JP3608898B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複層ガラス用および建築用のシーリング材または接着剤等に有用な、耐候接着性の改善された硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「反応性ケイ素基」という。)を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体は、室温においても湿分等により反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという興味深い性質を有することが知られている。このため、複層ガラス用シーリング材や建築用弾性シーラント等に用いると有効である。
【0003】
この複層ガラス用シーリング材には、プライマーを塗布しないで各種被着体に対して強固に接着すること、つまり、ノンプライマー接着性に優れることが求められている。近年では、複層ガラス用シーリング材だけでなく建築用弾性シーラント等においても、施工業者の効率を向上させる目的で、ノンプライマーで各種被着体に対して強固に接着することが求められつつある。しかし、先述の反応性ケイ素基を含有する飽和炭化水素系重合体を用いた場合には、ノンプライマーでの接着性が不充分であった。
【0004】
さらに、複層ガラス用シーリング材等のガラス周りに用いるシーリング材には、特に耐候接着性に優れることが求められるが、先述の反応性ケイ素基を含有する飽和炭化水素系重合体を用いた場合には、耐候接着性がやや不充分であった。特に最近多く用いられる断熱性の高い熱線反射ガラスに対する耐候接着性が不十分であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とする硬化性組成物の各種被着体に対する接着性と、各種ガラス、特に熱線反射ガラスに対する耐候接着性を改善することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決する為の手段】
本発明者等は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、この重合体に特定の化合物を添加することによって、この組成物の硬化物物性の低下などの悪影響を及ぼさないで、各種被着体に対する接着性と耐候接着性を改善することができることを見い出すことにより前記問題を解決し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)反応性ケイ素基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(B)シランカップリング剤、(C)空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物および/または光重合性物質、を含有する硬化性組成物に関するものである。とくに、(A)分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する、分子量が500〜50,000である飽和炭化水素系重合体100重量部、(B)イソシアネート基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤0.1〜20重量部、(C)乾性油および/または光重合性物質0.1〜20重量部を含有する耐候接着性の改善された硬化性組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどがあげられる。
反応性ケイ素基としては、一般式(1)、
【0009】
【化2】
Figure 0003608898
【0010】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)SiO−(R’は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかであり、bは0、1、2のいずれかであり、aとbとが同時に0になることはない。また、mは0または1〜19の整数である)で表される基があげられる。
【0011】
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。
これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
【0012】
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式(2)
【0013】
【化3】
Figure 0003608898
【0014】
(式中、R、X、aは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基が、入手が容易であるので好ましい。
飽和炭化水素系重合体1分子中の反応性ケイ素基は1個以上であり、1.1〜5個あることが好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性が得られなくなることがある。
【0015】
反応性ケイ素基は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよいし、また、両方にあってもよい。とくに、反応性ケイ素基が分子末端にあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0016】
また、これら反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は単独あるいは2種以上併用することができる。
本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1ーブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。
【0017】
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%以下(重量%、以下同じ)、さらに好ましくは30%以下、とくに好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。
このような単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。このような共重合体成分としては、たとえば1ーブテン、2ーブテン、2ーメチルー1ーブテン、3ーメチルー1ーブテン、ペンテン、4ーメチルー1ーペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、αーメチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、βーピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0018】
