JP3606527B2 - 軸物切削工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ドリル,エンドミルおよびリーマ等の軸物切削工具に関し、殊に軸物切削工具の刃部の耐摩耗性および耐ピッチング性を向上させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉末冶金法で製造されるWC系超硬合金やTiC系サーメット等の硬質合金は、その優れた耐摩耗性を利用して旋削用チップ等として以前より広く利用されてきたが、これら材料の特性は、一般に高硬度になるほど脆くなる傾向にあると言われている。従って、これら硬質材料は切削・耐摩工具として一般に広く使用されている高速度工具鋼(以下、「ハイス」と略称する)に比べて靭性の面で難点を背負っていた。
【0003】
しかしながら、近年に至り超微粒子超硬合金が発明されたことや粉末冶金法の難点であるポアーの発生を完全消滅できる熱間静水圧加圧処理(以下、「HIP処理」と呼ぶ)が積極的に採用される等、製造法の進歩によってハイスに近い靭性を持つ硬質材料が開発されつつある。
【0004】
一方、ドリルやエンドミル等の軸物切削工具の素材としては、ハイスが主に採用されているが、最近の高能率加工のニーズから日増しに高速加工の要求が高まっている。これらの軸物切削工具は、高速切削で広く使用されて理論面での解明が進んでいる旋削チップに比べ切削機構が複雑であり、切屑排出の問題と相俟って工具に加わる負荷も大きいので、折損,チッピング等の問題が容易に解決できず、これらの工具の高速切削への道が閉ざされていた。ところが、上述の如く超硬合金の関連技術が改良されるにつれて、軸物切削工具においてもWC系超硬合金材料が普及する様になっており、その優れた硬さ、耐熱性、剛性を活かし、高速切削や高精度加工が一応可能になったと思われた。
【0005】
しかしながら、使用条件によっては、突発的な折れ,欠けが発生することが指摘されている。この原因として、切削中に刃先先端に発生する切削熱による熱伝導性の悪さや摩耗劣化による切削抵抗の増加によるものと考えられる。従って、これら問題を解決しさらに信頼性を高めた超硬合金素材の開発が望まれているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えばドリルによる切削は、旋削チップと異なって円周方向で切削条件が異なる複雑な機構を示す。即ち、基本的には軸中心に近づくほどスラストが増大する一方で、切削速度,トルクは急激に減少する傾向を示す。従って、軸中心のチゼル部では軸方向の押しつけ力が支配的に作用し、材質面からはこの力に抗する強度が要求される。一方外周部では切削速度が大となることから、耐熱性や耐摩耗性と耐チッピング性が要求される。しかしながら、現在使用されている超硬合金製ドリルのほとんどは、WCを1.5〜2.5μmの粗粒子をベースにして耐熱元素を添加した合金組成となっている。即ち、一般鋼材や鋳鉄などの穿孔加工に使用される超硬合金製ドリルは、穿孔加工中に発生する熱によってドリル寿命が大きく左右されると言われており、その対策として耐熱性を向上させる元素を多く添加した超硬合金を使用しているが、この様なドリル素材は耐熱元素の添加によって若干の熱伝導性が悪くなることから、一般的にP,M種といわれる超硬合金はWCを意識して粗粒化(1.5〜2.5μm程度)し、熱伝導性を向上させているのが現状である。
【0007】
しかしながら、粗粒子のWCを用いると硬度が当然の如く低くなって耐摩耗性が低下し、刃先先端のマージン摩耗による切削性能の短寿命化につながることになる。またWCと結合相の不均一組織からくる耐チッピング性の面でも、従来使用されているドリルはまだ完全に解決されておらず、信頼性の面で問題点を残している。
【0008】
