JP3608460B2 - 家具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、袖机やワゴン等として利用可能な家具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、袖机やワゴン等には、上面後部に起立壁部を有する袖状箱体と、前記起立壁部との間に間隙を形成するようにしてこの袖状箱体上に配された天板とを具備してなり、前記間隙の下に配線空間を設けて、床から立ち上げた配線類や、天板から落とし込んだ配線類を収納しておけるようにしたものが知られている。
【0003】
また、その一方で、前記配線空間の端部に、天板と起立壁部とに亘ってチャネル材を両持ち的に取り付け、このチャネル材の一部にタスクライトや電話台等のオプション部材を取り付けるための取付部を構成している例もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記配線空間は、前述したオプション取付用のチャネル材によって塞がれた状態にあり、机から机へ横配線するための引出し口を側壁の上縁部分に十分に確保することが難しい。これに対して、配線空間を側方に開放すべく、側壁に前記配線空間に連続する凹部を設けて、この凹部と前記配線空間によって配線類を通過させるための配線通路を形成する構成も考えられるが、このようにすると配線通路を塞ぐ位置にある前記オプション取付用のチャネル材を取り外さなければならず、今度はオプション類の取付機能が犠牲になる。このように、従来のこの種の家具には、横配線機能とオプション取付機能とを好適に両立させることが難しいという課題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明は、オプション類を取り付けるためのブラケットを採用し、配線空間内における取付構造に工夫を凝らすことで、横配線機能の妨げになることを有効に回避しようとするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
そのために、本発明の家具は、上面後部に起立壁部を有する袖状箱体と、前記起立壁部との間に間隙を形成するようにしてこの袖状箱体上に配された天板とを具備し、前記間隙の下に配線空間を設けるようにする。そして、前記袖状箱体の側壁上縁部に前記配線空間に連続する凹部を設け、この凹部と前記配線空間とによって配線類を通過させるための配線通路を形成し、その配線通路の内側にブラケットを片持的に支持させ、そのブラケットにオプション類を取り付け得るようにしたことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、ブラケットは配線通路の内側に片持的に支持され、チャネル材のように配線通路全体に亘って両持ち的に支持されて配線通路を完全に塞ぐようなものではないため、ブラケットの反支持端側において配線通路を開放しておくことができる。このため、オプション類に対する取付機能を損なうことなく、横配線機能を備え併せた家具を有効に構成することが可能となる。
【0008】
ブラケットの強度を有効に確保するためには、配線空間に、天板の後端部を支持する前水平部と、この前水平部の後縁部から垂下させた前側の起立壁と、この起立壁の下縁部から後方に連続させた底壁とを少なくとも備えた配線ダクトを設け、この配線ダクトの起立壁の内側に前記ブラケットを装着していることが望ましい。
【0009】
オプション類に対する取付強度を有効に高めるためには、配線ダクトの底壁に孔を設け、この孔と前記ブラケットとによってオプション類を支持するようにしていることが好ましい。
【0010】
前記のような配線ダクトを設けると、前側の起立壁が天板の後端部の下方に位置することとなり、天板の後端部が後方にオーバーハングした状態ではなくなるが、このようにしても天板の後端側に手を掛けて家具を持ち上げることができるようにするためには、前記起立壁に、取手を設けていることが有効となる。
【0011】
家具の組み立て前の保管や搬送の便を向上させるためには、配線ダクトが、底壁の後縁部から起立した位置に後水平部を備え、前水平部及び後水平部をほぼ同一高さ位置に配して、この後水平部に起立壁部を支持させるとともに、起立壁部の高さを天板の厚みに略等しく設定していることが好都合である。
【0012】
以上のような構成であるから、本発明は、袖状箱体が袖机の袖を構成する袖机や、袖状箱体が移動可能に支持されるワゴン本体であるワゴン等に適用して有用なものとなる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施例の家具たる袖机を示している。この袖机は、使用者側から見て右側に位置して袖を構成する袖状箱体1と、左側に位置する脚体2とを備え、これら袖状箱体1と脚体2とに亘って天板3を支持してなるものである。