また、イソブチレンと共重合性を有する単量体として、ビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると、ケイ素含有量が増加しシランカップリング剤として作用しうる基が多くなり、得られる組成物の接着性が向上する。
水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体のばあいと同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0019】
また、本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲で、ブタジエン、イソプレンなどのポリエン化合物のような重合後二重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらには5%以下、とくには1%以下の範囲で含有させてもよい。
飽和炭化水素系重合体、好ましくはイソブチレン系重合体または水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜30,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0020】
つぎに反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法について説明する。
反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体のうち、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イニファー法と呼ばれる重合法(イニファーと呼ばれる開始剤と連鎖移動剤を兼用する特定の化合物を用いるカチオン重合法)で得られた末端官能型、好ましくは、全末端官能型イソブチレン系重合体を用いて製造することができる。例えば、この重合体の脱ハロゲン化水素反応や特開昭63−105005号公報に記載されているような重合体への不飽和基導入反応等により末端に不飽和基を有するポリイソブチレンを得た後、一般式
【0021】
【化4】
Figure 0003608898
【0022】
(式中、R、R、X、aおよびbは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物(この化合物は一般式(1)で表される基に水素原子が結合した化合物である。)、好ましくは、一般式
【0023】
【化5】
Figure 0003608898
【0024】
(式中、R、Xおよびaは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物を白金触媒を用いてヒドロシリル化反応と呼ばれる付加反応をさせることにより反応性ケイ素基を重合体に導入する方法があげられる。ヒドロシラン化合物としては、たとえば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちではとくにハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましい。
【0025】
このような製造法は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特許公報第2539445号の各明細書などに記載されている。
また、分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イソブチレンを主体とするモノマー中に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類を添加し、共重合せしめることにより製造される。
【0026】
さらに、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を製造する際の重合に際して、主成分であるイソブチレンモノマー以外に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類などを共重合せしめたのち末端に反応性ケイ素基を導入することにより、末端および分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体が製造される。
【0027】
反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類としては、たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0028】
前記水添ポリブタジエン系重合体は、たとえば、まず、末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の水酸基を−ONaや−OKなどのオキシメタル基にした後、一般式(3):
CH=CH−R−Y (3)
(式中、Yは塩素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、Rは−R−、−R−OCO−または−R−CO−(Rは炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が好ましい)で示される2価の有機基で、−CH−、−R”−C−CH−(R”は炭素数1〜10の炭化水素基)より選ばれる2価の基がとくに好ましい)で示される有機ハロゲン化合物を反応させることにより、末端オレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体が製造される。
【0029】
末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の末端水酸基をオキシメタル基にする方法としては、Na、Kのごときアルカリ金属;NaHのごとき金属水素化物;NaOCHのごとき金属アルコキシド;NaOH、KOHなどのアルカリ水酸化物などと反応させる方法があげられる。
前記方法では、出発原料として使用した末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体とほぼ同じ分子量をもつ末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体が得られるが、より高分子量の重合体を得たい場合には、一般式(3)の有機ハロゲン化合物を反応させる前に、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)エーテルなどのごとき、1分子中にハロゲンを2個以上含む多価有機ハロゲン化合物と反応させれば分子量を増大させることができ、その後一般式(3)で示される有機ハロゲン化合物と反応させれば、より高分子量でかつ末端にオレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体をうることができる。
