JP3598614B2 - 液晶デバイス及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、散乱型の明るい表示画面で大面積になし得る光散乱型液晶表示素子及びその製造方法に関し、更に詳しくは、光の遮断、解放及び明かり、もしくは照明光の散乱、透過制限、遮断、透過を電気的又は熱的に操作し得るものであって、建物の窓やショーウィンドウで視野遮断のスクリーンや、採光コントロールのカーテンに利用されると共に、文字や図形を表示し、電気的に表示を切り換えることによって、広告板、案内板、装飾表示板等の表示体、OA機器などのディスプレイー等のハイインフォーメーション表示体、またプロジェクション等の投影型表示装置として利用される光散乱型液晶表示素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
偏光板や配向処理を要さず、明るくコントラストの良い、大型で廉価な液晶デバイスとして、特表昭58−501631号公報、米国特許第4435047号明細書には、液晶のカプセル化により、ポリマー中に液晶滴を分散させ、そのポリマーをフィルム化してなる調光層を有する液晶デバイスが提案されている。ここでカプセル化物質としては、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール等が提案されている。
【0003】
上記明細書で開示された技術においては、ポリビニルアルコール等でカプセル化された液晶分子は、それが薄層中で正の誘電率異方性を有するものであれば、電界の存在下でその液晶分子が電界の方向に配列し、液晶の屈折率no とポリマーの屈折率np が等しいときには、透明性を発現する。電界が除かれると、液晶分子はランダム配列に戻り、液晶滴の屈折率がnoよりずれるため、 液晶滴は、その境界面で光を散乱し、薄層体は白濁する。このように、カプセル化された液晶を分散包蔵したポリマーを薄膜としている技術は、上記のもの以外にもいくつか知られており、例えば、特表昭61−502128号公報には、液晶をエポキシ樹脂中に分散したもの、特開昭62−2231号公報には、特殊な紫外線硬化ポリマー中に液晶が分散したもの、特開昭63−271233号公報には、光硬化性ビニル系化合物と液晶との溶解物において、上記光硬化性ビニル系化合物の光硬化に伴う液晶物質の相分離を利用し調光層を形成させた技術等が開示されている。
【0004】
また、このようなポリマー中に液晶滴を分散させ調光層を形成せしめる技術とは別に、特開平1−198725号公報には、液晶材料を連続層としてその中にポリマーを三次元状の均一な網目構造に形成せしめ、液晶デバイスの低電圧駆動を可能にした技術、更に、特開平4−40417号公報には、単官能型アルキル(メタ)アクリレート化合物を含有する重合性組成物を重合してなるポリマー材料を用いることにより低電圧駆動を可能にした技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶材料の連続層中に三次元網目構造を有するポリマーを形成して成る液晶デバイスをはじめ、液晶とポリマーから成る調光層を有する液晶デバイスにおいては、現在汎用されている液晶デバイス用ICドライバーを使用できるほど駆動電圧が十分低いものとは限らなかった。
【0006】
また、一方で、低電圧駆動を可能とした液晶デバイスにおいて、実用駆動温度となる−10℃以下の低温域での駆動で、電界印加し、光が透過した状態から、電界を除いても光が散乱する状態に戻らない現象が起こり、この温度域ではコントラストが大幅に悪化し、実質的に駆動できないという実用上の問題点(以下、「低温メモリー現象」という。)を抱えていた。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来より低電圧駆動、高コントラストで、更に、低温域においても、実用上支障なく駆動することのできる光散乱型液晶表示デバイスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本発明を解決するに至った。
【0009】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、
電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板と、この基板間に支持された調光層を有し、該調光層が液晶材料及び透明性固体物質を含有する液晶デバイスにおいて、前記透明性固体物質が、
(1)多官能型(メタ)アクリレート誘導体及び
(2)分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体
を含有する重合性組成物を重合して成る透明性固体物質であることを特徴とする液晶デバイスを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する基板は、堅固な材料、例えば、ガラス、金属等であっても良く、柔軟性を有する材料、例えば、プラスチックフィルムの如きものであっても良い。そして、基板は、2枚が対向して適当な間隔を隔て得るものである。また、その少なくとも一方は、透明性を有し、その2枚の間に挟持される調光層を外界から視覚させるものでなければならない。但し、完全な透明性を必須とするものではない。もし、この液晶デバイスが、デバイスの一方の側から他方の側へ通過する光に対して作用させるために使用される場合は、2枚の基板は、共に適宜な透明性が与えられる。この基板には、目的に応じて透明、不透明の適宜な電極が、その全面又は部分的に配置されても良い。
【0011】
2枚の基板間には、液晶材料及び透明性高分子物質から成る調光層が介在される。尚、2枚の基板間には、通常、周知の液晶デバイスと同様、間隔保持用のスペーサーを介在させるのが望ましい。
【0012】
スペーサーとしては、例えば、プラスチックビーズ、シリカビーズ、アルミナ等種々の液晶セル用のものを用いることができる。
【0013】
