JP3617240B2 - 内燃機関の排気還流制御装置 - Google Patents

内燃機関の排気還流制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関から排出されるNOx濃度を検出しながら排気還流量を制御する排気還流制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関から排出されるNOxを低減するために、排気の一部を吸気中に還流し、燃焼の最高温度、圧力を下げる排気還流(EGR)装置が知られている。
【0003】
ディーゼルエンジンにおいて、NOx低減のためにEGRをすると、燃焼雰囲気が酸素不足となるため、一般に排気微粒子(パティキュレート:PM)や他の排気成分が悪化する傾向がある。とくに、このNOxとPMのトレードオフの関係はEGR量が多い、あるいは空気過剰率が低い場合ほど顕著となる。したがってNOxとPMの排出量をバランスよく減らすには、運転条件に応じてEGRを精密に制御する必要がある。
【0004】
そこで従来、例えば特開昭61−27967号公報によれば、エンジン回転数、負荷、吸入空気圧を因数としてEG率を決定し、これに応じてEGR弁の開度を制御し、NOx排出量が所定値以下となるように制御している。また、大気圧によってエンジン吸気充填効率が変化すると、スモークやPMを悪化させずにNOxを低減するための要求EGR率も変化する変化するので、特開昭63−239353号公報によって、大気圧をモニターして、高地走行時などEGRを減少補正するものがある。
【0005】
しかし、このようにEGR制御を行っても、オープン制御が多いために、実際のEGR量は常に目標値に一致するとは限らず、エンジン毎のNOx排出量にバラツキがあったりしていた。
【0006】
また、仮にEGR量をフィードバック制御するにしても、例えば空気中の水分などによってエンジンの燃焼条件が変動したりすると、同一のEGR量であってもNOxやPMの実際の排出量が変化することもある。
【0007】
また、EGR弁の開度をステップモータにより制御する場合、目標値に対応したステップ数を決めるので、EGR弁の開度も対応して決まり、目標どおりのEGR弁開度に制御できる。ただし、ステップモータの脱調などによるEGR弁の異常や故障も無いわけではないので、これらの対策として、特開平6−249077号公報、特開平6−229323号公報にあるように、吸気と排気の差圧を検出してEGR弁の故障を判定したり、特開平7−42622号公報のようにEGR温度を検出して故障診断を行う、あるいは特開平6−137219号公報にあるように測定したEGR量を予測EGR量と比較することで、故障を診断するものがある。
【0008】
しかし、このようにEGR弁の故障診断のために新たなセンサや診断ロジックを設けることは、制御の複雑化やコストアップを招き、好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
いずれにしても、従来のEGR装置にあっては、EGR量のフィードバック制御などにより、EGR量の制御精度は上がっても、実際にNOxの排出状態を検出しているわけではないので、目標通りにEGR制御が行われても、エンジンによってはNOxの排出量が規定の水準に達していなこともあり、エンジンの劣化等を含めて、長期間にわたり安定してNOxを低減できるとは限らない。
【0010】
ところで、近年、排気中のNOx濃度を測定するNOxセンサの開発が進んでおり、例えばSAE960344にあるような固体電解質タイプのNOxセンサや、特開平7−325059号公報で提案されているような単結晶様構造をもつ物質をNOx感応体としてNOx濃度を検出するものが知られている。
【0011】
そこで、この発明は、排気中のNOx濃度に基づいて実際のNOx排出量を算出し、このNOx排出量が運転条件に応じての目標値と一致するようにフィードバック制御することにより、NOx排出量をバラツキなく低減することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、NOx濃度センサの検出特性からNOx排出量の応答遅れや検出誤差に起因しての制御の不安定化を回避することをも目的とする。
【0013】
また、本発明は、EGR弁の異常についても、特別なセンサを追加することなく、確実に診断できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1または第2の発明は、エンジン回転数を検出する手段と、エンジン負荷を検出する手段と、エンジンの吸入空気量を検出する手段と、これらに基づいてエンジンに供給する燃料供給量を演算する手段と、排気の一部を吸気中に還流する排気還流通路と、この排気還流量を調整する排気還流制御弁と、を備えた内燃機関の排気還流制御装置において、排気通路を流れる排気中のNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、エンジン回転数、負荷に応じて目標とするNOx排出量を設定する手段と、ディーゼルエンジンの燃料噴射時期または吸気スワール比率の目標制御値と実測制御値との差異に基づいて目標NOx排出量を補正する補正手段と、前記エンジン回転数と吸入空気量とNOx濃度センサの応答遅れを補正して求めたNOx濃度とに基づいて実際のNOx排出量を演算する手段と、実測NOx排出量が前記補正された目標NOx排出量と一致するように排気還流制御弁の開度をフィードバック制御する手段とを備える。
【0018】
第3の発明は、前記排気還流制御弁のフィードバック制御手段が、少なくとも減速運転中など排気中の酸素濃度が高いときにフィードバック制御を中止し、機関回転数と負荷に応じた排気還流制御弁の開度にオープン制御する。
【0019】
