JP3614595B2 - 現像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料を用いた超硬調な画像形成方法に関するものであり、更に詳しくは超硬調な画像を、現像液中の汚れが少なく、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬を含まない現像液で得ることを可能にする現像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラフィック・ア−ツの分野においては、網点画像による連続階調の画像の再生あるいは線画像の再生を良好ならしめるために、超硬調(特にガンマが10以上)の写真特性を示す画像形成システムが必要である。
高コントラストの写真特性を得る方法としては、古くから所謂「伝染現像効果」を利用したリス現像方式が使用されてきたが、現像液が不安定で使いにくいという欠点を有していた。これに対して、より安定な現像液を用いて得る方法として、米国特許第4,224,401号、同第4,168,977号、同第4,166,742号、同第4,311,781号、同第4,272,606号、同第4,221,857号、同第4,332,878号、同第4,634,661号、同第4,618,574号、同第4,269,922号、同第5,650,746号、同第4,681,836号等に記載されている方法がある。
この画像形成システムは、ヒドラジン誘導体を添加した表面潜像型のハロゲン化銀写真感光材料を、pH11〜12.3の安定なMQ現像液(ハイドロキノンとp−アミノフェノール類を併用した現像液)またはPQ現像液(ハイドロキノンと1−フェニル−3−ピラゾリドン類を併用した現像液)で処理し、γが10を越える超硬調のネガ画像を得るシステムであり、この方法によれば、超硬調で感度の高い写真特性が得られ、現像液中に高濃度の亜硫酸塩を加えることが許容されるので、現像液の空気酸化に対する安定性は、従来のリス現像液に比べて飛躍的に向上する。
【0003】
米国特許4,269,929号(特開昭61−267759号)、米国特許4,737,452号(特開昭60−179734号)、米国特許5,104,769号、同4,798,780号、特開平1−179939号、同1−179940号、米国特許4,998,604号、同4,994,365号,特願平7ー37817号には、pH11.0未満の安定な現像液を用いて超硬調な画像を得る為に、高活性なヒドラジン造核剤、および造核促進剤用いる方法が開示されている。また、塩化銀含有率が高くかつ化学増感を施したハロゲン化銀乳剤が,高い造核活性を有することも開示されている。但し、上記のような高活性ヒドラジン造核剤、高活性造核促進剤、あるいは高活性乳剤を用いると、処理ムラと呼ばれる、一定の網面積を出力したときの濃度ムラが問題になっていた。
【0004】
一方、アスコルビン酸などのエンジオ−ル類が現像主薬として機能することは公知であり、上記の生態学上、あるいは毒物学上の問題のない現像主薬として注目されている。例えば米国特許第2,688,549号、同3,826,654号では、少なくともpH12以上の高いアルカリ性の条件下で画像形成が可能であるとされている。しかし、これらの画像形成方法では高コントラストな画像を得ることは出来ない。
アスコルビン酸を用いた現像系でコントラストを上昇させる試みがいくらか成されている。たとえば、Zwickyは唯一の現像主薬としてアスコルビン酸を用いた場合に、一種のリス効果が発現するとしているが(J. Phot. Sc. 27巻、185 頁(1979 年))、ハイドロキノン現像系の場合に比べるとかなりコントラストの低い系であった。また、米国特許T896,022号、特公昭49−46939号にはビス四級アンモニウム塩とアスコルビン酸を併用する系が開示されているが、現像促進効果はあってもコントラスト上昇効果はほとんど見られない。また、特開平3−249756号、同4−32838号にも、アスコルビン酸と四級塩の併用効果が述べられているが得られた画像のコントラストは十分でない。さらに、特開平5−88306号にアスコルビン酸を唯一の現像主薬として、pHを12.0以上に保つことによって高いコントラストが得られるとしているが、pHが高いために現像液の安定性に問題がある。
また、アスコルビン酸とヒドラジン誘導体を主成分とする特殊な現像液を用いて、感度が高く、ステイン、カブリの低い現像系が出来るという例(米国特許第3,730,727号)もあるが、コントラストの向上については何ら言及されていない。
【0005】
ヒドラジンを含有する感材をアスコルビン酸現像液で処理する事は公知であり、US5236816号、WO93/11456などで開示されているが、いずれもコントラストの点で充分でなく、後者では、現像液中にアミンを含有させる事で硬調化させているが、環境的に好ましくない。毒物学上、好ましいアスコルビン酸を現像主薬を用いて、高コントラストな画像を得る現像処理方法が望まれている。また、従来アスコルビン酸現像液の補助現像主薬として用いられているのは、フェニドン系化合物あるいはメトールであり、上記の特許もどちらかの補助現像主薬を用いている。
【0006】
また、英国特許出願公開第9407599号明細書の特許請求の範囲には、非脱着性増感色素で分光増感されたハロゲン化銀粒子及び分光増感されていないハロゲン化銀粒子を含み、ヒドラジン誘導体を含有する高コントラスト感光材料が記載されている。ヒドラジン誘導体の存在のため、像様露光及び現像によって、分光増感され感光性粒子と分光増感されない非感光性粒子が生成される銀画像に寄与する。しかし、現像処理液が疲労、または低補充量の場合には、ヒドラジン誘導体の存在による非感光性粒子の現像が起こり難くなり、銀画像の濃度が減少するという欠点を有しており、ランニング時の処理安定性の点からは充分なものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ヒドラジン誘導体を用いた超硬調な画像画像形成システムは、上記の通り、ハイドロキノン等のジヒドロキシベンゼン系の化合物を現像主薬として用いた系であり、生態学的見地および毒物学的見地からいくつかの不利な点がある。たとえばハイドロキノンはアレルギ−発現効果のため望ましくない成分であり、この画像形成システムでは、通常、米国特許第4,975,354号記載されているようなアミン類を併用しているが、毒性、揮発性の点で好ましくない。
従って、本発明の目的は、グラフィック・ア−ツ分野で求められる高いコントラストの画像を、生態系や作業環境に対して問題のない現像液を用いて得ることを可能にし、処理ムラの少なく、低補充量で処理を行ってもランニング安定性の高い新規な処理方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、支持体上に、分光増感され同一露光波長に対して異なる感度を持つ少なくとも2種の感光性ハロゲン化銀乳剤を同一層または別の層に含有するハロゲン化銀乳剤層を有し、該ハロゲン化銀乳剤層及び/または他の親水性コロイド層の少なくとも1層中に、ヒドラジン誘導体を少なくとも一種を含有するハロゲン化銀写真感光材料を、実質的にジヒドロキシベンゼン系化合物を含まず、(1)現像主薬としてアスコルビン酸誘導体を少なくとも一つ含み、(2)補助現像主薬として一般式(I)の化合物を少なくとも一つ含み、pHが9.0 〜10.5の範囲である現像液で処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法によって達成された。
一般式(I)
【0009】
【化5】
【0010】
式中、R1 、R2 、R3 、R4 は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または置換基を表す。R5 、R6 は同一でも異なっていてもよく、各々アルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を表す。
【0011】
また、本発明は以下により、好ましく達成された。
1.該ヒドラジン誘導体が一般式(NB)で表されることを特徴とする現像処理方法。
【0012】
【化6】
【0013】
式中Aは連結基を表し、Bは以下の一般式(B−1)で表される基を表し、mは2から6の整数を表す。
一般式(B−1)
【0014】
【化7】
【0015】
式中Ar1 、Ar2 は芳香族基または芳香族ヘテロ環基を表し、L1 、L2 は連結基を表し、nは0または1を表す。R1 は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表し、G1 は−CO−基、−SO2 −基、−SO−基、
【0016】
【化8】
【0017】
、−CO−CO−基、チオカルボニル基、またはイミノメチレン基を表す。R2 はR1 に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R1 と異なっていてもよい。
2.ハロゲン化銀写真感光材料1平方メートルを処理するための現像液補充量が180ml以下であることを特徴とする現像処理方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する現像液について詳細に説明する。
本発明で感光材料を現像処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(例えば、現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。本発明の現像処理には、公知の方法のいずれかを用いることができるし、現像処理液には公知のものを用いることができる。
本発明に使用する現像液に用いる現像主薬はアスコルビン酸誘導体であり、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬を含まない。
【0019】
本発明に好ましく用いられるアスコルビン酸誘導体現像主薬は一般式(II)の化合物である。
【0020】
【化9】
【0021】
一般式(II)において、R1 、R2 はそれぞれヒドロキシ基、アミノ基(置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、ヒドロキシエチル基などを置換基として有するものを含む。)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ基など)、アリールスルホニルアミノ基(ベンゼンスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(メトキシカルボニルアミノ基など)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基など)を表わす。R1 、R2 として好ましい例として、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基を挙げることができる。
【0022】
P、Qはヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、スルホ基、スルホアルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、メルカプト基を表わすか、または、PとQは結合して、R1 、R2 が置換している二つのビニル炭素原子とYが置換している炭素原子と共に、5〜7員環を形成するのに必要な原子群を表わす。環構造の具体例として、−O−、−C(R4)(R5)−、−C(R6)=、−C(=O)−、−N(R7)−、−N=、を組み合わせて構成される。ただしR4 、R5 、R6 、R7 は水素原子、炭素数1〜10の置換してもよいアルキル基(置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基を挙げることができる)、ヒドロキシ基、カルボキシ基を表わす。更にこの5〜7員環に飽和あるいは不飽和の縮合環を形成しても良い。
