JP3608683B2 - 作業車両の動力取出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行車輌に油圧式無段変速装置を備え、入力軸からPTO軸に動力を取り出すための動力系統中に、PTOクラッチと、PTO軸の慣性空転防止用のブレーキ装置を設ける構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から走行車輌のハウジング内に、油圧式無段変速装置と、PTOクラッチと、PTO軸の慣性空転防止用のブレーキ装置を収容した技術は公知となっている。例えば、特開平7−117500号の技術である。この技術は、エンジン動力を、走行車輪へ伝達する油圧式無段変速装置をハウジングの前部の部屋に収容し、入力軸からPTOクラッチが設置されたPTO伝動軸を介してPTO軸へ伝達するPTO伝動装置と、PTO軸の慣性空転防止用のブレーキとを、後部の部屋に配置していた。そして、慣性空転防止用のブレーキはハウジングの後部の部屋の側壁にシリンダー室を形成し、ピストンロッドの先端に設けたブレーキパッドをPTOクラッチのクラッチケースに押しつけて制動する構成としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術では、クラッチケースにブレーキパッドを押しつけて制動する構成なので、クラッチケースの大径部分を押す構成となり、大きなブレーキ容量が必要となり、ブレーキ装置が大きくなる。更に、該ブレーキ装置を作動させるためのシリンダーも大きくする必要があるので、シリンダー室を形成するハウジングも大きくしなければならなかったのである。そして、このシリンダー室は後部のハウジングに形成されていたので、PTOクラッチ「入」のとき非制動状態とするために油圧を供給する油路は、前部ハウジングから後部ハウジングまで導く必要があるので長くなってしまい、管路抵抗でブレーキの応答が遅くなったりしていたのである。また、慣性量の大きな作業機を装着して、この作業機の入力軸をPTO軸と接続して駆動する場合には、PTOクラッチを「入」としたときに、大きな力がかかるので、そのショックが大きく、エンストとなることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、次のように構成したものである。
請求項1においては、エンジン動力を、走行車輪へ伝達する油圧式無段変速装置と、油圧式のPTOクラッチ85が設置されたPTO伝動軸33を介してPTO軸36へ伝達するPTO伝動装置とを備えたトランスミッションであって、該トランスミッションを収容するハウジング内を、仕切壁10bを介して第一の部屋R1と第二の部屋R2とに区画し、第一の部屋R1に油圧式無段変速装置を構成する油圧ポンプP又は油圧モータMの一方を配置し、第二の部屋R2に、前記PTO伝動軸33を配置すると共に、前記仕切壁10bの第一の部屋R1側に、PTO伝動軸33をPTOクラッチ85の切断時に連動して制動するための油圧式の慣性空転防止ブレーキ装置Gを配置したものである。
【0005】
請求項2においては、請求項1記載の作業車両の動力取出装置において、該慣性空転防止ブレーキ装置Gを、前記仕切壁10bの一側面に凹入状に形成したブレーキ室130と、該ブレーキ室130の中に収容された、前記PTO伝動軸33と一体回転する回転板と、ブレーキ室130に係止した固定板とを重合して成る制動摩擦部材131と、該制動摩擦部材131の側方に配置した加圧板90と、前記加圧板90を覆うべく前記仕切壁10bの前面に装着したカバー87と、該カバー87の中に配置されたスプリング88であって、前記制動摩擦部材131を押圧する向きに前記加圧板90を付勢するスプリング88とを備えた摩擦ブレーキに構成したものである。
【0006】
請求項3においては、請求項2記載の作業車両の動力取出装置において、前記PTOクラッチ85を、作動油の供給により係合作動するよう構成し、PTOクラッチ85に対し作動油を給排するロータリジョイント部をPTO伝動軸33上に構成する一方、ブレーキの加圧板90には、制動摩擦部材131に向けて突出した押圧部と、この押圧部に対して径方向で並ぶように突出した環状のピストン部90bとが備えられると共に、前記仕切壁10bのブレーキ室130の外周位置には、環状の凹入して加圧板90のピストン部90bが摺動自在に嵌入されるシリンダ室132を形成し、PTOクラッチ85の方向切換弁101から導かれる油通路を、仕切壁10bに形成した油路を介してロータリジョイント部とシリンダ室132とに夫々接続したものである。
【0007】
請求項4においては、請求項3記載の作業車両の動力取出装置において、前記方向切換弁101をプレート部材77を介してハウジングの外壁に取付け、このプレート部材77とハウジングとの間に、方向切換弁101のクラッチポートと仕切壁10bの油路とを連通する油通路を設けると共に、該油通路からロータリジョイント部に至る途中に、そのケースが前記ハウジングの一部で構成されたアキュムレータ117を接続したものである。
【0008】
請求項5においては、請求項4記載の作業車両の動力取出装置において、前記アキュムレータ117のケースを、ハウジング外壁から仕切壁内に向けて穿設した孔部で構成し、孔部にアキュムレータ117のピストン117aを摺動自在に収容してその孔部を、前記プレート部材77で閉塞すると共に、プレート部材77とピストン117aの頭部との間に、プレート部材77の前記油通路を導いているものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に添付の図面に示した本発明の実施例の構成を説明する。
図1は作業車両の全体側面図である。
【0010】
