JP3617252B2 - 圧縮着火式エンジン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮着火式エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジン等に代表される通常の圧縮着火式エンジンにおいては、シリンダ内が高温・高圧となるピストンの圧縮上死点近傍で燃料を噴射して燃焼を行う。噴射された燃料は、その後に液柱状態から液滴へと***し、液滴の表面から蒸発して混合気となり、混合気が着火して火炎が形成され、火炎中に後続の噴射燃料が供給されることにより、燃焼が継続される。
【0003】
このような通常のディーゼルエンジンでは、燃料の噴射直後、燃料(混合気)が未だシリンダ内空間に偏在した状態で火炎が形成される。たとえば、5噴孔ノズルであれば5つの燃料噴射領域にそれぞれ火炎が形成される。このため、局所的な燃焼温度が高くなってNOxが発生する。また、火炎中に供給される後続の噴射燃料が空気不足の状態で燃焼されるためスモーク(煤)が発生する。
【0004】
他方、図6に示すように、針弁aの先端に傘状の燃料衝突部bを備えた単噴孔ノズルcから、エンジンの吸気行程中乃至は圧縮行程中に比較的低い圧力で燃料を噴射し、噴射時に形成された比較的粒径の大きな燃料液滴dをピストンのほぼ圧縮上死点にて一斉に着火・燃焼させる方式の圧縮着火式エンジンが知られている(特開平7−317588号公報等)。
【0005】
この圧縮着火式エンジンによれば、シリンダ内全域で燃焼を行うことができるため、局所的な燃焼温度を低くすることができ、NOxの発生が抑制され、また、燃料がシリンダ内に広く分散されること及び火炎中に新たな燃料が供給されることがないことから、空気不足状態での燃焼が回避され、スモークの発生も抑制できる、とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記圧縮着火式エンジンは、吸気行程中乃至は圧縮行程中に噴射された比較的粒径の大きな燃料液滴dを、圧縮上死点付近まで保ってそこで沸騰・蒸発(着火・燃焼)させるようにしているため、次のような問題が生じる。
【0007】
すなわち、上記燃料液滴dは、その表面から徐々に蒸発するが、粒径が大きいために燃焼開始までに全てが蒸発しきれず、液滴d中心部の燃料が火炎に包まれてしまい、空気不足の燃焼となってスモークが発生してしまう。
【0008】
また、燃料液滴dの周りには、液滴d近傍が過濃(リッチ)で液滴dから遠ざかるに従って希薄(リーン)となる混合気が形成されるため、部分的には最も燃焼温度が高くなる空気過剰率が1.1〜1.2程度の混合気も形成されてしまい、局所的な燃焼温度は期待するほど下げることができず、NOxが発生してしまう。
【0009】
さらに、粒径の大きな燃料液滴dは自重によりシリンダ内を落下してピストン頂面に付着しやすく、ピストン頂面に液滴が付着して液膜が形成されると、上記NOxおよびスモークの発生が増長されてしまうばかりか、未燃HCの発生にも繋がってしまう。
【0010】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、スモーク、NOx、HCの発生を防止できる圧縮着火式エンジンを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明は、燃料噴射ノズルからシリンダ内に噴射された燃料と吸気とをピストンによって圧縮して着火させる圧縮着火式エンジンであって、直径0.1mm以下の複数の小噴孔及びそれよりも大径の複数の大噴孔を有する燃料噴射ノズルと、該燃料噴射ノズルによる燃料噴射の制御を行う制御手段とを備え、該制御手段は、上記エンジンの低負荷運転時には上記小噴孔のみを開弁し、高負荷運転時には上記大噴孔を開弁する噴孔選択手段と、低負荷運転時にはピストンが上死点に至るまでの間にシリンダ内に均一な混合気を形成すると共に圧縮上死点近傍でその混合気を圧縮着火させるように、噴射時期をエンジンの吸気行程中は圧縮行程中とし、高負荷運転時には噴射時期をエンジンの圧縮上死点近傍とする噴射時期変更手段とを有するものである。
