JP3588093B2 - 磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気ヘッド、並びにヘッドサスペンションアセンブリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気ヘッド、並びにヘッドサスペンションアセンブリ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気ヘッド、並びにヘッドサスペンションアセンブリに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクドライブ(HDD)の大容量小型化に伴い、高感度、高出力のヘッドが要求されている。その要求に対して、現行製品であるGMRヘッド(Giant Magneto−Resistive Head)の懸命な特性改善が進んでおり、一方でMRヘッドの2倍以上の抵抗変化率が期待できるトンネル磁気抵抗効果型ヘッド(TMRヘッド)の開発も精力的に行われている。
【0003】
GMRヘッドとTMRヘッドは、一般的に、センス電流を流す方向の違いからヘッド構造が異なる。一般のGMRヘッドのような膜面に対して平行にセンス電流を流すヘッド構造をCIP(Current In Plane)構造、TMRヘッドのように膜面に対して垂直にセンス電流を流すヘッド構造をCPP(Current Perpendicular to Plane)構造と呼ぶ。CPP構造は、磁気シールドそのものを電極として用いることができるため、CIP構造の狭リードギャップ化において深刻な問題となっている、磁気シールド−素子間ショート(絶縁不良)が本質的に生じない。そのため、高記録密度化においてCPP構造は大変有利である。
【0004】
CPP構造のヘッドとしては、TMRヘッドの他にも、例えば、磁気抵抗効果素子にスピンバルブ膜(スペキュラー型、デュアルスピンバルブ型磁性多層膜を含む)を用いながらもCPP構造を持つCPP−GMRヘッドも知られている。
【0005】
CPP構造のヘッドでは、いずれのタイプのヘッドであっても、基体上に形成された磁気抵抗効果層に電流を流すための上部電極及び下部電極が、前記磁気抵抗効果層の上面側(基体と反対側)及び下面側(基体側)にそれぞれ形成されている。製造工程上、一般的に、磁気抵抗効果層の形成後であって上部電極の形成前に、磁気抵抗効果層が形成された基体が大気中に置かれる。このとき、磁気抵抗効果層の上面が空気中で酸化されてしまうことにより磁気抵抗効果層のMR比等の特性を損なうような事態を防止するため、磁気抵抗効果層の上面には、保護膜として、キャップ層と呼ばれる非磁性金属層が予め形成される(下記特許文献1〜5等)。この非磁性金属層として、Taなどが用いられている。そして、CPP構造のヘッドでは、上部電極は、この非磁性金属層を介して、磁気抵抗効果層に電気的に接続されている。
【特許文献1】
特開平11−213349号公報(段落番号[0021])
【特許文献2】
特開平11−213350号公報(段落番号[0020])
【特許文献3】
特開平11−353621号公報(段落番号[0024])
【特許文献4】
特開2000−67418号公報(段落番号[0031])
【特許文献5】
特開2000−105912号公報(段落番号[0032])
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
CPP構造のヘッドでは、上部電極及び前記非磁性金属層を経由して磁気抵抗効果層に電流を流すため、上部電極と非磁性金属層との間に良好な電気的接触を保ち、低抵抗化を実現する必要がある。ところが、非磁性金属層としてTaなどが用いられているので、磁気抵抗効果層及び非磁性金属層が形成された基体を大気中に置いた際に、非磁性金属層の表面は空気中で酸化する。このため、そのままの状態で非磁性金属層の上に上部電極などの他の層を形成するとすれば、上部電極と非磁性金属層との間に良好な電気的接触を保つことができない。そこで、非磁性金属層の上に上部電極などの他の層を形成する前に、上部電極等を成膜するのと同一の真空装置内で、ドライエッチング(スパッタエッチング、イオンビームエッチング等、ドライプロセス全般を含む)することより、非磁性金属層の表面酸化膜が除去されている。
【0007】
前記非磁性金属層の厚さは、空気中での磁気抵抗効果層表面の酸化を有効に防止し得る範囲内において、可能な限り薄くすべきであるというのが、従来の技術常識であり、非磁性金属層の厚さは10nm以下に設定されていた。例えば、前記特許文献1〜3には、キャップ層として厚さ10nmのTa層を用いる例が開示されている。また、前記特許文献4,5には、キャップ層として厚さ約5nmのTa層を用いる例が開示されている。
【0008】
これは、非磁性金属層が薄ければ薄いほど、磁気抵抗効果層を所望の形状にミリング等する際に定まる磁気抵抗効果層の端面形状が良好となり、磁気抵抗効果素子の特性が向上すると考えられていたためである。
【0009】
しかしながら、本発明者の研究の結果、このような技術常識は必ずしも正しくないことが判明した。すなわち、従来は、磁気抵抗効果層表面の酸化防止という要因と磁気抵抗効果層の端面形状という要因のみが着目されており、非磁性金属層の表面酸化膜の除去工程の際の、磁気抵抗効果層へのイオンビームによるダメージという要因が、看過されていた。例えば、TMRヘッドでは、磁気抵抗効果層自体の低抵抗化を図るべくトンネルバリア層を極薄(例えば、厚さ1nm以下)にすると、非磁性金属層の表面酸化膜の除去工程の際のトンネルバリア層へのイオンビームダメージの影響が大きくなり、MR比が極端に下がり、場合によっては磁気ヘッドとして用いることができなくなることが判明した。このようなイオンビームダメージの影響は、TMRヘッドにおいて特に顕著であるが、CPP−GMRヘッドなどの他のCPP構造のヘッドについても同様である。
【0010】
本発明は、前述したような事情に鑑みてなされたもので、金属層を用いて磁気抵抗効果層表面の酸化を防止しつつ、電極と前記金属層との間の良好な電気的接触を確保し、しかも、磁気抵抗効果層へのイオンビームダメージを低減し、ひいては素子の特性を向上することができる、磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気ヘッド及びその製造方法、並びにヘッドサスペンションアセンブリを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による磁気抵抗効果素子は、基体の一方の面側に形成された磁気抵抗効果層と、該磁気抵抗効果層の前記基体とは反対側の面に形成された1層以上からなる金属層と、を備え、前記金属層の厚さが10nmより厚くかつ20nmより薄いものである。前記金属層は、非磁性材料で構成してもよいし、磁性材料で構成してもよい。
【0012】
この第1の態様によれば、磁気抵抗効果層の基体とは反対側の面に前記金属層が形成されているので、前述した従来の磁気ヘッドの場合と同様に、前記金属層によって磁気抵抗効果層の表面の酸化を防止することができる。
【0013】
また、前記金属層の表面が空気中で酸化しても、前記金属層の上に電極などの他の層を形成する前に、ドライエッチングにより前記金属層の表面酸化膜が除去すれば、電極と前記金属層との間の良好な電気的接触を得ることができる。このとき、磁気抵抗効果層は、前記ドライエッチングによりイオンビームダメージを受ける。しかし、前記第1の態様では、前記金属層の厚さが10nmより厚く前述した従来技術における厚さ(10nm)より厚いので、磁気抵抗効果層が受けるダメージは、前述した従来技術と比べて、低減される。このため、前記第1の態様によれば、前述した従来技術と比べて素子の特性が向上する。