【0030】
前記一般式(3)で示される有機ハロゲン化合物の具体例としては、たとえばアリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1ーブテニル(クロロメチル)エーテル、1ーヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼンなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。これらのうちではアリルクロライドが安価であり、しかも容易に反応するので好ましい。
【0031】
前記末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体への反応性ケイ素基の導入は、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体の場合と同様にヒドロシラン化合物を白金系触媒を用いて付加反応をさせることにより製造される。前記のように反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体が、芳香環でない不飽和結合を分子中に実質的に含有しない場合には、不飽和結合を有する有機系重合体やオキシアルキレン系重合体のような従来のゴム系重合体よりなるシーリング剤などとくらべて、著しく耐候性がよくなる。また、該重合体は炭化水素系重合体であるので耐水性がよく、湿気遮断性の高い硬化物になる。
【0032】
本発明の硬化性組成物中の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の含有率は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がとくに好ましい。
本発明の(B)成分であるシランカップリング剤は被着体や基材と反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の硬化物との接着強度を向上させるものである。シランカップリング剤は、加水分解性基が結合したケイ素原子を含む基(以下加水分解性ケイ素基という)及びそれ以外の官能基を有する化合物である。この加水分解性ケイ素基の例としては、一般式(1)で表される基の内Xが加水分解性基である物を挙げることができる。具体的には、加水分解性基として既に例示した基を挙げることができるが、メトキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好ましい。加水分解性基の個数は、2個以上、特に3個以上が好ましい。
【0033】
加水分解性ケイ素基以外の官能基としては、1級、2級、3級のアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等を例示できる。これらの内、1級、2級、3級のアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート等が好ましく、イソシアネート基、エポキシ基が特に好ましい。
【0034】
シランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、ブロックイソシアネートシラン、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
【0035】
本発明に用いるシランカップリング剤は、反応性ケイ素基含有飽和炭化水素系重合体100部に対し、0.1〜20部の範囲で使用される。特に、0.5〜10部の範囲で使用するのが好ましい。上記シランカップリング剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
本発明の組成物にはシランカップリング剤以外の接着性付与剤も用いることができる。
【0036】
本発明の硬化性組成物においては、耐候接着性を高めるために、(C)成分として空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物および/または光重合性物質を使用する。これらは単独で用いても効果があり、併用してもよい。
上記の(C)成分のうち、空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物とは、つまり、酸化重合反応性物質を示す。
【0037】
酸化重合反応性物質の具体例としては、不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステル化合物、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、C〜Cジエンなどのジエン系重合体や共重合体、さらには該重合体や共重合体の各種変性物(マレイン化変性体、ボイル油変性体など)などがある。
酸化重合反応の反応性は反応温度、湿度、光、添加物などによって影響を受ける。従って、(C)成分として空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物を添加した場合、(C)成分は光の照射によって、ガラスなどの被着体との接着面でさらに硬い被膜を形成し得るために、耐候接着性改良剤としてより強く作用すると考えられる。しかし、初期の接着強度が低下することはない。
【0038】
(C)成分として、不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステルを主成分とするエステル化合物を用いると、熱線反射ガラスなどの各種ガラスに対する耐候接着性が顕著に改善される。不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステルの不飽和高級脂肪酸成分は1分子中の炭素数が少なくとも10個有するものが好ましく、その不飽和基数およびカルボキシル基数は、それぞれ1個をこえて存在していてもよい。
【0039】
上記の不飽和高級脂肪酸のエステル化合物の具体例を挙げると、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、リシノール酸、アラキドン酸などの高級不飽和脂肪酸と、メタノール、エタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価アルコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの3価アルコール、ペンタエリスリトールなどの4価アルコール、ソルビッドなどの6価アルコールや、ケイ素原子に結合した有機基を介して水酸基を有する有機ケイ素化合物などから選択されるアルコールとの縮合反応より得られるエステル化合物がある。