第4の発明は、前記目標NOx排出量と実測NOx排出量との差異が予め設定した値以上のときに排気還流制御弁が故障であると判定し、警告する手段を備える。
【0020】
第5の発明は、前記故障判定警告手段が、過渡運転時には故障判定を中止するようになっている。
【0021】
【発明の作用・効果】
第1または第2の発明において、エンジンの運転状態に応じて目標とするNOx排出量が設定されると、排気還流制御弁の開度が調整され、排気の一部が排気還流通路から吸気中に還流され、これにより機関の燃焼最高温度、圧力を下げ、燃焼時に発生するNOxを低減する。一方、排気中のNOx濃度が検出され、このNOx濃度と、このときのエンジン回転数、吸入空気量とに基づいて、NOxの排出量が演算される。そして、この演算されたNOxの排出量が目標とするNOx排出量よりも多ければ、排気還流制御弁の開度を増大し、吸気中に還流される排気還流量を多くすることによりNOxの発生量を低減する。逆に、NOxの排出量が目標排出量よりも少ないときは、排気還流制御弁の開度を小さくして、排気還流量を減少させる。
【0022】
このようにして、常に目標とするNOx排出量となるように排気還流量を制御することで、過剰な排気還流による運転性や他の排気成分の悪化を防ぎ、また、吸気中の湿度や大気圧の影響によるNOx排出量の変動を防止し、NOxの排出量を目標とする基準状態に精度よく低減できる。
【0023】
また、NOx濃度センサの応答遅れ分を考慮してNOx排出量を演算するので、実際のNOx排出量を正確に把握することができ、制御精度の向上が図れる。
【0025】
さらに、例えば燃料噴射時期が目標噴射時期よりも早くなると、NOxは相対的に増加し、また、吸気スワール比率が高まると、同じくNOxは増加する。このときには、目標NOx排出量をそのままにしておくと、フィードバック制御により排気還流量が大きくなり、パティキュレートやスモークが増大してしまうので、目標NOx排出量を減少側に補正することで、これらの増大を抑制できる。
【0026】
第3の発明では、減速運転による燃料カット時など、排気中の酸素濃度の高いときは、NOx濃度センサが正常には働かず、NOx濃度を過剰に検出する誤差を生じる。このため、減速後の燃料供給再開直後などに排気還流が過大となり、運転性やパティキュレートなどが悪化する。そこで減速運転中は排気還流量のフィードバック制御を中止し、エンジン回転数と負荷によりオープン制御することで、減速後の燃料供給再開時に排気還流制御弁の開度が必要以上に大きくなり過ぎるのを防ぎ、良好な運転性などを確保する。
【0027】
第4の発明において、排気還流量のフィードバック制御により、目標NOx排出量と実測NOx排出量とは一致しなければならないにもかかわらず、この差が大きいときは、排気還流制御弁を含む制御系に故障などの異常が発生したものと見なすことができる。故障のままでは、NOx排出量を目標値に制御することは不能となる。したがって、このようなときは故障を判定し、警告をすることにより、修理などを促す。
【0028】
第5の発明において、過渡運転中は、フィードバック制御の応答性を含めて、目標NOx排出量に対して実測値は誤差を生じやすい。このときにもこれらの差から故障判定を行えば正確な判定はできない。そこで、このような場合には故障判定を中止することで、故障判定の信頼性を高められる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をディーゼルエンジンに適用した場合の実施形態を説明する。
【0030】
まず、図1にディーゼルエンジンの燃料噴射システムを示す。
【0031】
図1において、エンジン回転に同期して回転駆動される燃料噴射ポンプ1の入力軸6aには、燃料を予圧するフィードポンプ6が取付けられ、さらに同軸上には入力軸6aと同一的に回転すると共に、軸方向に往復運動するように連結されたプランジャ2が配置される。
【0032】
フィードポンプ6はポンプ室7に加圧した燃料を送り出し、かつ余剰燃料は図示しない燃料タンクへと還流され、ポンプ室7の圧力を一定に維持する。
【0033】
プランジャ2には気筒数に対応したカム山をもつフェイスカム2aが同軸に設けられ、フェイスカム2aがローラ8aに乗り上げる毎にプランジャ2が軸方向に往復運動する。例えば6気筒エンジンならば、入力軸6aが1回転すると、この間にフェイスカム2aが6回だけローラ8aに乗り上げ、プランジャ2が6回往復運動する。プランジャ2が往復運動すると、その都度、プランジャ室2bに燃料を吸込み、加圧する。なお、2kはフェイスカム2aに対抗してプランジャ2を押し戻すリタンースプリングである。
【0034】
プランジャ2の伸び出し行程において、プランジャ室2bには、前記ポンプ室7からの燃料が、燃料停止弁10及びプランジャ2に設けたスリット2jを経由して吸入される。
【0035】
これに対して、プランジャ2の圧縮行程でプランジャ室2bの加圧燃料を各気筒の燃料噴射ノズル11に圧送するため、プランジャ2の軸心に沿って、プランジャ室2bと連通する連通路2cが形成され、この連通路2cは途中において半径方向に分岐する高圧通路2dをもち、またその先端部において同じく半径方向に貫通する放出通路2eが形成される。
【0036】
プランジャ2の回転位置に応じて高圧通路2dと選択的に接続するように、プランジャ2の周囲のシリンダ2fの内周には、エンジン気筒数に対応した数のポート2gが均等に配置され、各ポート2gにはそれぞれデリバリバルブ2h(1つだけしか図示していない)が接続し、このデリバリバルブ2hから燃料噴射ノズル11へと燃料が圧送される。
【0037】
プランジャ2は1回転する度に6回往復し、その都度吸入した燃料を加圧するが、加圧燃料が連通路2cから高圧通路2dに押し込まれ、このときプランジャ2の回転位置により連通するポート2gに加圧燃料が送り込まれ、対応するデリバリバルブ2hを介して燃料噴射ノズル11に燃料が圧送される。