本発明で使用する液晶材料は、単一の液晶性化合物であることを要しないのは勿論で、2種以上の液晶化合物や液晶化合物以外の物質も含んだ混合物であっても良く、通常、この技術分野で液晶材料として認識されるものであれば良く、そのうちの正の誘電率異方性を有するものが好ましい。用いられる液晶としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶が好ましく、ネマチック液晶が特に好ましい。その性能を改善するために、コレステリック液晶、カイラルネマチック液晶、カイラルスメクチック液晶等、カイラル化合物等が適宜含まれていてもよい。
【0014】
本発明で使用できる液晶材料は、以下に示した化合物群より構成される配合組成物であり、液晶材料の特性、即ち、等方性液体と液晶の相転移温度、融点、粘度、複屈折率、誘電率異方性を考慮し、又は重合性組成物等との溶解性等を調整することを目的として適宜選択、配合して用いることができる。
【0015】
液晶材料としては、安息香酸エステル系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、フェニルシクロヘキサン酸系、ビフェニルシクロヘキサン酸系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキサンシクロヘキサンエステル系、トラン系等の各種液晶化合物が使用される。
【0016】
そのような液晶材料としては、例えば、4−置換安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4’−置換ビフェニル、4−置換フェニル4’−置換シクロヘキサン、4−置換4”−置換タ−フェニル、4−置換ビフェニル4’−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)5−置換ピリミジン等を挙げることができる。
【0017】
調光層中に占める液晶材料の比率は、60〜99重量%の範囲が好ましく、70〜90重量%の範囲が特に好ましい。(以下、「%」は、「重量%」を意味する。)
【0018】
この調光層中に形成される透明性固体物質は、ポリマー中に液晶材料が液滴になって分散するものでもよいが、三次元網目構造を有するものがより好ましい。
【0019】
この透明性固体物質の三次元網目構造部分には液晶材料が充填され、かつ、液晶材料が連続的に形成することが好ましく、これにより液晶分子の無秩序な状態が形成されることにより、不均一な光学境界面を形成し、光の散乱を発現させる。
【0020】
三次元網目構造の平均網目サイズは、0.2〜5μmの範囲が好ましく、更には、0.5〜3μmの範囲が、より好ましい。
【0021】
この液晶材料の連続層中に介在する3次元ネットワーク構造の透明性高分子物質は、堅固なものに限らず、目的に応じ得る限り可撓性、柔軟性、弾性を有するものであっても良い。
【0022】
本発明の液晶デバイスは、次のようにして製造することができる。即ち、電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、(I)液晶材料、(II)(1)多官能型(メタ)アクリレート誘導体及び(2)分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体を含有する重合性組成物、(III)光重合開始剤、及び(IV)任意成分として、連鎖移動剤、光増感剤、架橋剤、色素、その他から成る調光層形成材料を介在させ、この調光層形成材料に活性光線を照射することにより重合性組成物を重合させることによって、2枚の基板間に液晶材料を分散させた構造を有する透明性固体物質を形成して成る調光層、又は、液晶材料の連続層中に三次元網目構造を有する透明性固体物質を形成して成る調光層を形成する。
【0023】
調光層形成材料を2枚の基板間に介在させるには、この調光層形成材料を基板間に注入しても良いが、一方の基板上に適当な溶液塗布機やスピンコーター等を用いて均一に塗布し、次いで他方の基板を重ね合せ圧着させても良い。
【0024】
また、一方の基板上に調光層構成材料を均一な厚さに塗布し、重合性組成物を重合硬化させ調光層を形成した後、他方の基板を貼り合せることから成る液晶デバイスの製造方法も有効である。
【0025】
紫外線照射による重合性組成物の液晶材料中での重合において光照射強度及び照射量も一定の強さ以上を必要とするが、適切な光強度の選択により三次元ネットワークの形成及びその網目の大きさの均一化を図ることができる。
【0026】
更に好ましくは、光照射方法としては、時間的、平面的に均一に照射することは、基板間に介在する光重合性組成物に瞬間的に強い光を照射し重合を進行させ、これによって網目の大きさを均一にする上で効果的である。即ち、均一、かつ、適切な強度に紫外線を照射することにより、均一な三次元網目構造を有する透明性固体物質を液晶材料中に形成することができ、その結果、得られた液晶デバイスは、明確なしきい値と急峻性を有するものとなり、時分割駆動が可能となる。
【0027】
重合性組成物の重合は、調光層形成材料が等方性液体状態を示す温度で重合を開始することが好ましい。
【0028】
本発明で使用する光重合性組成物は、必須成分として、
(1)多官能型(メタ)アクリレート誘導体及び(2)分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体を含有し、この他に任意成分として、その他の重合体形成性モノマー若しくはオリゴマー等を含有していてもよい。
【0029】
