JP3618290B2 - 硬化性ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物 - Google Patents

硬化性ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルベンジルエーテル化合物の物性の改良に関するものであり、詳しくはポリビニルベンジルエーテル化合物から得られる樹脂の特徴である高周波特性、耐熱性、低誘電率、低誘電正接で、低吸水率等の特徴を損なわず、電子機器、電子部品、回路基板に要求される樹脂物性を満足させる組成に関するものである。
【0002】
さらに具体的には、100MHz〜10GHzの周波数領域において、誘電率の上昇を抑え、Q−VALUEを向上させることができ、なおかつ可撓性を付与させることができる組成に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、熱硬化性樹脂は接着、注型、コーティング、含浸、積層、成形等に幅広く利用されている。しかしながら、近年では用途が多種多用となっており、さらにその要求される特性も年々厳しくなってきているのが実情であり、その場合、従来から使用されている樹脂では対応できない場合が多々ある。
【0004】
特に電子機器、電子部品、回路基板等の電気、電子産業分野においては高周波化、高耐熱化、高信頼性化が求められている。例えば、プリント配線板においては伝播速度の高速化(高周波化)に伴う低誘電率、低誘電正接化、鉛レス半田使用による高耐熱化、特性インピーダンスのドリフトを抑制するために誘電特性が温度、湿度に対して依存性の少ないことが要求されている。
【0005】
また、電子部品においても使用される携帯電話、パソコン等の高周波化に伴い、100MHz〜10GHzという周波数帯域において、低誘電率化、低誘電正接化が求められており、プリント配線板と同じ理由で高耐熱化、特性インピーダンスのドリフトを抑制するために誘電特性が温度、湿度に対して依存性の少ないことが要求されている。
【0006】
現在、市場にて主に使用されている樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド(ポリフェニレンエーテル)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂等が挙げられるが、これらの樹脂は電子部品、配線基板に要求される次の特性、すなわち、
(1)低誘電正接、低誘電率、
(2)耐熱性、
(3)低吸水率、
(4)誘電特性の温度、湿度依存性
等を完全に満足するものではない。
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特開平9−31006号公報では、広い周波数領域で良好で一定で、なおかつ温度や吸湿性に依存しにくい誘電特性をもち、さらに耐熱性に優れるポリビニルベンジルエーテル化合物が提案されている。
【0008】
しかし、電子部品用途で考えた場合、さまざまな形態にて供給されることが必要とされる。例えば、ガラスクロス入り基板の場合、ガラスクロスに塗工し、Bステージ状態まで半硬化し、それを層間接着層として加熱、加圧プレスして、ガラスクロス入り積層板を形成したり、銅箔に直接ドクタープレード等の方法で塗工し、Bステージまで半硬化したものをビルドアツプ層間材料として用いたりする。
【0009】
その場合、Bステージ状態での可撓性がないと、クラックの発生、ハンドリング性の低下、切断の際の樹脂落ち(粉落ち)等の問題が生じる。また、他の電子部品を形成した場合でも、その脆さが原因でクラック、割れなどが生じる場合があった。
【0010】
特開平9−31006号公報のポリビニルベンジルエーテル化合物では、Bステージの半硬化状態では脆く、上記問題が発生してしまう可能性が高い。また、ポリビニルベンジルエーテル化合物は、ラジカル熱解離重合であるために反応が急峻に起こること、極性基が少ないこと等よりガラスクロス、銅箔との密着性が確保しにくい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は広い周波数領域で良好で一定で、かつ温度や吸湿性に依存しにくい誘電特性を示し、さらに耐熱性にも優れるポリビニルベンジルエーテル化合物の優れた物性を損なわず、Bステージ、硬化物に可撓性を付与した樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0012】
また、Bステージ状態での作業性の向上、各密着強度の向上、信頼性の向上(クラック防止)、さらには100MHzから10GHzの周波数領域において誘電率が上昇せず、Q−VALUEが向上する優れた高周波誘電特性を持った可撓性を付与した組成物を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち上記目的は、以下の本発明の構成により達成される。