図1において、本発明のトランスミッションを搭載したミッドマウント型作業車両の全体構成から説明する。機体前部上のボンネット1内にエンジンEを収納し、該ボンネット1後部にダッシュボード2を配置し、該ダッシュボード2上にハンドル3を配置している。該ダッシュボード2下部の両側方にステップ4を配置し、左側のステップ4上にブレーキペダル5L・5Rを配置し、右側のステップ上に図示しない主変速ペダルを配置している。前記ダッシュボードの後方には座席6を配置し、該座席6の側方に副変速レバー7、PTO切換レバー9が配置されている。
【0011】
前記座席6下方に本発明のトランスミッションが配置されており、該トランスミッションは、前ケース10と後ケース11からなるハウジング内に油圧式無段変速装置とギア式変速装置とPTO伝動装置とを収納して構成されている。該前ケース10から前方に入力軸12と前輪駆動軸の第一軸部13とPTO出力軸の一つであるミッドPTO軸14を突出し、後方にはリアPTO軸36を突設している。入力軸12には前記エンジンEのクランク軸より機体フレーム15内のダンパー(図示せず)、伝動軸16を介して連動連結されている。
前記前輪駆動軸の第一軸部13にはユニバーサルジョイント17を介してフロントアクスルケース18より突出した入力軸19が連結され、該入力軸19に動力が伝えられて、フロントアクスルケース18の左右両側に軸支した前輪20を駆動できるようにしている。22は前輪20を操向自在とするためのパワーステアリングシリンダーである。前記ミッドPTO軸14にはユニバーサルジョイント23を介して、モア24のギアボックス25より突出した入力軸26と連動連結されている。該モア24は図示しない昇降装置によって、前輪20と後輪21の間の空間で地面に対して昇降可能に構成されている。
【0012】
前記後ケース11の後部両側面からは車軸27を左右側方へ突出して後輪21を軸支して駆動できるようにしている。後ケース11上面には油圧昇降装置用のケース29を載置し、該ケース29には左右一対の上下揺動自在なリフトアーム30が備えられている。後ケース11の後面には、ロアリンク31・31とドローバーヒッチ32とを備えたプレートが装着されている。そして、前記リフトアーム30とロアリンク31と図示しないトップリンクとには作業機が昇降自在に装着されるようにし、また、ドローバーヒッチ32に牽引作業機が装着されるようにしている。
【0013】
次に、トランスミッションの構成を説明する。
図2は走行系及びPTO系を備えたトランスミッションのスケルトン図、図3は前ケース内に構成された油圧式無段変速装置の側面断面図、図4は第二の部屋内のギア式変速装置とミッドPTO軸への動力伝達機構を示す側面断面図、図5は前輪駆動軸への動力伝達機構とリアPTO軸への動力伝達機構を示すハウジング後部側面断面図、図6は慣性空転防止用のブレーキとPTOクラッチの拡大断面図、図7は同ブレーキの分解組立斜視図、図8は走行系及びPTO系の動力伝動軸の配置を示す正面図、図9は図3におけるX−X矢視断面図、図10はギア式変速装置の変速操作部と、変速操作部に連係される後進変速牽制装置部の平面断面図、図11は図3における右側のY−Y矢視断面図と左側のY’−Y’矢視断面図、図12は図9におけるZ−Z矢視断面図、図13はハウジングの前部斜視図、図14は油圧回路図である。
【0014】
前記ハウジングは、前ケース10と後ケース11に前後に分割可能に接合されており、該前ケース10は前面に前壁10aを、後面に仕切壁10bを形成して、前壁10aの周囲に機体フレーム15接合用のフランジ部10hが形成され、該前ケース10の前壁10aの一部に設けた開口部を閉塞するためにセンタセクション40が固設され、前ケース10の仕切壁10bとセンタセクション40の間に第一の部屋R1を形成している。該センタセクション40は後述する油圧ポンプP1とモーターMとを装着するための部位であって前壁10aの一部を構成している。
そして、前ケース10の下部には前輪駆動軸13・44を挿入するための貫通孔が形成されている。そして、後ケース11の機体前後方向略中央部に隔壁11aを設けて、後ケース11内を前後に仕切り、前記前ケース10の仕切壁10bは前壁10aと隔壁11aとの間に位置し、ハウジング内に第二の部屋R2を形成するための仕切壁として機能している。後ケース11の隔壁11aと後壁11cとの間には第三の部屋R3が形成されている。更に、後ケース11の後壁には凹部を形成して、該凹部は蓋体79によって閉塞され、第四の部屋R4を形成している。
【0015】
そして、前記前ケース10におけるセンタセクション40と仕切壁10bとの間に形成された第一の部屋R1内において、その上部位置に入力軸12を軸受支持する一方、センタセクション40の内面に油圧ポンプP1を装着して、該入力軸12に油圧ポンプP1を連結している。前記センタセクション40外面にはチャージポンプP2を配置し、入力軸12に連結している。
また、第一の部屋R1内上下方向の略中央位置に走行第一伝動軸41を軸受支持している。センタセクション40の外面には、走行伝動一軸41と同一軸心上にその回転軸心が位置するように油圧モータMを装着している。センタセクション40内に穿設した後述する油路を通じて油圧ポンプP1と油圧モータMとを流体接続することにより油圧式無段変速装置を構成している。
【0016】
前記油圧ポンプP1は次のように構成される。即ち、センターセクション40の上部内面に設けたポンプ付設面50にシリンダブロック51が回転自在に配置され、該シリンダブロック51の回転中心部に入力軸12が係合されている。該シリンダブロック51の複数のシリンダ孔内に、付勢バネを介してピストン52・52・・・が往復動自在に嵌合され、該ピストン52・52・・・の頭部に可動斜板53のスラストベアリング53aが当接されている。該可動斜板53は両側方へ突設したトラニオン軸53b・53bを中心として傾倒でき、図9に示すように、一方は前ケース10の左側壁内面に回転自在に支持され、他方は前ケース10の右側壁の開口部を閉塞する側板60に回転自在に支持されている。この他方のトラニオン軸53b上には中立戻しバネ59が外嵌されている。この中立戻しバネ59の両端は同方向に延びて途中で交差し、可動斜板53の側面に植設した可動ピンと側板60の内面に植設した偏心固定ピン78とを挟み込んでいる。該偏心固定ピン78を所定の位置にセットすることにより可動斜板53は中立戻しバネ59を介して中立位置に向けて付勢される。このトラニオン軸53bは更に延長して側板60より突出し、この突出部分に速度制御アーム61を固定している。該速度制御アーム61には後述する連結ロッド125等を介して前記ステップ4上に配置した主変速ペダルと連動連結されている。
