JP3607903B2 - マスクブランク、不要膜除去方法及びその装置、並びにマスクブランク及びマスクの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、不要膜除去方法及びその装置、並びにマスクブランク及びマスクの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フマスクブランク、半導体基板等の基板表面の一部に形成された不要膜を除去する不要膜除去方法及びその装置、並びにマスクブランク及びマスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、フォトマスク等を製造する分野においては、基板の一主表面に形成された膜のうちの不要な一部分を除去することがしばしば要求される。例えば、基板上にレジスト或いはSOG(スピン・オン・グラス)膜等を塗布する際に、略水平に保持した基板上に塗布液を滴下し、基板を回転することによりその遠心力を利用して基板上に均一な塗布膜を形成するスピンコート法を用いた場合、塗布膜が基板の全面に均一に形成されるような低速で回転させると、基板表面の周縁部に働く遠心力が小さくなり、塗布液が基板表面の周縁部にとどまり、その部分の膜厚が厚くなってしまう。
【0003】
このように、基板表面の周縁部が盛り上がると、例えば塗布液がレジストの場合は以下のような問題がある。
【0004】
フォトマスクブランクの製造工程において、基板表面にレジストが形成された後、その基板は各種処理工程を経る間に、搬送機構に保持されたり、基板収納ケースに挿抜されたりする。このとき、基板の周縁部が搬送機構のチャック部や、収納ケース内の収納溝に接触することにより、基板周縁部のレジスト膜が剥離して発塵源となり、その剥離したレジストがフォトマスクブランクの主表面に付着することによる欠陥が生じる。
【0005】
そこで、レジストを回転塗布してレジスト膜を形成させた後、基板周縁部のレジスト膜を予め除去しておく処理が施される。この処理は、基板を所定の回転中心周りに水平回転させながら、基板周縁部のレジストにレジストを溶解する処理液を供給し、この基板周縁部の被膜を溶解除去することが行われている。
【0006】
例えば、特許文献1に開示されている方法は、基板表面に中空のピラミッド形状をなしたカバーを配置し、ピラミッドの頂点の上から溶媒を供給して周縁部に供給するようにしたものである。
【0007】
尚、近年、半導体製造用のフォトマスクブランクは、5インチ×5インチの基板サイズから、6インチ×6インチの基板サイズへと大型化される傾向にある。基板サイズの大型化に伴い、マスク基板が重くなるため、フォトマスクブランクをマスクケースに収納した際、マスクケースの基板支持部とレジスト膜が形成されたフォトマスクブランク端面が接触することにより、発塵が発生する可能性が高くなり、フォトマスクブランクの周辺部に形成されたレジスト膜を除去することが要請されている。
また、フォトマスク基板上に実パターン以外にアライメントマーク、バーコードパターン、QA(品質保証)パターンなどの補助パターンが、マスク基板主表面の周辺部に形成されている。しかも、近年、これらの補助パターンは、実パターンの有効領域の拡大から、マスク基板の周縁部ぎりぎりの領域に形成されるようになった。
【特許文献1】
特公昭58−19350号公報(第2−4頁、第6図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述した従来のレジスト周辺除去方法では、次のような問題があった。
【0009】
(1)フォトマスクブランクの4辺をほぼ同じ除去幅で除去することしかできず、しかも除去幅が大きいために補助パターンの形成領域までレジスト膜が除去され、上記補助パターンのパターン不良が生じる。
【0010】
(2)また、フォトマスクブランクにフォトリソによりパターンを形成したレチクルを用いて、半導体ウエハー上に微細パターンを形成する際に使用される露光装置における基板保持部材、例えばレチクルチャックは、露光装置メーカー毎に各社の仕様が異なる。この種の露光装置は、一般に、装置本体の振動等でレチクルがずれないように、レチクルチャックに吸着された状態でレチクルを装置本体の基板テーブル上に保持する。その際、平面は3点で定義されることから、レチクルも3箇所で吸着された状態でレチクルチャックに保持される。露光装置におけるレチクルの位置精度は、半導体ウエハーに微細パターンを形成する際には非常に重要で、レチクルチャックにおける吸着にずれがあってはならない。しかし、レチクルチャックの形状に応じたレジスト膜の除去ができなかったため、露光装置におけるレチクルの位置精度が低下する。
【0011】
(3)また、露光波長の短波長化に伴い欠陥の少ない高品質のマスクブランクが要求されるようになった現在、マスクブランクの出荷の際には、一般に複数枚(通常5枚)のフォトマスクブランクが入ったマスクケースに、各マスクブランクの欠陥データをつけている。欠陥データの照合は、マスクケースに収納されるケース内の位置関係により行っている。しかし、マスクブランクを一旦検査等のために取り出して、ケース内での位置関係がずれてしまうと、各マスクブランクの欠陥データがばらばらになってしまい、照合が取れなくなるおそれがある。場合によっては、再度マスクブランクの欠陥を測定し直す必要がある。
【0012】
(4)また、上述したアライメントマーク等の補助パターンの形成領域の仕様は、マスクメーカー各社によって異なる。従って、従来の方法によってマスク基板周縁部のレジスト膜を溶解除去する際に、同じカバーを用いて不要膜を除去した場合、アライメントマーク位置までレジスト膜が溶解除去され、フォトマスクを作製したときには、アライメントマークが形成されない事態が生じる。このような事態が起きないようにするために、各社の多様に異なる位置に形成するアライメントマークを考慮して、カバーの設計、準備をすると、コストアップを招来し、またカバーを取りかえる作業が面倒であり、メンテナンスの手間も増大する。
【0013】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解消して、基板周縁部のレジスト膜が剥離することによる発塵を抑え、且つ、補助パターンの形成領域に応じてマスクブランクの周辺部に形成された膜の除去領域が制御されたマスクブランクを提供することにある。また、本発明の課題は、基板周縁部のレジスト膜が剥離することによる発塵を抑え、且つ、基板保持部材に対応した領域に応じてマスクブランクの周辺部に形成された膜の除去領域が制御されたマスクブランクを提供することにある。また、本発明の課題は、マスクブランクの欠陥データなどの識別パターンが形成されたマスクブランクを提供することにある。さらに、本発明の課題は、識別パターンのパターン欠陥のないマスク(フォトマスク等)や、露光装置にマスク(レチクル等)を保持したときに、位置精度が低下しないマスク(レチクル等)を提供することにある。また、本発明の課題は、上記マスクブランクを得るために、基板周辺部の膜の除去領域を制御(適宜調整)可能な不要膜除去方法を提供することにある。また、本発明の課題は、上記マスクブランクを得るために、基板周辺部の膜の除去領域を制御(適宜調整)可能な不要膜除去装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決する第1の手段は、
基板上に被転写体に転写すべく転写パターンを有する転写マスクの原版であるマスクブランクにおいて、該マスクブランクは、前記基板上に前記転写パターンとなる薄膜と、レジスト膜とを有し、前記基板主表面の周辺部に形成されたレジスト膜が、露光装置の保持部材により支持されるマスクブランクの被支持部領域、及びその周辺領域において残存され、それらの領域以外は除去されていることを特徴とするマスクブランクである。
【0015】
第2の手段は、
