JP3592158B2 - リクライニング用マットレス - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、介護や治療などに利用される背上げ機構を有するベッドにおいて、背上げを行なうとき、ベッドの利用者の腹部を圧迫することなく快適に背上げを行なうことができるマットレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
リクライニングベッドに使用されるマットレスは、一般的に一枚の一体式のマットレスが使用されており、この一体式マットレスの場合、背の起伏部の屈曲点において、マットレスに厚さがあることにより、下面が屈曲点に沿って折り曲がっていくと、上面では縮む方向に力が働き、その力から逃げるために、前方に内部のクッション体が押し出され、腹部を圧迫されて、窮屈感が出るという欠点があった。これは、マットレスの厚さが大きくなるほど、顕著となっていた。そのため、これを少しでも解決する方法として、リクライニングフレームの屈曲点を多関接構造として、曲線的に曲げる構造のものもあるが、根本的な解決にはつながらない点とフレームの構造が複雑となり、コスト高につながっていた。
【0003】
また、マットレスの方で解決する試みとして、一般に利用されている二分割式マットレス10のものはあった。これは図6に示すように、二分割式マットレス10は、マットレスA11とマットレスB12に分割され、連結部13によりマットレスA11とマットレスB12が連結されている。この場合、マットレスの連結部13を支点として屈曲するように、背フレーム14がマットレスの連結部13を支点として回動するように移動する構造としたもので、マットレス上面の連結部13を支点としてマットレスが屈曲するため、利用者の上半身は自然な形で腰部から屈曲し、腹部への圧迫を解消するものである。
【0004】
しかし、二分割式マットレス10は、そのマットレスの使用頻度が多くなればなる程、二分割式マットレス10は連結部13のみで連結された構造であるため、長期にわたる屈曲の繰り返しにより連結部13が破損するという欠点があった。また、ベッドの利用者の重量比の一番大きくなる腰部分にあたる点で分割されたものであるため、マットレスの内部の詰物が、分割されていないマットレスに比べて形崩れを起こす可能性が多分にあり、寝心地を損なうようになるという欠点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、背上げ動作の際、マットレスにより利用者の腹部に対する圧迫を解消するとともに、長期使用に対する耐久性のある、寝心地を損なうことの無いマットレスを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
矩形なクッション体よりなり、背上げ機構を有するリクライニングベッドの背フレームに適合する位置に前記矩形なクッション体における長手方向の一方端側から長手方向の途中まで複数層に分離している分離クッション体が載置されてベッドの屈曲点を支点として当該背フレームが起上することにより上層部クッション体と下層部クッション体とが該上層部クッション体と下層部クッション体との接触面でスライドして上層部クッション体が下層部クッション体より突出するようになっているリクライニング用マットレスであって、前記矩形なクッション体を外装している袋体が長手方向の一方端側から長手方向の途中まで各複数層のクッション芯体の矩形形状に合わせて複数に分かれて各複数層の袋体を成していると共に残りの長さ部分は一つの袋体を成しており、且つ、各複数層の袋体の互いに接触する上面と下面とが結合する結合部分と複数層に分離されていない袋体の両側内面に当該接合部分を一定の位置に保つ力布が固定されていることを特徴とするリクライニング用マットレスである。
【0007】
【作用】
リクライニングベッドフレームの背上げ側に、二層に分離したクッション体を載置し、リクライニングベッドフレームの背フレーム14を起上させた場合に、リクライニングベッドフレームの背フレーム14の屈曲点を支点として、屈曲すると、下層部のクッション体は、リクライニングベッドフレームの屈曲点に沿って屈曲を開始する。それにともなって、その上層に位置するクッション体は、下層部のクッション体と分離していることにより下層部のクッション体との接触面27でスライドを開始し、屈曲点からのクッション体端部までの上面と下面での距離の差分だけ上方へスライドし突出することができる。このスライドによる屈曲点からのクッション体端部までの上面と下面での距離の差は、クッション体の厚さが大きくなるほど大きくなる。そのため、上記のように分離した二層のクッション体を有することで、屈曲点に縮む方向の無理な力が加わらず、容易に各クッション体が曲げられるとともに、各層の各屈曲点でクッション体が膨れ上がったり突出することがない。
【0008】
【実施例】
次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1に示すように、矩形なクッション体を有するマットレスで、そのマットレスの長手方向の一方端側から、長手方向の途中までが約全長の2/3程度の長さまでクッションA21、クッションB22と2層に分離している。これは、一実施例として2層としたものを示したものであり、多数層に分離したものでもかまわない。
【0009】
図2は、任意の部分を切り欠いて内部の構造を示したもので、クッションA21とクッションB22を一体とする外装の袋体は、上下の表面層は綿等を詰物としキルティング加工をほどこされたもので、長手方向の約2/3程度の長さ部分はクッションA21とクッションB22の矩形形状に合わせて二股に分かれて袋体A23と袋体B24を成しており、残りの長さ部分は一つの袋体C25を成している。
【0010】
