JP3603237B2 - 液状の樹脂添加剤、およびそれを用いた架橋オレフィン系樹脂絶縁体の製造方法 - Google Patents

液状の樹脂添加剤、およびそれを用いた架橋オレフィン系樹脂絶縁体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋オレフィン系樹脂絶縁電力ケーブル(以下、単に電力ケーブルということがある)の絶縁体、および電力ケーブル接続部の絶縁体形成用の樹脂組成物に使用される液状の樹脂添加剤、およびそれを用いた架橋オレフィン系樹脂絶縁体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系樹脂を基体樹脂とし、これに架橋剤、酸化防止剤、さらに要すれば他の添加剤を配合した架橋性オレフィン系樹脂組成物を架橋させて、得られる電力ケーブルの絶縁体層、電力ケーブル接続部の絶縁体層(以下、これら絶縁体層を総称して絶縁体ともいう)は、高電圧化に伴う過酷な条件に曝されると、絶縁体層中の異物、ボイド、水分などが原因となり、その電気特性を著しく低下させることが知られている。
【0003】
絶縁体層中に異物を混入させないためには、その原料となる基体樹脂、架橋剤、酸化防止剤、その他の添加剤に混入する異物を極力少なくする必要がある。基体樹脂に各種添加剤を配合する方法としては、従来、(i) 基体樹脂、架橋剤、酸化防止剤などの原料を所定割合で秤量し、各種の混合機を用いてドライブレンドする方法(以下、直接法ともいう)、(ii)架橋剤、酸化防止剤などが液体である場合には、これらを溶融状態にある基体樹脂に注入混練する方法(以下、注入法ともいう)、などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記(i) の直接法で異物を除去するには、各種添加剤を含む基体樹脂組成物を押出機で溶融混練し、押出機の先端に装着したスクリーンメッシュで濾過する方法が採用されているが、異物がスクリーンメッシュに溜まると背圧が高くなり過ぎ、円滑な押出操作ができないという問題がある。
上記(ii)の注入法では、液状の添加剤を通過孔の微細なスクリーンメッシュで濾過する手法が適用できるので、上記(i) の直接法に比べて微細な異物を除去するには有利である。しかしながら、添加剤の少なくとも一種が常温で液体であるか、または加温すると容易に液状化できるものに限られるという欠点がある。
【0005】
従来、よく使用されている架橋剤としてのジクミルパーオキサイド(以下、化合物Aともいう)は、融点が約40℃であり、加温により液状化が可能であるので、液状化して濾過する方法に適している。一方、よく使用されている酸化防止剤としての4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(以下、化合物Bともいう)は、融点が155℃以上で液状化は困難であり、また、液状の化合物Aに対する溶解度は、{(化合物B)/(化合物A)}=0.08と低い。従って、この程度の酸化防止剤を溶解したに過ぎない混合物では、酸化防止剤の量が少な過ぎ、この混合物を含む架橋性樹脂組成物から形成される絶縁体層は、十分な耐酸化劣化特性を発揮することができない。従って、従来よく使用されてきた化合物Aと化合物Bとを併用する場合、この混合物を液状化して使用するには問題があった。
【0006】
本発明者らは、かかる状況にあって、基体樹脂の架橋剤として代表的なジクミルパーオキサイド(化合物A)と酸化防止剤として代表的な4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(化合物B)とを組合せた樹脂添加剤において、化合物Aに対する化合物Bの溶解度を向上させ、架橋効果、酸化防止特性の双方に優れたものを提供することを目的として鋭意検討の結果、化合物Aに特定の化合物を混合したときは、化合物Aに対する化合物Bの溶解度を向上させることができるとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
本発明の目的は、次の通りである。
(1) ジクミルパーオキサイド(化合物A)と4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(化合物B)とを有効成分とし、微細な異物の除去が容易で、架橋効率が高く、かつ、十分な抗酸化特性を発揮する液状の樹脂添加剤を提供すること。