基板上に被転写体に転写すべく転写パターンと、補助パターンを有する転写マスクの原版であるマスクブランクにおいて、該マスクブランクは、前記基板上に前記転写パターン及び補助パターンとなる薄膜と、レジスト膜とを有し、前記基板主表面の周辺部に形成されたレジスト膜が、前記補助パターンが形成されるマスクブランクの補助パターン形成領域及びその周辺で残存され、それ以外の不要な領域で除去されていることを特徴とするマスクブランクである。
【0016】
第3の手段は、
基板上に被転写体に転写すべく転写パターンと、補助パターンを有する転写マスクの原版であるマスクブランクにおいて、該マスクブランクは、前記基板上に前記転写パターンとなる薄膜と、レジスト膜等の膜を有し、前記基板周縁部に形成された前記膜が部分的に除去されて、マスクブランクを識別するための識別パターンが形成されていることを特徴とするマスクブランクである。
【0017】
第4の手段は、
前記識別パターンがバーコードパターンである第3の手段に記載のマスクブランクである。
【0018】
第5の手段は、
前記基板主表面の周辺部に形成された膜が、レジスト膜である第3の手段又は第4の手段に記載のマスクブランクである。
【0019】
第6の手段は、
前記識別パターン以外の前記基板周辺部に形成されたレジスト膜が除去されていることを特徴とする第5の手段記載のマスクブランクである。
【0020】
上述の第1〜第6の手段により、上述した従来技術の問題点等を解消したマスクブランクを提供することができる。
【0021】
第7の手段は、
前記マスクブランクは、透光性基板上に少なくとも遮光機能を有する薄膜、レジスト膜等の膜が形成されたフォトマスクブランクであることを特徴とする第1乃至第7の何れかに記載のマスクブランクである。
【0022】
上述した従来技術の問題点を解消した具体的な手段は以下の通りである。
【0023】
上述の第1の手段によれば、露光装置の保持部材により支持されるマスクブランク(例えば、フォトマスクブランク)の被支持部、及びその周辺領域又はその近傍の領域で基板主表面の周辺部に形成された膜(レジスト膜)を残すように除去されている(即ち、マスクブランクの被支持部領域及びその周辺においてレジスト膜を残存させ、それらの領域以外は除去されている)ので、このフォトマスクブランクをフォトリソによりパターン形成してレチクルにしたときに、露光装置におけるレチクルの位置精度の低下を防止できる。
【0024】
上述の第2の手段によれば、少なくとも補助パターンが形成される領域に対応するレジスト膜を残すように基板周辺部に形成しているレジスト膜を除去している(即ち、補助パターンが形成されるマスクブランクの補助パターン形成領域及びその周辺のレジスト膜を残存させ、それ以外の不要な領域のレジスト膜を除去している)ので、フォトマスクを作製した際に、アライメントマーク等の補助パターンのパターン不良を防止することができる。
【0025】
上述の第3〜第4の手段によれば、フォトマスクブランクに識別パターンや、バーコードパターンを直接形成することができるので、フォトマスクブランク仕様、製品番号、製造番号等をフォトマスクブランク自体に設けることができる。
この識別パターンやバーコードパターンは、不要であればフォトマスク作製時にエッチングにより簡単に除去することができる。識別パターンやバーコードパターンはレジスト膜のみを除去してレジスト膜とその下に形成されている遮光機能を有する薄膜との反射を利用してパターン認識としてもよく、また、除去されたレジスト膜をマスクとしてさらに遮光機能を有する薄膜も除去してレジスト膜/遮光機能を有する薄膜と透光性基板との反射を利用してパターン認識してもよい。
【0026】
上述の第5の手段によれば、基板主表面の周辺部に形成された膜がレジスト膜であることにより、フォトマスク作製時にエッチングにより簡単に除去でき、フォトマスクを作製したときの欠陥要因を低減することができる。
さらに、基板周縁部のレジスト膜が剥離することによる発塵を抑えるために、第6の手段のように、識別パターン以外の基板周辺部に形成されたレジスト膜が除去されている方が好ましい。
【0027】
また、透光性基板主表面の周辺部に識別パターンやバーコードパターンを有するフォトマスクブランクは、フォトマスク作製時以外に、レーザ光によりレジスト膜、又はレジスト膜及び遮光機能を有する薄膜を除去する方法などにより作製することもできる。
【0028】
尚、本発明でいうマスクブランクは、透過型マスクブランク、反射型マスクブランクの何れも指し、それらの構造は、基板上に被転写体に転写すべく転写パターンとなる薄膜と、レジスト膜とを有する。
【0029】
透過型マスクブランクは、基板として透光性基板を使用し、転写パターンとなる薄膜は、被転写体に転写するときに使用する露光光に対し光学的変化をもたらす薄膜(例えば、遮光機能を有する薄膜)が使用されたフォトマスクブランクである。ここで、露光光に対し光学的変化をもたらす薄膜とは、露光光を遮断する遮光膜や、露光光の位相差を変化させる位相シフト膜などを指す。また、「遮光機能を有する薄膜」とは、遮光機能と位相シフト機能を有する所謂ハーフトーン膜と、遮光機能を有する遮光膜とを含む。
【0030】
従って、本発明でいうフォトマスクブランクは、遮光機能を有する薄膜として遮光膜が形成された通常のフォトマスクブランクと、遮光機能を有する薄膜としてハーフトーン膜が形成された位相シフトマスクブランク(ハーフトーン型位相シフトマスクブランク)、位相シフト膜が形成された位相シフトマスクブランクなどを含む。尚、遮光機能を有する薄膜として、上記のハーフトーン膜と遮光膜を積層させたものであっても構わない。また、遮光機能を有する薄膜のほかに位相シフト機能を持たせた層が形成された位相シフトマスクブランクを含むものとする。位相シフト機能を持たせた層は、位相シフト機能を、透光性基板を掘り込むことにより形成する場合は、透光性基板が位相シフト機能を持つ層となる。また、位相シフト層を形成しても良い。
【0031】
また、反射型マスクブランクは、基板として熱膨張係数の低いものを使用し、その基板上に光反射多層膜、転写パターンとなる光吸収体膜とを有するマスクブランクである。
また、マスクブランクには、上述の膜以外に、レジスト下地反射防止膜(BARC:Bottom Anti−Reflective Coating)、レジスト上層反射防止膜(TARL:Top Anti−Reflective Layer)、レジスト上層保護膜、導電性膜等の膜が形成されても良い。そして、必要に応じて、基板周辺部に形成されているこれらの膜を除去して上述の第1〜第7の手段のマスクブランクを形成しても構わない。
【0032】
第8の手段は、
基板表面に形成された膜のうちの不要な部分を溶媒によって溶解除去する不要膜除去方法であって、前記基板表面をカバー部材で覆い、このカバー部材の上から溶媒を供給してこの溶媒をカバー部材の周辺部に設けられた溶媒流路を通じて不要な部分を溶媒で除去するとともに、前記溶媒流路を通じて前記不要な膜部分へ供給される溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整できるようにしたことを特徴とする不要膜除去方法である。
【0033】
上述の第8の手段によれば、不要膜を除去するの溶媒流路(例えば、溶媒供給孔)の大きさ(溶媒の供給量、供給位置)を、不要膜の除去幅に応じて適宜調整可能としているので、所望の除去幅とするためにカバー部材全体を設計・準備・交換することなく、除去幅を適宜制御することができ、所望の除去幅を有する基板(例えば、フォトマスクブランク)を確実かつ容易に得ることができる。
【0034】
ここで、溶媒とは、不要膜を除去できる液体をいう。例えば、レジスト膜が不要膜である場合には、溶解除去する有機溶剤や、不要膜を露光した後、現像して除去するための現像液などをいう。また、遮光膜が不要膜である場合は、遮光膜を溶解するエッチング液などをいう。
また、溶媒流路とは、カバー部材における不要な膜部分に対応する位置に溶媒を供給するための溶媒供給孔を設けて溶媒流路としても、また、カバー部材の外側に溶媒案内部材を設け、カバー部材と溶媒案内部材との間を溶媒流路としても良い。
