JP3611351B2 - 立体図形データの記録方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、地理情報処理(GIS : Geographic Information System)や、計算機支援設計(CAD : Computer Aided Design)のような図形処理システムにおける立体図形データの記録方法に関し、特に立体形状を包含する図形データの記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙地図の電子化に基づく地理情報システムが開発され、2次元地図データの検索と属性検索を中心に利用されていた。しかし、都市の複雑化に伴い、地下街、立体交差や地下鉄、上下水道配管、電気・ガス配管などに見られるような地上・地下まで及ぶ都市の階層化が進んできており、地理情報処理システムにおいてより高度な管理/利用を行なうためには、より表現能力の高い3次元でのデータ管理が必要となってきている。
【0003】
図15に、従来の2次元図形表現方式を示す。閉領域1501は、以下に示す階層構造より構成される。
【0004】
(1)閉領域1501は、点A、点B、点C、点Dによって定義される。
(2)点Aの座標は(XA ,YA )である。(他の点B 、C 、D の座標も同様に定義される)
【0005】
実際のデータ構造は、図形の属性情報や構成点数を示すヘッダ情報と、各構成点の(x,y)座標で構成されている(テーブル1503)。ヘッダ情報内の属性情報には、例えばその折れ線の色や種類(実線、破線等)、太さなどが格納される。また、図形が1501のような閉領域であるか、1502のような開いた折れ線であるかの判定をヘッダ情報内の制御フラグによって行うことにより、両者を区別する事が可能となる。
【0006】
3次元図形表現方式は、CAD の分野を中心に開発されてきた。図16に、CADの典型的な3次元図形表現方式を示す。立体1601は、以下に示す階層構造より構成される。
【0007】
(1)立体1601は、面ABCD、面ABFE、面BCGF、面CDHG、面DAEH、面EFGHから構成される。
(2)面ABCDは、点A、点B、点C、点Dによって定義される。
(他の面ABFE、面BCGF、面CDHG、面DAEH、面EFGHも同様に定義される)
(3)点Aの座標は、(XA,YA,ZA)である。
(他の点B、点C、点D、点E、点F、点G、点H、も同様に定義される)
【0008】
すなわち従来のCADの方式では、「立体は複数の面から構成され、各面は複数の点から構成される」といった階層構造で立体を管理している。実際のデータ構造は、図形の構成を示すヘッダ情報と、各面を構成する各構成点の(x,y,z)座標で構成されている(テーブル1602)。
【0009】
一方、特開平4−149681号には、立体図形を(x,y)平面に底面を持つ多角柱のみに限定することでデータ量の節約を図った3次元データの簡易作成方式が開示されている。図17に、この方式による3次元図形表現方式を示す。立体1701は、以下に示す階層構造より構成される。
【0010】
(1)立体1701は、面ABCDを底面に持つ多角柱である。
(2)面ABCDは、点A、点B、点C、点Dによって定義される。
(3)点A の座標は、(XA ,YA )である。(他の点B 、点C 、点D も同様に定義される)
(4)立体1701の高さは、hである。
【0011】
すなわち、この方式では、多角柱は底面図形の形状と高さがあれば表現できる、という性質を利用して3次元の立体を管理している。実際のデータ構造は、図形の属性情報を示すヘッダ情報と、多角柱の高さh、底面図形を構成する各構成点の(x,y)座標、によって構成されている(テーブル1702)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図16で説明したPHIGS(the Programmers Hierarchical Interactive Graphics standard)の方式では、全ての3次元図形を汎用的に表現できる反面、同じ構成点の座標がその点を含む面のデータ内に何度も使われるなど冗長な部分もあり、3次元図形を表現するために多くのデータ量を取ることがあるという問題があった。一方、特開平4−149681号の多角柱による3次元図形表現方式(図17)は、データ量の節約は果たせるが、多角柱のみしか表現できず、汎用的な立体図形表現はできなかった。
