JP3618291B2 - プラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビなどの表示装置に用いられるプラズマディスプレイパネル(以下、適宜「PDP」と略記する)に係り、特にPDPを全面にわたって一定期間点灯させることによってPDPの点灯の安定化処理(以下、適宜「エージング」と称する)を行うPDPのエージング技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、複数枚の基板を貼り合わせることによって形成される。貼り合わされた基板のすきまにガスを封入して、そのすきまに電圧を印加することによって、プラズマ放電が発生する。そのプラズマ放電を利用して、PDPを点灯させるように構成されている。
【0003】
通常PDPには、放電を発生させる走査電極と、PDPの領域(以下、適宜「セル」とする)を指定してその指定されたセルを点灯させるデータ電極(アドレス電極ともいう)とが配設されている。走査電極に電圧を印加してプラズマ放電を発生させるには、例えば200V〜300V程度の電圧が必要である。プラズマ放電が発生するのに必要な電圧はセルによってバラツキがあり、例えば200V程度で放電して点灯するセルもあれば、250V程度になっても放電しないセルもある。特に、製造直後の新品のPDPにおいて、上記現象は顕著に見られる。
【0004】
そこでPDPの製造工程が完了すると、走査電極に点灯用電源を一括に接続して、PDPを全面にわたって一定期間(例えば12時間〜24時間程度)点灯させることによってPDPの点灯の安定化を行うエージング処理が行われる。即ち、製造直後の新品のPDPにおいて、プラズマ放電が発生するのに必要な電圧を、走査電極に一定期間にわたって印加し続けると、上記電圧はある一定の電圧に収束する。この現象を利用してPDPを全面にわたって一定期間点灯させると、点灯直後には上記電圧はセル毎にバラツキが見られるが、一定期間だけ経過すると全セルにおいて上記電圧は一様になる。その結果、上記エージング処理を行うことによって、PDPの点灯の安定化を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のPDPのエージング処理の場合には、次のような問題がある。
即ち、PDPの大画面化及びPDPを構成するセルの高集積化に伴って、PDPの点灯の安定化を図ることができなくなるという問題点である。
【0006】
PDPの大画面化及びPDPを構成するセルの高集積化によって、上述した走査電極やデータ電極の長さが長くなるとともに、各電極の幅や電極間の幅(ピッチ)が狭くなる。上記エージング処理において、上記走査電極に点灯用電源を一括に接続すると、全ての走査電極に電流が一斉に流れる。すると、走査電極の長さが長くなっており、かつ電極間の幅が狭くなっているので、走査電極にインダクタンス(Inductance)が発生して、走査電極どうしの相互干渉が起こる。その結果、エージング処理を行っているのにも関わらず、例えば縞状に点灯する部分と点灯しない部分が発生するというように点灯にムラができる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、プラズマディスプレイパネル(PDP)の大画面化、またはPDPを構成するセルの高集積化においてプラズマディスプレイパネルの点灯の安定化を図ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、次のような構成をとる。
即ち、請求項1に記載の発明は、複数枚の基板を貼り合わせることによって形成されるとともに、貼り合わされた前記基板のすきまにガスを封入して前記すきまに電圧を印加することによって、プラズマ放電を発生させて点灯させるプラズマディスプレイパネルに対して、プラズマ放電を発生させる走査電極に点灯用電源を接続して前記プラズマディスプレイパネルの全面に対して一定期間点灯させることで、プラズマディスプレイパネルの点灯の安定化処理を行うプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置であって、リターン電源と、前記リターン電源に接続されている点灯安定化手段とを備え、かつ、前記点灯安定化手段はプラズマディスプレイパネルの近傍に配設されていて、プラズマディスプレイパネルの走査電極に流れる電流に対して逆方向の電流をリターン電源が点灯安定化手段に流すことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置において、前記点灯安定化手段は面状の導電体で形成されていることを特徴とする。