【0012】
この発明によれば、エンジンの吸気行程中乃至は圧縮行程中に、直径0.1mm以下の複数の小噴孔から噴射された燃料は、噴射時に形成される燃料液滴の粒径が小さいため、噴射の直後から略蒸気化され、ピストンが上死点に至るまでの間に、シリンダ内に希薄で均一な混合気を形成する。その後、ピストンが上死点の近傍に至ると、シリンダ内が高温高圧となるため、シリンダ内の空間の略全域で、上記混合気全体が略同時に着火燃焼(希薄均一予混合燃焼)する。
【0013】
かかる希薄均一予混合燃焼により、局所的な燃焼温度が下がってNOxの発生が抑制されると共に、空気不足状態での燃焼が回避されるためスモークの発生も抑制される。また、直径0.1mm以下の小噴孔から噴射された燃料は、噴射の直後から略蒸気化されるため、従来のように比較的大きな粒径の燃料液滴を圧縮上死点付近で蒸発させることに起因するNOxおよびスモークの問題や、燃料液滴がシリンダ内を落下してピストン頂面に付着することに起因する未燃HCの問題が生じない。
【0014】
ところで、このような希薄均一予混合を圧縮着火するエンジンでは、シリンダ内の温度が高くなる中〜高負荷運転時には、ピストンが上死点に至る前の圧縮行程中に混合気が着火してしまい、着火時期コントロールができず、効率のよい運転ができなくなる可能性がある。そこで、本発明では、中〜高負荷運転時には上死点近傍で燃料を噴射する通常の圧縮着火燃焼(ディーゼル燃焼)を行い、低負荷運転時には前述の希薄均一予混合燃焼を行うようにしている
【0015】
かかる燃焼の切り替えを行うために、本発明は、燃料噴射ノズルに直径0.1mm以下の複数の小噴孔およびそれよりも大径の複数の大噴孔を形成し、噴孔選択手段により低負荷運転時には上記小噴孔のみを開弁し高負荷運転時には上記大噴孔を開弁し、噴射時期変更手段により低負荷運転時には噴射時期をエンジンの吸気行程中は圧縮行程中とし高負荷運転時には噴射時期をエンジンの圧縮上死点近傍としているのである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、シリンダヘッド1には、シリンダ2内に燃料を噴射するための燃料噴射ノズル3が取り付けられている。シリンダ2内には、クランク軸4にコンロッド5を介して接続されたピストン6が収容されている。ピストン6の頂部には、キャビティ7が凹設されている。
【0018】
図3に示すように、燃料噴射ノズル3のノズルボデー8内には、軸方向に第1針弁収容穴9が形成されている。第1針弁収容穴9の下方先端部は、円錐状に形成された弁座10によって覆われている。弁座10の最先端部には、半球状のホール部11が形成されている。
【0019】
第1針弁収容穴9の内部には、筒体状に形成された第1針弁11が、軸方向にスライド自在に収容されている。第1針弁11は、第1針弁収容穴9より僅かに小径の大径部11aと、第1針弁収容穴9との間に所定隙間を形成する小径部11bと、小径部11bと大径部11aとをテーパ状に接続する受圧部11cとを有する。受圧部11cは、ノズルボデー8に形成された燃料通路12を通って第1針弁収容穴9と小径部11bとの間に供給された燃料の圧力を受け、第1針弁11をリフトさせる。第1針弁11の先端部には、弁座10に着座するテーパ状の第1シート面11dが形成されている。
【0020】
第1針弁11には、軸方向に沿って第2針弁収容穴12が形成されている。第2針弁収容穴12には、円柱状に形成された第2針弁13が軸方向にスライド自在に収容されている。第2針弁13は、第2針弁収容穴12より僅かに小径の大径部13aと、第2針弁収容穴12との間に所定隙間を形成する小径部13bと、小径部13bと大径部13aとをテーパ状に接続する受圧部13cとを有する。受圧部13cは、上記第1針弁11がリフトした後に、燃料の圧力を受けて、第2針弁13をリフトさせる。第2針弁13の先端部には、弁座に着座するテーパ状の第2シート面13dが形成されている。
