JP3602820B2 - 飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌で汚染された牛、豚、鶏等の飼料の殺菌処理とアルファー化調整処理を行う回分式加圧蒸気殺菌方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
肉骨粉は食肉加工工場から発生する肉片、肉屑骨付肉片等を加熱処理した後に粉砕して製造する飼料で、肉骨粉は魚粉やフィッシュソリブルと同様に非常に豊かな栄養源であるために、飼料の製造工程においても細菌の汚染を受けやすく、特にサルモネラ菌、病原菌大腸菌О−157やその他の有害細菌(以下単に細菌とする)による汚染が最近重要な問題となっている。
【0003】
なお肉類や卵等の畜産食品が細菌で汚染されやすいのは、屠殺前の家畜の腸や糞尿内に存在する細菌が、屠殺後に肉類や卵等の畜産食品に接する機会が多いことによるが、その他に生肉、生卵等の畜産食品は料理されるまでに加熱処理が行われることがなく、細菌への対応としては水洗と冷蔵に依存しているために殺菌効果が不十分になりがちである。
【0004】
しかし最近の調査によると、肉類や卵等の畜産食品の細菌による汚染問題として、家畜に給餌される飼料そのものの汚染が新たな原因として指摘されている。
【0005】
つまり動物性蛋白源である肉骨粉や魚粉を入れた配合飼料の製造工程においては、現在特別な殺菌工程がないため、飼料は製造工程中で細菌により汚染されたままの状態で出荷されて様々な問題を発生させている。
【0006】
農林水産省肥飼料検査所が飼料の細菌(サルモネラ菌)による汚染度を検査したところ、細菌(サルモネラ菌)陽性率が18.0%であったと報告されており、その内訳としては肉粉54.0%、肉骨粉24.9%、動物性蛋白混合物34.6%、魚粉13.6%、家禽処理副産物14.3%、フェザーミール8.2%、その他5.3%であり肉粉や肉骨粉等の動物性蛋白飼料の汚染率が高いことが指摘されている。
【0007】
このように、飼料は飼料製造工場に入荷されるときに既に細菌により汚染されていることが多いために、飼料製造業界では飼料の殺菌処理と飼料効率の点からアルファー化調整処理を行なうことが重要な問題となっており、飼料を適切に殺菌処理できる殺菌方法の開発が切望されている。
【0008】
従来、飼料の殺菌方法としては物理的方法と化学的方法とがあり、前者としては加熱空気または放射線照射による殺菌等があるが、これらの方法では飼料中の成分を熱によって変性させる欠点があり、後者としては殺菌剤の添加またはプロピオン酸や蟻酸等の有機酸を添加する方法があるが、殺菌剤の添加はこれらの成分が家畜や人間にまったく無害であるとはいい切れないという問題があり、有機酸の添加は飼料の殺菌効果、費用、味覚等の点で問題がある。
【0009】
その他の飼料の殺菌方法としては、気流式殺菌方法、高速攪拌式殺菌方法、タワー式殺菌方法等があるが、サルモネラ菌の殺菌条件に適合しないもの、飼料に対する殺菌効果が低いものが多く適切な飼料の殺菌方法が存在しなかった。
【0010】
また、飼料を蒸気殺菌槽内に充填して形成した飼料層に蒸気を供給して殺菌処理を行なおうとした場合、飼料層が厚い場合には蒸気が飼料層の中心部まで達しないために殺菌効果が低いものが多く、さらに、蒸気ドレーンの発生により余剰水分が飼料内部に残留することが避けられず、処理後の製品がべとついてしまうという欠点がある。
【0011】
従来、飼料を開放式蒸気殺菌槽内に充填して形成した飼料層に蒸気を供給して殺菌処理を行なうこともあるが、この場合には、開放された槽に蒸気を供給するために、蒸気が飼料層全体に均一に供給されないために飼料層において殺菌温度にむらが発生して飼料を均等に安定して殺菌できない不都合があり、また、
蒸気殺菌槽内の蒸気温度を測定しようとしても開放式であるために、正確に測定できない問題があり、さらに、蒸気の一部分が飼料の殺菌に寄与せずに大気中に放出されてしまうために蒸気による飼料の殺菌処理効率が悪いという欠点もあった。
【0012】