【0014】
なお、このことは、後に詳述する本発明者の研究の結果から、ドライエッチング(イオンミリングなど)における実用的な加速電圧(おおよそ100eV〜500eV)の範囲では前記金属層の材料が異なっても、適合することが、判明した。
【0015】
このように、前記第1の態様では、従来は看過されていた磁気抵抗効果層へのイオンビームによるダメージという要因に着目し、前記金属層の厚さは可能な限り薄くすべきであるという従来の技術常識に反して、前記金属層の厚さを厚くすることにより、磁気抵抗効果層が受けるイオンビームダメージを低減することができ、ひいては素子の特性を向上させることができる。前記金属層の厚さが従来に比べて厚いことから、磁気抵抗効果層の少なくとも最上側の層を所望の形状にミリング等する際に定まる当該層の端面形状は多少悪くなるが、それに伴う素子の特性の劣化に比べて、イオンビームダメージの低減による素子の特性の向上の方がより大きく、結局、総合的には、素子の特性を向上させることができる。
【0016】
ところで、前記金属層の厚さがあまりに大きいと、前記金属層の抵抗値が大きくなるとともに、MRギャップが広がって高記録密度化が困難となり、好ましくない。この点、前記第1の態様では、前記金属層の厚さが20nmより薄いので、前記金属層の抵抗値がさほど大きくならないとともに、MRギャップがさほど大きくならずに高記録密度化が容易となる。
【0017】
磁気抵抗効果層が受けるイオンビームダメージをより大きく低減するためには、前記金属層の厚さは、11nm以上であることが好ましく、12nm以上であることがより好ましく、13.5nm以上であることがより一層好ましく、15nm以上であることがより一層好ましい。また、前記金属層の抵抗値の抑制しつつ高記録密度化を容易にするためには、前記金属層の厚さは、19nm以下であることが好ましく、17.5nm以下であることがより好ましく、16nm以下であることがより一層好ましい。
【0018】
本発明の第2の態様による磁気抵抗効果素子は、前記第1の態様において、前記磁気抵抗効果層は、トンネルバリア層と、該トンネルバリア層の一方の面側に形成されたフリー層と、前記トンネルバリア層の他方の面側に形成されたピンド層と、前記ピンド層の前記トンネルバリア層とは反対の側に形成されたピン層と、を含むものである。
【0019】
この第2の態様は、前記第1の態様をTMR素子に適用した例である。TMR素子では、磁気抵抗効果層自体を低抵抗化するべくトンネルバリア層を極薄にすると、イオンビームダメージの影響が非常に大きくなるため、前記第2の態様のように前記第1の態様をTMR素子に適用した場合、その効果は著しくなる。
【0020】
本発明の第3の態様による磁気抵抗効果素子は、前記第1又は第2の態様において、前記金属層は、前記磁気抵抗効果層の少なくとも前記基体とは最も反対側の層と実質的にちょうど重なるように、形成されたものである。
【0021】
この第3の態様によれば、磁気抵抗効果層の少なくとも前記基体とは最も反対側の層をミリング等して所望の形状にする際に、導電性保護層も同時にミリング等することができ、いわゆるセルフアラインを達成することができる。したがって、製造工程が簡略化され、好ましい。
【0022】
本発明の第4の態様による磁気抵抗効果素子は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記磁気抵抗効果層に電流を流すための一対の電極を備え、該一対の電極のうちの少なくとも一方が前記金属層を介して前記磁気抵抗効果層に電気的に接続されたものである。この第4の態様は、電極の配置例を挙げたものである。
【0023】
本発明の第5の態様による磁気抵抗効果素子は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記金属層が単層膜又は複層膜からなり、前記複層膜を構成する各層及び前記単層膜が、Al,Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Zn,Ru,Ta,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Rh,Pd,Ag,Hf,W,Re,Ir,Pt及びAuからなる群より選ばれた1種以上で構成されたものである。
【0024】
この第5の態様は、成膜の際の取り扱いの便宜等の観点から、導電性保護層として用いるのに好適な材料の具体例を挙げたものであるが、前記第1乃至第4の態様ではこれらの例に限定されるものではない。
【0025】
本発明の第6の態様による磁気抵抗効果素子は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記金属層が単層膜又は複層膜からなり、前記複層膜を構成する各層及び前記単層膜が、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Ir,Pt及びAuからなる群より選ばれた1種以上で構成されたものである。
【0026】
後述する本発明者の研究の結果、前記第6の態様で挙げた材料は、従来からキャップ層として一般的に用いられているTaに比べて、同一厚さに対するイオンビーム阻止能力が高いことが判明した。したがって、この第6の態様によれば、前記金属層としてTaを用いる場合に比べて、前記金属層の厚さをより薄くしつつ、磁気抵抗効果層が受けるイオンビームダメージを低減することができる。
【0027】
本発明の第7の態様による磁気ヘッドは、基体と、該基体により支持された磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子が前記第1乃至第6のいずれかの態様による磁気抵抗効果素子であるものである。
【0028】
この第7の態様によれば、前記第1乃至第6のいずれかの態様による磁気抵抗効果素子が用いられているので、前記金属層を用いて磁気抵抗効果層表面の酸化を防止しつつ、電極と前記金属層との間の良好な電気的接触を確保し、しかも、磁気抵抗効果層へのイオンビームダメージを低減し、ひいては素子の特性を向上することができる。
【0029】
本発明の第8の態様によるヘッドサスペンションアセンブリは、磁気ヘッドと、該磁気ヘッドが先端部付近に搭載され前記磁気ヘッドを支持するサスペンションと、を備え、前記磁気ヘッドが前記第7の態様による磁気ヘッドであるものである。
【0030】
この第8の態様によれば、前記第7の態様による磁気ヘッドが用いられているので、磁気ディスク装置等の高記録密度化等を図ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気ヘッド及びその製造方法、並びにヘッドサスペンションアセンブリについて、図面を参照して説明する。
【0032】
[第1の実施の形態]
【0033】
図1は、本発明の第1の実施の形態による磁気ヘッドを模式的に示す概略斜視図である。図2は、図1に示す磁気ヘッドのTMR素子2及び誘導型磁気変換素子3の部分を模式的に示す拡大断面図である。図3は、図2中のA−A’矢視概略図である。図4は、図2中のTMR素子2付近を更に拡大した拡大図である。図5は、図3中のTMR素子2付近を更に拡大した拡大図である。理解を容易にするため、図1乃至図5に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。X軸方向が磁気記録媒体の移動方向と一致している。
