JP3601390B2 - 車両制御装置、車両制御方法及びそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法及びそのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナビゲーション装置は、CPU、データ記録部、表示部、入力部等を備え、前記CPUは、表示処理を行い、表示部に案内画面を開き、該案内画面に現在位置及び周辺の地図を表示する。そして、運転者によって入力部が操作されて目的地が設定されると、CPUは、経路探索処理を行い、現在位置から目的地までの経路を探索し、経路が探索されると、表示処理を行い、前記案内画面を開き、該案内画面に現在位置、周辺の地図及び探索された経路を表示し、経路案内を行う。したがって、運転者は、前記経路案内に従って車両を走行させることができる。
【0003】
そのために、前記データ記録部にノードデータファイルが配設され、該ノードデータファイルにノードデータが格納される。該ノードデータは、道路の位置及び形状を表す要素であり、道路上の各ノード、及び該各ノード間を連結するリンクを示すデータによって構成される。
【0004】
また、ナビゲーション装置が搭載された車両において、道路状況データに対応させて車両制御としての走行制御を行うことができるようにした車両制御装置が提供されている。この場合、例えば、車両がコーナに差し掛かると想定され、かつ、運転者の動作に基づく所定の条件が満たされるときに、前記走行制御としてのコーナ制御が行われ、該コーナ制御において、上限の変速段が決定され、該上限の変速段より上の変速段(高速側の変速段、変速比の小さい変速段等)が選択されないようになっている。
【0005】
そのために、前記車両制御装置は、前記ノードデータ及び他の所定のデータに基づいて演算を行い、制御用データを作成し、該制御用データに従って前記コーナ制御を行う。
【0006】
また、前記走行制御として、コーナが連続する場合に、走行フィーリングが低下するのを防止するためのワインディング制御を行ったり、車両が交差点に差し掛かると想定され、かつ、運転者の動作に基づく所定の条件が満たされる場合に交差点制御を行ったりすることもできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、走行制御を行うための車両制御システムとしての走行制御システムが車両固有の仕様で設計されているので、ある車種の車両に適用することができるように設計された走行制御システムを他の車種の車両に適用することができない。
【0008】
また、車種ごとに異なる走行制御システムを設計する必要があるので、走行制御システムのコストが高くなるだけでなく、走行制御システムの種類を管理するのが煩わしくなってしまう。
【0009】
そこで、前記走行制御システムを各車種の車両に適用することができるようにした汎(はん)用性のあるナビゲーション装置が考えられる。この場合、走行制御システムのコストを低くすることができるだけでなく、ナビゲーション装置の機種の管理を簡素化することができる。
【0010】
ところが、汎用性のあるナビゲーション装置を、走行制御を行う機能を有しない車両、すなわち、車両制御非対応車両に搭載した場合、走行制御システムの分だけロジックの負荷が大きくなり、ナビゲーション装置が多くの機能を有する場合に、機能の使用に制限が生じたり、応答性が低くなったりする恐れがある。
【0011】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、車両制御システムを各車種の車両に適用することができ、車両制御システムのコストを低くすることができ、車両制御システムの種類の管理を簡素化することができ、車両制御システムを車両制御非対応車両に搭載した場合に応答性を高くすることができる車両制御装置、車両制御方法及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の車両制御装置においては、通信バスと、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させる第1の制御部と、前記制御信号を前記通信バスを介して受け、制御信号に従って車両制御を行うとともに、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号を発生させる第2の制御部とを有する。
【0013】
そして、前記第1の制御部は、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかを判断する接続判断処理手段、及び前記第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップを選択し、選択された適合マップに従って前記制御信号を発生させ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止する制御動作判定処理手段を備える。
【0014】
本発明の他の車両制御装置においては、さらに、前記情報はナビゲーション情報である。そして、前記第2の制御部は走行制御を行う自動変速機制御装置である。
【0016】
本発明の車両制御方法においては、第1の制御部において、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させ、第2の制御部において、前記制御信号を通信バスを介して受け、制御信号に従って車両制御を行い、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号を発生させるとともに、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかを判断し、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップを選択し、選択された適合マップに従って前記制御信号を発生させ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止する。
【0017】
本発明の記録媒体に記録された車両制御方法のプログラムにおいては、第1の制御部において、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させ、第2の制御部において、前記制御信号を通信バスを介して受け、制御信号に従って車両制御を行い、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号を発生させるとともに、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかを判断し、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップを選択し、選択された適合マップに従って前記制御信号を発生させ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態における車両制御装置の機能ブロック図である。
【0020】
図において、Buは通信バス、31は所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させる第1の制御部としてのCPU、12は前記制御信号を前記通信バスBuを介して受け、制御信号に従って車両制御を行う第2の制御部としての自動変速機制御装置である。