【0021】
弁座10には、第1シート面11dに対向させて直径0.1mm以下の小噴孔14が周方向間隔を隔てて複数穿たれていると共に、第2シート面13dに対向させて直径0.2mm以上の大噴孔15が周方向間隔を隔てて複数穿たれている。詳しくは、小噴孔14の直径は、そこから噴射される燃料の微粒化と噴孔の加工性とを考慮すると0.08〜0.05mm程度が好ましい。また、大噴孔15の直径は、そこからの噴射特性(通常の直噴エンジンと同様に燃料を液柱状に噴射する)を考慮して0.24mmに設定されている。
【0022】
第1針弁11は、第1リターンスプリング16によって弁閉方向に付勢されている。第1リターンスプリング16は、一端が第1針弁11の頂部17に接し、他端がノズルボデー8内に形成された第1スプリングホルダ18に接している。同様に、第2針弁13は、第2リターンスプリング19によって弁閉方向に付勢されている。第2リターンスプリング19は、一端が第2針弁13の頂部20に接し、他端がノズルボデー8内に形成された第2スプリングホルダ21に接している。
【0023】
上記構成によれば、燃料通路12を通って第1針弁11の受圧部11cに作用する燃料によるリフト力が、第1リターンスプリング16のセット力を上回ったとき、第1針弁11がリフトして小噴孔14が開口される。そして、その後第2針弁13の受圧部13cに作用する燃料によるリフト力が、第2リターンスプリング19のセット力を上回ったとき、第2針弁13がリフトして大噴孔15が開口される。よって、上記第1針弁11および第2針弁13が、特許請求の範囲の請求項2の噴孔選択手段に相当する。
【0024】
第1および第2スプリングホルダ18,21の内部には、プッシュロッド22が軸方向にスライド自在に貫通されている。プッシュロッド22は、一端が第2針弁13の頂部20に当接し、他端にはコマンドピストン23が設けられている。コマンドピストン23は、ノズルボデー8の上部に形成されたシリンダ24内に収容されている。シリンダ24内には、コマンドピストン23を下方にごく弱い力で付勢する保持スプリング25が収容されている。保持スプリング25は、コマンドピストン23が浮かないように保持するものである。
【0025】
シリンダ24にはオイル通路26が接続されている。オイル通路26は、切換弁27を介して、オイルギャラリ28とオイルパン29とに接続されている。切換弁27は、コントローラ30からの指令により、オイルギャラリ28とオイル通路26とを連通するか、あるいはオイルパン29とオイル通路26とを連通するかを選択する。コントローラ30には、エンジンの負荷と回転数とが入力される。そしてコントローラ30は、低負荷時(図2の領域A)にはオイルギャラリ28とオイル通路26とを連通する指令を出し、高負荷時(図2の領域B)にはオイルパン29とオイル通路26とを連通する指令を切換弁27に出す。
【0026】
低負荷時に、切換弁27によりオイルギャラリ28とオイル通路26とが連通されると、コマンドピストン23がオイルギャラリ28からのオイル圧力によって下降し、第2針弁13に弁閉方向の付勢力が働く。よって、このとき第2針弁13は、第1針弁11のリフト後に第2針弁13の受圧部13cに作用する燃料によるリフト力が第2リターンスプリング19のセット力を上回っても、上記コマンドピストン23に作用するオイル圧力をも含めたトータルの弁閉方向の力を上回らない限り、リフトしない。よって、低負荷時には小噴孔14からのみ燃料が噴射される。
【0027】
他方、高負荷時に、切換弁27によりオイルパン29とオイル通路26とが連通されると、コマンドピストン23に加わっていたオイルの圧力がオイルパン29にリリーフされる。よって、このとき第2針弁13は、第1針弁11のリフト後に第2針弁13の受圧部13cに作用する燃料によるリフト力が第2リターンスプリング19のセット力(正確にはこれに加えて保持スプリング25のセット力)を上回ったとき、リフトする。よって、高負荷時には、小噴孔14に加えて大噴孔15からも燃料が噴射される。
【0028】