【0010】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、プラズマ放電を発生させる走査電極に点灯用電源を接続して、プラズマディスプレイパネル(PDP)を全面にわたって一定期間点灯させると、PDPの全面にわたる走査電極に電流が一斉に流れる。点灯安定化手段はリターン電源に接続されており、PDPの近傍に配設されている。PDPの走査電極に流れる電流に対して逆方向の電流をリターン電源から点灯安定化手段に流すと、PDP側の電流によって発生したインダクタンス(Inductance)は、点灯安定化手段側の電流によって発生したインダクタンス(Inductance)によって、打ち消される。なお、本明細書中での『近傍』とは、点灯安定化手段側に発生したインダクタンスが、PDP側に発生したインダクタンスに影響を及ぼす、PDPの表面と点灯安定化手段との間隔のことであって、例えば上記間隔が15mm未満であることを指す。従って、従来のようにPDP側に発生したインダクタンスによって相互干渉がたとえ発生したとしても、点灯安定化手段を配設することでPDP側に発生したインダクタンスが点灯安定化手段側に発生したインダクタンスによって打ち消されて、相互干渉の発生が抑制される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、点灯安定化手段は面状の導電体で形成されているので、リターン電源にその面状の導電体を接続させるだけで、PDP側の電流に対して逆方向の電流が導電体の面にわたって一斉に流れて、PDP側に発生したインダクタンスが導電体側に発生したインダクタンスによって打ち消される。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔第1実施例〕
以下、図面を参照して本発明に係るPDPの点灯安定化処理装置(エージング処理装置)の第1実施例を説明する。図1は第1実施例装置の構成を示す概略側面図であり、図2(a)は図1の平面図であり、図2(b)は図1の底面図である。なお、図1中のドライバ回路は、図2(a)においてはPDPの真下に本来位置して図示されないが、回路の説明の便宜上、図2(a),(b)において上記ドライバ回路を同時に図示する。
【0013】
第1実施例装置には、図1に示すように、プラズマディスプレイパネル(PDP)1と、このPDP1を載置するプレート2aとが配設されている。このプレート2aの下面には複数本の支持柱3が立設されており、この支持柱3によってプレート2aを支持している。後述する走査電極やリターンパネルなどに電圧を印加する交流電源付きのドライバ回路4が、プレート2aと支持柱3とによって取り囲まれるようにプレート2aの真下に配設されている。
【0014】
このドライバ回路4には、図1に示すように、点灯用電源用のドライバ回路4aと、リターン電源用のドライバ回路4bとが独立して配設されており、ドライバ回路4aの上にドライバ回路4bが載置されている。また、ドライバ回路4aとドライバ回路4bとは電気的に接続されていない。
【0015】
第1実施例の特徴部分について説明すると、図1に示すように、プレート2aとドライバ回路4との間には、プレート2bが支持柱3によって支持されている。PDP1に対して近傍に配設される位置にリターンパネル5がこのプレート2bに載置されている。このリターンパネル5には全体が面状のAl(アルミニウム)で形成されている。なお、本明細書中での『近傍』とは、『作用』の欄でも述べたように、後述するリターンパネル5側に発生したインダクタンスが、PDP1側に発生したインダクタンスに影響を及ぼす、PDPの表面とリターンパネル5との間隔のことである。第1実施例の場合、図1中のPDPの下面とリターンパネル5の上面との距離tであって、この距離tは15mm未満であるのが好ましい。このリターンパネル5は、本発明における点灯安定化手段に相当する。
【0016】
さらに第1実施例装置には、図1に示すように、エージング処理の際にPDP1、特にPDP1の下面が発熱するのを抑制するために、複数個のファン6がドライバ回路4とリターンパネル5を載置しているプレート2bとの間に配設されている。
【0017】