【0021】
そして、前記CPU31は、前記自動変速機制御装置12が前記通信バスBuに接続されているかどうかを判断する接続判断処理手段91、及び前記自動変速機制御装置12が前記通信バスBuに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記自動変速機制御装置12が前記通信バスBuに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止する制御動作判定処理手段92を備える。
【0022】
図2は本発明の実施の形態における車両制御装置の通信管理回路を示す図、図3は本発明の実施の形態における車両制御装置の概略図、図4は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置のCPUの初期動作を示すフローチャートである。
【0023】
図において、10は自動変速機(A/T)、11はエンジン(E/G)、12は前記自動変速機10の全体の制御を行う自動変速機制御装置(CPU)、13は前記エンジン11の全体の制御を行うエンジン制御装置(CPU)、14はナビゲーション装置、18は通信管理装置、31は前記ナビゲーション装置14の全体の制御を行うCPUである。前記自動変速機制御装置12、エンジン制御装置13、通信管理装置18及びCPU31は通信バスBuを介して互いに接続される。前記通信管理装置18は、図示されないCPUから成り、車両制御装置の全体の通信管理を行うとともに、前記自動変速機制御装置12、エンジン制御装置13及びCPU31の通信バスBuに対する接続状態を確認し、接続確認信号を発生させる。なお、前記CPU31によって第1の制御部が、自動変速機制御装置12によって第2の制御部が構成される。また、エンジン制御装置13によって第2の制御部を構成することもできる。
【0024】
そして、41はウインカセンサ、42は運転者によって図示されないアクセルペダルが操作されたことを検出するアクセルセンサ、43は運転者によって図示されないブレーキペダルが操作されたことを検出するブレーキセンサ、44は車速Vを検出する車速センサ、45はスロットル開度を検出するスロットル開度センサ、46は記録媒体としてのROM、47は通常モードとナビモードとを選択するためのモード選択部である。
【0025】
前記ナビゲーション装置14は、現在位置を検出する現在位置検出部15、道路状況データが記録されたデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38を有する。
【0026】
そして、前記現在位置検出部15は、GPS21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、ビーコンセンサ25、ジャイロセンサ26、図示されない高度計等から成る。
【0027】
前記GPS21は、人工衛星によって発生させられた電波を受信して、地球上における現在位置を検出し、前記地磁気センサ22は、地磁気を測定することによって車両が向いている方位を検出し、前記距離センサ23は、道路上の所定の地点間の距離等を検出する。前記距離センサ23としては、例えば、図示されない車輪の回転数を測定し、該回転数に基づいて距離を検出するもの、加速度を測定し、該加速度を2回積分して距離を検出するもの等を使用することができる。
【0028】
また、前記ステアリングセンサ24は、舵(だ)角を検出するためのものであり、例えば、図示されないハンドルの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0029】
そして、前記ビーコンセンサ25は、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して現在位置を検出する。前記ジャイロセンサ26は、車両の回転角速度を検出するものであり、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。そして、前記ジャイロセンサ26によって検出された回転角速度を積分することにより、車両が向いている方位を検出することができる。
【0030】
なお、前記GPS21及びビーコンセンサ25においては、それぞれ単独で現在位置を検出することができるが、距離センサ23の場合は、距離センサ23によって検出された距離と、地磁気センサ22及びジャイロセンサ26によって検出された方位とを組み合わせることにより現在位置が検出される。また、距離センサ23によって検出された距離と、ステアリングセンサ24によって検出された舵角とを組み合わせることによって現在位置を検出することもできる。
【0031】
前記データ記録部16は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイル、写真データファイル、及び各地域のホテル、ガソリンスタンド、観光地案内等の各主地域ごとの情報が格納されたデータファイルを備える。これら各データファイルには、経路を探索するためのデータのほか、前記表示部35の案内画面に、探索した経路に沿って案内図を表示したり、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするための各種のデータが格納される。なお、前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するための各種のデータも格納される。
【0032】
ところで、前記交差点データファイルには各交差点に関する交差点データが、ノードデータファイルにはノードに関するノードデータが、道路データファイルには道路に関する道路データがそれぞれ格納され、前記交差点データ、ノードデータ及び道路データによって道路状況データが表される。なお、前記ノードデータは、前記地図データファイルに格納された地図データにおける道路の位置及び形状を表す要素であり、道路上の各ノード、及び該各ノード間を連結するリンクを示すデータから成る。そして、前記道路データによって、道路自体については、幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等が、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等が、道路属性については、踏切、高速道路出口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路、道路種別(国道、一般道、高速道等)等がそれぞれ表される。
【0033】
また、前記ナビゲーション処理部17は、前記CPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、及び制御プログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定等を行うための各種のプログラムが記録された記録媒体としてのROM33から成るとともに、前記ナビゲーション処理部17に、前記入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。
【0034】