【0038】
一方、プランジャ2の外周にはコントロールスリーブ3が摺動自在に嵌合し、通常は前記放出通路2eを被覆して閉じているが、プランジャ2の圧縮方向への移動により、やがて放出通路2eを解放する。これにより、プランジャ室2bの圧力が解放され、デリバリバルブ2hから燃料噴射ノズル11への燃料の圧送が終了する。
【0039】
したがって、燃料噴射ノズル11に送り込まれる燃料量は、コントロールスリーブ3の位置により変化し、プランジャ2の圧縮方向への移動時に、早期に放出通路2eを解放すれば、燃料噴射量は少なく、逆に放出通路2eの解放時期が遅くなると、燃料噴射量は多くなる。
【0040】
この燃料噴射量を制御するため、コントロールスリーブ3の位置を自由に変化させるロータリソレノイド4が設けられ、このロータリソレノイド4には燃料噴射量コントロールユニット18からの燃料の噴射信号が供給され、これに応じてコントロールスリーブ3の位置を変える。なお、コントロールスリーブ3の位置は位置センサ5によって検出され、コントロールユニット18にフィードバックされる。
【0041】
次に、前記したフェイスカム2aが乗り上げるローラ8aは、タイマピストン8によって、そのフェイスカム2aの円周方向の位置が制御される。なお、図示したタイマピストン8は、説明の便宜上、実際の位置から90度だけ回転させてある。タイマピストン8の両側には、低圧室8bと高圧室8cとが設けられ、高圧室8cの圧力は、コントロールバルブ9によって高圧燃料の一部を低圧室8bに逃がす量を制御することにより調整され、これによってタイマピストン8の位置が変化する。
【0042】
タイマピストン8の位置が変化し、フェイスカム2aの回転方向にローラ8aの位置を進めると、フェイスカム2aがローラ8aに乗り上げる位置が相対的に遅れ、プランジャ2による燃料の加圧開始時期、つまり燃料の噴射時期が遅くなり、逆にフェイスカム2aの回転と反対方向にローラ8aの位置を遅らせると、プランジャ2による加圧開始時期が早まり、燃料噴射時期が早くなる。
【0043】
前記したコントロールユニット18からの信号により、運転状態に応じてコントロールバルブ9の作動が制御され、タイマピストン8の位置が調整され、燃料噴射時期が進角、遅角制御される。
【0044】
なお、このコントロールユニット18には、燃料噴射ノズル11の開弁時期を検出するノズルリフトセンサ12と、燃料噴射ポンプ1に供給される燃料温度を検出する燃料温度センサ15と、エンジン冷却水温を検出する冷却水温センサ13と、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ16と、ポンプ回転数を検出する回転数センサ14などからの信号が入力し、これらに基づいて、上記した燃料噴射量、噴射時期の制御信号を演算し、出力する。
【0045】
このようにして、運転状態に応じてエンジンに対する燃料の噴射量、噴射時期が制御されるのであり、またこれに対応して制御される排気還流量の制御システムについて、図2によって説明する。
【0046】
図2は排気還流システムを示すものであって、51はディーゼルエンジン、52は吸気通路、53は排気通路、54は排気通路53の排気の一部を吸気通路52に還流するための排気還流通路である。
【0047】
吸気通路52は吸入空気量を測定するためのエアフローメータ55が設置され、その下流に吸入空気を2段階に絞り込む吸気絞弁56が設けられる。この吸気絞弁56の下流側に前記した排気還流通路54が接続され、また排気還流通路54の途中には排気還流量をコントロールするための排気還流制御弁(EGR弁)57が介装される。
【0048】
したがって、排気通路53から吸気通路52に流れる排気の還流量は、吸気絞弁56の開度に応じて発生する吸入負圧と、排気通路53との排圧との差圧に応じると共に、そのときのEGR弁57の開度に対応して決定される。
【0049】
前記吸気絞弁56は負圧アクチュエータ56aにより開度が2段階に制御され、負圧アクチュエータ56aには第1の電磁弁61を介して図示しないバキュームポンプからの負圧を導く第1負圧通路62と、第2の電磁弁63を介して同じく負圧を導く第2負圧通路64とが接続され、これら電磁弁61,63によって調圧された負圧により、吸気絞弁56の開度を2段階に制御し、その下流に発生する吸入負圧をコントロールするようになっている。
【0050】
たとえば、第1の電磁弁61が負圧導入を止め、大気圧を導入し、第2の電磁弁63が負圧を導入しているときは、負圧アクチュエータ56aの負圧は弱く、吸気絞弁56の開度は比較的大きくなり、これに対して、第1の電磁弁61も負圧を導入しているときは負圧が強く、吸気絞弁56の開度は小さくなる。また、第1、第2の電磁弁61,63が共に大気圧を導入しているときは、吸気絞弁56はリターンスプリングにより、全開位置に保持される。
【0051】
前記EGR弁57はステップモータ57aの回転によってリフト量が変化し、その開度が調整され、この開度に応じて排気還流通路54を通って吸気中に流入する排気還流量が増減する。
【0052】
70はコントローラであって、このコントローラ70が前記した第1、第2電磁弁61,63と、ステップモータ57aの作動を制御し、排気還流量を制御するが、この発明では、排気通路53に排気中のNOx濃度を検出するNOx濃度センサ59が設けられていて、このNOx濃度センサ59の出力に基づいて後述するように、排気中に含まれるNOx排出量を演算し、このNOx排出量が、予め運転状態に対応して設定したNOx排出量と一致するように、排気還流量がフィードバック制御される。
【0053】