ところでドリル等の軸物切削工具における欠けや折れの原因としては、材料面および形状面の双方からの影響があると思われる。そこで形状面でのドリルの具体例としては、ミラクルドリル(商品名:株式会社神戸製鋼所製)、ニューポイントドリル(商品名:三菱マテリアル株式会社製)、マルチドリル(商品名:住友金属株式会社製)、更には細井ドリル(商品名)の様に、チゼル部等の形状を工夫することによって欠けの問題を解消しようとした各種ドリルが商品化されている。またエンドミルにおいても、すくい角をポジにした刃先にして刃部にかかる負荷を減少したものや、加工仕上げ面を良くするために切れ刃をピン角にした工具等も提案されている。しかしながら、刃先部の局部摩耗やチッピング等により欠けや折れなどの折損による切削寿命のバラツキは完全には解消していないのが現状である。
【0009】
一方、材料面から機能的特徴を生かした工具の開発も行なわれており、欠けや折れ等を防止するためには、一般的に抗折力を上げて靭性を向上することが有効な手段であると言われている。しかしながら、摩耗性と靭性とは相反する性質であり、靭性の優れた超微粒子合金においても例外ではない。その対策として、刃先に耐摩耗性の良い硬質物をコーティング(膜質はTiCが主体)したドリルやエンドミル等が実用化・市販されているが、スローアウエイチップに比べ刃先形状が複雑なことから、コーティングが剥離しやすいという問題もある。また超微粒子合金を使用している超硬合金製エンドミルにおいても、より長い寿命を達成すべくコーティングを施した工具が出現しているが、寿命のバラツキや精度上で依然として問題がある。尚コーティング膜は、耐摩耗性と耐熱性に主眼をおいたものであり、欠けや折れの問題とは基本的には無縁である。
【0010】
このような技術背景において、摩耗性と靭性を同時に改善しさらに切削性を向上する手段として、工具の複合化も有効である(例えば、特開平2−269515号)。この様な技術においては、複合化はろう付けによって達成されているのが一般的であり、例えば先ムクドリルなどの軸物切削工具では刃部が超硬合金製チップ、シャンク部が鋼材とする接合体となっているが、接合強度の不安やろう付け時の熱応力による接合部の折損剥離の問題を内在しており、工具使用の際の突発的折れ問題はまだ解決しないまま今日に至っている。また真空ろう付け技術も採用されてきているが、上述した熱応力や接合強度の問題は依然として残されている。
【0011】
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、耐摩耗性や耐チッピング性の向上を図ると共に、折損などの発生を防止し、性能を高めた軸物切削工具を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の軸物切削工具とは、刃部が、WCを主体とする超硬合金であって、Wを除く周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末が0.2〜30重量%であると共に、結合相となるCoおよび/またはNiの粉末が4〜20重量%の割合で配合され、残部が平均粒径:0.3〜0.7μmのWC粉と不可避不純物である原料混合粉末を焼結した超硬合金となっている。
【0013】
そして本発明の軸物切削工具とは、上記の様な超硬合金を刃部の素材として用いると共に、シャンク部として、Wを除く周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末が0.1〜5重量%、結合相としてのCoおよび/またはNiの粉末が4〜8重量%の割合で配合され、残部が平均粒径:1〜3μmのWC粉と不可避不純物である原料混合粉末を焼結したものを用いる点に要旨を有するものである。
【0014】
【作用】
本発明は、基本的には軸物切削工具の刃部となる超硬合金の出発原料混合粉末の構成を規定したものであるが、この原料混合粉末のうち、Wを除く周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物(以下、「耐熱性化合物」と呼ぶことがある)粉末の配合量は0.2〜30重量%とする必要がある。即ち、この配合量が0.2重量%未満であると、これら化合物を配合する基本的作用である耐熱性向上が発揮されず、一方30重量%を超えると急激な靱性低下を生じる。尚上記耐熱性化合物は、周期律表4A,5A,6A族元素のうちWを除く金属元素を基本的に想定したものであり、それにはいわゆるダブルカーバイドと呼ばれるTiC−TaC系炭化物粉末も含む趣旨であるが、必要によってその一部をTiC−TaC−WC(いわゆるトリプルカーバイド)の様にWを含む炭化物粉末で代替しても良い。この様な粉末に含まれるWCは、超硬合金の主体となって硬質相をなすWCと異なり、耐熱性化合物として作用する。