【0034】
第1の実施の形態による磁気ヘッドは、図1に示すように、基体としてのスライダ1と、再生用磁気ヘッド素子として用いられる磁気抵抗効果素子としてのTMR素子2と、記録用磁気ヘッド素子としての誘導型磁気変換素子3と、DLC膜等からなる保護膜4とを備え、複合型磁気ヘッドとして構成されている。もっとも、本発明による磁気ヘッドは、例えば、TMR素子2のみを備えていてもよい。また、第1の実施の形態では、素子2,3はそれぞれ1個ずつ設けられているが、その数は何ら限定されるものではない。
【0035】
スライダ1は磁気記録媒体対向面側にレール部11,12を有し、レール部11、12の表面がABS(エアベアリング面)を構成している。図1に示す例では、レール部11、12の数は2本であるが、これに限らない。例えば、1〜3本のレール部を有してもよいし、ABSはレール部を持たない平面であってもよい。また、浮上特性改善等のために、ABSに種々の幾何学的形状が付されることもある。本発明による磁気ヘッドは、いずれのタイプのスライダを有していてもよい。
【0036】
第1の実施の形態では、保護膜4はレール部11,12の表面にのみ設けられ、保護膜4の表面がABSを構成している。もっとも、保護膜4は、スライダ1の磁気記録媒体対向面の全面に設けてもよい。また、保護膜4を設けることが好ましいが、必ずしも保護膜4を設ける必要はない。
【0037】
TMR素子2及び誘導型磁気変換素子3は、図1に示すように、レール部11、12の空気流出端部TRの側に設けられている。記録媒体移動方向は、図中のX軸方向と一致しており、磁気記録媒体が高速移動した時に動く空気の流出方向と一致する。空気は流入端部LEから入り、流出端部TRから流出する。スライダ1の空気流出端部TRの端面には、TMR素子2に接続されたボンディングパッド5a,5b及び誘導型磁気変換素子3に接続されたボンディングパッド5c,5dが設けられている。
【0038】
TMR素子2及び誘導型磁気変換素子3は、図2及び図3に示すように、スライダ1を構成するセラミック基体15の上に設けられた下地層16の上に、積層されている。セラミック基体15は、通常、アルチック(Al−TiC)又はSiC等で構成される。Al−TiCを用いる場合、これは導電性があるので、下地層16として、例えばAlからなる絶縁膜が用いられる。下地層16は、場合によっては設けなくてもよい。
【0039】
TMR素子2は、図4及び図5に示すように、下地層16上に形成された下部電極21と、下部電極21の上側(基体15と反対側)に形成された上部電極31と、電極21,31間に下部電極21側から順に積層された、下部金属層22、ピン層23、ピンド層24、トンネルバリア層25、フリー層26、及び、保護膜となる金属層としての上部金属層(キャップ層)27と、上部電極の下地層30と、上部電極31を、備えている。ピン層23、ピンド層24、トンネルバリア層25及びフリー層26が、磁気抵抗効果層を構成している。実際のTMR素子2は、図示されたような層数の膜構造ではなく、より多層の膜構造を有するのが一般的であるが、図に示す磁気ヘッドでは、説明の簡略化のため、TMR素子2の基本動作に必要な最少膜構造を示してある。
【0040】
本実施の形態では、下部電極21及び上部電極31は、下部磁気シールド及び上部磁気シールドとしてそれぞれ兼用されている。電極21,31は、例えば、NiFeなどの磁性材料で形成されている。図面には示していないが、これらの電極21,31は、前述したボンディングパッド5a,5bにそれぞれ電気的に接続されている。なお、下部電極21及び上部電極31とは別に、下部磁気シールド及び上部磁気シールドを設けてもよいことは、言うまでもない。
【0041】
下部金属層22は、導電体となっており、例えば、基体16側から順に積層されたTa層及びNiFe層の積層体などで構成される。ピンド層24及びフリー層26は、それぞれ強磁性層で構成され、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、NiFe、CoZrNb又はFeCoNiなどの材料で形成される。ピン層23は、反強磁性層で構成され、例えば、PtMn、IrMn、RuRhMn、FeMn、NiMn、PdPtMn、RhMn又はCrMnPtなどのMn系合金で形成することが好ましい。ピンド層24は、ピン層23との間の交換結合バイアス磁界によってその磁化方向が所定方向に固定されている。一方、フリー層26は、基本的に磁気情報である外部磁場に応答して自由に磁化の向きが変わるようになっている。本実施の形態では、ピン層23が層24の下側に配置されているが、その代わりにピン層23を層26,27間に配置し、層24をフリー層、層26をピンド層としてもよい。トンネルバリア層25は、例えば、Al、NiO、GdO、MgO、Ta、MoO、TiO又はWOなどの材料で形成される。
【0042】
上部金属層27は、例えば、Al,Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Zn,Ru,Ta,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Rh,Pd,Ag,Hf,W,Re,Ir,Pt又はAuの単体、又は、これらのいずれか2種以上の組み合わせからなる合金、を用いた、単層膜又は多層膜で形成される。あるいは、上部金属層27は、例えば、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Ir,Pt又はAuの単体、又は、これらのいずれか2種以上の組み合わせからなる合金、を用いた、単層膜又は多層膜で形成される。
【0043】
本実施の形態では、上部金属層27の厚さは、10nmより厚くかつ20nmより薄くされている。後述するシミュレーション結果(「モデルとシミュレーション」の項を参照)や実験の結果(「実施例」の項を参照)から、上部金属層27の厚さを10nmより厚くすると、製造工程の過程で上部金属層27の表面の酸化膜をドライエッチングにより除去する際に、前記磁気抵抗効果層のダメージが低減され、MR比が向上することが判明した。一方、上部金属層27の厚さを20nmより薄くすると、上部金属層27の抵抗値がさほど大きくならないとともに、MRギャップがさほど大きくならずに高記録密度化が容易となる。
【0044】
磁気抵抗効果層が受けるイオンビームダメージをより大きく低減するためには、上部金属層27の厚さは、11nm以上であることが好ましく、12nm以上であることがより好ましく、13.5nm以上であることがより一層好ましく、15nm以上であることがより一層好ましい。また、上部金属層27の抵抗値の抑制しつつ高記録密度化を容易にするためには、上部金属層27の厚さは、19nm以下であることが好ましく、17.5nm以下であることがより好ましく、16nm以下であることがより一層好ましい。
【0045】
上部電極の下地層30は、導電体となっており、Taなどの金属材料で形成される。本実施の形態では、下地層30は、磁気シールドギャップ(電極21,31間のギャップ)を所望の間隔に保つために、設けられている。もっとも、必ずしも下地層30を設ける必要はない。
【0046】