さて、上記燃料噴射ノズル3の燃料通路12には、図4に示す燃料噴射ポンプ31が接続されている。この燃料噴射ポンプ31は、燃料タンクからの燃料が、導入口32から供給される。導入口32から供給された燃料は、エンジンのクランク軸で回転されるドライブ軸33に設けられたフィードポンプ34により加圧され、調圧弁35により所定圧以下に制御されて吐出口36からポンプ室37内に吐出される。
【0029】
ドライブ軸33には、カムディスク38がクロスカップリング39を介して軸方向に移動自在に取り付けられている。カムディスク38は、プランジャスプリング40によってローラ41に押し付けられている。ローラ41は、ドライブ軸33から切り離されたローラホルダ42に取り付けられている。この構造によれば、ドライブ33軸が回転すると、カムディスク38が回転しつつローラ41に乗り上げスプリング40で押し付けられて往復運動し、これに同期してカムディスク38に取り付けられたプランジャ43が回転しつつ往復運動する。
【0030】
プランジャ43には、吸入溝44、燃料通路45、排出通路46、リーク通路47が形成されており、プランジャバレル48には、吸入溝44に出合う吸入口49、排出通路46に出合う排出口50が形成されている。この構成によれば、プランジャ43の吸入溝44がバレル48の吸入口49に出合ったとき、ポンプ室37内の燃料が導入通路51を通って圧縮室52内に導かれ、プランジャ43の排出通路46がバレル48の排出口50と出合ったとき、プランジャ43によって高圧にされた圧縮室52内の燃料がデリバリバルブ53を開弁して図3に示す燃料噴射ノズル3の燃料通路12に向かう。
【0031】
プランジャ43には、そのリーク通路47を覆うようにして、コントロールスリーブ54がスライド自在に被嵌されている。コントロールスリーブ54は、図示しない電子ガバナアクチュエータに接続されたコントロールロッド55により、プランジャ43の軸方向(図7の左右方向)に移動される。コントロールスリーブ54が左方(リーク側)に移動されるとプランジャ43の有効ストロークが小さくなって噴射量が減り、コントロールスリーブ54が右方(反リーク側)に移動されるとプランジャ43の有効ストロークが大きくなって噴射量が増える。
【0032】
さて、上記ローラホルダ42には、タイマ56を駆動するためのローラホルダピン57が取り付けられている。タイマ56は、ローラホルダピン57が挿入されるタイマピストン58と、タイマピストン58をスライド自在に収容するシリンダ59とを有する。シリンダ59内は、タイマピストン58によって、ポンプ室37内の燃料が高圧導入路60を介して導かれる高圧室61と、フィードポンプ34で加圧される前の燃料が低圧導入路62を介して導かれる低圧室63とに仕切られている。低圧室63には、ピストン58を高圧室61側に付勢するタイマスプリング64が収容されている。
【0033】
高圧室61と低圧室63とは、バイパス通路65によって接続されている。バイパス通路65には、タイミングコントロールバルブ66が設けられている。タイミングコントロールバルブ66が閉弁されると、高圧室61内の燃料圧力が低圧室63内のスプリング64の付勢力に打ち勝ち、ピストン58が図4において左方に移動し、ローラホルダピン57を介してローラホルダ42がドライブ軸33の回転方向と逆方向に回動し、噴射時期が進角される。タイミングコントロールバルブ66が開弁されると、高圧室61内の燃料がバイパス通路65を通って低圧室63側へリークするため、ピストン58が図4において右方に移動し、ローラホルダピン57を介してローラホルダ42がドライブ軸33の回転方向と同方向に回動し、噴射時期が遅角される。
【0034】
タイミングコントロールバルブ66は、エンジンの負荷と回転数が入力されるコントローラ67からの指令により、開閉される。詳しくは、タイミングコントロールバルブ66は、短い周期で開閉制御され、擬似的に全閉状態から全開状態まで連続的に制御できるようになっている。すなわち、タイミングコントロールバルブ66の開時間をON時間とし閉時間をOFF時間とすると、OFF時間/(ON時間+OFF時間)をデューティー比といい、デューティー比を0%〜100%まで変化させることにより、タイミングコントロールバルブ66の開度が疑似的に全開状態(遅角)から全閉状態(進角)まで連続的に制御される。
