JP3587185B2 - 誘導無線アンテナ、およびこれを用いた非接触データ通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は誘導無線アンテナ、これを用いたデータ通信方法および非接触データ通信装置に関し、特に、物流システムや電子回数券システムなどの非接触識別装置に用いられる誘導無線アンテナ、これを用いたデータ通信方法および非接触データ通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、組立搬送ラインや物流システムで用いられる物品識別システムや電子回数券システムなどにおいては、物品を識別して管理するシステムが必要となる。
【0003】
図21はそのようなシステムにおける概略の構成を示す図である。図21に示すように、非接触識別装置のデータキャリア(以下、タグと称する)201,202はカード型やコイン型に加工されており、内部にプリントコイル203,204とICチップ205,206を含んで構成されている。これらのタグ201,202は管理したい商品207に貼り付けられ、アンテナゲート208,209を通過する際に、非接触でデータの送受信が行なわれ、物流,セキュリティなどの分野で商品管理や搬送履歴管理ツールとして使用されている。
【0004】
図21に示す非接触識別装置のアンテナゲート208,209には誘導無線アンテナが内蔵されており、このような誘導無線アンテナに要求される最重要項目は、読取領域内でのすべての点において通信に必要な磁界強度を確保することである。非接触識別装置の読み書き装置とタグ201,202との通信は、送受信アンテナとタグ201,202に形成されたループアンテナ203,204との相互インダクタンスによる結合を利用している。
【0005】
タグ201,202のループアンテナ203,204に発生する誘導起電力は送受信アンテナとタグ201,202側のループアンテナ203,204との相互インダクタンスをM、送信アンテナに発生する電流をiとすると、−M(di/dt)と表わすことができる。このことは、i=一定のとき、所定の磁界強度を確保するためには、所定値以上の相互インダクタンスMを発生させなければならないことを意味する。すなわち、M=0の場合、読出アンテナの電流をいくら大きくしても、タグ201,202には電力が供給されず、読み書きアンテナとタグ201,202との通信は不可能となる。
【0006】
しかし、平面上に構成されることが多い従来のアンテナでは、読み書き領域内にM=0またはMが非常に小さい領域が必ず存在する。
【0007】
図22は1回巻きのループアンテナ同士の相互インダクタンスについて図示したものである。図22において、送信アンテナ220から出る磁束線を矢印付きの実線で示しており、単位面積当りの磁束線が多いほど磁束密度が大きいことを示している。また、送信アンテナ220の電流により発生した磁束がタグのアンテナループを貫く磁束密度は、読み書きアンテナとタグのアンテナとのMに比例する。したがって、タグのループ内を貫く磁束線の本数が多いほど、相互インダクタンスMが大きいことを示して示している。
【0008】
図22に示すタグ211は送信アンテナ220と同一軸上にあって、送信アンテナループとタグのループが平行になるような位置にある。この位置関係の場合、送信アンテナ220が発生する磁束の鎖交数が多く、相互インダクタンスMが大きいことを示している。これに対して、タグ212のように、送信アンテナ220のループとタグのループがそれぞれ直交するようにタグを配置した場合、鎖交する磁束は0となり、M=0となることを示している。
【0009】
また、タグ213の場合は、送信アンテナ220と平行ではあるが、送信アンテナ220の中心軸方向の投影面から外れた位置にある場合である。このような場合、タグ213を鎖交する磁束の数が非常に少なく、相互インダクタンスMが小さくなる。送信アンテナ220と給電点がただ1つのアンテナシステムの場合は、このようにタグの位置と方向により、相互インダクタンスMが0になるか非常に小さい領域が必ず存在する。したがって、より広い領域でタグの方向性を限定せず、所定の相互インダクタンスMを発生させるようなアンテナシステムに使用とすると、必然的に読み書きアンテナや給電点の数を増やす必要があった。
【0010】
図23は送信アンテナを2つにしたときのループアンテナ同士の相互インダクタンスについて図示したものである。図22と同様にして、送信アンテナ220の他に、送信アンテナ221から放射される磁界を矢印付き破線の磁束線として示している。このように、2つの送信アンテナ220,221を設置した場合、送信アンテナ220との相互インダクタンスMが十分でなかったタグ212,213に対しても、送信アンテナ221によって生じた磁束線が貫くようになり、送信アンテナ221との相互インダクタンスMが発生する。したがって、アンテナの数を増やせば増やすほど、より複雑な磁界を発生することができて、タグの方向や位置にかかわらず、交信可能にできる可能性が高くなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の方法には大きな問題点がある。図23に示したように、送信アンテナ220と送信アンテナ221は互いに多くの磁束が鎖交しており、送信アンテナ同士の相互インダクタンスMが大きくなっていることを示している。すなわち、送信アンテナ220に給電した電力の一部が、相互誘導により送信アンテナ221にも供給されてしまい、送信アンテナ220に給電した電力がすべて送信アンテナ220のアンテナ電流として供給されないばかりか、送信アンテナ221から遠方電磁界強度を増加させてしまう。