(1) 下記の式(1)で表されるポリビニルベンジルエーテル化合物とスチレン系エラストマーとを含有し、スチレン系エラストマーのスチレン:エラストマーの質量比が50:50〜80:20であり、ポリビニルベンジルエーテル化合物:スチレン系エラストマーの質量比が95:5〜70:30であることを特徴とするポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
【化2】
Figure 0003618290
[式(1)中、R メチル基またはエチル基を示し、R 水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R 水素原子またはビニルベンジル基(ただし、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜0:100)を示し、nは2〜4の整数である。]
(2) 前記スチレン系エラストマーは、スチレンと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン/ブチレン)、ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリ(ビニル/イソプロピレン)、ポリ(エチレン/プロピレン/エチレン)、およびポリエチレンから選択される1種または2種以上とのジブロック、またはトリブロック共重合体である上記(1)のポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
(3) さらに、過酸化物により架橋されている上記(1)または(2)のポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物は、ポリビニルベンジルエーテル化合物と、スチレン系エラストマーとを含有するものである。主成分のポリビニルベンジルエーテル化合物に、スチレン系エラストマーを添加することにより、組成物に可撓性を付与することができる。
【0015】
[ポリビニルベンジルエーテル化合物]
本発明に用いるポリビニルベンジルエーテル化合物は、次の式(1)で表される。
【0016】
【化3】
Figure 0003618290
【0017】
式(1)中、Rはメチル基またはエチル基を表す。
【0018】
は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Rで表される炭化水素基は、各々置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、等である。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等であり、アラルキル基としてはベンジル基等であり、アリール基としてはフェニル基等である。
【0019】
は水素原子またはビニルベンジル基を表し、水素原子は式(1)の化合物を合成する場合の出発化合物に由来するものであり、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜0:100であり、好ましくは40:60〜0:100である。
【0020】
nは2〜4の数である。
【0021】
なお、Rの水素原子とビニルベンジル基とのモル比を上記範囲とすることにより、硬化反応を十分に進行させることができ、また十分な誘電特性を得ることができる。これに対し、Rが水素原子である未反応物が多くなると硬化反応が十分に進行しなくなり、十分な誘電特性が得られなくなる。
【0022】
式(1)で表される化合物の具体例をR等の組合せで以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化4】
Figure 0003618290
【0024】
式(1)で表される化合物は、式(1)においてR=Hであるポリフェノールと、ビニルベンジルハライドとを反応させることにより得られる。この詳細については、特開平9−31006号公報の記載を参照することができる。
【0025】
ポリビニルベンジルエーテル化合物は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0026】
ポリビニルベンジルエーテル化合物の重合および硬化は、公知の方法で行うことができる。硬化は、硬化剤の存在下または不存在下のいずれでも可能である。
【0027】
硬化温度は、硬化剤の使用の有無および硬化剤の種類によっても異なるが、十分に硬化させるためには、20〜250℃、好ましくは50〜250℃である。
【0028】
また、硬化の調整のために、ハイドロキノン、ベンゾキノン、銅塩等を配合してもよい。
【0029】
ポリビニルベンジルエーテル化合物自体の重合ないし硬化物は高周波領域において低誘電率(2GHzでの比誘電率ε=2.6程度)でかつ低誘電正接(2GHzでのtanδ=0.04程度)であり、しかも絶縁性および耐熱性に優れ、ガラス転移温度(Tg)が高く、かつ分解開始温度が高く、低吸水率の高分子材料である。
【0030】