【0035】
図5に示す一点鎖線68は、通常の直噴式ディーゼルエンジンのタイマ特性を示すものである。図示するように、デューティー比100%のときの最大進角が上死点前20度となっている。すなわち、通常の直噴式ディーゼルエンジンの噴射時期は、上死点前20度から上死点までの間で、エンジンの運転状態(負荷・回転数)に応じて調節される。これに対し、本実施形態のエンジンのタイマ特性は、図5に実線69で示すように、デューティー比100%のときの最大進角が上死点前80度となっており、上死点前80度から上死点までの間で噴射時期の調節が可能である。
【0036】
このタイマ特性は、タイマピストン58のストロークを大きく改変すると共に、タイミングコントロールバルブ66の制御デューティー比を変更することにより得られる。具体的には、ピストン58の軸方向の長さの短縮化、シリンダ59の軸方向の長さの大型化、またはその両方を行うと共に、タイミングコントロールバルブ66の制御デューティー比をポンプ室37内の燃圧とタイマスプリング64の付勢力とに応じて図5に実線に示すようにする。
【0037】
上記コントローラ67は、エンジンが低負荷運転(図2の領域A)のときにはデューティー比を75%〜100%として噴射時期を上死点前80度から60度の間で運転状態に応じて最適制御し、エンジンが高負荷運転(図2の領域B)のときにはデューティー比を0%〜25%として噴射時期を上死点前20度から上死点の間で運転状態に応じて最適制御する。よって、上記タイマ56が、特許請求の範囲の請求項2の噴射時期変更手段に相当する。
【0038】
この結果、図2の領域Aでは、図3の燃料噴射ノズル3の小噴孔14からのみ燃料が噴射され、その噴射時期は図5のAで示すように上死点前80度から60度となり、図1(A) で示すような噴射となる。また、図2の領域Bでは、図3の燃料噴射ノズル3の小噴孔14および大噴孔15から燃料が噴射され、その噴射時期は図5のBで示すように通常のエンジンと同様に上死点前20度から上死点となり、図1(B) で示すような噴射となる。よって、上記タイマ56、第1針弁11および第2針弁13が、特許請求の範囲の請求項1の制御手段に相当する。
【0039】
以上の構成からなる本実施形態の作用を述べる。
【0040】
図2の領域Aに示すエンジンの低負荷運転時には、図1(A) で示すように、燃料が燃料噴射ノズル3の複数の小噴孔14から、上死点前80度から60度の圧縮行程中にて、運転状態に応じて噴射される。なお、噴射時期を更に早めて吸気行程中に噴射するようにしてもよい。
【0041】
すると、小噴孔14から噴射された燃料Fは、その噴孔径が小さいために噴射時に形成される燃料液滴の粒径が小さくなり、噴射の直後から略蒸気化され、ピストン6が上死点に至るまでの間に、シリンダ2内に希薄で均一な混合気を形成する。その後、ピストン6が上死点の近傍に至ると、シリンダ2内が圧縮されて高温高圧となるため、シリンダ2内の空間の略全域で、上記混合気全体が略同時に着火燃焼する。
【0042】
かかる希薄均一予混合燃焼により、局所的な燃焼が回避されるために局所的な燃焼温度が下がってNOxの発生が抑制されると共に、空気不足状態での燃焼が回避されるためスモークの発生も抑制される。また、直径0.1mm以下の小噴孔14から噴射された燃料Fは、噴射の直後から略蒸気化されるため、従来のように燃料液滴を圧縮上死点付近で蒸発させることに起因するNOxおよびスモークの問題や、燃料液滴がシリンダ2内を落下してピストン6頂面に付着することに起因する未燃HCの問題が生じない。
【0043】