【0012】
このように、複数のアンテナを互いに重なり合うような配置にして、独立制御することは非常に難しい。このことから、従来、複数のアンテナを用いる場合は、アンテナ同士の相互インダクタンスが小さくなるように、アンテナ同士に一定距離をおいて配置していたが、安定した読み書き可能領域を十分確保できないという問題がある。
【0013】
また、特開2000−251030号公報に記載されているように、アンテナを空間的に直交させて配置する方法がある。しかし、このような構造のアンテナは、構造が複雑で高価になり、実用的ではなかった。
【0014】
それゆえに、この発明の主たる目的は、アンテナ同士の相互インダクタンスの総和が小さく、安価で通信品質の優れた誘導無線アンテナ、これを用いたデータ通信方法および非接触データ通信装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の観点に係る誘導無線アンテナは、互いに別々に給電可能である第1、第2、および第3のアンテナを備える。第1および第2のアンテナは、各々が、給電時に互いに逆方向に電流を流す第1および第2の領域を有し、かつ、第1のアンテナは、その第1の領域が第2のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合するように配置されかつその第2の領域が第2のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合するように配置される。第2のアンテナへの給電時、第1のアンテナの第1および第2の領域がそれぞれ第2のアンテナの第1の領域との電磁結合により生じる誘導起電力が、第1のアンテナの第1および第2の領域が前記第2のアンテナの第2の領域との電磁結合により生じる誘導起電力と実質的に相殺される。第3のアンテナは、第1のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合され、第1のアンテナは給電時、第3のアンテナにその第1および第2の領域からの電磁結合により実質的に互いに相殺される誘導起電力を生じさせる。この第3のアンテナは、さらに、第2のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合され、第2のアンテナへの給電時、第2のアンテナの第1および第2の領域との電磁結合により、第3のアンテナには互いに相殺される誘導起電力が生じる。
この発明の第2の観点に係る誘導無線アンテナは、互いに別々に給電可能である第1、第2、および第3のアンテナを備える。第1および第2のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置され、第2および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となる位置関係に配置され、かつ第1および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置される。残留相互インダクタンスは、逆方向の起電力を生じさせる領域の相互インダクタンスの差を示す。第1のアンテナは、概8の字形状に形成され、第2のアンテナは、概8の字形状に形成されかつ前記第1のアンテナと実質的に90度回転して配置される。
この発明の第3の観点に係る誘導無線アンテナは、互いに別々に給電可能である第1、第2、および第3のアンテナを備える。第1および第2のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置され、第2および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となる位置関係に配置され、かつ第1および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置される。残留相互インダクタンスは、前記逆方向の起電力を生じさせる領域の相互インダクタンスの差を示す。第1および第2のアンテナは、各々、概8の字形状を形成するように配置され、かつ給電時互いに逆方向に電流を流す第1および第2の領域を有し、前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナに対して90度回転されて配置され、第3のアンテナは、前記第1および第2のアンテナ各々の第1および第2の領域それぞれと電磁結合されるように配置される。
【0016】
これにより、アンテナ同士の結合はわずかな相互誘導による結合と静電結合だけとなり、アンテナ同士を平行平面上に配置したり、あるアンテナへの給電状態を時間的に変化させたりした場合でも、別のアンテナに与える影響を小さくすることができる。すなわち、簡単な構造で給電された電力を効率よく電磁界に変換できると同時に、遠方電磁界強度も小さく押さえることができるので、小型,軽量,安価で通信品質の優れた誘導無線アンテナを実現することができる。