【0035】
第9の手段は、
前記基板及びカバー部材を共に回転させながら溶媒流路(例えば、溶媒供給孔)を通じて不要膜部分を溶媒で除去することを特徴とする第8の手段に記載の不要膜除去方法である。
【0036】
上述の第9の手段によれば、前記基板及びカバー部材をともに回転させながら溶媒流路(例えば、溶媒供給孔)を通じて不要な膜部分を溶媒で除去するようにしたことにより、遠心力等の作用を利用して、径方向内方に浸透させないようにすると共に、溶媒を均等に広げてより容易・確実に不要な膜部分に供給することができる。
【0037】
第10の手段は、
前記溶媒流路は、前記カバー部材の周辺部に設けられた溶媒供給孔であることを特徴とする第8又は第9に記載の不要膜除去方法である
【0038】
上述の第10の手段によれば、前記溶媒流路は、前記カバー部材の周辺部に設けられた溶媒供給孔とする。
溶媒供給孔の大きさは、カバー部材に形成されている全ての溶媒供給孔を同じ大きさに変えてもよく、また、基板の各辺毎に変えてもよく、さらにある一定の領域毎に変えてもよく、さらに個々の溶媒供給孔毎に変えてもよい。
【0039】
第11の手段は、
基板表面に形成された膜のうちの不要な部分を溶媒によって除去する不要膜除去装置であって、前記基板表面を覆うカバー部材と、このカバー部材の上から溶媒を供給する溶媒供給装置とを有し、前記カバー部材は、前記溶媒供給装置によって供給された溶媒を不要な膜部分に供給して不要膜を除去する薬液流路を有し、前記溶媒流路を通じて前記不要な膜部分へ供給される溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整する調整手段を備えていることを特徴とする不要膜除去装置である。
【0040】
上述の第11の手段によれば、不要膜を溶解する溶媒の溶媒流路の大きさを調整する調整手段をカバー部材に設けることにより、所望の除去幅とするためにカバー部材全体を設計・準備・交換することなく、除去幅を適宜制御することができ、所望の除去幅を有する基板(例えば、フォトマスクブランク)を確実かつ容易に得ることができる。
【0041】
ここで、上述の不要膜除去方法、不要膜除去装置における前記カバー部材は、具体的には、前記基板主表面の除去領域において前記主表面と一定の間隙が形成され、且つ前記基板主表面の非除去領域において、前記間隙よりも大きい空間が形成されるように前記基板主表面を覆うものであって、前記間隙は、前記溶媒が間隙中をつたわって間隙中にのみ広がることが可能な大きさに設定される。
【0042】
カバー部材は、基板主表面に形成された不要な膜部分の領域(除去領域)において、基板主表面から一定の間隙を形成するように配置しているので、基板とカバー部材との間に形成された間隙において、溶媒の表面張力によるメニスカスにより、間隙中に溶媒は満た(供給)されるが、基板主表面の非除去領域に形成された空間では、溶媒の表面張力が働かないため、溶媒は供給されない。上述の原理を利用して不要膜を除去することにより、除去領域を正確に制御することができる。
【0043】
第12の手段は、
前記溶媒流路は、前記カバー部材の周辺部に設けられた溶媒供給孔であることを特徴とする第11の手段の不要膜除去装置である。
【0044】
尚、溶媒流路は、上述と同様に、第12の手段のようにカバー部材における不要な膜部分に対応する位置に溶媒を供給するための溶媒供給孔(例えば、カバー部材の周辺部に設けた多数の貫通孔からなる溶媒供給孔)を設けて溶媒流路としても、また、カバー部材の外側に溶媒案内部材を設け、カバー部材と溶媒案内部材との間を溶媒流路としても良い。
【0045】
後者の場合、前記調整手段として、前記主表面の除去領域において形成される前記間隙の位置を調整することによって前記溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整することにより、カバー部材の大きさを部分的に又は全体的に変化させ所望の除去領域、所望の除去幅とすることができ、また、前者の場合、後述の第13又は14の手段をとることにより所望の除去領域、所望の除去幅とすることができる。装置の簡略化の点では前者の方が好ましい。
【0046】
第13の手段は、
前記調整手段は、前記溶媒供給孔を有し、溶媒供給孔の径又は/及び溶媒供給孔の配置が予め決められた溶媒供給部材を設け、前記溶媒供給部材を前記カバー部材の所定部位に交換可能に構成し、溶媒供給部材を交換することによって前記溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整するようにしたことを特徴とする第11の手段に記載の不要膜除去装置である。
【0047】
調整手段としては、上述の第13の手段のように、予め所定の大きさの孔が形成された部材を用意し、該部材をカバー部材の周辺部に適宜取りつけ可能ないし着脱自在とすることもできる。この場合、除去領域(除去幅)に応じて孔径又は及び孔位置の異なる溶媒供給部材を複数準備しておくことにより、不要膜除去が、さまざまなケースであっても確実かつ容易に、しかもコストがかからず除去幅を制御することができるので好ましい。溶媒供給部材は、カバー部材周辺部全部が一度に変えられるものでもよく、また基板の各辺毎に変えられる部材でもよく、さらにある一定の領域毎に変えられる部材でも良い。部材に形成する溶媒供給孔の大きさは、カバー部材に形成されている全ての溶媒供給孔を同じ大きさに変えてもよく、また、基板の各辺毎に変えてもよく、さらにある一定の領域毎に変えてもよく、さらに個々の溶媒供給孔毎に変えてもよい。
【0048】
前記部材の典型的なものとしては、例えば、部材に形成する溶媒供給孔を基板(例えば、フォトマスクブランク)の識別できる識別パターンとしての識別用記号(三角形、四角形、バーコードパターン等)とすることにより、フォトマスクブランクに欠陥データや、フォトマスクブランクの仕様、型名、製品番号、製造番号等をフォトマスクブランクに直接形成することが可能となる。
【0049】
これらの識別用記号は、不要であればフォトマスク作製時にエッチングにより簡単に除去することができる。識別用記号は、レジスト膜のみを除去してレジスト膜とその下に形成されている遮光膜との反射を利用してバーコードとしてもよく、また、除去されたレジストをマスクとしてさらに遮光膜も除去して、レジスト膜/遮光膜と透明基板との反射を利用してバーコードとしても良い。
【0050】
また、基板主表面の周縁部にバーコードパターンを有するフォトマスクブランクとしては、レジスト膜を溶媒により部分的に溶解除去する方法以外に、レーザー光によりレジスト膜、又はレジスト膜及び露光光に対し光学的変化をもたらす薄膜(例えば、遮光機能を有する薄膜)を除去する方法などにより作製することもできる。
【0051】
第14の手段は、
前記調整手段は、前記カバー部材の所定部位に溶媒供給孔を設け、この溶媒供給孔の径を調整することによって前記溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整するようにしたことを特徴とする第11の手段に記載の不要膜除去装置である。
【0052】
調整手段としては、上述の第14の手段のように、カバー部材に設けられた各溶媒供給孔の大きさを調整できる機構を設けることが挙げられる。
【0053】
また、第14の手段の場合、調整機構を手動で行う場合や機械で自動的に行う場合が挙げられる。機械で自動的に行う場合は、各溶媒供給孔の調整機構はコンピュータに接続され、コンピュータに入力したデータに基づいて各溶媒供給孔の大きさを自動的に調整可能とすることもできる。さらには、不要膜の除去幅を常に監視できるようなモニターを不要膜除去装置に取りつけることによって、不要膜の除去の進行に応じてリアルタイムに溶媒供給孔の大きさを調整することもできる。
【0054】
第15の手段は、
