JP3589822B2

JP3589822B2 - シュガーレス発酵乳キャンデイの製造方法

Info

Publication number: JP3589822B2
Application number: JP35676696A
Authority: JP
Inventors: 昭吾大庭; 憲二井上; 信菅沼; 秀光田中
Original assignee: 株式会社不二家
Priority date: 1996-12-27
Filing date: 1996-12-27
Publication date: 2004-11-17
Anticipated expiration: 2016-12-27
Also published as: JPH10179036A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
一般にヨーグルトキャンディは発酵乳に砂糖を加えこれを約１／２．５に減圧濃縮で得られた発酵練乳様組成物に砂糖、水飴、油脂、乳化剤等を添加し濃縮して得たキャンデイ生地にフォンダンを加え結晶化させた後、ゼラチン、香料等を加え混合し、成型して製造されている。
このように一般のヨーグルトキャンディと称されるものは多量に添加される砂糖と牛乳中に含まれる乳糖、乳脂肪、乳蛋白質、灰分、ビタミン等とともに、きわめて栄養に富むキャンディであった。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】
近年になって、砂糖などの天然甘味料のう蝕誘発性が問題になるとともに栄養過多も問題となり、キャンディにおいてもできれば砂糖、乳糖、水飴などの天然の糖類をなくしてしまいたいとの要望が起きているのである。
そこで、本発明者は、先に、乳糖をほとんど含まないシュガーレスミルクキャンディを発明するに至った。（特願平８−１２９２２５）
そして本発明は、発酵乳キャンディ、即ち、ヨーグルトキャンディ又はケフィアキャンディにおいても乳糖、砂糖などの糖類をなくしてしまうことを目的としている。
【０００３】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、
１．牛乳又は脱脂乳から乳糖を分離処理した全脂濃縮乳、又は、それを粉化し還元した全脂乳、又は、脱脂濃縮乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳、又は、粉化し還元した脱脂乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳、を用い、
２．乳酸菌又はケフィアスターターによって発酵させ、発酵の味と香りを与え、
３．この発酵乳に砂糖の代りに還元麦芽糖水飴又は還元水飴又はラクチトールを添加し、濃縮して練乳様濃縮物とし、
４．この練乳様濃縮物に砂糖の代りに還元パラチノース又はラクチトール、マンニトール、キシリトール、水飴の代わりに還元麦芽糖水飴又は／及び還元水飴又は／及び難消化性デキストリン又は／及びポリデキストロースを添加することによって実質的に糖類を０．５％以下とした発酵乳キャンディ（シュガーレスヨーグルトキャンディ又はシュガーレスケフィアキャンディ）を製造することができたのである。
【０００４】
本発明は、牛乳又は脱脂乳から乳糖を分離処理した全脂濃縮乳、又は、それを粉化し還元した全脂乳、又は、脱脂濃縮乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳、又は、粉化し還元した脱脂乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳、に乳化剤等を加え、殺菌、調温後、乳酸菌又はケフィアスターターを添加発酵させて得た発酵濃縮乳又は発酵還元乳を加温、均質化した後、還元麦芽糖水飴又は還元水飴又はラクチトールを加え殺菌し、濃縮して得た低乳糖発酵濃縮乳（練乳様濃縮物）に還元パラチノース又はラクチトール、マンニトール、キシリトール及び還元麦芽糖水飴又は／及び還元水飴又は／及び難消化性デキストリン又は／及びポリデキストロース等を加え、その加熱液（１１０℃〜１１５℃）に油脂、乳化剤等を加え混合し、減圧濃縮し、得られた生地に酸味料、香料、着色料等を混合し、冷却調温し、成型することを特徴とするシュガーレス発酵乳キャンディ（シュガーレスヨーグルトキャンディ又はシュガーレスケフィアキャンディ）の製造方法に関するものである。
【０００５】
また、本発明は、牛乳又は脱脂乳をＵＦ膜処理して、乳糖の含有量を約０．６％以下に低減した全脂濃縮乳、又は、それを粉化し還元した全脂乳、又は、乳糖の含有量を約０．６％以下に低減した脱脂濃縮乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳、又は、粉化し還元した脱脂乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳、に乳化剤等を加え、殺菌、調温後、乳酸菌又はケフィアスターターを添加発酵させて得た発酵濃縮乳又は発酵還元乳を加温、均質化した後、発酵濃縮乳１００Ｋｇに対し還元麦芽糖水飴６６Ｋｇ又は還元水飴７０Ｋｇ又はラクチトール８２Ｋｇを添加殺菌し、約２／３〜１／２に、又は発酵還元乳１００Ｋｇに対し還元麦芽糖水飴２２Ｋｇ、又は還元水飴２４Ｋｇ、又はラクチトール２７Ｋｇを添加殺菌し、約１／３〜１／３．