【0023】
この5〜7員環の例として、ジヒドロフラノン環、ジヒドロピロン環、ピラノン環、シクロペンテノン環、シクロヘキセノン環、ピロリノン環、ピラゾリノン環、ピリドン環、アザシクロヘキセノン環、ウラシル環などが挙げられ、好ましい5〜7員環の例として、ジヒドロフラノン環、シクロペンテノン環、シクロヘキセノン環、ピラゾリノン環、アザシロクヘキセノン環、ウラシル環を挙げることができる。
【0024】
Yは=O、または=N−R3 で構成される基である。ここでR3 は水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基(例えばメチル、エチル)、アシル基(例えばアセチル)、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル)、スルホアルキル基(例えばスルホメチル、スルホエチル)、カルボキシアルキル基(例えばカルボキシメチル、カルボキシエチル)を表わす。
以下に一般式(II)の化合物の具体例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
この中で、好ましいのは、アスコルビン酸あるいはエリソルビン酸(アスコルビン酸のジアステレオマー)である。
【0029】
本発明に使用する現像液に用いられるアスコルビン酸類は、エンジオール型(Endiol) 、エナミノール型(Enaminol)、エンジアミン型(Endiamin)、チオールエノール型(Thiol−Enol)およびエナミンチオール型(Enamin−Thiol)が化合物として一般に知られている。これらの化合物の例は米国特許第2,688,549号、特開昭62ー237443号などに記載されている。これらのアスコルビン酸類の合成法もよく知られており、例えば野村次男と大村浩久共著「レダクトンの化学」(内田老鶴圃新社1969年)に記載されている。本発明に用いられるアスコルビン酸類はリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩の形でも使用できる。
【0030】
一般式(II)のアスコルビン酸類の使用量の一般的な範囲としては、現像液1リットル当り、5×10−3モル〜1モル、特に好ましくは10−2モル〜0.5モルである。
【0031】
アスコルビン酸誘導体現像主薬は通常0.05〜1.0モル/リットルの量で用いられるのが好ましい。特に好ましくは、0.1〜0.5モル/リットルの範囲である。またアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組合せを用いる場合には前者を0.05〜1.0モル/リットル、さらに好ましくは0.1〜0.5モル/リットル、後者を0.2モル/リットル以下、さらに好ましくは0.1モル/リットル以下の量で用いるのが好ましい。
【0032】
本発明に用いる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、0.3モル/リットル以下とするのが望ましい。特に好ましくは、0.1モル/リットル以下である。
【0033】
上記の以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾール又はその誘導体等の現像促進剤;メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤又は黒ポツ(black pepper) 防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらカブリ防止剤の量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0034】
更に本発明の現像液中には各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機スルホン酸、アミノスルホン酸及び有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としては、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
アミノポリカルボン酸としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号、同55−67747号、同57−102624号、及び特公昭53−40900号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
【0036】
有機ホスホン酸としては、米国特許第3,214,454号、同3,794,591号、及び***特許公開2,227,639号等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170号、特開昭57−208554号、同54−61125号、同55−29883号及び同56−97347号等に記載の化合物を挙げることができる。
【0037】
有機ホスホノカルボン酸としては、特開昭52−102726号、同53−42730号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−126241号号、同55−65955号、同55−65956号、及び前述のリサーチ・ディスクロージャー18170号等に記載の化合物を挙げることができる。
これらのキレート剤はアルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10−4〜1×10−1モル、より好ましくは1×10−3〜1×10−2モルである。
【0038】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号記載の化合物を用いることができる。
また、現像ムラ防止剤として特開昭62−212651号記載の化合物、溶解助剤として特開昭61−267759号記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤を含んでもよい。
【0039】
現像処理温度及び時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃、好ましくは25〜45℃、現像時間は5秒〜2分、好ましくは7秒〜1分30秒である。
【0040】
本発明においては、現像開始液及び現像補充液の双方が、「該液1リットルに0.1モルの酢酸を加えたときのpH上昇が0.3以下」の性質を有することが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験する現像開始液ないし現像補充液のpHを10.0に合わせ、ついでこの液1リットルに酢酸を0.1モル添加し、この時の液のpH値を測定し、pH値の低下が0.3以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明では特に、上記試験を行った時のpH値の低下が0.25以下である現像開始液及び現像補充液を用いることが好ましい。
【0041】
現像開始液及び現像補充液に上記の性質を与える方法としては、緩衝剤を使用するのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号に記載のホウ酸、特開昭60−93433号に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩、ホウ酸が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは、0.3モル/リットル以上、さらに好ましくは0.5〜1.5モル/リットルである。
【0042】
本発明においては、現像開始液のpHが9.0 〜10.5であることが好ましく、特に好ましくは9.5 〜10.0の範囲である。現像補充液のpHおよび連続処理時の現像タンク内の現像液のpHもこの範囲である。
pHの設定のために用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)を用いることができる。
【0043】
ハロゲン化銀写真感光材料1平方メートルを処理する際に、現像液の補充液量は350 ミリリットル以下、好ましくは180 〜30ミリリットル、特に100 〜50ミリリットルである。
現像補充液は、現像開始液と同一の組成を有していてもよいし、現像で消費される成分について開始液よりも高い濃度を有していてもよい。本発明においては、現像液pHは感材を処理するに伴い低下していくため、現像補充液のpHを現像開始液のpHより高い値に設定することが好ましい。具体的には、現像補充液のpHを現像開始液のpHより0.05〜1.0 、好ましくは0.3 〜0.7 程度高く設定することが好ましい。
【0044】
処理液の搬送コスト、包装材料コスト、省スペース等の目的で、処理液を濃縮化し、使用時に希釈して用いるようにすることは好ましいことである。
【0045】
一般式(I)で表される化合物を詳細に説明する。
一般式(I)
【0046】
【化13】
【0047】
式中、R1 、R2 、R3 、R4 は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または置換基を表す。R5 、R6 は同一でも異なっていてもよく、各々アルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を表す。
【0048】
一般式(I)で表されるp−アミノフェノール類について詳細に説明する。
式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または置換基を表す。この置換基の例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、ウレイド基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、カルボキシル基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)を挙げることができる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アンモニオ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)またはその他酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくは炭素原子で形成される置換基で置換されていてもよい。
【0049】
更に詳しくR1 、R2 、R3 及びR4 で表される置換基の例を示す。アルキル基としては炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−メトキシエチルなどを挙げることができる。
【0050】