【0015】
具体的に説明すると、袖状箱体1は、図1及び図2に示すように、左右の側壁11と、後壁12とを少なくとも具備し、前面に引出し13を配置し、その上方を前記天板3に覆われているもので、上面後部に起立壁部4を有し、天板3の後端部31と起立壁部4との間に間隙dを形成するとともに、その間隙dの下を配線空間5zとして、この配線空間5zに配線ダクト5を設けている。
【0016】
起立壁部4は、図2及び図3及び図7に示すように、後壁12の上縁から側壁11に至るコーナー部に亘って形成されるもので、この起立壁部4を形成するにあたり、背壁12と側壁11とのコーナー部となる位置に前面側に角孔15aを有する角パイプ状の取付孔15が設けられるとともに、その側方に位置する後記配線ダクト5の後水平部55に上方に向けてフック孔55aが開口させてある。そして、前記取付孔15に樹脂製のコーナーキャップ41を、該キャップ41に設けた爪41aを前述した角孔15aに係わり合わせることによって装着するとともに、このコーナーキャップ41の側方において前記後水平部55に嵩上げ部材42を、該嵩上げ部材42に設けた爪42aを前記フック孔55aに係わり合わせることによって装着し、更に嵩上げ部材42を抱くようにコーナーキャップ41の内側突起部41b、41b間に逆L字状の化粧カバー43を被覆して、これらコーナーキャップ41、嵩上げ部材42及び化粧カバー43により前述した起立壁部4を構成している。
【0017】
また、袖状箱体1の側壁11の上縁部には、下方に矩形状に切欠くことによって切欠11aが設けてある。この切欠11aは、前後に対向する一対の起立縁11a1及びその間を連続させる底縁11a2によって部分的に包囲され、上縁側が開放されているもので、この切欠11aの縁に沿って枠体11bを取付け、この枠体11bの内縁に、前記配線ダクト5に連続する凹部11b1を設定している。この凹部11b1は、必要に応じて横蓋11cを装着することにより塞ぐことができるようにしてある。
【0018】
一方、配線ダクト5は、図2〜図7に示すように、前水平部51と、この前水平部51の後縁部から垂下させた前側の起立壁52と、この起立壁52の下縁部から後方に連続させた底壁53と、この底壁53の後縁部から階段状に起立させた後側の起立壁54と、この起立壁54の上縁部に連続させた後水平部55とを具備してなる概略チャネル状をなす板金製のもので、袖状箱体1を構成する側壁11や背壁12の内面に溶接など適宜の手段によって取り付けられている。そして、前水平部51に天板3の後端部31を支持させ、後水平部55に前述したコーナーキャップ41、嵩上げ部材42及び化粧カバー43からなる起立壁部4を支持させるようにしている。図7に示すように、この後水平部55と前記前水平部51とはほぼ同一高さ位置(厳密には前者が若干低い位置)に設定され、前記起立壁部4の高さ寸法は天板3の厚み寸法に略等しい関係(厳密には前者が若干高い関係)に設定されて、天板3の上面3xと起立壁部4の上面4xとがほぼ面一となるようにしてある。また、前側の起立壁52は、天板3の後端部31のほぼ真下に位置づけてあり、その一部に長孔状の開口52aが板金素材の塑性変形加工によって形成されている。この開口52aには、机を持ち上げるときに取手として利用できるように、手の掛け易いカール部52a1が内縁に設けてある。
【0019】
そして、配線ダクト5と前記凹部11b1とによって、配線通路Tを形成し、この配線通路Tを通じて床から立ち上げ、或いは天板3から落とし込んだ配線類Cを、袖状箱体1の側方から引き出して隣接配置される机の配線ダクト等に導くことができるようにしている。なお、この配線通路Tを使用しないときは、前述した横蓋11cを装着しておけばよい。
【0020】
一方、この実施例は、天板3の後端側に図1に示すようなタスクライト等のオプション類Oを取り付けることができるようにしている。そして、そのために、前記配線通路Cを形成する前側の起立壁52の内側に、図2及び図7に示すブラケット6を片持的に支持させている。詳述すると、前側の起立壁52には、図5に示すように、下方に向かって漸次巾狭となる対をなす第1のフック孔52bと、上方に向かって漸次或いは段階的に巾狭となる第2のフック孔52c、52c1とが設けてある。これに対して、ブラケット6は、図2、図3及び図7に示すように、前記第1のフック孔52bに上方から挿入して下方に移動させることにより引っ掛け可能な下向きの爪61aを有した第1の取付金具61と、前記第2のフック孔52c、52c1に下方から挿入して上方に移動させることにより引っ掛け可能な上向きの爪62aを有した第2の取付金具62と、これら第1、第2の取付金具61、62を相互に引き寄せるねじ要素63とを備えている。そして、第1の取付金具61と、前述した配線ダクト5の底壁53とに、図3及び図7に示すように互いに上下方向に合致する貫通孔61b、53bを設けておき、両取付金具61、62をねじ要素63によって前記フック孔52b、52c、52c1に上下から係わり合わせた状態で、貫通孔61b、53bにパイプ状のオプション取付金具64を上方から差し込んでその位置に保持させ得るようにしている。しかして、この取付状態で、起立壁52からのブラケット6の後方への突出量は、配線通路Tの前後巾W(図7参照)よりも小さくなるように設定し、後方にブラケット6に侵されない配線通路Tを確保できるようにしている。