図3及び図5に示すように、フリー層26及びピン層23のZ軸方向の両側には、磁区制御のためのバイアス磁界を付与するバイアス層(磁区制御層)としての硬磁性層28a,28bが形成されている。硬磁性層28a,28bは、例えば、Cr/CoPt(コバルト白金合金)、Cr/CoCrPt(コバルトクロム白金合金)、TiW/CoPt、TiW/CoCrPtなどの材料で形成される。これらの層28a,28bの上側には、Alなどからなる絶縁層29が形成されている。絶縁層29は、層25,26,27が形成されていないピンド層24上の領域と上部電極の下地層30との間、及び、TMR素子2が形成されていない下部金属層22の領域と上部電極の下地層30との間にも、連続して形成されている。絶縁層29は、例えば、Al、SiO、MgO又はTiOなどの材料で形成される。
【0047】
誘導型磁気変換素子3は、図2及び図3に示すように、当該素子3に対する下部磁性層としても兼用される前記上部電極31、上部磁性層36、コイル層37、アルミナ等からなるライトギャップ層38、ノボラック樹脂等の有機樹脂で構成された絶縁層39及びアルミナ等からなる保護層40などを有している。磁性層36の材質としては、例えば、NiFe又はFeNなどが用いられる。下部磁性層としても兼用された上部電極31及び上部磁性層36の先端部は、微小厚みのアルミナなどのライトギャップ層38を隔てて対向する下部ポール部31a及び上部ポール部36aとなっており、下部ポール部31a及び上部ポール部36aにおいて磁気記録媒体に対して情報の書き込みを行なう。下部磁性層としても兼用された上部電極31及び上部磁性層36は、そのヨーク部が下部ポール部31a及び上部ポール部36aとは反対側にある結合部41において、磁気回路を完成するように互いに結合されている。絶縁層39の内部には、ヨーク部の結合部41のまわりを渦巻状にまわるように、コイル層37が形成されている。コイル層37の両端は、ボンディングパッド5c,5dに電気的に接続されている。コイル層37の巻数及び層数は任意である。また、誘導型磁気変換素子3の構造も任意でよい。
【0048】
次に、本実施の形態による磁気ヘッドの製造方法の一例について、説明する。
【0049】
まず、ウエハ工程を行う。すなわち、基体15となるべきAl−TiC又はSiC等のウエハ101を用意し、薄膜形成技術等を用いて、ウエハ101上のマトリクス状の多数の磁気ヘッドの形成領域にそれぞれ、前述した各層を前述した構造となるように形成する。
【0050】
このウエハ工程の概要について、図6乃至図10を参照して説明する。図6乃至図10はウエハ工程を構成する各工程を模式的に示す図であり、図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)及び図10(a)はそれぞれ概略平面図である。図6(b)は図6(a)中のB−C線に沿った概略断面図、図7(b)は図7(a)中のB−C線に沿った概略断面図、図8(b)は図8(a)中のB−C線に沿った概略断面図、図9(b)は図9(a)中のB−C線に沿った概略断面図、図10(b)は図10(a)中のB−C線に沿った概略断面図である。なお、図9(a)において、TWはTMR素子2が規定するトラック幅を示し、PMDは硬磁性層28a,28b間の幅(Permanent Magnet Distanceと呼ばれる。)を示す。
【0051】
ウエハ工程では、まず、ウエハ101上に、下地層16、下部電極21、下部金属層22、ピン層23、ピンド層24、トンネルバリア層25、フリー層26、上部金属層27を、順次積層する(図6)。このとき、下部電極21は例えばめっき法により形成し、他の層は例えばスパッタ法で形成する。このときの上部金属層27の厚さは、後述する表面酸化膜除去のためのドライエッチング後の上部金属層27の厚さが10nmより厚くかつ20nmより薄くなるような所定厚さとされる。
【0052】
次に、イオンミリングにより、ピン層23、ピンド層24、トンネルバリア層25、フリー層26及び上部金属層27を、部分的に除去する(図7)。次いで、硬磁性層28a,28bを部分的に形成する(図8)。その後、イオンミリングにより、トンネルバリア層25及びフリー層26及び上部金属層27を、所定の形状にパターニングする(図9)。
【0053】
次いで、リフトオフ法により絶縁層29を形成する。その後、この状態の基板101が一旦大気中に置かれる。このとき、磁気抵抗効果層の上面(本実施の形態では、フリー層26の上面)は、上部金属層27により保護されるので、酸化されない。しかし、上部金属層27の上面に酸化膜が形成されることになる。次に、上部電極の下地層30を形成するのと同じ真空装置内で、スパッタエッチングやイオンビームエッチングなどのドライエッチングを行うことにより、上部金属層27の上面に形成された酸化膜を除去する。このとき、上部金属層27の厚さが10nmより厚いので、磁気抵抗効果層(特に、トンネルバリア層25)へのイオンビームによるダメージが低減される。次に、上部電極の下地層30がスパッタ法等により形成され、更に、メッキ法等により上部電極31を形成する(図10)。
【0054】
最後に、ギャップ層38、コイル層37、絶縁層39、上部磁性層36及び保護膜40を形成し(図22)、更に電極5a〜5d等を形成する。これにより、ウエハ工程が完了する。
【0055】
次に、ウエハ工程後が完了したウエハに対して、公知の工程を経て磁気ヘッドを完成させる。簡単に説明すると、前記ウエハから、基体上に複数の磁気ヘッドの部分が一列状に配列された各バー(バー状磁気ヘッド集合体)切り出す。次いで、このバーに対して、スロートハイト、MRハイト等を設定するために、そのABS側にラッピング処理(研磨)を施す。その後、必要に応じて、スメア除去のために、ラッピング処理後のバーのABS側の面をエッチングする。次に、ABS側に保護膜4を形成し、更に、エッチング等によりレール11,12を形成する。最後に、機械加工により切断してバーを個々の磁気ヘッドに分離する。これにより、本実施の形態による磁気ヘッドが完成する。
【0056】
本実施の形態によれば、前述したように、フリー層26の上面に上部金属層27が形成されているので、上部金属層27よってフリー層26の表面の酸化が防止される。また、上部金属層27の表面が空気中で酸化しても、上部電極31を形成する前に、ドライエッチングにより上部金属層27の表面酸化膜が除去されるので、上部電極31と上部金属層27との間の良好な電気的接触を得ることができる。このとき、磁気抵抗効果層は、前記ドライエッチングによりイオンビームダメージを受ける。しかし、本実施の形態では、上部金属層27の厚さが10nmより厚く前述した従来技術における厚さ(10nm)より厚いので、磁気抵抗効果層が受けるダメージは、前述した従来技術と比べて、低減される。このため、本実施の形態によれば、前述した従来技術と比べてMR比などの素子の特性が向上する。
【0057】
このように、本実施の形態では、従来は看過されていた磁気抵抗効果層へのイオンビームによるダメージという要因に着目し、上部金属層27の厚さは可能な限り薄くすべきであるという従来の技術常識に反して、上部金属層27の厚さを厚くすることにより、磁気抵抗効果層が受けるイオンビームダメージを低減することができ、ひいては素子の特性を向上させることができる。上部金属層27の厚さが従来に比べて厚いことから、フリー層26及びトンネルバリア層25をミリングする際に定まる当該層26,25の端面形状は多少悪くなるが、それに伴う素子の特性の劣化に比べて、イオンビームダメージの低減による素子の特性の向上の方がより大きく、結局、総合的には、素子の特性を向上させることができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、上部金属層27の厚さが20nmより薄いので、上部金属層27の抵抗値がさほど大きくならないとともに、MRギャップがさほど大きくならずに高記録密度化が容易となる。