さらに既存の飼料製造工場内においては、飼料のペレット造粒設備を設置し、そのペレット造粒機の前段階にて各種のコンディショナーを設置し、蒸気をコンディショナー内部にノズルより吐出させ内部の温度をコントロールし飼料品温を上昇させて、飼料の殺菌処理とアルファー化調整処理を行なっているが、しかしながら、飽和蒸気を完全に密封されていない容器内に吐出させているため、飼料品温が殺菌処理およびアルファー化調整処理に必要な温度まで上昇せず、飼料層内にも温度分布のむらが生じるため飼料殺菌処理およびアルファー化調整処理が不充分でその品質が一様になりにくい欠点があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は細菌によって汚染された飼料を回分式加圧蒸気殺菌槽に導入して飼料の殺菌処理を行なうことについて、殺菌処理を行なう前の飼料品温を季節変動や時間変動に従って的確に把握して、飼料の殺菌処理条件に正確に反映させることによって飼料の成分を変性、変質させることなく最適な殺菌処理およびアルファー化調整処理を行ない、べとつきや団塊化のない適度の含水量を持ちアルファー化調整処理を促進した高品質の殺菌飼料を得るとともに、殺菌処理に必要なエネルギーの節減を図ることに目的がある。
【0014】
また、本発明は飼料の種類や細菌の種類、細菌による汚染度および処理能力に応じて回分式加圧蒸気殺菌槽を並列または直列に併設し、蒸気圧力、蒸気供給量、殺菌飼料品温、槽内圧力、滞留時間等を適切に設定することにより、最適な飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理を効率よく行うことに目的がある。
【0015】
さらに、本発明は回分式加圧蒸気殺菌槽の後段にペレット造粒装置を設置を設置するものであって、蒸気を完全に密封された圧力容器の回分式加圧蒸気殺菌槽内へ導入して槽内を加圧状態で維持して処理温度を任意に設定できるため、また槽内の攪拌機を作動させて飼料層の温度分布を均一に保ちながら滞留時間を設定できるために、飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理を促進した殺菌飼料をペレット造粒機へ供給して造粒加工を行うことによって、より一層殺菌処理およびアルファー化調整処理を促進した殺菌飼料を製造することに目的がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法に関するものであり、細菌で汚染された飼料を密閉型の回分式加圧蒸気殺菌槽へ導入して飼料の殺菌処理を行う場合、回分式加圧蒸気殺菌槽へ導入する直前の飼料品温を季節変動や時間変動に対応してそのつど測定し、測定した飼料品温に従って適切な蒸気圧力、蒸気供給量、槽内滞留時間等の処理条件を的確に設定して飼料の最適の殺菌処理およびアルファー化調整処理を行うことに特徴がある。
【0017】
また、本発明は、前述した飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法として、複数の回分式加圧蒸気殺菌槽を並列に併設し、各回分式加圧蒸気殺菌槽へ導入した飼料について同時に殺菌処理およびアルファー化調整処理を行なって、処理を行なう飼料増加量に対応することに特徴がある。
【0018】
さらに、本発明は、前述した飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法として、回分式加圧蒸気殺菌槽を直列に配置し、一度回分式加圧蒸気殺菌槽で殺菌処理した飼料を、再度仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽にて殺菌処理およびアルファー化調整処理を行い、飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理をより促進することに特徴がある。
【0019】
さらに、本発明は、前述した飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法として、回分式加圧蒸気殺菌槽の後段にペレット造粒装置を設置し、回分式加圧蒸気殺菌槽で殺菌処理およびアルファー化調整処理を行った飼料を、ペレット造粒装置にて造粒加工を行い飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理をより一層促進することに特徴がある。
【0020】
細菌によって汚染された飼料を密閉型の回分式加圧蒸気殺菌槽内に導入して殺菌処理を行なう場合、処理前の飼料品温、処理後の飼料品温、蒸気供給量、槽内圧力、滞留時間等の殺菌処理条件を適宜設定して回分式加圧蒸気殺菌槽にデーターとして与える必要があるが、最近はコンピューターにより飼料の殺菌処理条件を管理することが多いために、一度条件を設定してしまうとなかなか変更を行なわない傾向が強く、季節や時間によっては飼料の殺菌処理とアルファー化調整処理効果が変動し、殺菌飼料の品質が安定しない問題がある。