【0017】
前記センターセクション40の下部外面にモータ付設面54が構成されており、該モータ付設面54に、シリンダブロック55が回転自在に配置され、該シリンダブロック55の回転中心部に出力軸45が係合されている。該シリンダブロック55の複数のシリンダ孔内に付勢バネを介して複数のピストン56・56・・・が往復動自在に嵌合されている。該ピストン56の頭部は固定斜板57に接当している。固定斜板57はセンタセクション40の外面に取り付けたモーターケース58内に固着され、またモーターケース58はシリンダブロック55も収納している。
【0018】
そして、前記油圧ポンプP1と油圧モータMはセンタセクション40内に穿設した油路40a・40b(図10)によって流体的に結合され、該油路40a・40bによって閉回路を構成し、該閉回路内には入力軸12上に設けたチャージポンプP2から圧油が補給される。図11に示す前ケース10の下部側面に油フィルター46を配置するために、図13に示すように、前ケース10の下部側面にはフィルター取付部10gが形成されている。該油フィルター46の入口孔46aは図9に示すように、仕切壁10bに穿設した孔120を通じて第二の部屋R2と連通している。第二の部屋R2内の潤滑油は、油フィルター46によりろ過された後にフィルター46の出口孔46b(図11)より側壁に設けた油路121a、側板60と前ケース10の右側壁との合わせ面に形成した縦油路121b、並びに、前ケース10の前面に開口する横油路121c,センタセクション40内の油路を通じて前記チャージポンプP2の吸入ポートに導かれる。
【0019】
このように第一の部屋R1内には油圧ポンプP1を収納してしているので、長時間の稼動によりその内部に溜められた油は比較的高温となる。一方、第二の部屋R2内には後述するギア式変速装置とPTO伝動装置を収納しているだけなので、その中の油はあまり高温にはならない。この温度の低い側の潤滑油を前記油フィルター46を介してチャージポンプP2に吸い込んで油圧式無段変速装置に補給することにより、該変速装置を流れる作動油の温度上昇が抑制され、その耐久性を向上させている。また、前ケース10に油フィルター46の関連要素を集中配置することにより、配管することなく、短く簡単な油路構成で第二の部屋R2内の潤滑油を吸入できるようにして、製作コストの低減化を図っている。
【0020】
前記チャージポンプP2の吐出圧は図14に示すように、メインリリーフ弁47によって設定され、その圧油の一部は抵抗弁48を介して、ハンドル3に連係した切換弁100の切り換えによってパワーステアリングシリンダー22に送油され、前輪20を操向回動する。該ステアリングシリンダー22からの戻り油は、オイルクーラー123を経てモーターケース58内に戻され、更にセンタセクション40の貫通孔を介して第一の部屋R1、仕切壁10bの各軸受部を介して第二の部屋R2へと流れる。
また、チャージポンプP2からの吐出油は減圧弁49により調圧され、チェック弁124・124のうち低圧側のチェック弁を通じて前記閉回路内に補給される。また、油路40aまたは40bの高圧側が異常に高くなると高圧リリーフ弁104・104よりリリーフされ規定圧が維持される。減圧弁49の調圧作動時に排出される一定流量のドレン油は後述するPTOクラッチ85の方向切換弁101に送油される。
【0021】
また、前記閉回路を構成する油路40a・40bにはチェック弁102・102と油フィルター103・103が接続され、図10に示すように前ケース10の前壁10aに配置されており、エンジンEを停止して坂道に駐車する場合等において、油圧モータMや油圧ポンプなどの各部分から閉回路内の油が漏れて作動油の不足を生じたときに油フィルター103・103を通じてチェック弁102から第一の部屋R1内の潤滑油を補給できるようにしている。
そして、図3に示すように、センタセクション40の上部に前記メインリリーフ弁47が設けられて、チャージポンプP2の吐出油圧を規定圧に設定し、センタセクション40の上部外面に固設したチャージンプP2のポンプケース105内に前記減圧弁49を配置している。
【0022】
また、図2、図4、図5に示すように前記前ケース10の仕切壁10bと後ケース11の隔壁11aとの間に、PTOカウンター軸39、PTO伝動軸33、走行伝動第二軸42、走行伝動第三軸43が軸受を介して回転自在に前後方向に沿って平行に横架されている。更に前ケース10と後ケース11を下斜め側方へ突出した膨出部10i・11bの間にカウンター軸34及びミッドPTO軸14が軸受を介して回転自在に前後方向に横架されている。
【0023】
また、図5に示すように前記後ケース11の隔壁11aと後ケース11の後壁11cの間の第三の部屋R3内には、その上部にリアPTO駆動軸35を前後方向に横架して設け、その下部にデフギア装置Dと油圧昇降装置用の油フィルター38とを並置している。該リアPTO駆動軸35の後部は前記第四の部屋R4に突入され、その突入した部位に歯車35aを設け、更に、後壁11cと蓋体79との間には、歯車37を備えたリアPTO軸36を回転自在に横架して、第四の部屋R4内において該歯車37を前記歯車35aと噛合させることにより、PTO駆動軸35とリアPTO軸36とを連結している。そして、蓋体79より後方へリアPTO軸36を突出している。
【0024】