PDP1とドライバ回路4aとは、図1,図2(a)に示すように、一括接続端子7,8を介して電気的に接続されている。即ち、PDP1の上面には、図2(a)に示すように、2対のX電極9a,Y電極9bからなる走査電極9が複数対形成されている。各X電極9aは一括接続端子7にそれぞれ接続されており、一括接続端子7はドライバ回路4aに接続されている。一方、各Y電極9bは一括接続端子8にそれぞれ接続されており、一括接続端子8はドライバ回路4aに接続されている。PDP1とドライバ回路4aとの間を流れる電流は、図1,図2(a)に示すようにI1 となる。
【0018】
また、PDP1の下面には、図2(a)に示すように、データ電極10が複数本形成されている。なお、エージング処理の際には、X電極9a,Y電極9bに主に電圧を印加している。
【0019】
また、ドライバ回路4bとリターンパネル5とは、図1,図2(b)に示すように、電気的に接続されている。上述したようにリターンパネル5全体はAlで形成されているので、一括接続端子11を介してドライバ回路4bのリード線をリターンパネル5につなげるだけで、電気的に接続される。ドライバ回路4bとリターンパネル5との間を流れる電流を、図1,図2(b)に示すようにI2 とする。なお、リターンパネル5を形成する物質は、上述のようなAl以外にも、Cu(銅),Fe(鉄),カーボン,SUS(ステンレス鋼)などのように、ドライバ回路4bとリターンパネル5とを電気的に接続して、リターンパネル5に電流を流すような導電性の物質であるならば、特に限定されない。また、本実施例では、リターンパネル5の全面を導電性の物質で形成したが、リターンパネル5の全面を、例えば絶縁性の物質で形成して、その上にX電極9a,Y電極9bに相対する位置に電極をそれぞれ形成してもよい。
【0020】
続いて、PDP1の具体的構成について、図3,図4を参照して説明する。図3は第1実施例装置に係るPDPの分解斜視図であり、図4は図3から見た矢視断面図である。なお、図4中の前面基板の断面は図3のA−Aから見た矢視断面図であるが、説明の便宜上、図4中の背面基板の断面は図3のB−Bから見た矢視断面図として説明する(つまり、前面基板を背面基板に対して90°回転させて図4を図示する)。また、面放電型のPDPを例に採ってPDP1の具体的構成について説明する。
【0021】
PDP1は、図3に示すように、例えばガラスなどから形成される前面基板12、及び上記前面基板12と同じ物質から形成される背面基板13を、図示を省略するシール部材を介して接着させて貼り合わせることによって構築されている。
【0022】
前面基板12の下面には、X電極9a,Y電極9bの走査電極9、透明誘電体層14、保護層15が順に上から積層されている。走査電極9は、例えばITO膜(イソジウムとスズとの合金酸化膜)またはSnO2 (酸化スズ膜)などによって形成されて、透明誘電体層14は、例えば低融点のガラスのペーストなどによって形成されて、保護層15は、例えばMgO(酸化マグネシウム)などによって形成されている。
【0023】
なお、走査電極9がプラズマに直に晒されないように保護層15によって保護されている。本実施例のPDP1の場合、上述したようにX電極9a,Y電極9bの走査電極9はドライバ回路4a中の点灯用電源である交流電源に接続されているように構成されている。つまりPDP1は、AC(交流)型PDPとして構成されている。PDP1がDC(直流)型PDPとして構成されている場合には、走査電極9の下には保護層15が通常積層されておらずに、走査電極9はプラズマに直に晒されている。
【0024】
背面基板13の上面には、データ電極10、『リブ』と呼ばれる隔壁16が積層されている。データ電極10は走査電極9に対して直交するように延在して積層されている。隣り合う隔壁16に囲まれた各溝が各データ電極10の真上にそれぞれ位置するように隔壁16は形成されている。上記溝には、蛍光体から形成される蛍光層17が隔壁16に沿ってそれぞれ積層されている。データ電極10は、例えばAg(銀)のペーストまたはAlなどによって形成されて、隔壁16は、例えばRuO2 (酸化ルテシウム)のペースト、または低融点のガラスとアルミナなどの金属酸化物との混合物などによって形成されている。
【0025】
また、PDP1がカラーの場合には、蛍光層17は、R(Red),G(Green),B(Blue)の3色の蛍光体が規則的に隔壁16ごとに配設されている。上述した蛍光体は図示を省略する『母体』と『発光センタ』とから形成されており、図4に示すようなプラズマ放電によって発生する紫外線Uによって、上記母体が電離して上記発光センタに母体が衝突する。母体の衝突によって発光センタが励起して、励起した発光センタが基底状態に戻る際に、図4に示すように可視光Vが発生して、PDP1の表面にその可視光Vが透過してPDP1の表面から点灯される。