(2) 上記(1) の液状の樹脂添加剤を用いた架橋オレフィン系樹脂絶縁体の製造方法を提供すること。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明(以下、第1発明ともいう)では、液状のジクミルパーオキサイドを主成分とする架橋剤100重量部に対し、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を主成分とする酸化防止剤8〜13重量部と、アミド化合物、アミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物0.5〜5重量部とを必須成分として配合したことを特徴とする液状の樹脂添加剤が提供される。
【0009】
また、請求項4に記載の発明(以下、第2発明ともいう)では、オレフィン系樹脂に架橋剤と酸化防止剤とを必須成分として配合した架橋性樹脂組成物を用いて、電力ケーブルの架橋オレフィン系樹脂絶縁体を製造するに際して、前記架橋性樹脂組成物として、オレフィン系樹脂100重量部に対して、請求項1記載の液状の樹脂添加剤を少なくとも1回通過孔の微細なスクリーンメッシュで濾過した異物除去樹脂添加剤を0.5〜5重量部配合したものを使用することを特徴とする、架橋オレフィン系樹脂絶縁体の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、架橋剤の主成分であるジクミルパーオキサイド(化合物A)は、常温では固体で、融点が38〜39℃であり、基体樹脂を架橋させる機能を果す。化合物Aは、ジクミルパーオキサイドを主成分とするが、75℃以下で液状が維持されることを条件に、他の架橋剤を少量配合することができる。他の架橋剤としては、t−ブチルクミルパーオキサイド、m−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−イソプロピルベンゼン、p−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−イソプロピルベンゼンなどが挙げられる。
【0011】
酸化防止剤の主成分である4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(化合物B)は、常温では固体で、絶縁体層の酸化劣化、熱分解、熱着色、過酷な条件下での重金属による接触劣化、などを防止する機能を果し、液状の化合物Aに溶ける性質を有する。化合物Bは、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を主成分とし、これに化合物Aに溶解する性質を有する他の酸化防止剤を少量配合することができる。他の酸化防止剤の例としては、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキル(C12またはC14)チオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、ジトリデシルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
【0012】
アミド化合物、アミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、化合物Cともいう)は、化合物Aに対する化合物Bの溶解度を高める機能を果す。化合物Cは、アミド化合物、アミン化合物の化合物群中の1種でも2種以上の混合物であってもよく、他の群の化合物との混合物であってもよい。
アミド化合物としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、リノール酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、セロチン酸アミドなどの有機酸から誘導されるアミド化合物が挙げられる。アミン化合物としては、N,N´−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、ジアミルアミン、トリアミルアミンなどが挙げられる。これらの中で、化合物の融点、基体樹脂に対する相溶性などの観点から、炭素数10個以上の物質が好ましく、特に好ましいのはオレイン酸アミド(融点:75〜76℃)である。
【0013】
樹脂添加剤を構成する各成分の配合量は、架橋剤(化合物A)100重量部に対し、酸化防止剤(化合物B)8〜13重量部と、アミド化合物、アミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(化合物C)を0.5〜5重量部の範囲で選ぶものとする。