【0020】
さらに、第1のアンテナは相反する向きの磁束を発生するために概8の字形状に形成されることを特徴とする。
【0021】
また、第2のアンテナは、概8の字形状に形成され、第1のアンテナに対して90度回転して配置されることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態のシステム構成を示すブロック図である。この図1に示したシステム構成は振幅変調方式を採用した好ましい実施形態として電源回路を除外して示したものである。
【0029】
図1において、非接触識別装置は第1のアンテナ1と、第2のアンテナ2と、コントローラ3と、アンテナ周辺回路4とから構成される。コントローラ3は主としてタグ6の記憶回路62に対してデータを読み書きするための質問器として機能する。このために、コントローラ3は制御回路31とCPU32と搬送波発生回路33と変調回路34と増幅回路35と復調回路36と濾波回路37とを含む。また、アンテナ周辺回路4はアンテナ選択回路41とインピーダンス整合回路42と43とを含み、アンテナ1はインピーダンス整合回路42に接続され、アンテナ2はインピーダンス整合回路43に接続される。
【0030】
コントローラ3は上位システム5に接続されており、CPU32の記憶装置から符号化されたデータが制御回路31を介して変調回路34に与えられる。変調回路34は搬送波発生回路33から与えられる搬送波と、基本波に重畳されたデータとを混合し、混合された変調済みの搬送波は増幅回路35で増幅され、アンテナ選択回路41からインピーダンス整合回路42または43を介してアンテナ1または2に給電される。そして、選択されたアンテナ1または2から空中へ電磁界として放出される。
【0031】
一方、タグ6はプリントコイルからなるアンテナ61と記憶回路62と制御回路63と変調回路64とインピーダンス整合回路65と復調回路66と検波回路67とを含む。なお、タグによってはインピーダンス整合回路65を持たないものもある。非接触識別装置のアンテナ1または2から放出された電磁界により、タグ6のアンテナ61に誘導起電力が発生し、タグに必要な電力が供給される。同時に、アンテナ61に発生した誘導起電力はインピーダンス整合回路65を介して復調回路66に与えられ、復調回路66によって搬送波が除去され、検波回路67によって復号化され、制御回路63にデータが与えられる。制御回路63はそのデータを記憶回路62に記憶させる。
【0032】
次に、タグ6からデータを読出す場合は、タグ6の制御回路63に対してコントローラ3から読出命令が送信される。タグ6の制御回路63は記憶回路62からコントローラ3により指示された領域のデータを読出し、タグ6の変調回路64によってアンテナ61のインピーダンスを変化させる。タグ6のアンテナ61と非接触識別装置のアンテナ1または2とは相互インダクタンスを介して結合しており、タグ6のアンテナ61のインピーダンスが変化すると、非接触識別装置側のアンテナインピーダンスが変化するので、アンテナ周辺回路4から検波回路37を介して復調回路36に入力される電圧も変化し、復調回路36によって搬送波が除去され、復号化されてデータが取出され、そのデータが制御回路31によってCPU32内の記憶装置に書込まれる。
【0033】
このように、タグ6と非接触識別装置との間でデータの読み書きを繰返すことにより、データ通信が行なわれる。なお、ここでは一例として振幅変調方式について説明したが、これに限定されるものではない。
【0034】
図2は図1に示したコントローラ3のCPUの処理手順を示すフローチャートである。図2において、CPU32は電源投入後ステップ(図示ではSPと略称する)SP1において初期化され、ステップSP2においてアンテナ切換であるか否かが判別され、アンテナの切換命令であればステップSP3において所定のアンテナを選択状態にする。ステップSP4において電力が安定するまで待機する。これは、タグ6側で電磁結合により供給される電力が安定化するまで所定の時間待機するものである。
【0035】
CPU32は上位システム5から受けた命令に基づき、ステップSP5において書込命令であるかあるいは読出命令であるかを判別する。書込命令であればステップSP6において書込命令を送信し、ステップSP7において書込データを送信する。読出命令であれば、ステップSP8において読出命令を送信し、ステップSP9において読出データを受信したか否かを判別し、読出データを受信していればステップSP10において読出データをCPU32内の記憶装置に書込む。読出データを未受信であれば、ステップSP11において読出待ち時間が経過したか否かを判別し、その待ち時間を経過するまでステップSP9,ステップ11を繰返す。もし、読出待ち時間を経過していればステップSP2に進む。
【0036】
このようにして非接触識別装置とタグ6との間でデータの書込みまたは読出しが行なわれる。
【0037】
図3は図1に示したアンテナ1,2の好ましい実施形態を示した図である。図3において、第1のアンテナ1はアンテナ導体101,102を概8の字型に形成したものであり、遠方電磁界強度を低減させる効果を狙って、採用されている。第1のアンテナ1はアンテナ導体101と102とによって上半分と下半分の領域に分割されている。一方、第2のアンテナ2はアンテナ導体103から構成されており、第1のアンテナ1と同一平面上または平行平面上に形成されているが、第1のアンテナ1と交差するいずれの交点でも第1のアンテナ1には接続されず、第1のアンテナ1の上半分と下半分とそれぞれ領域S1,S2を介して電磁誘導結合している。