【0059】
[第2の実施の形態]
【0060】
図11は、本発明の第2の実施の形態によるヘッドサスペンションアセンブリを示す磁気記録媒体対向面側から見た概略平面図である。
【0061】
第2の実施の形態によるヘッドサスペンションアセンブリは、磁気ヘッド71と、磁気ヘッド71が先端部付近に搭載され磁気ヘッド71を支持するサスペンション72と、を備えている。磁気ヘッド71として、前述した第1の実施の形態による磁気ヘッドが、用いられている。図11では、磁気ヘッド71の構成要素としてスライダ1(図1も参照)のみを示している。
【0062】
サスペンション72は、磁気ヘッド71のスライダ1が装着されるフレクシャ73と、フレクシャ73を支持し磁気ヘッド71のスライダ1に押圧力(荷重)を付与するロードビーム74と、ベースプレート75と、を有している。
【0063】
フレクシャ73は、図面には示していないが、先端側から基端側にかけて、帯状に延びた薄いステンレス鋼板等からなる基板と、該基板上に形成されたポリイミド層等からなる絶縁層と、該絶縁層上に形成された信号入出力用の4本の導体パターン81a〜81dと、これらの上に形成されたポリイミド層等からなる保護層と、から構成されている。導体パターン81a〜81dは、フレクシャ73の長さ方向にほぼその全長に渡って形成されている。
【0064】
フレクシャ73の先端部には、平面視で略々コ字状の抜き溝82が形成されることによりジンバル部83が構成され、ジンバル部83に磁気ヘッド71のスライダ1が接着剤等により接合されている。フレクシャ73には、スライダ1に設けられたボンディングパッド5a〜5d(図1参照)と近接する箇所において、導体パターン81a〜81dの一端部がそれぞれ電気的に接続された4つのボンディングパッドが、それぞれ形成されている。これらのボンディングパッドは、金ボール等によりスライダ1のボンディングパッド5a〜5dにそれぞれ電気的に接続されている。また、フレクシャ73の基端側には、導体パターン81a〜81dの他端部がそれぞれ電気的に接続された外部回路接続用のボンディングパッド84a〜84dが、形成されている。
【0065】
ロードビーム74は、比較的厚いステンレス鋼板等によって形成されている。ロードビーム74は、先端側の平面視で略三角形状の剛性部74aと、基端側のベースプレート接合部と、剛性部74aと前記接合部との間に位置し磁気ヘッド71のスライダ1に付与する押圧力を発生させる弾性部74bと、前記接合部から側方に延在しフレクシャ74の基端側部分を支持する支持部74cと、を有している。図11において、74dは剛性部74aの剛性を高めるための折り曲げ起立部、74eは弾性部74bが発生する押圧力を調整する穴である。ロードビーム74の剛性部74aには、フレクシャ73が、レーザ溶接等による複数のスポット溶接点91で固着されている。また、ロードビーム74の前記接合部には、ベースプレート75が、複数のスポット溶接点92で固着されている。フレクシャ73の基端側部分は、ベースプレート75から側方にはみ出したロードビーム74の支持部74cにより、支持されている。
【0066】
第2の実施の形態では、磁気ヘッド71として、前述した第1の実施の形態による磁気ヘッドが、搭載されているので、第2の実施の形態によるヘッドサスペンションアセンブリを磁気ディスク装置等に用いれば、当該磁気ディスク装置等の高記録密度化を図ることができる。
【0067】
[モデルとシミュレーション]
【0068】
ここで、本発明者が想定したモデルと本発明者が行ったシミュレーションについて、図13乃至図16を参照して説明する。
【0069】
図13は、前述した第1の実施の形態に即したイオンビームダメージに関するモデルを示す図である。図13では、図4及び図5と同様に、ピンド層24、トンネルバリア層25、フリー層26及び上部金属層(キャップ層)27が下方から順に積層されており、これらの各層を構成する粒子を図示している。図13は、この積層体に対して、上方からイオンビームをなす荷電粒子100が入射したときの状況を、模式的に示している。図13に示す状況は、前述した図9に示す工程の後に、スパッタエッチングやイオンビームエッチングなどのドライエッチングを行うことにより、上部金属層27の上面に形成された酸化膜を除去する前述した工程の状況に相当している。
【0070】
入射した荷電粒子100の振る舞いについて上部金属層27の作用について着目すると、図13に示すように、一般的な固体物質に入射した粒子の振る舞いと同様に、(a)入射した荷電粒子100が上部金属層27で弾性散乱される場合(この場合には、散乱の前後で運動量の変化は生じない。)、(b)入射した荷電粒子100が上部金属層27でエネルギーを失いながら侵入していく場合、(c)入射した荷電粒子100が上部金属層27で非弾性散乱される場合(この場合には、粒子が図13中の点線の丸で示すように、いわば玉突き状となってエネルギーが伝達されていく。)、の3つのモードが考えられる。
【0071】
ところで、上部金属層27の表面酸化膜除去のために図13に示すように前記積層体に対してイオンビームエッチング等を行う際に、上部金属層27の下のフリー層26又はトンネルバリア層25に対して影響を与える要素としては、(i)荷電粒子100のエネルギー、(ii)荷電粒子100の元素の種類、(iii)上部金属層27の材質(具体的には当該材質の持つ荷電粒子100阻止能力)と膜厚、の3つがある。
【0072】
前記要素(i)については、荷電粒子100のエネルギーが低いほど、イオンビームダメージがないことはほぼ自明である。ただし、表面酸化膜などを生産上不都合ないほどのレートで除去しようと思うと、ある一定以上のエネルギーは必要である。後述する実施例及び比較例のサンプルを作成する際のイオンビームエッチングの条件は、処理時間を生産上不都合が生じない程度に抑えることができる範囲内で、荷電粒子100のエネルギーが極力低くなるような条件とした。これ以上エッチングレートを下げる(加速電圧下げる、ビーム電流を下げる等)と、処理時間が長くなり生産上不都合が生じてくる。
【0073】
ここで、前記要素(ii)、(iii)については、図13に示す前記3つのモード(a)〜(c)を検討する。トンネルバリア層25又はフリー層26に対するダメージという点で考えると、モード(a)は明らかに当該磁気抵抗効果層に影響を及ぼさない。よって、モード(b)あるいはモード(c)が影響していると考えられるが、ここで、モード(c)の場合は上部金属層27の材料の格子に与えられたエネルギーは急激に減衰すると推測し、トンネルバリア層25又はフリー層26最も影響を及ぼし易いのはモード(b)であると考えた。以下、モード(b)によってダメージが起こると仮定して、前記要素(ii)、(iii)について考察する。なお、この仮定の正当性については、後述するように、この仮定に基づくシミュレーション結果が示す傾向と後述する実施例及び比較例の実験が示す傾向とが一致することにより確認された。
【0074】
図14は、前記要素(ii)の影響を評価するために行ったシミュレーションの結果を示すグラフである。このシミュレーションは、入射荷電粒子100がAr,Kr,Neのそれぞれの場合について、十分な厚さを有するターゲット(ここでは、Taとした。)内に荷電粒子100を入射させたとしたときに、50%の荷電粒子100がターゲット内に侵入する深さを、荷電粒子100の加速電圧をパラメータとして計算することで、行った。図14において、横軸は入射荷電粒子100の加速電圧、縦軸は50%の荷電粒子100がターゲット内に侵入する深さである。このシミュレーションは、ジェームズ・エフ・ジーグラー(James F. Ziegler)らによるSRIM(The Stopping and Range of Ions in Matter)と称するシミュレーションソフト(インターネットのURL「http://www.srim.org/#SRIM」からダウンロード可能)を用いて行った。