【0021】
殺菌処理を行う前の飼料品温は季節や時間によって変動し、通常の場合、飼料品温は夏場においては25〜30℃と高く、冬場においては5〜10℃と低く、1日の中でも昼間と夜間とでは5〜15℃程度の温度差がある。
【0022】
たとえば、朝の飼料品温10℃を測定して、この飼料品温10℃に応じた処理後の飼料品温、蒸気供給量、槽内圧力、滞留時間等の殺菌処理条件を設定し、実際の飼料の殺菌処理やアルファー化調整処理は都合で午後1時の飼料品温20℃に上昇した段階で行うことになった場合、飼料品温上昇による前述した殺菌処理条件の補正をせずに、朝の飼料品温10℃の殺菌処理条件で飼料の殺菌処理とアルファー化調整処理を行なうと、蒸気供給量が過剰になり、槽内圧力も高まり、滞留時間も長くなって、殺菌飼料が水分量の多いべとついたものになり、適切にアルファー化されないという問題が起きる。
【0023】
また、従来、昼の飼料品温20℃を測定して、この飼料品温20℃に応じた処理後の飼料品温、蒸気供給量、槽内圧力、滞留時間等の殺菌処理条件を設定し、実際の飼料の殺菌処理やアルファー化調整処理は都合で午後5時の飼料品温10℃に下降した段階で行うことになった場合、飼料品温下降による前述した殺菌処理条件の補正をせずに、昼の飼料品温20℃の殺菌処理条件で飼料の殺菌処理とアルファー化調整処理を行なうと、蒸気供給量が不足になり、槽内圧力は上がらず、滞留時間も長くなって、殺菌飼料が水分量の少ない乾燥したものになり、殺菌が不充分で適切にアルファー化されないという問題が起きる。
【0024】
したがって、細菌によって汚染された飼料を密閉型の回分式加圧蒸気殺菌槽内に導入して殺菌処理を行なう場合であっても、前述したような飼料品温の変化を的確に把握して、殺菌処理後の飼料品温、蒸気供給量、槽内圧力、滞留時間等の殺菌処理条件を正確に反映させて飼料の殺菌処理とアルファー化調整処理を行なわないと、飼料の殺菌効果が不十分になったり、過剰の水分により飼料がべとついたり、適度の含水量を持った殺菌飼料およびアルファー化が促進された飼料が得られなかったり、殺菌処理を行なうのに必要以上のエネルギーを浪費するなどの不都合が生じる。
【0025】
【発明の実施態様】
本発明の回分式加圧蒸気殺菌方法の一例を図1に従って説明すると、回分式加圧蒸気式殺菌槽1の上部にはバタフライ弁等の耐圧流入弁2を付設した飼料の導入管3の一端を接続し、導入管3の他端は計量機7を介して細菌により汚染された飼料の供給タンク6に接続し、また回分式加圧蒸気殺菌槽1の下部にはバタフライ弁等の耐圧排出弁4を付設した殺菌飼料の排出管5の一端を接続し、排出管5の他端は殺菌飼料の貯留タンク14に接続する。
【0026】
さらに回分式加圧蒸気殺菌槽1には蒸気流入弁11を付設した蒸気流入管8の一端を接続するとともに、この蒸気流入管8の他端は蒸気流量調節弁10および蒸気流量計9を介してスチームヘッダー16に接続する。
【0027】
1バッチ分の飼料の殺菌処理を行うには、季節や時間によりそのつど変動する飼料品温をあらかじめ正確に測定してコンピューター15に適切に入力し、この飼料品温時における飼料を殺菌処理およびアルファー化調整処理するのに必要な蒸気圧力、蒸気供給量、槽内圧力および滞留時間を設定するとともに、回分式加圧蒸気殺菌槽1の下部に接続した排出管5に付設した耐圧排出弁4を閉じて密閉状態にした後、回分式加圧蒸気殺菌槽1の上部に接続した導入管3に付設した耐圧流入弁2を開けるとともに、供給タンク6に搬入した細菌で汚染された飼料を計量機7により1バッチ分計量する。
【0028】
計量機7によって計量された1バッチ分の飼料を回分式加圧蒸気殺菌槽1内に導入した後、回分式加圧蒸気殺菌槽1の上部に接続した導入管3に付設した耐圧流入弁2を閉じた後、蒸気流入弁11を開いて蒸気流入管8より前述の測定した飼料品温に応じた蒸気圧力の蒸気を供給するが、この蒸気圧力は回分式加圧蒸気殺菌槽1に設置した圧力センサー17により検出し、蒸気流量調節弁10の開度を調節しながら供給する。
【0029】