次に、図2〜図8よりトランスミッションの動力伝達機構を説明する。
前記入力軸12には前述のようにエンジンEの動力がダンパー(図示せず)、伝動軸16を介して伝えられる。該入力軸12により油圧ポンプP1とチャージポンプP2が駆動され、該油圧ポンプP1からの圧油が油圧モータMに送油されて出力軸45が駆動される。該出力軸45の後端には前記走行第一伝動軸41の前端がスプライン嵌合されて、一体的に回転するように構成し、該走行第一伝動軸41の仕切壁10bを突き抜けた後端には歯車62が固設されている。
【0025】
次にギア式変速装置について説明する。前記走行第一伝動軸41上の歯車62は図2、図4に示すように、走行第二伝動軸42上に固設した大径歯車63と噛合し、該大径歯車63は走行第三伝動軸43上に遊嵌した小径歯車65aと常時噛合している。また、走行第二伝動軸42上には小径歯車64が刻設されて、該小径歯車64は走行第三伝動軸43上に遊嵌した大径歯車66aと常時噛合している。該小径歯車65aと大径歯車66aとの間には軸43上にスプラインカラー67が配置され、走行第三伝動軸43に固定され、該スプラインカラー67上にスライダー68が軸方向摺動自在に嵌合されている。
【0026】
前記スライダー68の外周に形成した係合凹部68aには、図10に示すように、シフター106が係止されている。該シフター106は、前ケース10の仕切壁10bと、後ケース11の隔壁11aとに摺動自在に横架したシフター軸107に固設され、該シフター軸107の前部は第一の部屋R1内に突出し、後述する速度制御アーム61の後進変速牽制機構に連動連結され、後部はアーム108より突出したピンに係合される。該アーム108は、後ケース11の左側壁に回転自在に軸支した切換軸109の内端に固定され、該切換軸109の外端には切換アーム110が固定され、該切換アーム110はリンク等を介して運転席側方の副変速レバー7と連結されている。
【0027】
そして、前記歯車65a・66aに夫々備わる係合子65b・66bは前記スライダー68の内歯と噛合可能に構成され、副変速レバー7の操作によって、切換アーム110を介し切換軸109が回動され、アーム108、シフター軸107、シフター106を介してスライダー68が軸方向に摺動されて、前記歯車65a・66aのうちの一方を走行第三伝動軸43に係止することにより高低の二段変速が得られるように構成している。
【0028】
従って、前記副変速レバー7を高速位置へ操作すると、スライダー68の内歯が前記小径歯車65aの係合子65bと噛合し、前記出力軸45からの動力が、走行第一伝動軸41→歯車62→大径歯車63→小径歯車65a→係合子65b→スライダー68→スプラインカラー67→走行第三伝動軸43と伝えられて、走行第三伝動軸43後端に設けたピニオン69からデフギア装置Dを介して車軸27に高速回転の動力を伝える。
【0029】
また、副変速レバー7を低速位置へ操作すると、スライダー68の内歯が前記大径歯車66aの係合子66bと噛合し、前記出力軸45からの動力が、走行第一伝動軸41→歯車62→大径歯車63→走行第二伝動軸42→小径歯車64→大径歯車66a→係合子66b→スライダー68→スプラインカラー67→走行第三伝動軸43と伝えられて、前記同様に車軸27に低速回転の動力を伝える。
【0030】
次に、前記速度制御アーム61の後進変速時の牽制機構について説明する。
図3、図9、図10に示すように、前記シフター軸107の前端部は断面視半円状に削られて最深部107aを有するカム面が形成されている。油圧ポンプP1の下方には牽制アーム111が配置されている。該牽制アーム111は互いに異なる方向に延びる第一アーム部111aと第二アーム部111bとを有し、その中途部には支軸113が固定され、該支軸113はセンタセクション40と前ケース10の仕切壁10bの間に前後方向に沿って回転自在に横架され牽制アーム111を左右方向に揺動自在に支持している。牽制アーム111の第一アーム111aの先端に設けたピン112にシフター軸107のカム面が当接されている。
前記牽制アーム111の第二アーム部111bの先端は牽制ピン114の一端面に当接されている。該牽制ピン114は側板60の外面上において前記速度制御アーム61の後進側回動範囲の略中間に位置決めされて、ブッシュ115を介して軸心方向に進退自在で可動斜板53の傾転軸線と平行に側板60に軸支され、牽制ピン114aの第一の部屋R1内に位置する部位にはバネ116が外嵌されて、牽制ピン114を第一の部屋R1内に引っ込めるように付勢している。
【0031】
そして、副変速レバー7を中立位置及び低速位置に操作したときには、図9に示す如くピン112がカム面の最深部107a内に位置しており、牽制アーム111は支軸113まわりに回動されず、速度制御アーム61は、前進側及び後進側の全範囲で回動操作することができる。そして、副変速レバー7を高速位置に操作したときにはシフター軸107が前方へ摺動されるので、牽制アーム111の第一アーム部111a先端に設けたピン112がカム面の最浅部に乗り上げ、牽制アーム111が支軸113まわりに回動されて、第二アーム部111bが牽制ピン114の内端面をバネ116に抗して押し、該牽制ピン114の外端が側板60の外面より突出する。
よって、速度制御アーム61を中立位置から後進側へ回動操作しようとするときに、後進側の回動範囲の略中間位置にさしかかった時点で、速度制御アーム61が牽制ピン114に当たるのでそれ以上の増速操作を制限するのである。つまり、副変速レバー7を高速側へ切り換えた状態で後進させると、車両は高速で後進してしまうが、この機構によれば、実用上不必要な高速状態をカットし、低速位置へ切り換えたときのみ、速度制御アーム61は後進側の全回動範囲で回動できるようにしているのである。
【0032】
次に、前輪駆動のための動力伝達機構を説明する。