本発明で使用する多官能型(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトール等のジ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに2モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに2モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート;ピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト;直鎖脂肪族ジアクリレ−ト;ポリオレフィン変性ネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト;エポキシ(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル(メタ)アクリレ−ト、ポリウレタン(メタ)アクリレ−ト、ポリエ−テル(メタ)アクリレート、フルオロ(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート;トリス−(ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート;トリス−(ヒドロキシエチル)−リン酸のポリ(メタ)アクリレート;ジ−(ヒドロキシエチル)−ジシクロペンタジエンのジ(メタ)アクリレート;イソシアヌレート環を分子内に有するジ又はトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0030】
本発明で使用する分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体は、分岐鎖によるバルキーな立体構造を有するため、低温時において液晶分子の配向を阻害し、低温メモリー現象を抑制する。この単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体の分岐アルキル基の分岐の程度を、式(a)
【0031】
【数3】
【0032】
で表わされる分岐率で判断することができる。
【0033】
このとき、(メタ)アクリレート誘導体分子内の最も長いアルキル直鎖部分を主鎖とし、その主鎖から枝分かれしたアルキル基をすべてアルキル分岐鎖とする。
【0034】
本発明で使用する分岐率は、(メタ)アクリレート酸とエステル結合したアルキル基に対するアルキル分岐鎖基の割合を表わし、分岐率が高いほど分岐鎖分子の割合が高く、よりバルキーな構造を有する。
【0035】
分岐率の値は、0.3〜0.7の範囲が好ましい。分岐率の値が0.3よりも小さい材料を用いた場合、得られた液晶デバイスの低温メモリー現象抑制効果が小さくなる傾向にあるので好ましくなく、分岐率の値が0.7よりも大きい材料を用いた場合、主鎖のアルキル鎖数が小さくなるために、得られた液晶デバイスの低電圧効果が小さくなる傾向にあるので好ましくない。
【0036】
本発明で使用する単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体の分岐アルキル基の炭素原子数が14よりも小さい場合、蒸気圧が低いために、真空注入時に単官能アルキル(メタ)アクリレート誘導体が揮発し易くなる傾向にあり、また、得られる液晶デバイスの低電圧効果が小さいので、好ましくない。また、本発明で使用する単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体の分岐アルキル基の炭素原子数が30よりも大きい場合、液晶材料との溶解性が低下し、重合時の相分離が不均一に進行するため、良好な透明性固体物質の3次元ネットワーク構造あるいは網目の大きさを得ることができないので、好ましくない。
【0037】
そのため、本発明で使用する単官能型アルキル分岐鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート誘導体は、請求項1で規定したように、分岐アルキル基の炭素原子数は14〜30の範囲が好ましい。
【0038】
本発明で使用する分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体は、低極性であり、液晶デバイスの駆動電圧を低下させる効果があり、また、高抵抗であるため、電圧保持率を向上させることができる。さらに、アルキル基の炭素原子数が14以上で分子量が大きく、蒸気圧が低く、液晶デバイスの製造方法で一般的に用いられている真空注入法の際に生じる(メタ)アクリレート誘導体の揮発の問題も少ない。
【0039】
本発明で使用する分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体の分岐アルキル基主鎖部分の長さは、液晶デバイスの低電圧駆動効果を高めるため、炭素原子数7〜18であることが好ましく、7〜14の範囲が特に好ましい。
【0040】
本発明で使用する分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体は、低温メモリー現象を抑制する効果は大きいが、低電圧駆動化させる効果を十分に得るために、その使用割合は、重合性組成物中の10〜95%の範囲であることが好ましい。
【0041】
本発明で使用する分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソパルミチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソイコシル(メタ)アクリレート、イソドコシル(メタ)アクリレート、イソテトラコシル(メタ)アクリレート、イソヘキサコシル(メタ)アクリレート、イソオクタコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、分岐率が0.3〜0.7の範囲にある単官能型分岐アルキル(メタ)アクリレート誘導体が好ましい。
【0042】
