JP3606983B2 - 浸透印版の閃光製版器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は浸透印版の閃光製版器に関する。さらに詳しくは、インキを含浸させることにより長時間インキを補給することなく、くり返して捺印することができる連続気泡を有するスポンジ材からなる浸透印版を赤外線を含む閃光と該閃光で発熱する発熱シートまたは、原稿像のカーボンや高分子物質の発熱で製版する閃光製版器に関する。
【0002】
【従来の技術】
印判、スタンプを捺印する際にスタンプインキをその都度印面に付着させる手間を省くため、連続気泡を有するスポンジゴムを印材として、これにあらかじめインキを吸蔵させたスタンプが知られている。この種のスタンプの作製法として、特開昭60−193686号公報には、スポンジの表面の印影を形成する部分を除いた全面箇所を加熱型押加工により凹状に陥没させて押し固め、凸部をインキ吸蔵部として印影形成部とするスタンプの製作法が開示され、また、特開昭50−155323号にも同様の加熱板上に多孔質体を圧着する方法が開示されている。しかし、これらの方法は、加熱板とする金型とそれに文字、記号、図形などを彫刻もしくは蝕刻する手間が必要である。
【0003】
また、特開昭57−136652号公報、特開昭49−7003号公報には、スポンジ素材の表面に光重合性液状樹脂を塗布し、この上面にポジフィルムを置き上方より紫外線を照射して光重合反応をおこさせ、未反応の樹脂を洗浄して除去し、除去した部分よりスポンジ素材の表面を露出させる印版の作製法が開示され、また、実開昭52−71710号には、ネガフィルムを用いて同様の方法による平版印判が開示されている。しかし、これらの方法は、ネガまたはポジフィルムの作成、樹脂の塗布、光重合、水洗など工程が複雑であり、所望のスタンプを迅速に提供できる作成法が望まれていた。
【0004】
以上の様に、従来の連続気泡を有する浸透印版の作成法は手数がかかったり、鮮明な印影が得られず、印影の鮮明な所望のスタンプを迅速に提供できる製版器が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題点を解決することにあり、作製工程、装置が簡便で連続気泡を有する浸透印版の作製において、少ないエネルギーで効率のよく鮮明な印影が得られ、使い勝手のよい浸透印版用の閃光製版器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、連続気泡を有するスタンプ材の表面に赤外線の照射で発熱する発熱面をスタンプ材表面と接するように重ね、その上に正像である所望の印影原稿像が赤外線を吸収または遮断する印影原稿を鏡像となるように重ねる。ここで、該スタンプ材を製版部の全面にわたり一定以上の圧縮率で圧縮した状態で該原稿の上方より赤外線を含む閃光を照射することにより、スタンプのインキ非滲出部は、印影原稿の原稿像以外の箇所を透過した閃光により発熱シートに発熱が起こり、この熱でスタンプ材が溶融するが、スタンプ材が圧縮されているためスタンプ材の連続気泡を構成する構造が互いに密着しており、スタンプ材表層の複数層にわたり溶融密着して収縮させ連続気泡を数層にわたり閉塞することができる。
このため、圧縮なしで製版した場合に比べ著しくエネルギー効率が高まり、少ないエネルギーで製版可能となった。
さらにこの結果、非溶融部への熱的影響が緩和され細線の再現性、インクの滲出性が大幅に向上し鮮明で印影の濃い捺印性能をもつ浸透印版を製版することを見出し本発明の完成に至った。すなわち、本発明は次のものである。
【0007】
本発明の浸透印版の閃光製版器は、赤外線を透過可能な透過板上に原稿、赤外線の照射により発熱する発熱シート、および連続気泡を有してスタンプインキ含浸可能な弾性樹脂製のスタンプ材(またはスタンプ素材)を重ね、前記透過板を支持する加圧基板の一端に回転可能に支持されるクランプ板を用いてスタンプ材をその少なくとも一度に製版される部分のスタンプ材全面にわたり一定以上の圧縮率に圧縮可能とするとともに、前記加圧基板の他端にリンクを介してレバーを設け、クランプ板を前記スタンプ材上に重ねた状態でレバーをクランプ板の支持端側に回転させることで、該レバー基部がクランプ板自由端を透過板方向に押しつけスタンプ材を圧縮し、さらに請求項2のように、レバー基部のクランプ板と当接する部分の一部を、レバーのリンクとの回転中心と同心円形状に形成することで、レバーを一定角以上回転させることでスタンプ材の全面にわたり略同一の圧縮状態とするとともに、必要以上な圧縮を起こさせない構造とし、光源やスタンプ材で異なるがスタンプ材を5〜70%の圧縮状態(スタンプ材の元厚の95〜30%の厚さとなる状態に圧縮)として前記透過板へ赤外線を含む閃光を照射するものである。
