JP3611683B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、腰部保持部材を具備する展開型の使い捨ておむつに関し、更に詳しくは、装着者の誤操作などで着用者の肌を傷つけたりするおそれが無く、更には、装着操作性及び装着時の形態保持性に優れた使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明の解決しようとする課題】
従来より、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シート間に介在された液保持性の吸収体とを具備してなり、腹側部又は背側部の少なくとも何れか一方における左右両側に一対の腰部保持部材が配されている展開型の使い捨ておむつは、広く用いられている。
【0003】
このような使い捨ておむつの具体例としては、図4に示す使い捨ておむつ等が挙げられる。
図4に示す従来の使い捨ておむつ101は、液透過性のトップシート102と、液不透過性のバックシート103と、両シート間に介在された液保持性の吸収体104とを具備してなり、背側部B’の左右両側に一対の腰部保持部材110、110’が配されている。また、該腰部保持部材110、110’は、その一方110の先端部に且つトップシート102側に該腰部保持部材110、110’止着用の機械的ファスナーの凸部材からなる止着部材111が配されており、また、腹側部A’の左右両側縁部におけるトップシート102側に機械的ファスナーの凸部材からなるおむつ止着用のおむつ止着部材120が配されている。
そして、このような使い捨ておむつは、一方の上記腰部保持部材110の先端部に設けられている上記止着部材111を他方の腰部保持部材110’のバックシート側に当接させて腰部保持部材110、110’の止着を行い、更に止着された腰部保持部材110、110’のバックシート側に、上記おむつ止着部材120を当接させておむつの止着を行うことにより、おむつの装着を行っていた。
【0004】
しかし、このような従来の使い捨ておむつにおいては、上記腰部保持部材110、110’を固定する際に、上記止着部材111がトップシート102側に配されているため装着者の誤操作によって着用者の肌に上記止着部材111を当ててしまい、着用者の肌を傷つける場合があるという問題があった。
また、上記止着部材111は上記腰部保持部材110、110’の何れか一方のトップシート側のみに配されていたため(両方に設けると止着されない止着部材により着用者の肌を傷つける場合がある)、装着操作性に劣るという問題もあった。また、おむつ止着部材120が上記おむつの両側縁にしか設けられていないため、上記腰部保持部材110、110’上、つまり着用者の体の中心部では固定がされておらず、装着時の形態保持性が不十分であるという問題もあった。尚、本明細書において「装着者」とは、装着操作を行う者、例えば、母親、介護者を意味し、「着用者」とは、おむつを着用し使用する者、例えば、乳幼児、老人等を意味する。また、「装着者」と「着用者」とが同一人である場合もある。
【0005】
従って、本発明の目的は、装着者の誤操作などによって着用者の肌を傷つけるおそれがなく、装着操作性及び装着時の形態保持性に優れた使い捨ておむつを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シート間に介在された液保持性の吸収体とを具備してなり、腹側部又は背側部の何れか一方における左右両側に一対の腰部保持部材が配されている展開型の使い捨ておむつにおいて、少なくとも一方の上記腰部保持部材は、そのバックシート側に、面ファスナーの凸部材からなり該腰部保持部材を相互に再止着可能に止着する止着部を具備し、他方の上記腰部保持部材のトップシート側は、上記凸部材に係合可能な不織布からなり、両方の上記腰部保持部材のトップシート側には、面ファスナーの凸部材からなる止着部が設けられていないことを特徴とする使い捨ておむつを提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記止着部は、一対の上記腰部保持部材の両方に配されており、且つ該腰部保持部材の設けられている側と対向する側のトップシート側に再止着可能に止着されるようになされている上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、上記止着部は、上記腰部保持部材の長手方向ほぼ全域に亘って設けられている上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、上記腰部保持部材の設けられている側と対向する側の左右両側縁には、該腰部保持部材又はバックシートに再止着可能に止着される止着補助部材が設けられている上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