分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にあって、分岐率が0.3〜0.7の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、1−ヘキシルヘプチルアクリレート(分岐率=46.4%)、1,1−ジエチルオクチルアクリレート(分岐率=34.3%)、2−(3−メチルブチル)−7−メチルオクチルアクリレート(分岐率=43.7%)、2−(1−メチルブチル)−5−メチルオクチルアクリレート(分岐率=43.7%)、2−(1−メチル−3,3−ジメチルブチル)−5−メチル−7,7−ジメチルオクチルアクリレート(分岐率=56.9%)、2−ヘキシルデシルアクリレート(分岐率=37.8%)、2−オクチルデシルアクリレート(分岐率=44.7%)、2−オクチルドデシルアクリレート(分岐率=40.2%)、2−ドデシルドデシルアクリレート(分岐率=50.1%)、2−ウンデシルトリデシルアクリレート(分岐率=54.3%)、2−ウンデシルペンタデシルアクリレート(分岐率=42.5%)等が挙げられる。
【0043】
本発明で使用する分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体は、例えば、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸クロリドを用いて、分岐アルカノールを(メタ)アクリル化することによって容易に製造することができる。
【0044】
製造原料となる分岐アルキルアルコールの市販品としては、汎用の分岐アルカノールに加え、例えば、東京化成社製の「7−エチル−2−メチルウンデカノール」(分岐率=22.3%)、日産化学社製の「ファインオキソコール140」[2−(3−メチルブチル)−7−メチルオクタノール(分岐率=43.7%)及び2−(1−メチルブチル)−5−メチルオクタノール(分岐率=43.7%)]、「ファインオキソコール1600」[2−ヘキシルデカノール(分岐率=37.8%)]、「ファインオキソコール180」、「ファインオキソコール1800」[2−(1−メチル−3,3−ジメチルブチル)−5−メチル−7,7−ジメチルオクタノール(分岐率=56.9%)]、花王社製「カルコール200GD」[2−オクチルドデカノール(分岐率=40.2%)]、「カルコール160GD」[(2−ヘキシルデカノール(分岐率=37.8%)]等のさまざまの分岐鎖数を有するものが挙げられる。
【0045】
本発明で使用する分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体の市販品としては、例えば、共栄社化学社製の「IM−A」[2−(3−メチルブチル)−7−メチルオクチルアクリレート(分岐率=43.7%)及び/又は2−(1−メチルブチル)−5−メチルオクチルアクリレート(分岐率=43.7%)]、「IS−A」[2−(1−メチル−3,3−ジメチルブチル)−5−メチル−7,7−ジメチルオクチルアクリレート(分岐率=56.9%)]等を挙げることができる。
【0046】
任意成分として使用することができるその他の重合体形成性モノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン;置換基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、アルリル、メタリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチルの如き基を有するアクリレート、メタクリレート又はフマレート;酢酸ビニル、酪酸ビニル又は安息香酸ビニル、アクリロニトリル、セチルビニルエーテル、リモネン、シクロヘキセン、ジアリルフタレート、2−、3−又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルメタクリルアミド及びそれらのアルキルエーテル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1モルとフェニルイソシアネート若しくはn−ブチルイソシアネート1モルとの反応生成物等を挙げることができる。
【0047】
重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワードプレキンソツプ社製「カンタキュアーITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルホスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)等が挙げられる。
【0048】
光重合開始剤の使用割合は、重合性組成物に対して、0.1〜10%の範囲であることが好ましい。
【0049】
本発明の液晶デバイスは、その調光層の厚さによって、コントラスト、駆動電圧が変化する。調光層の厚さが、薄い場合は駆動電圧が非常に低くなり、汎用の回路の使用で駆動ができ、低電力消費のデバイスとなる。調光層の厚さが、厚い場合は電圧無印加時の調光層の散乱性が高くなり、白くて明るいデバイスとなる。
【0050】
調光層の厚さは、各々の用途によって自由に選択できるが、5〜100μmの範囲が好ましく、8〜60μmの範囲が特に好ましい。調光層の厚さが5μmよりも薄い場合、コントラストが低下する傾向にあるので、好ましくなく、100μmよりも厚い場合、従来のものと比べ充分駆動電圧が低いものの、駆動電圧の上昇、駆動時の透明性の低下を招く傾向にあるので、好ましくない。特に、直視形用途として反射率を高めるためには、調光層の厚さを厚めに設定することで、30%以上の高い反射率を有し、かつ、従来の高反射率の液晶デバイスより低電圧で駆動することができる。その際の調光層の厚さは、25〜60μmの範囲が好ましい。
【0051】
本発明の液晶デバイスは、調光層中に占める液晶材料の比率が高く、特に、液晶材料が連続層を形成している場合には、駆動電圧が低く、電圧印加時の透明性が高い。
【0052】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下、実施例において「%」は「重量%」を表わし、評価特性の各々は以下の記号及び内容を意味する。
T0 :白濁度 ;印加電圧0Vの時の光透過率(%)
T100 :透明度 ;印加電圧を増加させていき光透過率がほとんど増加しなくなった時の光透過率(%)