図2、図3、図4、図5、図8に示すように、前記走行第三伝動軸43上に固設した歯車71は、前記走行第二伝動軸42の前端に遊嵌した歯車70と噛合し、該歯車70は第二軸部44(図5)上に固設した歯車72と噛合している。前輪駆動軸は図3に示すように、第一軸部13と第二軸部44からなり、第一軸部13は前ケース10の前壁10aに設けた前記貫通孔にベアリングを介して回転自在に支持され、第二軸部44は仕切壁10bにベアリングを介して回転自在に支持され、第一軸部13の後端部には第二軸部44の前端部が遊嵌支持されている。
【0033】
該第二軸部44の前端部と第一軸部13の後端部との間に前輪駆動の入・切を行うクラッチ機構Cが設けられている。即ち、該第二軸部44の前端部と第一軸部13の後端部の各々の外周にはスプライン溝が形成されている。第一軸部13の後端部のスプライン溝にはスライダー73を軸方向摺動自在に嵌合し、該スライダー73の外周に形成した凹部73aには図9に示されたシフター74の先端が係止されて、該シフター74は回動軸75の内端に固設されている。該回動軸75は前記前ケース10の右側面に固設したプレート部材77に回動自在に軸支されて、回動軸75の外端に前輪駆動操作アーム76を固定して速度制御アーム61の反対側に位置させている。該前輪駆動操作アーム76はリンク等を介して運転部に設けた前輪駆動入・切レバー(図示せず)と連結される。なお、スライダー73と第一軸部13との間にはスライダー73を「入」位置と「切」位置で維持できるようにボールデデント機構が設けられている。
【0034】
このような構成において、前輪駆動操作アーム76が「入」側に操作されると、スライダー73が第二軸部44と第一軸部13との両者にまたがって両者を連結し、前記走行第三伝動軸43に伝えられた動力が、歯車71→遊嵌歯車70→歯車72→第二軸部44→スライダー73→第一軸部13→ユニバーサルジョイント17→入力軸19→フロントアクスルケース18と伝えられて前輪20を駆動し、同時に前記走行第三伝動軸43から後輪21が駆動されているので四輪駆動状態となる。前輪駆動操作アーム76が「切」側に操作されると、スライダー73が第一軸部13側に摺動されて第二軸部44と第一軸部13との動力伝達が断たれて、後輪21のみが駆動される。
【0035】
次に、PTO伝動装置について説明する。
図2、図5、図6、図7に示すように、前記入力軸12の後端は仕切壁10bを貫いて第二の部屋R2内に突出されて、その入力軸12の端部上に歯車80が固設され、該歯車80は前記PTOカウンター軸39上に固設した歯車81と噛合し、該歯車81は、PTO伝動軸33上にベアリング83を介して回転自在に遊嵌された歯車82と噛合している。該歯車82の側面にはボス部が設けられ、図6に拡大して示すように、該ボス部と、PTO伝動軸33上に固設したクラッチケース84との間に摩擦板を交互に介装して摩擦多板式の油圧作動型のPTOクラッチ85を構成している。後述する油圧供給によってPTOクラッチ85のピストン86が摺動されると摩擦板を圧接して歯車82がPTOクラッチ85を介してPTO伝動軸33に係合し入力軸12からPTO伝動軸33へ動力を伝えるようにしている。89はピストン86を摩擦板押圧解除方向へ付勢するバネである。
【0036】
前記PTO伝動軸33の前端は前ケース10の仕切壁10bの貫通孔を突き抜けて、PTOクラッチ85の切断時にPTO軸14・36の慣性空転を防止するためのブレーキGが構成されている。ブレーキGは、次のように構成されている。即ち、PTO伝動軸33前端にスプライン溝33aを形成し、該スプライン溝33aに回転板を係止する一方、前ケース10の仕切壁10bの前面にブレーキ室130を凹入状として形成し、その内周部に固定板を回転不能に係止し、前記回転板に重合させることによって、制動摩擦部材131を構成しブレーキ室130内に配設している。制動摩擦部材131の一側方には加圧板90が配置されている。加圧板90は、その中央部に制動摩擦部材131に向けて突出する押圧部90aと、この押圧部90aに対して径方向で並ぶよう押圧部90aの外周で同方向に突出した環状のピストン部90bとを備えてあり、該ピストン部90bは前記制動摩擦部材板131の外周に位置する大きさで、仕切壁10bの前面において前記ブレーキ室130の外周に環状に凹入形成したシリンダー室132に摺動自在に嵌入されている。
【0037】
このように加圧板90はその中央部の押圧部90aに対して外周位置に環状ピストン部90bを設けることによって、加圧板90の軸方向寸法を小さくし、ブレーキGの全長を短くして、第一の部屋R1の限られた空間に無理なく収容することが可能になっている。そして、加圧板90を覆うべく前ケース10の仕切壁10bの前面には、細長い円筒形状のカバー87であって、その内部にコイルスプリング88を収納したカバー87が装着されている。該コイルスプリング88の基端はカバー87の内底面に当接し、作用端は加圧板90に当接してあり、これによって前記摩擦制御部材131を押圧する向きに加圧板90をカバー87の中で付勢するように構成してある。
【0038】
そして、前記PTO伝動軸33の軸内には油路33b・33cを穿設し、該油路33bの一端は前記PTOクラッチ85のクラッチケース84におけるピストン86を収納したシリンダー室に開口し、該油路33bの他側は、PTO伝動軸33の外周面に形成した環状溝33dとそれが摺接する仕切壁10bの貫通孔の内周面との間に構成されたロータリジョイント部に通じている。そして、前ケース10の仕切壁10bにはその肉厚部に沿って油路10fが穿設され、その一端は前記ロータリジョイント部に連通し、他端は前ケース10の左側面に開口している。また、前述したブレーキGのシリンダ室132の底部の1箇所に油路10cが仕切壁10bを縦断する方向に穿設されてその端部は油路10fと直交して連通している。
【0039】
なお、PTO伝動軸33内の油路33cの一端はPTO伝動軸の外周面上に開口しており、前述したブレーキGのブレーキ室130と連通し、カバー87で閉じられている。仕切壁10bの肉厚部内には油路33cと平行に油路10eが穿設され、その一端は前記ブレーキ室130に連通し、他端は前ケース10の左側面に開口している。