基板上に被転写体に転写すべく転写パターンとなる薄膜と、レジスト膜等の膜を形成する膜形成工程を有するマスクブランクの製造方法において、前記膜形成工程において不要な部分に形成された不要膜を第8乃至第10の手段に記載の方法で除去する不要膜除去工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法である。
【0055】
上述の第15の手段によれば、不要膜の除去幅を各種用途に応じて正確にかつ容易・確実に除去することができるマスクブランク製造方法を得ることができる。
第16の手段は、
前記マスクブランクが第1乃至第7の何れかの手段に記載のマスクブランクであることを特徴とする第15の手段に記載のマスクブランクの製造方法である。尚、第15の手段に記載されたマスクブランクの製造方法は、第16の手段のように、上記第1の手段乃至第7の手段の何れかに記載のマスクブランクを製作する際に有効であるが、これに限らず、例えば、マスクブランクからマスクを作製する際に使われる電子線描画装置のアース端子や基板支持部が当接する領域とその周辺領域、さらに、基板周辺部に形成された発塵に起因する不要なレジスト膜を除去したマスクブランクなど、基板周辺部に形成された不要膜(レジスト膜等)の除去領域を適宜調整、制御しなければならないマスクブランクを作製する際に、有効である。
【0056】
第17の手段は、
第15又は16の手段に記載のマスクブランクの製造方法によって得られたマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして転写パターンを形成することを特徴とするマスクの製造方法である。
【0057】
上述の第17の手段によれば、識別パターンのパターン欠陥のないマスク(フォトマスク等)や、露光装置にマスク(レチクル等)を保持したときに、位置精度が低下しないマスク(レチクル等)を提供することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例にかかる不要膜除去装置の構成を示す断面図、図2及び図3は図1の部分拡大断面図、図4は実施例にかかる不要膜除去装置の部分拡大斜視図、図5は実施例にかかる不要膜除去装置の分解斜視図である。以下、これらの図面を参照にしながら実施例にかかる不要膜除去方法及びその装置並びにフォトマスクブランク製造方法を説明する。以下の説明では、まず、不要膜が形成されたフォトマスクブランクを説明し、次に、不要膜除去装置の構成を説明し、さらに不要膜除去方法と併せてフォトマスクブランク製造方法を説明し、最後にフォトマスクブランク製造方法によって製造された種々のフォトマスクブランクを説明する。
【0059】
図1ないし図5において、基板10は、合成石英ガラスからなる透明基板(6インチ×6インチ×0.25インチ(1インチ=25.4mm))11の表面にクロムからなる遮光膜12が形成され、さらに、この遮光膜12の上に厚さ4000オングストロームの未ベークの状態のレジスト膜(例えばチッソ株式会社製、商品名:PBSC)13がスピンコート法等で形成された(図2,図3参照)フォトマスクブランクである。
【0060】
ここで、このレジスト膜13は、本来、基板11の表面の主要部にのみ形成されていればよい。しかしながら、レジスト膜13の形成の際に、本来形成する必要のない基板11の表面の周縁部、基板側面部及び場合によっては基板裏面部にまで形成されてしまう。この実施例にかかる不要膜除去方法及びその装置は、これらの不要膜を除去する方法及び装置である。
【0061】
この実施例の不要膜除去装置は、図1に示されるように、回転台20に載置保持された基板10の上面側をカバー部材30によって覆い、このカバー部材30の上方からノズル40よりMCA(メチルセロソルブアセテート)等の溶媒50を噴出させてカバー部材30の溶媒供給孔31を通じて不要膜部分13a(図5参照)に供給してこれを溶解除去するものである。
【0062】
カバー部材30は、基板10を上方からかぶせるようにして覆うもので、中心部から周縁にかけての大部分は平坦部32である。この平坦部32から外周部に向けて傾斜部33が形成され、この傾斜部33からさらに外周部に向けて肉厚な周縁平坦部34が形成され、この周縁平坦部34の外周端が下方に延在して、側部35が形成されている。
【0063】
周縁平坦部34には、多数の貫通孔である溶媒供給孔31を有する溶媒供給部材38が着脱自在に嵌め込まれている。溶媒供給部材38は、周縁平坦部34に設けた嵌合溝37に嵌め込まれる。嵌合溝37の底部には、図1(b)に示すように、溶媒供給孔31よりも径の小さな多数の孔39が設けられる。嵌合溝37の底部はたとえて言えば金網状を呈しており、溶媒供給量はこれらの孔39ではなく溶媒供給孔31の孔径によって決まるようになっている。溶媒供給部材38が溝37に嵌め込まれて平坦部が構成される。また、カバー部材30の本体と側部35とは上記嵌合溝37の底部によって連結されることになる。
【0064】
溶媒供給部材38に形成された溶媒供給孔31は、溶媒50の粘度等に応じて適切な形状、大きさ及び形成間隔が選定される。すなわち、孔形状は正方形、長方形、円形、楕円形、その他いずれでもよい。孔の大きさは、溶媒が一定の供給速度で不要膜部分にむらなく供給される大きさに設定する。また、孔どうしの間隔は、溶媒供給孔31から供給された溶媒が不要膜全体に隙間なく行き渡らせられる間隔に設定する。
【0065】
この実施例では、孔径を10.0mm以下で、溶媒を孔の近辺の不要膜を除去(溶解)できる量以上の量だけ通過できる以上の大きさとし、孔どうしの間隔(孔径の外側と外側との間隔)を10.0mm以下とした。孔径が小さすぎると、孔の近辺の不要膜を除去(溶解)できなくなり、10mm以上にすると、除去部分とその他の部分との境界部がギザギザの状態になり易いとともに、カバー部材30の機械的強度の維持が困難になるからである。また、孔どうしの間隔が小さすぎると、カバー部材30の機械的強度の維持が困難になるとともに、孔径によっては、溶媒の安定供給ができなくなる場合がある。逆に、孔どうしの間隔を10.0mm以上とすると、除去部分とその他の部分との境界部がギザギザの状態になるとともに、除去したい部分を正確に完全に除去することが困難になるからである。
【0066】
また、基板10の溶媒供給孔31の適宜の数箇所(例えば4箇所)には、溶媒に耐性のある(例えば、樹脂系)糸60が通され、カバー部材30の内壁と基板10の表面との間に介在されてこれらの間隙の大きさを設定するようになっている。すなわち、この糸60は、溶媒供給孔31を通り、嵌合溝37の底壁と基板10の表面との間及び側部35の内壁と基板10の側面との間を通り、さらにカバー部材30の側部35の外側、及び周縁平坦部34の外周端を通過してループ状に形成されている。
【0067】
糸60の太さは、嵌合溝37の底壁と基板10の表面との間隙の大きさd1を、この間隙に溶媒を供給したとき溶媒の表面張力によるメニスカスにより溶媒が間隙中をつたわって間隙中に拡がることが可能な大きさに設定する。この実施例では、d1を0.05mm〜3mmとする。0.05mm以下及び3mm以上だと溶媒が間隙中をつたわって間隙中に拡がることが困難になり、除去できない部分ができたり、除去部分と他の部分との境界がギザギザ状態になる場合があるからである。
【0068】
また、側部35の内壁と基板10の側面との間隙の大きさd2は、この間隙中を溶媒が膜に接触しながら通過できる大きさであればよい。d2の大きさは、d1と同じにすることが好ましいが、d1と異ならしめてもよい。異ならしめるときには、図示しないが、例えば、側部35に孔を別個に形成して別の太さの糸を用いてその間隙の大きさを規制するようにしてもよい。
【0069】