V10 :しきい値;T0 を0%、T100 を100%としたとき光透過率が10%となる印加電圧(Vrms )
V90 :飽和電圧;同上光透過率が90%となる印加電圧(Vrms )
CR :コントラスト=T100 /T0
R :反射率 ;標準白色板の反射強度を100%とした時の反射強度の割合(%)
【0053】
又、紫外線の照度は、ウシオ電機社製の受光器UVD−365PD付きユニメータUIT−101を用いて測定した。
【0054】
(実施例1)
<液晶材料>
下記液晶組成物(A) 78.0%
<重合性組成物>
「カヤラッド(KAYARAD )−HX−620」 10.8%
(日本化薬社製、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオ
ペンチルグリコールジアクリレート)
「IM−A」 10.8%
[共栄社化学社製の式
【0055】
【化1】
【0056】
で表わされる炭素原子数14の分岐アルキル基を有する2−(3−メチ
ルブチル)−7−メチルオクチルアクリレート(分岐率=43.7%)
及び/又は2−(1−メチルブチル)−5−メチルオクチルアクリレー
ト(分岐率=43.7%)]
<重合開始剤>
「イルガキュア651」 0.4%
(チバ・ガイギー社製、ベンジルジメチルケタール)
からなる調光層形成材料を、11.0μmのガラスファイバー製スペーサーが塗布された2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、基板全体を調光層形成材料を均一な溶液状態に保ちながら、 40mW/cm2の紫外線を60秒間照射して、重合性組成物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.3μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0057】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0058】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0059】
液晶組成物(A)の組成:
【0060】
【化2】
【0061】
【0062】
(比較例1)
実施例1において、「IM−A」に代えて、n−ミリスチルアクリレート(炭素原子数14の直鎖アルキル基からなる直鎖アルキルアクリレート、分岐率=0%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0063】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0064】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0065】
(比較例2)
実施例1において、「IM−A」に代えて、2−メチルウンデシルアクリレート(炭素原子数12の分岐アルキル基から成る分岐アルキルアクリレート、分岐率=8.9%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0066】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0067】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示した結果から、実施例1で得た液晶デバイスは、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。一方、比較例1で得た液晶デバイスは、25℃では、実施例1で得た液晶デバイスとほぼ同等の性能を示すが、−20℃では、電圧印加後の透明状態から電圧無印加で散乱状態に戻らなくなり、実駆動できないことが理解できる。また、比較例2で得た液晶デバイスは、25℃では、実施例1で得た液晶デバイスとほぼ同等の性能を示すが、−20℃では、V10及びV90の値がそれぞれ9.8V及び18.0Vと高く、駆動電圧の温度依存性が大きいという問題点を有することが理解できる。
【0070】
(実施例2)
<液晶材料>
前記液晶組成物(A) 78.0%
<重合性組成物>
「カヤラッド(KAYARAD )−HX−220」 10.8%
2−ヘキシルデシルアクリレート 10.8%
(東亜合成化学社製の炭素原子数16の分岐アルキル基を有する分岐アル
キルアクリレート、分岐率=37.8%)
<重合開始剤>
「イルガキュア651」 0.4%
からなる調光層形成材料を、11.0μmのガラスファイバー製スペーサーが塗布された2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、基板全体を調光層形成材料を均一な溶液状態に保ちながら、 40mW/cm2の紫外線を60秒照射して、重合性組成物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0071】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0072】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0073】
【表2】
【0074】
表2に示した結果から、実施例2で得た液晶デバイスは、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。
【0075】
(実施例3)
<液晶材料>
前記液晶組成物(A) 78.0%
<重合性組成物>
「カヤラッド(KAYARAD )−HX−220」 10.8%
(日本化薬社製、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオ
ペンチルグリコールジアクリレート)
「IS−A」 10.8%
(共栄社化学社製の式
【0076】
【化3】
【0077】
で表わされる炭素原子数18の分岐アルキル基を有する2−(1−メチ
ル−3,3−ジメチルブチル)−5−メチル−7,7−ジメチルオクチ