【0015】
上記耐熱性化合物粉末の平均粒径は、0.5〜1.0μmであることが好ましく、この様な微細な粒子を用いることによって超硬合金の耐摩耗性を更に向上することができる。また耐熱性化合物のうち、TiCやTaCなどの化合物も粒成長抑制剤として効果はあるが、それ以上にVCは0.2〜0.5重量%程度のわずかな添加量でも粒成長抑制剤としての効果を発揮する。即ち、VCの添加量が0.2重量%未満ではその効果は少なく、0.5重量%を超えると靭性の面で悪くなる傾向を示す。
【0016】
一方、結合相となるCoおよび/またはNiの粉末混合量は4〜20重量%とする必要があるが、これは4重量%未満では靭性の面で悪くなる傾向にあり、20重量%を超えると摩耗性の面で劣る傾向にある。
【0017】
本発明で用いる原料混合粉末は、上記の他、残部がWC粉および不可避不純物からなるものであるが、WC粉の平均粒径は0.3〜0.7μm範囲の超微粒子を使用する必要がある。即ち、WC粉の平均粒径が0.7μm超えると硬さでHRA:91.8以上の値が得られず耐摩耗性の点で劣り、局部摩耗による寿命低下が生じることになり、本発明の目的が達成されない。
【0018】
尚平均粒径0.3〜0.7μmのWC粉と、耐熱性化合物粉末の平均粒子径の差を0.1〜0.5μm以内に抑えた均一組織にすることで、耐摩耗性,耐チッピング性が更に優れたものとなる。
【0019】
上記原料粉末を調製するときの配合・混合処理法は、従来の粉末冶金法で行なわれる通常の混合法を採用すれば良く、例えばアトライターにて適量な有機溶剤(アセトン、エタノール、ヘキサン等)と配合粉および成形助剤を添加して撹拌を行ない、スラリー状になった原料混合粉末を乾燥・造粒処理する。尚本発明で用いる原料混合粉末には、必要に応じてHf,Zr,B等の元素の炭・窒化物を0.1〜5重量%の割合で混合しても良く、これらは耐酸化性,耐熱性に寄与する。
【0020】
刃部の超硬合金は、上記の様な原料混合粉末を焼結することによって得られるが、その手順・手段については特に限定されず、例えば下記の方法に従えばよい。その一つとしては、金型若しくはゴム型に充填したのち、加圧または静水圧圧力で加圧し成形体を作る方法と、もう一つは乾燥された混合粉に成形助剤やバインダー(熱可塑性樹脂,潤滑剤等)を投入し、粘土状にした後、射出成形機にて押出し成形体を作る方法であり、本発明材はどちらの成形法にも適用される。また成形後は上記成形助剤やバインダーを取り除き、適当な強度を持たせる為に、半焼結処理(700〜1000℃)を施し、そのまま焼結処理(1250〜1500℃)したり、加工を加えて所定の形状に仕上げて前記と同じ様に焼結処理をする。この際の焼結は、上記温度範囲で真空中(1×10〜1×10 Torr)で処理する。焼結処理したものは不活性ガス(Ar,N 等)を圧力媒体として1200〜1400℃の温度で100〜2000kg/cmm の圧力でHIP処理を施すのが好ましい。
【0021】
焼結・HIP処理後の組織は、WC,耐熱性化合物(TiC,TaC,Cr 等)とも微細で均一な組織を呈することが本発明では重要である。即ち、粗粒を使用すると、図2に示す様な組織となり、結合相にCoリッチな相が形成され、局部摩耗の発生によるチッピングによる損傷や硬度低下による耐摩耗性劣化,熱伝導度の低下等が生じ易くなる。
【0022】
従って、従来使用される粗粒系のP,M種素材では上記の様な損傷現象が起き易いのに比べ、本発明材は出発原料から微粒子を使用した原料混合粉末を用い、且つ粒成長しない処理方法で製造するため、図1に示す様な均一な組織となり、そのことより優れた耐摩耗性および耐チッピング性を有する超硬ドリル素材(刃部の素材)を製造することができる。
