt%〜90wt%、微粒子以外のシリカ成分が5wt%〜15wt%、シリカおよび/またはアルミナの微粒子成分が5wt%〜35wt%となるようにし、このように、シリカおよび/またはアルミナの微粒子成分が5wt%〜35wt%であるようにすることによって十分な親水性維持性能が得ることができると共に十分な光分解性能と十分な耐摩耗性を得ることが可能であり、非晶質金属酸化物を5wt%〜15wt%、チタニアを60wt%〜90wt%とすることによって、親水性被膜の耐摩耗性を良好なものにすることが可能であると共に十分な光触媒性能が得ることが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明における効果をより明確にするため、表1および表2に示す実施例および表3および表4に示す比較例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
大きさ200mm×150mm、厚さ1.9mmのソーダライムガラス基板を中性洗剤、水、エタノールで順次洗浄し、乾燥して被膜形成用ガラス基板とした。
【0059】
一方、チタンのアルコキシドとしてチタンテトライソプロポキシドをエタノールに0.5mol/Lとなるように溶解し、これにジエタノールアミンをアルコキシド1molに対して1/2mol加えて1〜2分攪拌した。次いで、この中に水をアルコキシドと等モル量滴下し、室温で3時間攪拌を続けてチタニアゾルを得た。
【0060】
次いで、このチタニアゾルとシリカゾル(商品名コルコート6P、日本コルコート社製)とコロイダルシリカ(商品名スノーテックスIPA−ST−S、日産化学(株)製)をそれぞれ焼成後にチタニア,シリカ,微粒子状シリカ換算で80wt%,10wt%,10wt%となるように混合し、攪拌して複合ゾル溶液を得た。
【0061】
得られた複合ゾル溶液をガラス基板にスピンコート法にてコーティングし、表面温度が250℃となるようにして、電気オーブンにて4分間乾燥した。その後、コーティング面が上になるようにして、表面を研磨した平面状の型の上にガラス基板を設置し、回転式焼成炉に入れて、2.5分でコーティング面が660℃となるように加熱しながら、焼成炉中を回転移動させ、660℃で24秒間保持した後、2.5分間で徐々に室温まで冷却していくことで、第1の焼成工程を行った。
【0062】
次いで、1000Rの曲率を有する球面状の凹面を有した型の上に、コーティング面が下になるようにして上述のコーティングガラスを設置した。そして、2.5分でコーティング面が650℃となるように加熱しながら、焼成炉中を回転移動させ、650℃で24秒間保持した後、2.5分間で徐々に室温まで冷却することにより、実施例1の親水性被膜を形成した。
【0063】
ここで形成された親水性被膜の膜厚は80nmであり、この表面を目視にて外観検査したところ、型への接触痕、歪みなどは観察されず、異常なしであった。
【0064】
次いで、以下の手順で初期化試験を行った。まず、親水性被膜に高圧水銀灯にて紫外線を5mW/cm2の強度で30分間照射した後、接触角計にて水に対する接触角を測定した。接触角は2°であり、きわめて優れた親水性を示した。
【0065】
次に、上記の供試体に対して、以下の手順で光触媒性評価実験を行った。まず、オレイン酸1%のアセトン溶液に浸漬した後、1.2mm/secの速さで引き上げ、70℃で5分間乾燥した後、初期接触角を測定し、次いで、コーティング面にブラックライト(ピーク波長350nm)を1.4mW/cm2の曇天時程度の強度で4時間紫外線を照射した後に、分解後接触角を測定した。初期接触角は60°であったが、分解後接触角は38°であり、光触媒機能による有機物の分解作用はあるものの、分解速度はあまり大きくはなかった。
【0066】
初期化試験によって初期化した供試体を暗室に72時間放置した後に、接触角を測定することによって親水維持性能試験を行った。この結果、試験後の接触角は6°であり、優れた親水維持性能を示した。
【0067】
さらに、以下の手順で耐水性試験を行った。すなわち、供試体を60℃のウオータバスに24時間浸漬した後に外観の目視評価を行った。その結果、膜の剥離、白濁等の外観異常は認められなかった。
【0068】
さらにまた、以下の手順で耐摩耗性試験を行った。まず、トラバース式試験機の摺動子にキャンバス布を巻き付け、100g/cm2の押し圧にてコーティング面に対して1500回の摺動を行った。その後、表面を目視にて観察を行ったが、膜の傷つきや剥離などの外観異常はみられなかった。ただし、試験に用いたものは供試体が平板であることが必要であることから、上述の製造工程のうち、第2の焼成工程の際に型を平板状のものにして作製したものを用いた。
【0069】
(実施例2)
実施例1と同様にして洗浄し、乾燥したソーダライムガラス基板にシリカゾル(商品名CGS−D1−0600、チッソ(株)製)をスピンコータにて塗布し、コーティング面が270℃となるようにして、電気オーブンにて4分間乾燥させて中間層を得た。
【0070】
その後は実施例1と同様な工程,条件にて、中間層の上に親水性被膜を形成した。ここで形成した中間層および親水性被膜の厚さはそれぞれ80nm,80nmであった。
【0071】
この親水性被膜の外観検査では型への接触痕、歪みともに観察されなかった。また、高圧水銀灯での初期化試験後の水に対する接触角は5°であり、きわめて優れた親水性を示した。さらにまた、光触媒性試験における初期接触角は65°、分解後接触角は8°であり、優れた光触媒性を示した。
【0072】
さらにまた、親水維持性能試験の結果は接触角10°であり、優れた親水維持性能を示した。そして、耐水性試験後および耐摩耗性試験において、ともに外観異常は認められなかった。
【0073】
(実施例3)