【0013】
地理情報処理システムでは広域に渡って大量の図形データを取り扱うため、その図形データ格納領域の容量低減が最も重要な課題となる。しかし一方、地理情報として地物の詳細な表現が必要な場合もあり、同じデータ構造でその双方の要求を満たす必要がある。また地理情報の利用面から考えると、地図の表現、すなわち従来の平面地図での表示も必要となる。立体図形データを平面に射影して、平面図形データとして容易に扱える事が必要とされている。
【0014】
本発明は、上述の従来例における問題点に鑑み、データ容量が小さく、かつ必要な詳細さを実現することができ、さらに平面図形としての利用も立体図形と同様に容易に行える立体図形データの記録方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
立体図形データを取り扱う際、構成点の座標列(x,y) によって構成される従来の平面図形データ管理方法(例えば、図15)をベースとして、各図形一つ一つに対して以下に示す3種類のデータ構造の拡張を単独に、あるいは複数同時に適用出来るようにする。具体的には、立体図形データをヘッダ情報と構成点情報とから構成し、ヘッダ情報には図形全体に共通な高さ値・形状・色などの属性情報を格納し、構成点情報には各構成点の位置座標を表す(x,y)座標列を格納するとともに、上記ヘッダ情報内に制御フラグを設け、該制御フラグがオンのときは、すべての構成点に対して施すべき所定の拡張に関する拡張情報を格納する領域を、上記ヘッダ情報または上記構成点情報内に付加するようにする。データ構造の拡張は、例えば以下の3種類である。
【0016】
(1)Σ(x,y,z)拡張:構成点の座標を、(x,y)ではなく、(x,y,z)で管理する。
(2)zΣ(x,y)拡張:各図形のヘッダ情報に1つZ座標を付加する。このZ座標はその図形の存在する標高を示す。
(3)(f,d)拡張:形状を表す意味情報fとパラメータdを付加する。
【0017】
これらの拡張は図形の構成点のすべてに対して施すようにしてもよいし、各構成点一つ一つに対して拡張するようにしてもよい。そして、これらの拡張を適用した図形データを混在して管理するようにする。
【0018】
【作用】
本発明によれば、平面図形である点、線、面のそれぞれに対し、Σ(x,y,z)拡張を適用することにより、空間中の点、立体折線、斜平面などが表現できる(例えば、後述する実施例の図3参照)。また同じ点、折線、平面のそれぞれに対し、zΣ(x,y)拡張を適用することにより、共通の高さを持った点、折線、平面などが表現できる。またこれらの図形に対し、さらに(f,d)拡張を適用することにより、多角柱、多角錐、円、球、帯状、チューブ状などの様々な構造の図形が表現できる(例えば、後述する実施例の図1参照)。
【0019】
このデータ構造の混在管理により、データ容量が小さく、かつ必要な詳細さを実現する立体図形の記録方法が実現できる。また、平面図形を拡張の基本形態としているため、データ構造が従来の平面図形のものと類似しており、平面図形としての利用が立体図形と同様に容易に行える。
【0020】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0021】
図2は、本発明の立体図形データの記録方法を用いた一実施例である立体図形管理システムを実現するための構成図である。
【0022】
キーボード201、およびマウス202は、図形の検索・編集などを行うときの図形の指示等に用いられるインタフェース用の機器である。ディスプレイ203は図形の表示等に用いられる。プリンタ204は図形の印刷出力に用いられる。オートディジタイザ205は紙などに描かれた地図などの図形を読み込んでディジタル化するのに用いられる。ディジタル化した図形は、立体図形データとしてメモリ・ハードディスク等の記憶装置210に格納される。
【0023】
立体図形データ管理システムは、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどの計算機206 上で実行される。これは、図形の表示や属性検索、図形編集などを行うアプリケーション部207 、記憶装置210 からの図形の入力を行うデータ入力部208 、記憶装置210 への図形の出力を行うデータ出力部209 からなる。