【0026】
前面基板12と背面基板13との間には、He(ヘリウム)やAr(アルゴン)などのガスが封入されており、走査電極9に電圧を印加することによって、プラズマ放電を発生するように構成されている。上記ガスはHeやAr以外にも、プラズマを放電させるような気体(ガス)であれば、特に限定されない。
【0027】
次に、本実施例装置の動作・効果について、図1,図2,図4を参照して説明する。前面基板12と背面基板13との間にガスが封入されたPDP1を、図1に示すように、プレート2a上に載置する。リターンパネル5の上面がPDP1の下面に対して距離tだけ離間するように、リターンパネル5をプレート2b上に載置する。図1,図2(a)に示すようにPDP1の側面に一括接続端子7,8を接続して、図1,図2(b)に示すようにリターンパネル5の側面に一括接続端子11を接続する。
【0028】
ドライバ回路4a中の交流電源からPDP1に対して電圧を印加して、ドライバ回路4b中の交流電源からリターンパネル5に対して電圧を印加する。即ち、ドライバ回路4a中の点灯用電源からは一括接続端子7,8を介して走査電極9に電圧を印加して、ドライバ回路4b中のリターン電源からは一括接続端子11を介してリターンパネル5に電圧を印加する。電圧を印加する際に点灯用電源から走査電極9に流れる電流、つまりPDP1とドライバ回路4aとの間を流れる電流I1 に対して、リターン電源からリターンパネル5に流れる電流、つまりドライバ回路4bとリターンパネル5との間を流れる電流I2 は逆方向になる。
【0029】
上述したようにプラズマ放電を発生させるには、一定以上の電圧が必要で、その電圧に満たない場合には、一括接続端子7,8を介して走査電極9に電圧を印加してもPDP1上の走査電極9には電流が流れず、プラズマも当然放電しない。プラズマ放電を発生させるのに必要な電圧を印加した場合、走査電極9内の各X電極9a,各Y電極9bに電圧がそれぞれ印加されて、各X電極9aと各Y電極9bとの間に電位差が起こる。この電位差がプラズマ放電を発生させるのに必要な電圧に達しているので、図4に示すように、プラズマ中に放電が発生して各X電極9aと各Y電極9bとの間に電流i1 がそれぞれ流れる。つまり、プラズマ放電は、各X電極9aと各Y電極9bとを電気的に接続させるスイッチングの機能を果している。各X電極9aと各Y電極9bとが電気的に接続されると、図1,図2(a),図4に示すように、PDP1とドライバ回路4aとの間に電流I1 が流れて、一括接続端子7,8を介して各走査電極に電流i1 がそれぞれ流れる。
【0030】
各走査電極9に電流i1 がそれぞれ一斉に流れると、各走査電極9と各隔壁16とによって区切られた各セルの全てにプラズマ放電が発生する。そして、上述したようにプラズマ放電によって発生する紫外線Uによって、蛍光層17から可視光Vが発生して透過する。電圧を走査電極9に印加した途端にPDP1が全面にわたって点灯することを目視で確認することができる。もちろん、上述したように製造直後の新品のPDP1においては、プラズマ放電が発生するのに必要な電圧はセルによってバラツキがあるので、点灯についてもムラが見られるが、一定期間点灯し続けると、即ちエージング処理を行うと、上記電圧は一様になってPDP1の全面にわたって点灯される。
【0031】
一方、リターンパネル5にはドライバ回路4b中のリターン電源から印加されて、図1,図2(b)に示すように、ドライバ回路4a中の点灯用電源から走査電極9に流れる電流I1 とは逆方向の電流I2 がリターン電源からリターンパネル5に流れる。
【0032】
リターンパネル5の上面がPDP1の下面に対して距離tだけ離間されており、この距離tはリターンパネル5側に発生したインダクタンスが、PDP1側に発生したインダクタンスに影響を及ぼす程度の距離である。従って、例えばPDP1の大画面化または高集積化が起因して、走査電極9に流れる電流i1 によって走査電極9にインダクタンスが発生して、相互干渉が起こり易い状況になったとしても、走査電極9側に発生するインダクタンスは、リターンパネル5側に流れる電流I2 によって発生したインダクタンスによって打ち消される。その結果、PDP1を全面にわたって一定期間点灯させるエージング処理を行っても、走査電極9側に発生するインダクタンスによる点灯ムラが発生することなく、PDP1の点灯の安定化を図ることができる。