【0038】
第1のアンテナ1には、第1の給電点111から電力が供給され、第1のアンテナ1のアンテナ電流として増加が観測される。アンテナ1上に示した矢印は、ある時刻に観測されるアンテナ電流の向きを示したものである。また、アンテナ2には、第2の給電点112から電力が供給される。アンテナ2上に示した矢印はアンテナ1との相互インダクタンスに起因する誘導起電力の向きをその誘導起電力により流そうとする誘導電力の向きとして示している。
【0039】
アンテナ2に生ずる誘導起電力の向きは領域S1とS2において、正反対の向きに誘導電流を流す向きに発生している。すなわち、領域S1と領域S2にそれぞれ生じる誘導起電力は互いに他方の誘導起電力を打消す向きに生じる。ここで、特にS1/S2=1(S1=S2)である場合、アンテナ2の全体に生じる誘導起電力は0となる。すなわち、アンテナ1とアンテナ2との残留相互インダクタンスが0となる状態である。
【0040】
アンテナ2に第2の給電点112から電力を供給した場合も同様に、相互インダクタンス領域S1,S2が重なり合っているので、アンテナ1に誘導起電力が発生するが、これも特にS1/S2=1である場合、残留相互インダクタンスが0になり、アンテナ1に誘導起電力は発生しない。このことは、給電された電力を別のアンテナに奪われたり、別のアンテナに給電された電力により、アンテナ電流を発生させられたりすることがなく、独立した2系統の給電点およびアンテナがあるのと等価であることを意味している。
【0041】
すなわち、あるアンテナのインピーダンスや給電状態が変化しても、別のアンテナは、その影響を受けてインピーダンスやアンテナ電流が変化することがないため、アンテナへ供給された電力を極めて効率よく電磁界に変換できる上、遠方電磁界強度も極めて低いレベルで制御しながら、複数のアンテナを設置することができる。
【0042】
ここで、この発明の無線誘導アンテナの自己インダクタンスと相互インダクタンスの関係について詳細に説明する。アンテナ1のアンテナ導体101,102で生じる自己インダクタンスをL1とし、アンテナ1からの電磁誘導作用によりアンテナ2にそれぞれ逆向きの誘導起電力を生じさせる第1の相互インダクタンスM1と第2の相互インダクタンスM2の差(|M1−M2|)を残留相互インダクタンスMrとすると、アンテナ1の等価インダクタンスはL1−Mrと表わされることから、Mr=(L1/2)の場合、アンテナ1の等価インダクタンスはL1/2となる。すなわち、アンテナ1の等価インダクタンスと残留相互インダクタンスが等しい状態であるから、アンテナ1に給電された信号電力とアンテナ2にアンテナ1からの電磁誘導を受けて発生した信号誘導起電力とが等しい状態になる。
【0043】
また、Mr>(L1/2)となると、アンテナ1に給電した信号電力の半分以上をアンテナ2に誘導することになるので、アンテナ1から発生させる電磁界が大幅に減少し、アンテナ2から出る電磁界が遠方電磁界強度として目立ってきて、もはや送受信アンテナとしての性能を発揮できなくなる。これらを鑑みると、最も好ましくは、残留インダクタンスMr=0とするのが良いが、残留インダクタンスMrをアンテナ1が有する自己インダクタンスの1/2以下にすれば、アンテナとして効率よく電磁界を発生させ、遠方電磁界強度を抑えるアンテナとすることができる。
【0044】
また、さらに好ましくは残留自己インダクタンスMrをアンテナ1が有する自己インダクタンスL1の1/3以下にすれば、アンテナ1に給電される信号電力が、アンテナ2に誘導される信号電力の2倍となって、さらに効率よいアンテナとすることができる。
【0045】
図4および図5は図3に示したアンテナからでる磁界の様子を示しており、この発明によるアンテナ配置がタグと通信に有効な様子を示したものである。特に、図4は図3におけるアンテナ1からある時刻に発生する磁束のみを図示したものであり、図5は図3におけるアンテナ2からある時刻に発生する磁束のみを図示したものである。
【0046】
図4において、実線の磁束はアンテナ1が有する上下2つのループのうち、下側のループから発生する磁束であり、破線の磁束は同じく上側のループから発生する磁束である。タグ211には実線と破線の磁束がほぼ同数だけ鎖交しており、鎖交する実線と破線の磁束は常時大きさが等しく互いに反対向きであるので、タグ211に発生する誘導起電力はほぼ0となり、タグ211はアンテナ1とは常時交信困難である。また、タグ213は下側ループに対して直交した位置にあり、実線の磁束は鎖交しない。また、破線の磁束は極めて弱いものがタグ213に鎖交する(極めて弱い磁束線は図示していない)が、交信困難である要素を示したものである。タグ212は鎖交する破線の磁束が多く、アンテナ1と良好な交信可能状態であることを示している。
【0047】
図5においてアンテナ1と交信困難であったタグ211およびタグ213に鎖交する磁束が多く、アンテナ2と良好な交信状態であることを示している。一方、アンテナ1と良好な交信状態であったタグ212に鎖交する磁束が極めて弱く、交信困難であることを示している。