【0024】
本発明の立体図形データの記録方法のベースになるのは平面図形である。平面図形の例を、図3の301、302、303に示す。これを表現するデータ構造は、以下のもので構成される。
【0025】
(1) ヘッダ情報(1個) :図形の構成点数、次元フラグ、属性情報
(2) 構成点情報(N個) :(x,y)座標
【0026】
図形の構成点数は、図形が何個の点によって定義されているかを示す。三角形は3個の点、四角形は4個の点で構成されている。次元フラグは、その図形の次元数を指定することによって、点301、線302、面303を区別する。属性情報には、線種や線色、ハッチパターン、他のデータへのリンク情報などが格納される。構成点情報は、上記の構成点数で指定された数だけ存在し、構成点の位置を示す(x,y)座標を格納する。
【0027】
本発明では、このような平面図形を表現するデータ構造に対し、以下に示す3種類の拡張を施して3次元図形を表現する。これらの3種類のデータ構造の拡張は、それぞれ単独に用いてもよいし、あるいは一つの平面図形に対し複数の拡張を同時に適用してもよい。
【0028】
(1)Σ(x,y,z)拡張:構成点の座標を、(x,y)ではなく、(x,y,z)で管理する。
(2)zΣ(x,y)拡張:各図形のヘッダ情報に1つZ座標を付加する。このZ座標はその図形の存在する標高を示す。
(3)(f,d)拡張:形状を表す意味情報fとパラメータdを付加する。
【0029】
以下、3種類の拡張の内容を詳細に説明する。
【0030】
1. Σ(x,y,z)拡張:
平面図形では、各図形の構成点を(x,y)座標列で表現する。図形全体にΣ(x,y,z)拡張を適用することによって、各図形の構成点は(x,y,z)座標列で表現される。例えば図3において、平面図形である点301、線302、面303にΣ(x,y,z)拡張を適用することによって、それぞれ、空間中の任意の位置を占める点304、傾斜や屈折を含む立体折れ線305、傾斜平面306が表現できる。任意形状の立体も、傾斜平面306を組み合せることによって表現することができる。
【0031】
実際の地理データにおける利用面では、立体折れ線305は下水管等の地下配管の表現に、傾斜平面306は山の斜面、家屋の屋根などの表現に用いられる。
【0032】
また、構成点一つに対してΣ(x,y,z)拡張を適用することもできる。この場合、(x,y)座標で表現された複数の構成点の中で一つだけ(x,y,z)座標で表現された構成点が存在することになる。本実施例では、この構造の解釈として、「その構成点以降の構成点のZ座標はその構成点のZ座標と同じ値になる」と定義する(データ構造の詳細は後述)。これにより、ある構成点以降の幾つかの構成点で連続して同じZ座標が続く場合、データ量の削減が実現できる。
【0033】
実際の地理データにおける利用面では、例えばビルの配管などを考えると、階と階との接続のため立体管理が必要となるが、各階ごとに見れば同じ高さのデータが続くため平面図形として表すことができるものも多い。このような場合に、この「構成点へのΣ(x,y,z)拡張」を適用する事によりデータ量の削減が実現できる。
【0034】
2. zΣ(x,y)拡張:
zΣ(x,y)拡張は、図形全体に対して一つのZ座標を付加する。このZ座標は図形の標高(海抜標高・地表面からの高さなど)を示す。実際の地理データにおいて、道路や空き地など、立体管理の元でも平面図形として表現されるものは多い。このとき上述のΣ(x,y,z)拡張を適用して、各構成点の位置を(x,y,z)座標で示すと、全構成点で同じZ座標を格納する事になり、冗長な表現となる。そこで、このzΣ(x,y)拡張を適用し、各構成点の位置を(x,y)座標で示し、Z座標は図形全体に対して指定するという方法を用いる。
【0035】
図3に、zΣ(x,y)拡張の例を示す。従来の平面図形である点301、線302、面303が、それぞれ高さを持った点307、線308、面309に拡張される。実際の地理データにおける利用面では、等高線などの地面に水平な図形の表現に用いられる。また、全ての立体図形に対してこの拡張を適用する事で、図形の標高が表現できる。
【0036】
3. (f,d)拡張:
チューブ状の図形を表現する場合、中心線を示す折れ線図形とそのチューブの径が与えられれば表現に必要なデータは揃う。同様に、道路のような幅を持った帯状図形はその中心線と帯の幅を、円や球はその中心点の座標と半径を、三角柱・四角柱などの多角柱は底面図形の形状と側辺の高さを、三角錐・四角錐などの多角錐は底面図形の形状と頂点の座標(x,y,z)を、それぞれ与えることで、それらの構造が表現できる。
【0037】
(f,d)拡張ではこの方法を適用し、ヘッダ情報にその図形の構造を示す意味情報fと、それに必要なパラメータdを加える。これにより、一つの図形から、各種の図形のバリエーションが表現できる。
【0038】
意味情報fは、前もって定めておいた円、球、多角柱、多角錐、チューブ状構造、および帯状構造などの形状の中からその図形の種類を指定する情報である。指定された意味情報fに応じてパラメータdの適用方法が決定される。すなわち、パラメータdは、意味情報fで決定された形状生成手段において用いられるパラメータとなる。パラメータdの数は複数でも良く、その数は意味情報fから決定する。形状生成手段とは、具体的には、意味情報fで決定された形状を生成するプログラムである。パラメータdは、そのプログラムで用いられるパラメータということである。
【0039】
図1に、(f,d)拡張の適用例を示す。第1列(101〜106)には、基本形態として、zΣ(x,y)拡張またはΣ(x,y,z)拡張を行った点・線・面の図形を示す。第2列(107〜111)には、第1列の各図形に対して、意味情報fを多角柱として(f,d)拡張を行った図形を示す。また第3列(112〜117)には、第1列の各図形に対して、意味情報fを円や球、帯、チューブ、多角錐などの様々な構造として(f,d)拡張を行った図形を示す。
【0040】
意味情報fを多角柱とし、パラメータdをその高さと定義することにより、点101や点104から地面に垂直に立つポール107や110が表現できる。また、線102から屏風形状の図形108が、面103からその面を底面とする多角柱109が表現できる
。
【0041】
意味情報fを円、あるいは球とし、パラメータdをその半径とすることにより、点101から円や球112が、また点104から円や球115が作成される。意味情報fを帯、あるいはチューブとし、パラメータdをその径とすることにより、線102から帯やチューブ113が、また線105から帯やチューブ116が作成される。意味情報fを多角錐とし、パラメータdをその頂点座標(x,y,z)とすることにより、面103から多角錐114が、また面106から多角錐117が作成される。
【0042】
図4に、本実施例において立体図形を表現するデータ構造を示す。このデータ構造は、従来の平面図形のデータ構造と同様、一個のヘッダ情報と構成点の数だけ存在する構成点情報とからなる。ヘッダ情報と構成点情報は、いずれも、常に存在する情報と各種の拡張によって付加される情報とから構成される。各種の拡張によって付加される情報は括弧〔〕をつけて表わした。これらの情報が付加されるかどうかは各種の拡張が適用されているかどうかによるが、これを指定するフラグと付加される情報とを矢印で結んだ。
【0043】
ある図形にΣ(x,y,z)拡張を適用する場合、その図形のヘッダ情報のΣ(x,y,z)拡張フラグ402を「ON」とする。これによって、その図形の全構成点情報にZ座標415が拡張情報として付加される。
【0044】
また、個々の構成点にΣ(x,y,z)拡張を適用する場合、ヘッダ情報の構成点拡張フラグ401を「ON」とする。これにより、全構成点情報内にフラグ情報(411、412)が付加される。この中のΣ(x,y,z)拡張フラグ411を「ON」とすることにより、その構成点情報内にZ座標415が拡張情報として付加される。
【0045】
zΣ(x,y)拡張を適用する場合、ヘッダ情報のzΣ(x,y)拡張フラグ403を「ON」とする。これによって、そのヘッダ情報内にZ座標408が拡張情報として付加される。
【0046】
(f,d)拡張を適用する場合、ヘッダ情報の(f,d)拡張フラグ404を「ON」とする。これによって、そのヘッダ情報に2種類の情報、すなわち意味情報f(409)とパラメータd(410)とが、拡張情報として付加される。
【0047】