第1の焼成工程の焼成時の表面温度を680℃としたこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。この親水性被膜の外観検査による異常は認めらず、初期化試験後の接触角は4°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角63°に対して、分解後接触角は7°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は9°であり、優れた親水維持性を示した。そして、耐水性試験および耐摩耗性試験後において外観異常は認められなかった。
【0074】
(実施例4)
第2の焼成工程の焼成時の表面温度を600℃としたこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。この親水性被膜の外観検査による異常は認めらず、初期化試験後の接触角は6°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角66°に対して、分解後接触角は10°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は12°であり、優れた親水維持性を示した。そして、耐水性試験および耐摩耗性試験後において外観異常は認められなかった。
【0075】
(実施例5)
チタニアゾルとシリカゾルとコロイダルシリカをそれぞれ焼成後にチタニア,シリカ,微粒子状シリカ換算で90wt%,5wt%,5wt%となるように混合・攪拌して複合ゾル溶液を作成したこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0076】
この親水性被膜の外観検査による異常は認められず、初期化試験後の接触角は3°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角69°に対して、分解後接触角は6°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は18°であり、優れた親水維持性を示した。そして、耐水性試験および耐摩耗性試験後において外観異常は認められなかった。
【0077】
(実施例6)
チタニアゾルとシリカゾルとコロイダルシリカをそれぞれ焼成後にチタニア,シリカ,微粒子状シリカ換算で60wt%,5wt%,35wt%となるように混合・攪拌して複合ゾル溶液を作成したこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0078】
この親水性被膜の外観検査による異常は認めらず、初期化試験後の接触角は10°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角66°に対して、分解後接触角は22°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は19°であり、優れた親水維持性を示した。そして、耐水性試験および耐摩耗性試験後において外観異常は認められなかった。
【0079】
(実施例7)
チタニアゾルとシリカゾルとコロイダルシリカをそれぞれ焼成後にチタニア,シリカ,微粒子状シリカ換算で80wt%,15wt%,5wt%となるように混合・攪拌して複合ゾル溶液を作成したこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0080】
この親水性被膜の外観検査による異常は認めらず、初期化試験後の接触角は10°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角68°に対して、分解後接触角は15°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は22°であり、優れた親水維持性を示した。そして、耐水性試験および耐摩耗性試験後において外観異常は認められなかった。
【0081】
(実施例8)
コロイダルシリカの代わりにコロイダルアルミナ(商品名アルミナゾル−10、川研ファインケミカル(株)製)を用い、チタニアゾルとシリカゾルとコロイダルアルミナをそれぞれ焼成後にチタニア,シリカ,微粒子状アルミナ換算で80wt%,10wt%,10wt%となるように混合・攪拌して複合ゾル溶液を作成したこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0082】
この親水性被膜の外観検査による異常は認めらず、初期化試験後の接触角は5°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角66°に対して、分解後接触角は8°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は20°であり、優れた親水維持性を示した。そして、耐水性試験および耐摩耗性試験後において外観異常は認められなかった。
【0083】
(実施例9)
中間層の乾燥温度が塗布面温度で150℃であること以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0084】
この親水性被膜の外観検査による異常は認めらず、初期化試験後の接触角は7°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角65°に対して、分解後接触角は11°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は21°であり、優れた親水維持性を示した。そして、耐水性試験および耐摩耗性試験後において外観異常は認められなかった。
【0085】
(比較例1)
第1の焼成工程の焼成時の表面温度を650℃と低めにしたこと以外は実施例2と同様にして被膜を形成した。この被膜の外観検査,耐摩耗性試験において異常は認められなかったが、耐水性試験において被膜の剥離が発生した。
【0086】
(比較例2)