【0048】
図6は図3に示したアンテナの好ましい構造図であり、特に、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は(b)の線C−Cに沿う断面図であり、(d)は側面図であり、(e)は背面図である。
【0049】
図6において板状の絶縁物10の一方主表面に薄い帯状のアンテナ導体101,102が矩形状となるように貼り付けられてアンテナ1が形成され、これらのアンテナ導体101,102の接続部分に給電点111が設けられる。絶縁物10の他方主表面には薄い帯状のアンテナ導体103が矩形状となるように貼り付けてアンテナ2が形成され、下部に給電点112が設けられる。
【0050】
絶縁物10の例としては、プリント配線板やその他汎用プラスチックなどを用いることができる。また、アンテナ導体101,102の例としては、銅,アルミ,黄銅などの金属板の他、プリント配線板に用いる銅箔であってもよい。
【0051】
図7は図3のアンテナの他の構造図であり、特に、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は(b)の線C−Cに沿う断面図であり、(d)は側面図である。
【0052】
図7においてアンテナ1とアンテナ2を絶縁物10のいずれかの同一平面に配置し、アンテナ1のアンテナ導体101,102と、アンテナ2のアンテナ導体103が交差する場所を絶縁するために立体交差110を設けたものである。このように構成することによって、図7に比較してアンテナ1とアンテナ2はともにタグとの距離をほぼ同じにすることができる。図7に示した例では、アンテナ1とアンテナ2のいずれか一方がタグとの距離が遠くなり、交信の安定度が得られにくい場合は、図7に示した構造が有効になる。
【0053】
図8は図3に示したアンテナのさらに他の変形例を示す図であり、特に、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は(b)の線C−Cに沿う断面図であり、(d)は側面図であり、(e)は背面図である。
【0054】
この図8に示した例は、図3とアンテナ形状がほぼ同じであるが、第1の給電点111と第2の給電点112とを同じく絶縁物10の下側に配置したものである。このようにすると、2つの給電点111,112が近くなるので、配線的に好ましくなる。すなわち、アンテナ1の相反する磁束を発生させる2つの領域を形成するために、概8の字形状領域を有するアンテナ1の中央を立体交差させて実現したものである。
【0055】
図9はこの発明のさらに他の実施形態のアンテナ形状を示す図である。図9において、アンテナ1は図3と同様にして概8の字アンテナであって、アンテナ2はアンテナ1に対して90°回転したものである。この場合も、図3の説明と同様にして、アンテナ1に給電された場合について説明する。
【0056】
アンテナ1とアンテナ2は領域S1,S2,S3およびS4において重なり合っている。ある時刻において、アンテナ1に矢印で示した向きにアンテナ電流の増加が観測されたとすると、アンテナ2には領域S1〜S4に起因する相互インダクタンスによって、それぞれ矢印で示した向きにアンテナ電流を流そうとする誘導起電力が生じる。この誘導起電力の向きは、領域S1とS2がアンテナ2に同一方向にアンテナ電流を流そうとする起電力を生じ、領域S3とS4に起因する誘導起電力は領域S1とS2に起因する誘導起電力とは逆向きとなる。
【0057】
したがって、特にS1+S2=S3+S4の場合、残留相互インダクタンスは0となって、アンテナ1がアンテナ2に生じさせる誘導起電力は見かけ上0となる。同様にして、アンテナ2に給電した場合にアンテナ1に生じる誘導起電力も同様となる。
【0058】
図10は図9に示したアンテナのより具体的な構造を示す図であり、特に、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は(b)の線C−Cに沿う断面図であり、(d)は側面図であり、(e)は背面図である。
【0059】
図10において、絶縁物10の一方主表面にアンテナ導体101,102によってアンテナ1が概8の字形状に形成されており、絶縁物10の他方主表面にアンテナ導体104,105によってアンテナ2がアンテナ1に対して90°回転して概8の字形状に形成されている。
【0060】
図11はこの発明の誘導無線アンテナの応用例を示す図であり、図3に示した構成と図9に示した構成を組合せたものである。それぞれのアンテナは給電点が異なり、互いに絶縁された3組のアンテナ11,12および13で構成されている。すなわち、(a)は3組のアンテナ全体を示し、(b)はアンテナ11とアンテナ12のみを示し、(c)はアンテナ11とアンテナ13を示し、(d)はアンテナ12とアンテナ13のみを図示したものである。各アンテナ11,12,13にはそれぞれ給電点113,114,115が形成されている。
【0061】