個々の構成点に(f,d)拡張を適用する場合、まずヘッダ情報の構成点拡張フラグ401を「ON」とし、全構成点情報内にフラグ情報(411、412)を付加する。この中の(f,d)拡張フラグ412を「ON」とすることにより、その構成点情報内に意味情報f(416)とパラメータd(417)が拡張情報として付加される。
【0048】
本実施例の図2の立体図形管理システムにおいて、立体図形の入力と記憶装置への格納は、オートディジタイザ205、キーボード201、およびマウス202などを用いて行なわれる。立体図形の入力は、種々の方法で行なえばよい。例えば、立体図形の拡張形式、構成点の座標、その他各種パラメータをユーザが入力する方法がある。また、オートディジタイザ205から入力した図形をディスプレイ203に表示し、表示した図形から各構成点を指定して、その構成点に関する情報を入力するなどの方法を取ってもよい。入力された立体図形は、上述のデータ構造で記憶装置210に格納される。
【0049】
さらに、立体図形の拡張形式をユーザが指定せず、汎用的な形で立体図形を入力した場合には、システムの側で最適な拡張形式を選択し、その拡張形式で表現するようにして記憶装置210に格納するようにしてもよい。また、従来より用いられているデータ構造で表現されている立体図形のデータを、上述のデータ構造に変換して記憶装置210に格納するようにしてもよい。
【0050】
記憶装置210に格納された立体図形は、ユーザの指示に応じてディスプレイ203に表示することができる。また、検索位置座標を入力し、その座標を含む立体図形を検索して表示するなど、立体図形の検索に用いることもできる。
【0051】
上述のデータ構造で表現された立体図形の表示/検索を行なうためには、これらのデータ構造をシステムにおいて解釈できなければならない。以下、そのアルゴリズムを説明する。
【0052】
図5に、立体図形の表示/検索を行なうために図4に示した立体図形データの構造を解釈するアルゴリズムを示す。また、その動作を各ステップごとに以下に説明する。
【0053】
[ステップ1] ヘッダ情報からフラグ情報、すなわち構成点拡張フラグ401、Σ(x,y,z)拡張フラグ402、zΣ(x,y)拡張フラグ403、(f,d)拡張フラグ404を読み込む。(501)
[ステップ2] ヘッダ情報から各拡張に共通な属性、すなわち構成点数405、次元フラグ406、および属性情報407を読み込む。(502)
【0054】
[ステップ3] zΣ(x,y)拡張フラグ403がONであれば、ヘッダ情報内のZ座標408を読み込む。OFFであれば、Z座標は0、あるいはあらかじめ定義済の基準値となる。(503、504、505)
[ステップ4] (f,d)拡張フラグ404がONであれば、ヘッダ情報内の意味情報f(409)とパラメータd(410)を読み込む。(506、507)
【0055】
[ステップ5] 構成点拡張フラグ401がONであれば、構成点のフラグ情報、すなわち構成点のΣ(x,y,z)拡張フラグ411、および構成点の(f,d)拡張フラグ412を読み込む。(508、509)
[ステップ6] X座標413、およびY座標414を読み込む。(510)
【0056】
[ステップ7] Σ(x,y,z)拡張フラグ402がONの場合、あるいは構成点のΣ(x,y,z)拡張フラグ411がONの場合、Z座標415を読み込む。(511、512)
[ステップ8] 構成点の(f,d)拡張フラグ412がONであれば、意味情報f(416)とパラメータd(417)を読み込む。(513、514)
【0057】
[ステップ9] 構成点の(f,d)拡張の種類により表示/検索などの処理を行なう。(515)
[ステップ10] 図形構成点の数だけ、[ステップ5]〜[ステップ9]までを繰り返す。(516)
【0058】
[ステップ11] 図形の(f,d)拡張の種類により表示/検索などの処理を行なう。(517)
[ステップ12] 立体図形テーブルに存在する図形の数だけ、[ステップ1]〜[ステップ11]までを繰り返す。(518)
【0059】
以降では、具体的な図形の例とそれを表現する図4で説明したデータ構造のテーブルを示す。
【0060】
図6の602に示す、高さ方向の情報を持たない平面図形は、3種類の拡張を何も適用しないことでテーブル601のように表現できる。
【0061】
図7の702に示す、3次元空間内で立体的に屈折する折れ線図形は、Σ(x,y,z)拡張を適用することによってテーブル701のように表現できる。各構成点情報は座標(x,y,z)の組となる。