【0075】
図14に示すシミュレーション結果から、イオンミリングなどでの実用的な加速電圧の範囲(100eV〜500eV)では、元素が違っても侵入深さには大きな差がないことがわかる。したがって、荷電粒子100の元素の種類は、イオンビームダメージにほとんど影響を与えないと言える。
【0076】
図15は、前記要素(iii)の影響を評価するために行ったシミュレーションの結果を示すグラフである。このシミュレーションは、入射荷電粒子100をArとし、十分な厚さを有するターゲット(ここでは、Taとした。)内に3000個の入射荷電粒子100をエネルギー300eVで入射させたとしたときの、ターゲットの各深さを入射荷電粒子100が通過する確率を計算することで、行った。このとき、入射荷電粒子100のターゲットへの侵入深さの計算は、図14に示す結果を得た前記シミュレーションと同様に、前記シミュレーションソフトを用いてモンテカルロ法にて行った。図15において、横軸はターゲットの深さ、縦軸は入射荷電粒子100が通過する確率である。なお、図15に示すように、表面(深さがゼロ)での通過確率が100%でないのは、後方散乱により跳ね返った入射荷電粒子100が存在するからである。
【0077】
図15から、入射荷電粒子100が通過する確率を抑えて、そこより下方に入射荷電粒子100が侵入する確率を低減するためには、ターゲットにはある程度の深さが必要であることがわかる。したがって、ターゲットが上部金属層27に対応することから、入射荷電粒子100から当該磁気抵抗効果層を保護するためには、上部金属層27にある程度以上の膜厚が必要であることがわかる。ここでは、入射荷電粒子100から当該磁気抵抗効果層を保護するために最低限必要な上部金属層27の膜厚(以下、「臨界膜厚」という。)の目安として、入射荷電粒子100のうち1%が通過するターゲットの深さ(換言すれば、入射荷電粒子100のうち99%を阻止するターゲットの深さ)を、採用する。説明の便宜上、このターゲットの深さを「99%阻止膜厚」と呼ぶ。
【0078】
図15に示す結果を得たシミュレーションと同様のシミュレーションを、ターゲットの材料のみを種々に変えて行うことで、種々の材料のターゲットについて、図15に示す結果と同様のシミュレーション結果(図示せず)を得た。Taについて得た図15に示す結果及び他の種々の材料について得た結果から、ターゲットの各材料(元素)に対する99%阻止膜厚をプロットしたグラフが、図16である。図15において、横軸は原子番号、縦軸は99%阻止膜厚である。横軸において、ターゲットの材料(元素)を原子番号の順に並べて示している。99%阻止膜厚は臨界膜厚そのものではないが、図15から、種々の材料についての臨界膜厚の傾向が見て取れる。すなわち、上部金属層27の材料を種々に変えても、99%阻止膜厚はさほど大きな差がないことがわかる。また、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Ir,Pt及びAuの99%阻止膜厚は、Taの99%阻止膜厚より薄いことがわかる。このことは、こられらの材料がTaに比べて同一厚さに対するイオンビーム阻止能力が高いことを意味している。
【0079】
ここでは、前述したように、99%阻止膜厚を臨界膜厚の目安としたが、99%阻止膜厚はあくまで材料による臨界膜厚の相対的な傾向を見るためのものであって、実際の系においては、どの程度の荷電粒子100の通過によって磁気抵抗効果層がダメージを受けるのか不明である。
【0080】
そこで、本発明者は、実際の系における臨界膜厚の絶対値を得るために、イオンビーム阻止能力の最も低いZr、一般的なキャップ層材料であるTa、及び、イオンビーム阻止能力が比較的高いRuについて、膜厚を細かく振り、MR変化率を測定し、その結果として図17に示す結果を得た。この点は、後述する実施例の項の後段で詳細に説明する。
【0081】
【実施例】
[実施例1及び比較例1〜4]
【0082】
前記第1の実施の形態による磁気ヘッドと同様の構成を持つ磁気ヘッドの製造過程におけるウエハ工程完了後のウエハ(多数のTMR素子及び誘導型磁気変換素子が形成されたウエハ)を、前述した製造方法に相当する互いに同じ方法及び条件で、実施例1及び比較例1〜4のサンプルとしてそれぞれ作製した。これらのサンプルの主要な各層の構成は、下記の表1に示す通りとし、実施例1及び比較例1〜4のサンプルで、上部金属層27の厚さのみを下記の表2の通りに変えた。これらのサンプルでは、TMR素子のトラック幅TWを0.2μmとした。
【0083】
【表1】
Figure 0003588093
【0084】
【表2】
Figure 0003588093
【0085】
実施例1及び比較例1〜4のサンプルの製造時に、上部金属層27の表面の酸化膜除去のためのドライエッチングとして、Arのイオンビームエッチングを次の条件で行った。その条件は、加速電圧を250V、ビーム電流を0.1mA/cm、Arガス圧を2×10−4Torr、基板温度を50℃、エッチング時間を約10分間とした。
【0086】
実施例1及び比較例1〜4のサンプルのそれぞれについて、ウエハ内の全TMR素子の抵抗値及びMR比を測定した。表2に、その測定結果として、実施例1及び比較例1〜4のサンプルのそれぞれについて、ウエハ内の全TMR素子の抵抗値の平均値及びMR比の平均値を示す。図12は、表2に示す測定結果を示すグラフである。
【0087】
表2及び図12からわかるように、実施例1のように、上部金属層27の厚さが10nmより厚ければ、MR比が約14%より高くなり、良好なMR比が得られる。特に、上部金属層27の厚さが11nm以上ではMR比が約15%以上、12nm以上では約16%以上、13.5nm以上では約16.1%以上、15nm以上では約16.17%以上となり、より良好なMR比が得られる。これに対し、比較例1〜3では、MR比が約14%以下となり、MR比が低下する。特に、比較例1,2のように、上部金属層27の厚さが5nm以下であれば、MR比が約7%以下となり、MR比が大きく低下する。これは、上部金属層1の表面酸化層除去のためのドライエッチング時に、イオンビームがトンネルバリア層まで侵入し、ダメージを受けトンネルバリア層にピンホールがあくことによると、考えられる。
【0088】
[他の実施例及び比較例]
【0089】
前述した実施例1及び比較例1〜4のサンプルは、上部金属層27がTaの場合のみに限られ、しかも、上部金属層27の膜厚のバリエーションも少ないものであった。そこで、上部金属層27がTaの場合において膜厚のバリエーションを増やすため、更には、上部金属層27がRuの場合及びZrの場合の測定も行うため、以下に説明するサンプル1〜27を、他の実施例及び比較例のサンプルとして作成した。ただし、サンプル1,2,7,8,9は、比較例1〜3、実施例1及び比較例4のサンプルとそれぞれ同じものであり、その測定値も流用している。
【0090】
サンプル1〜27が実施例1及び比較例1〜4のサンプルの異なる所は、上部金属層27の材料及び膜厚を下記の表3の通りに変えた点のみであり、他の点は同一である。
【0091】
【表3】
Figure 0003588093
【0092】