これら3組のアンテナ11,12,13の残留相互インダクタンスをそれぞれの2組アンテナ同士の関係に分解して考えると、アンテナ11とアンテナ12の関係はS1+S2=S3+S4であるから、図9に示した2組のアンテナ同士の関係と同等であり、残るアンテナ11とアンテナ13の関係およびアンテナ12とアンテナ13との関係はS5=S6かつS7=S8であるから、図3に示す2組のアンテナ同士の関係と同等となる。したがって、これら3組のアンテナ11,12,13同士は互いに残留相互インダクタンスが0となっており、遠方電磁界強度が少なく、高効率で給電できるアンテナとして使用できる。これら3組のアンテナはすべてを送受信用のアンテナとして使用してもよく、あるいは1つを受信専用のアンテナとして使用してもよい。
【0062】
図12はこの発明における誘導無線アンテナのさらに他の実施形態を示す図である。図12において、アンテナ1とアンテナ2は図3に示した誘導無線アンテナと同様にして構成されているが、アンテナ2には給電点が設けられておらず受信回路8が接続されている。そして、アンテナ1からの誘導結合と静電結合による電流がアンテナ2に流れるようにされている。この例も、アンテナ1とアンテナ2の結合度が小さいため、アンテナ1へ給電した電力は高効率でアンテナ1から電磁界として放射される。また、受信回路8に接続されるアンテナ2に発生した受信電流はアンテナ1に著しく吸収されることなく、効率よく受信回路8へ入力することができる。
【0063】
図13はアンテナをゲート型に対向させて設置した応用例を示す図である。それぞれ片側のゲートの構造は図6と同一であり、図13(a)は右斜め方向よりゲートを見通した図であり、図13(b)は左側斜め方向よりゲートを見通した図である。アンテナ1には給電点111を介して送信信号が同軸ケーブルによって供給されており、アンテナ2も給電点112を介して同軸ケーブルが接続されている。この実施形態の場合、アンテナ2は送受信用として用いることもでき、受信専用アンテナとして用いることもできる。
【0064】
なお、アンテナ1,2はインピーダンスが5Ω程度であるのに対して、同軸ケーブルはインピーダンスが50Ωであるため、各給電点111,112にはインピーダンス変換回路(図示せず)を介してアンテナ1,2と同軸ケーブルが接続される。
【0065】
図14は図13に示した実施形態におけるアンテナ1,2と受信距離との関係を示す図である。図14(a)においてアンテナ1からの磁界分布Aとアンテナ2からの磁界分布をBとすると、図14(b)に示すように、2つのアンテナ1,2からの磁界分布が合成されて図14(c)に示すようになり、通信を安定化させることができる。
【0066】
図15は図13に示した2つのアンテナ1,2からなるゲートG1,G2の配置例を示す図である。(a)は2つのゲートG1,G2を平行に配置したものであり、(b)は2つのゲートG1,G2を対向させつつその中心距離をずらせて配置したものである。(c)は1対のG1,G2を平行状態から傾けて配置したものであり、(d)はさらに多数のゲートG1〜G4を交互に配置し、その間の細長いハンチングで示す領域を通信可能領域としたものである。このようなゲート構成は、万引き防止,セキュリティ,物流管理用途など幅広い分野への応用を期待できる。また、(e)に示すように(b)とアンテナの位置は同一で、ゲートの両端を揃えるべく延長した形状であっても、この発明の本質を損なうものではなく、その他の配置についても同様である。
【0067】
図16はこの発明の誘導無線アンテナのより好ましい実施形態を示す図であり、図16(a)は上面から見た図であり、図16(b)は裏面より見た図である。
【0068】
図16(a)に示すように、プリント基板21のような絶縁部材の表面にアンテナ導体101,102によってアンテナ1が形成されており、プリント基板21にはその他に電子部品22やコネクタ23が取付けられている。プリント基板21の裏面には図16(b)に示すように、アンテナ導体103によってアンテナ2が形成されており、その他に電子部品22が取付けられている。これらの電子部品22やコネクタ23などにより、図1に示したコントローラ3,アンテナ周辺回路4が構成され、これらとアンテナ1,2を一体化して構成することができる。
【0069】
なお、プリント基板21に限ることなく、基板の他の例として絶縁性フィルムや絶縁材料上に金属ペーストなどを塗布し、基板同等の機能を有する材料なども用いることができる。
【0070】
この図16からわかるように、誘導無線アンテナを用いて通信システムを構成することにより、小型,軽量で高性能な通信システムを提供できる。
【0071】
図17は2つのアンテナの両方同時に送信信号を給電する通信システムのブロック図である。この図17は図1に示したアンテナ周辺回路4のアンテナ選択回路41が省略され、インピーダンス整合回路42,43がコントローラ3に直接接続されている。したがって、コントローラ3からインピーダンス整合回路42,43を介してそれぞれアンテナ1,2両方に同時に送信信号が給電され、またアンテナ1,2の両方のアンテナから受信信号がコントローラ3に与えられる。これにより、アンテナ1,2ともに送受信兼用のアンテナとして利用される。
【0072】
図18は誘導無線アンテナを有する通信システムのさらに他の実施形態を示す図である。図18において、アンテナ選択回路41により選択されたアンテナのみに送信信号を給電し、選択されたアンテナのみから受信信号を有効とするものである。このために制御回路31とアンテナ選択回路41との間に制御信号をやりとりするための制御信号が追加されているが、それ以外の構成は図1と同じである。これにより、アンテナ1と2ともに送受信兼用のアンテナとして利用できる。