さらに回分式加圧蒸気殺菌槽1内に供給する蒸気供給量は蒸気流量計9により測定し、所定の設定蒸気量になって回分式加圧蒸気殺菌槽1が所定の槽内圧力に達したら蒸気流入弁11を閉にして、飼料品温が設定した温度となるように回分式加圧式蒸気殺菌槽1内に設置した攪拌装置18を作動させ、均一に加熱しながら所定の滞留時間接触させることにより、飼料の成分を変性、変質させることなく適切に飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理を行ない、高品質の殺菌飼料を得る。
【0030】
このとき回分式加圧蒸気殺菌槽1内の温度分布が一定となるように、逃がし弁13をわずかに開放し内部のガスを少量ずつ放出させて飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理条件を適切に維持する。
【0031】
回分式加圧蒸気殺菌槽1において1バッチ分の設定した所定の蒸気量の流入が終了したら、蒸気流入弁11を閉じ一定時間が経過するまでそのままの状態を維持し、設定時間が経過した後、蒸気排出弁12を開き回分式加圧蒸気殺菌槽1内の蒸気を排出し、槽内の圧力が設定した排出圧力になったら蒸気排出弁12を閉じ、排出管5に付設した耐圧排出弁4を開き、槽内の残圧および内部の攪拌装置18により殺菌飼料の全量を貯留タンク14へ排出して1バッチ分の飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理工程が終了し、以後は前述した1バッチ分の飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理の作業を繰り返えせばよい。
【0032】
なお飼料の処理を連続的に行い処理能力を増大させるには、図2に示すように回分式加圧蒸気殺菌槽1を並列に併設し、各回分式加圧蒸気殺菌槽1の上部にはバタフライ弁等の耐圧流入弁2を付設した飼料の各導入管3の一端を接続し、各導入管3の他端はコンベアー19(分岐弁でもよい)および計量機7を介して細菌により汚染された飼料の供給タンク6に接続する。
【0033】
また回分式加圧蒸気殺菌槽1の下部にはバタフライ弁等の耐圧排出弁4を付設した殺菌飼料の各排出管5の一端を接続し、各排出管5の他端は殺菌飼料の貯留タンク14に接続する。
【0034】
並列に併設した回分式加圧蒸気殺菌槽1による飼料の殺菌方法は、まずコンベアー19を切り替えて計量機7により1バッチ分の飼料を計量し、一方の回分式加圧蒸気殺菌槽1に導入して前述した飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理の動作を行う。
【0035】
一方の回分式加圧蒸気殺菌槽1に1バッチ分の飼料の導入が終了した後、コンベアー19を切り替えて計量機7により1バッチ分の飼料を計量し、他方の回分式加圧蒸気殺菌槽1に導入して前述した殺菌処理およびアルファー化調整処理の動作を行い、以後は分岐弁またはコンベアー19を切り替えて、一方と他方の回分式加圧蒸気殺菌槽1における殺菌処理およびアルファー化調整処理を交互に行う。
【0036】
さらにより完全な飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理を行うには、図3に示すように回分式加圧蒸気殺菌槽1と直列に仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽1を設置し、回分式加圧蒸気殺菌槽1の下部に耐圧排出弁4を付設した排出管5の一端を接続し、排出管5の他端を仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽1の上部に接続する。
【0037】
回分式加圧蒸気殺菌槽1において殺菌処理を終了した1バッチ分の殺菌飼料は、排出管5に付設した耐圧排出弁4を開いて再度仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽1に導入され前述した殺菌処理およびアルファー化調整処理工程を経て、仕上げ用回分式加圧蒸気殺菌槽1の下部に接続した排出管5に付設した耐圧排出弁4を開くことにより、貯留タンク14へ排出する。
【0038】