なお、前記データ記録部16及びROM33、46は、図示されない磁気コア、半導体メモリ等によって構成される。また、前記データ記録部16及びROM33、46に代えて、磁気テープ、磁気ディスク、フロッピーディスク、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、ICカード、光カード等の各種の記録媒体を使用することもできる。
【0035】
本実施の形態においては、前記ROM33、46に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部16に各種のデータが記録されるようになっているが、各種のプログラム及び各種のデータを同じ外部の記録媒体に記録することもできる。この場合、例えば、前記ナビゲーション処理部17に図示されないフラッシュメモリを配設し、前記外部の記録媒体から前記プログラム及びデータを読み出してフラッシュメモリに書き込むこともできる。したがって、外部の記録媒体を交換することによって前記プログラム及びデータを更新することができる。また、自動変速機制御装置12の制御プログラム等を併せて前記外部の記録媒体に記録することもできる。このように、各種の記録媒体に記録されたプログラムを起動し、所定のデータに基づいて各種の処理を行うことができる。
【0036】
さらに、前記通信部38は、FM送信装置、電話回線等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、図示されない情報センサ等によって受信した渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPS21の検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。なお、本発明の機能を実現するためのプログラム及びデータの少なくとも一部を前記通信部38によって受信し、フラッシュメモリ等に記録することもできる。
【0037】
そして、前記入力部34は、車両の走行を開始したときの現在位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、表示部35と別に配設されたキーボード、マウス、バーコードリーダ、ライトペン、遠隔操作用のリモートコントロール装置等を使用することができる。また、前記入力部34は、表示部35に画像で表示されたキー又はメニューにタッチすることにより、入力を行うタッチパネルによって構成することもできる。
【0038】
そして、前記表示部35には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、目的地までの経路、走行する経路に沿った案内等が表示される。前記表示部35としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0039】
そして、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができるようになっている。さらに、音声出力部37は、それぞれ図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声合成装置によって合成された音声による案内情報をスピーカから出力する。なお、音声合成装置によって合成された音声のほかに、各種の案内情報をテープに録音しておき、前記案内情報をスピーカから出力することもできる。
【0040】
ところで、前記構成の車両制御装置において、自動変速機制御装置12は、ROM46に記録された制御プログラムに従ってシフトアップ又はシフトダウンの変速を行う。
【0041】
そして、運転者がモード選択部47を操作することによって通常モードが選択されると、前記自動変速機制御装置12の図示されない変速処理手段は、前記車速センサ44によって検出された車速V、及びスロットル開度センサ45によって検出されたスロットル開度に基づいて、ROM46内の図示されない変速マップを参照し、前記車速V及びスロットル開度に対応する変速段を選択し、所定の変速段への変速を行う。
【0042】
また、運転者がモード選択部47を操作することによってナビモードが選択されると、車両制御装置は、所定の情報、例えば、ナビゲーション情報としての道路状況データに対応させて車両制御としての走行制御を行う。そして、前記ナビゲーション処理部17は、データ記録部16から所定の道路状況データを読み出し、該道路状況データに従って変速段を制限するための制御内容を設定するとともに、該制御内容に対応させて制御信号としての制御推奨フラグを自動変速機制御装置12に送る。そして、自動変速機制御装置12は、前記制御推奨フラグを受信し、前記アクセルペダルが緩められたこと等の所定の条件が満たされると、上限の変速段を決定し、該上限の変速段以上で変速を行わないようにする。本実施の形態においては、ナビモードが選択されたときに走行制御が行われるようになっているが、走行制御を常時行うようにすることもできる。
【0043】
また、前記走行制御として、コーナが連続する場合に、走行フィーリングが低下するのを防止するためのワインディング制御を行ったり、車両が交差点に差し掛かると想定され、かつ、運転者の動作に基づく所定の条件が満たされる場合に交差点制御を行ったりすることもできる。
【0044】
ところで、前記走行制御を行うための車両制御システムとしての走行制御システムが車両固有の仕様で設計されていると、ある車種の車両に適用することができるように設計された走行制御システムを他の車種の車両に適用することができない。また、車種ごとに異なる走行制御システムを設計する必要があるので、走行制御システムのコストが高くなり、ナビゲーション装置のコストが高くなるだけでなく、走行制御システムの種類、ナビゲーション装置の機種等を管理するのが煩わしくなってしまう。
【0045】
そこで、前記ナビゲーション装置14に汎用性を持たせ、走行制御システムを各車種の車両に適用することができるようにしてある。この場合、モード選択部47によってナビモードが選択されるか、又は図示されないナビ起動スイッチがオンにされてナビゲーション装置14が起動されると、前記CPU31の接続判断処理手段91(図1)は、接続判断処理を行い、通信管理装置18によって発生させられた接続確認信号を読み込むことによって、通信管理装置18が通信バスBuに接続されているかどうかを判断し、通信管理装置18が通信バスBuに接続されている場合、前記接続判断処理手段91は、自動変速機制御装置12が通信バスBuに接続されているかどうかを判断する。続いて、自動変速機制御装置12が通信バスBuに接続されている場合、CPU31の図示されない接続信号受信判断処理手段は、自動変速機制御装置12によって発生させられた接続信号を受信したかどうかを判断する。該接続信号は、自動変速機制御装置12が通信バスBuに接続されていることを表す接続確認フラグ、及び車両の車種を表す車両コード等から成る。
【0046】
そして、前記接続信号を受信した場合、前記制御動作判定処理手段92は走行制御システムの制御動作を許可し、CPU31の図示されない適合マップ選択処理手段は、ROM33内に記録された前記車両コードに対応する走行制御システムの適合マップを選択し、RAM32に記録する。なお、走行制御を行うのに必要な閾(しきい)値があらかじめ車両の車種に対応させて算出されて設定され、前記ROM33に記録される。
【0047】