【0023】
上記の様な超硬合金を刃部の素材とし、組成の異なる超硬合金をシャンク部として用い、これらを接合することによって軸物切削工具を構成すること本発明の技術的範囲に含まれるものであるが、シャンク部で用いる超硬合金の構成は下記の通りである。
【0024】
シャンク部に用いる素材は、刃部で発生する切削熱を吸収し易い組成にすることが重要であり、その為熱伝導性の良好な組成を採用することで切削寿命を伸ばすようにする。熱伝導度の向上には、低Co化を図り、WCなどの炭化物粒子を粗粒にするのが良い。こうした観点から、WC粉末は平均粒径が1〜3μmの粗粒のものを用い、且つ結合相となるCoおよび/またはNiを3重量%未満では靭性の点で不足し、また9重量%を超えると熱伝導性の面で劣るので、4〜8%の範囲の組成が最も有効である。
【0025】
軸物切削工具において、刃部とシャンク部は前記の様な組成で構成され、その長さ比率は刃部:シャンク部=2〜3×d(外周径):全長−(2〜3×d(外周径))が最適である。これは被削材の板厚から考えて、切削性能に直接影響しない長さを選んだものである。すなわち刃部が2d未満の長さでは接合界面がワークに直接接触する領域となり、境界摩耗などの損傷が生じることになり、また3dを超える長さでは刃部で発生する切削熱を伝導する機能が発揮できないことになり、従ってその接合体の刃先とシャンク部の比率範囲を上記の様に規定した。
【0026】
刃部とシャンク部の接合界面は平面状ではなく、相互に嵌合する複数の凹溝および凸条とするのが効果的であり、そのピッチ間隔は0.1〜0.3mmであるのが最も好ましい。このピッチが0.1mm未満では熱伝導性の面での効果が薄く、0.3mmを超えると接合強度が低下する。即ち、本発明では、刃部に発生する切削熱をシャンク部側へ逃しやすいようにして、その機能が発揮できるようにピッチ間隔を規定したのである。尚前記複数の凹溝および凸条の具体的な形状については特に限定するものではなく、凹溝および凸条が延びる方向に対して垂直な面での形状が波状,鋸歯状等、いずれも含む趣旨である。
【0027】
以上述べた様に、刃部に超微粒子の合金組成材を採用することにより、耐摩耗性および耐チッピング性に優れた性能を発揮すると共に、刃部で発生した切削熱をシャンク部側で吸収し易い、即ち熱伝導性の良い超硬合金素材からなるシャンク部に伝達することによって切削性能を更に向上させることができる。
【0028】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0029】
【実施例】
参考例
平均粒径が0.5μmのWC粉末、平均粒径が1.5μmのCo粉末および/またはNi粉末、TiC,TaC,VC,Cr ,NbC等のWを除く周期律表4A,5A,6A族金属の炭化物(耐熱性化合物)、あるいはトリプルカーバイド(TiC−TaC−WC)やダブルカーバイド(TiC−TaC)の粉末で平均粒径が0.7μmのもの、または振動ミルやアトライターによって粉砕した粒径が1.0μm以下で平均粒径が0.8μmの耐熱性化合物粉末等の出発原料を用いて表1および表2に示す配合組成を作った。
【0030】
これら配合粉末をそれぞれアトライターに投入し、有機溶剤(アセトンかヘキサン)と成形助剤を同時に撹拌し、5時間後に回収し、乾燥・造粒処理を行なった。その後、所定の金型にて1000kg/cm 以上の圧力で成形体を成形し、半焼結処理(450℃×4時間+850℃×2時間)を施した。その後ドリル形状に加工し、1×10 Torrの真空中で1380℃×0.5時間の焼結処理を施したものを、さらに1350℃で1500気圧の不活性ガス(Ar)中でHIP処理した。焼結およびHIP処理後の素材特性(硬さ,抗折力)を表1および表2に併記する。
【0031】
【表1】
Figure 0003606527
【0032】
【表2】
Figure 0003606527
【0033】
得られた超硬合金の切削性能の評価を行なうために、直径:10mmの超硬合金製ドリルに加工し、下記の条件にて穿孔加工を行なった。
被削材 :S50C
切削速度 :120mm/min