、一対の上記腰部保持部材は、その少なくとも一方が伸縮性を有する上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、腹側のウエスト部又は背側のウエスト部は、その少なくとも一部が伸縮性を有する上記使い捨ておむつを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の使い捨ておむつの一形態について図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明の使い捨ておむつの一形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示す形態の使い捨ておむつを装着する途中の態様を示す斜視図であり、図3は、組あがった使い捨ておむつを示す斜視図である。
【0010】
図1に示す形態の使い捨ておむつ1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、両シート間に介在された液保持性の吸収体4とを具備してなり、背側部Bの左右両側縁部B1、B2に一対の腰部保持部材10が配されている展開型の使い捨ておむつである。
【0011】
更に詳細に説明すると、本形態の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、吸収体4が股下領域が縊れた砂時計状に湾曲形成され、トップシート2及びバックシート3も吸収体4の形状に即して股下領域が上述の如く湾曲形成されており、該吸収体4は、トップシート2及びバックシート3により挟持・固定されている。
また、上記表面シート2上には、防漏シート8aをおむつの外方側に固定して形成された、おむつの内方側に自由端8bを有する立体ガード8が配されている。
また、上記吸収体4の周縁部におけるウエスト部5とレッグ部6とには、おむつを着用した際に、着用者にウエスト部5とレッグ部6とをフィットさせるためのウエスト部弾性伸縮部材7a,レッグ部弾性伸縮部材7bがトップシート2とバックシート3とにより挟持・固定されて設けられている。即ち、腹側及び背側のウエスト部5は、その一部(中央部分)が伸縮性を有するようになされている。
また、上記自由端8bには、立体ガード弾性伸縮部材7cが設けられている。
このような構成は、従来の展開型の使い捨ておむつと同じである。
【0012】
次に、上記使い捨ておむつ1を構成する各部材の形成材料について説明する。上記トップシート2としては、***物を吸収体へ透過させる液透過性シートで肌着に近い感触を有したものが好ましく、このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましく挙げられる。また、トップシート2の周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で洗浄する方法により、撥水処理を施し、周縁における尿等の滲みによる漏れを防止することができる。
本形態においては、後述するように不織布が用いられている。
【0013】
また、上記バックシート3としては、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸した液不透過性かつ蒸気透過性のフィルムシート、不織布などの繊維集合体、又はこれらの積層シート等が用いられるが、本形態においては、後述する凸部材と係合可能な不織布又は表面にこのような不織布が位置する積層シートが用いられている。
【0014】
また、上記吸収体4としては、解繊パルプを主材とした高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましい。該高分子吸水ポリマーは、上記吸収体の上層、中層、下層のいずれに存在させてもよく、また、パルプと混合したものであってもよい。また、該高分子吸水ポリマーは自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子状のものが好ましく、このような高分子吸水ポリマーとしては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体などが好ましく挙げられる。
【0015】
上記立体ガード8を形成する上記防漏シート8aとしては、通常公知のものを特に制限なく用いることができるが、疎水性不織布や撥水処理された不織布などが好ましく用いられる。
【0016】
また、上記ウエスト部弾性伸縮部材7a,上記レッグ部弾性伸縮部材7b及び上記立体ガード弾性伸縮部材7cとしては、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプの弾性材あるいはフィルム状の発泡ポリウレタン等が好ましく挙げられ、50%伸長時の応力が40〜150グラムのものが好ましい。