気泡を有してスタンプインキ含浸可能なスタンプ材の表面に赤外線の照射により発熱する発熱シートの発熱面がスタンプ材の表面と接するように重ね、その上に所望の印影原稿を鏡像となるように重ね、該素材を5〜70%圧縮した状態で該原稿の裏面より赤外線を含む閃光を照射する。これにより、印影部に対応する箇所は、印影原稿の原稿像で赤外線を吸収又は、遮断し発熱シートの発熱に至らず該スタンプ材表面の溶融は起こらず、即ち気泡の閉塞に至らずインキ滲出部となる。一方、印影部に対応しない箇所は、閃光が前記熱溶シートを発熱させ、該熱がスタンプ材を溶融し気泡を閉塞してインキ非滲出部になる。
このとき、スタンプ材が圧縮状態にあるとスタンプ材の連続気泡を構成する構造が互いに密着しているので、前記発熱シートの発熱がスタンプ材表面ばかりでなくスタンプ材表層を溶融密着して収縮させ連続気泡を閉塞するが、表層の複数層にわたりスタンプ材表層を溶融して収縮させるので圧縮しない場合にくらべ著しく製版効率が向上する。
すなわち、スタンプ素材の連続気泡を閉塞し、素材のインキ滲出部に対しインキ非滲出部をインキ滲出部に対し一定深さ以上凹部とすることが好ましいが、圧縮しない場合にくらべ著しく少ないエネルギーでインキの非滲出部とすることができるので、経済的であるばかりでなくインキ滲出部への熱的影響も少なく細かい印影原稿像の再現も可能となるものである。
【0008】
本発明の浸透印版の閃光製版器に用いる連続気泡を有してスタンプインキ含浸可能なスタンプ材とは、インキ自己保持能力の優れた連続気孔体であれば如何なる材質でもよいが、例えば、天然ゴム、合成ゴム系のスポンジゴム、合成樹脂発泡体などが示されるが、好ましくは、溶融温度が50〜150℃をもつ立体網目構造の平均気孔径2〜10μの微細連続気孔を有し気孔率30〜80%のポリオレフィン系フォームの0.5〜10mm厚のシートが用いられる。
【0009】
本発明における印影原稿は赤外線で発熱せず、赤外線を遮断するシートを印影原稿像に切り抜いて用いることが最も好ましいが、次善として赤外線により発熱せず透過効率の良い透明なフィルム等に赤外線で発熱せず、赤外線を透過しないインキ、トナー等で画像が形成することが好ましい。ただ、これも困難である場合には印影原稿の印影原稿像とそれ以外の箇所の赤外線の透過度に大きな差を設けるためにユーザーが透明フィルムを入手しこれをPPC(普通紙複写)複写機で使用することに限定したり、さらにはそのインキやトナーまでも限定することがオリジナルなスタンプを作成しようとするユーザーの利便性がかなり損なわれてしまうものであるが、特に一般家庭でのスタンプ作成を考慮した場合にはコンビニエンス・ストアー等の店舗に設置されるPPC複写機を通常の使用形態で利用可能とすることで失敗のないオリジナル原稿の制作を可能とすることが好ましい。すなわち、通常の複写作業で印影原稿の作成を可能にするものであり、該複写原稿に液状物質を塗布することで複写用紙の非原稿像部分の赤外線の透過効率を高め透明シートを用いた場合に近づけることができる。さらに液状物質が水を含むものであると原稿像のトナーの発熱を水が吸収し一層鮮明な製版が可能となる。
【0010】
本発明における赤外線を含む閃光としては、クセノン閃光器、フォトストロボフラッシュやフラッシュバルブ等を用いることができ、製版時の単位面積当たりの照射エネルギーは小さいほど安価な装置とできるばかりでなく、素材のインキ滲出部への熱的影響が少なく鮮明な捺印を得ることが出来る。このため閃光照射時に素材を圧縮することで小さな閃光エネルギーでも複数層の連続気泡を溶融密着させることができ、気泡の閉塞を強固とすることができる。