サンプル1〜27の製造時にも、実施例1及び比較例1〜4のサンプルの製造時と同じく、上部金属層27の表面の酸化膜除去のためのドライエッチングとして、Arのイオンビームエッチングを次の条件で行った。その条件は、加速電圧を250V、ビーム電流を0.1mA/cm、Arガス圧を2×10−4Torr、基板温度を50℃、エッチング時間を約10分間とした。
【0093】
サンプル1〜27のそれぞれについて、ウエハ内の全TMR素子のMR比を測定し、ウエハ内の全TMR素子のMR比の平均値を算出した。そして、サンプル1〜27のそれぞれについて、上部金属層27が同じ材料で厚さ20nmのサンプルのMR比の平均値を1として規格化したMR比の平均値(これを「MR比(規格化値)」と呼ぶ。)を算出した。このようにして測定・算出したMR比(規格化値)を、測定結果として表3に示す。図17は、表3に示す測定結果を示すグラフである。
【0094】
実験による図17から、上部金属層27が厚くなるほどMR比(規格化値)が高くなることがわかる。このことは、上部金属層27が厚くなるほど、TMR素子のダメージが低減されることを意味している。一方、シミュレーションによる図15は、ターゲットの深さが深い位置ほどそこを通過する入射荷電粒子の確率が少なくなることを示している。このことは、上部金属層27が厚くなるほど、磁気抵抗効果層に到達する荷電粒子が少なくなってTMR素子のダメージが低減されることを意味している。また、実験による図17から、上部金属層27の同一の厚さに対して、Ru,Ta,Zrの順にMR比(規格化値)が高いことがわかる。このことは、Ru,Ta,Zrの順に、同一厚さに対するイオンビーム阻止能力が高いことを意味している。一方、シミュレーションによる図16に示すように、Ru,Ta,Zrの順に99%阻止膜厚が薄くなっている。このことは、図16は、Ru,Ta,Zrの順に、同一厚さに対するイオンビーム阻止能力が高いことを示している。
【0095】
このように、前述したシミュレーションの結果が示す傾向と、実験の結果が示す傾向とが一致している。したがって、前述したシミュレーションが概ね正しいことが実証されたと言える。
【0096】
先に、上部金属層27がTaで構成された場合の実験結果である図12に基づいて、上部金属層27の厚さが10nmより厚ければMR比が高くなって良好なMR比が得られ、特に、上部金属層27の厚さが11nm以上、12nm以上、13.5nm以上、15nm以上では、それぞれより良好なMR比が得られると、述べた。図17から、このような関係は、上部金属層27がTaで構成された場合のみならず、上部金属層27がRuやZrで構成された場合についても同様に成り立つことが、わかる。そして、図16に示すシミュレーション結果を考慮すると、このような関係は、その他の種々の材料で構成された場合についても同様に成り立つことがわかる。
【0097】
また、図17に示す実験結果で裏付けられた図16に示すシミュレーション結果から、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Ir,Pt及びAuの方が、一般的なキャップ層材料であるTaより、イオンビーム阻止能力が高いことがわかる。したがって、上部金属層27をV,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Ir,Pt及びAuのうちの一種以上で構成すれば、上部金属層27をTaで構成する場合に比べて、上部金属層27の厚さをより薄くしつつ、磁気抵抗効果層が受けるイオンビームダメージを低減することができる。
【0098】
以上、本発明の各実施の形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0099】
例えば、TMR膜構造でピン層(反強磁性層)が、トンネルバリア層により下部(基板側)にある場合と上部(基板反対側)にある場合がある。いずれの場合であっても、本発明は適用し得る。
【0100】
また、前記第1の実施の形態では、図5に示すように、フリー層26にバイアス磁界を付与するバイアス層28a,28bがフリー層26及びピン層23のZ軸方向の両側に形成されていた。本発明は、このようなタイプの磁気抵抗効果素子のみならず、バイアス層をフリー層に対して積層したタイプの磁気抵抗効果素子にも適用することができる。この場合、例えば、図5に示す構造を次の第1の変形例又は第2の変形例のように変形すればよい。
【0101】
すなわち、第1の変形例では、バイアス層28a,28bを除去してこの位置にも絶縁層29を形成し、キャップ層に相当する上部金属層27がフリー層26にバイアス磁界を与えるバイアス層としても機能するように、上部金属層27を反強磁性材料で構成する。この第1の変形例では、上部金属層27がフリー層26と交換結合することにより、フリー層26の磁化方向を固定することなく、フリー層26にバイアス磁界を与える。なお、フリー層26と上部金属層27との間に非磁性層を介在させてもよい。
【0102】
また、第2の変形例では、バイアス層28a,28bを除去してこの位置にも絶縁層29を形成し、フリー層26と上部金属層27との間に非磁性金属層を介在させ、キャップ層に相当する上部金属層27を強磁性材料で構成し、下地層30を反強磁性材料で構成する。この第2の変形例では、反強磁性材料で構成された下地層30が上部金属層27の磁化を交換結合によりフリー層26の方向へ固定することにより、フリー層26へ静磁場によるバイアス磁界を与えることができる。
【0103】
また、前述した実施の形態では、前述した構造のTMR素子を有する磁気TMR素子を有する磁気ヘッドの例であったが、本発明は、他の構造を持つTMR素子や他の磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッド等にも、適用することができる。具体的には、本発明は、例えば、CPP−GMRヘッドなどのTMRヘッド以外の他のCPP構造を持つ磁気ヘッドにも適用することができる。
【0104】
さらに、前述した実施の形態では、本発明による磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに用いた例を挙げたが、本発明による磁気抵抗効果素子は他の種々の用途にも適用することができる。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金属層を用いて磁気抵抗効果層表面の酸化を防止しつつ、電極と金属層との間の良好な電気的接触を確保し、しかも、磁気抵抗効果層へのイオンビームダメージを低減し、ひいては素子の特性を向上することができる、磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気ヘッド及びその製造方法、並びにヘッドサスペンションアセンブリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による磁気ヘッドを模式的に示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す磁気ヘッドのTMR素子及び誘導型磁気変換素子の部分を模式的に示す拡大断面図である。
【図3】図2中のA−A’矢視概略図である。
【図4】図2中のTMR素子付近を更に拡大した拡大図である。
【図5】図3中のTMR素子付近を更に拡大した拡大図である。
【図6】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する一工程を模式的に示す図である。