ルアクリレート、分岐率=56.9%)
<重合開始剤>
「イルガキュア651」 0.4%
からなる調光層形成材料を、12.0μmのガラスファイバー製スペーサーが塗布された2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、基板全体を調光層形成材料を均一な溶液状態に保ちながら、 40mW/cm2の紫外線を60秒照射して、重合性組成物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが12.3μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0078】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0079】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0080】
【表3】
【0081】
表3に示した結果から、実施例3で得た液晶デバイスは、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。
【0082】
(実施例4)
<液晶材料>
前記液晶組成物(A) 78.0%
<重合性組成物>
「カヤラッド(KAYARAD )−HX−220」 12.96%
式
【0083】
【化4】
【0084】
で表わされるイソテトラコシルモノアクリレート 8.64%
(東亜合成社製の炭素原子数24の分岐アルキル基を有する分岐アルキル
アクリレート、分岐率=46.0%)
<重合開始剤>
「イルガキュア651」 0.4%
からなる調光層形成材料を、11.0μmのガラスファイバー製スペーサーが塗布された2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、基板全体を調光層形成材料を均一な溶液状態に保ちながら、 40mW/cm2の紫外線を60秒照射して、重合性組成物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.3μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0085】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0086】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表4に示した。
【0087】
(実施例5)
実施例4において、11.0μmのガラスファイバー製スペーサーに代えて、50.0μmのガラスファイバー製スペーサーを用いた以外は、実施例4と同様にして液晶デバイスを得た。
【0088】
このようにして得た液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表4に示した。
【0089】
【表4】
【0090】
表4に示した結果から、実施例4で得た液晶デバイスは、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。また、実施例5で得た液晶デバイスは、反射率が30%以上と白くて明るく、特に直視形用途に優れた表示特性を示すものであり、しかも、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。
【0091】
(実施例6)
実施例2において、2−ヘキシルデシルアクリレートに代えて、1−トリドデシルテトラデシルアクリレート(炭素原子数27の分岐アルキル基を有する分岐アルキルアクリレート、分岐率=48.3%)を用いた以外は、実施例2と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.3μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0092】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0093】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表5に示した。
【0094】
【表5】
【0095】
表5に示した結果から、実施例6で得た液晶デバイスは、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。
【0096】
(比較例3)
実施例2において、2−ヘキシルデシルアクリレートに代えて、1−ペンタデシルヘキシルアクリレート(炭素原子数31の分岐アルキル基を有する分岐アルキルアクリレート、分岐率=48.3%)を用いた以外は、実施例2と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを作成しようとしたが、使用した分岐アルキルアクリレートの分岐アルキル基の分子量が大きいため、調光層形成材料中の液晶材料と重合性組成物の相溶性が低下し、そのため、重合性組成物を硬化させた時に、均一な三次元網目状の透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得ることができなかった。
【0097】
(実施例7)
<液晶材料>
下記液晶組成物(B) 78.0%
<重合性組成物>
「カヤラッド(KAYARAD )−HX−220」 10.8%
2−オクチルデシルアクリレート(炭素原子数18の分岐アルキル基を有
する分岐アルキルアクリレート、分岐率=44.7%)10.8%
<重合開始剤>
「イルガキュア651」 0.4%
からなる調光層形成材料を、11.0μmのガラスファイバー製スペーサーが塗布された2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、基板全体を調光層形成材料を均一な溶液状態に保ちながら、 40mW/cm2の紫外線を60秒照射して、重合性組成物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0098】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0099】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表6に示した。