一方、前記通信管理装置18が通信バスBuに接続されていない場合は、自動変速機制御装置12及びCPU31が通信バスBuに接続されているかどうかが不明であるので、また、自動変速機制御装置12が通信バスBuに接続されていない場合は、ナビゲーション装置14が搭載されている車両が車両制御非対応車両であることが分かるので、CPU31は、再びナビゲーション装置14が起動されるまで接続確認を不要にする。続いて、CPU31の制御動作判定処理手段92は、制御動作判定処理を行い、走行制御システムの制御動作を禁止する。
【0048】
また、前記接続信号を受信していない場合も、前記制御動作判定処理手段92は走行制御システムの制御動作を禁止する。
【0049】
このように、各車両の車両コードに対応する走行制御システムの適合マップを選択し、該適合マップを参照して走行制御を行うことができるので、一つのナビゲーション装置14を各車種の車両に搭載し、走行制御システムを前記車両に適用させ、該車両に最適な走行制御を行うことができる。したがって、走行制御システムのコストを低くすることができ、ナビゲーション装置14のコストを低くすることができるだけでなく、走行制御システムの種類、ナビゲーション装置14の機種等の管理を簡素化することができる。
【0050】
また、前記ナビゲーション装置14を車両制御非対応車両に搭載し、前記走行制御システムを車両制御非対応車両に適用した場合、走行制御システムの制御動作が禁止されるので、ロジックの負荷を小さくすることができる。したがって、例えば、ナビゲーション装置14が多くの機能を有する場合に、機能の使用に制限が生じるのを防止することができるとともに、応答性を高くすることができる。
【0051】
また、案内画面に現在位置、周辺の地図及び探索された経路を表示したり、経路案内を行ったりする処理を安定して行うことができる。
【0052】
なお、前記接続判断処理手段91による接続判断処理、及び制御動作判定処理手段92による制御動作判定処理は、ナビゲーション装置14が起動されたときのほかに、ナビゲーション装置14が起動された後、走行制御が行われている間にも、所定の時間が経過するたびに行われる。
【0053】
次に、図4のフローチャートについて説明する。
ステップS1 通信管理装置18が通信バスBuに接続されているかどうかを判断する。通信管理装置18が通信バスBuに接続されている場合はステップS2に、接続されていない場合はステップS3に進む。
ステップS2 自動変速機制御装置12が通信バスBuに接続されているかどうかを判断する。自動変速機制御装置12が通信バスBuに接続されている場合はステップS5に、接続されていない場合はステップS3に進む。
ステップS3 接続確認を不要にする。
ステップS4 制御動作を禁止し、リターンする。
ステップS5 接続信号を受信したかどうかを判断する。接続信号を受信した場合はステップS7に、受信していない場合はステップS6に進む。
ステップS6 制御動作を禁止し、リターンする。
ステップS7 制御動作を許可し、リターンする。
【0054】
続いて、前記走行制御システムの制御動作が許可された場合の走行制御の動作ついて説明する。この場合、主として走行制御としてのコーナ制御を行う場合について説明する。
【0055】
図5は本発明の実施の形態におけるコーナ制御の動作を示すメインフローチャートである。
【0056】
まず、CPU31(図3)は、現在位置検出部15によって検出された現在位置を読み込むとともに、データ記録部16の道路データファイルにアクセスし、前記現在位置より前方の位置の道路データを前記道路データファイルから読み出して、RAM32に記録する。続いて、前記CPU31は、走行制御を行うための制御実施条件が成立したかどうかを判断する。この場合、該制御実施条件として、前記道路データが前記道路データファイル内に存在していること、フェール動作が発生していないこと等が設定される。
【0057】
そして、前記制御実施条件が成立すると、前記CPU31の図示されないコーナ制御判断処理手段は、コーナ制御判断処理を行い、コーナ制御を行うかどうかを判断するとともに、CPU31の図示されない交差点制御判断処理手段は、交差点制御判断処理を行い、交差点制御を行うかどうかを判断する。
【0058】
そして、コーナ制御及び交差点制御のうちの少なくとも一方を行うと判断されると、コーナ制御及び交差点制御において設定された制御内容に従って制御推奨フラグA〜Dを自動変速機制御装置12に送る。
【0059】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 現在位置を読み込み、道路データを記録する。
ステップS12 制御実施条件が成立したかどうかを判断する。制御実施条件が成立した場合はステップS13に進み、成立していない場合はリターンする。
ステップS13 コーナ制御判断処理を行う。
ステップS14 交差点制御判断処理を行う。
ステップS15 制御推奨フラグA〜Dを自動変速機制御装置12に送る。
【0060】
次に、図5のステップS13におけるコーナ制御判断処理のサブルーチンについて説明する。
【0061】
図6は本発明の実施の形態におけるコーナ制御判断処理のサブルーチンを示す図、図7は本発明の実施の形態における道路形状判断処理のサブルーチンを示す図、図8は本発明の実施の形態における推奨変速段決定処理のサブルーチンを示す図、図9は本発明の実施の形態における推奨値算出処理のサブルーチンを示す図、図10は本発明の実施の形態における推奨車速マップを示す図、図11は本発明の実施の形態における減速線図である。なお、図10において、横軸にノード半径を、縦軸に推奨車速VR を、図11において、横軸に車両の位置を、縦軸に車速Vを採ってある。
【0062】
まず、CPU31(図3)の図示されない道路形状判断処理手段は、道路形状判断処理を行い、道路形状を判断する。すなわち、道路形状判断処理手段は、前記現在位置、及び現在位置より前方の位置の道路データに基づいて、制御リストを作成し、現在位置を含む道路上の所定の範囲(例えば、現在位置から1〜2〔km〕)内の各ノードごとに道路のノード半径を算出する。
【0063】
なお、必要に応じて現在位置から目的地までの経路を探索し、探索した経路上のノードについてノード半径を算出することもできる。この場合、道路データに従って、各ノードの絶対座標、及び前記各ノードに隣接する二つのノードの各絶対座標に基づいて演算を行い、前記ノード半径を算出する。また、道路データとしてあらかじめデータ記録部16にノード半径を、例えば、各ノードに対応させて記録しておき、必要に応じて前記ノード半径を読み出すこともできる。
【0064】
次に、前記道路形状判断処理手段は、前記所定の範囲内において前記ノード半径が閾値RTHより小さいノードを検出すると、コーナ制御を必要とするコーナが有ると判断する。次に、CPU31は現在位置から各ノードまでの道路の勾配を算出する。
【0065】
ところで、本実施の形態においては、車両がコーナに差し掛かると、現在位置からコーナに到達するまでに車速Vが前記推奨車速VR になるような減速が必要であると判断される。そこで、前記CPU31の図示されない推奨変速段決定処理手段は、推奨変速段決定処理を行い、前記所定の範囲内において前記ノード半径が閾値RTHより小さい特定のノードNdi (i=1、2、…)を選択し、図10の推奨車速マップを参照して、前記各ノードNdi について推奨車速VRi(i=1、2、…)を算出し、該推奨車速VRiに基づいて推奨変速段を決定する。なお、前記推奨車速マップにおいては、ノード半径が小さくなると推奨車速VR が低くされ、ノード半径が大きくなると推奨車速VR が高くされる。また、前記閾値RTH及び推奨車速マップは、各車種に対応させてあらかじめ適合マップとしてROM33に記録される。