このため、コントローラ70には、エアフローメータ55と、図示しないエンジン回転数センサ、エンジン負荷を検出するアクセル開度センサ(これらは図1を参照)からの信号が入力し、また同時に排気通路53に設けたNOx濃度センサ59からの信号も入力し、これらにより、運転状態に応じて目標とするNOx排出量が設定されると共に、排気流量とNOx濃度とから排気中に含まれるNOx排出量を演算し、これら目標NOx排出量と実測NOx排出量とが一致するように、EGR弁57の開度をフィードバック制御するのである。
【0054】
コントローラ70で制御される内容は、図3のブロック図として表すことができる。
【0055】
すなわち、回転数検出手段と負荷検出手段からの出力に基づいて、目標NOx排出量検索手段において、運転状態に応じての目標とするNOx排出量が検索される。さらにこの目標値を動的に補償する手段が設けられる。吸気量検出手段とNOx濃度検出手段からの各出力は、それぞれ応答遅れ補償手段で補償され、実測NOx排出量演算手段において、これら吸気量とNOx濃度とから排気中に含まれるNOx排出量が算出される。そして、比較手段において、これら目標NOx排出量と実測NOx排出量とが比較され、これらの差異がなくなるように、目標とするEGR弁のリフト量が演算される。つまり、目標NOx排出量よりも実際のNOx排出量が多いときには、EGR弁のリフト量(弁開度)は大きくなり、逆に少ないときはEGR弁のリフト量は小さくなる。この結果はEGR弁駆動手段に出力され、これに基づいてEGR弁のリフト量がフィードバック制御される。
【0056】
コントローラ70におけるこれらの制御内容について、以下のフローチャートにより、さらに詳しく説明する。
【0057】
図4〜図18には第1の実施形態を示す。
【0058】
まず、図4はシリンダ吸入新気量をQacを演算するフローであり、これはエンジン回転に同期して実行される(Ref.Job)。
【0059】
ステップ1ではエアフローメータAMFの出力を読み込み、ステップ2でその出力電圧からテーブル変換で吸気量を演算する。ステップ3ではこの吸気量の荷重平均処理を行って荷重平均値Qas0を算出する。
【0060】
ステップ4でエンジン回転数Neを読み込み、ステップ5では前記したQas0とNe及び定数KCON#から、一シリンダ当たりの吸気量Qac0を、Qac0=Qas0/Ne×KCON#として演算する。ステップ6では吸気コレクタ入口の新気量Qacnを、Qas0のn回演算分のディレイ処理を行うことにより算出する。
【0061】
そして、ステップ7ではシリンダ吸入新気量Qacを、ステップ6で求めた新気量Qacnを容積比Kvolと体積効率相当値Kinを用いて次のようにして演算する。
【0062】
Qac=Qacn−1×(1−Kvol×Kin)+Qacn×Kvol×Kin
ただし、Kvol=Vc/Vmで、Vcは1シリンダ容積、Vmは吸気系容積を表す。
【0063】
このようにして、シリンダ吸入新気量Qacを求め、処理を終了する。
【0064】
図5は燃料噴射量Qsolを演算するフローである(Ref.Job)。
【0065】
まず、ステップ1でエンジン回転数Neとコントロールレバー開度(アクセル開度)CLを読み込む。ステップ2では、これらNeとCLとから、図6に示すような、燃料噴射特性マップを検索して、基本燃料噴射量Mqdrvを算出する。
【0066】
ステップ3でこの基本燃料噴射量を水温等による補正を行い、Qsol1を求める。さらに、ステップ4では図7に示すような最大燃料噴射量マップにしたがって、最大燃料噴射量の制限を行い、補正されたQsol1が最大噴射量QsolMAXを越えることのないように制限し、最終的な燃料噴射量Qsolとし、処理を終了する。
【0067】
次に図8は運転状態によって決まる目標とするNOx排出量を演算するためのフローである(Ref.Job)。
【0068】
ステップ1ではエンジン回転数Neと燃料噴射量Qsolを読み込み、ステップ2で目標とするNOx排出量であるNOx_t0を、図9のような目標NOx排出量マップから、NeとQsolに基づいて検索し、処理を終了する。
【0069】
図10は、前記目標NOx排出量を過渡運転時に補正するため、エンジンの過渡運転を判別するフローである(Ref.Job)。
【0070】
ステップ1で燃料噴射量Qsol、アクセル開度TVO、エンジン回転数Neを読み込み、ステップ2では、予め設定された所定の計算サイクル前の燃料噴射量Qsolzk、アクセル開度TVOzm、エンジン回転数Neznをそれぞれ読み込む。
【0071】
そして、ステップ3では、これら各燃料噴射両Qsol、アクセル開度TVO、エンジン回転数Neの所定のサイクル前の各値との、差分dQsol、dTVO、dNeを次のように演算する。
【0072】
dQsol=Qsol−Qsl−Qsolzk、dTVO=TVO−TVOzm、dNe=Ne−Nezn
運転状態が過渡状態にあるかどうかを判別するため、ステップ4では図11に示すような判定テーブルによって、それぞれdQsol、dTVO、dNeについて定常領域にあるか加速(過渡)領域にあるかを判断し、これらの結果のアンドをとって、例えば、これらのうち2つ以上が過渡であるときに過渡と判定し、過渡判定フラグF_trをたてる。
【0073】
次いで、図12は目標とするNOx排出量を演算するフローである(Ref.Job)。
【0074】
ステップ1で過渡フラグF_trを読み込み、ステップ2で過渡運転であるかどうか判定し、もし、過渡運転ならばステップ3に以降に進み、目標NOx排出量の進み補正を行い、過渡運転でなければステップ5に進む。
【0075】
ステップ3では、検索された目標NOx排出量NOx_tについてのEGR制御系の一次遅れ相当値R_NOx_tを次式のようにして算出する。
【0076】
R_NOx_t=R_NOx_tn−1×(1−K_NOxt#)+NOx_t0×K_NOxt#