５に減圧濃縮して得た低乳糖発酵濃縮乳（練乳様濃縮物）に還元パラチノース又はラクチトール又は／及びマンニトール又は／及びキシリトール又は／及び還元麦芽糖水飴又は／及び還元水飴又は／及び難消化性デキストリン又は／及びポリデキストロース等を加え、その加熱液（１１０℃〜１１５℃）に油脂、乳化剤等を加え混合し、水分８％以下に減圧濃縮し、得られた生地に糖アルコールフォンダン又はマンニトール粉末を加え、約５０℃、１２時間で結晶化させた後、ゼラチン、酸味料、風味料、香料、着色料、高甘味度甘味料等を混合し、必要に応じ抱気させ成型することを特徴とするシュガーレス発酵乳キャンディ（シュガーレスヨーグルトキャンディ又はシュガーレスケフィアキャンディ）の製造方法に関するものである。
【０００６】
一般に、ソルビトール、マンニットール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノース（パラチニット）などの糖アルコールは発酵性がほとんどなく、非う蝕性であり、カロリーも低く、虫歯予防やダイエットの目的で近年各種食品に使用されつつある。
キャンディ類においても、糖アルコールを用い、非う蝕性をうたった、シュガーレスハードキャンディ、ソルビトールハードキャンディ、シュガーレスソフトチュウイングキャンディ、シュガーレスグミなどの製品が市販されるに至っているが、いずれも食感、風味、歯ざわりにおいて、未だ完成の域に達していないのである。
【０００７】
発酵乳キャンディでは未だシュガーレスの製品は販売されていないが、従来の製品の質感、歯ざわりなどの食感を、シュガーレスで作り出すのが、きわめて困難であることもその原因の一つになっている。
【０００８】
本発明では、牛乳又は脱脂乳をＵＦ膜処理して、約４．９％ある乳糖を約０．６％以下まで低減した全脂濃縮乳（又は脱脂濃縮乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳）を用意し、これに乳酸菌、例えばラクトバチルス・ブルガリクス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓｂｕｌｇａｒｉｃｕｓ）やラクトバチルス・アシドフィルス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｋｋｕｓａｃｉｄｏｐｈｉｌｕｓ）など、又は、ケフィアスターターとしてのケフィアグレイン（Ｋｅｆｉｒｇｒａｉｎ）を加え、乳酸発酵させて、残留する乳糖をできるだけ資化させて、乳酸を生成させ、発酵の味と香りを付与させる。
【０００９】
得られた低乳糖発酵濃縮乳は６０℃程度まで加温し、均質化して、発酵濃縮乳１００Ｋｇに対し還元麦芽糖水飴６６Ｋｇ又は還元水飴７０Ｋｇ又はラクチトール８２Ｋｇを添加し、混合し、殺菌し、約２／３〜１／２に、又は発酵還元乳１００Ｋｇに対し還元麦芽糖水飴２２Ｋｇ、又は還元水飴２４Ｋｇ又はラクチトール２７Ｋｇを添加殺菌し、約１／３〜１／３．５に減圧濃縮して得た低乳糖発酵濃縮乳（練乳様濃縮物）とし、これに還元パラチノース又はラクチトール、マンニトール、キシリトール及び還元麦芽糖水飴又は／及び還元水飴又は／及び難消化性デキストリン又は／及びポリデキストロース等を加え、その加熱液（１１０℃〜１１５℃）に油脂、乳化剤等を加え、水分約８％まで減圧濃縮し、得られたキャンディ生地に糖アルコールフォンダン又はマンニトール粉末を混合し、ゼラチン、香料その他添加物を混合し結晶化させ又は引飴して抱気させ成型して製品とする。
【００１０】
【実施例】
【００１１】
【実施例１】
牛乳をＵＦ膜処理装置にかけ４．９％乳糖を０．６％以下とした全脂濃縮乳（脱脂乳をＵＦ膜処理装置にかけた場合は乳糖分離処理した脱脂濃縮乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳）に乳酸菌、ラクトバチルス・ブルガリクス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓｂｕｌｇａｒｉｃｕｓ）とラクトバチルス・アシドフィルス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｋｋｕｓａｃｉｄｏｐｈｉｌｕｓ）の混合菌の培養物を２％添加し、４０℃で１２時間培養し、得られた乳酸０．３〜０．４％の発酵液１００ｋｇに還元麦芽糖水飴６６ｋｇ又は還元水飴７０Ｋｇ又はラクチトール８２Ｋｇを添加し約２／３〜１／２に濃縮し水分２６〜２７％全固形分７４〜７３％、うち還元麦芽糖水飴４５％、乳固形分２９％（うち乳糖は約１％）の低乳糖発酵濃縮乳を得た。
【００１２】
【実施例２】
牛乳をＵＦ膜処理装置にかけ４．９％乳糖を０．６％以下とした全脂濃縮乳（脱脂乳をＵＦ膜処理装置にかけた場合は乳糖分離処理した脱脂濃縮乳と生クリーム又は／及びバターの混合乳）にケフィアグレイン（Ｋｅｆｉｒｇｒａｉｎ）の培養物であるケフィアスターターを２％添加し、２５℃で３日間培養し、得られた発酵液１００ｋｇに還元麦芽糖水飴６６ｋｇ又は還元水飴７０Ｋｇ又はラクチトール８２Ｋｇを添加し約２／３〜１／２に濃縮し水分２６〜２７％全固形分７４〜７３％、うち還元麦芽糖水飴４５％、乳固形分２９％（うち乳糖は約１％）の低乳糖発酵濃縮乳を得た。
【００１３】
【実施例３】