送り :0.25mm/rev
切削油 :エマルジョン
ドリル直径:10.0mm
板厚 :1.6×D(ドリル直径)
切削寿命は、切粉の形状変化と切削音の発生および刃先の異常摩耗から最終寿命を判断した。その結果、表3に示すように、参考材は従来材の約2〜3倍の寿命が得られ、また図3および図4に示すように、WC粒径と切削寿命との関係、硬度と切削寿命とが明確に関係付けられることが明らかにされた。
【0034】
【表3】
Figure 0003606527
【0035】
実施例
表4は、刃部とシャンク部で構成される本発明の軸物切削工具を製造する際の原料混合粉末の組成および特性を示す。また表5には従来使用されている原料混合粉末の組成と特性を示す。刃部の組成は超微粒子の粉末を出発原料として、WCは0.5μmをベースに、Wを除く周期律表の4A,5A,6A族の粒子径が1.0μm以下の炭化物を0.2〜30重量%添加し、結合相となるCoおよび/またはNiは4〜20重量%の範囲となっている。また粒成長を抑える元素として、VCも添加しており、以上のことにより耐摩耗性と関係が深い硬度の値が従来材に比べ、高い値を示しているのが分かる。一方シャンク部に適用される組成はWCの粒径が1〜3μmの粗粒を使用し、Wを除く周期律表4A,5A,6A族の炭化物を0.1〜5重量%添加し、もしくは無添加で、結合相となるCoおよび/またはNiは4〜8重量%の範囲としているものである。このことより熱伝導性も良く、本発明のねらいである刃部の発生した切削熱をシャンク側へ伝えやすくなっている。
【0036】
【表4】
Figure 0003606527
【0037】
【表5】
Figure 0003606527
【0038】
表4および5に示した原料粉末を秤量,配合し、有機溶剤中アトライターにて混合・分散後、乾燥・造粒を行なった。そして得られた造粒粉は成形を行なう際、まずホッパーに蓄積された刃部に用いる造粒粉を所定の成形金型に投入、その後所定量のシャンク部で用いる造粒粉を振動を与えながら投入し、1000kg/cm 以上の圧力で成形処理を行なった。この場合刃先部の長さは2〜3×d(外周径)寸法に、すなわち刃先:シャンク=(2〜3×d(外周径)):全長−(2〜3×d(外周径))になるように造粒粉を夫々個別に投入し、目的とする成形体を製作した。この成形体を脱ろう・半焼したのち、半焼加工にて目的の素材形状に仕上げ、真空炉にて1×10〜1×10−5Torrの真空下、1280〜1500℃の温度で焼結処理を行なった。その後Ar等の不活性ガスを圧力媒体として100〜2000kg/cm の圧力で1200〜1400℃高温処理を行なう熱間静水圧加圧処理(HIP処理)を施し、本発明合金の素材を得た。
【0039】
本発明材および比較材を用い、切削テストを行なった。尚切削テストはドリル(10mmφ)とエンドミル(直径:10mm,2枚刃)を用い、夫々下記の条件で行なった。また同一条件で比較するために、本発明材,比較材とも同一コーティング(Al,Ti)N処理したもので切削評価した。
(ドリルの切削条件)
切削速度 :120mm/min
送り :0.25mm/rev
板厚 :16mm
被削材 :S50C,50C
切削油 :エマルジョン油
(エンドミルの切削条件)
回転数 :1910rpm
被削材 :SKD11
送り :306mm/m(0.08mm/刃)
切込み :1.0mm(R)×15mm(L)
切削方法 :ダウンカット,エアーブロー
切削長 :6m
【0040】
その結果を一括して表6に示すが、ドリルによる切削試験においては、本発明材は2000穴以上の高寿命を示しているが、従来使用されている粗粒系ドリルでは、300〜400穴の寿命しか得られていない。これは同一被膜コーティング下でも超硬母材の摩耗性は切削性能に影響しており、本発明材は刃部の耐摩耗性の優れた組成で、且つシャンク部が刃部に発生する切削熱を軽減化する方向に作用したことによる効果と思われる。またエンドミルにおいても、減径摩耗量で本発明材は比較材の1/2の値となっており、上記と同様の効果によって優れた切削性能を発揮していることが分かる。