もし素材の圧縮をせずに素材表面の連続気泡を完全に閉塞するために大きなエネルギーで照射した場合、装置が高価になるばかりでなく、特に細線や小さいドットを含む印影原稿の場合は素材の非溶融部まで影響を与え鮮明なスタンプを得ることができない。
また、素材表面の平滑度が低い場合には充分な圧縮を与えないと気泡の閉塞状態が不完全な箇所が発生し良好な印影を得ることができない。
【0011】
本発明における発熱シートは、アセテートフィルム等の赤外線を透過可能なフィルムに少なくとも赤外線の照射により発熱するカーボンまたは高分子物質を含む物質を塗布したものであり、またカーボンまたは高分子物質を含む熱溶融性物質をホットメルトあるいは有機溶剤に溶融した状態でフィルムに塗工したものでもよい。
具体的には、例えば、ワックス、樹脂、カーボンブラックからなる熱溶融性物質をアセテートフィルムに0.5〜10μの厚さにホットメルト塗工したものがある。
【0012】
前記のスタンプ材を用いる場合、前記の熱溶融性物質はスタンプ材の溶融温度より高い融点50〜160℃をもち、その溶融粘度が50〜2000mPa・sとなる様に配合されるが、融点はスタンプ材の溶融温度以上であればよく低い程閃光照射のエネルギーが少なくて済む。また、溶融したインキの粘度も低い方がスタンプ材に浸透しやすく好ましく、発熱物質が非溶融物質の場合にくらべ、スタンプ素材の溶融以外に熱溶融性インクの浸透による気泡の閉塞も期待でき、照射エネルギーの低減が可能となる。
【0013】
すなわち、気泡閉塞部と非閉塞部の段差は、赤外線照射の際にスポンジ素材を5〜70%程度圧縮し、スポンジ素材の気泡を弾性変形させ隣接する構造を密着させ、加熱時の熱で一定深さまでスポンジ素材表面が溶融し凹状とするが、溶融部と非溶融部の段差は、印材の気孔径が3〜5μ、インク粘度を500〜1500mPa・sであるときその段差は0.01mm以上となるのが好ましい。
さらに、前記段差が0.05mm以上であれば印材の厚さ方向で10〜15層の気孔が圧縮閉塞されていれば粘度が100〜500mPa・sのインキに対しても非滲出部として充分な性能を示すものである。
【0014】
本発明の作製製版器で得られるスタンプ用印版は、それ自体の表面が製版されて印面となり他の部材と組みつけなくてもスタンプとして機能する利点があるが、印版を台木に装着することにより通常のスタンプとすることができる。その使用は、印面を製版したスポンジ材にあらかじめインキを含浸もしくは吸蔵させておくことにより、長時間インキを補充することなく、繰り返し鮮明な印影を捺印することができる。スタンプが吸蔵するインキは常温での揮発性がなく粘度が100〜3,500mPa・sのものが好ましい捺印性能を示す。
特に500〜1,500mPa・sのインキは印材への充填の容易さ、捺印時のインキ滲出量から好ましいものである。
【0015】
また、印版と台木の間に印版のスポンジ材より高発泡度のスタンプインキ吸蔵体を設けることで捺印寿命を延ばしたり、スタンプインキの補給を容易にすることができる。
また、本発明によるスタンプ用印版は、ロール表面に装着してロールを回転することにより連続印刷も可能である。
【0016】
本発明の製版器はスタンプ材を5〜70%圧縮した状態で閃光を照射することが必要であり、この圧縮工程はレバーの回転操作を作用するが圧縮率は一定以上必要であるが、不必要に過大な圧縮は機器の強度や、操作性から好ましくない。
このため、本発明では設定以上の加圧力が作用せず使い勝手のよい閃光製版器を提供するものであり、その構造は、加圧基板面に閃光照射を受ける開口部を設け、該開口部に透過板となるガラスまたは透明樹脂板をはめ込み、該加圧基板の一端に回転自在にスタンプ材を前記透過板とで圧縮するクランプ板を設け、他端にはリンクを回転自在に支持し、さらにリンク他端にはレバーを回転自在に支持し、リンクに設けられた弾性突起と当接する突起によりレバー開放時は直線状に配置される。
【0017】
この時、該レバーの基部は、スタンプ材がセットされた(スタンプ材がクランプ板と透過板との間に挟まれた)クランプ先端位置とリンクの支持点から略同一半径上に位置させ、レバーの回転操作でクランプとレバーをクランプが僅かにスタンプ材を圧縮した状態で仮係止させる。