なお仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽1で殺菌処理およびアルファー化調整処理を行っている間に、空になった回分式加圧蒸気殺菌槽1で飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理を行うことも可能であり、回分式加圧蒸気殺菌槽1で処理した殺菌飼料は引き続き仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽1へ導入して仕上げ処理を行い、飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理をより促進してもかまわない。
【0039】
さらに回分式加圧蒸気殺菌槽1の上部に計量器7を介して飼料の供給タンク6を接続し、また回分式加圧蒸気殺菌槽1の下部には殺菌飼料の貯留タンク14に接続することは前述した場合と同様であるが、図4に示すように、殺菌飼料の貯留タンク14の後段にペレット造粒装置20を設置して、前述した回分式加圧蒸気殺菌槽1で殺菌処理およびアルファー化調整処理を貯留タンク14に存在する殺菌飼料を、流量を調節しながらペレット造粒装置20へ導入して造粒加工を行い飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理をより一層促進してもよい。
【0040】
すなわち、完全に密封した回分式加圧蒸気殺菌槽1内に蒸気を導入して槽内を加圧状態で維持して飼料の処理温度を任意に設定できるため、また槽1内の攪拌機18を作動させて飼料層の温度分布を均一に保ちながら滞留時間を設定できるため、飼料の適切な殺菌処理およびアルファー化調整処理を促進でき、この飼料をペレット造粒機へ供給することによって、より一層殺菌処理およびアルファー化調整処理を促進した、高品質なペレット飼料を製造してもよい。
【0041】
【実施例1】
図1に示すような構造を有する回分式加圧蒸気殺菌槽1からなる新明製作所製の回分式加圧蒸気殺菌装置(内径70cm、長さ86cm)を設置し、回分式加圧蒸気殺菌槽にサルモネラ菌で汚染された飼料を1バッチ分として40kg導入し、飼料品温を測定したところ20℃であった(平成13年10月25日)。
【0042】
運転条件として、処理前の飼料品温を本発明法1は実測値の20℃、本発明法2は飼料を恒温槽により冷却し実測値より低い10℃、本発明法3は恒温槽により加温し実測値よりも高い30℃に設定し、殺菌処理後の品温80℃、槽内圧力0.1MPaおよび滞留時間3分間をすべて共通とし、そのときの蒸気供給量をそれぞれ4.2kg、4.7kgおよび3.7kgとした。
【0043】
本発明法1の処理を実施したところ、1.処理前の飼料品温20℃、2.処理後の飼料品温80℃、3.滞留時間3分間、4.槽内圧力0.1MPa、5.蒸気供給量4.2kgの条件においては、殺菌飼料にはサルモネラ菌は検出されずアルファー化度40%であり、このとき飼料の団塊化やドレーンによるべたつきは認められず、最適な殺菌処理およびアルファー化調整処理が行なわれた殺菌飼料が得られた。
【0044】
本発明法2の処理を実施したところ、1.処理前の飼料品温10℃、2.処理後の飼料品温80℃、3.滞留時間3分間、4.槽内圧力0.1MPa、5.蒸気供給量4.7kgの条件においては、殺菌飼料内にはサルモネラ菌は検出されずアルファー化度50%であり、このとき飼料の団塊化やドレーンによるべたつきは認められず、従来の開放式蒸気殺菌装置による処理方法では水分の増加量が大きくなってしまうような条件下においても、適度な水分を持った殺菌処理およびアルファー化調整処理が行なわれた殺菌飼料が得られた。
【0045】
本発明法3の殺菌処理を実施したところ、1.処理前の飼料品温30℃、2.処理後の飼料品温80℃、3.滞留時間3分間、4.槽内圧力0.1MPa、5.蒸気供給量3.7kgの条件においては、殺菌飼料内にはサルモネラ菌は検出されず、アルファー化度30%であり、このとき飼料の団塊化やドレーンによるべたつきは認められず、従来の開放式蒸気殺菌装置による処理方法では水分の増加量が少なく、殺菌処理やアルファー化調整処理が不十分となる条件下においても、適度な水分を持った殺菌処理およびアルファー化調整処理が行なわれた殺菌飼料が得られた。
【0046】
【実施例2】
前述の実施例1で使用した回分式加圧蒸気殺菌装置を、1段目の回分式加圧蒸気殺菌槽から排出された殺菌飼料が再度2段目(仕上げ用)の回分式加圧蒸気殺菌槽に導入され殺菌処理が行えるように直列に設置し、1段目の回分式加圧蒸気殺菌槽にサルモネラ菌で汚染された飼料を1バッチ分として40kg導入し、飼料品温を測定したところ20℃であった(平成13年10月30日)。
【0047】