【0041】
【表6】
Figure 0003606527
【0042】
表7は本発明材(No.25)の抗折強度を調べた結果を示したものである。尚比較材として、エンドミル素材(刃部:4A)の焼結体同士を接合したもの(図5(b))の抗折強度についても調査した結果についても示す。またA部(接合強度)およびB部は、図5(a)に示す位置で測定した値である。本発明材における接合界面はポアーやクラック等の欠陥は全く認められず、刃部母材あるいはシャンク部母材とほぼ同じ値が得られており、このことは接合による強度低下はないということを証明していた。
【0043】
【表7】
Figure 0003606527
【0044】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、従来のものより穿孔加工等の寿命が高寿命化された軸物切削工具が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超硬合金の組織を模式的に示す説明図である。
【図2】従来の超硬合金の組織を模式的に示す説明図である。
【図3】各超硬合金の硬度と切削寿命の関係を示すグラフである。
【図4】各超硬合金のWC粉平均粒径と切削寿命の関係を示すグラフである。
【図5】抗折試験片を示す説明図である。

Claims (7)

  1. 刃部とシャンク部が接合されて構成される軸物切削工具において、
    刃部として、Wを除く周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末が0.2〜30重量%であると共に、結合相となるCoおよび/またはNiの粉末が4〜20重量%の割合で配合され、残部が平均粒径:0.3〜0.7μmのWC粉と不可避不純物である原料混合粉末を焼結した超硬合金を用いると共に、
    シャンク部として、Wを除く周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末が0.1〜5重量%、結合相としてのCoおよび/またはNiの粉末が4〜8重量%の割合で配合され、残部が平均粒径:1〜3μmのWC粉と不可避不純物である原料混合粉末を焼結したものを用いることを特徴とする軸物切削工具。
  2. 刃部とシャンク部の長さ比率が下記(1)式を満足するものである請求項1に記載の軸物切削工具。
    刃部:シャンク部=(2〜3d):(全長−刃部の長さ)…(1)
    但し、d:外周径
  3. 刃部とシャンク部の接合界面には、相互に嵌合する複数の凹溝および凸条が形成され、且つそのピッチ間隔が0.1〜0.3mmである請求項1または2に記載の軸物切削工具。
  4. 前記刃部の超硬合金は、周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末の一部を、TiC−TaC−WC粉末で代替した原料混合粉末を用いたものである請求項1〜3のいずれかに記載の軸物切削工具。
  5. 前記刃部の超硬合金は、周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末として、VC粉末が、原料混合粉末全体に対する割合として、0.2〜0.5重量%含有された原料混合粉末を用いたものである請求項1〜4のいずれかに記載の軸物切削工具。
  6. 前記刃部の超硬合金は、周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末の平均粒径が0.5〜1.0μmである原料混合粉末を用いたものである請求項1〜5のいずれかに記載の軸物切削工具。
  7. 前記刃部の超硬合金は、主体となるWC粉末の平均粒径と、周期律表4A,5A,6A族元素よりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物粉末の平均粒径の差が0.5μm以下である原料混合粉末を用いたものである請求項1〜6のいずれかに記載の軸物切削工具。
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