【0040】
前記酸化重合反応の反応性は、飽和脂肪酸基は不飽和脂肪酸基に比べて著しく小さく、不飽和脂肪酸基の内でも二重結合の数と共役性の大きさに比例して、反応性が高くなることが知られている。従って、上記の不飽和高級脂肪酸のエステル化合物の内でも、ヨウ素価が100以上を示すエステル化合物が、反応性が高いために好ましい。
【0041】
上記のヨウ素価が100以上を示す不飽和高級脂肪酸のエステル化合物は、先述のように不飽和高級脂肪酸とアルコールとを縮合反応して製造してもよいが、実際的には不飽和高級脂肪酸とグリセリンとのエステルであるトリグリセリンエステルを主成分とする亜麻仁油、桐油、大豆油、アサ実油、イサノ油、ウルシ核油、エゴマ油、オイチシカ油、カヤ油、クルミ油、ケシ油、サクランボ種子油、ザクロ種子油、サフラワー油、タバコ種子油、トウハゼ核油、ゴム種子油、ヒマワリ種子油、ブドウ核油、ホウセンカ種子油、ミツバ種子油などの乾性油が、安価で、簡便に入手できるためにより好ましい。
【0042】
これらの乾性油には、炭素数が10以上の不飽和高級脂肪酸のエステル化合物、炭素数が10未満の不飽和脂肪酸のエステル化合物、飽和脂肪酸エステル化合物、アルコール類、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸などが存在することがあるが、炭素数が10以上の不飽和高級脂肪酸のエステル化合物が乾性油中100重量%存在することが最も好ましいが、少なくとも80重量%以上であることが好ましい。
【0043】
先述したように、前記酸化重合反応の反応性は不飽和脂肪酸基の共役性の大きさに比例するため、上記の乾性油の中でも、エレオステアリン酸、リカン酸、プニカ酸、カヌルピン酸などの共役系不飽和高級脂肪酸のトリグリセリンエステルを主成分として有する乾性油は、酸化重合反応の反応性が高いために耐候接着性改善効果がより高く、最も好ましい。共役系不飽和高級脂肪酸のトリグリセリンエステルを主成分として有する乾性油の具体例としては、桐油、オイチシカ油、ザクロ種子油、ホウセンカ種子油などがある。
【0044】
この空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
上記の(C)成分のうち、光重合性物質とは、つまり、光を照射することによって分子内の二重結合が活性化することにより、重合反応を起こす不飽和基を有する化合物である。この種の物質には有機単量体、オリゴマー、樹脂あるいはこれらを含有する組成物など種々のものが知られており、本発明では市販の任意の物質を使用することができる。(C)成分として光重合性物質を添加した場合、(C)成分は光の照射によって、ガラスなどの被着体との接着面で硬い被膜を形成し得るために、耐候接着性改良剤として作用すると考えられる。しかし、初期の接着強度が低下することはない。
【0045】
この光重合系感光性樹脂中に含まれる光重合性不飽和基の代表例としては、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルアミノ基、アセチレン性不飽和基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、シンナモイル基等を挙げることができるが、これらの中でもアクリロイル基またはメタクリロイル基が光開始効率が高いために、好ましい。
【0046】
前記、アクリロイル基またはメタクリロイル基を感光基とする光重合系感光性樹脂の例としては、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、(メタ)アクリレート等を挙げることができるが、これらの中でも(メタ)アクリレートが、種類が多く入手しやすい等の理由から、より好ましい。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものである。
【0047】
前記、(メタ)アクリレートを主成分とする光重合性物質の感光基(不飽和基)の数が1つしかない単官能の場合には、光重合によって線状のポリマーを形成するに過ぎずない。しかし、二つ以上の感光基(不飽和基)を有する多官能性(メタ)アクリレートの場合には、光重合と光架橋が同時に起こるために、網目構造のポリマー分子を形成し、接着界面により硬い被膜を形成し得るために、耐候接着性改善効果が高く、更に好ましい。
【0048】
前記、多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、官能基を2個有するプロピレン(又はブチレン、エチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、官能基を3個有するトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、官能基を4個以上有するペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、オリゴマーの具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、等の分子量10000以下のオリゴエステルを挙げることができる。1分子中のアクリル系又はメタクリル系不飽和基の数は、2個以上が好ましく、3個以上がさらに好ましい。前記不飽和アクリル系化合物の耐候接着性改善効果は官能基の数が多いほど大きい。
【0049】
光重合性物質は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
(C)成分の耐候接着性改善効果をより確実に、迅速に発揮させる必要がある場合には、さらに、光増感剤を添加すると効果がある。
空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物および/または光重合性物質は、本発明の組成物に用いた場合、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を含有してなる硬化性組成物の耐候接着性を大幅に改善することができる。しかも、(C)成分は硬化物物性に悪影響を与えない。
(C)成分の配合量は、(A)成分100部に対して0.1〜20部が好ましいが、1〜10部配合することがとくに好ましい。配合量が0.1部未満の場合には、耐候接着性の改善効果が十分でないことがあり、20部をこえるとシーリング材組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
【0050】