【0066】
そのために、各ノードNdi について、現在の変速段を維持することが望ましいと考えられる閾値を表す減速加速度基準値α、及びこれ以上減速加速度(減速の度合い)が大きくなる場合は、変速段を3速以下にすることが望ましいと考えられる閾値を表す減速加速度基準値βが設定される。各減速加速度基準値α、βは、道路の勾配も考慮して設定される。これは、平坦(たん)な道路において減速を行う場合と、登坂路又は降坂路において減速を行う場合とでは、同じ距離を走行させても減速加速度が異なるからである。例えば、登坂路において、運転者が車両を減速させようとした場合、積極的にシフトダウンの変速を行わなくても十分な減速を行うことができる。
【0067】
なお、前記各減速加速度基準値α、βを、道路の勾配に対応させて複数設定することもできる。そして、平坦な道路用として1組の減速加速度基準値α、βをあらかじめ設定しておき、道路の勾配に対応させて前記各減速加速度基準値α、βを補正することもできる。さらに、車両の総重量を算出し、例えば、乗員が1名である場合と4名である場合とで減速加速度基準値α、βを異ならせることもできる。この場合、車両の総重量は、例えば、特定の出力軸トルクを発生させたときの加速度に基づいて算出することができる。なお、減速加速度基準値α、βは、各車種に対応させてあらかじめ適合マップとしてROM33に記録される。
【0068】
そして、CPU31の図示されない減速線設定処理手段は、現在位置から各ノードNdi までの区間距離Lを算出するとともに、前記適合マップを参照して減速加速度基準値α、βを算出し、前記区間距離L、前記推奨車速VR 及び前記減速加速度基準値αに基づいて、シフトアップの変速が行われるのを禁止するための減速線、すなわち、ホールド制御用減速線Mhを、前記区間距離L、前記推奨車速VR 及び減速加速度基準値βに基づいて、シフトダウンの変速を許可するための減速線、すなわち、変速許可制御用減速線Msをそれぞれ設定する。この場合、該変速許可制御用減速線Msは、区間距離Lにおいて減速加速度基準値βで減速が行われた場合に、各ノードNdi を推奨車速VRiで走行することができる車速Vの値を示す。
【0069】
ところで、前記現在位置を現在位置検出部15によって検出するようになっているので、検出された現在位置に検出誤差が生じると、検出された現在位置と実際の現在位置とが異なってしまう。その場合、減速加速度基準値βに基づいて前記変速許可制御用減速線Msを一律に設定すると、実際の道路状況に対応したコーナ制御を行うことができなくなってしまう。
【0070】
そこで、前記変速許可制御用減速線Msとは別に、現在位置検出部15における現在位置の検出誤差を考慮に入れた変速許可制御用減速線M1を設定するようにしている。
【0071】
この場合、該変速許可制御用減速線M1は、現在位置から前記ノードNdi に到達するまでの車速パターンを示す減速線部分ma、及び該減速線部分maに連続させて形成され、各ノードNdi から現在位置に近づく側に延びてノード幅を形成する調整部分mcから成る。本実施の形態において、減速線部分maは、変速許可制御用減速線Msより所定距離だけ、すなわち、調整部分mcだけずらすことによって形成される。なお、前記減速線部分maを、変速許可制御用減速線Msより所定速度だけ低い値にすることによって形成することもできる。
【0072】
そして、前記調整部分mcの車速Vは、ノードNdi に対応する推奨車速VRiと等しくなるように設定される。なお、前記調整部分mcを、所定の幅を持たせて所定の車速パターンで設定することができる。
【0073】
また、前記調整部分mcを、現在位置検出部15による現在位置の検出精度に対応させて変更することもできる。例えば、検出精度が低い場合は、調整部分mcが長く設定される。この場合、前記検出精度は、各種センサの検出状態、マッチング状態等の現在位置検出状態を評価し、評価結果に基づいて設定されるので、後述される第2の判定領域AR2が不必要に広くならない。したがって、実際の道路状況に一層対応したコーナ制御を行うことができる。
【0074】
そして、ホールド制御用減速線Mhは、前記変速許可制御用減速線M1に対応させて、例えば、変速許可制御用減速線M1より10〔km/h〕だけ低い値にされる。また、ホールド制御用減速線Mhを変速許可制御用減速線M1より所定距離だけずらすこともできる。そして、前記ホールド制御用減速線Mh及び変速許可制御用減速線Ms、M1はコーナ制御が終了するまで固定される。
【0075】
なお、前記ホールド制御用減速線Mh及び変速許可制御用減速線Ms、M1は、いずれも演算することによって設定することができるだけでなく、演算結果をROM33に減速線マップとして記録しておき、該減速線マップを参照することによって設定することもできる。この場合、ROM33によって減速線設定手段が構成される。また、前記減速加速度基準値βのほかに、これ以上減速加速度が大きくなる場合は、変速段を2速以下にすることが望ましいと考えられる閾値を表す減速加速度基準値γを設定することもできる。その場合、変速許可制御用減速線Ms、M1のほかに、シフトダウンの変速を許可するための他の減速線を設定することもできる。
【0076】
そして、図11に示されるように、変速許可制御用減速線Msより高速側に、シフトダウンの変速を許可するための第1の判定領域AR1が、変速許可制御用減速線Ms、M1間に、現在位置検出部15における現在位置の検出誤差を前提にしてシフトダウンの変速を許可するための第2の判定領域AR2が、ホールド制御用減速線Mhと変速許可制御用減速線M1との間にシフトアップの変速を禁止するための第3の判定領域AR3がそれぞれ形成される。
【0077】
本実施の形態においては、現在位置検出部15における現在位置の検出誤差が生じても、車両がノードNdi より調整部分mcの距離だけ手前に到達したときに、現在の車速Vnow が第1〜第3の判定領域AR1〜AR3のいずれに属するかを判定することが可能になるので、コーナ制御が開始されるのが遅れることはない。
【0078】
そして、CPU31の図示されない推奨値算出処理手段は、推奨値算出処理を行い、区間距離Lを算出するとともに、現在位置に対応する第1の設定値としてのホールド制御用減速線Mhの値Vh、現在位置に対応する第2の設定値としての変速許可制御用減速線M1の値V1、及び現在位置に対応する第3の設定値としての変速許可制御用減速線Msの値Vsを算出する。続いて、前記推奨値算出処理手段は、現在の車速Vnow を読み込み、該現在の車速Vnow と前記値Vh、V1、Vsとを比較する。
【0079】
そして、現在の車速Vnow が、値Vh以上であり、かつ、値V1より低く、第3の判定領域AR3に属する場合、推奨値算出処理手段は、推奨値として、現在の変速段(以下「実変速段」という。)と同じ変速段を算出し、該変速段を推奨変速段として決定するとともに、コーナ制御用の制御推奨フラグAを設定(オンに)する。このとき、該制御推奨フラグAが設定されることによって、自動変速機制御装置12に対してホールド制御が行われることが推奨される。なお、ホールド制御が行われると、シフトアップの変速が禁止されるので、ハンチングが発生するのを防止することができる。例えば、一旦(いったん)シフトダウンの変速が行われて3速になった後に4速になるのが防止される。