化合物Bの配合量が8重量部未満であると、電力ケーブル、電力ケーブル接続部などの絶縁体層の耐酸化劣化特性が低下する傾向があり、また、13重量部を越えると化合物Aに溶解させることが困難になり、いずれも好ましくない。化合物Cの配合量が0.5重量部未満であると、化合物Aに対する化合物Bの溶解度を高める効果が十分でなく、また、5重量部を越えると、架橋性樹脂組成物が押出機内でスリップしたり、成形した後に基体樹脂に添加剤がブリードしたりして、いずれも好ましくない。
【0014】
第1発明に係る液状の樹脂添加剤を調製するには、化合物Aを45〜75℃の温度範囲に加熱して液状とし、これにまず化合物Cを所定量秤量、混合し、この化合物Aと化合物Cとの混合溶液に化合物Bを所定量溶解するのが好ましい。化合物Aの温度が45℃未満であると、化合物Aに対する化合物Bの溶解度が低く、また化合物Aに溶解した化合物Bが析出し、75℃を越えると化合物Aの分解反応が進行して爆発の危険も生じ、また75℃を越える温度で長時間放置すると架橋効率が低下するので、いずれも好ましくない。上記温度範囲で特に好ましいのは、55〜70℃である。
【0015】
化合物A、化合物Bおよび化合物Cの3成分を含む液状の樹脂添加剤は、少なくとも1回、通過孔の微細なスクリーンメッシュで濾過することによって、微細な異物を容易に除去することができる(以下、少なくとも1回通過孔の微細なスクリーンメッシュで濾過して得たものを異物除去樹脂添加剤ともいう)。なお、濾過する際に使用するスクリーンメッシュは、孔の大きさが20μm以下のものが好ましい。
【0016】
第2発明においては、絶縁体を形成する基体樹脂としてオレフィン系樹脂を使用する。本発明においてオレフィン系樹脂とは、ポリエチレン、エチレンを主成分とした共重合体をいう。ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられ、共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−スチレン共重合体、およびエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。これら基体樹脂は、単独でも2種以上の混合物であってもよい。これらの中で特に好ましいのは、低密度ポリエチレンである。
【0017】
なお、本発明において架橋オレフィン系樹脂絶縁体とは、架橋性オレフィン系樹脂組成物を架橋させて得られる電力ケーブルの絶縁体層、電力ケーブル接続部の絶縁体層などをいう。
【0018】
絶縁体層を製造するに際しては、上記基体樹脂のオレフィン系樹脂に液状の異物除去樹脂添加剤を配合した架橋性樹脂組成物を用いる。架橋性樹脂組成物は、基体樹脂のオレフィン系樹脂100重量部に対して、異物除去樹脂添加剤を0.5〜5重量部の範囲で配合する。異物除去樹脂添加剤の配合量が0.5重量部未満であると、十分な架橋効果が得られず、また、5重量部を越えると架橋の程度が進み過ぎて焼けが発生し、いずれも好ましくない。
【0019】
異物除去樹脂添加剤を基体樹脂に配合して架橋性樹脂組成物を得る方法としては、(a) 液状の異物除去樹脂添加剤を液状のまま直接基体樹脂ペレットに添加し、その後必要に応じて溶融混練する方法、(b) 溶融状態にある基体樹脂に液状の異物除去樹脂添加剤を注入混練する方法、(c) 異物除去樹脂添加剤を冷却・固化させて保存・輸送し、使用時に加熱して再度液状化させて上記(a) または(b) による方法、のいずれかによることができる。なお、上記(a),(b) において異物除去樹脂添加剤を添加または注入するに際しては、予め、液状の樹脂添加剤を通過孔の微細なスクリーンメッシュで濾過して得られたものを使用することができるし、基体樹脂に添加または注入する際に液状の樹脂添加剤を通過孔の微細なスクリーンメッシュで濾過しながら、添加または注入することもできる。
【0020】
電力ケーブルの絶縁体層を製造するには、電力ケーブルの導体の外周に、異物除去樹脂添加剤を配合した架橋性樹脂組成物によって未架橋の絶縁体層を形成し、架橋ゾーンで未架橋の絶縁体層を加圧下に加熱し架橋させればよい。架橋ゾーンでの加熱温度は、基体樹脂の種類、架橋剤の量、酸化防止剤の量、その他の添加物の種類、量、滞留時間などにより変るが、200〜280℃の範囲で選ぶことができる。
【0021】
電力ケーブル接続部の絶縁体層を製造するには、接続部の形態によって異なるが、たとえば、押出モールド法では、電力ケーブルの端部を略円錐状に切削加工した後、端部を対向させ、導体接続を行い、内部半導電層を形成した後に、押出モールドで未架橋絶縁体層を形成する。この後、加圧下で加熱することによって未架橋絶縁体層を架橋させ、目的の電力ケーブル接続部とすることができる。架橋させる際の加熱温度は、基体樹脂の種類、化合物Aの量、化合物Bの量、その他の添加物の種類、量などにより変るが、170〜280℃の範囲で選ぶことができる。加熱時間は、加熱温度により変るが、5時間〜20時間の範囲で選ぶことができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下に記載の例に限定されるものではない。