【0033】
また、本発明を用いることでPDPの点灯の安定化が図られることを実際に確認するために、実験を行っている。図5は従来のエージング処理装置を使って、つまり図1に示す第1実施例装置からドライバ回路4b及びリターンパネル5のみを外した装置を使って、走査電極9に電圧を印加したときにPDP1とドライバ回路4aとを流れる電流を測定したものであり、図6は第1実施例装置を使って、走査電極9に電圧を印加したときにPDP1とドライバ回路4aとを流れる電流を測定したものである。この測定結果の電流は各セルごとに放電した電流を重畳したものでもある。詳述すると、振幅220Vでパルス幅50μsecの電圧を上記の各装置にそれぞれ印加して、一括接続端子8とドライバ回路4aとの間にオシロスコープなどを用いて電流を測定している。
【0034】
図5の測定結果から、従来の場合においてインダクタンスなどの影響でプラズマ放電が発生するのに必要な電圧が一様でないので、放電して電流が流れるセルもあれば放電することなく電流が流れないセルも存在して、重畳された電流の立ち上がりが、図6と比較して、緩やかなのがわかる。逆に、図6の測定結果から、本発明を適用することによってインダクタンスによる悪影響を受けることなく、セルごとの上記電圧のバラツキが少なく、重畳された電流の立ち上がりが、図5と比較して、速やかなのがわかる。また、図6の測定結果に示す電流の振幅が、図5の従来の測定結果と比較して、大きいことから、図6において電圧を印加しても放電せずに電流が流れないセルが、図5と比較して、少ないことがわかる。
【0035】
第1実施例装置では、図1中の距離tの好ましい範囲は15mm未満であると述べたが、この距離tが近づけば近づくほど、リターンパネル5側に発生するインダクタンスは走査電極9側に発生するインダクタンスをより打ち消し易くすることができて、PDP1の点灯の安定化をより図り易くすることができる。従って、理想の距離tは0であること、即ちPDP1とリターンパネル5とが接触することが一番好ましい。しかしながら、第1実施例装置では、PDP1の下面にリターンパネル5が配設されている。エージング処理においては、上述したようにPDP1、特にPDP1の下面において発熱し易くなる。発熱を抑制するために複数個のファン6がドライバ回路4とリターンパネル5を載置しているプレート2bとの間に配設されているが、複数個のファン6がリターンパネル5よりも下方に配設されているので、距離tが近づけば近づくほど、PDP1の発熱がリターンパネル5に与える損傷は大きくなる。PDP1とリターンパネル5との間にファン6を配設する方法もあるが、その場合にはファン6を配設する分だけPDP1とリターンパネル5との距離tが遠ざかってしまう。以上より、第1実施例装置のように複数個のファン6をドライバ回路4とリターンパネル5との間に配設させる場合には、PDP1の発熱がリターンパネル5に与える損傷を考慮すると、距離tは5mm〜10mm程度が好ましい。
【0036】
もちろん、上述したような第1実施例装置を、図7,図8に示すように、変形実施することによって、距離tを縮めることができる。即ち、図7に示すように、プレート2a上にPDP1とリターンパネル5とを載置する。PDP1とリターンパネル5との間に断熱材18を挟みこむように両者を構成すると、距離tは断熱材18の厚みとなり、距離tをより縮めることができる。もちろん、上記断熱材18は、インダクタンスなどに悪影響を及ぼさない物質で形成される方が好ましく、例えば非磁性体や絶縁物などで形成される方が好ましい。インダクタンスなどに悪影響を及ぼさずに相互干渉の抑制を増幅させるならば、断熱材18が磁性体や導電体などで形成されていてもよい。
【0037】
上述した第1実施例装置や、図7に示すような変形例の場合には、いずれにおいてもPDP1の下方にリターンパネル5が配設される構成であったが、図8に示すように、PDP1の上方にリターンパネル5が配設される構成であってもよい。PDP1の上面においては下面に比べて発熱し難いので、PDP1の上面にリターンパネル5の下面を接触させることができて、距離tをほぼ0にすることができる。しかしながら、PDP1の上面にリターンパネル5が被さる形態となるので、エージング処理中にPDP1が全面にわたって点灯することを目視で確認する点において、図8に示すような変形例よりも第1実施例の方が好ましい。もちろん、リターンパネル5の全面を、例えば透明な樹脂で形成してリターン電源から接続される電極をリターンパネル5上に形成するといったように、PDP1の上面にリターンパネル5が被さっても点灯の目視に邪魔にならないように構築するのならば、図8に示すような変形例に係る装置であっても構わない。