アリール基としては炭素数6〜10のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル、p−メトキシフェニルなどである。アラルキル基としては炭素数7〜10のアラルキル基で、例えば、ベンジルなどである。ヘテロ環基としては炭素原子、窒素原子、酸素原子、あるいは硫黄原子から構成される5〜6員環の飽和または不飽和のヘテロ環基であり、環を構成するヘテロ元素の種類は1つでも複数であってもよく、例えば、2−フリル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、1−ピラゾリル、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−チエニルなどである。ハロゲン原子としては例えば、フッ素原子、塩素原子である。アルコキシ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基で例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2−メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシエトキシ、2,3−ジヒドロキシプロポキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、2−メタンスルホニルエトキシなどを挙げることができる。アリールオキシ基としては炭素数6〜10のアリールオキシ基で例えば、フェノキシ、p−カルボキシフェノキシ、o−スルホフェノキシなどを挙げることができる。アルキルチオ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルキルチオ基で例えば、メチルチオ、エチルチオなどである。アリールチオ基としては炭素数6〜10のアリールチオ基で例えば、フェニルチオ、4−メトキシフェニルチオなどを挙げることができる。アシルオキシ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアシルオキシ基で例えば、アセトキシ、プロパノイルオキシなどを挙げることができる。
【0051】
アルキルアミノ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルキルアミノ基で例えば、メチルアミノ、ジエチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノなどである。カルボンアミド基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のカルボンアミド基で例えば、アセトアミド、プロピオンアミドである。スルホンアミド基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のスルホンアミド基で例えば、メタンスルホンアミドである。スルファモイルアミノ基としては炭素数0〜10、好ましくは炭素数0〜6のスルファモイルアミノ基で例えば、メチルスルファモイルアミノ、ジメチルスルファモイルアミノである。ウレイド基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のウレイド基で例えば、ウレイド、メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイドである。アシル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアシル基で例えばアセチル、ベンゾイルなどである。オキシカルボニル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のオキシカルボニル基で例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルである。カルバモイル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のカルバモイル基で例えば、カルバモイル、N, N−ジメチルカルバモイル、N−エチルカルバモイルである。スルホニル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のスルホニル基で例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニルである。スルフィニル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のスルフィニル基で例えば、メタンスルフィニルである。スルファモイル基としては炭素数0〜10、好ましくは炭素数0〜6のスルファモイル基で例えば、スルファモイル、ジメチルスルファモイルである。
【0052】
R5 、R6 は同一でも異なっていてもよく、各々アルキル基、アリール基、アラルキル基、またはヘテロ環基を表す。その詳細は、R1 、R2 、R3 及びR4 にて説明したものと同義である。但し、R5 、R6 がアルキル基である場合連結して窒素原子と共同で5〜6員環を形成してもよく、この場合例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環を挙げることが出来る。また、R5 、R6 の少なくとも一方がアルキル基でかつR3 、R4 の少なくとも一方がアルキル基またはアルコキシ基である場合、これらが連結して窒素原子及びベンゼン環と共同で縮合複素環を形成してもよく、形成されるベンゼン環と縮合した5〜6員環としては例えばインドール、インドリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ベンゾオキサジンを挙げることが出来る。
一般式(I)で表される化合物は二量体となってビス型構造を形成してもよい。
【0053】
一般式(I)で表される化合物の中でも、以下の一般式(A)で表される化合物が好ましい。
一般式(A)
【0054】
【化14】
【0055】
式中、R11、R22は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または置換基を表す。R55、R66は同一でも異なっていてもよく、各々アルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を表す。
【0056】
一般式(A)中のR11、R22及びR55、R66について以下にその好ましい組み合わせについて述べる。
R11、R22は水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、ウレイド基であり、R55、R66はアルキル基である組み合わせが好ましい。ここで、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基は、他の置換基によって置換されたものも含む。
この組み合わせにおいて、R55、R66は無置換のアルキル基または水溶性基で置換されたアルキル基であることがより好ましい。ここに水溶性基とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アンモニオ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)等である。
【0057】
さらに好ましい化合物としては、一般式(A)において、R11が水素原子であり、R22はアルキル基、アルコキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、ウレイド基であり、R55、R66がアルキル基である化合物である。ここで、アルキル基、アルコキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、ウレイド基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アンモニオ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、もしくはウレイド基によって置換されたものも含む。
【0058】
さらにより好ましい化合物としては、一般式(A)において、R11が水素原子であり、R22は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜3のカルボンアミド基、炭素数1〜3のスルホンアミド基、炭素数1〜3のウレイド基であり、R55、R66が炭素数1〜3の無置換アルキル基である化合物である。ここでR22で表されるアルキル基、アルコキシ基はヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基によって置換されたものも含む。
【0059】
最も好ましい化合物としては、一般式(A)において、R11が水素原子であり、R22は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜3のカルボンアミド基、炭素数1〜3のスルホンアミド基、炭素数1〜3のウレイド基であり、R55、R66がメチル基である化合物である。ここでR22で表されるアルキル基、アルコキシ基はヒドロキシ基、アルコキシ基によって置換されたものも含む。
【0060】
本発明の具体的化合物の例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(A)で示される化合物は、遊離アニリンとしては不安定である場合があるため、一般には無機酸、有機酸との塩として製造、保存し、処理液に添加したあと初めて遊離アミンとなるようにすることが好ましい。一般式(A)の化合物を造塩する無機、有機の酸としては例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸等が挙げられるが、硫酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸の塩とすることが好ましい。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【表8】
【0069】
【表9】
【0070】
【表10】
【0071】
一般式(A)で表される化合物は、例えばPhotographic Science and Engineering, 10, 306(1966) などの一般的合成法に準じて、また、特願平8−70908号に記載の合成例に準じて容易に合成可能である。
【0072】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜かえることができるが、一般には約0.7 〜約3.0 モル/リットルである。本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでも良く、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それにはたとえば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15モル/リットルで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成しても良いし、すべての成分を含む一剤型の構成としても良い。
【0073】
定着処理剤には所望により保恒剤(たとえば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015 モル/リットル以上、好ましくは0.02モル/リットル〜0.3 モル/リットル)、pH緩衝剤(たとえば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1 モル/リットル〜1モル/リットル、好ましくは0.2 モル/リットル〜0.7 モル/リットル)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(たとえばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類、ほう酸などを0.001 モル/リットル〜0.5 モル/リットル、好ましくは0.005 モル/リットル〜0.3 モル/リットル)を含むことができる。