ここで、レバーの回転により前記リンクの弾性突起とレバー突起の係止が解除され、レバー基部でクランプ先端を押し下げる。ここで該レバー基部のレバー先端側は、レバーのリンクとの支点を回転中心とする同心円形状(円弧形状)となっている。このため、レバーの回転操作が一定角以上になるとクランプ位置は一定となり、閃光照射の準備が完了する。
請求項3では、開放されたレバー基部と、スタンプ材がクランプ板と透過板との間に挟まれた状態のクランプ板の自由端とが加圧基板上で略同一高さであることを特徴とする。
請求項4では、レバー無荷重時はレバー開放状態であることを特徴とする。
さらに、請求項5では、レバーの回転位置が所望のスタンプ材の圧縮率を得られる以上の位置でのみレバーに連動して閃光の発光がおこることを特徴とし、レバーの回転角を増すことで、所望のスタンプ材の圧縮率が得られる位置でのみレバー先端に設けた突起が閃光照射のスイッチを押し製版が完了する構造であるので、いつも一定の圧縮状態で製版が可能となる。
このため、スタンプ材全面で略均一な圧縮量を得ることができ、圧縮不足や過圧縮による機器の損傷の機会も避けることができ、またクランプ板先端をレバー基部で押しつけるので倍力装置となり、レバーの押し圧も少なくてすみ操作性も向上する。
【0018】
また、スタンプ材を圧縮した状態でレバー位置が長時間おかれると機器が合成樹脂で構成されている場合は各部に変形がおこり、設定の圧縮状態が得られなくなる欠点が発生するので、請求項4のように、スタンプ材がセットされた状態ではレバーは開放状態、即ち仮係止状態とすることで、変形による性能低下を防ぐことができる。
すなわち、レバーの回転力を解除することでレバーは、仮係止状態に復帰する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1〜図6は、本発明の実施形態に係る浸透印版の閃光製版器である。
【0020】
図中、1は閃光照射部、2は加圧基板、3は透過板、4はスタンプ材、5はクランプ板、6はクランプ板自由端、7はクランプ板支持端、8はリンク、9はレバー回転中心、10はレバー、11はレバー基部、19aはリンク回転中心、13は閃光スイッチ14は印影原稿、15は発熱シート(例えば発熱物質とアセテートフィルムからなる)である。
【0021】
図1、図2に示すように、閃光製版器においては、外形箱状の加圧基板2の上面部2aから内部へ閃光照射部1が設けられる。この閃光照射部1は反射板1a1の設けられた凹部1a内に赤外線を含む閃光を発する閃光電球1bが配置されており、この閃光電光(フラッシュバルブ)1bを支持するソケット1cが加圧基板2外部から抜き差し交換可能になっている。また凹部1a上部開口には、赤外線を透過可能な透過板3が嵌まりガタつかないようになっている。
【0022】
加圧基板2の上面部2aの一端の突設リブ18には、クランプ板5の支持端7を回転軸18aにより回転可能に支持し、また、他端の突設リブ19にはリンク8を介してレバー基部11を回転可能に支持する。符号9はレバー10の回転中心で、これを中心にレバー10は回転可能になっている。
【0023】
クランプ板5は、透過板3上に原稿14、発熱シート15、およびスタンプ材4を重ね、その上からクランプ板5を重ねたときに、スタンプ材4の少なくとも一度に製版可能な全面にわたり一定の厚み以下に圧縮可能な面積の平面部5aを有して形成される。
レバー10は、その自由端10aをクランプ板5の支持端7側に回転させることで、レバー基部11がクランプ板自由端6を透過板3方向に押し付け、これにより、スタンブ材4を5〜70%圧縮可能にするように形成される。
【0024】
また、閃光照射部1は、透過板3に赤外線を含む閃光を閃光電球1bから照射可能になっている。
また、レバー基部11のクランプ板5と当接する部分の一部は、レバー10のリンク8との回転中心9と同心円形状に弧を描くように形成される。
【0025】
また、図5に示すように、透過板3から離れて開放された状態のレバー基部11とスタンプ材4がセットされた(スタンプ材4がクランプ板5と透過板3との間に挟まれた)クランプ板5の自由端6が加圧基板2上で略同一高さにされている。
またレバー10は無荷重時には図5のように、レバー10の開放状態であり、リンクの弾性突起8bでレバー10の突起10cに係合してレバー10とリンク8とは直線状態になる。
【0026】