実施例2における運転条件として、1段目は処理前の飼料品温を実測値の20℃、殺菌処理後の品温80℃、槽内圧力0.1MPaおよび滞留時間3分間に設定し、2段目(仕上げ用)の飼料品温を本発明法4は1段目の出口温度である80℃、本発明法5は出口温度よりも低い70℃、本発明法6は出口温度よりも高い90℃に設定し、殺菌処理後の品温100℃、槽内圧力0.1MPaおよび滞留時間3分間はすべて共通とし、そのときの蒸気供給量をそれぞれ5.5kg、6.0kgおよび5.1kgとした。
【0048】
本発明法4の殺菌処理を実施したところ、1.処理前の飼料品温20℃、2.1段目処理後の飼料品温80℃、3.2段目処理前の飼料品温80℃、4.2段目処理後の飼料品温100℃、5.滞留時間6分間、6.槽内圧力0.1MPa、7.蒸気供給量5.5kgの条件においては、殺菌飼料内にはサルモネラ菌は検出されずアルファー化度50%であり、このとき飼料の団塊化やドレーンによるべたつきは認められず、最適な殺菌処理およびアルファー化調整処理が行なわれた殺菌飼料が得られた。
【0049】
本発明法5の殺菌処理を実施したところ、1.処理前の飼料品温20℃、2.1段目処理後の飼料品温80℃、3.2段目処理前の飼料品温70℃、4.2段目処理後の飼料品温100℃、5.滞留時間6分間、6.槽内圧力0.1MPa、7.蒸気供給量6.0kgの条件においては、殺菌飼料内にはサルモネラ菌は検出されずアルファー化度60%であり、このとき飼料の団塊化やドレーンによるべたつきは認められず、従来の開放式蒸気殺菌装置による処理方法では水分の増加量が大きくなってしまうような条件下においても、適度な水分を持った殺菌処理およびアルファー化調整処理が行なわれた殺菌飼料が得られた。
【0050】
本発明法6の殺菌処理を実施したところ、1.処理前の飼料品温20℃、2.1段目処理後の飼料品温80℃、3.2段目処理前の飼料品温90℃、4.2段目処理後の飼料品温100℃、5.滞留時間6分間、6.槽内圧力0.1MPa、7.蒸気供給量5.1kgの条件においては、殺菌飼料内にはサルモネラ菌は検出されずアルファー化度40%であり、このとき飼料の団塊化やドレーンによるべたつきは認められず、従来の開放式蒸気殺菌装置による処理方法では水分の増加量が少なく、殺菌処理やアルファー化調整処理が不十分となる条件下においても、適度な水分を持った殺菌処理およびアルファー化調整処理が行なわれた殺菌飼料が得られた。
【0051】
【実施例3】
実施例1の回分式加圧蒸気殺菌槽の後段にペレット造粒装置を設置し、本発明法7の運転条件として1.処理前の飼料品温20℃、2.処理後の飼料品温80℃、3.槽内圧力0.1MPa、4.滞留時間1分間、5.蒸気供給量4.2kgの条件でペレット飼料の製造を行ったところ、従来のコンディショナーを用いた製造方法によるアルファー化度20%、硬度2〜5程度の製品と比較して、アルファー化度35%、硬度5〜10程度のより高品質の製品を製造することができた。
【0052】
本発明法8の運転条件を1.処理前の飼料品温20℃、2.処理後の飼料品温100℃、3.槽内圧力0.15MPa、4.滞留時間1分30秒、5.蒸気供給量5.2kgに設定してペレット飼料の製造を行ったところ、従来のコンディショナーを用いた製造方法によるアルファー化度20%、硬度2〜5程度の製品と比較して、アルファー化度45%、硬度5〜10程度のより高品質の製品を製造することができ、従来のコンディショナーを用いた製造方法よりもより高温での処理が可能となるため殺菌処理およびアルファー化調整処理の効果がより高まり、より安全で高品質なペレット飼料が得られた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によると、細菌に汚染された飼料を回分式加圧蒸気殺菌槽に導入して殺菌処理を行うことについて、殺菌処理を行う前の飼料品温を季節変動や時間変動に従って的確に把握して飼料の殺菌条件に反映させることにより、飼料の成分を変性、変質させることなく殺菌処理を行うことが可能となり、適度な水分を含んだべとつきや団塊化のないアルファー化度40〜50%に促進した高品質の殺菌飼料が得られるとともに、運転コストも20〜30%削減できるという優れた効果がある。
【0054】
また、本発明によると、飼料に蒸気を注入することにより飼料のアルファー化調整処理が促進され粘着性がでるため、回分式加圧蒸気殺菌槽内の攪拌装置の効果により飼料内の微小な粉末が吸着され造粒効果が出て、処理前の飼料と比較して流動性を向上させることができ、たとえば、飼料の排出時間を1/6程度に短縮できるなど飼料処理効率を向上できる利点もある。