カバ−部材30の中心部から周縁にかけての大部分である平坦部32の内壁と対向する基板表面の領域は、必要な膜の領域(不要な膜部分以外の領域)であり、この領域においては、溶媒の表面張力によるメニスカスが働かないように、d1よりも大きく、カバー部材30の内壁と基板10の表面との間の間隙を、基板表面10の膜の温度分布がカバー部材30の内壁面からの熱伝達によって影響を受けないように所定以上大きく、かつ、間隙で気体の対流が生じてこの対流によって基板主表面の膜に温度分布が生じないように所定以下に小さく設定した値であるd3とする。
【0070】
この実施例では、d3を0.05mm〜20.0mmとする。0.05mm以下だとカバー部材からの熱伝達を受け易くなり、例えば、カバー部材表面に溶媒の気化熱が不規則に作用して大きな温度分布が生じた場合、その温度分布を直接反映してレジスト膜に温度分布を付与してしまうおそれが高くなる。一方、20.0mm以上だと自然の対流が生じて膜に温度分布を生じさせる虞れが高くなる。ただし、この上限の場合は、例えば、強制的に間隙内の気体を均一に撹拌することによって、自然対流による温度分布発生を阻止することも可能であるので、そのような手段を用いた場合には必ずしも規制されるものではない。
【0071】
しかしながら、この間隙を大きくすることは、必然的にカバー部材30の平坦部32の高さが高くなることを意味する。平坦部32の高さが高くなり過ぎると、ノズル40から供給される溶媒が周辺平坦部34に至るまでの距離が長くなり、途中で気化する量が増したり、カバー部材及び基板を回転しながら処理する場合には、溶媒が周囲に飛び散るおそれも高くなる。また、装置も大型化するので望ましくない。
【0072】
前述したように、カバー部材30は、溶媒供給装置によって供給された溶媒を不要な膜部分に供給して不要膜を溶解除去する溶媒供給孔31を有する。この溶媒供給孔31は、カバー部材30の嵌合溝37に嵌合される溶媒供給部材38に設けられる。溶媒供給部材38に設けられる溶媒供給孔31の径又は/及び溶媒供給孔31の配置を決めておけば、溶媒供給孔31を通じて不要な膜部分へ供給される溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整できる。したがって、溶媒供給孔31を有する溶媒供給部材38は、これを予め複数用意して、これらを交換することによって、溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整する調整手段を構成できる。
【0073】
不要膜を除去(溶解)する溶媒の溶媒供給孔の大きさ又は/及び位置を、溶媒供給部材38の交換によって、不要膜の除去幅に応じて適宜調整可能としているので、所望の除去幅とするためにカバー部材全体を設計・準備・交換することなく、除去幅を適宜制御することができる。したがって所望の除去幅を有する基板(例えば、フォトマスクブランク)を確実かつ容易に得ることができる。
【0074】
また、溶媒供給孔31の大きさ又は/及び位置については次のように種々変更できる。溶媒供給部材38に形成されている全ての溶媒供給孔31を同じ大きさに変えてもよく、また、基板10の各辺毎に変えてもよく、さらにある一定の領域毎に変えてもよく、さらに個々の溶媒供給孔31毎に変えてもよい。すなわち、溶媒供給部材38は一体としても、各辺毎に分割しても、あるいは一定の領域毎に分割しても、さらには個々の溶媒供給孔31単位で細かく分割してもよい。
【0075】
ところで、前述した溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整する調整手段は、予め所定の大きさの溶媒供給孔が形成された溶媒供給部材を用意し、この溶媒供給部材をカバー部材の周辺部に交換自在に設けるようにしたものである。しかし、調整手段はこれに限られない。例えば、溶媒供給孔の孔径を前述した実施例のものよりも大きめに形成しておき、この孔径を開閉蓋により調整できるようにして、溶媒供給部材を交換しなくても済むようにすることも可能である。
【0076】
図6は、そのような孔径を開閉蓋により調整できるようにした調整手段を示す。カバー部材の所定部位に溶媒供給孔を有する溶媒供給部材設ける点は、前述した実施例と同様である。異なる点は、嵌合溝37の底部にスライダを有し、このスライダを進退させて溶媒供給孔31の孔径を調整できる調整機構41を設けた点である。この溶媒供給孔31の径を調整機構41で調整することによって、孔径の大きさ、孔の位置を変えて、溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整する。なお、この場合、溶媒供給部材38はカバー部材30と一体でも、別体でもよい。溶媒供給部材38を別体として交換できるように構成すると、さらにきめ細かい流量調整又は/及び位置調整が可能となる。
【0077】
調整機構41による調整は手動で行っても、機械で自動的に行ってもよい。機械で自動的に行う場合は、例えば、各溶媒供給孔31の調整機構41は図示しないコンピュータに接続され、コンピュータに入力したデータに基づいてスライダを動かして各溶媒供給孔31の大きさを自動的に調整可能とする。さらには、不要膜の除去幅を常に監視できるようなモニターを不要膜除去装置に取りつけることによって、不要膜の除去の進行に応じてリアルタイムにスライダを動かすことによって、溶媒供給孔31の大きさを調整するようにしてもよい。
【0078】
さて、溶媒供給部材38を嵌めたカバー部材30を被された基板10は、回転台20に保持されて回転されながら処理される。回転台20は回転軸21に取り付けられた4本の水平方向に放射状に延びた支持腕22と、それぞれの支持腕22の先端部に設けられた一対の保持台座23とを有する。保持台座23は、その上に基板10の4角を配置して保持するものである。回転軸21は、図示しない回転駆動装置に結合され、所望の回転数で回転されるようになっている。なお、基板10の下方にも、溶媒供給用のノズル40aが設けられており、該ノズル40aから溶媒40aを供給して、不要膜除去を確実にすることができるようになっている。
【0079】
また、他の実施例の不要膜除去装置を図7に示す。上述した不要膜除去装置との相違は、カバー部材91として溶媒供給孔が形成されていないものを使用し、且つ、カバー部材91と基板10の側面を覆うように溶媒案内部材92を設けた点にある。
溶媒案内部材92は、溶媒が供給される溶媒供給口93を有する。溶媒案内部材92とカバー部材91とは、溶媒案内部材92とカバー部材91の間にある間隔が形成されるように接続部材94で固定されており、溶媒案内部材92とカバー部材91の間が、溶媒供給口93から供給された溶媒の流路、即ち溶媒流路となる。
溶媒供給口93は、図示せぬ溶媒供給装置によって供給される溶媒が、カバー部材91の外周をつたわって基板10の不要な膜部分に供給されるように、溶媒案内部材92の上方に設けられている。
【0080】
この不要膜除去装置において、カバー部材91において少なくとも基板10側の側面部が可変機構(図示せず)によって部分的に又は全体的に内側に変化できるようにすることにより所望の除去領域、所望の除去幅とすることができる。尚、カバー部材91の側面部底壁と基板10の表面との間隙の大きさd1を、この間隙に溶媒を供給したとき溶媒の表面張力によるメニスカスにより溶媒が間隙中をつたわって間隙中に拡がることが可能な大きさに設定しておく。
【0081】
上述の装置によって、以下のようにして不要膜を除去する。まず、基板10を回転台20にセットしてカバー部材30(又は、図7のカバー部材91及び溶媒案内部材92。以下、同じ。)を被せたら、ノズル40から供給量を調節しながら溶媒50を供給する。同時に、回転台20を回転数100〜1000rpmで1〜60秒間回転させる。これにより、溶媒50を溶媒供給孔31を通じて不要膜部分13aに浸透させて溶解除去する。さらに、上記処理が終盤に近くなった時点で、ノズル40aから溶媒50aを噴出させて溶解除去をより確実なものにする。これにより、不要膜部分13aが除去される。これにベーク処理等を施してレジスト膜13が基板の中央部に略正方形状に形成されたレジスト膜付きフォトマスクブランクを得る。