【0080】
また、前記現在の車速Vnow が、値V1以上であり、かつ、値Vsより低く、第2の判定領域AR2に属する場合、前記推奨値算出手段は、推奨値として、例えば、3速を算出し、3速を推奨変速段として決定するとともに、コーナ制御用の制御推奨フラグBを設定する。このとき、該制御推奨フラグBが設定されることによって、自動変速機制御装置12に対して実変速段より低い変速段へのシフトダウンの変速が推奨される。
【0081】
さらに、前記現在の車速Vnow が、値Vs以上であって第1の判定領域AR1に属する場合、前記推奨値算出手段は、推奨値として、例えば、2速を算出し、2速を推奨変速段として決定するとともに、コーナ制御用の制御推奨フラグCを設定する。このとき、該制御推奨フラグCが設定されることによって、自動変速機制御装置12に対して実変速段より低い変速段へのシフトダウンの変速が推奨される。
【0082】
そして、すべてのノードNdi についての推奨値の算出、及び制御推奨フラグA〜Cの設定が終了して制御終了条件が成立すると、前記コーナ制御判断処理手段は、前記制御推奨フラグA〜Cを制御内容として設定する。
【0083】
次に、図6のフローチャートについて説明する。
ステップS13−1 道路形状判断処理を行う。
ステップS13−2 推奨変速段決定処理を行う。
ステップS13−3 制御内容を設定し、リターンする。
【0084】
次に、図7のフローチャートについて説明する。
ステップS13−1−1 制御リストを作成する。
ステップS13−1−2 コーナ制御を必要とするコーナが有ると判断し、リターンする。
【0085】
次に、図8のフローチャートについて説明する。
ステップS13−2−1 減速線を設定する。
ステップS13−2−2 推奨値算出処理を行う。
ステップS13−2−3 制御終了条件が成立したかどうかを判断する。制御終了条件が成立した場合はリターンし、成立していない場合はステップS13−2−2に戻る。
【0086】
次に、図9のフローチャートについて説明する。
ステップS13−2−2−1 区間距離Lを算出する。
ステップS13−2−2−2 値Vh、V1、Vsを算出する。
ステップS13−2−2−3 現在の車速Vnow を読み込む。
ステップS13−2−2−4 現在の車速Vnow が値Vh以上であるかどうかを判断する。現在の車速Vnow が値Vh以上である場合はステップS13−2−2−5に、現在の車速Vnow が値Vhより低い場合はリターンする。
ステップS13−2−2−5 現在の車速Vnow が値V1以上であるかどうかを判断する。現在の車速Vnow が値V1以上である場合はステップS13−2−2−7に、現在の車速Vnow が値V1より低い場合はステップS13−2−2−6に進む。
ステップS13−2−2−6 制御推奨フラグAを設定し、リターンする。
ステップS13−2−2−7 現在の車速Vnow が値Vs以上であるかどうかを判断する。現在の車速Vnow が値Vs以上である場合はステップS13−2−2−9に、現在の車速Vnow が値Vsより低い場合はステップS13−2−2−8に進む。
ステップS13−2−2−8 制御推奨フラグBを設定し、リターンする。
ステップS13−2−2−9 制御推奨フラグCを設定し、リターンする。
【0087】
次に、図5のステップS14における交差点制御判断処理のサブルーチンについて説明する。
【0088】
図12は本発明の実施の形態における交差点制御判断処理のサブルーチンを示す図である。
【0089】
CPU31(図3)の図示されない交差点制御判断処理手段は、交差点制御判断処理を行い、周辺の道路状況を判断する。そして、交差点を通過する際の推奨値又は推奨される動作が算出され、算出結果に基づいて制御内容が設定され、該制御内容に従って交差点制御用の制御推奨フラグDが設定される。なお、交差点制御判断処理において、推奨値を算出するのに必要になる各種の閾値は、各車種に対応させてあらかじめ適合マップとしてROM33に記録される。
【0090】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS14−1 周辺の道路状況を判断する。
ステップS14−2 推奨値又は推奨される動作を算出する。
ステップS14−3 制御内容を設定し、リターンする。
【0091】
次に、自動変速機制御装置12の動作について説明する。
【0092】
図13は本発明の実施の形態における自動変速機制御装置の動作を示すメインフローチャート、図14は本発明の実施の形態における協調制御判断処理のサブルーチンを示す図、図15は本発明の実施の形態における上限変速段決定処理のサブルーチンを示す図である。
【0093】
自動変速機制御装置12(図3)は、アクセルセンサ42の検出信号、ブレーキセンサ43の検出信号、車速センサ44によって検出された車速V、スロットル開度センサ45によって検出されたスロットル開度等の車両情報を読み込む。続いて、自動変速機制御装置12の図示されない基本自動変速機制御判断処理手段は、基本自動変速機制御判断処理を行い、ROM46内の図示されない基本の変速マップを参照し、前記車速V及びスロットル開度に対応する変速段を決定する。
【0094】
そして、自動変速機制御装置12は、協調制御条件が成立したかどうかを判断する。この場合、協調制御条件が成立したかどうかは、車両が走行制御を行うのに適した状態にあるかどうかによって判断する。例えば、水温、油温、各種のセンサの検出信号等が正常な範囲内にあること、ナビゲーション装置14との間において通信が正常に行われていること、ナビゲーション装置14から受信したデータが正常であること等が協調制御条件として採用される。また、オーバドライブ走行を選択するためのオーバドライブスイッチがオンになっていること、雪道走行用の変速パターンを選択するためのセレクトスイッチがオンになっていること等を協調制御条件として採用することもできる。そして、前記協調制御条件が成立すると、前記自動変速機制御装置12は、ナビゲーション装置14から制御推奨フラグA〜Dを受ける。
【0095】
続いて、前記自動変速機制御装置12の図示されない協調制御判断処理手段は、協調制御判断処理を行い、前記制御推奨フラグA〜Dのうちの少なくとも一つの制御推奨フラグが設定されているかどうかを判断し、少なくとも一つの制御推奨フラグが設定されている場合、協調制御判断処理手段の上限変速段決定処理手段は、上限変速段決定処理を行い、上限の変速段を決定する。
【0096】
そのために、前記上限変速段決定処理手段の制御推奨フラグ判定処理手段は、制御推奨フラグ判定処理を行い、各制御推奨フラグA〜Dがどのように設定されているかを判定する。次に、前記上限変速段決定処理手段は、各制御推奨フラグA〜Dの設定の組合せに対応させてあらかじめ設定された制御開始条件をROM46から読み出し、コーナ制御の制御開始条件が成立したかどうかを判断し、制御開始条件が成立した場合、上限の変速段を決定するための値、すなわち、上限変速段決定値SS に3をセットし、前記制御開始条件が成立していない場合、前記上限変速段決定値SS に4をセットする。なお、前記制御開始条件は、例えば、踏み込まれていない図示されないブレーキペダルが踏み込まれ、ブレーキ操作が検出されてブレーキオフ→オンになると成立したと判断される。また、踏み込まれていた図示されないアクセルペダルが緩められてアクセルオン→オフになり、かつ、ブレーキオフ→オンになると成立したと判断することもできる。