【0021】
なお、図1及び図7に示すように、天板3の後端部31に設けられる溝31yと化粧カバー43の前縁に設けられる溝43yとの間には、端部にシャッタ71aを有したダクトカバー71が装着可能としてあり、また、天板3の前記溝31yとコーナーキャップ41の前面に設けられる溝41yとの間には、一部に開閉蓋72aを有したサイドカバー72が装着可能としてある。図1は、開閉蓋72aを開けてオプション取付用の取付金具64を上方に表出させた状態を示しているものである。図示例では、タスクライト等のオプション類Oは、下端をオプション取付金具64の開口に差し込んで取り付けられるようにしているが、オプション取付金具64がオプション類O側に付帯しており、このオプション取付金具64を前記貫通孔61b、53bに差し込むことによってオプション類Oを取り付け得るように構成することも勿論可能である。
【0022】
以上のようにして、この実施例の袖机は、袖状箱体1の側壁11の上縁部に配線ダクト5に連続する凹部11b1を設け、この凹部11b1と前記配線ダクト5とによって配線類Cを通過させるための配線通路Tを形成し、その配線通路Tの内側にブラケット6を片持的に支持させ、そのブラケット6にタスクライト等のオプション類Oを取り付け得るようにしている。
【0023】
このように、ブラケット6は配線通路Tの内側に片持的に支持され、チャネル材のように配線通路Tの全体に亘って両持ち的に支持されて該配線通路Tを完全に塞ぐようなものではないため、ブラケット6の反支持端側において配線通路Tを有効に開放しておくことができる。このため、オプション類Oに対する取付機能を損なうことなく、横配線機能を備え併せた袖机としての利用価値を有するものとなる。
【0024】
また、配線空間5zに設けられる配線ダクト5を、天板3の後端部31を支持する前水平部51と、この前水平部51の後縁部から垂下させた前側の起立壁52と、この起立壁52の下縁部から後方に連続させた底壁53とを少なくとも備えたものとし、その起立壁52に前記ブラケット6を装着している。すなわち、従来のこの種の天板支持構造に比べて、前側の起立壁52を天板の後端部31とほぼ合致する位置にまで後退した位置に設定している。このため、ブラケット6を起立壁52に支持させるに際して、後方へ大きく持ち出した状態で取り付ける必要がなくなり、ブラケット6の強度を有効に確保しておくことができる。
【0025】
加えて、配線ダクト5の底壁53に貫通孔53bを設け、この貫通孔53bと前記ブラケット6の貫通孔61bとによってオプション類Cを両持ち的に支持するようにしているため、オプション類Oに対する取付強度を有効に高めることができる。
【0026】
但し、このような位置に起立壁52を有する配線ダクト5を採用すると、前述したように天板3の後端部31が後方にオーバーハングしなくなるため、従来のようにそのオーバーハング部分において天板3の後端部31に手を掛け、袖机を持ち運ぶような事ができなくなる。しかしながら、本実施例は、前記起立壁52に、取手となる開口52aを設けているため、天板3の後端部31と起立壁部4との間隙dから手を差し込んでこの開口52aに手を掛ければ袖机を有効に持ち上げて移動させることが可能になる。しかも、その開口52aにはカール部52a1が設けてあるため、持ちやすい状態を確保しておくことができる。
【0027】
特に、配線ダクト5を、前記底壁53の後縁部から階段状に起立させた後側の起立壁54と、この起立壁54の上縁部から連続させた後水平部55とを備え、前水平部51及び後水平部55をほぼ同一高さ位置に配して、この後水平部55に起立壁部4を支持させるとともに、起立壁部4の高さを天板3の厚みに略等しく設定して、天板3の上面3xと起立壁部4の上面4xとを等しい高さ位置に配置しているため、天板面の使用に不都合がないばかりか、天板3と起立壁部4とを取り去った状態ではそれら上面3x、4xに別異の袖机を載置することができるほか、部分的に突出した部位がないため梱包にも好都合であるなど、袖机の組み立て前の状態での保管や搬送の便を有効に向上させることが可能となる。
【0028】
以上のような構成であるから、本実施例は、配線類Cを使用する機会が極めて多い袖机のほか、移動可能なワゴン等に適用しても極めて有用なものとなり得る。
【0029】