また、不要膜部分への露光、及び不要膜部分への現像液の供給による不要膜除去方法は、以下のようにして行われる。露光光源より光ファイバー等の伝送装置を介してレジスト膜の不要膜部分に露光処理を行う。その後、上述と同様にして上述の不要膜除去装置にセットし、不要膜部分にのみ溶媒が供給されるようにして不要膜部分を除去し、ベーク処理等を施してレジスト膜が基板の中央部に略正方形状に形成されたレジスト膜付きフォトマスクブランクを得る。
【0082】
こうして得られたフォトマスクブランクのレジスト膜の状態を目視で観察した。その結果、処理中にレジストに温度分布が加えられることに起因するリング状の色ムラがみられず、また、レジスト膜と除去部分との境界線はほぼ直線状であり、除去幅がほぼ一定で正確に除去されていることがわかった。さらに、レジストを顕微鏡で観察したところ、溶媒の飛沫等によるピンホールは全くみられなかった。
【0083】
次に上述したフォトマスクブランク製造方法によって製造される代表的なフォトマスクブランクを説明する。図8はフォトマスクブランクを製造するためのカバー部材の説明図、図9は図8のカバー部材によって製造されたフォトマスクブランクの説明図である。図10はフォトマスクブランクを製造するための他のカバー部材の説明図、図11は図10のカバー部材によって製造されたフォトマスクブランクの説明図である。
【0084】
図8は基板の各辺でレジストの除去幅が異なるフォトマスクブランクを製造するためのカバー部材を示す。カバー部材30の周辺部の4辺に、所定の孔径をもつ溶媒供給孔31を有する4つの溶媒供給部材38a〜38dがそれぞれ嵌め込まれる。各溶媒供給部材38の長さを同じに設定することにより、溶媒供給部材38を嵌め込んだときに、カバー部材30の4つのコーナ部に順に各溶媒供給部材38の一端が来るようにしてある。ここで、溶媒供給孔31の形成位置は、4つの溶媒供給部材38を嵌め込んだときに、左右辺に、辺に沿って直線状に配列されることになる溶媒供給孔31を外側寄りに形成する。また、上下辺に、辺に沿って直線状に配列されることになる溶媒供給孔31を内側寄りに形成する。この溶媒供給部材38を嵌め込んだカバー部材30で基板表面を覆い、このカバー部材30の上から溶媒を供給してこの溶媒を溶媒供給孔31を通じて不要な膜部分を溶媒で溶解して除去する。すると、図9に示すように透光性基板10の上下辺と左右辺とでレジスト膜13のうちの不要な部分のレジスト膜の除去幅α、β(α>β)がそれぞれ異なり、各辺のレジスト膜の除去により露出する各辺の遮光膜12の露出幅も異なるフォトマスクブランク80が製造できる。
【0085】
図10は、バーコードパターン付フォトマスクブランクを製造するためのカバー部材を示す。カバー部材30にはめ込まれる溶媒供給部材38は、基本的には図8のものと同じである。異なる点は、溶媒供給孔31の形成位置が、左右上下辺で同じであり、かつ下辺の溶媒供給部材38bに一部の溶媒供給孔31の形状に変形を加えてバーコードパターン用溶媒供給孔31bとした点である。このカバー部材30を用いて不要な膜部分を溶媒で溶解して除去すると、図11に示すように透光性基板10の下辺に、バーコードパターン用溶媒供給孔31bに対応したバーコードパターン70の形成されたフォトマスクブランク100が製造できる。
【0086】
次に、図12〜図18を用いてフォトマスクブランクの具体的な実施例を説明する。
【0087】
図12はフォトマスクブランク4辺における露光装置のレチクルチャック対応領域以外の2辺に形成されたフォトマスクブランク周辺部のレジスト膜を除去したフォトマスクブランク例を示す。(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図である。フォトマスクブランク110の被支持部となるレチクルチャック対応領域71が、平面図において、左辺に2箇所、右辺に1箇所の合計3箇所ある。これらレチクルチャック対応領域71が形成されている2辺の周辺部のレジスト膜13は除去せず、レチクルチャック対応領域が形成されていない他の2辺に形成された周辺部のレジスト膜を除去してある。尚、レジスト膜除去領域幅は基板側面から2.0mmとしてある。
【0088】
このように、レチクルチャック対応領域が形成されていない他の2辺に形成された周辺部のレジスト膜が除去されているので、基板周縁部のレジスト膜が剥離することによる発塵を抑えることができ、且つ、このようにレチクルチャック対応領域及びその周辺の領域となる左右辺の周辺部に形成されたレジスト膜を残すと、フォトマスクブランクをフォトリソによりパターンを形成したレチクルをレチクルチャックに吸着した場合でも、露光装置におけるレチクルの位置精度を高めることができる。
【0089】
図13は露光装置のレチクルチャック対応領域の周辺以外に形成されたフォトマスクブランク周辺部のレジスト膜を除去した例を示す。図12のものと異なる点は、フォトマスクブランク112の周辺部に形成されたレジスト膜13の除去領域が拡大されて、レチクルチャック領域71の近傍の領域まで除去されている点である。尚、レジスト膜除去領域幅は基板側面から1.0mmである。これによれば、発塵を一層抑えた形でレチクルチャックの形状に応じたレジスト膜の除去ができる。
【0090】
図14は補助パターン形成領域に応じて、フォトマスクブランク周辺部に形成された4辺のレジスト除去領域を制御した例を示す。ここで補助パターン形成領域とはフォトマスクにした際に補助パターン(バーコードパターン、アライメントマーク、品質保証(QA)パターン等)が形成された領域をいう。ここでも、カバー部材を取りかえることなく、溶媒供給部材を交換するだけで、フォトマスクブランク113上に形成予定の補助パターン形成領域72を有効に回避して、不要なレジスト膜を除去したフォトマスクブランク113を製造することができる。ここでは4辺のレジスト膜除去領域は、補助パターン形成領域72の形成予定場所に応じて異ならせてある。左辺は1.0mm、上辺は0.5mm、下辺は1.5mm、そして右辺は0.0mmである。上述の値は、基板側面からのレジスト膜除去領域幅を示す。
【0091】
このようにフォトマスクブランクの4辺を異なる除去幅でレジスト膜除去することができ、除去幅も任意に制御できるために補助パターンの形成領域までレジスト膜が除去されることはなく、補助パターンのパターン不良の発生を防止できる。また、基板周縁部のレジスト膜が剥離することによる発塵を抑えることもできる。また、マスクメーカー各社によって異なる補助パターンの形成領域の仕様にも対応できるので、マスク基板周縁部のレジスト膜を溶解除去する際に、同じカバーを用いて不要膜を除去した場合でも、溶媒供給部材を交換することによって、例えばアライメントマーク位置までレジスト膜を溶解除去することを回避でき、フォトマスクを作製したときに、アライメントマークが形成されない事態が生じることも回避できる。また、各社の多様に異なる位置に形成するアライメントマークを考慮して、カバーの設計、準備をする必要もないので、コストアップを招くこともなく、またカバーを取りかえる作業が不要となるのでメンテナンスも容易になる。
【0092】
図15は補助パターン形成領域の周辺以外に形成されたフォトマスクブランク周辺部レジスト膜を除去した例を示す。図14のものと異なる点は、フォトマスクブランク114の周辺部に形成されたレジスト膜13の除去領域が拡大されて、補助パターン形成領域72の近傍の領域まで除去されている点である。尚、レジスト膜除去領域幅は基板側面から全辺で共通して1.0mmとしてある。これによれば、発塵を一層抑えた形で補助パターン形成領域の形状に応じたレジスト膜の除去ができる。
【0093】