【0038】
また、図3に示すようなPDP1の場合には、プラズマ放電によって発生された可視光をPDP1の表面に透過させて、PDP1の表面(上面)から点灯を確認するという、いわゆる反射型PDPであったが、プラズマ放電によって発生された可視光をPDP1の裏面にそのまま透過させて、PDP1の裏面(下面)から点灯を確認するという、いわゆる透過型PDPも存在する。透過型PDPの場合には、図8に示すような変形例のようにPDP1の上面にリターンパネル5が被さる形態となっても、PDP1の下面から点灯を確認するので、点灯の目視にリターンパネル5が邪魔になるようなことはない。従って、図1中の支持柱3の高さを変更してプレート2aに載置されるPDP1とリターンパネル5との高さを高くしたり、プレート2aの下面にPDP1の下面を撮影するCCDカメラなどを配設するなどして、PDP1の下面からの点灯の確認を行い易いように構成すればよい。
【0039】
また、第1実施例装置では、上述したように、従来の装置にドライバ回路4b及びリターンパネル5を配設させて構成されており、従来のドライバ回路4aにドライバ回路4bを電気的に接続させることなくドライバ回路4a上に載置させている。従って、電気回路としてドライバ回路4a自体を変更することなく、従来の装置を用いて第1実施例装置を簡易に構成することができるが、ドライバ回路4aにドライバ回路4bを電気的に接続させて1つのドライバ回路4として組み込むことも可能である。
【0040】
〔第2実施例〕
次に第2実施例について図面を参照しながら説明する。図9は、第2実施例装置の構成を示す概略側面図である。なお、第1実施例装置と共通する箇所については同符号を付して、その箇所の図示及び説明を省略する。
【0041】
第2実施例装置は、第1実施例装置と同様に、PDP1に対してリターンパネル5が近傍に配設されている。第1実施例装置ではPDP1とドライバ回路4aとの間を流れる電流I1 に対して、ドライバ回路4bとリターンパネル5との間を流れる電流I2 が逆方向になるように、ドライバ回路4内にドライバ回路4a・ドライバ回路4bが個別にそれぞれ構成されていたが、第2実施例装置では、図9に示すように、ドライバ回路4aの一端側が一括接続端子7に、一括接続端子8が一括接続端子11の一端側に、一括接続端子11の他端側がドライバ回路4aの他端側にそれぞれ接続されている。
【0042】
上述の構成を備えることによって、PDP1・リターンパネル5・ドライバ回路4a間を流れる電流はI1 のみとなるが、図9に示すように、PDP1(の走査電極9)を流れる電流I1 は、リターンパネル5に流れる電流I1 に対して物理的に逆方向になる。従って、第1実施例と同じ作用・効果を奏することができる。以上より、ドライバ回路5中に逆方向に流すためのリターン電源用のドライバ回路4bを配設しなくとも、1つの電源のみで点灯用電源とリターン電源との2つの機能を備えることができる。そして、第2実施例ではドライバ回路4aを従来のまま使用することができる。変形例として、図10に示すような構成も可能である。
【0043】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0044】
(1)上述した第1,第2実施例では、PDPはAC型PDPとして構成されていてAC型PDPを本発明に適用していたが、DC型PDPでも本発明に適用することができる。また、PDPのX電極,Y電極は同じ前面基板上に形成されていて、同一面内で放電が発生する面放電型のPDPを例に採って説明したが、前面基板にX電極を、背面基板にY電極をそれぞれ形成して、前面基板・背面基板間で放電が発生する対向放電型のPDPであっても本発明に適用することができる。さらに、上述したようにPDPは反射型・透過型のうちのどちらであってもよい。
【0045】
(2)上述した第1,第2実施例のように点灯安定化手段は、面状のリターンパネル5であったが、リターンパネル5の代わりにプリント基板を装置に配設して、そのプリント基板上にPDPを載置してもよい。もちろん、エージング処理の際には、PDPを流れる電流とは逆方向にプリント基板上に電流を流すことになる。その他の変形例として、PDPの製造工程が複雑になるが、本発明における点灯安定化手段をPDPに予め備えて、PDPを一体化することも考えられる。この場合には、PDPをエージング処理以外に表示装置として実際に用いるときにも点灯安定化手段による支障がないようにコントロールする必要がある。