以上をよく混合加熱溶解し濃縮機で水分約６％まで減圧濃縮しキャンディ生地を得る。
得られたキャンディ生地を冷却調温し、糖アルコール、フオンダン１０％（又はマンニトール粉末０．５％）を加え、よく混合し、約５０℃、１２時間で結晶化させた後、ゼラチン液３％、香料０．５％、クエン酸０．３％、乳酸０．１％、高甘味度甘味料（アスパルテーム）０．００２％等を加え、混合し、必要に応じ、引飴し抱気させ、成型して製品とした。
【００１４】
【実施例４】

以上をよく混合加熱溶解し濃縮機で水分約４％前後まで減圧濃縮しキャンディ生地をつくる。
得られたキャンディ生地にクエン酸０．３％、乳酸０．１％、香料０．６％、高甘味度甘味料（アスパルテーム）０．００２％を混合し、冷却調温し、成型してシュガーレスヨーグルトハードキャンディ、又はシュガーレスケフィアヨーグルトハードキャンディ製品とした。
【００１５】
【発明の効果】
発酵で乳糖を資化させた低乳糖発酵濃縮乳の製造に還元麦芽糖水飴又は還元水飴又はラクチトールを用い、この低乳糖発酵濃縮乳と還元パラチノース、マンニトール、ラクチトール、キシリトール及び還元麦芽糖水飴又は／及び還元水飴又は／及び難消化性デキストリン又は／及びポリデキストロースを用いることによって品質のすぐれたシュガーレスヨーグルトキャンディ又はシュガーレスケフィアヨーグルトキャンディを製造することができた。