【0073】
図19は誘導無線アンテナを有する通信システムのさらに他の実施形態を示すブロック図である。この図19に示した実施形態では、アンテナ1のみに送信信号が給電され、アンテナ2のみからの受信信号を有効とするものであり、アンテナ1を送信専用アンテナとし、アンテナ2を受信専用アンテナとして利用するものである。このために、アンテナ周辺回路4のインピーダンス整合回路42にはコントローラ3の増幅回路35の出力が接続され、インピーダンス整合回路43の出力はコントローラ3の濾波回路37に接続されている。
【0074】
図20はこの発明の実施形態による効果を磁界強度の計算により検証したものである。図20(a)は検証に用いた送信アンテナ形状を示している。太線部に示す略8の字型のアンテナが略門型に対向する面にそれぞれ1つずつ配置されており、各実施形態におけるアンテナ1に近い形状となっている。また、アンテナ内部に示された矢印はある時刻における電流の向きを示している。
【0075】
図20(b)に示す磁界強度分布は送信アンテナの導体抵抗値を10Ωとし、概8の字型アンテナのそれぞれに50mWの信号電力を位相差0°で給電したときの、Z=0の平面における磁界強度分布を計算してX方向成分を図示したものである。
【0076】
ここで、非接触データ通信装置に用いられるタグは、ある一定強度の信号磁界を生じた領域に入ったときのみ通信可能となり、通信可能となる磁界強度の最低値はタグの形状によって異なる。すなわち、通信可能となる磁界強度最低値が既知であるタグがあった場合、送信アンテナが発生させる磁界強度最低値が描く曲線は、直ちにYZ平面に平行に置かれたタグの通信可能領域として理解することができる。たとえば磁界強度20mA/mで通信可能となるタグであった場合、アンテナを取囲む最も外側の曲線で囲まれた閉領域(図20(b)に示す塗り潰された領域+斜線を施された領域)は通信可能領域となる。このように、図20(b)に示す磁界強度分布は、この発明の実施形態のアンテナの如く、給電された電力のすべてが第1のアンテナへ供給された場合の磁界強度分布である。このとき、アンテナ電流は70mAとなる。
【0077】
図20(c)に示す磁界強度分布は、この発明の実施形態のように誘導アンテナを構成するのではなく、アンテナを複数配置した場合の例として、給電された信号電力の半分を第1のアンテナ以外のアンテナに奪われて、第1のアンテナには25mWしか供給されなかった場合の磁界強度を示したものである。このとき、アンテナ電流は50mAとなる。図20(b)と比較すると、大幅に通信可能領域が縮小している。磁界強度はアンテナ電流に比例するので、Y軸方向成分とZ軸方向成分も同様に弱められ、通信可能領域が縮小することになる。
【0078】
上述の如く、この発明の実施形態に従って誘導無線アンテナを設計すると、同一の供給電力で強い強度の磁界を発生することができる。また、すべての電力は概8の字形状のアンテナに供給されるので、8の字を形成する2つのループに流れる電流バランスもよくなる。すなわち、8の字アンテナによって、遠方電磁界強度が大きく抑制され、他の機器に対する妨害電磁波を小さく抑えることができる理想的な誘導無線アンテナを構成できる。
。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、第1から第3の観点に従う発明によれば、互いに誘導起電力が他アンテナからの電磁誘導時より生じた場合、この電磁誘導による誘導起電力を相殺するように形成配置された第1、第2および第3のアンテナで誘導無線アンテナを構成しており、簡単な構造で給電された電力を効率よく電磁界に変換することができると同時に、遠方電磁界強度も小さく抑えることができるので、小型、軽量、安価で通信品質に優れた誘導無線アンテナおよび非接触データ通信装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したコントローラ3のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したアンテナ1,2の好ましい実施形態を示した図である。
【図4】図3に示したアンテナ1からある時刻に発生する磁束のみを示した図である。
【図5】図3におけるアンテナ2からある時刻に発生する磁束のみを示した図である。
【図6】図3に示したアンテナの好ましい構造図である。
【図7】図3に示したアンテナの他の構造図である。
【図8】図3に示したアンテナのさらに他の変形例を示す図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態のアンテナ形状を示す図である。
【図10】図9に示したアンテナのより具体的な構造を示す図である。
【図11】この発明の誘導無線アンテナの応用例を示す図である。
【図12】この発明の誘導無線アンテナのさらに他の実施形態を示す図である。
【図13】アンテナをゲート型に対向させて設置した応用例を示す図である。
【図14】図13に示した実施形態におけるアンテナと受信距離との関係を示す図である。
【図15】図13に示した2つのアンテナからなるゲートG1,G2の配置例を示す図である。