また、閃光照射部1の閃光スイッチ13は、レバー10の自由端10aに突起状に設けられ、この閃光スイッチ13が加圧基板2内の電気接点(図示省略)をON(オン)することにより、閃光電球1bが閃光を生じるが、レバー10の回転位置が所望のスタンプ材4の圧縮率が得られる以上の位置でのみレバー10に連動して閃光の発光が起こるように閃光スイッチ13は設定されている。
【0027】
次に、上記製版器による浸透印版の作製を、鏡像印版(正像印影)を作製する場合について説明する。
図7、図8はスタンプ印版の作製模式図である。
図7の(a)に示すように、発泡ポリエチレン製のスタンプ材4と、カーボンフィルムの発熱シート15と、原稿14とを備える。
まず、(b)に示すように、スタンプ材4の上に発熱シート15を重ねて、更にその上に原稿14を重ねて積層状態にし、図4のように原稿14を透過板3に接しさせる。この場合、原稿14の文字、図形等の印された面を発熱シート15に接触させる。
なお、原稿14の画像が印されていない面を発熱シート15に接触させた場合には正像印版(鏡像印影)が得られる。
また、原稿14については、PPCコピーの画像に限定されず、閃光を透過する透明のシートに画像を印したものでも、閃光を透過しない画像そのものだけ(切り抜かれた型紙等)でも、また、発熱シート15そのものに画像が印されたもので製版を行った場合にも、スタンプとすることができ、原稿14については閃光を透過させない部分を有するもので、製版器の挟持構造により挟持できるものであれば、特にその形態を限定するものではない。
さらにまた、原稿14の種類としては、閃光を透過し得る紙に閃光を遮蔽しうるようにインキで画像を描いたもの、閃光を透過し得る紙に閃光を遮蔽しうるように鉛筆で画像を描いたもの、閃光を透過し得る紙に閃光を遮蔽しうるように画像が印刷されたもの(デザイン画集等)があるが、画像の印されていれば、特にその形態を限定するものではない。
【0028】
次に、前記のようにスタンプ材4、発熱シート15および原稿14を重ねたものに、図7(c)に示すように、原稿14の上から閃光を照射する。
このとき、図8に示すように、閃光は原稿14における文字、図形など存在部分Lによって遮蔽されるが、発熱しても発熱板を通してスタンプ材4を溶融するほどでなく文字、図形不在部分Bでは透過して発熱シート15に達する。発熱シート15において光の当たった箇所は温度が上昇し、それ以外の箇所の温度は変わらない。スタンプ材4において発熱シート15の温度上昇部分と接触する箇所の表面は、その熱により溶けて気泡を閉塞すると共に収縮して僅かに凹み状態となり、この部分が図7の(d)に示すインキ非滲出部Hとなる。また、スタンプ材4において発熱シート15の非温度上昇部と接触する箇所の表面は連続気泡が開通した状態を維持し、この部分が図7の(d)に示すインキ滲出部Iとなる。これによって製版は終了し、原稿14と発熱シート15を取り除いてスタンプ材4にインキを含浸させればスタンプとして押印可能となる。
【0029】
印版の作製をさらに詳細に説明する。
印影原稿14の作製:
印刷物をPPC複写機で複写して印影原稿像を有する印影原稿14を作成し、片面または両面に水とエタノールからなる液体を塗布し赤外線の透過効率を改善した。ここで、エタノールは水が紙に浸透しやすくする助剤であり、エタノールに限るものではなく、水のみでも浸透に時間がかかるのみで効果は変わらない。ここで、塗布液体は水を用いることで、PPC複写機で作成した印影原稿14を用いて、閃光照射時に該複写トナーの発熱が起こっても水で発熱を吸収しスタンプ材4に熱的影響を与えにくく、細線の再現性に優れる。
【0030】
印版の作製:
5000ルーメン・秒の発光エネルギーをもつ閃光電球(フラッシュバルブ)1bを有する閃光照射部1の透明板3上に印影原稿14の印影原稿像が正像となるよう重ね、さらに発熱面を上向きとして、発熱シート15を重ね、この上に立体網目構造の3μmの微細連続気泡をもつ気孔率60%、溶融温度が約70℃である寸法が50*30ミリ厚さ1.6mmの発泡ポリエチレンシートからなるスタンプ材4を重ねて置く。
【0031】
ここで用いた発熱シート15は、20μm厚のアセテートフィルムにカーボンと合成樹脂を揮発溶剤で希釈し塗工した後溶剤を揮発させたものを用いた。