【0097】
このようにして、上限変速段決定値SS がセットされると、前記上限変速段決定処理手段は、前記上限変速段決定値SS を上限の変速段として決定する。
【0098】
また、少なくとも一つの制御推奨フラグが設定されていない場合、協調制御判断処理手段は、協調制御が実施されているかどうかを判断し、実施されている場合は、解除制御判断処理を行い、コーナ制御を終了する。なお、協調制御が実施されているかどうかは、コーナ制御において推奨値が算出され、算出された推奨値に従った変速段で車両が走行させられているかどうかによって判断する。また、解除制御判断処理においては、例えば、車両がコーナから離れたことのほか、基本の変速マップを参照することによって3速の変速段が決定されたこと、所定以上の加速が行われたこと、所定の距離(ガード距離)以上走行してもコーナ制御の終了が行われないこと等の各解除条件が満たされたときにコーナ制御を終了する。なお、アクセルペダルを所定量以上戻したこと、アクセルペダルを所定以上の速度で戻したこと、運転者がオーバドライブスイッチをオンにしたこと等を解除条件にすることもできる。
【0099】
続いて、自動変速機制御装置12は、前記上限の変速段と、前記基本自動変速機制御判断処理において決定された変速段とを比較し、両変速段のうちのいずれか低い方の変速段を選択してコーナ制御変速段として出力する。
【0100】
その結果、自動変速機制御装置12は、出力された変速段で変速処理を行い、車両を走行させる。そして、道路のノード半径が閾値より大きくなると、コーナ制御が解除され、通常の制御が行われる。
【0101】
なお、制御推奨フラグDに基づいて、交差点制御における上限の変速段を決定し、該上限の変速段と、前記基本自動変速機制御判断処理において決定された変速段とを比較し、両変速段のうちのいずれか低い方の変速段をコーナ制御変速段として出力することもできる。
【0102】
本実施の形態においては、自動変速機制御装置12に上限変速段決定処理手段が配設されるようになっているが、CPU31に上限変速段決定処理手段を配設することもできる。その場合、アクセルセンサ42及びブレーキセンサ43の各検出信号は、CPU31に送られ、CPU31の上限変速段決定処理手段は、制御推奨フラグA〜Dに基づいて上限変速段を決定し、上限変速段を表す制御推奨フラグを自動変速機制御装置12に送る。
【0103】
また、本実施の形態においては、主として走行制御としてのコーナ制御について説明しているが、コーナが連続する場合に、ワインディング制御を行うこともできる。その場合、減速加速度基準値α、βが設定値Δα、Δβだけ小さくされ、各車種に対応させてあらかじめ適合マップとしてROM33に記録される。したがって、変速許可制御が行われる領域が広くなるので、推奨変速段の決定回数が少なくなり、変速段の変更が頻繁に行われるのを防止することができる。その結果、走行フィーリングが低下するのを防止することができる。
【0104】
次に、図13のフローチャートについて説明する。
ステップS21 車両情報を読み込む。
ステップS22 基本自動変速機制御判断処理を行う。
ステップS23 協調制御条件が成立したかどうかを判断する。協調制御条件が成立した場合はステップS24に、成立していない場合はステップS26に進む。
ステップS24 ナビゲーション装置14から制御推奨フラグA〜Dを受ける。ステップS25 協調制御判断処理を行う。
ステップS26 変速段を選択する。
ステップS27 選択された変速段を出力し、リターンする。
【0105】
次に、図14のフローチャートについて説明する。
ステップS25−1 制御推奨フラグA〜Dのうちの少なくとも一つが設定されているかどうかを判断する。少なくとも一つの制御推奨フラグが設定されている場合はステップS25−2に、設定されていない場合はステップS25−3に進む。
ステップS25−2 上限変速段決定処理を行い、リターンする。
ステップS25−3 協調制御が実施されているかどうかを判断する。協調制御が実施されている場合はステップS25−4に進み、実施されていない場合はリターンする。
ステップS25−4 解除制御判断処理を行い、リターンする。
【0106】
次に、図15のフローチャートについて説明する。
ステップS25−2−1 制御推奨フラグ判定処理を行う。
ステップS25−2−2 制御開始条件が成立したかどうかを判断する。制御開始条件が成立した場合はステップS25−2−4に、成立していない場合はステップS25−2−3に進む。
ステップS25−2−3 上限変速段決定値SS に4をセットする。
ステップS25−2−4 上限変速段決定値SS に3をセットする。
ステップS25−2−5 上限の変速段を決定し、リターンする。
【0107】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0108】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、車両制御装置においては、通信バスと、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させる第1の制御部と、前記制御信号を前記通信バスを介して受け、制御信号に従って車両制御を行うとともに、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号を発生させる第2の制御部とを有する。
【0109】
そして、前記第1の制御部は、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかを判断する接続判断処理手段、及び前記第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップを選択し、選択された適合マップに従って前記制御信号を発生させ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止する制御動作判定処理手段を備える。
【0110】
この場合、第1の制御部において、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号が発生させられ、第2の制御部において、前記制御信号が通信バスを介して受けられ、制御信号に従って車両制御が行われ、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号が発生させられる。そして、第1の制御部において、第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかが判断され、第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作が許可され、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップが選択され、選択された適合マップに従って前記制御信号が発生させられ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作が禁止される。
【0111】