【0100】
液晶組成物(B)の組成:
【化5】
【0101】
【0102】
【表6】
【0103】
表6に示した結果から、実施例7で得た液晶デバイスは、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。
【0104】
(実施例8)
実施例7において、2−オクチルデシルアクリレートに代えて、式
【0105】
【化6】
【0106】
で表わされるイソイコシルモノアクリレート(東亜合成社製の炭素原子数20の分岐アルキル基を有する分岐アルキルアクリレート、分岐率=40.2%)10.8%を用いた以外は、実施例7と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0107】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0108】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表7に示した。
【0109】
(実施例9)
実施例8において、11.0μmのガラスファイバー製スペーサーに代えて、30.0μmのガラスファイバー製スペーサーを用いた以外は、実施例8と同様にして液晶デバイスを得た。
【0110】
このようにして得た液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表7に示した。
【0111】
(比較例4)
実施例7において、2−オクチルデシルアクリレートに代えて、n−イコシルモノアクリレート(炭素原子数20の直鎖アルキル基から成る直鎖アルキルアクリレート)10.8%を用いた以外は、実施例7と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0112】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0113】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表7に示した。
【0114】
【表7】
【0115】
表7に示した結果から、実施例8で得た液晶デバイスは、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。また、実施例9で得た液晶デバイスは、比較例4で得た液晶デバイスの駆動電圧と比較して、充分低いうえ、反射率が30%以上と白くて明るく、特に直視形用途に優れた表示特性を示すものであり、しかも、低温でも支障なく駆動し得ることが理解できる。一方、比較例4で得た液晶デバイスは、25℃では、実施例8で得た液晶デバイスとほぼ同等の性能を示すが、−20℃では、電圧印加後の透明状態から電圧無印加で散乱状態に戻らなくなり、実駆動できないことが理解できる。
【0116】
(比較例10)実施例7において、2−オクチルデシルアクリレートに代えて、式
【0117】
【化7】
【0118】
で表わされる1−メチル−1−トリデシルアクリレート(東京化成社製の炭素原子数14の分岐アルキル基から成る分岐アルキルアクリレート、分岐率=7.6%)を用いた以外は、実施例7と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.3μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0119】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0120】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表8に示した。
【0121】
(比較例5)
実施例7において、2−オクチルデシルアクリレートに代えて、式
【0122】
【化8】
【0123】
で表わされる2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成社製の炭素原子数8の分岐アルキル基から成る分岐アルキルアクリレート、分岐率=25.7%)を用いた以外は、実施例7と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0124】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0125】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表8に示した。
【0126】
(比較例6)
実施例7において、2−オクチルデシルアクリレートに代えて、2−メチルウンデシルアクリレート(炭素原子数12の分岐アルキル基から成る分岐アルキルアクリレート、分岐率=8.9%)を用いた以外は、実施例7と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが11.3μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0127】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0128】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表8に示した。
【0129】
【表8】
【0130】