【0055】
さらに、本発明によると、飼料の種類や細菌の種類、処理能力および細菌による汚染度等により回分式加圧蒸気殺菌槽を並列に組み合わせることにより、各回分式加圧蒸気殺菌槽へ導入した飼料について同時に並行して殺菌処理およびアルファー化調整処理を効率的行なって、処理対象の飼料量の増加に対応できる長所がある。
【0056】
さらに、本発明によると、回分式加圧蒸気殺菌槽を直列に配置し、一度回分式加圧蒸気殺菌槽で殺菌処理した飼料を、再度仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽にて殺菌処理およびアルファー化調整処理を行うことによって、成分を変性、変質しない、適度な水分のべとつきや団塊化のない、アルファー化度50〜80%と一段とアルファー化を促進したより高品質の殺菌飼料を得ることができる優れたメリットがある。
【0057】
さらに、本発明によると、回分式加圧蒸気殺菌槽の後段にペレット造粒装置を設置して回分式加圧蒸気殺菌槽で殺菌処理およびアルファー化調整処理を行った飼料をペレット造粒加工することによって、アルファー化度45〜70%とより一段とアルファー化を促進し、かつ硬度5〜10程度と一層高品質の殺菌飼料を得ることができるという優れた効果がある
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】回分式加圧蒸気殺菌槽を1セット設置した本発明の回分式加圧蒸気殺菌方法のフローを示す説明図である。
【図2】回分式加圧蒸気殺菌槽を2セット並列に併設した本発明の回分式加圧蒸気殺菌方法のフローを示す説明図である。
【図3】回分式加圧蒸気殺菌槽を2セット直列に併設した本発明の回分式加圧蒸気殺菌方法のフローを示す説明図である。
【図4】回分式加圧蒸気殺菌槽の後段にペレット造粒装置に設置を設置した本発明の回分式加圧蒸気殺菌方法のフローを示す説明図である。
【符号の説明】
1 回分式加圧蒸気殺菌槽
2 耐圧流入弁
3 導入管
4 耐圧排出弁
5 排出管
6 供給タンク
7 計量機出管
8 蒸気流入管
9 蒸気流量計
10 蒸気流量調節弁
11 蒸気入入弁
12 蒸気排出弁
13 逃がし弁
14 貯留タンク
15 コンピューター
16 スチームヘッダー
17 圧力センサー
19 コンベアー
20 ペレット造粒装置
Claims (4)
- 細菌によって汚染された飼料を回分式加圧蒸気殺菌槽へ導入して殺菌処理を行うことについて、回分式加圧蒸気殺菌槽へ導入する直前の飼料品温を季節変動や時間変動に対応してそのつど測定し、測定した品温に従って蒸気圧力、蒸気供給量および槽内滞留時間の処理条件を設定して飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理を行う飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法。
- 複数の回分式加圧蒸気殺菌槽を並列に併設し、各回分式加圧蒸気殺菌槽へ導入した飼料について同時に殺菌処理およびアルファー化調整処理を行なって、殺菌処理およびアルファー化調整処理を行う飼料増加量に対応する請求項1記載の飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法。
- 回分式加圧蒸気殺菌槽を直列に配置し、一度回分式加圧蒸気殺菌槽で殺菌処理した飼料を、再度仕上げ用の回分式加圧蒸気殺菌槽にて殺菌処理およびアルファー化調整処理を行い、飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理をより促進した請求項1または請求項2記載の飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法。
- 回分式加圧蒸気殺菌槽の後段にペレット造粒装置を設置し、回分式加圧蒸気殺菌槽で殺菌処理およびアルファー化調整処理を行った飼料を、ペレット造粒装置にて造粒加工を行い飼料の殺菌処理およびアルファー化調整処理をより一層促進した請求項1または請求項2または請求項3記載の飼料の回分式加圧蒸気殺菌方法。
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