ポリビニルベンジルエーテル化合物の重合ないし硬化物(VB)と、市販のFR−4、FR−5(住友ベークライト社製のエポキシ系樹脂)、BTレジン(三菱瓦斯化学社製のビスマレイミド系樹脂)、およびポリフェニレンオキサイド(PPO)について、吸水率(85℃/85%RHで500時間)、示差走査熱量測定法(DSC法)によるガラス転移温度を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003618290
【0032】
[エラストマー]
熟可塑性エラストマーは加硫工程を必要としない、ゴムの性能を持つプラスチック材料であるという特徴を持つ。その中でも誘電特性が良好(低ε、高Q)なものとしては、下記材料が挙げられる。
(1)ブタジエン(オリゴマーを含む)、例えばシンジオタクティック1、2−ポリブタジエン
(2)スチレン−ポリオレフイン系共重合体
さらに(1)、(2)ともにC=C、2重結合を分子構造内に持つ不飴和型と、2重結合に水素添加した飽和型の2種類に大別される。
【0033】
この中でもポリビニルベンジルエーテル化合物と相溶性が高く、例えばトルエン等の溶剤中にて配合した場合に分離しないものとしてはスチレン(ゴム)比が質量比で50%以上であり、さらに好ましくは50〜80%のものである。スチレン比が50%より低いと分離しやすくなる。一方、スチレン比が80%を超えると可撓性が低下してくる。
【0034】
また、上記材料はポリスチレンブロックと柔軟なポリオレフイン構造のエラストマーブロックで形成されるが、ジブロック、トリブロックの2種類を基本とするブロック共重合体である。
【0035】
このポリオレフイン構造は
ポリ(エチレン−プロピレン)
ポリ(エチレン−ブチレン)(ランダムコポリマー)
ポリ(エチレン−プロピレン−エチレン)(ランダムコポリマー)
ポリブタジエン
ポリイソプレン
ポリ(ビニル−イソプレン)
ポリエチレン
のいずれでもよい。
【0036】
配合比は、ポリビニルベンジルエーテル化合物とスチレン−ポリオレフイン共重合体の質量比で95:5〜70:30であり、特に90:10〜75:25が好ましい。スチレン−ポリオレフイン共重合体の量が前記以下だと、ポリビニルベンジルエーテル化合物の改質効果がほとんどなく、脆い物性が改良されない。また、それ以上だとポリビニルベンジルエーテル化合物の本来の物性が発揮できなくなり、溶剤中での配合の際に固形分濃度が上げられず、溶液粘度が上がり、吸水率が増加する等の問題が生じる。
【0037】
[過酸化物]
ポリビニルベンジルエーテル化合物+スチレン系エラストマーに過酸化物を添加してもよい。過酸化物は、架橋剤としての役割を果たし、過酸化物の遊離ラジカルが水素を奪い、分子間にC−C結合を作り、分子鎖が繋ぎ合わされる。
【0038】
これにより、過酸化物を配合しない硬化物では耐溶剤性(例えばトルエン)が著しく劣るのに対し、過酸化物を添加した場合は上記効果により耐溶剤性が著しく向上する。
【0039】
添加量は必要とされる硬化条件等により適宜調整すればよいが、好ましくは樹脂全量に対し0.5〜5質量%、特に0.5〜2質量%である。
【0040】
具体的な過酸化物としては、下記に示すものが挙げられる。
ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、パーオキシカーボネート、ジアルキルパーオキサイド等がある。
【0041】
[材料分散(混練方法)]
ポリビニルベンジルエーテル化合物とスチレン系エラストマーの混練方法については混練機、ニーダ、ボールミル、撹拌、ロール等の既知の方法を必要に応じて使用すればよい。
【0042】
また、混練や材料の形態によっては溶剤に溶解してペースト化する場合が考えられるが、溶剤としては両方の材料のSP値が近いものが好ましく、具体的にはトルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン等の溶剤を用いれば良い。
【0043】
[材料の形態]
本発明の材料は電子機器、電子部品、回路基板用として以下の形態で形成することができる。
ペレット(粉末):成形用材料、粉体塗料
ペースト:接着材料、注型材料、レジスト剤等の絶縁塗料、ワニス
【0044】
さらに電気的特性の向上や機械的、物理物性の改良、材料形態の必要性に応じ、各種充填剤を混練し、複合材料とすることができる。
【0045】
具体的には、酸化チタン等の誘電材料、フェライト、軟磁性金属等の磁性材料、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸カリウムウイスカ、チタン酸バリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維、酸化マグネシウム(タルク)等が挙げられ、必要とされる特性に応じて使い分けるとよい。
【0046】
さらにガラスクロス等のクロス材料に上記ペーストを含浸することにより、プリプレグ、および積層板、銅等の金属を貼りつけた金属箔付積層板とすることができる。