表8に示した結果から、実施例10で得た液晶デバイスは、25℃では、実施例1で得た液晶デバイスとほぼ同等の性能を示すが、−20℃では、実駆動可能ではあるが、分岐率の低いアクリレート誘導体(7.6%)を使用しているため、低温メモリー現象を完全に抑制することできず、コントラストの低下が認められる。しかしながら、−20℃におけるT0 が10%程度であるため、実用化できないレベルではない。一方、比較例5で得た液晶デバイスは、−20℃におけるコントラストは十分であるが、炭素原子数が8と小さく低電圧効果の低いアルキルアクリレートを使用しているため、駆動電圧が13.7Vrms と高く、満足できるものではないことが理解できる。更に、比較例6で得た液晶デバイスは、25℃におけるV90の値が20Vに近いので満足できるものではないことが理解できる。
【0131】
(比較例7)
<液晶材料>
前記液晶組成物(B) 78.0%
<重合性組成物>
「カヤラッド(KAYARAD )−HX−220」 21.6%
<重合開始剤>
「イルガキュア651」 0.4%
からなる調光層形成材料を、50.0μmのガラスファイバー製スペーサーが塗布された2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、基板全体を調光層形成材料を均一な溶液状態に保ちながら、 40mW/cm2の紫外線を60秒照射して、重合性組成物を硬化させて、液晶材料と透明性固体物質から成る厚さが50.2μmの調光層を有する液晶デバイスを得た。
【0132】
このようにして得た液晶デバイスの調光層を電子顕微鏡を用いて観察した結果、三次元網目状の透明性固体物質を確認することができた。
【0133】
また、この液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表9に示した。
【0134】
(比較例8)
比較例4において、11.0μmのガラスファイバー製スペーサーに代えて、50.0μmのガラスファイバー製スペーサーを用いた以外は、比較例4と同様にして液晶デバイスを得た。
【0135】
このようにして得た液晶デバイスの25℃及び−20℃における印加電圧と光透過率の関係を測定し、その結果を下記表9に示した。
【0136】
【表9】
【0137】
*)比較例7で得た液晶デバイスは、 50Vrmsまで電圧を印加しても透過率が十分に飽和しなかったため、表9における比較例7のT100の欄には、 印加電圧50Vrmsの時の光透過率を掲げた。 同様に、表9における比較例7のCRの値は、 印加電圧0の光透過率と印加電圧50Vrmsの光透過率から算出したコントラストの値を掲げた。 また、表9における比較例7のV10の値は、T100の値が測定不能であるから、測定できなかった。
【0138】
表9に示した結果から、比較例7で得た液晶デバイスの反射率は30%以上と高いものであったが、 印加電圧を50Vrmsにしても透過率が飽和せず、駆動電圧が極めて高いものであることが理解できる。比較例8で得た液晶デバイスは、25℃では、実施例9で得た液晶デバイスとほぼ同等の性能を示すが、−20℃では、電圧印加後の透明状態から電圧無印加で散乱状態に戻らなくなり、実駆動できなかった。
【0139】
(比較例9)
実施例7において、2−オクチルデシルアクリレートに代えて、1−ヘキサデシルノナデシルアクリレート(炭素原子数35の分岐アルキル基から成る分岐アルキルアクリレート、分岐率=45.8%)を用いた以外は、実施例7と同様にして、液晶材料と透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを作成しようとしたが、使用した分岐アルキルアクリレートの分岐アルキル基の分子量が大きいため、調光層形成材料中の液晶材料と重合性組成物の相溶性が低下し、そのため、重合性組成物を硬化させた時に、均一な三次元網目状の透明性固体物質から成る調光層を有する液晶デバイスを得ることができなかった。
【0140】
【発明の効果】
本発明の液晶デバイスは、偏光板が不要で明るい表示画面のものであり、大面積薄膜型のものであって、 低電圧駆動が可能であり、又、明るく高反射率の表示が可能であり、更に、−20℃もの低温温度域においても駆動が可能となるので、実用性が向上する。
【0141】
従って、従来のこの種の調光用液晶デバイスのみならず、大画面で薄型の、より高度な表示品位を有する液晶デバイスとして極めて有用である。
Claims (7)
- 単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体の分岐アルキル基の主鎖の炭素原子数が7〜18の範囲にある請求項1記載の液晶デバイス。
- 調光層が、液晶材料の連続層中に三次元網目状の透明性固体物質を有するものである請求項1又は2記載の液晶デバイス。
- 調光層の厚さが、8〜80μmの範囲にある請求項1、2又は3記載の液晶デバイス。
- 調光層の厚さが、25〜80μmの範囲にある請求項1、2又は3記載の液晶デバイス。
- 電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、液晶材料、重合性組成物及び光重合開始剤を含有する調光層形成材料を挟持した後、活性光線を照射することにより重合性組成物を重合させて、液晶材料及び透明性固体物質を有する調光層を形成する液晶デバイスの製造方法において、重合性組成物として、(1)多官能型(メタ)アクリレート誘導体及び(2)分岐アルキル基の炭素原子数が14〜30の範囲にある分岐アルキル基から成る単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体であって、分岐アルキル基の分岐率、式(a)
- 単官能型アルキル(メタ)アクリレート誘導体の分岐アルキル基の主鎖の炭素原子数が7〜18の範囲にある請求項6記載の液晶デバイスの製造方法。
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- 1995-11-07 JP JP28858695A patent/JP3598614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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