【0074】
このほか、特開昭62−78551に記載の化合物、pH調整剤(たとえば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、たとえば硫酸化物スルフォン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840 記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。定着促進剤としては、特開平6−308681に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754、同58−122535 、同58−122536 記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許4126459 記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739 、特開平1−4739、同1−159645および同3−101728に記載のメルカプト化合物、同4−170539に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0075】
本発明における定着液のpHは、4.0 以上、好ましくは4.5 〜6.0 を有する。定着液は処理により現像液が混入してpHが上昇するが、この場合、硬膜定着液では6.0 以下好ましくは5.7 以下であり、無硬膜定着液においては7.0 以下好ましくは6.7 以下である。
【0076】
定着液の補充量は、感光材料1m2につき400 ミリリットル以下であり、320 ミリリットル以下が好ましく、200 〜50ミリリットルがより好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していても良いし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していても良い。
【0077】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、たとえば富士写真フイルム社製FS8000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0078】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という。)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的には感光材料1m2あたり約17リットル〜約8リットルであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3リットル以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350、同62−287252 等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(たとえばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせても良い。
【0079】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(たとえば2段、3段等)が知られており、水洗補充量は感光材料1m2あたり200 〜50ミリリットルが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0080】
さらに、本発明の方法で水洗工程に水垢防止手段を施しても良い。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、感光材料の処理に応じてなされても良いし、使用状況に関係なく一定間隔で行われても良いし、夜間など処理の行われない期間のみ施しても良い。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充しても良い。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他たとえばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(たとえば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でも良い。
通電する方法としては、特開平3−224685、同3−224687、同4−16280 、同4−18980 などに記載の方法が使用できる。
【0081】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加しても良い。また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456 に記載の色素吸着剤を水洗系に設置しても良い。
【0082】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133 に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(たとえば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD )、化学的酸素要求量(COD )、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0083】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357、同2−132435、同1−102553、特開昭46−44446に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用しても良い。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi,Al 等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0084】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液はたとえば特公平7−83867 、US5439560 等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0085】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許3025779 、同3545971 などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(たとえば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴を設けても良い。
【0086】
本発明の現像処理では、dry to dryで25〜160 秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。本発明の方法によれば、現像、定着および水洗された感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥しても良い。乾燥は約40〜約100 ℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜かえられる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534 、同5−2256、同5−289294に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用しても良い。
【0087】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、たとえば特開昭61−73147に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管する事が好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2 〜3部の割合で希釈して使用される。
【0088】
本発明における現像処理剤及び定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られるが、以下に固形処理剤に関する記述を行う。
本発明における固形剤は、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)が使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆しても良いし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離しても良く、これらを併用しても良い。
【0089】
被覆剤、造粒助剤には公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物が好ましい。この他、特開平5−45805 カラム2の48行〜カラム3の13行目が参考にできる。
【0090】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工しても良いし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装しても良い。これらの方法は、たとえば特開昭61−259921 、同4−16841 、同4−78848 、同5−93991 等に示されている。
【0091】
固形処理剤の嵩密度は、0.5 〜6.0 g/cm3 が好ましく、特に錠剤は1.0 〜5.0 g/cm3 が好ましく、顆粒は0.5 〜1.5 g/cm3 が好ましい。
【0092】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。たとえば、特開昭61−259921 、特開平4−15641 、特開平4−16841 、同4−32837 、同4−78848 、同5−93991 、特開平4−85533 、同4−85534 、同4−85535 、同5−134362、同5−197070、同5−204098、同5−224361、同6−138604、同6−138605、特願平7−89123 等を参考にすることができる。
【0093】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、攪拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0094】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせるために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でも良い。