【図7】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する他の工程を模式的に示す図である。
【図8】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図9】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図10】図1に示す磁気ヘッドの製造方法におけるウエハ工程を構成する更に他の工程を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態によるヘッドサスペンションアセンブリを示す概略平面図である。
【図12】表2に示す測定結果を示すグラフである。
【図13】イオンビームダメージに関するモデルを示す図である。
【図14】シミュレーション結果を示すグラフである。
【図15】他のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図16】更に他のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図17】表3に示す測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 スライダ
2 TMR素子
3 誘導型磁気変換素子
21 下部電極
22 下部金属層
23 ピン層
24 ピンド層
25 トンネルバリア層
26 フリー層
27 上部金属層(キャップ層)
28a,28b 硬磁性層
29 絶縁層
30 上部電極の下地層
31 上部電極

Claims (14)

  1. 基体の一方の面側に形成された磁気抵抗効果層と、該磁気抵抗効果層の前記基体とは反対側の面に形成された1層以上からなる金属層と、を備え、
    前記金属層は、イオンビームが照射されるドライエッチングが施されたものであり、
    前記金属層の厚さが10nmより厚くかつ20nmより薄く、
    前記磁気抵抗効果層は、トンネルバリア層と、該トンネルバリア層の一方の面側に形成されたフリー層と、前記トンネルバリア層の他方の面側に形成されたピンド層と、前記ピンド層の前記トンネルバリア層とは反対の側に形成されたピン層と、を含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. イオンビームが照射される前記ドライエッチングがイオンビームエッチング又はスパッタエッチングであることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記金属層は、前記磁気抵抗効果層の少なくとも前記基体とは最も反対側の層と実質的にちょうど重なるように、形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記磁気抵抗効果層に電流を流すための一対の電極を備え、該一対の電極のうちの少なくとも一方が前記金属層を介して前記磁気抵抗効果層に電気的に接続されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記金属層が単層膜又は複層膜からなり、前記複層膜を構成する各層及び前記単層膜が、Al,Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Zn,Ru,Ta,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Rh,Pd,Ag,Hf,W,Re,Ir,Pt及びAuからなる群より選ばれた1種以上で構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記金属層が単層膜又は複層膜からなり、前記複層膜を構成する各層及び前記単層膜が、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Ir,Pt及びAuからなる群より選ばれた1種以上で構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 基体の一方の面側に形成された磁気抵抗効果層と、該磁気抵抗効果層の前記基体とは反対側の面に形成された1層以上からなる金属層と、を備え、前記金属層の厚さが10nmより厚くかつ20nmより薄い磁気抵抗効果素子を製造する方法であって、
    前記磁気抵抗効果層は、トンネルバリア層と、該トンネルバリア層の一方の面側に形成されたフリー層と、前記トンネルバリア層の他方の面側に形成されたピンド層と、前記ピンド層の前記トンネルバリア層とは反対の側に形成されたピン層と、を含み、
    前記金属層となるべき金属の層の形成後に、当該金属の層にイオンビームが照射されるドライエッチングを施す工程を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  8. イオンビームが照射される前記ドライエッチングがイオンビームエッチング又はスパッタエッチングであることを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  9. 前記金属層は、前記磁気抵抗効果層の少なくとも前記基体とは最も反対側の層と実質的にちょうど重なるように、形成されたことを特徴とする請求項7又は8記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 前記磁気抵抗効果素子は前記磁気抵抗効果層に電流を流すための一対の電極を備え、該一対の電極のうちの少なくとも一方が前記金属層を介して前記磁気抵抗効果層に電気的に接続されたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 前記金属層が単層膜又は複層膜からなり、前記複層膜を構成する各層及び前記単層膜が、Al,Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Zn,Ru,Ta,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Rh,Pd,Ag,Hf,W,Re,Ir,Pt及びAuからなる群より選ばれた1種以上で構成されたことを特徴とする請求項7乃至1 0のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  12. 前記金属層が単層膜又は複層膜からなり、前記複層膜を構成する各層及び前記単層膜が、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Ir,Pt及びAuからなる群より選ばれた1種以上で構成されたことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  13. 基体と、該基体により支持された磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子が請求項1乃至6のいずれかに記載された磁気抵抗効果素子であるか、あるいは、請求項7乃至12のいずれかに記載された磁気抵抗効果素子の製造方法により製造された磁気抵抗効果素子であることを特徴とする磁気ヘッド。
  14. 磁気ヘッドと、該磁気ヘッドが先端部付近に搭載され前記磁気ヘッドを支持するサスペンションと、を備え、前記磁気ヘッドが請求項13記載の磁気ヘッドであることを特徴とするヘッドサスペンションアセンブリ。
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