ただし、K_NOxt#はEGR制御系時定数相当値である。そして、ステップ4ではEGR制御系の遅れに対する補正ゲイン分だけ、目標NOx排出量を進み補正し、これをEGR制御系の遅れ補正後の目標NOx排出量であるNOx_tとする。NOx_tは次のようにして求められる。
【0077】
NOx_t=GK_NOx#×NOx_t0−(GK_NOx#−1)×R_NOx_tn−1
なお、GK_NOx#は進み補正ゲインである。このようにして、過渡運転時にはEGR制御系の遅れ分に相当して、目標NOx排出量を進み側に補正し、応答遅れを補償する。
【0078】
なお、ステップ5に進んだ場合(定常時)は、そのままNOx_t=NOx_t0として、処理を終了する。
【0079】
図13は燃料噴射量、吸入空気量のサイクル処理のフローである。なお、この演算動作は10ms毎に実行される。
【0080】
排気中のNOx濃度に基づいて排気中に含まれるNOx排出量を演算するために、吸入新気量と燃料噴射量については、サイクル処理をして、時間的なずれを一致させる。
【0081】
ステップ1では吸入新気量Qacと、燃料噴射量Qsolを読み込む。ステップ2でQacとQsolにサイクル処理を施し、Qacはシリンダ数が1を引いた分、Qsolは同じく2を引いた分のディレイ処理をする。すなわち、吸入空気量Qace=Qac・Z_(CYLN#_1)、また、燃料噴射量Qf0=Qsol・Z_(CYLN#_2)として、処理を終了する。
【0082】
図14は、これらサイクル処理をした結果に基づいて、NOx濃度、吸入空気量、回転数から実際に排出されるNOx排出量を演算するフローである(Ref.Job)。
【0083】
ステップ1では、図13で求めた、吸入空気量Qaceと燃料噴射量Qf0を読み込み、ステップ2では、吸入空気量重量を吸気乾燥モル流量M_Qacとして、次式にしたがって換算する。
【0084】
M_Qac=(Qace/MolAir#)−Qf0/1000×HF/(CF+HF)×AH/4
ただし、HFはHの質量比1.85、CFはCの質量比12.00、AHはHの原子量1.0079である。また、MolAir#は見かけ上の分子量を意味する。
【0085】
次にステップ3ではエンジン回転数Neを読み込み、ステップ4でNOx濃度センサの出力NOx_i1を読み込む。ステップ5では、センサ出力電圧NOx_i1とNOx濃度の関係を与えたテーブルから、NOx濃度C_NOxを電圧変換により求める。
【0086】
そしてステップ6において、NOx排出重量NOx_i0を、吸気乾燥モル流量M_Qacと、エンジン回転数Ne、NOx濃度C_NOxとに基づいて、次式のようにして演算する。
【0087】
NOx_i0=M_Qac×C_NOx×(AN+2×A0)×Ne×Nz/3600/2
なお、ANはNの分子量、AOはOの分子量、Nzは気筒数を表す。
【0088】
排気中のNOx濃度が分かれば、これと排気流量との関係から、NOx排出量が算出でき、排気流量は吸入空気量とエンジン回転数等から演算できる。
【0089】
ステップ7ではNOx濃度センサの出力の応答遅れを一次遅れと見なし、時定数相当分だけ、次式のようにして、進み処理を施し、実測NOx排出量NOx_iを求める。
【0090】
NOx_i=[NOx_i0−NOx_in−1(1−K_NOxi#)]/K_NOxi#
次に、図15は、上記のようにして求めた目標NOx排出量と実測NOx排出量とに基づいて、排気還流制御弁(EGR弁)のリフト量を演算するフローである(Ref.Job)。
【0091】
まず、ステップ1では前述のようにして求めた目標NOx排出量NOx_tと、実測NOx排出量NOx_iとを読み込み、ステップ2で目標値と実測値との差異dNOxを求める。dNOx=NOx_t−NOx_iとなる。
【0092】
そして、ステップ3では、目標値と実測値との差異dNOxに基づいて、図16(A)に示すようなテーブルから、EGR弁の開度をフィードバック制御するための制御項として、比例項(P分)、積分項(I分)、微分項(D分)を検索し、さらに実測NOx排出量NOx_iに基づいて、図16(B)のテーブルにしたがって、それぞれのP分、I分、D分の補正値、Phos、Ihos、Dhosを求め、そしてこれらから、(P分×P分補正値)+(I分×I分補正値)+(D分×D分補正値)としてPID処理する。これらに基づいて、前記した差異dNOxが0となるように、ステップ4においてEGR弁の制御目標値Liftが演算される。
【0093】
このようにして、目標NOx排出量と実測NOx排出量とが一致するように、EGR弁の開度(リフト量)がフィードバック制御される。
【0094】
次に全体の作用を説明する。
【0095】
エンジンの運転状態に応じて目標とするNOxの排出量が設定されると、これに応じてEGR弁57の開度(リフト量)が調整される。これにより、排気通路53から吸気通路52へと排気の一部が還流される。
【0096】
なお、排気通路53の圧力と吸気通路52との差圧に応じて排気が還流されるが、一般にディーゼルエンジンでは吸入負圧が小さく、EGR弁57の開度を大きくしても、排気還流量が要求どおりに増加しないこともある。そこで、要求排気還流量の大きい運転状態では、吸気絞弁56の開度を全開から絞り込み、その下流に発生する負圧を調節する。
【0097】
排気の一部が吸気中に還流されることで、燃焼の最高温度、圧力が下がり、NOxの発生量が抑制される。一方で、排気還流量が多くなると、パティキュレート(PM)やその他の排気成分も悪化する。
【0098】
NOxの排出量を所定の状態に抑制できるならば、それ以上に排気還流量を増やすことは、PMの悪化を招くだけとなる。
【0099】