Claims

１）牛乳又は脱脂乳から乳糖を分離処理して得られる、ａ）全脂濃縮乳若しくは該全脂濃縮乳を粉化し還元した全脂乳、又はｂ）脱脂濃縮乳若しくは該脱脂濃縮乳を粉化し還元した脱脂乳に生クリーム及び／又はバターを添加・混合してなる混合乳に、
２）乳化剤等を加え、殺菌、調温した後、
３）乳酸菌又はケフィアスターターを添加し、発酵させて発酵濃縮乳又は発酵還元乳を調製し、
４）得られた発酵濃縮乳又は発酵還元乳を加温、均質化した後、還元麦芽糖水飴、還元水飴又はラクチトールを加え、殺菌し、次いで濃縮し、
５）得られた低乳糖発酵濃縮乳（練乳様濃縮物）にｃ）還元パラチノース、ラクチトール、マンニトール又はキシリトール、及びｄ）還元麦芽糖水飴、還元水飴、難消化性デキストリン及びポリデキストロースから選ばれる１種以上を加えて加熱し、
６）その加熱液（１１０℃〜１１５℃）に油脂及び乳化剤を添加・混合し、減圧濃縮して生地を調製し、
７）得られた生地に酸味料、香料及び着色料を添加・混合し、冷却調温した後、
８）成型する、ことを特徴とする
９）シュガーレス発酵乳キャンディ（シュガーレスヨーグルトキャンディ又はシュガーレスケフィアキャンディ）の製造方法。
１）牛乳又は脱脂乳をＵＦ膜処理して、乳糖を約０．６％以下に低減して得られる、ａ）全脂濃縮乳若しくは該全脂濃縮乳を粉化し還元した全脂乳、又はｂ）乳糖を約０．６％以下に低減した脱脂濃縮乳若しくは該脱脂濃縮乳を粉化し還元した脱脂乳に生クリーム及び／又はバターを添加・混合してなる混合乳に、
２）乳化剤等を加え、殺菌、調温した後、
３）乳酸菌又はケフィアスターターを添加し、発酵させて発酵濃縮乳又は発酵還元乳を調製し、
４）得られた発酵濃縮乳又は発酵還元乳を加温、均質化した後、該発酵濃縮乳の１００ｋｇに対し還元麦芽糖水飴６６ｋｇ、還元水飴７０ｋｇ又はラクチトール８２ｋｇを加え、殺菌し、次いで約２／３〜１／２に減圧濃縮するか、若しくは、該発酵還元乳の１００ｋｇに対し還元麦芽糖水飴２２ｋｇ、還元水飴２４ｋｇ又はラクチトール２７ｋｇを加え、殺菌し、次いで約１／３〜１／３．５に減圧濃縮し、
５）得られた低乳糖発酵濃縮乳（練乳様濃縮物）にｃ）還元パラチノース、ラクチトール、マンニトール又はキシリトール、及びｄ）還元麦芽糖水飴、還元水飴、難消化性デキストリン及びポリデキストロースから選ばれる１種以上を加えて加熱し、
６）その加熱液（１１０℃〜１１５℃）に油脂及び乳化剤を添加・混合し、水分８％以下に減圧濃縮して生地を調製し、
７）得られた生地にｅ）糖アルコールフォンダン又はマンニトール粉末を混合し、結晶化させ、
８）この生地にゼラチン、酸味料、風味料、香料、着色料及び高甘味度甘味料から選ばれる１種以上を加え、混合し、必要に応じて抱気させ、
９）成型する、ことを特徴とする
１０）シュガーレス発酵乳キャンディ（シュガーレスヨーグルトキャンディ又はシュガーレスケフィアキャンディ）の製造方法。
請求項１又は請求項２で製造したシュガーレス発酵乳キャンディ（シュガーレスヨーグルトキャンディ又はシュガーレスケフィアキャンディ）。