また、上記袋体A23と上記袋体B24の二股に分かれる付根の結合部分26は、背上げ状態の時、ベッド利用者の腰部の重量により、クッションA21とクッションB22の各接触面27が任意の位置に保持され、その保持されたまま背上げ状態からフラットな状態に移行すると、面積A28の分だけクッションA21とクッションB22の各接触面27にシワを形成させてしまう。(図3参照)そのため、袋体A23と袋体B24の屈曲の繰り返しにより、袋体A23と袋体B24に有する結合部分26のズレが起きないように、袋体A23と袋体B24の付根の結合部分26と袋体C25の両側内面29に力布30が縫着されている。袋体の内部のクッション素材は2枚の固綿を使用したものであるが、これは固綿に限定するものではなく、ウレタンフォーム、ラテックスフォーム等、別のクッション素材を使用したものでもかまわない。袋体A23と袋体B24が互いに接触する接触面27には、摩擦係数の低い滑りやすい生地を使用したもので、袋体A23と袋体B24と袋体C25にクッション素材を挿入しマットレスの状態にした場合に、図4に示すように、上側のクッションA21がリクライニング起上時に上方へスライドしやすくしている。
【0011】
図5は、本発明のリクライニング用マットレスの別な使用例を示したもので、クッションA21とクッションB22の接触面27に滑りやすい生地を使用していることで、クッションA21とクッションB22の間に別なクッションC31を挿入することで、寝姿勢を良くしたり、また、オムツ交換や用便時に介護者が作業しやすい姿勢を被介護者に取らせたりすることが容易に行なえる。
【0012】
【発明の効果】
以上の様に、本発明によれば、背上げ機構を有するベッドの背フレーム14に適合する位置に、マットレスをクッションA21とクッションB22に分離させ、クッションA21とクッションB22の接触面27に摩擦係数の低い生地などを有することにより、クッションA21がクッションB22の長手方向の外側にスライドし、ベッドの利用者の腹部に対する圧迫を解消し、また、背上げ状態とフラットな状態を繰り返し行なう際に、クッションA21の内部の詰物とクッションB22の内部の詰物の間に固定された力布30を設けることにより、結合部分26を一定の位置に保つことが可能となり、マットレスの形状を長期間保持することができクッションA21とクッションB22の間に別なクッションC31を容易に挿入することができ、介護者の作業しやすい姿勢を被介護者にとらすことができる。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるマットレスの一実施例を示す外観図である。
【図2】本発明にかかるマットレスを任意の部分を切り抜き、内部の詰物を抜き取った一実施例を示す外観図である。
【図3】本発明にかかるマットレスが背上げ状態とフラット状態を繰り返すことにより結合部分26にシワが生じている状態を示す透視図である。
【図4】本発明にかかるマットレスが背上げされた状態を示す側面図である。
【図5】本発明にかかるマットレスのクッションA21とクッションB22の間に別のクッションC31が挿入された状態を示す側面図である。
【図6】従来の二分割式マットレスの一実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
10・・・・・・・・・・二分割式マットレス
11・・・・・・・・・・マットレスA
12・・・・・・・・・・マットレスB
13・・・・・・・・・・連結部
14・・・・・・・・・・背フレーム
21・・・・・・・・・・クッションA
22・・・・・・・・・・クッションB
23・・・・・・・・・・袋体A
24・・・・・・・・・・袋体B
25・・・・・・・・・・袋体C
26・・・・・・・・・・結合部分
27・・・・・・・・・・接触面
28・・・・・・・・・・面積A
29・・・・・・・・・・側内面
30・・・・・・・・・・力布
31・・・・・・・・・・クッションC
Claims (2)
- 矩形なクッション体よりなり、背上げ機構を有するリクライニングべッドの背フレームに適合する位置に前記矩形なクッション体における長手方向の一方端側から長手方向の途中まで複数層に分離している分離クッション体が載置されてベッドの屈曲点を支点として当該背フレームが起上することにより上層部クッション体と下層部クッション体とが該上層部クッション体と下層部クッション体との接触面でスライドして上層部クッション体が下層部クッション体より突出するようになっているリクライニング用マットレスであって、前記矩形なクッション体を外装している袋体が長手方向の一方端側から長手方向の途中まで各複数層のクッション芯体の矩形形状に合わせて複数に分かれて各複数層の袋体を成していると共に残りの長さ部分は一つの袋体を成しており、且つ、各複数層の袋体の互いに接触する上面と下面とが結合する結合部分と複数層に分離されていない袋体の両側内面に当該接合部分を一定の位置に保つ力布が固定されていることを特徴とするリクライニング用マットレス。
- 複数層のクッション体の各袋体が互いに接する接触面に摩擦係数の低い滑りやすい生地を有した請求項1記載のリクライニング用マットレス。
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Family Applications (1)
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JP28894299A Expired - Fee Related JP3592158B2 (ja) | 1999-10-12 | 1999-10-12 | リクライニング用マットレス |
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1999
- 1999-10-12 JP JP28894299A patent/JP3592158B2/ja not_active Expired - Fee Related
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