そこで、排気中に含まれるNOx排出量が、NOx濃度センサ59の出力と、排気流量に基づいて演算され、このNOx排出量が、目標とするNOx排出量と一致するように、EGR弁57の開度がフィードバック制御される。
【0100】
このため、実際のNOx排出量が目標値よりも多いときは、EGR弁57の開度を大きくして排気還流量を増やし、これによりNOx排出量を目標値まで減らし、また逆に実際のNOx排出量が目標値よりも少ないときは、過剰に排気還流が行われていることを意味し、EGR弁57の開度が減らされ、NOx排出量が目標値と一致するように制御される。
【0101】
このようにして、常に目標とするNOx排出量となるように、排気還流制御が行われるが、この場合、NOx濃度センサ59、EGR弁57並びに作動流体(吸入空気、排気)の動的挙動を考慮した物理モデルを用いてNOx排出量を計測(算出)することで、定常運転時だけでなく過渡運転時にも、所定の目標NOx排出量に対して位相遅れを生じることなく、精度よくフィードバック制御することができる。このため、従来の排気還流制御装置に比較して、構成部品の精度的バラツキや経時劣化に起因してのNOx排出量のバラツキを大幅に抑制することができる。
【0102】
また、直接的にNOx排出量を計測してフィードバック制御するので、図17や図18に示すような、大気圧や湿度などの環境変化に対する補正の必要がなくなる。つまり、一般的には大気圧が低くなれば酸素濃度が低下し、同一EGR量に対してNOxの排出量が低下する反面、PMの排出量は増大する傾向があるが、常に目標NOx排出量となるようにEGRすることで、大気圧が変化しても、PMの排出量の変動を防ぐことができる。同じように、吸入空気中の湿度が高くなると燃焼温度が相対的に下がり、同一EGR量に対しては、NOxの排出量が減少する反面、PMが増加するが、目標NOx排出量となるようにEGRを制御することで、湿度が変動しても、PMの排出量の変動を防止できる。
【0103】
この結果、大気圧、湿度にもとづくEGRの補正が不要となり、そのための大気圧、湿度センサ等も必要なく、一方でPMやスモークの悪化も回避できる。
【0104】
次に他の実施の形態について説明する。
【0105】
ディーゼルエンジンの場合、NOx排出量に最も影響の大きい制御パラメータとしては、EGR率があるが、この他にも燃料噴射時期、あるいは吸気スワールの強さなどの影響を受ける。いま、燃料噴射時期に起因してNOx排出量が変動すれば、これは当然のことながらNOx濃度センサ59の出力にも反映され、例えば噴射時期が設定値よりも進角しているためにNOx排出量が増えたとすると、その分だけEGR量を増やしてNOxを低減するように修正がかかるが、これに伴いスモークやPMも悪化し、とくに定常時に比較して加速時などにこの傾向が強まる。
【0106】
そこで、本実施の形態では、EGR以外のNOx排出量に影響を及ぼす制御パラメータが、目標値と実測値が一致しているかどうか判断し、この差に応じて目標NOx排出量を補正することにより、スモークやPMの悪化を防止するようにした。
【0107】
図19〜図21は、制御パラメータとして燃料噴射時期を例にして、目標NOx排出量を制御するものである。
【0108】
まず、図19は目標NOx排出量を演算するフローである(Ref.Job)。
【0109】
ステップ1ではエンジン回転数Neと燃料噴射量Qsolとを読み込み、これらに基づいて、前記した図9のようなマップを検索し、目標NOx排出量NOx_tMを読み込む。そして、ステップ3では、後述する図21にしたがって求めた目標NOx補正値NOx_hosを読み込む。そして、ステップ4で目標NOx排出量の補正を次のようにして行う。
【0110】
NOx_t0=NOx_tM×NOx_hos
このようにして目標NOx排出量を補正し、NOx_t0として演算を終了する。
【0111】
図20は、目標NOxの補正値NOx_hosを演算するフローである(Ref.Job)。
【0112】
ステップ1で運転状態に応じて設定された目標とする燃料噴射時期ITsと、ノズルリフトセンサの出力から求めた実際の燃料噴射時期ITiを読み込み、ステップ2で目標燃料噴射時期と実測燃料噴射時期との差Ditを、Dit=ITs−ITiとして求める。
【0113】
ステップ3ではこのDitに基づいて、図21に示すような特性で設定した目標NOx補正値NOx_hosを、テーブルから求め、演算を終了する。
【0114】
なお、NOx_hosは、目標燃料噴射時期と実測燃料噴射時期との差がゼロのときに1.0をとり、進角側、遅角側へのいずれの方向についても、ずれ量が大きくなるほど大きくなり、したがってこの補正値に基づいて調整される目標NOx排出量は、進角、遅角側へのずれが大きくなるほど増大する。なお、この特性はエンジンの燃焼コンセプトによって変わる。
【0115】
その他の制御動作については、前記した第1の実施形態と同じである。
【0116】
このようにして、燃料噴射時期が目標噴射時期からずれると、これに応じて目標NOx排出量を増大側に補正することで、例えば燃料噴射時期のずれに起因してのNOx発生量が増えても、EGR量を増加させることはなく、このためEGR量の増加によってスモークやPMが増えるのを回避できる。とくに、加速時などスモークの発生しやすい燃料噴射量の大きい領域で、燃料噴射時期の誤差からNOx排出量が増えたときなど、EGR量を増加することで、スモークやPMが極端に悪化するような問題を防止できる。
【0117】
なお、目標NOx排出量を補正したことにより、NOx排出量が増加するが、この分を見越して、EGRを増大してもスモークがあまり増大しない定常時などに、目標NOx排出量を相対的に小さく設定すれば、トータルとしてのNOx排出量の増加は抑制できる。
【0118】
この例では、NOx排出量に影響を及ぼす制御パラメータとして燃料噴射時期を取り上げて説明したが、吸気スワール比などの制御についても、同じようにして行うことができる。