なお、図2においてエンジンの回転数が高くなって図3に示す燃料噴射ノズル3への燃料供給圧が高まっても、第2針弁13のリフトをコマンドピストン23によって強制的に押えることにより、大噴孔15が開くことはなく、小噴孔14からのみ燃料が噴射され、上述の希薄均一予混合燃焼を行うことができる。逆をいえば、コマンドピストン23により強制的に第2針弁13のリフトを押えないと、燃料噴射ポンプ31の燃料供給圧力が高まるエンジン高回転時には、燃料噴射ノズル3への燃料供給圧によっては第2針弁13がリフトして大噴孔15から燃料が噴射されしまい、希薄均一予混合燃焼が実現できない可能性もあるが、本実施形態はこれを回避しているのである。
【0044】
また、図2の領域Bに示すようにエンジンの高負荷運転時には、図1(B) で示すように、燃料Fが上記小噴孔14に加えて直径0.2mm以上の複数の大噴孔15からも、上死点前20度から上死点の圧縮上死点近傍にて、運転状態に応じて液柱状に噴射される。これにより、通常の圧縮着火燃焼(ディーゼル燃焼)が行われる。すなわち、図2の領域Aに示すエンジンの低負荷運転時には希薄均一予混合燃焼がなされるものの、図2の領域Bに示すエンジンの高負荷運転時には通常の圧縮着火燃焼(ディーゼル燃焼)に切り換えられる。
【0045】
このように燃焼を切り換える理由は、次の通りである。すなわち、希薄均一予混合気を圧縮着火する場合には、シリンダ2内温度が高くなる中〜高負荷運転時には、ピストン6が上死点に至る前の圧縮行程中に混合気が着火してしまい、着火時期のコントロールが困難であり、効率のよい運転ができなくなる可能性がある。このため、高負荷運転時には、着火時期のコントロールが容易な通常の圧縮着火燃焼(ディーゼル燃焼)に切り換えているのである。
【0046】
なお、図3の燃料噴射ノズル3および図4の燃料噴射ポンプ31の代わりに公知のコモンレール式の燃料噴射システムを用い、コモンレールに接続された小噴孔および大噴孔を有するインジェクタの噴孔の開閉を電磁弁への通電等によって制御して、本発明を実現するようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る圧縮着火式エンジンよれば、希薄均一予混合燃焼を行うことができるので、スモーク、NOx、HCの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す圧縮着火式エンジンの燃料噴射の様子を示す側断面図であり、(a) は低負荷運転時(希薄均一予混合燃焼)、(b) は高負荷運転時 (圧縮着火燃焼)を示す。
【図2】回転数と負荷とによって、図1(a) の希薄均一予混合燃焼と図1(b) の通常の圧縮着火燃焼とを切り換えるマップを示す図である。
【図3】燃料噴射ノズルの側断面図である。
【図4】燃料噴射ポンプの側断面図である。
【図5】噴射時期特性を示す図である。
【図6】従来例を示す燃料噴射ノズルの先端部の側断面図である。
【符号の説明】
2 シリンダ
3 燃料噴射ノズル
6 ピストン
11 第1針弁(噴孔選択手段、制御手段)
13 第2針弁(噴孔選択手段、制御手段)
14 小噴孔
15 大噴孔
56 タイマ(噴射時期変更手段、制御手段)

Claims (2)

  1. 燃料噴射ノズルからシリンダ内に噴射された燃料と吸気とをピストンによって圧縮して着火させる圧縮着火式エンジンであって、直径0.1mm以下の複数の小噴孔及びそれよりも大径の複数の大噴孔を有する燃料噴射ノズルと、該燃料噴射ノズルによる燃料噴射の制御を行う制御手段とを備え、該制御手段は、上記エンジンの低負荷運転時には上記小噴孔のみを開弁し、高負荷運転時には上記大噴孔を開弁する噴孔選択手段と、低負荷運転時にはピストンが上死点に至るまでの間にシリンダ内に均一な混合気を形成すると共に圧縮上死点近傍でその混合気を圧縮着火させるように、噴射時期をエンジンの吸気行程中は圧縮行程中とし、高負荷運転時には噴射時期をエンジンの圧縮上死点近傍とする噴射時期変更手段とを有することを特徴とする圧縮着火式エンジン。
  2. 上記大噴孔の直径が0.2mm以上である請求項1記載の圧縮着火式エンジン。
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