本発明の(A)成分と(C)成分を含有する硬化性組成物は酸素や光の作用により(C)成分が硬化し、(C)成分を含有しない硬化性組成物よりも基材に対しすぐれた接着性や耐候接着性を示す。この性質は組成物が(B)成分を含有しない場合でも発現する。しかしながら、(B)成分を併用することによりさらにすぐれた接着性や耐候接着性が発現するようになる。
【0051】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて各種添加剤が添加される。
このような添加物の例としては、たとえば、シラノール縮合反応を促進する硬化触媒、生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤、可塑剤、充填剤、接着性向上剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤などがあげられる。
【0052】
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
本発明の硬化性組成物は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。
【0053】
また、本発明の硬化性組成物は、汎用無機ガラス(フロートガラス)などの各種ガラスに用いた場合、著しい耐候接着性改善効果を示すが、熱線反射ガラス用シーリング材組成物として使用した場合には、耐候接着性を改善する効果が特に顕著である。
本発明の硬化性組成物に適用される熱線反射ガラスとは、ガラス表面に金属膜、金属窒化物膜、金属酸化物膜などを被覆することにより、特定の波長の光を反射または吸収するなどの光学的機能を備えたガラスを示す。
【0054】
本発明の空気中の酸素と反応し得る不飽和化合物の効果は、前述の各種添加剤が添加された場合も同様に認められる。すなわち、本発明の硬化性組成物が建築用弾性シーリング剤や複層ガラス用シーリング剤、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材などに用いられた場合、該化合物の添加により、それらシーリング剤の各種被着体に対する接着性と耐候接着性を改善することができる。
【0055】
【実施例】
つぎに実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
【製造例】
500mlの耐圧ガラス製容器に、三方コックを取り付け、容器内を窒素置換した後、注射器を用いて容器内に、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)54mlおよびトルエン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)126ml、p−DCC(下記化合物)1.16g(5.02mmol)を加えた。
【0057】
【化6】
Figure 0003608898
【0058】
次にイソブチレンモノマー56mlが入っているニードルバルブ付耐圧ガラス製液化採取管を、三方コックに接続して、重合容器を−70℃のドライアイス/エタノールバス中につけて冷却した後、真空ポンプを用いて容器内を減圧にした。ニードルバルブを開け、イソブチレンモノマーを液化ガス採取管から重合容器内に導入した後、三方コック内の一方から窒素を導入することにより容器内を常圧に戻した。次に、2−メチルピリジン0.093g(1.0mmol)を加えた。次に、四塩化チタン1.65ml(15.1mmol)加えて重合を開始した。反応時間70分後に、アリルトリメチルシラン1.22g(10.8mmol)を加えてポリマー末端にアリル基の導入反応を行った。反応時間120分後に、反応溶液を水200mlで4回洗浄したあと、溶剤を留去することによりアリル末端イソブチレン系重合体を得た。
【0059】
次いで、こうして得られたアリル末端イソブチレンポリマ−40gを、n−ヘプタン20mlに溶解し、約70℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン1.5[eq/ビニル基]、白金(ビニルシロキサン)錯体1x10−4[eq/ビニル基]を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行い、約4時間で1640cm−1のオレフィン吸収が消失した。
【0060】
反応溶液を減圧濃縮することにより、目的とする両末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマ−が得られた。(下記化合物)
【0061】
【化7】
Figure 0003608898
【0062】
こうして得られたポリマ−の収量より収率を算出するとともに、Mn及びMw/MnをGPC法により、また末端構造を300MHzH−NMR分析により各構造に帰属するプロトン(開始剤由来のプロトン:6.5〜7.5ppm、ポリマ−末端由来のケイ素原子に結合したメチルプロトン:0.0〜0.1ppm及びメトキシプロトン:3.4〜3.5)の共鳴信号の強度を測定、比較することにより求めた。H−NMRは、Varian Gemini300(300MHz for H)を用い、CDCl中で測定した。
【0063】
なお、FT−IRは島津製作所製IR−408、GPCは送液システムとしてWaters LC Module1、カラムはShodex K−804を用いて行った。分子量はポリスチレンスタンダードに対する相対分子量で与えられる。ポリマーの分析値は、Mn=11400、Mw/Mn=1.23、Fn(シリル)=1.76であった。(数平均分子量はポリスチレン換算、末端シリル官能基数はイソブチレンポリマー1分子当たりの個数)。
【0064】
【実施例1〜3および比較例1〜2】
製造例で得られた重合体100部に対し、パラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)90部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)30部、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名EDS−D10A)100部、タルク(富士タルク工業(株)製、商品名タルクLMR)100部、NaSO・10HO6部、本発明の(C)成分である空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物として桐油を6部、光重合性物質としてジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亞合成(株)製、商品名アロニックスM400)を3部、さらに、以下に示す接着性付与剤を表1に示す部数加え、三本ペイントロールでよく混練して主剤とした。
【0065】