【0040】
また、前ケース10の左側壁の外面に装着されるプレート部材77は図15、図16、図17に示す如く構成されている。即ち、プレート部材77は2つの回動軸75・127を回動自在に軸支すると共に、PTOクラッチ85を『係合』・『非係合』に択一切換操作するための方向切換弁101が設置されている。そして図15、図17に示されているように、プレート部材77の前ケース10の左側面に対する接合面には4つの油溝77a・77b・77c・77dが設けられ前ケース10の左側面にプレート部材77を接合することによりこれらの油溝77a・77b・77c・77dは閉じられて油通路を形成する。
ここで、前記方向切換弁101のポンプポートに油溝77cが、また、そのクラッチポートに油溝77aが連通している。油溝77aと油溝77bとは、プレート部材77に内装されたリリーフ弁119を介して連通しており、油溝77aに流れる油がリリーフ弁119にて規定値に調圧され、リリーフ弁119から排出されたリリーフ油が油溝77bに流れるようになっている。
【0041】
そして、プレート部材77は、上述した前ケース10の左側面に開口する油路10e・10fを覆い、油溝77aの端部を前記した油路10fに連通させ、油溝77bを前記した油路10eに連通させている。また、油溝77dは、方向切換弁101のドレンポートに連通していると共に、前ケース10の左側面に設けた貫通孔10m(図12)を通じて前ケース10の内部の油溜まりに連通している。更に、前記油溝77aは図11の右半分及び図12に示すように、アキュムレータ117と接続されている。該アキュムレータ117は、前ケース10の仕切壁10bの肉厚部内に入力軸12と直交する方向へシリンダー室10dを穿設し、該シリンダー室10dにバネ117bとピストン117aを挿入してピストン117aの頭部をプレート部材77で蓋して、その頭部とプレート部材77との間に形成した受圧室を油溝77aに連通させることにより簡単にアキュムレータを構成している。なお、シリンダー室10dの末端は、入力軸12の軸受室10jに連通しており、アキュムレータ117の作動時にシリンダー室10d内に漏れた油は入力軸12の軸受の潤滑油として利用されるようになっている。
【0042】
前記プレート部材77の上側に設置された方向切換弁101は3ポート2位置切換の電磁弁により構成され、そのポンプポートは上述した油溝77cを通じて、前ケース10の左側壁の肉厚部に沿って前方に延びる油路10n(図9、図13)の一端と連通している。該油路10nの他端は、前ケース10の前壁10aの装着したセンタセクション40に設けた貫通孔(図示せず)を通じてポンプケース105内の前記減圧弁49のドレンポートに連通して減圧弁49から排出される油がここに導入されるようになっている。方向切換弁101はダッシュボード2上に設けたPTO切換スイッチ(図示せず)のON−OFF操作によって『作用位置』と『非作用位置』とに択一的に切り換えることができ、その『非作用位置』においた場合には、方向切換弁101は図14に示した状態となり、油溝77a・77cを油溝77dに連通させるので減圧弁49のドレンポート、並びに、PTOクラッチ85のシリンダ室とブレーキGのシリンダ室132とに繋がった油路10f、の各々が油溝77dから貫通孔10mを介して前ケース10の油溜まりに開放される。
【0043】
よって、PTOクラッチ85は、そのピストン86がバネ89の付勢により摩擦板から後退して非係合状態となりPTO伝動軸33への動力伝達を遮断する。一方、ブレーキGは、そのコイルスプリング88の付勢により加圧板90の押圧部90aが制動摩擦部材131を押圧してPTO伝動軸33が制動され、後述するミッドPTO軸14やリアPTO軸36を迅速に停止させる。また、方向切換弁101を『作用位置』においた場合には油溝77cが油溝77aに連通されると共に油溝77dがブロックされる。これにより減圧弁49のドレンポートを流れる圧油が、前ケース10における仕切壁10bの油路10f、ロータリジョイント部、PTO伝動軸33内の油路33bを通ってPTOクラッチ85のシリンダ室に流入しピストン86が摩擦板を押圧してPTOクラッチ85が係合し、入力軸12の回転をPTO伝動軸33に伝達する。
一方、油路10fを流れる圧油は分岐して油路10cに流れブレーキGのシリンダ室132に流入してコイルスプリング88に抗して加圧板90を制動摩擦部材131から後退させてPTO伝動軸33の制動を解除する。なお、油溝77aに流れる圧油の調圧時にリリーフ弁119から排出されるリリーフ油は、油溝77bに流れて油路10eからブレーキ室130内の制動摩擦部材131を潤滑した後にPTO伝動軸33の端面から油路33c内に流れ、PTOクラッチ85の摩擦板や各被潤滑部位を潤滑した後に後ケース11内の油溜まりに戻される。
【0044】
このPTO伝動軸33に作用する軸トルクと時間との関係は、図18で示す如くであり、波形aが、慣性空転防止用のブレーキGによるPTO伝動軸33を制動するブレーキトルクであり、時間(t0)でPTO切換スイッチがOFFの時にトルク値(T1)のブレーキトルクがPTO伝動軸33に作用している。そしてPTO切換スイッチをONとすると、油圧供給により加圧板90が押されてバネ88の付勢力が弱められ時間の経過とともに、ブレーキトルクは減少していく。一方、時間(t1)に至るまでPTOクラッチ85のピストン86のシリンダー室に作動油が充填されるまでの間、PTO伝動軸33には伝動トルクが発生しない。