【0095】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585〜同6−242588、同6−247432、同6−247448、特願平5−30664 、特開平7−5664、同7−5666〜同7−5669に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用しても良く、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0096】
本発明の固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としてはたとえば、攪拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特願平7−235499に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454、同6−19102 、同7−261357に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機で感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行っても良いし、特願平7−235498に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102 、同6−95331 に記載の方法などがある。
【0097】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体について説明する。本発明には、特願平6−47961号に記載の一般式(I)の化合物が用いられる。具体的には、同明細書に記載のI−1〜I−53で表される化合物が用いられる。
【0098】
また下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。
特公平6−77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。特願平7ー191007に記載の、ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30。特願平7ー191007に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55。
【0099】
本発明のヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0100】
本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
本発明の造核剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10−6〜1×10−2モルが好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましく、2×10−5〜5×10−3モルが最も好ましい。
【0101】
本発明で用いられる好ましいヒドラジン誘導体は、一般式(NB)で表される。
一般式(NB)
【0102】
【化15】
【0103】
式中Aは連結基を表し、Bは以下の一般式(B−1)で表される基を表し、mは2から6の整数を表す。
一般式(B−1)
【0104】
【化16】
【0105】
式中Ar1 、Ar2 は芳香族基または芳香族ヘテロ環基を表し、L1 、L2 は連結基を表し、nは0または1を表す。R1 は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表し、G1 は−CO−基、−SO2 −基、−SO−基、
【0106】
【化17】
【0107】
−CO−CO−基、チオカルボニル基、またはイミノメチレン基を表す。R2 はR1 に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R1 と異なっていてもよい。
【0108】
一般式(B−1)において、Ar1 、Ar2 で表わされる芳香族基とは単環もしくは2環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環であり、またAr1 、Ar2 で表わされる芳香族ヘテロ環基とは、単環または2環の、芳香族のヘテロ環基で、他のアリール基と縮環していてもよく、例えばピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。
Ar1 、Ar2 は、好ましくは芳香族基であり、さらに好ましくはフェニレン基である。
【0109】
Ar1 、Ar2 は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばアルキル基(活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基(その塩を含む)、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級アンモニオ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド基、燐酸エステル構造を含む基、アシルウレイド基、セレン原子またはテルル原子を含む基、3級スルホニウム構造または4級スルホニウム構造を持つ基、4級化されたリン原子を含む基などが挙げられる。これらの置換基は、これら置換基でさらに置換されていても良い。
【0110】
好ましい置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基、複素環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシル基(その塩を含む)、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
なおAr1 は好ましくは、無置換のフェニレン基である。
【0111】
一般式(B−1)において、R1 で表わされるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、アリール基としては単環または2環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環を含むものである。
ヘテロ環基としては少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員環の化合物で、例えばイミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基、キノリニオ基、キノリニル基などがある。ピリジル基またはピリジニオ基が特に好ましい。
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基のものが好ましく、アリールオキシ基としては単環のものが好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、及び炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
R1 は置換されていても良く、好ましい置換基としてはAr1 、Ar2 の置換基として例示したものがあてはまる。
【0112】
R1 で表わされる基のうち好ましいものは、G1 が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−カルボキシテトラフルオロエチル基、ピリジニオメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−メタンスルホンアミドプロピル基、フェニルスルホニルメチル基など)、アラルキル基(例えば、o−ヒドロキシベンジル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、o−メタンスルホンアミドフェニル基、o−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基など)などであり、特に水素原子、アルキル基が好ましい。
また、G1 が−SO2 −基の場合には、R1 はアルキル基(例えば、メチル基など)、アラルキル基(例えば、o−ヒドロキシベンジル基など)、アリール基(例えば、フェニル基など)または置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基など)などが好ましい。
G1 が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特にアルキルアミノ基、アリールアミノ基、もしくはヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含むヘテロ環基を含む)が好ましく、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、アニリノ基、o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。
又、R1 はG1 −R1 の部分を残余分子から***させ、−G1 −R1 部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号などに記載のものが挙げられる。
【0113】
一般式(NB)で表される化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号、同4,459,347号、特開昭59−195233号、同59−200231号、同59−201045号、同59−201046号、同59−201047号、同59−201048号、同59−201049号、特開昭61−170733号、同61−270744号、同62−948号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号に記載された基があげられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2ー285344号に記載された基が挙げられる。
【0114】
一般式(B−1)において、L1 、L2 で表される連結基とは、−O−、−S−、−N(RN )−(RN は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。)、−CO−、−C(=S)ー、−SO2 −、−SO−、−P(=O)−、アルキレン基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基である。ここで組み合わせからなる基を具体的に示せば、−CON(RN )−、−SO2 N(RN )−、−COO−、−N(RN )CON(RN )−、−N(RN )CSN(RN )−、−N(RN )SO2 N(RN )−、−SO2 N(RN )CO−、−SO2 N(RN )CON(RN )−、−N(RN )COCON(RN )−、−CON(RN )CO−、−Sーアルキレン基−CONH−、−Oーアルキレン基−CONH−、−O−アルキレン基−NHCO−等の基が挙げられる。なおこれらの基は左右どちらから連結されていてもよい。
一般式(B−1)に於いてL1 、L2 で表される連結基が、3価以上の基を含む時は、L1 は一般式(B−1)に於いて−Ar1 −NHNH−G1 −R1 で表される基を2つ以上連結していてもよく、またL2 は一般式(B−1)に於いて−Ar2 −L1 −Ar1 −NHNH−G1 −R1 で表される基を2つ以上連結していてもよい。
この場合、L1 、L2 に含まれる3価以上の連結基とは具体的には、アミノ基またはアルキレン基である。