【0046】
(3)上述した各実施例や変形例を適宜組み合わせる変形例も考えられる。例えば、第1実施例に関する変形例(図7,図8)のように配設したPDP1とリターンパネル5とを、第2実施例に組み合わせることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1の発明に係るプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置によれば、点灯安定化手段はリターン電源に接続されており、PDPの近傍に配設されている。PDPの走査電極に流れる電流に対して逆方向の電流をリターン電源から点灯安定化手段に流すと、たとえPDPの大画面化または高集積化に伴ってPDP側に流れる電流による相互干渉が発生し易い状況になっても、上記相互干渉の発生を抑制することができる。その結果、PDPを全面にわたって一定期間点灯させるエージング処理を行っても点灯ムラが発生することなく、プラズマディスプレイパネルの点灯の安定化を図ることができる。
【0048】
請求項2の発明に係るプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置によれば、点灯安定化手段は面状の導電体で形成されているので、リターン電源にその面状の導電体を接続させるだけで、PDP側に発生したインダクタンスを導電体側に発生したインダクタンスによって打ち消すことができて、プラズマディスプレイパネルの点灯の安定化を図ることができる。また、面状の導電体を点灯安定化手段として配設するだけで上述の効果を奏することができるので、装置が簡易になるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例装置の構成を示す概略側面図である。
【図2】(a)は図1の平面図、(b)は図1の底面図である。
【図3】第1実施例装置に係るPDPの分解斜視図である。
【図4】図3から見た矢視断面図である。
【図5】従来のエージング処理装置を使って走査電極に電圧を印加したときにPDPとドライバ回路とを流れる電流についての測定結果を示す図である。
【図6】第1実施例装置を使って走査電極に電圧を印加したときにPDPとドライバ回路とを流れる電流についての測定結果を示す図である。
【図7】第1実施例に関する変形例に係るPDPとリターンパネルとの配設位置を示す断面図である。
【図8】第1実施例に関するさらなる変形例に係るPDPとリターンパネルとの配設位置を示す断面図である。
【図9】第2実施例装置の構成を示す概略側面図である。
【図10】第2実施例に関する変形例に係る装置の構成を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 … PDP
4,4a,4b … ドライバ回路
5 … リターンパネル
7,8,11 … 一括接続端子
9 … 走査電極
9a … X電極
9b … Y電極
Claims (2)
- 複数枚の基板を貼り合わせることによって形成されるとともに、貼り合わされた前記基板のすきまにガスを封入して前記すきまに電圧を印加することによって、プラズマ放電を発生させて点灯させるプラズマディスプレイパネルに対して、プラズマ放電を発生させる走査電極に点灯用電源を接続して前記プラズマディスプレイパネルの全面に対して一定期間点灯させることで、プラズマディスプレイパネルの点灯の安定化処理を行うプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置であって、
リターン電源と、
前記リターン電源に接続されている点灯安定化手段とを備え、
かつ、前記点灯安定化手段はプラズマディスプレイパネルの近傍に配設されていて、プラズマディスプレイパネルの走査電極に流れる電流に対して逆方向の電流をリターン電源が点灯安定化手段に流すことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置。 - 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置において、
前記点灯安定化手段は面状の導電体で形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの点灯安定化処理装置。
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