ここで、接着性付与剤として、本発明の(B)成分であるシランカップリング剤[γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤A−187)および/またはγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤Y−9030)]を表1に示す部数加えたものを実施例1〜3、接着性付与剤無添加のものを比較例1、加水分解性ケイ素基を含まない(シランカップリング剤以外の)接着性付与剤であるエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート828)を4部添加したものを比較例2とした。
【0066】
また、パラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)10部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)20部、硬化触媒(日東化成(株)製、商品名U−220)4部、カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名CB#30)2.5部をディスポーザルカップ中で手混ぜ混練した後、日本精機製作所(株)製のエクセル・オート・ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpmで10分間撹拌する操作を3回行うことにより硬化剤を調整した。
【0067】
試験用サンプルは、JIS A 5758−1992規定の引張接着性試験体の作製方法に従って、ガラス基材をH型に組み、上記の主剤と硬化剤を12:1の重量比で秤量して充分混練した後、配合物中の泡をスパチュラで押しつぶしながら充填し、オーブン中で硬化させた。養生条件はいずれも、23℃×1日+50℃×5日である。H型引張試験用に用いた基材は、JIS A 5758−1992に準拠したフロートガラス(広苑社製:日本シーリング材工業会指定、寸法:3×5×0.5cm)、または、TiOxを表面に熱融着させた熱線反射ガラス(セントラル硝子(株)製、商品名:KLS、寸法:5×5×0.6cm)、である。これらの被着体は、配合物を充填する前に、メチルエチルケトン(和光純薬製:特級)で洗浄し、清浄な綿布でふいた。プライマーは塗布していない。
【0068】
上記の方法で作製したH型引張試験用硬化物を、養生後に引張接着性試験を行い、引張特性と破壊形態を比較することにより各種被着体に対するノンプライマーでの接着性を評価した。引張接着性試験は、JIS A 5758−1992規定の引張接着性試験方法に従って、温度23℃、湿度50±10%の恒温室中、引張速度50mm/minの条件で、島津オートグラフAG−2000Aを用いて行った。表1中の凝集破壊(CF)・薄層破壊(TCF)・界面破壊(AF)の割合は、引張試験後の破断面を目で見て判断した割合である。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0003608898
【0070】
表1に示す通り、接着性付与剤無添加の場合(比較例1)、ノンプライマー条件ではフロートガラスや熱線反射ガラスなどの各種被着体に対する接着力が低いが、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187)および/またはγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(Y−9030)を添加すると(実施例1〜3)、ノンプライマー条件でも各種被着体に対する接着力が改善できた。また、接着性付与剤として加水分解性ケイ素基を含まない接着性付与剤であるエポキシ樹脂(エピコート828)を添加した場合(比較例2)には、各種被着体に対する接着力が低く、接着性付与剤として特にシランカップリング剤が有効であることがわかった。
【0071】
これらのことから、分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体からなる硬化性組成物の各種被着体に対するノンプライマー条件での接着性は、シランカップリング剤の添加により改善されることが確認できる。
【0072】
【実施例4〜7および比較例3】
製造例で得られた重合体100部に対し、パラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)90部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)30部、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名EDS−D10A)100部、タルク(富士タルク工業(株)製、商品名タルクLMR)100部、NaSO・10HO6部、光安定剤 ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル(三新化学(株)製、商品名サンダントNBC)3部、[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル(ACC(株)製、商品名CYASORB UV−1084)3部、酸化防止剤(チバガイギー(株)製、商品名イルガノックス1010)1部、紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製、商品名チヌビン327)1部、光安定剤(三共(株)製、商品名サノールLS−770)1部、本発明の(B)成分であるシランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤A−187)2部、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤Y−9030)4部添加した。そして、本発明の(C)成分である空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物として桐油、光重合性物質としてジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亞合成(株)製、商品名アロニックスM400)を表2に示す部数加え、三本ペイントロールでよく混練して主剤とした。
【0073】
また、パラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)10部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)20部、硬化触媒(日東化成(株)製、商品名U−220)4部、カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名CB#30)2.5部をディスポーザルカップ中で手混ぜ混練した後、日本精機製作所(株)製のエクセル・オート・ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpmで10分間撹拌する操作を3回行うことにより硬化剤を調整した。