【0119】
図22から図24によって、第3の実施形態を説明する。
【0120】
NOx濃度センサ59が固体電解質型で酸素通過量からNOx濃度を検出するタイプでは、減速時にエンジンに供給される燃料がカットされ、排気中の酸素濃度が大気と同じにようになると、酸素ポンプが正常に働かなくなり、センサ出力が上限値にシフトしてしまうという特性をもつ。このため、減速時には結果的にNOx排出量が過多であると誤認識し、EGR弁を最大限にリフトさせ、弁開度を大きくする。
【0121】
減速時に燃料カットしているときは、エンジンからのNOxの排出が無く、また燃料カットしなくてもNOxの排出量は相対的に減少するはずなので、EGR弁をこのように開く必要はなく、これに対してフューエルリカバー時には、EGR弁が最大リフト状態から急激に閉じるにしても、応答遅れの間にEGRが過大に行われ、大量EGRにより燃焼が悪化し、失火や白煙を生じたり、減速再加速時にスモークが多く発生したりする。
【0122】
そこで、この実施の形態では、減速運転を検出したらNOx濃度センサによるEGR弁のフィードバック制御を中止し、エンジン回転と負荷により、EGR弁開度をオープン制御することで、減速燃料カット状態からのフューエルリカバー時に生じるこれらの問題を解消する。
【0123】
まず、図22は減速運転を判別するフローである(Ref.Job)
ステップ1で燃料噴射量Qsol、アクセル開度TVO、エンジン回転数Neをそれぞれ読み込み、また、ステップ2では設定された計算サイクル前の燃料噴射量Qsolzk、アクセル開度TVOzm、エンジン回転数Neznを読み込む。ステップ3でこれら各値の設定サイクル前との差分dQsol、dTVO、dNeを、それぞれdQsol=Qsol−Qsolzk、dTVO=TVO−TVOzm、dNe=Ne−Nednとして演算する。
【0124】
そして、ステップ4では、これらdQsol、dTVO、dNeを所定値と比較し、減速運転かどうか判定し、減速運転のときはフラグF_daを立てる。減速運転に移行すると、燃料噴射量、アクセル開度、エンジン回転数は所定サイクル前よりも減り、したがって前記した各差分が大きくなるので、これらから判定することができる。
【0125】
図23は減速時のEGR弁の制御フローである(Ref.Job)。
【0126】
図22で減速運転判定フラグF_daが立っているときに、この図23のフローに進むのであり、ステップ1ではエンジン回転数Neと燃料噴射量Qsolを読み込む。そして、ステップ2でこれらNeとQsolとから、図24に示すようなEGR弁のリフトマップから目標EGR弁のリフト量を検索する。
【0127】
減速時のEGR弁のリフト量は、燃料噴射量、回転数が大きいほど小さくなり(弁開度小)、アイドル回転に近い状態でのリフト量は大きくなる。
【0128】
目標EGR弁のリフト量が決まったら、これに基づいてEGR弁のリフト量をオープン制御する。なお、この減速時にはNOx排出量を目標値と一致させるためのEGR弁のフィードバック制御は中止される。
【0129】
このようにして、減速時にはNOx濃度センサによるEGR弁のフィードバック制御を中止し、エンジン回転と負荷により、EGR弁開度をオープンループ制御することで、減速燃料カット状態からのフューエルリカバー時などに、NOx濃度センサの誤差によりEGR弁が最大開度まで開くのを防ぎ、EGR弁の開き過ぎによる燃焼状態の悪化を防止する。
【0130】
次に図25、図26により、EGR弁の故障判別を行う実施の形態について説明する。
【0131】
NOx排出量についてはフィードバック制御しているわけであるから、実測NOx排出量は目標値と一致するはずである。しかし、EGR弁の故障状態では実測NOx排出量は目標値から大きくずれてくる。
【0132】
そこでこの実施形態では、目標NOx排出量と実測NOx排出量との差からEGR弁の故障を判定するようにした。
【0133】
まず図25は過渡運転状態にあるかどうかを判定するフロー(Ref.Job)であり、ステップ1では、燃料噴射量Qsol、アクセル開度TVO、エンジン回転数Neをそれぞれ読み込み、また、ステップ2では設定された計算サイクル前の燃料噴射量Qsolzk、アクセル開度TVOzm、エンジン回転数Neznを読み込む。ステップ3でこれら各値の設定サイクル前との差分dQsol、dTVO、dNeを、それぞれdQsol=Qsol−Qsolzk、dTVO=TVO−TVOzm、dNe=Ne−Nednとして演算する。そして、ステップ4では、これらdQsol、dTVO、dNeを所定値と比較し、差分が所定値以上のときは前述した図10と同じようにして、過渡運転と判定し、過渡運転フラグF_trlを立てる。
【0134】
図26はEGR弁の故障判別フローであり(Ref.Job)、まずステップ1において、図25のフラグの結果から、過渡運転中かどうかを判定する。
【0135】
過渡運転中ならば、EGR弁の作動が正常であっても、目標NOx排出量と実測NOx排出量とは大きくずれることもあるため、故障判定は中止する。
【0136】
過渡運転中でないとき、ステップ2に進み、前回または所定サイクル前の目標NOx排出量NOx_tと、実測NOx排出量NOx_iとの差分dNOxを読み込む。そして、ステップ3において、この差分dNOxと実測NOx_iとの比率、つまりdNOx/NOx_iを、予め設定された故障判定敷居値DIAG_EGRと比較する。
【0137】
実測NOx排出量に対する差分dNOxの比率が所定値以下のときは、ステップ5に進み、目標NOx排出量と実測NOx排出量との差が小さく、EGR制御は正常に行われている、つまりEGR弁の作動は正常と判断する。
【0138】