一般式(B−1)に於いてL1 は、好ましくは−SO2 NH−、−NHCONH−、−NHC(=S)NH−、−OH、−S−、−N(RN )−、活性メチン基であり、特に好ましくは−SO2 NH−基である。L2 は好ましくは−CON(RN )−、−SO2 N(RN )−、−COO−、−N(RN )CON(RN )−、−N(RN )CSN(RN )ー基である。
【0115】
一般式(NB)に於いてAで表される連結基とは、2から6のBで表される基を連結しうる2価から6価の連結基であり、−O−、−S−、−N(RN ’)−(RN ’ は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。)、−N+ (RN ’)2−(2つのRN ’ は同じでも異なっていてもよく、また結合して環状となっていてもよい)、−CO−、−C(=S)−、−SO2 −、−SO−、−P(=O)−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロ環基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基、或いは単結合である。ここに於いてヘテロ環基とは、ピリジニオ基の様な4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよい。
【0116】
一般式(NB)に於いてAで表される連結基は置換されていてもよく、置換基としては一般式(B−1)のAr1 、Ar2 が有していてもよい置換基の例と同じものが挙げられる。
【0117】
nが0の時、Aで表される連結基には、ベンゼン環、ナフタレン環、飽和もしくは不飽和のヘテロ環、ピリジニオ基の様な4級化された窒素原子を含むヘテロ環、アンモニオ基の様な4級化された窒素原子、あるいはシクロアルキレン基等の少なくとも1つが含まれることが好ましい。
nが1の時、Aで表される連結基には、単結合、ベンゼン環、ナフタレン環、飽和もしくは不飽和のヘテロ環、ピリジニオ基の様な4級化された窒素原子を含むヘテロ環、アンモニオ基の様な4級化された窒素原子、あるいはシクロアルキレン基等の少なくとも1つが含まれることが好ましい。
【0118】
一般式(NB)においてmは2から6の整数を表すが、好ましくは2、3または4であり、特に好ましくは2または3である。
【0119】
一般式(NB)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0120】
【表11】
【0121】
【表12】
【0122】
【表13】
【0123】
【表14】
【0124】
【表15】
【0125】
【表16】
【0126】
【表17】
【0127】
【表18】
【0128】
本発明に用いられる造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。以下にその例を列挙する。特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73)。特開平7−84331号に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物。特開平7−104426号に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物。特願平7−37817号に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物および7−1〜7−38の化合物。
【0129】
本発明の造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0130】
本発明の造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。本発明の造核促進剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10−6〜2×10−2モルが好ましく、1×10−5〜2×10−2モルがより好ましく、2×10−5〜1×10−2モルが最も好ましい。
【0131】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀粒子は分光増感された少なくとも2種類のハロゲン化銀乳剤が用いられる。それらのハロゲン化銀乳剤は同一の露光波長において感光性を有し、かつ、種類の異なるハロゲン化銀乳剤間で感度差を有するハロゲン化銀乳剤からなる。ハロゲン化銀乳剤の分光感度は、同一の増感色素を用いた場合はハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズの差、ハロゲン組成の差、粒子内に含有する重金属の種類、量、化学増感の程度、粒子形状、またはハロゲン化銀粒子への吸着量によって変化させることができる。また、同一の粒子サイズ、ハロゲン組成、粒子形状でも異なる増感色素の使用により変化する。よって、粒子サイズ差、ハロゲン組成差、粒子内に含有する重金属差、化学増感の程度の差、粒子形状、異なる増感色素の使用により、感度差を有することができる。感度差は一定の濃度を与える露光量の逆数の相対値の比で表すと、少なくとも1.5倍以上、50倍以下であることが好ましく、2倍以上、10倍以下が更に好ましい。
【0132】
種類の異なるハロゲン化銀乳剤の併用の割合は、特別の制限はないが、感度の高い乳剤の割合が少ないほうが好ましく、ハロゲン化銀乳剤に含まれる銀量の割合で、1:1〜1:20、さらに好ましくは1:2〜1:10である。
【0133】
種類の異なるハロゲン化銀乳剤は同一の層に含有させても異なる層に含有させても良い。同一の層に異なる種類のハロゲン化銀乳剤を混合して塗布する場合、乳剤の混合法は、種類の異なるハロゲン化銀乳剤を混合後、増感色素を添加してもよく、種類の異なるハロゲン化銀乳剤に増感色素をそれぞれ添加した後に混合してもよい。増感色素を添加後にハロゲン化銀乳剤を混合する場合、用いる増感色素は同一であっても、異なってもよい。
【0134】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤はハロゲン化銀として、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、沃臭化銀のいずれでもよいが、塩化銀含有率30モル%以上が好ましく、50モル%以上が更に好ましい。また、沃化銀の含有率は5モル%以下が好ましく、2モル%以下が更に好ましい。
ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状のいずれでも良いが、立方体もしくは板状が好ましい。
【0135】
本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides 著 Chimie et Physique Photographique (Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin 著 Photographic Emulsion Chemistry (The Focal Press 刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion (The Focal Press 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0136】
すなわち、酸性法、中性法等のいずれでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いても良い。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。より好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10−5〜10−2モルが好ましい。
【0137】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号、特公昭48−36890、同52−16364号に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号、特開昭55−158124号に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く成長させることが好ましい。
本発明の乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒径の標準偏差)/(平均粒径)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下である。
ハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒子サイズは0.5μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm〜0.4μmである。
【0138】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、スキャナー露光の様な高照度露光に適した感光材料及び線画撮影用感光材料は、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには鉄化合物を含有することが好ましい。
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。たとえば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、たとえば、ヘキサクロロロジウム(III) 錯塩、ヘキサブロモロジウム(III) 錯塩、ヘキサアミンロジウム(III) 錯塩、トリザラトロジウム(III) 錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(たとえば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(たとえばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
本発明に用いられるイリジウム化合物としては、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサブロモイリジウム、ヘキサアンミンイリジウムが挙げられる。本発明に用いられるルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウムが挙げられる。本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0139】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号、特開平1−285941号、同2−20852号、同2−20855号等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6 〕−n
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、nは0、1、2、3または4を表す。
この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。
また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】
〔 ReCl6〕−3 〔 ReBr6〕−3 〔 ReCl5(NO)〕−2