図16は、既に説明した図11に対応する具体例であり、レジスト膜の一部を除去することによってバーコードパターンを形成した例を示す。フォトマスクブランク115の周辺部に形成されたレジスト膜13は、全辺とも共通で1.0mmの幅で除去されている。バーコードパターン73は下辺に形成されている。このバーコードパターンは、フォトマスクブランクの識別用記号であり、例えば欠陥データである。例示のように欠陥データをフォトマスクブランク自体にバーコードパターンとして付けると、マスクケースに欠陥データをつけていたものと異なり、ケース内でマスクブランクの位置関係がずれても、マスクブランクと欠陥データとの照合が取れなくなることがなくなる。したがって、マスクブランクの信頼性が飛躍的に増加する。上述のバーコードパターンや後述する識別用記号は、これらのパターン、記号を観測し、画像処理するなどによって判別できる。
【0094】
図17及び図18はフォトマスクブランクに識別用記号を形成した例を、それぞれ示す。図17に示すフォトマスクブランク116は、周辺部に形成されたレジスト膜13を除去しない例を示す。識別用記号74は三角形で構成してある。下辺のレジスト膜13の一部を除去して遮光膜12を露出させて構成している。また、図18に示すフォトマスクブランクは周辺部に形成されたレジスト膜を、基板側面から全辺1.0mmの除去幅で除去した例を示す。識別用記号75は三角形、台形、四角で構成してある。下辺のレジスト膜13の一部を除去して遮光膜12を露出させて構成している。これらによっても、図16と同様にフォトマスクブランクに付けた識別用記号によって、フォトマスクブランクを識別することができる。
【0095】
尚、図12〜図18の実施例における基板10に形成した遮光膜12上のレジスト膜の基板端面からの除去領域γは、図19に示すように、各種用途(ユーザ仕様)に応じて、γ=0.5〜3.0mmの範囲内で適宜調整可能である。また、同実施例のフォトマスクブランクは、レジスト膜形成工程により、透光性基板10の裏面及び端面に形成されたレジスト膜は裏面洗浄(バックリンス)により除去されている。
【0096】
次に更に別の実施例について説明する。図20は電子ビーム描画装置におけるアース端子が当接する領域とその周辺領域、及び、基板周辺部に形成されたレジスト膜が除去されたフォトマスクブランクを製造するためのカバー部材の説明図、図21は図20のカバー部材によって製造されたフォトマスクブランクの説明図である。
【0097】
図20は電子ビーム描画装置におけるアース端子が当接する領域とその周辺領域、及び、基板周辺部に形成されたレジスト膜が除去されたフォトマスクブランクを製造するためのカバー部材を示す。カバー部材30に嵌めこまれる溶媒供給部材38は、基本的には図8と同じものである。異なる点は、溶媒供給孔31の形成位置が、左右の辺で同じであるが(38c、38d)、上下の辺において、アース端子が当接する領域とその周辺領域に対応する位置の溶媒供給孔31をカバー部材30の内側にずらしている点にある。このカバー部材30を用いて不要な部分を溶媒で除去すると、図21に示すフォトマスクブランクを得ることができる。
【0098】
図21はフォトマスクブランク4辺における電子ビーム描画装置におけるアースを取るためのアース端子が当接する領域とその周辺領域、及び、基板周辺部に形成された発塵に起因する不要なレジスト膜を除去したフォトマスクブランク例である。電子ビーム描画装置のアース端子が当接する領域C1が、4箇所設けられている。アース端子が当接する領域とその周辺領域におけるレジスト膜除去領域幅は基板側面から3.5mm、それ以外は基板側面から2.0mmのレジスト膜が除去されている。
【0099】
このように、電子ビーム描画装置におけるアース端子が当接する領域とその周辺領域のレジスト膜が除去されているので、電子ビーム描画装置によってフォトマスクを作製する際に、アース端子によるレジスト膜擦れによる発塵や、チャージアップを防止することができるフォトマスクブランクを安価で簡便な方法で、且つ、容易・確実に得ることができる。。また、基板周辺部に形成された不要なレジスト膜を除去しているので、基板周辺部からの発塵も防止できる。よって、マスクを作製するときに、チャージアップによるパターンずれがなくパターン位置精度が良好なマスクを得ることができる。
【0100】
ここで、上記各実施例では、嵌合溝37の底部に、溶媒供給孔31よりも径の小さな多数の孔39を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、多数の孔39は溶媒供給孔31よりも大きな孔でもよく、又はスリット状に形成してもよい。要するに、カバー部材本体と側部35とを連結できる強度を保ち、かつ溶媒供給部材38における溶媒供給孔31の孔径又は/及び位置が変っても、孔39の制約を受けることなく、不要膜部分への供給が確保されるのであれば、形状は任意である。また、多数の孔39をカバー部材の上方に設け、下側から溶媒供給部材38を嵌め込むようにしても良い。
【0101】
また、カバー部材30の本体と側部35とを多数の孔39を設けた嵌合溝37の底部によって連結するようにしたが、これに限られない。例えば、溶媒50の供給に支障が生じないような複数本の腕をカバー部材本体から側部35にアーチ状に延ばして、カバー部材本体と側部35とを連結するようにしてもよい。
【0102】
また、溶媒供給部材は、実施例では基板の各辺毎に交換できるように4つの部材で構成したが、これに限定されない。例えば、フレーム状に連結された1つの部材で構成して一度に交換できるものでもよく、またある一定の領域毎に変えられる部材でも、さらには溶媒供給孔毎に構成してもよい。これらの溶媒供給部材38は、除去幅や除去位置に応じて、同時に全て交換しても、あるいは一部だけ交換するようにしてもよい。
【0103】
また、レジストを溶解する溶媒として、MCA(メチルセロソルブアセテート)を用いたが、これに限られず、レジストを希釈できる溶媒等、不要膜を溶解除去できるものであればどのようなものでもよい。また、レジストの不要部分を露光し、現像によって除去する場合においては、現像液を用いることができる。また、上記実施例では間隙設定部材として、樹脂系の糸を用いたが、これは、可撓性を有し、かつ溶媒に対して耐性を有するものであれば他のものでもよい。また、間隙設定部材は、糸状体に限られるものではなく、間隙を設定できるものであればどのようなものでもよく、例えば、カバー部材内壁に設けられた凸状体であってもでもよい。
【0104】
カバー部材を構成する材料としては、熱を伝達しにくく、溶媒に対する耐性を有し、所定の機械的強度を有するものであればどのようなものであてもよい。例えば、樹脂材料、ガラス材料、セラミックス材料及びこれらの複合材料等をあげることができる。なかでも比較的熱伝達しにくく、加工が容易でかつ軽量化が容易な樹脂材料が好ましい。また、カバー部材の少なくとも基板表面の不要な膜部分以外の領域を覆う部分を上記材料で構成することが好ましい。
【0105】
さらに、上記実施例では遮光性膜パターン上にレジスト膜を形成する場合に適用した例について説明したが、これは、透光性基板上にSOG膜を形成し、SOG膜上に遮光性膜パターンを形成するようにした場合にも適用できる。その場合、遮光膜の外に透明導電膜、エッチングストッパー膜等の膜が設けられたものであってもよい。
【0106】
さらに、例えば、磁気ディスク媒体の保護膜の塗布、カラーフィルターの保護膜の塗布の際に形成される不要膜の除去、あるいは、ディスプレー用基板上の配線の電極部に形成される絶縁膜を除去する場合にも適用できる。 また、例えば、不要膜がレジストの場合は、溶媒としてレジストが可溶なケトン、エステル、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル等の液体を用いることができる。
【0107】
また、不要膜がSOGの場合は、ベークした後は塗布膜は溶けにくいので、上述の実施例のように、ベークする前に基板の裏面、側面及び表面周縁部の塗布膜を溶解して除去することが好ましいが、塗布膜がレジストの場合は、レジストの種類によっては、ベーク後においても溶解可能な場合もある。また、溶媒供給孔31の設ける位置は、上記実施例に限られるものではない。
【0108】