しかし、実測NOx排出量に対するdNOxの比率が所定値以上のときは、ステップ6に移行し、フィードバック制御しているにもかかわらず目標NOx排出量と実測NOx排出量には大きな差があり、EGR制御が正常でないものと判断し、ステップ7において警告灯を点灯するなどして異常状態を知らせる。なお、必要に応じては、このときに燃料噴射量を制限し、故障に対する修理を促すフェールモードとしてもよい。
【0139】
このようにして、簡単な構成によってEGR弁の故障などの異常を判定することができる。
【0140】
なお、以上については、ディーゼルエンジンに適用した場合を説明したが、本発明はガソリンエンジンについても、同じようにして適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の燃料供給系を示す概略構成図。
【図2】同じく排気還流制御系を示す概略構成図。
【図3】本発明の制御系のブロック図。
【図4】第1の実施形態の制御内容を示すもので、シリンダ吸入空気量を演算するためのフローチャート。
【図5】同じく燃料噴射量を演算するためのフローチャート。
【図6】同じく燃料噴射特性を示す特性図。
【図7】同じく最大噴射量特性を示す特性図。
【図8】同じく目標NOx排出量を演算するためのフローチャート。
【図9】同じく目標NOx排出量特性を示す特性図。
【図10】同じく過渡運転を判定するためのフローチャート。
【図11】同じく過渡運転判定フラグの特性図。
【図12】同じく目標NOx排出量の進み処理を演算するためのフローチャート。
【図13】同じくサイクル処理をするためのフローチャート。
【図14】同じくNOx排出量を演算するためのフローチャート。
【図15】同じくEGR弁のリフト量を演算するためのフローチャート。
【図16】同じくP.I.D定数の特性を示すもので、(A)はP.I.D分、(B)はP.I.D分の補正値を示す。
【図17】同じく大気圧とNOx排出特性の関係を示す説明図。
【図18】同じく湿度とNOx排出特性の関係を示す説明図。
【図19】第2の実施形態の制御内容を示すもので、目標NOx排出量を演算するためのフローチャート。
【図20】同じく目標NOx排出量の補正値を演算するためのフローチャート。
【図21】同じく補正値の特性を示す特性図。
【図22】第3の実施形態の制御内容を示すもので、減速運転状態を判定するためのフローチャート。
【図23】同じく減速状態でのも目標EGR弁リフト量を演算するためのフローチャート。
【図24】同じく目標EGR弁のリフト特性を設定した特性図。
【図25】第4の実施形態の制御内容を示すもので、過渡運転状態を判定するためのフローチャート。
【図26】同じくEGR弁の故障を判定するためのフローチャート。
【符号の説明】
51 ディーゼルエンジン
52 吸気通路
53 排気通路
54 排気還流通路
55 エアフローメータ
57 排気還流制御弁
57a ステップモータ
59 排気濃度センサ
70 コントローラ

Claims (5)

  1. エンジン回転数を検出する手段と、エンジン負荷を検出する手段と、エンジンの吸入空気量を検出する手段と、これらに基づいてエンジンに供給する燃料供給量を演算する手段と、排気の一部を吸気中に還流する排気還流通路と、この排気還流量を調整する排気還流制御弁と、を備えた内燃機関の排気還流制御装置において、排気通路を流れる排気中のNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、エンジン回転数、負荷に応じて目標とするNOx排出量を設定する手段と、ディーゼルエンジンの燃料噴射時期の目標制御値と実測制御値との差異に基づいて目標NOx排出量を補正する補正手段と、前記エンジン回転数と吸入空気量とNOx濃度センサの応答遅れを補正して求めたNOx濃度とに基づいて実際のNOx排出量を演算する手段と、実測NOx排出量が前記補正された目標NOx排出量と一致するように排気還流制御弁の開度をフィードバック制御する手段とを備えることを特徴とする内燃機関の排気還流制御装置。
  2. エンジン回転数を検出する手段と、エンジン負荷を検出する手段と、エンジンの吸入空気量を検出する手段と、これらに基づいてエンジンに供給する燃料供給量を演算する手段と、排気の一部を吸気中に還流する排気還流通路と、この排気還流量を調整する排気還流制御弁と、を備えた内燃機関の排気還流制御装置において、排気通路を流れる排気中のNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、エンジン回転数、負荷に応じて目標とするNOx排出量を設定する手段と、ディーゼルエンジンの吸気スワール比率の目標制御値と実測制御値との差異に基づいて目標NOx排出量を補正する補正手段と、前記エンジン回転数と吸入空気量とNOx濃度センサの応答遅れを補正して求めたNOx濃度とに基づいて実際のNOx排出量を演算する手段と、実測NOx排出量が前記補正された目標NOx排出量と一致するように排気還流制御弁の開度をフィードバック制御する手段とを備えることを特徴とする内燃機関の排気還流制御装置。
  3. 前記排気還流制御弁のフィードバック制御手段が、少なくとも減速運転中など排気中の酸素濃度が高いときにフィードバック制御を中止し、機関回転数と負荷に応じた排気還流制御弁の開度にオープン制御する請求項1または2に記載の内燃機関の排気還流制御装置。
  4. 前記補正された目標NOx排出量と実測NOx排出量との差異が予め設定した値以上のときに排気還流制御弁が故障であると判定し、警告する手段を備えた請求項1〜3のいずれか一つに記載の内燃機関の排気還流制御装置。
  5. 前記故障判定警告手段は、過渡運転時には故障判定を中止する請求項4に記載の内燃機関の排気還流制御装置。
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