【0062】
図8の802に示す、基準面から一定の標高値を持った平面図形は、zΣ(x,y)拡張を適用することによってテーブル801のように表現できる。各構成点情報は座標(x,y)の組で表され、Z座標は全構成点共通の値としてヘッダ情報内で与えられる。
【0063】
図9の902に示す、多角柱形状の立体図形は、(f,d)拡張を適用し、意味情報fを多角柱とすることによって、テーブル901のように表現できる。座標(x,y)の組で表現される構成点情報は多角柱の底面図形を表し、多角柱の高さはパラメータdの値としてヘッダ情報内で与えられる。
【0064】
図10の1002に示す、多角錐形状の立体図形は、(f,d)拡張を適用し、意味情報fを多角錐とすることによって、テーブル1001のように表現できる。座標(x,y)の組で表現される構成点情報は多角柱の底面図形を表し、多角錐の頂点の座標(x,y,z)はパラメータdの値としてヘッダ情報内で与えられる。パラメータdは複数あってもよく(この場合は3つ(x座標、y座標、z座標)ある)、その数は意味情報fによって区別する。
【0065】
図11の1102に示す、3次元空間内で立体的に屈折する折れ線図形は、図7の折れ線図形702と同様、Σ(x,y,z)拡張を適用することによって表現できる。しかし多くの連続した点が同じZ座標を取る場合は、Σ(x,y,z)拡張を図形全体にではなく、構成点一つに対して適用し、データ構造をテーブル1101のように表現することによってデータ量を小さくできる。
【0066】
すなわち、図4のヘッダ情報において、構成点拡張フラグ401をONとし各構成点にフラグ情報(411、412)を付加する。そして、各構成点のフラグ情報のうち、Σ(x,y,z)拡張を施したい構成点についてはΣ(x,y,z)拡張フラグ411をONとしてz座標を付加し、他の構成点についてはΣ(x,y,z)拡張フラグ411をOFFとする。これにより、Σ(x,y,z)拡張フラグ411がONの構成点は座標(x,y,z)で管理され、OFFの構成点は座標(x,y)で管理される。
【0067】
具体的に図11のテーブル1101では、ヘッダ情報の次の第1の構成点および第2の構成点は基準面内の構成点であるのでΣ(x,y,z)拡張フラグ411をOFFとして構成点の座標をx座標とy座標で表わし、第3の構成点はΣ(x,y,z)拡張フラグ411をONとして構成点の座標を(X3,Y3,Z3)とし、第4の構成点以降の構成点では再びΣ(x,y,z)拡張フラグ411をOFFとしている。第4以降の構成点は第3の構成点と同じZ座標を有することとなる。
【0068】
図12の1202に幅が線分単位で変化している折れ線図形を示す。一定の幅を持った折れ線は、図形全体に(f,d)拡張を適用し意味情報を帯(幅dをもった折れ線)とすることによって表現できるが、この図形のように1本の折れ線上で幅が変化する場合はさらに幅の変化した部分の構成点に対して(f,d)拡張を適用することによって表現できる。
【0069】
すなわち、図4のヘッダ情報において、構成点拡張フラグ401をONとし各構成点にフラグ情報(411、412)を付加する。そして、各構成点のフラグ情報のうち、(f,d)拡張を施したい構成点については(f,d)拡張フラグ412をONとして意味情報f(416)とパラメータd(417)とを付加し、他の構成点については(f,d)拡張フラグ412をOFFとする。この構造の解釈として、「その構成点以降の折れ線の幅はその構成点の示す幅と同じ値になる」と定義しておくことによって1202のような図形が表現できる。
【0070】
具体的に図12のテーブル1201では、まずヘッダ情報において、(f,d)拡張フラグをONとし意味情報fを帯としパラメータdを幅として、基準となる(f,d)拡張を設定する。ヘッダ情報の次の第1の構成点および第2の構成点に対しては上記の基準となる(f,d)拡張が施されるから、これらの構成点の(f,d)拡張フラグはOFFとする。第2の構成点から第3の構成点への帯は幅がd3であるので、第3の構成点の(f,d)拡張フラグをONとし意味情報fを帯としパラメータdを幅d3とする。これにより、以降の帯の幅はd3となる。
【0071】