【0023】
[実施例1〜3、比較例1〜8]
<樹脂添加剤の調製、電力ケーブルの製造>
化合物A、化合物B、化合物Cとして、表−1に示した割合(単位:重量部)で秤量し、化合物Aが液状になる温度(表−1に記載)に加熱してこれを液状化させ、この液状化させた化合物Aにまず化合物Cを溶解させた。得られた混合溶液に化合物Bを所定量溶解させて、液状の樹脂添加剤を得た。
【0024】
低密度ポリエチレン(三菱化学社製、密度=0.92、MI=1.0、LDPEと略称する)のペレットを押出機で溶融状態させ、押出機シリンダー途中に穿設した注入孔に、通過孔の大きさが20μmのスクリーンメッシュを装着し、上で調製した液状の樹脂添加剤を注入して混練し、この溶融混練された架橋性樹脂組成物を、内部半導電層、外部半導電層用の樹脂と共に導体の外周に押出被覆して絶縁体層を形成し、引続きこの被覆ケーブルを加熱架橋ゾーンに導き、270℃の温度で加熱して、架橋性樹脂組成物よりなる絶縁体層を架橋させて、ケーブルコアを得た。その後、常法によってケーブルコア外周に金属遮蔽層、シース層を設けて架橋ポリエチレン樹脂絶縁電力ケーブルを得た。この電力ケーブルは、22kV、導体150mm、内部半導体層厚0.8mm、絶縁体厚6.2mm、外部半導体層厚0.7mmである。
【0025】
ただし、比較例6の場合は、常温で固体の化合物A、化合物B、化合物C(化合物C1と化合物C2の2種の混合物)の3成分とも加熱せず、従って通過孔の微細なスクリーンメッシュによる濾過もしないで、ポリエチレンのペレットに、各成分を固体のままそれぞれ所定量配合、ドライブレンドしたものを押出機に供給して溶融混練し、上例におけると同様に、導体の外周に内部半導体層用の樹脂と共に同時押出により絶縁体層を形成し、架橋ポリエチレン樹脂絶縁電力ケーブルを得た。
【0026】
なお、実施例、比較例で使用した化合物A、化合物B、化合物C(化合物C1と化合物C2)の詳細は次の通りである。
化合物A:ジクミルパーオキサイド(三井石油化学社製、DCP)
化合物B:4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(大内新興化学製、ノクラック300)
化合物C1:ステアリン酸アミド(花王社製)
化合物C2:オレイン酸アミド(花王社製)
【0027】
<異物除去樹脂添加剤の調製、電力ケーブル接続部の施工>
上記の方法で得た液状の樹脂添加剤を、通過孔の大きさが20μmのスクリーンメッシュで濾過して異物除去樹脂添加剤を調製した。
上記の方法で製造した絶縁電力ケーブルの終端部につき略円錐状に切削加工した後、端部を対向させ、導体接続を行い、内部半導電層を形成した後に、接続部を形成する位置に金型を配置し、この金型に、表−1に示した組成の異物除去樹脂添加剤を含む架橋性樹脂組成物を押出注入して、接続部を形成した。金型を取り外し、バリなどを除去した後の接続部の外周に、半導電収縮チューブを熱収縮させて被覆し、その外周にさらにガスバリアー層、加熱ヒーターをそれぞれ順次被覆し、架橋管内で、200℃の温度、ガス圧10kg/cmGの条件下で8時間保持して架橋させ、架橋オレフィン系樹脂絶縁体を得た。
【0028】
<評価>
1.押出性
架橋ポリエチレン樹脂絶縁電力ケーブルを製造する際に、基体樹脂を押出機で溶融させ20μmのスクリーンメッシュで濾過した樹脂添加剤を注入し、この際の樹脂添加剤の注入状況、絶縁体層の形成状況を観察した。正常な注入、押出被覆が可能なものを○、押出機中でスリップしたり、化合物Aの分解が進み過ぎてやけを生じたものや、押出機に設けた注入孔に装着したスクリーンメッシュが目づまりして正常な押出被覆が不可能なものを×として表示した。
2.AC破壊試験
実施例および比較例で得られた絶縁電力ケーブルに、室温での50kV/30分の課電ステップで、50Hz交流電流を加え、交流長期破壊試験を行った。この50HzAC破壊試験の評価結果は、破壊電圧が400kV以上のものを○、400kV未満のものを×として表示した。
【0029】
3.老化試験
電力ケーブルコアを輪切りにし、この絶縁体層から厚さ1mmの試料を切取り、JIS C3005 18.19に記載された試験を行った。すなわち、JISK6301で規定する3号ダンベル形状に加工し、このダンベルにつきJISK7212−1977で規定するギヤオーブンの中で、160℃の温度で、168時間放置した後、伸び残率(%)[{(放置後の伸び率)/(放置前の伸び率)}×100]を測定した。ギヤオーブン中で放置した後の伸び残率(%)が80%以上のものを○、80%未満のものを×として表示した。