【0017】
而して、本形態の使い捨ておむつ1においては、図1に示すように、左右両方の上記腰部保持部材10が、そのバックシート3側に、該腰部保持部材10を相互に再止着可能に止着する止着部11を具備する。
【0018】
更に詳述すると、上記止着部11は、細帯状であり、各上記腰部保持部材10においてその巾方向に所定間隔をあけて3本づつ配されている。そして、細帯状の上記止着部11は、その長手方向が、上記腰部保持部材10の長手方向に沿うように、該腰部保持部材10の長手方向ほぼ全域に亘って配されている。
ここで、「長手方向ほぼ全域」とは、長手方向の一部に配されていない箇所があってもよいことを意味し、本形態においては、先端部と基端部とに配されていない部分を有する。
【0019】
ここで、上記止着部11は、面ファスナーの凸部材により形成されている。該凸部材としては、「マジックテープ」(登録商標、クラレ社製)、「クイックロン」(登録商標、YKK社製)、「マジクロス」(登録商標、カネボウベルタッチ社製)等、鍵状やキノコ形状などの凸状の係合部材が多数付設されてなるシート等の公知の(市販の)面ファスナーの凸部材を特に制限なく用いることができる。
【0020】
また、上記止着部11は、一対の上記腰部保持部材10の両方に、同様に、配されており、且つ該腰部保持部材10の設けられている側(即ち、背側部B)と対向する側(即ち腹側部A)のトップシート2側に再止着可能に止着されるようになされている。
即ち、本形態においては、上記トップシート2及び上記立体ガード8を形成する上記防漏シート8aは、それぞれ、上述した好ましい形成材料のうち、上記止着部11を形成する上記凸部材と係合可能な材料からなっている。
このような、上記凸部材と係合可能な材料としては、通常、トップシートや立体ガード形成材料として用いられ且つ上記凸部材に係合させる凹部材として用いられる、不織布が特に制限無く用いられる。
【0021】
また、一対の上記腰部保持部材10は、両方とも伸縮性の部材により形成されており、伸縮性を有する。このため、上記止着部11が設けられていない部分(先端部及び基端部、特に基端部)において、該腰部保持部材10の長手方向(おむつの周方向)に伸縮可能になされている。
この際用いられる上記の伸縮性の部材としては、上記止着部11を形成する上記凸部材と係合可能であって伸縮性を有する公知の不織布、又はフィルムタイプの弾性材や糸ゴム、平ゴム等を不織布で挟み込んだもの等が特に制限なく用いられる。
【0022】
また、上記使い捨ておむつ1においては、上記腰部保持部材10の設けられている側(即ち、背側部B)と対向する側(即ち、腹側部A)の左右両側縁には、該腰部保持部材10又はバックシート3に再止着可能に止着される止着補助部材20が設けられている。該止着補助部材20が設けられていることにより、該止着補助部材20が上記腰部保持部材10又はバックシート3(本形態においては該バックシート3は不織布からなる)と係合して、おむつの止着性をより向上させることができる。
上記止着補助部材20は、通常の不織布からなる基材テープ21と該基材テープ21のほぼ中央部分に設けられた上記凸部材からなる補助止着部22とからなり、該補助止着部22が設けられていることにより、先端部に摘み部23が形成されている。また、上記側縁には、おむつの保存時に該補助止着部22を当接させておく保護部24が設けられている。
上記保護部24の形成材料としては、不織布等の繊維シートの他、トリコット編物生地、たとえばフロント糸50デニール、18フィラメントバック糸20デニール、1フィラメントの構成糸を用いて、フロント3針飛びで編んだ26ゲージ/インチの編物等が用いられる。
【0023】
次に、図2及び3を参照して本形態の使い捨ておむつの使用の態様について説明する。
先ず、本形態の使い捨ておむつ1を使用するには、図2に示すように、左右の腰部保持部材10を重ね合わせて、一方の腰部保持部材10の止着部11と他方の腰部保持部材10のトップシート2側とを係合させて腰部保持部材10を止着する。
次いで、図2及び3に示すように上面に位置する腰部保持部材10の露出した止着部11に、腹側部Aのおむつの内面(トップシート2及び防漏シート8a)を当接させて、該止着部11と該内面とを係合させる。そして、更に、上記止着補助部材20を上記腰部保持部材10又はバックシート3に当接させて係合させることにより、おむつを止着する。
尚、このような使用法は、着用者が寝た状態でも又立った状態でも可能である。
【0024】
本形態の使い捨ておむつは、上記止着部11がバックシート3側に設けられているため、装着時の誤操作により止着部11を誤って着用者の肌に当ててしまい、着用者の肌を傷つけることがなく、装着操作も簡便で装着操作性にも優れる。