図13の1302〜1307に示す、複雑な形状の地物は、図9の多角柱表示にさらにzΣ(x,y)拡張や(f,d)拡張を適用することによって実現できる。ヘッダ情報の標高値Zと、同じくヘッダ情報の多角柱の高さdにより、多角柱の底面と上面のZ座標が分かる。複数の多角柱を組み合せることによって、例えば複雑な形状の家屋1302、1303、等高線1304、その他、ガスタンクのような球1305、ピラミッド状構造1306、自由曲面をもつアーチ1307などの多種類の立体図形を表現することができる。
【0072】
これらの図形は全て、多角柱の組み合わせによって表現できるためである。例えば、アーチ型構造物のような任意形状の構造物を表現するには、次のような方法を取る。まず対象である立体図形をZ軸方向に一定間隔で輪切りにし、その分割断面形状を得る。次に、この断面形状を底面、上記の分割間隔を高さとして持つ多数の多角柱を設定する。これらの集合により元の図形が表現できる。
【0073】
図14に、本発明による立体図形データ管理システムを用いる事によってできる立体図形表示例を示す。本方式を用いることによって、道路1401、行政界1402、河川1403、家屋1404、1405、等高線1406、地下配管1407などを混在させて、しかも比較的少ないデータ量で表現することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、データ容量が小さく、かつ必要な詳細さを実現することができ、さらに平面図形としての利用も立体図形と同様に容易に行える立体図形データの記録方法が提供される。したがって、等高線に基づく山や起伏、家屋、および地下配管等の都市の構造物などを立体情報としてコンパクトに管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で表現できる立体構造の分類図である。
【図2】立体図形データ管理システムの構成図である。
【図3】本発明で表現できる立体構造の分類図である。
【図4】本発明による立体図形データテーブルの構成図である。
【図5】立体図形データを解釈するアルゴリズムのフローチャートである。
【図6】標高を持たない平面図形の表現例である。
【図7】立体折れ線図形の表現例である。
【図8】標高を持った平面図形の表現例である。
【図9】多角柱の表現例である。
【図10】多角錐の表現例である。
【図11】立体折れ線図形の表現例である。
【図12】幅を持つ折れ線図形の表現例である。
【図13】複雑な形状を持つ立体図形の表現例である。
【図14】複数の形状の立体図形が混在している立体地図の表示例である。
【図15】従来の平面図形データ管理方法である。
【図16】従来の立体図形データ管理方法である。
【図17】特開平4−149681による立体図形データ管理方法である。
【符号の説明】
201…キーボード、202…マウス、203…ディスプレイ、204…プリンタ、205…オートディジタイザ、206…計算機、207…アプリケーション部、208…データ入力部、209…データ出力部、210…記憶装置。
Claims (10)
- 基本となる平面図形の構成点の数を格納するヘッダ情報領域と上記構成点の位置座標を格納する構成点情報領域とを有する立体図形データを記憶装置に記録する立体図形データの記録方法であって、
上記立体図形データ内に上記基本となる平面図形に施す拡張を指定する制御フラグを設け、
上記制御フラグがオンの場合は、
上記ヘッダ情報領域または上記構成点情報領域に上記制御フラグが指定する拡張に関する情報を格納する領域を新たに設けることを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 基本となる平面図形の構成点の数を格納するヘッダ情報領域と上記構成点の位置座標を格納する構成点別の構成点情報領域とを有する立体図形データを記憶装置に記録する立体図形データの記録方法であって、
上記ヘッダ情報領域内に立体図形全体に係る形状表現の拡張を指定する第1の制御フラグを設け、
上記形状表現の拡張がある場合は、
上記第1の制御フラグをオンにし、
上記ヘッダ情報領域内に上記立体図形の共通拡張情報を格納する領域または全ての上記構成点情報領域内に該構成点の個別拡張情報を格納する領域を新たに設けることを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 請求項2に記載の立体図形データの記録方法であって、