〔 Re(NS)Br5〕−2 〔 Re(NO)(CN)5〕−2 〔 Re(O)2(CN)4〕−3
〔 RuCl6〕−3 〔 RuCl4(H2O)2〕−1 〔 RuCl5(NO)〕−2
〔 RuBr5(NS)〕−2 〔 Ru(CN)6〕−4 〔 Ru(CO)3Cl3 〕−2
〔 Ru(CO)Cl5〕−2 〔 Ru(CO)Br5〕−2
〔 OsCl6〕−3 〔 OsCl5(NO)〕−2 〔 Os(NO)(CN)5〕−2
〔 Os(NS)Br5〕−2 〔 Os(CN)6〕−4 〔 Os(O)2(CN)4〕−4
【0141】
これらの化合物の添加量は、ハロゲン化銀乳剤の銀1モル当たり1×10−8〜5×10−6モル、好ましくは5×10−8〜1×10−6モルである。
これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時及び乳剤を塗布する前の各段階において適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0142】
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0143】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、たとえばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−2モルであり、より好ましくは10−5〜10−3モルである。
【0144】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号、同43−13489号、特願平2−13097号、同2−229300号、同3−121798号等に記載の化合物を用いることができる。特に特願平3−121798号中の一般式(VIII) および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0145】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特願平4−146739号に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号、同第3,320,069号、同第3,772,031号、英国特許第235,211号、同第1,121,496号、同第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,958号、特願平2−333819号、同3−53693号、同3−131598号、同4−129787号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同 Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特願平4−146739号中の一般式(II)(III)(IV) で示される化合物が好ましい。
【0146】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10−8〜10−2モル、好ましくは10−7〜10−3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10−7〜10−2モル程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)−293,917に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられる感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。
【0147】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許2,161,331号に記載のExample1からExample14の化合物、***特許936,071号記載の1から7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭54−18726号に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号に記載の色素1から20、特開昭62−284343号に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては特開昭55−45015号に記載の一般式〔I〕で表される(1)から(19)の化合物、特願平7−346193号に記載I−1からI−97の化合物および特開平6−242547号に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物などが有利に選択される。
【0148】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500、同43−4933、特開昭59−19032、同59−192242等に記載されている。
【0149】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号、同58−105141号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0150】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号、同第3,628,960号、同第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号、特開昭58−7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0151】
本発明の増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり、4×10−6〜8×10−3モルで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μm の場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10−7〜3.5×10−6モルの添加量が好ましく、6.5×10−7〜2.0×10−6モルの添加量がより好ましい。
【0152】
本発明の感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば下記箇所に記載されたものを好ましく用いることができる。
【0153】
特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物。具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物。
【0154】
特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大を持たない化合物Q具体的には:同公報に記載の化合物Iー1〜Iー26の化合物。
【0155】
特開平2−103536号公報第17頁右下19行目から同公報18頁右上4行目に記載のかぶり防止剤。
【0156】
特開平2−103536号公報第18頁左下12行目から同頁左下20行目に記載のポリマーラテックス。特願平8−13592号に記載の一般式(I)で表される活性メチレン基を有するポリマーラテックスで、具体的には同明細書に記載の化合物I−1〜I−16。特願平8−13592号に記載のコア/シェル構造を有するポリマーラテックスで、具体的には同明細書に記載の化合物P−1〜P−55。
【0157】
特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目に記載のマット剤、滑り剤、可塑剤。
【0158】
特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目に記載の硬膜剤。
【0159】
特開平2−103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物。
【0160】
特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質。具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物。および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物。
【0161】
特開平2−103536号公報第17頁右下1行目から同頁右上18行目に記載の水溶性染料。
【0162】
特願平7−350753号記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料。具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号記載の(IV−2)〜(IV−7)。
【0163】
特開平2−294638号公報及び特願平3−185773号に記載の固体分散染料。
【0164】
特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤。特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤。特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含弗素界面活性剤。具体的には、同公報に記載の化合物VI−1〜VI−15の化合物。
【0165】
特開平5−274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物。好ましくは同公報に記載の一般式(R−1)、一般式(R−2)、一般式(R−3)で表されるレドックス化合物。具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物。
【0166】
特開平2−18542号公報第3頁右下1行目から20行目に記載のバインダー。
【0167】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
【0168】
50℃、pH4.5に保たれた1液と2液と3液を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を20分間にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15gを加え粒子形成を終了した。
【0169】
その後常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗し、ゼラチン40gを加えた。pH5.7、pAgを7.5に調整し、チオ硫酸ナトリウム1.0mgと塩化金酸4.0mg、トリフェニルホスフィンセレニド1.5mg、ベンゼンチオスルフォン酸ソーダ8mg、ベンゼンチオスルフィン酸ソーダ2mgを加え、55℃で最適感度になるように化学増感した。
さらに安定剤として、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン100mg、防腐剤として、フェノキシエタノールを加え、最終的に塩化銀を60モル%含む、平均粒子径0.32μm の塩沃臭化銀立方体乳剤Aを得た。(粒子サイズの変動係数9%)
【0170】
乳剤Bの調製