そして、時間(t1)に達して波形bで示す伝動トルクがPTO伝動軸33に与えられ、時間(t1)〜(t2)の間でバネ117bに抗してピストン117aが変位して、シリンダー室10d内に作動油を充填するので、ピストン86に作用する油圧上昇は穏やかとなり摩擦板に対する押圧力を徐々に高めながらPTOクラッチ85が穏やかに係合し始め、伝動トルクが上昇していく。そして、時間(t2)に到着したところでピストン117aの変位が停止し、時間(t2)〜(t3)の間でバネ89の付勢力に抗してピストン86が摩擦板を強く押して、時間(t3)でPTOクラッチ85が完全係合し、PTO伝動軸33には設定最大の伝動トルクT2が与えられる。
【0045】
前記PTOクラッチ85の後方でPTO伝動軸33にミッドPTO駆動歯車91を遊嵌し、該ミッドPTO駆動歯車91に隣接してスプラインカラー92(図6)をPTO伝動軸33に固定し、PTO伝動軸33の後端に互いの軸心を一致させて、リアPTO駆動軸35に連結する伝動軸34の前端を遊嵌支持している。前記ミッドPTO駆動歯車91の側面上には係合子93を形成し、伝動軸34の前端上にも係合子94を形成し、スプラインカラー92上にはスライダー95が相対回転不能でかつ軸方向摺動自在に外嵌されている。該スライダー95の外周に形成した環状凹部には図示しないシフターが挿入され、該シフターは図11に示すシフター軸122に固定されている。該シフター軸122は前ケース10の仕切壁10bと後ケース11の隔壁11aとの間に前後方向に摺動自在に横架され、その前端は第一の部屋R1内に鑑んでいる。一方、プレート部材77には回動軸127が回動自在に横架され、その内端にアーム123が固着され、アーム123はシフター軸122に係止している。回動軸127の外端にはPTO切換アーム125が固着され、PTO切換アーム125はリンク等を介して前記運転席側部に配置したPTO切換レバー9と連結される。
【0046】
前記ミッドPTO駆動歯車91は、図2、図4に示すように、前記走行第三伝動軸43の軸方向中途部上にベアリング96・96を介して回転自在に遊嵌されたアイドル歯車97と噛合し、該アイドル歯車97はカウンター軸99上に固設した歯車98と噛合し、該歯車98はミッドPTO軸14上に固設した歯車100と噛合して、ミッドPTO駆動歯車91からミッドPTO軸14に動力を伝達するように構成している。このように、ミッドPTO軸14に動力を伝達するためのPTO伝動ギアトレーン(ミッドPTO駆動歯車91、アイドル歯車97、歯車98、歯車100)を、ハウジング内の第二の部屋R2に収納し、アイドル歯車97が、ギア式変速装置を構成する軸の1つを利用してここに設置しているのでコンパクトな構成になっている。
【0047】
従って、前記運転席側部に配置したPTO切換レバー9を操作して、スライダー95を図5の紙面右方向へ摺動させると、スプラインカラー92と伝動軸34上の歯車94とがスライダー95を介して連結して、動力はPTO伝動軸33→スプラインカラー92→スライダー95→係合子94→伝動軸34→リアPTO駆動軸35と伝えられ、リアPTO軸36のみが駆動される。この位置からスライダー95を一段左方向へ摺動させると、スライダー95は、ミッドPTO駆動歯車91の係合子93とスプラインカラー92と伝動軸34の係合子94とを連結して、前述したリアPTO軸36を駆動すると共に、動力はPTO伝動軸33→スプラインカラー92→スライダー95→係合子93→ミッドPTO駆動歯車91と伝えられ、PTO伝動ギアトレーンを介してミッドPTO軸14を駆動し、ミッドPTO軸14とリアPTO軸36の両方が駆動される。更にスライダー95を紙面左方向へ摺動させると、スライダー95はミッドPTO駆動歯車91の係合子93のみをスプラインカラー92に連結して、動力はPTO伝動軸33→スプラインカラー92→スライダー95→係合子93→ミッドPTO駆動歯車91と伝えられ、ミッドPTO軸14のみが駆動される。
【0048】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、トランスミッションを収容するハウジング内の第一の部屋に油圧式無段変速装置を構成し、第二の部屋に前記PTO伝動軸を配置、該第一の部屋と第二の部屋とを区画する仕切壁に、PTO伝動軸をPTOクラッチの切断時に制動するためのブレーキを構成したので、第一の部屋の空いたスペースにブレーキを配置することができ、ハウジング内の空間を有効に利用して、ハウジングをコンパクトに構成することができた。
【0049】
また、ブレーキのブレーキ室を仕切り壁の一側面に凹状に形成して構成したので、ブレーキ室を別部品で構成することなく仕切り壁を有効に利用でき、このブレーキ室内に摩擦制動部材を収容して、加圧板で摩擦制動部材を押圧し、この加圧板をカバーで覆う構成としたので、ブレーキを小形化でき、第一の部屋内に占めるスペースも小さくすることができた。
【0050】
また、ブレーキの加圧板には、摩擦制動部材に向けて突出した押圧部と、この押圧部に対して径方向で並ぶように突出した環状のピストン部とが備えられると共に、前記仕切壁のブレーキ室の外周位置には、環状の凹入して加圧板のピストン部が摺動自在に嵌入されるシリンダ室を形成したので、ブレーキ装置の前後長さを更に圧縮でき、第一の部屋の限られた空間にブレーキ装置を無理なく設置することが可能となりコンパクト化が可能となった。
また、PTOクラッチに対し作動油を給排するロータリジョイント部を伝動軸上に構成し、PTOクラッチの方向切換弁から導かれる油通路を、仕切壁に形成した油路を介してロータリジョイント部とシリンダ室とに夫々接続したので、PTOクラッチに対する作動油給排とブレーキに対する作動油給排とが仕切壁の中で簡潔に行えるようになり、油通路の全長が短くなり、管路抵抗が軽減され、その結果、ブレーキの作動が確実に行える。
【0051】
また、PTOクラッチの方向切換弁をプレート部材を介してハウジングの外壁に取付け、このプレート部材とハウジングとの間に、方向切換弁のクラッチポートと仕切壁の油路とを連通する油通路を設けると共に、該油通路からロータリジョイント部に至る途中に、そのケースが前記ハウジングの一部で構成されたアキュムレータを接続したので、アキュムレータによってPTOクラッチを緩嵌入させることができ、慣性量の大きな作業機をショックなく良好に駆動させることができる。更に、アキュムレータはハウジングの一部に構成することができるので、構造が簡素化されて低コストで構成できる。