【0047】
クロス材料としてはガラス、アラミド、石英、ポリエチレン等が挙げられる。
【0048】
また、金型中にて加熱硬化することにより任意の形の成形品を作成することが可能であり、電子機器、電子部品、回路基板用材料として広範囲に使用することができる。
【0049】
上記充填剤、クロス材料は必要に応じ、絶縁コーティング処理やシラン化合物(クロロシラン、アルコキシシラン、有機官能性シラン、シラザン)、チタネート系、アルミニウム系カップリング剤等にて表面処理を行ってもよい。
【0050】
また、難燃性が要求される場合は必要に応じ、難燃剤を添加してもよい。難燃剤としては、下記に示すものが挙げられる。
・塩素系難燃剤
・臭素系難燃剤
・リン系難燃剤
・チッソ系難燃剤
・金属塩系難燃剤
・水和金属系難燃剤
・繊維状難燃剤
・低融点ガラス系難燃剤
・シリコーン系難燃剤
【0051】
上記難燃剤の1種類以上(2種類以上のブレンドでもよい)を(ポリビニルベンジルエーテル化合物+スチレン系エラストマー):難燃剤を必要とされる難燃性に応じて95:5〜50:50の割合で添加するとよい。
【0052】
【実施例】
〔実施例1〕
表2に示すように、ポリビニルベンジルエーテル化合物95gとトルエン222.2g、セプトン2104(クラレ社製)5gを500ml容器に入れて、シェイカーミルにて2時間撹拌処理を行い、配合物を作製した。
【0053】
以下、表2に示す実施例2〜9、比較例1〜7も同様に配合、撹拌を行い配合物を作製した。なお、表2中の樹脂材料は表3に示す通りである。
【0054】
【表2】
Figure 0003618290
【0055】
【表3】
Figure 0003618290
【0056】
なお、表1,2中、
SEPS:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレントリブロック共重合体、SEBS:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレントリブロック共重合体
SBS:スチレン−ブタジエン−ステレントリブロック共重合体
SBS−水添:スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を水素添加したもの
SEP:スチレン−エチレン−プロピレンジブロック共重合体
である。
【0057】
〔ガラスクロス無しBステージ〕
上記配合したペーストをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に流し、110℃/2時間の溶剤乾燥処理を行った。得られた乾燥物を乳鉢にて粉砕処理した。これを100℃に予熱した金型(内寸80×80mm)に10g入れ、1.96MPaの圧力で2分加熱、加圧プレスした後取り出した。寸法は80×80×1.2mmであった。
【0058】
〔ガラスクロス無し硬化物〕
上記配合したペーストを、PETフィルム上に流し、110℃/2時間の溶剤乾燥処理を行った。得られた乾燥物を乳鉢にて粉砕処理した。これを100℃に予熱した金型(内寸80×80mm)に10g入れ、1.96MPaの圧力で10分加熱、加圧プレスし、加圧を解除した後、180℃/8時間硬化し、その後取り出した。寸法は80×80×1.2mmであった。
【0059】
〔ガラスクロス有りBステージ〕
上記配合したペーストを、ガラスクロス〔スタイル1080(旭シェーベル社製)〕に含浸塗工し、110℃/l時間の乾燥処理を行った。塗工厚みは100μm であった。
【0060】
〔ガラスクロス有り硬化物〕
上記ガラスクロス入りプリプレグを、200mm角にカットし、上下に日鉱マテリアル社製の電解銅箔(18μm )を上下に重ねて150℃/60分+195℃/180分、2.94MPa、真空度30Torr以下にてプレス成形を行った。出来上がり寸法は200×200×0.13mmであった。
【0061】
〔評価方法〕
(1)配合物相溶性
上記配合物をガラス容器に入れ、48時間室温下に放置した後、分離しているか否か目視にて確認し、分離が確認されたものを×、確認できないものを○とした。
【0062】
(2)脆さ
ショアメータにて上記各硬化物上に測定針を押し当てて加重し、割れが確認されたときのショアメータのメモリの値を読みとった。
【0063】
(3)粉末化度
乾燥した樹脂組成物を、粉砕して粉末(粒状)にする際の難易度を下記の1〜4に分けて表した。
1:乳鉢の棒でたたくと簡単に割れる、簡単に微粉末化する。
2:乳鉢の棒でたたくと簡単に割れる、微粉末化もやや時間がかかるが可能。
3:乳鉢の棒でたたくと割れにくいが、おおぶりに割れる、微粉末化するのにやや時間がかかる。
4:乳鉢の棒でたたいても割れない、固まりを小さくできない。
【0064】
(4)誘電率およびQ
試験片を所定の共振容器中に納めたときの、共振点のズレから誘電率およびQを測定する摂動法により評価した。条件は、周波数:2GHz、試験片:1.2×1.5×80mmとした。
【0065】