なお、上記実施例では、基板10とカバー部材30とを一体にして回転させる例を掲げたがこれは必ずしも回転させる必要はない。ただし、回転させたほうが溶媒を比較的早くかつ均一に間隙中に拡げさせることができるので好ましい。さらに、カバー部材30として上記実施例では、正方形状の基板に形成された塗布膜の周縁部を除去して正方形の塗布膜を残存させる例を掲げたが、基板の形状及び残存させる塗布膜の形状は、正方形に限られるものではなく、円形、三角形、多角形その他任意の形状でもよい。その場合には、カバー部材の溶媒供給面と非供給面との形状をそのように形成すればよい。
【0109】
【発明の効果】
本発明のマスクブランクによれば、部分的に除去された膜がユーザ仕様に合わせて除去されていれば、ユーザ仕様に対応したマスクブランクとすることができる。特に、補助パターンの形成領域に応じてマスクブランクの周辺部に形成された膜(例えば、レジスト膜)の除去領域が制御されていると、補助パターンのパターン不良の発生を防止できる。さらに、基板周縁部のレジスト膜が剥離することによる発塵を抑えることもできる。
【0110】
また、マスクブランクを支持する基板保持部材に対応した領域に応じて膜(例えば、レジスト膜)の除去領域が制御されていると、露光装置におけるレチクルの位置精度が向上する。さらに、基板周縁部のレジスト膜が剥離することによる発塵を抑えることもできる。
また、マスクブランクに欠陥データなどの識別パターン(例えば、バーコードパターンや識別用記号など)が形成されていると、他の要素を介在することなくマスクブランクの識別を正確に行うことができる。
【0111】
また、本発明の不要膜除去方法によれば、基板周辺部の膜(例えば、レジスト膜)の除去領域を制御できるので、ユーザ仕様に合わせた最適な領域の不要膜を容易に除去できる。
また、本発明の不要膜除去装置によれば、カバー部材に不要膜部分へ供給される溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整する調整手段を設けるだけで、ユーザ仕様に合わせた最適な領域の不要膜を容易に除去できる。
また、本発明のマスクブランク製造方法によれば、周辺部の膜が部分的に除去されたマスクブランクを容易に製造できる。
また、本発明のフォトマスクの製造方法によれば、識別パターンのパターン欠陥のないマスク(フォトマスク等)や、露光装置にマスク(レチクル等)を保持したときに、位置精度が低下しないマスク(レチクル等)を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる不要膜除去装置の説明図であり、(a)は断面図、(b)はA−A線断面図である。
【図2】図1の部分拡大断面図である。
【図3】図1の部分拡大断面図である。
【図4】実施例にかかる不要膜除去装置の部分拡大斜視図である。
【図5】実施例にかかる不要膜除去装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施例にかかる不要膜除去装置の要部の断面図である。
【図7】別の実施例にかかる不要膜除去装置の断面図である。
【図8】実施例にかかるフォトマスクブランクを製造するためのカバー部材の説明図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図9】図7のカバー部材によって製造されたフォトマスクブランクの説明図である。
【図10】実施例にかかるフォトマスクブランクを製造するための他のカバー部材の説明図である。
【図11】図9のカバー部材によって製造されたフォトマスクブランクの説明図である。
【図12】実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図13】実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの平面図である。
【図14】実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図15】実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの平面図である。
【図16】実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの平面図である。
【図17】実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの平面図である。
【図18】実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの平面図である。
【図19】図12〜図18に示す実施例にかかる透光性基板の裏面及び端面に形成されたレジスト膜の除去領域の説明図である。
【図20】別の実施例にかかるフォトマスクブランクを製造するためのカバー部材の平面図である。
【図21】別の実施例にかかる具体的なフォトマスクブランクの平面図である。
【符号の説明】
10…基板、11…透明基板、12…遮光膜、13…レジスト膜、20…回転台、21…回転軸、22…保持腕、23…保持台座、30…カバー部材、31…溶媒供給孔、37…嵌合溝,38…溶媒供給部材,39…孔,40,40a…ノズル、50,50a…溶媒、91…カバー部材、92…溶媒案内部材、93…溶媒供給口、94…接続部材。

Claims (7)

  1. 基板上に被転写体に転写すべく転写パターンを有する転写マスクの原版であるマスクブランクにおいて、該マスクブランクは、前記基板上に前記転写パターンとなる薄膜と、レジスト膜とを有し、
    前記基板主表面の周辺部に形成されたレジスト膜が、露光装置の保持部材により支持されるマスクブランクの被支持部領域、及びその周辺領域において残存され、それらの領域以外は除去されていることを特徴とするマスクブランク。
  2. 基板上に前記転写パターンとなる薄膜と、レジスト膜等の膜を形成する膜形成工程と、前記膜形成工程において不要な部分に形成された不要膜を除去する不要膜除去工程とを有するマスクブランクの製造方法において、
    前記不要膜除去工程は、
    前記基板表面をカバー部材で覆い、このカバー部材の上から溶媒を供給してこの溶媒をカバー部材の周辺部に設けられた溶媒流路を通じ、露光装置の保持部材により支持されるマスクブランクの被支持部領域,及びその周辺領域において残存され、それらの領域以外は除去されるよう、溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整しながら溶媒を所定部位に供給することによって、不要な部分を溶媒で除去することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  3. 前記基板及びカバー部材を共に回転させながら溶媒流路を通じて不要膜部分を溶媒で除去することを特徴とする請求項2記載のマスクブランクの製造方法。
  4. 前記溶媒流路は、前記カバー部材の周辺部に設けられた溶媒供給孔であることを特徴とする請求項2又は3に記載のマスクブランクの製造方法。
  5. 前記溶媒供給孔の径又は/及び溶媒供給孔の配置が予め決められた溶媒供給部材を設け、前記溶媒供給部材を前記カバー部材の所定部位に交換可能に構成し、溶媒供給部材を交換することによって前記溶媒の供給量又は/及び供給位置を調整するようにしたことを特徴とする請求項4記載のマスクブランクの製造方法。
  6. 前記不要膜がレジスト膜であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  7. 請求項2乃至6に記載のマスクブランクの製造方法によって得られたマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして転写パターンを形成することを特徴とするマスクの製造方法。
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