乳剤Aの2液と5液の塩化ナトリウムおよび臭化カリウムの含有量とヘキサクロロイリジウム(III) 酸アンモニウム、ヘキサクロロジウム(III) 酸カリウム及びヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの添加量を変更し、2液と3液及び4液と5液を加える時間と1液の温度を調整して、最終的に、平均塩化銀含有率95モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.14μm のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。(粒子サイズの変動係数12%)
【0171】
塗布試料1の作成(感度測定用)
乳剤Aに増感色素(1) 3.8×10−4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10−4モル/モルAg、化合物(1) 3.2×10−4モル/モルAg、化合物(2) 8.0×10−4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10−2モル/モルAg、クエン酸3.0×10−3モル/モルAg、化合物(3) (ヒドラジン誘導体)(この化合物の添加方法は下記のように添加し、それ以外に化合物(15),(16) も使用し、量は表21に示したように適宜変更した。)を4.5×10−4モル/モルAg、化合物(4) を6.0×10−4モル/モルAg、さらにポリエチルアクリレートラテックスおよび0.01μm のコロイダルシリカをゼラチンバインダー比それぞれ30%に相当する量、水性ラテックス(5) を100mg/m2、ポリエチルアクリレートの分散物を150mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトアセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体(重量比88:5:7)を150mg/m2、コアシェル型ラテックス(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(重量比37/63)、シェル:スチレン/2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(重量比84/16)、コア/シェル比=50/50)を150mg/m2、ゼラチンに対して4wt%の化合物(6) を添加し、溶液のpHはクエン酸を用いて5.5に調製した。それらを、塩化ビニリデンを含む防湿層を有する下塗りを施したポリエステル支持体上に、銀塗布量2.5g/m2、ゼラチン塗布量1.3g/m2になるように塗布した。
【0172】
下記の方法でヒドラジン誘導体の乳化分散物を調整して添加した。表21に示すヒドラジン誘導体1.0g、ポリ(N−tert−ブチルアクリルアミド)6.0g、及び酢酸エチル48ml、水2mlよりなる溶液を60℃に加温、溶解した後、ゼラチン12gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7gを含む水溶液120mlに加え、高速攪拌機(ホモジナイザー、日本精機製作所製)にて微細分散し、平均粒径0.3μmの微粒子乳化分散物を得た。さらに、防腐剤としてプロキセルをゼラチンに対して2000ppm添加し、最後にアスコルビン酸を加えpHを5.0に調整し、塗布液に添加した。
【0173】
【0174】
なお、本発明で使用したサンプルの支持体は下記組成のバック層および導電層を有する。
【0175】
【化18】
【0176】
【化19】
【0177】
塗布試料2の作成(感度測定用)
塗布試料1の作成時に増感色素(1) を添加する替わりに、増感色素(2) を4.0×10−4モル/モルAg、増感色素(3) を4.0×10−4モル/モルAg添加した以外は塗布試料1と同様に塗布試料2を作成した。
【0178】
塗布試料3の作成(感度測定用)
塗布試料1の作成時に増感色素(1) を添加する替わりに、増感色素(4) を3.5×10−4モル/モルAg添加した以外は塗布試料1と同様に塗布試料2を作成した。
【0179】
塗布試料4の作成(感度測定用)
塗布試料1の作成時に乳剤Aの替わりに乳剤Bを用いた以外は塗布試料1と同様に塗布試料4を作成した。
【0180】
塗布試料6の作成(実験用)
塗布試料1の作成時に乳剤Aと乳剤Bを1:5の割合で混合後に増感色素(1) を加えて分光増感を施した以外は塗布試料1と同様に塗布試料6を作成した。
【0181】
塗布試料7の作成(実験用)
塗布試料6の作成時に乳剤混合後に増感色素(1) を添加する替わりに、乳剤Aに増感色素(2) を4.0×10−4モル/モルAg、増感色素(3) を4.0×10−4モル/モルAg添加し、乳剤Bに増感色素(1) を3.8×10−4モル/モルAg加えて分光増感を施し、増感色素添加後の乳剤Aと乳剤Bを1:5の割合で混合した以外は塗布試料1と同様に塗布試料7を作成した。
【0182】
塗布試料8の作成(実験用)
塗布試料7の作成時に乳剤Aに増感色素(2) 、(3) を添加する替わりに増感色素(4) を3.5×10−4モル/モルAg添加し、乳剤Bに増感色素(1) を添加しない以外は塗布試料7と同様に塗布試料8を作成した。
【0183】
【化20】
【0184】
【化21】
【0185】
用いた現像液の組成は表19に示した。現像液の補充量は表21に記載した。
【0186】
【表19】
【0187】
評価等の実験方法は以下のように行った。
(写真性評価)
得られた試料を660nmにピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウェッジを通して発光時間10−6sec のキセノンフラッシュ光で露光した。表19に示した現像液を用いて富士写真フイルム(株)製AP−560自動現像機で35℃、15秒間現像をした後、定着、水洗、乾燥処理を行った。
感度は濃度1.5を与える露光量の逆数をもって表し、塗布試料1を現像液2で現像したときの感度を100とした場合の各試料の感度の相対値を算出しS1.5 とした。値が大きいほど高感度である。
画像のコントラストを示す指標(ガンマ)として、特性曲線の fog+濃度0.1の点から fog+濃度3.0の点を直線で結び、この直線の傾きをガンマ値として表した。すなわち、ガンマ=(3.0−0.1)/(log(濃度3.0を与える露光量)− log(濃度0.1を与える露光量)〕であり、ガンマ値が大きいほど硬調な写真特性であることを示している。
【0188】
(実技Dm変化)
また、上記塗布試料を大日本スクリーン製造(株)製のLED 光源イメージセッタージェナセットDTR−3075を使用して光量値を変えながらベタ露光し、表19の現像液を用いて富士写真フイルム(株)製AP−560自動現像機にて、35℃で15秒間現像した後、定着、水洗、乾燥処理を行い、新液でベタ部の濃度が4.8となる光量値で露光し、ランニング後の現像液で現像したときのベタ濃度の低下を△Dmax とした。
【0189】
(処理ムラ)
大日本スクリーン(株)製のLED 光源イメージセッタージェナセットDTR−3075を使用して175 線にて96%の平網を試料に出力し、上記条件で現像処理を行った。処理ムラは、(良)5〜1(悪)の5点法にて官能評価を行った。「3」以下は実用上問題があるか不可レベルである。
【0190】
(ランニングテスト)
富士写真フイルム社製自動現像機AP−560を用いてランニングテストを行った。ランニング条件は、1日にハーフ露光した大全紙サイズ(50.8×61.0cm)の試料を16枚処理し、6日稼働して1日休むというランニングを1ラウンドとして、6ラウンド行った。ランニング時の定着液の補充量は、現像液の補充量に対して1.5倍補充して行った。
【0191】
処理条件は、現像時間=15秒、現像温度=35℃、定着温度=34℃で行い、母液は、表19の現像液をそのまま用い、補充液のpHは表21に記載のように調整して行った。ランニング疲労液での感度変化は±5に入っていることが実用上必要である。
ランニング後の点質は、大日本スクリーン(株)製のLED 光源イメージセッタージェナセットDTR−3075を使用して175 線にて50%の平網を塗布感材に出力し、前記の処理条件で現像処理を行い、200倍のルーペで網点のキレを目視評価した。評価結果を、(良)5〜1(悪)の5点法で表に示した。実用的には3点以上が必要である。
【0192】
定着液は、下記処方の物を用いた。
(定着液処方)
チオ硫酸アンモニウム 359.1g
エチレンジアミン四酢酸 2Na 2水塩 0.09g
チオ硫酸ナトリウム 5水塩 32.8g
亜硫酸ナトリウム 64.8g
NaOH 37.2g
氷酢酸 87.3g
酒石酸 8.76g
グルコン酸ナトリウム 6.6g
硫酸アルミニウム 25.3g
水を加えて、3リットルとし硫酸または水酸化ナトリウムでpH=4.85に合わせる。
【0193】
評価結果を表20、21に示した。感度測定用のサンプルは表19中の現像液2で35℃15秒現像で処理した。
【0194】
【表20】
【0195】
【表21】
【0196】
<結果>
表20に示すように、本発明に用いられる乳剤の660nmにおける感度差は、2倍以上あることがわかる。これらの乳剤を用いた本発明の組み合わせた系のみ表21に示すように処理ムラが良い。さらに現像液が疲労した場合でも、硬調でベタ露光濃度の低下が少なく、点質が良く、本発明の組み合わせでのみ処理安定性が優れている。
【0197】
実施例2
実施例1で用いた現像液の代わりに固形現像剤を用いた。現像液の組成は表19と同様のものを用いたが、キット形態が固形現像剤である現像液を用いた。
固形現像剤の作成方法を以下に示す。炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムは市販工業製品をそのまま用いた。ジエチレントリアミン5酢酸、N−メチル−p−アミノフェノール、一般式(I)の化合物、臭化カリウム、5−メチルベンゾトリアゾール、1−フェニル−5− メルカプトテトラゾールはブレンドし、ブリケッティングマシンを用いて加圧圧縮した後、破砕して用いた。これらを現像液として10リットル分の固形物を、富士写真フイルム社製現像剤ND−1Sの容器に充填し、取り出し口をアルミシールで封印して固形現像剤を作成した。定着剤には富士写真フイルム社製NF−1S(固形定着剤)を用いた。
【0198】
上記の固形現像剤、定着剤の溶解には富士写真フイルム社製FG−MSを用い、実施例1と同様の実験を行い、実施例1と同様の結果が得られた。
Claims (3)
- 支持体上に、分光増感され同一露光波長に対して異なる感度を持つ少なくとも2種の感光性ハロゲン化銀乳剤を同一層または別の層に含有するハロゲン化銀乳剤層を有し、該ハロゲン化銀乳剤層及び/または他の親水性コロイド層の少なくとも1層中に、ヒドラジン誘導体を少なくとも一種含有するハロゲン化銀写真感光材料を、実質的にジヒドロキシベンゼン系化合物を含まず、(1)現像主薬としてアスコルビン酸誘導体を少なくとも一つ含み、(2)補助現像主薬として一般式(I)の化合物を少なくとも一つ含み、pHが9.0 〜10.5の範囲である現像液で処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法。
一般式(I)
- 該ヒドラジン誘導体が一般式(NB)で表されることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法。
一般式(NB)
一般式(B−1)
- ハロゲン化銀写真感光材料1平方メートルを処理するための現像液補充量が180ml以下であることを特徴とする請求項1、2記載のいずれかの現像処理方法。
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