なお、各部の具体的な構成は、図示実施例のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば、前記実施例ではオプション取付用のブラケットを配線ダクトの前側の起立壁に取り付けているが、後側の起立壁を始め適宜の部位に取り付けることができるのは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載される効果を奏する。
【0031】
すなわち、本発明の家具は、袖状箱体の上面後部に起立壁部を設けて天板との間に間隙を形成し、その間隙の下に配線空間を設けた構成において、袖状箱体の側壁上縁部に前記配線空間に連続する凹部を設けて、これら凹部と配線空間によって配線通路を形成するとともに、その配線通路の内側にオプション類を取り付けるためのブラケットを片持的に支持させたものである。
【0032】
このため、ブラケットの反支持端側に配線通路を開放して、オプション類に対する取付機能を損なうことなく、横配線機能を備え併せた家具を有効に構成することができ、袖机やワゴン等に適用することによってその利用価値を効果的に高めることが可能となる。
【0033】
特に、配線空間に、天板の後端部を支持する前水平部と、この前水平部の後縁部から垂下させた前側の起立壁と、この起立壁の下縁部から後方に連続させた底壁とを少なくとも備えた配線ダクトを設け、この配線ダクトの起立壁にブラケットを装着するようにすれば、ブラケットを前側の起立壁から後方へ大きく持ち出す必要がないので、荷重支持位置を極力起立壁に近い位置に設定して、有効な強度を確保しておくことができる。
【0034】
また、配線ダクトの底壁に孔を設け、この孔と前記ブラケットとによってオプション類を支持するようにすれば、オプション類Oに対する取付強度を有効に高めることができる。
【0035】
また、このように天板を後方にオーバーハングさせない構成を採用しても、起立壁に取手を形成しておけば、この取手を利用して家具の持ち運びなどを有効に行うことができる。
【0036】
更に、配線ダクトに起立壁部を支持する後水平部をも設け、前水平部及び後水平部をほぼ同一高さ位置に配するとともに、起立壁部の高さを天板の厚みに略等しく設定しておけば、天板面の使用に不都合がない上に、天板と起立壁部を取り去った状態での保管や搬送の便を有効に向上させることが可能となる。
【0037】
以上のように、本発明は、配線類を使用する機会の多い袖机やワゴン等に適用して極めて有用なものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】同実施例の要部拡大斜視図。
【図3】図2の分解斜視図。
【図4】同実施例の配線ダクトを示す平面図。
【図5】同正面図。
【図6】同右側面図。
【図7】図4におけるA−A線階段断面図。
【符号の説明】
1…袖状箱体
3…天板
4…起立壁部
5…配線ダクト
5z…配線空間
6…ブラケット
11b1…凹部
51…前水平部
52…前側の起立壁
52a…取手(開口)
53…底壁
55…後水平部
C…配線類
d…間隙
O…オプション類
T…配線通路
Claims (6)
- 上面後部に起立壁部を有する袖状箱体と、前記起立壁部との間に間隙を形成するようにしてこの袖状箱体上に配された天板とを具備してなり、前記間隙の下に配線空間を設けてなる家具であって、前記袖状箱体の側壁上縁部に前記配線空間に連続する凹部を設け、この凹部と前記配線空間とによって配線類を通過させるための配線通路を形成し、その配線通路の内側にブラケットを片持的に支持させ、そのブラケットにオプション類を取り付け得るようにしており、
前記配線空間に底壁を備えた配線ダクトを設け、前記底壁に孔を設けて、この孔と前記ブラケットとによってオプション類を支持するようにしていることを特徴とする家具。 - 配線空間に、天板の後端部を支持する前水平部と、この前水平部の後縁部から垂下させた前側の起立壁と、この起立壁の下縁部から後方に連続させた底壁とを少なくとも備えた配線ダクトを設け、この配線ダクトの起立壁の内側に前記ブラケットを装着していることを特徴とする請求項1記載の家具。
- 起立壁に、取手を設けていることを特徴とする請求項2記載の家具。
- 配線ダクトが、底壁の後縁部から起立した位置に後水平部を備え、前水平部及び後水平部をほぼ同一高さ位置に配して、この後水平部に起立壁部を支持させるとともに、起立壁部の高さを天板の厚みに略等しく設定していることを特徴とする請求項2又は3記載の家具。
- 袖状箱体が、袖机の袖を構成するものであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の家具。
- 袖状箱体が、移動可能に支持されるワゴン本体であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の家具。
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