【0074】
H型引張試験用サンプルは、養生条件が23℃×7日+50℃×7日であること以外は上記と同じ方法にて作製した。
上記の方法で作製したH型引張試験用サンプルを、光源にサンシャインカーボンを用い、ブラックパネル温度を63℃に設定したスガ試験機株式会社製サンシャイン・スーパーロングライフ・ウェザーメーターWEL−SUN−HC中にH型引張試験用サンプルを入れ、表2に示す時間、耐候性試験機(SWOM)内で曝露した後に取り出して引張接着性試験を行い、引張特性と破壊形態を比較することにより耐候接着性を評価した。結果を表2に示す。
【0075】
参考までに、上記の方法で作製したH型引張試験用サンプルを用い、耐候性試験を行う前に引張接着性試験を行った結果を表3に示す。
【0076】
【表2】
Figure 0003608898
【0077】
【表3】
Figure 0003608898
【0078】
表2に示す通り、いずれの場合(比較例3、実施例4〜7)も、被着体として一般的なガラスであるフロートガラスを用いると、SWOM3000時間曝露した後も、100%凝集破壊を示している。一方、難接着ガラスである熱線反射ガラス:KLSを被着体として用いると、比較例3ではSWOM500時間曝露後には、100%界面破壊を示し、熱線反射ガラスに対して十分な耐候接着性を有さないことがわかる。しかし、本発明の(C)成分である空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物(桐油)および/または光重合性物質(アロニックスM400)を添加すると(実施例4〜7)、熱線反射ガラスに対する耐候接着性が良く、凝集破壊の割合が高くなっていることがわかる。また、50%引張り応力・最大引張り応力・最大荷重時の伸びの値の比較からわかるように、本発明の(C)成分を添加しても硬化物物性に悪影響を与えない。
【0079】
以上のように、(A)分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、(B)シランカップリング剤、(C)空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物および/または光重合性物質からなる硬化性組成物は、各種被着体に対する接着性と、ガラス基材に対する耐候接着性を同時に満たすことができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は、各種被着体に対する接着性と、各種ガラス基材、特に熱線反射ガラスに対する耐候接着性を著しく改善することができる。また、本発明の硬化性組成物に各種添加剤が添加された場合には、複層ガラス用シーリング材やSSG工法用シーリング材などの、各種被着体に対する接着性と、ガラス基材に対する耐候接着性を必要とする弾性シーラントとして特に有用である。

Claims (12)

  1. (A)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(B)シランカップリング剤、(C)空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物および/または光重合性物質、を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A)成分の飽和炭化水素系重合体が、数平均分子量が500〜50000の範囲内にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端に、一般式(1)、
    Figure 0003608898
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)SiO−(R’は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかであり、bは0、1、2のいずれかであり、aとbとが同時に0になることはない。また、mは0または1〜19の整数である)で表されるシリル基を、1分子あたり、1個以上有することを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  3. Xがアルコキシ基であることを特徴とする請求項2記載の硬化性組成物。
  4. (A)成分の飽和炭化水素系重合体が、イソブチレンに起因する繰り返し単位の総量が50重量%以上有することを特徴とする重合体である請求項1記載の硬化性組成物。
  5. (B)成分のシランカップリング剤が、イソシアネート基含有シランカップリング剤および/またはエポキシ基含有シランカップリング剤である請求項1記載の硬化性組成物。
  6. (C)成分の空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物が、不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステル化合物であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  7. 不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステル化合物が、ヨウ素価が100以上を示す不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステル化合物であることを特徴とする請求項6記載の硬化性組成物。
  8. ヨウ素価が100以上を示す不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステル化合物が、乾性油であることを特徴とする請求項7記載の硬化性組成物。
  9. 乾性油が、共役系不飽和高級脂肪酸のトリグリセリンエステルである乾性油であることを特徴とする請求項8記載の硬化性組成物。
  10. (C)成分の光重合性物質が、アクリレート類またはメタクリレート類であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  11. (A)成分100重量部に対して、(B)成分を0.1〜20重量部、および(C)成分を0.1〜20重量部を含有することを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の硬化性組成物を含有することを特徴とする複層ガラス用シーリング材組成物。
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