【0052】
また、前記アキュムレータのケースを、ハウジング外壁から仕切壁内に向けて穿設した孔部で構成し、孔部にアキュムレータのピストンを摺動自在に収容してその孔部を前記プレート部材で閉塞すると共にプレート部材とピストンの頭部との間に、プレート部材の前記油通路を導いたので、アキュムレータが仕切壁に内蔵されてアキュムレータを設置するためのスペースを確保する必要がなくなる。また、方向切換弁の油通路に対するアキュムレータの接続がプレートの装着と同時になされるので組立作業が容易にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業車両の全体側面図である。
【図2】走行系及びPTO系を備えたトランスミッションのスケルトン図である。
【図3】前ケース内に構成された油圧敷無段変速装置の側面断面図である。
【図4】第二の部屋内のギア式変速装置とミッドPTO軸への動力伝達機構を示す側面断面図である。
【図5】前輪駆動軸への動力伝達機構とリアPTO軸への動力伝達機構を示すハウジング後部側面断面図である。
【図6】慣性空転防止用のブレーキとPTOクラッチの拡大断面図である。
【図7】同ブレーキの分解組立斜視図である。
【図8】走行系及びPTO系の動力伝動軸の配置を示す正面図である。
【図9】図3におけるX−X矢視断面図である。
【図10】ギア式変速装置の変速操作部と、変速操作部に連係される後進変速牽制装置部の平面断面図である。
【図11】図3における右側のY−Y矢視断面図と左側のY’−Y’矢視断面図である。
【図12】図9におけるZ−Z矢視断面図である。
【図13】ハウジングの前部斜視図である。
【図14】油圧回路図である。
【図15】プレート部材の正面図である。
【図16】プレート部材の側面図である。
【図17】プレート部材の背面図である。
【図18】PTOクラッチの軸トルクと時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
G 慣性空転防止ブレーキ装置
P 油圧ポンプ
M 油圧モータ
R1 第一の部屋
R2 第二の部屋
10 前ケース
10b 仕切壁
11 後ケース
12 入力軸
33 PTO伝動軸
77 プレート部材
85 PTOクラッチ
87 カバー
90 加圧板
101 方向切換弁
117 アキュムレータ

Claims (5)

  1. エンジン動力を、走行車輪へ伝達する油圧式無段変速装置と、油圧式のPTOクラッチ85が設置されたPTO伝動軸33を介してPTO軸36へ伝達するPTO伝動装置とを備えたトランスミッションであって、該トランスミッションを収容するハウジング内を、仕切壁10bを介して第一の部屋R1と第二の部屋R2とに区画し、第一の部屋R1に油圧式無段変速装置を構成する油圧ポンプP又は油圧モータMの一方を配置し、第二の部屋R2に、前記PTO伝動軸33を配置すると共に、前記仕切壁10bの第一の部屋R1側に、PTO伝動軸33をPTOクラッチ85の切断時に連動して制動するための油圧式の慣性空転防止ブレーキ装置Gを配置したことを特徴とする作業車両の動力取出装置。
  2. 請求項1記載の作業車両の動力取出装置において、該慣性空転防止ブレーキ装置Gを、前記仕切壁10bの一側面に凹入状に形成したブレーキ室130と、該ブレーキ室130の中に収容された、前記PTO伝動軸33と一体回転する回転板と、ブレーキ室130に係止した固定板とを重合して成る制動摩擦部材131と、該制動摩擦部材131の側方に配置した加圧板90と、前記加圧板90を覆うべく前記仕切壁10bの前面に装着したカバー87と、該カバー87の中に配置されたスプリング88であって、前記制動摩擦部材131を押圧する向きに前記加圧板90を付勢するスプリング88とを備えた摩擦ブレーキに構成したことを特徴とする作業車両の動力取出装置。
  3. 請求項2記載の作業車両の動力取出装置において、前記PTOクラッチ85を、作動油の供給により係合作動するよう構成し、PTOクラッチ85に対し作動油を給排するロータリジョイント部をPTO伝動軸33上に構成する一方、ブレーキの加圧板90には、制動摩擦部材131に向けて突出した押圧部と、この押圧部に対して径方向で並ぶように突出した環状のピストン部90bとが備えられると共に、前記仕切壁10bのブレーキ室130の外周位置には、環状の凹入して加圧板90のピストン部90bが摺動自在に嵌入されるシリンダ室132を形成し、PTOクラッチ85の方向切換弁101から導かれる油通路を、仕切壁10bに形成した油路を介してロータリジョイント部とシリンダ室132とに夫々接続したこと特徴とする作業車両用の動力取出装置。
  4. 請求項3記載の作業車両の動力取出装置において、前記方向切換弁101をプレート部材77を介してハウジングの外壁に取付け、このプレート部材77とハウジングとの間に、方向切換弁101のクラッチポートと仕切壁10bの油路とを連通する油通路を設けると共に、該油通路からロータリジョイント部に至る途中に、そのケースが前記ハウジングの一部で構成されたアキュムレータ117を接続したことを特徴とする作業車両の動力取出装置。
  5. 請求項4記載の作業車両の動力取出装置において、前記アキュムレータ117のケースを、ハウジング外壁から仕切壁内に向けて穿設した孔部で構成し、孔部にアキュムレータ117のピストン117aを摺動自在に収容してその孔部を、前記プレート部材77で閉塞すると共に、プレート部材77とピストン117aの頭部との間に、プレート部材77の前記油通路を導いてあることを特徴とする作業車両の動力取出装置。
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