したがって、一つの車両制御システムを各車種の車両に適用し、該車両に最適な車両制御を行うことができる。その結果、車両制御システムのコストを低くすることができるだけでなく、車両制御システムの種類の管理を簡素化することができる。
【0112】
また、前記車両制御システムを車両制御非対応車両に適用した場合、車両制御システムの制御動作が禁止されるので、ロジックの負荷を小さくすることができる。したがって、例えば、ナビゲーション装置が多くの機能を有する場合に、機能の使用に制限が生じるのを防止することができるとともに、応答性を高くすることができる。
【0113】
本発明の他の車両制御装置においては、さらに、前記情報はナビゲーション情報である。そして、前記第2の制御部は走行制御を行う自動変速機制御装置である。
【0114】
この場合、一つのナビゲーション装置を各車種の車両に搭載し、走行制御システムを適用させ、車両に最適な走行制御を行うことができる。したがって、走行制御システムのコストを低くすることができ、ナビゲーション装置のコストを低くすることができるだけでなく、走行制御システムの種類、ナビゲーション装置の機種等の管理を簡素化することができる。
【0115】
また、ナビゲーション装置を車両制御非対応車両に搭載し、前記走行制御システムを車両制御非対応車両に適用した場合、走行制御システムの制御動作が禁止されるので、ロジックの負荷を小さくすることができる。したがって、例えば、案内画面に現在位置、周辺の地図及び探索された経路を表示したり、経路案内を行ったりする際の処理速度を高くすることができ、走行制御システム及びナビゲーション装置の応答性を高くすることができる。
【0116】
また、案内画面に現在位置、周辺の地図及び探索された経路を表示したり、経路案内を行ったりする処理を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における車両制御装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両制御装置の通信管理回路を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における車両制御装置の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置のCPUの初期動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるコーナ制御の動作を示すメインフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態におけるコーナ制御判断処理のサブルーチンを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における道路形状判断処理のサブルーチンを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における推奨変速段決定処理のサブルーチンを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における推奨値算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における推奨車速マップを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における減速線図である。
【図12】本発明の実施の形態における交差点制御判断処理のサブルーチンを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における自動変速機制御装置の動作を示すメインフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態における協調制御判断処理のサブルーチンを示す図である。
【図15】本発明の実施の形態における上限変速段決定処理のサブルーチンを示す図である。
【符号の説明】
12 自動変速機制御装置
31 CPU
33、46 ROM
91 接続判断処理手段
92 制御動作判定処理手段
Bu 通信バス
Claims (4)
- 通信バスと、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させる第1の制御部と、前記制御信号を前記通信バスを介して受け、制御信号に従って車両制御を行うとともに、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号を発生させる第2の制御部とを有するとともに、前記第1の制御部は、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかを判断する接続判断処理手段、及び前記第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップを選択し、選択された適合マップに従って前記制御信号を発生させ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止する制御動作判定処理手段を備えることを特徴とする車両制御装置。
- 前記情報はナビゲーション情報であり、前記第2の制御部は走行制御を行う自動変速機制御装置である請求項1に記載の車両制御装置。
- 第1の制御部において、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させ、第2の制御部において、前記制御信号を通信バスを介して受け、制御信号に従って車両制御を行い、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号を発生させるとともに、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかを判断し、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップを選択し、選択された適合マップに従って前記制御信号を発生させ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止することを特徴とする車両制御方法。
- 第1の制御部において、所定の情報に従って車両制御を行うための制御信号を発生させ、第2の制御部において、前記制御信号を通信バスを介して受け、制御信号に従って車両制御を行い、前記通信バスに接続されている場合に、少なくとも車両の車種を表す接続信号を発生させるとともに、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されているかどうかを判断し、第1の制御部において、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されている場合に、前記車両制御の制御動作を許可し、前記接続信号に基づいて、車両の複数の異なる車種に対応させて設定された適合マップのうちの、当該車両に対応する適合マップを選択し、選択された適合マップに従って前記制御信号を発生させ、前記第2の制御部が前記通信バスに接続されていない場合に、前記車両制御の制御動作を禁止することを特徴とする車両制御方法のプログラムを記録した記録媒体。
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