以上の条件ではスタンプ材4の発泡ポリエチレンシートに厚さ方向で元厚の50%となるように圧力をかけた状態で良好な製版を行うことができた。
【0032】
すなわち、加圧基板2面に閃光照射を受ける凹部1aの開口部を設け、該開口部に透過板3となるガラスまたは透明樹脂板をはめ込む。
この透過板3上に前記印影原稿14に水を塗布し正像となるように置く。さらに該印影原稿14上に発熱シート15の発熱面を上向きになるよう重ね、この上にスタンプ材4を重ねて位置させる。
【0033】
次に加圧基板2の一端に回転自在に支持されたクランプ板5を重ねる。さらに、図6に示すように、加圧基板2の他端に回転自在に支持されたリンク8の他端に支持されたレバー10の基部11と前記クランプ板自由端6をスタンプ材4を僅かに圧縮した状態で係止させる。このときクランプ自由端6とレバー基部11がリンク8回転中心に対し略同一位置にあるのでレバー10をクランプ板支持端7側へ回転させることで仮係止の状態になる。すなわち、リンク8とレバー10は回転自在に連結されているが、リンク8に設けられた弾性突起8bとレバー10の突起10cが当接し両者を直線上に保持しているのでレバー10の回転で仮係止可能となる。
この後ソケット1cに閃光電球1bを取りつけ製版器本体に装着する。この状態からさらにレバー10をクランプ板支持端7側へ回転させると、レバー基部11がリンク8先端を支点に回転しクランプ板5先端を加圧基板2へ押しつける。このとき、レバー10の突起10cはリンク8の弾性突起8bを乗り越えリンク8と異なる回転運動が可能となる。
【0034】
ここで、実施形態ではレバー基部11はレバー10の仮係止位置よりある角度以上回転させられるとスタンプ材4を厚さ方向で50%程度圧縮する半径に形成されているのでレバー10の回転角によらずスタンプ材4の圧縮率は50%程度で一定とすることができる。
【0035】
そしてレバー10先端(自由端10a)の閃光スイッチ13が加圧基板2に設けられた閃光照射の電気接点を押しさげ発光させるものである。このため閃光照射はスタンプ材4が設定の圧縮率とならなければ発光することがなく、失敗のない製版が可能となるばかりでなく不用意に閃光を発する恐れもない。
【0036】
また、クランプ板5先端位置とレバー基部11の半径を加圧基板2とクランプ板5間にスタンプ材4がセットされている場合にはレバー10の回転操作力を解除すると仮係止位置に復帰する寸法形状とすることで機器の変形による性能低下を防止できるものである。
【0037】
上記の過程で製版されたスタンプ材4は製版器の圧縮力を解かれるとスポンジ材の復元力でレバーが全開位置に復帰し、スポンジ材も厚みが元厚に復帰しスタンプインクが吸蔵可能となる。
ここで該スタンプにインクを吸蔵させることでインクの補給なしに連続捺印可能なスタンプとなる。
【0038】
【発明の効果】
本発明浸透印版の閃光製版器は構造が簡単であり、安価に製造することができるとともに、特に印版の性能を左右するスタンプ材の圧縮工程でレバー位置にかかわらず一定の圧縮率を保持する構造としたので熟練を必要とせず安定した製版が可能となった。
また、スタンプ材を加圧基板とクランプ間にセットした後、原稿、発熱シート、スタンプ材の位置が移動してしまうと希望の位置に図柄を製版することができないが、本発明ではクランプ板で仮押さえしているので閃光照射までの間にずれが生ずることはなく高精度のスタンプが迅速に提供できるものである。
【0039】
製版上はスポンジ素材の連続気泡の閉塞が低いエネルギーで実現することができ、このため非溶融部への影響が少なくてすみ品質の良好な印版を得ることができる。すなわち、製版に要する単位面積当たりの照射エネルギーが大きいと、原稿像の線幅が狭かったり小さい場合にはインキ滲出部に相当する箇所もインキ非滲出部の溶融の影響をうけ線幅が細くなったり消滅してしまうことがあり高精度、高品位のスタンプを作成できない欠点があったり、スポンジ材を圧縮し閃光照射することで、閃光の単位面積当たりエネルギーを小さくすることができるのでこれらを解消することができた。また同一のエネルギーであればより大型のスタンプが製版でき安価に機器を提供できる。
【0040】
さらに本発明でスタンプ材の圧縮が一定以上行われない構造となっているので過大な操作力で機器の破損を招くこともなく、機器の構造を簡素化でき安価に提供できる。