【図16】この発明の誘導無線アンテナのより好ましい実施形態を示す図である。
【図17】2つのアンテナの両方同時に送信信号を給電する通信システムのブロック図である。
【図18】誘導無線アンテナを有する通信システムのさらに他の実施形態を示す図である。
【図19】誘導無線アンテナを有する通信システムのさらに他の実施形態を示すブロック図である。
【図20】この発明の実施形態による効果を磁界強度の計算により検証した図である。
【図21】物品を識別して管理するシステムにおける概略の構成を示す図である。
【図22】1回巻きの送信ループアンテナとタグ側ループアンテナの相互インダクタンスについて示した図である。
【図23】送信アンテナを2つにしたときの送信ループアンテナ同士の相互インダクタンスについて示した図である。
【符号の説明】
1,2,11,12,13 アンテナ、3 コントローラ、4 アンテナ周辺回路、5 上位システム、6,211,212,213 タグ、8 受信回路、21 プリント基板、22 電子部品、23 コネクタ、31,63 制御回路、32 CPU、33 搬送波発生回路、34,64 変調回路、35 増幅回路、36,66 復調回路、37 濾波回路、41 アンテナ選択回路、42,43,65 インピーダンス整合回路、61 ループアンテナ、62 記憶回路、67 検波回路、111,112,113,114,115 給電点、101,102,103,104,105 アンテナ導体、110 立体交差。
Claims (4)
- 互いに別々に給電可能である第1、第2、および第3のアンテナを備え、
前記第1および第2のアンテナは、各々が、給電時に互いに逆方向に電流を流す第1および第2の領域を有し、かつ、前記第1のアンテナは、その第1の領域が前記第2のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合するように配置されかつその第2の領域が前記第2のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合するように配置されて、前記第2のアンテナへの給電時、前記第1のアンテナの第1および第2の領域がそれぞれ前記第2のアンテナの第1の領域との電磁結合により生じる誘導起電力が、前記第1のアンテナの前記第1および第2の領域が前記第2のアンテナの第2の領域との電磁結合により生じる誘導起電力と実質的に相殺され、
前記第3のアンテナは、前記第1のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合され、前記第1のアンテナは給電時、前記第3のアンテナに前記第1および第2の領域からの電磁結合により実質的に互いに相殺される誘導起電力を生じさせ、
前記第3のアンテナは、さらに、前記第2のアンテナの第1および第2の領域と電磁結合され、前記第2のアンテナへの給電時、前記第2のアンテナの第1および第2の領域との電磁結合により、前記第3のアンテナには互いに相殺される誘導起電力を生じさせる、誘導無線アンテナ。 - 互いに別々に給電可能である第1、第2、および第3のアンテナを備え、
前記第1および第2のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置され、
前記第2および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となる位置関係に配置され、かつ
前記第1および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置され、
前記残留相互インダクタンスは、前記逆方向の起電力を生じさせる領域の相互インダクタンスの差を示し、
前記第1のアンテナは、概8の字形状に形成され、
前記第2のアンテナは、概8の字形状に形成されかつ前記第1のアンテナと実質的に90度回転して配置される、誘導無線アンテナ。 - 互いに別々に給電可能である第1、第2、および第3のアンテナを備え、
前記第1および第2のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置され、
前記第2および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となる位置関係に配置され、かつ
前記第1および第3のアンテナが、互いに残留相互インダクタンスが実質的に0となるような位置関係に配置され、
前記残留相互インダクタンスは、前記逆方向の起電力を生じさせる領域の相互インダクタンスの差を示し、
前記第1および第2のアンテナは、各々、概8の字形状を形成するように配置され、かつ給電時互いに逆方向に電流を流す第1および第2の領域を有し、前記第1のアンテナは、前記第2のアンテナに対して90度回転されて配置され、
前記第3のアンテナは、前記第1および第2のアンテナ各々の第1および第2の領域それぞれと電磁結合されるように配置される、誘導無線アンテナ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の誘導無線アンテナを用いて、対象物との間で非接触でデータを通信する、非接触データ通信装置。
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