第1の焼成工程の焼成時の表面温度を690℃と高めにしたこと以外は実施例2と同様にして被膜を形成した。この被膜の外観検査において歪みが発生していることが認められた。
【0087】
(比較例3)
第2の焼成工程の焼成時の表面温度を590℃と低めにしたこと以外は実施例2と同様にして被膜を形成した。この被膜の外観検査において曲げ不良が発生していることが認められた。
【0088】
(比較例4)
第2の焼成工程の焼成時の表面温度を660℃と高めにしたこと以外は実施例2と同様にして被膜を形成した。この被膜の外観検査において型との接触が原因と考えられる痕跡が発生していることが認められた。
【0089】
(比較例5)
チタニアゾルとシリカゾルとコロイダルシリカの混合ゾルの代わりに、チタニアゾルのみを用いたこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0090】
この親水性被膜の外観検査による異常は認められず、初期化試験後の接触角は2°であって優れた親水性を示した。また、光触媒性能試験では初期接触角69°に対して、分解後接触角は5°と優れた光触媒性を示した。さらにまた、耐水性試験においても外観異常は認められなかった。しかし、親水維持性能試験では、試験後の接触角が55°となり、親水維持性はほとんど認められなかった。さらに、耐摩耗性試験においては剥離が発生した。
【0091】
(比較例6)
チタニアゾルとシリカゾルとコロイダルシリカをそれぞれ焼成後にチタニア,シリカ,微粒子状シリカ換算で50wt%,15wt%,35wt%となるように混合・攪拌して複合ゾル溶液を作成したこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0092】
この親水性被膜の外観検査による異常は認められず、耐水性試験,耐摩耗性試験においても外観異常は認められなかった。しかし、初期化後の接触角は23°であり、他のものに比較すると比較的高い値を示した。また、光触媒性能試験においては、初期接触角66°に対して分解後の接触角は52°ときわめて光触媒性能に乏しいものとなっていた。さらにまた、親水維持性能試験では、試験後の接触角は43°であり、親水維持性能もあまりよくなかった。
【0093】
(比較例7)
チタニアゾルとシリカゾルとコロイダルシリカの混合ゾル溶液の代わりに、チタニアゾルとコロイダルシリカのみを用い、焼成後にチタニア,微粒子状シリカ換算で90wt%,10wt%となるように混合・攪拌して複合ゾル溶液を作成したこと以外は実施例2と同様にして親水性被膜を形成した。
【0094】
この親水性被膜の外観検査と耐水性試験では異常は認められなかったが、耐摩耗性試験において剥離が発生した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
Claims (12)
- チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物ゾルと金属酸化物のコロイド溶液との複合ゾル溶液をガラス基板上に塗布・焼成して複合金属酸化物の親水性被膜を形成するに際し、複合ゾル溶液塗布面を上側にして焼成する第1の焼成工程と、複合ゾル溶液塗布面を下側にして再度焼成する第2の焼成工程を経ることを特徴とする親水性被膜の形成方法。
- ガラス基板はソーダライムガラス基板よりなり、このソーダライムガラス基板上に金属酸化物ゾルを塗布・乾燥して中間層を形成した後に複合ゾル溶液を塗布・焼成することを特徴とする請求項1に記載の親水性被膜の形成方法。
- 第1の焼成工程の際の複合ゾル溶液塗布面温度が660℃〜680℃であり、第2の焼成工程の際の複合ゾル溶液塗布面温度が600℃〜650℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の親水性被膜の形成方法。
- 第1の焼成工程および第2の焼成工程ともに、複合ゾル溶液を塗布したガラス基板を型の上に設置して焼成を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の親水性被膜の形成方法。
- チタニアゾルを主成分とする脱水縮重合可能な金属酸化物ゾルがチタニアゾルとシリカゾルとからなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の親水性被膜の形成方法。
- 金属酸化物のコロイド溶液がコロイダルシリカとコロイダルアルミナの少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の親水性被膜の形成方法。
- 中間層形成のために用いる金属酸化物ゾルがシリカゾルであることを特徴とする請求項2に記載の親水性被膜の形成方法。
- 中間層形成のために用いる金属酸化物ゾルを塗布面温度150℃〜300℃で乾燥することを特徴とする請求項2または7に記載の親水性被膜の形成方法。
- 焼成の際にガラス基板を設置する型として、第1の焼成工程では平面状の型を用い、第2の焼成工程では凹面状の型を用いることを特徴とする請求項4に記載の親水性被膜の形成方法。
- 第2の焼成工程において、凹面状の型内部に設けた気孔より吸引しながら焼成を行うことにより、焼成とともに曲げ加工を行うことを特徴とする請求項9に記載の親水性被膜の形成方法。
- 曲げ加工を行った後に、親水性被膜が形成されているのと反対の凹面に反射性コーティングを施して反射鏡とすることを特徴とする請求項10に記載の親水性被膜の形成方法。
- 焼成後の複合金属酸化物の親水性被膜において、チタニア成分が60wt%〜90wt%、微粒子以外のシリカ成分が5wt%〜15wt%、シリカおよび/またはアルミナの微粒子成分が5wt%〜35wt%となるようにしたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の親水性被膜の形成方法。
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