またレバーの操作を解除した状態ではスタンプ材の圧縮が解除された状態になるので機器を樹脂で製作しても熱変形し機能を損なう心配もなく同様な効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る浸透印版の閃光製版器の外観斜視図である。
【図2】閃光製版器の閃光照射時の側面図である。
【図3】図1のIII−IIIに沿う断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、クランプ板とレバーを全開した状態説明図である。
【図5】原稿(14)、発熱シート(15)、スタンプ材(4)を重ねてクランプ板(5)の自由端(6)とレバー基部(11)が加圧基板(2)上で略同一高さとなっている状態図である。
【図6】レバー基部(11)で、クランプ板自由端(6)をしてスタンプ材(4)を僅かに圧縮した状態で係止した状態図である。
【図7】スタンプ印版の作製工程の模式図であって、(a)はスタンプ材等、(b)はスタンプ材等の重ねた状態、(c)は閃光照射した状態、(d)は作製された浸透印版のそれぞれの説明図である。
【図8】スタンプ製造工程の要部である光を照射した場合における断面図である。
【符号の説明】
1 閃光照射部
2 加圧基板
3 透過板
4 スタンプ材
5 クランプ板
6 クランプ板自由端
7 クランプ板支持端
8 リンク
9 レバー回転中心
10 レバー
10a 自由端
11 レバー基部
13 閃光スイッチ
14 印影原稿
15 発熱シート
19a リンク回転中心
L 印影原稿像
H 溶融部
I 非溶融部
Claims (5)
- 赤外線を透過可能な透過板上に原稿、赤外線の照射により発熱する発熱シート、および連続気泡を有してスタンプインキ含浸可能な弾性樹脂製のスタンプ材を重ねた状態で、前記透過板を支持する加圧基板の一端に回転可能に支持されるクランプ板を用いてスタンプ材をその少なくとも一度に製版可能な全面にわたり一定の厚み以下に圧縮可能とするとともに、
前記加圧基板の他端にリンクを介してレバーを設け、クランプ板を前記スタンプ材上に重ねた状態でレバーをクランプ板の支持端側に回転させることで、該レバー基部がクランプ板自由端を透過板方向に押しつけスタンプ材を5〜70%圧縮可能とし、前記透過板に赤外線を含む閃光を照射する浸透印版の閃光製版器。 - レバー基部のクランプ板と当接する部分の一部を、レバーのリンクとの回転中心と同心円形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の浸透印版の閃光製版器。
- 開放されたレバー基部と、スタンプ材がクランプ板と透過板との間に挟まれた状態のクランプ板の自由端とが加圧基板上で略同一高さであることを特徴とする請求項2に記載の浸透印版の閃光製版器。
- レバー無荷重時はレバー開放状態であることを特徴とする請求項2に記載の浸透印版の閃光製版器。
- レバーの回転位置が所望のスタンプ材の圧縮率を得られる以上の位置でのみレバーに連動して閃光の発光がおこることを特徴とする請求項1に記載の浸透印版の閃光製版器。
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JP1771996A JP3606983B2 (ja) | 1996-02-02 | 1996-02-02 | 浸透印版の閃光製版器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP1771996A JP3606983B2 (ja) | 1996-02-02 | 1996-02-02 | 浸透印版の閃光製版器 |
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-
1996
- 1996-02-02 JP JP1771996A patent/JP3606983B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09207420A (ja) | 1997-08-12 |
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