また、上記止着部11がバックシート3側に設けられているため、両方の腰部保持部材10に上記止着部11を設けることができ、このため左右何れからでも装着操作が可能であり、装着順序を気にすることなく装着操作を行うことができ更に操作性に優れる。
また、上面に位置する腰部保持部材10の露出した止着部11に腹側部Aのおむつ内面を当接させて装着するため、腹側部Aを着用者の体の中央部においても固定することができ、装着性(装着時の形態保持性)に優れる。
さらに、上記止着補助部材20を有するので、おむつが腹側部Aの側縁部からめくれてしまうことが無く、より装着性(装着時の形態保持性)に優れる。
【0025】
また、本形態の使い捨ておむつ1は、常法に従って上記トップシート2、上記吸収体4及び上記バックシート3を重ね合わせ、更に上記防漏シート8aを所定位置に配して上記立体ガード8を形成した後、上記腰部保持部材10及び上記止着補助部材20を所定位置に配することにより、容易に製造することができる。
【0026】
尚、本発明の使い捨ておむつは、上述した形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上記止着部11は、何れか一方の腰部保持部材10に設けてもよい。
また、上記腰部保持部材10は、背側部Bではなく腹側部Aに設けることもできる。
また、上記止着部11は、3本設ける必要はなく、設ける数や大きさ等は任意である。
また、上記腰部保持部材10は、その一部に伸縮部を設けることにより、伸縮性を賦与する形態とすることもできる。従って、この場合には伸縮性の部材を用いる必要はない。
また、上記凸部材ではなく、通常のホットメルト接着剤などを用いて上記止着部11を形成してもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、装着者の誤操作などによって着用者の肌を傷つけるおそれがなく、装着操作性及び装着時の形態保持性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの一形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す形態の使い捨ておむつを装着する途中の態様を示す斜視図である。
【図3】図3は、組あがった使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図4】図4は、従来の使い捨ておむつを示す平面図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 ウエスト部
6 レッグ部
7a ウエスト部弾性伸縮部材
7b レッグ部弾性伸縮部材
7c 立体ガード弾性伸縮部材
8 立体ガード
8a 防漏シート
8b 自由端
10 腰部保持部材
11 止着部
20 止着補助部材
21 基材テープ
22 補助止着部
23 摘み部
24 保護部
A 腹側部
B 背側部
Claims (6)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シート間に介在された液保持性の吸収体とを具備してなり、腹側部又は背側部の何れか一方における左右両側に一対の腰部保持部材が配されている展開型の使い捨ておむつにおいて、
少なくとも一方の上記腰部保持部材は、そのバックシート側に、面ファスナーの凸部材からなり該腰部保持部材を相互に再止着可能に止着する止着部を具備し、他方の上記腰部保持部材のトップシート側は、上記凸部材に係合可能な不織布からなり、
両方の上記腰部保持部材のトップシート側には、面ファスナーの凸部材からなる止着部が設けられていないことを特徴とする使い捨ておむつ。 - 上記止着部は、一対の上記腰部保持部材の両方に配されており、且つ該腰部保持部材の設けられている側と対向する側のトップシート側に再止着可能に止着されるようになされていることを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 上記止着部は、上記腰部保持部材の長手方向ほぼ全域に亘って設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
- 上記腰部保持部材の設けられている側と対向する側の左右両側縁には、該腰部保持部材又はバックシートに再止着可能に止着される止着補助部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
- 一対の上記腰部保持部材は、その少なくとも一方が伸縮性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
- 腹側のウエスト部又は背側のウエスト部は、その少なくとも一部が伸縮性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
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