上記第1の制御フラグは上記立体図形の全ての構成点の位置を3次元座標を用いて表現することを指定するΣ(x,y,z)拡張フラグを含み、
上記Σ(x,y,z)拡張フラグがオンの場合は、全ての上記構成点の個別拡張情報として当該構成点のz座標を格納することを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 請求項2に記載の立体図形データの記録方法であって、
上記第1の制御フラグは上記立体図形の存在する標高を指定することを示すzΣ(x,y)拡張フラグを含み、
上記zΣ(x,y)拡張フラグがオンの場合は、上記共通拡張情報として上記標高を指定するz座標を格納することを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 請求項2に記載の立体図形データの記録方法であって、
上記第1の制御フラグが上記構成点によって表現される構造と該構造に付随するパラメータを用いて上記立体図形を表現することを指定する(f,d)拡張フラグを含み、
上記(f,d)拡張フラグがオンの場合は、
上記共通拡張情報として上記構造を表す意味情報fと上記構造に付随するパラメータdとを格納することを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 請求項2に記載の立体図形データの記録方法であって、
上記第1の制御フラグが上記構成点情報領域内の第2の制御フラグの有無を指定する構成点拡張フラグを含み、
上記個別拡張情報を持つ構成点がある場合は、
上記構成点拡張フラグをオンにし、
全ての上記構成点情報領域内に第2の制御フラグを格納する領域を設け、
それぞれの構成点の個別拡張情報の有無に基づいて、上記第2の制御フラグによって上記構成点に係る形状表現の拡張を指定し、
上記第2の制御フラグがオンの場合は、上記構成点情報領域内に該構成点の個別拡張情報を格納する領域を新たに設けることを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 基本となる平面図形の構成点の数を格納するヘッダ情報領域と上記構成点の位置座標を格納する構成点別の構成点情報領域とを有する立体図形データを記憶装 置に記録する立体図形データの記録方法であって、
上記構成点情報領域内に上記構成点に係る形状表現の拡張を指定する制御フラグを設け、
上記形状表現の拡張がある場合は、
上記制御フラグをオンにし、
上記構成点情報領域内に上記構成点の個別拡張情報を格納する領域を新たに設けることを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 請求項7に記載の立体図形データの記録方法であって、
上記制御フラグが上記構成点の位置を3次元座標を用いて表すことを指定するΣ(z,y,z)拡張フラグを含み、
上記Σ(x,y,z)拡張フラグがオンの場合は、
上記構成点の個別拡張情報として上記構成点のz座標を格納することを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 請求項7に記載の立体図形データの記録方法であって、
上記制御フラグが上記構成点に基づく構造と該構造に付随するパラメータを用いて立体図形を表現することを指定する(f,d)拡張フラグを含み、
上記(f,d)拡張フラグがオンの場合は、
上記構成点情報領域内に個別拡張情報として上記構造を表す意味情報fと上記構造に付随するパラメータdとを格納することを特徴とする立体図形データの記録方法。 - 基本となる平面図形の構成点の数を格納するヘッダ情報領域と上記構成点の位置座標を格納する構成点別の構成点情報領域とを有する立体図形データを記憶装置に記録する立体図形データの記録システムであって、
入力装置と、
上記入力装置より入力された立体図形の形状情報を上記立体図形データに変換するデータ加工装置とを有し、
上記データ加工装置は、
上記基本となる平面図形に施す拡張を指定する制御フラグを格納する領域を設け、
上記制御フラグがオンの場合は、上記拡張に関する情報を格納する領域を新たに設けることを特徴とする立体図形データの記録システム。
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