4.架橋度
各電力ケーブルを接続した接続部の絶縁体層から試料を採取し、JIS C3005で規定するキシレン抽出法により抽出を行った。測定値が80%以上のものを○、80%未満のものを×として表示した。
測定結果を表−1に記載した。
【0030】
【表1】
Figure 0003603237
【0031】
表−1から次のことが明らかである。
(1) 押出性について:
実施例1〜3、比較例2、5、6においてはそれぞれは正常な押出しが可能であったが、比較例1、3、4、7、8においては正常な押出しができなかった。
比較例1、3、4においては、樹脂添加剤をスクリーンメッシュで濾過して押出機にシリンダー途中から圧入する際、化合物Aに対する化合物Bの溶解が不完全でフィルターが目詰まりしたため、安定な供給ができなかった。比較例7においては、押出成形中の押出機のトルクが異常に上昇したため、成形を中止した。これは、架橋剤の配合量が多過ぎるため、架橋の程度が進み過ぎたものと推定される。比較例8においては、架橋性樹脂組成物が押出機シリンダー内でスリップしてしまい、成形できなかった。
【0032】
(2) AC破壊試験について:
樹脂添加剤をフィルターで濾過しないで直接基体樹脂に添加した比較例6のものは、添加剤に含まれる微細な異物が絶縁体層にそのまま含まれたために、AC破壊電圧が低い。
(3) 老化試験について:
樹脂添加剤において、化合物Aに対する化合物Bの割合が請求項1の要件を満たさない比較例5のものは、老化試験の結果が悪い。
(4) 架橋度について:
比較例2のものは、化合物Bを化合物Aに溶解する際の温度が高すぎ、化合物Aが熱分解したために、架橋反応が十分に進行しなかった。
(5) これに対して実施例1〜3のものは、総ての評価項目において優れた性質を発揮している。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した通りであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明の第1発明に係る液状の樹脂添加剤は、多量に含有する架橋剤(化合物A)に、アミド化合物、アミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(化合物C)を存在させることにより、酸化防止剤(化合物B)を必要量溶解させることができ、液状で孔の微細なフィルターによって微細な異物を容易に濾過することができるので、有利である。
2.本発明の第1発明に係る液状の樹脂添加剤は、構成各化合物が熱分解しない範囲で加熱して液状として取り扱うので、構成各化合物の添加効果が十分に発揮される。
3.本発明の第2発明に係る方法で得られた絶縁体は、樹脂添加剤に由来する微細な異物を含まないので、優れた電気特性を発揮する。

Claims (4)

  1. 液状のジクミルパーオキサイドを主成分とする架橋剤100重量部に対し、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を主成分とする酸化防止剤8〜13重量部と、アミド化合物、アミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物0.5〜5重量部とを必須成分として配合したことを特徴とする液状の樹脂添加剤。
  2. 温度を45〜75℃に加熱して液状としたジクミルパーオキサイドを主成分とする架橋剤に、まず、アミド化合物、アミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を溶解し、次いで、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を主成分とする酸化防止剤を溶解して調製されたものである請求項1記載の液状の樹脂添加剤。
  3. アミド化合物がオレイン酸アミドである請求項1または請求項2に記載の液状の樹脂添加剤。
  4. オレフィン系樹脂に架橋剤と酸化防止剤とを必須成分として配合した架橋性樹脂組成物を用いて、電力ケーブルの架橋オレフィン系樹脂絶縁体を製造するに際して、前記架橋性樹脂組成物として、オレフィン系樹脂100重量部に対して、請求項1記載の液状の樹脂添加剤を少なくとも1回通過孔の微細なスクリーンメッシュで濾過した異物除去樹脂添加剤を0.5〜5重量部配合したものを使用することを特徴とする架橋オレフィン系樹脂絶縁体の製造方法。
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