(5)曲げ強度・曲げ弾性率
試験片:25×40×1.2mmとし、JISC6481に準拠した方法により評価した。このとき、支点間の距搬:16mm、加重速度:1mm/min とした。
【0066】
(6)耐薬品性
試験片:25×40×1.2mmとし、下記の薬品に浸漬した後の外観上の変化を目視により観察し、変化が確認されたものを×、確認されなかったものを○とした。
トルエン:超音波15分
クリンスルー:60℃/8分浸漬
水酸化ナトリウム:10%溶液30分浸漬
過マンガン酸カリウム:45g/l,80℃/15分浸漬
【0067】
(7)電食試験:
試験片:10×30×1.2mmに、直径0.6mmの裸銅線を巻き、40℃、98%RHの雰囲気中で、前記銅線に240VDCを印加し、1000時間後に断線、腐食の有無を目視により観察し、断線、腐食の有るものを×、無いものを○とした。
【0068】
(8)銅箔密着性
幅10mm、長さ200mmの試験片を、万能荷重試験器:AGSl000D(SHIMADZU社製)を用い、銅箔のピール強度をJISC6481に準拠して評価した。
【0069】
(9)層間密着性
上記硬化物を4枚重ねて150℃/60分+195℃/180分、2.94MPa、真空度30Torr以下にてプレス成形を行い、幅10mm、長さ200mmの試験片を作製した。万能荷重試験器:AGSl000D(SHIMADZU社製)を用い、第1層めを剥離するときの力をJISC6481に準拠して評価した。
【0070】
評価結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
Figure 0003618290
【0072】
結果
トルエン溶液中におけるポリビニルベンジルエーテル化合物の相溶性が確保できるのはスチレン系エラストマーのステレン比率が50%以上のものである。スチレン系エラストマーを5〜30%添加することにより、プリプレグの脆さが改良されている。また、粉落ちも少なくなっている。
【0073】
硬化物誘電特性が向上する。誘電率で1〜4%ダウン、Q値で10〜25%アップである。硬化物曲げ弾性率が下がり、可撓性が付与されている事が判る。耐薬品性は溶解溶剤であるトルエンには耐性がないが、過酸化物添加により改良される。材料の腐食性を落とすことなく可撓性付与ができている。可撓性付与により、結果として銅箔、ガラスクロスとの密着力が向上した。
【0074】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、広い周波数領域で良好で一定で、かつ温度や吸湿性に依存しにくい誘電特性を示し、さらに耐熱性にも優れるポリビニルベンジルエーテル化合物の優れた物性を損なわず、Bステージ、硬化物に可撓性を付与した樹脂組成物を提供することができる。
【0075】
また、Bステージ状態での作業性の向上、各密着強度の向上、信頼性の向上(クラック防止)、さらには100MHzから10GHzの周波数領域において誘電率が上昇せず、Q−VALUEが向上する優れた高周波誘電特性を持った可撓性を付与した組成物を提供することができる。

Claims (3)

  1. 下記の式(1)で表されるポリビニルベンジルエーテル化合物とスチレン系エラストマーとを含有し、スチレン系エラストマーのスチレン:エラストマーの質量比が50:50〜80:20であり、ポリビニルベンジルエーテル化合物:スチレン系エラストマーの質量比が95:5〜70:30であることを特徴とするポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
    Figure 0003618290
    [式(1)中、R メチル基またはエチル基を示し、R 水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R 水素原子またはビニルベンジル基(ただし、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜0:100)を示し、nは2〜4の整数である。]
  2. 前記スチレン系エラストマーは、スチレンと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン/ブチレン)、ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリ(ビニル/イソプロピレン)、ポリ(エチレン/プロピレン/エチレン)、およびポリエチレンから選択される1種または2種以上とのジブロック、またはトリブロック共重合体である請求項1のポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
  3. さらに、過酸化物により架橋されている請求項1または2のポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
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